JP3046150B2 - 無段変速装置 - Google Patents

無段変速装置

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JP3046150B2
JP3046150B2 JP4199890A JP19989092A JP3046150B2 JP 3046150 B2 JP3046150 B2 JP 3046150B2 JP 4199890 A JP4199890 A JP 4199890A JP 19989092 A JP19989092 A JP 19989092A JP 3046150 B2 JP3046150 B2 JP 3046150B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は無段変速装置に関し、
特に、変速プーリ機構と差動ギヤ機構とを組み合わせた
ものに関する。
【0002】
【従来の技術】ベルト式の無段変速装置の一例として、
互いに平行に配置された1対の回転軸の各々に、該各回
転軸に対して回転一体にかつ摺動不能に固定された固定
シーブと、回転軸に固定シーブとの間にV字状のベルト
溝を形成するように対向配置されて回転一体にかつ摺動
可能に支持された可動シーブとからなる変速プーリを有
するととともに、これら両変速プーリのベルト溝間に巻
き掛けられたVベルトを有する変速プーリ機構からな
り、可動シーブの軸方向の移動によってVベルトに対す
る有効半径を可変とすることにより、両回転軸間の変速
比を変えるようにしたものが知られている。
【0003】また、従来、特開昭62−118159号
公報に示されているように、上記変速プーリ機構を備え
るとともに、変速用のギヤ機構としての遊星ギヤ機構
(差動ギヤ機構)を設けた無段変速装置が提案されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この変速プーリ機構及
び差動ギヤ機構を備えた無段変速装置において、差動ギ
ヤ機構を利用して出力軸を停止状態から回転させようと
すると、動力伝達経路が駆動動力と循環動力との2つの
経路に分かれることが生じる。すなわち、閉路式差動ギ
ヤ装置では、差動ギヤ機構の3つのギヤ要素の1つを出
力軸に連結し、プーリ機構の変速比調整により差動ギヤ
機構の残りの1つのギヤ要素の回転数を変えることで、
そのギヤ要素と残りの他のギヤ要素との間の回転方向及
び回転速度を異ならせ、出力側ギヤ要素つまり出力軸の
回転方向及び回転数を決定するようになっている。とこ
ろが、そのとき、動力として駆動動力及び循環動力が発
生し、出力動力は駆動動力から循環動力を減じたものと
なる。そして、入力軸から出力軸に至る2つの動力伝達
経路のうち、どちらが駆動動力経路又は循環動力経路に
なるかは、差動ギヤ機構におけるギヤ要素の周速度で分
かれ、周速度の大きい方が駆動動力経路となる。
【0005】そして、このような変速プーリ機構及び差
動ギヤ機構を組み合わせてなる無段変速装置では、出力
軸の回転数を入力軸に対し正逆方向に切り換えて変速す
ることができ、正逆転切換機構が別途に不要となる利点
がある。
【0006】ところで、上記変速プーリ機構におけるベ
ルト押圧力を高めて、その分、変速操作力を軽減するた
めに、回転軸と可動シーブとの相対回転により該可動シ
ーブを軸方向に押圧するようにしたトルクカム機構が知
られている。このトルクカム機構は、回転軸又は該回転
軸上の変速プーリにおける可動シーブの一方に回転軸心
に対して所定のリード角で傾斜するように形成されたカ
ム溝と、上記回転軸又は可動シーブの他方に設けられ、
上記カム溝に係合するトルクピンとからなり、回転軸と
可動シーブとの間に両者を相対回転させるようにトルク
が働いたときに可動シーブを軸方向に押圧するものであ
る。
【0007】しかし、斯かるトルクカム機構を上記変速
プーリ機構及び差動ギヤ機構を組み合わせた無段変速装
置に適用した場合、出力軸がニュートラル状態から正逆
方向に切り換えられるのに伴い、変速プーリ機構での動
力伝達方向が逆転するので、トルクカム機構の各々によ
るベルト押圧力がニュートラル状態を境に逆方向にな
り、所期の操作力の軽減効果が得られなくなる虞れがあ
る。
【0008】本発明は以上の点に鑑みてなされたもの
で、その目的は、変速プーリ機構及び差動ギヤ機構を組
み合わせてなる無段変速装置に対し、トルクカム機構の
構造を改良することにより、変速プーリ間での動力伝達
方向が逆になっても、トルクカム機構によるベルト押圧
力が常に操作力を軽減する方向に作用するようにし、操
作力軽減効果を安定して確保できるようにすることにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明では、各変速プーリにおけるトル
クカム機構のカム溝を、所定のリード角を有するカム部
とリード角が0のキー溝部とで構成して両部分の境界位
置を変速装置がニュートラル状態となる位置に対応さ
せ、一方のトルクカム機構のトルクピンがカム溝のカム
部にあるときには、他方のトルクカム機構のトルクピン
がカム溝のキー溝部にあるように構成した。
【0010】具体的には、この発明の無段変速装置は、
互いに平行に配置された第1及び第2回転軸と変速プー
リ機構及び差動ギヤ機構とを備えている。上記変速プー
リ機構は両回転軸を変速可能に駆動連結するもので、各
々、上記各回転軸に固定シーブ及び可動シーブが互いに
逆向きになるように配置支持された1対の変速プーリ
と、該両変速プーリ間に巻き掛けられたベルトと、上記
各変速プーリの可動シーブ背面側に配設され、該可動シ
ーブを相対向する固定シーブに対し接離させて変速プー
リのベルト巻付け径を変化させる1対の駆動機構と、上
記両変速プーリのベルト巻付け径が互いに逆方向に変化
するように両駆動機構を連動させて両プーリ間の変速比
を変化させる連動機構と、該連動機構を作動させる切換
操作部と、上記両変速プーリ間のベルトの緩み側スパン
を、該緩み側スパンにプーリ間の変速比に対応して発生
する張力よりも大きい張力となるように押圧するテンシ
ョン機構とを有する。
【0011】また、差動ギヤ機構は互いに連結された第
1〜第3ギヤ要素を有し、第1ギヤ要素が上記第1回転
軸に連結される一方、第2ギヤ要素が上記第2回転軸に
連結されている。
【0012】そして、上記第1回転軸又は第3ギヤ要素
の一方が入力部とされ、他方が出力部とされていて、上
記切換操作部の切換操作によって上記両プーリ間の変速
比を変化させることにより、上記出力部を入力部に対し
一方向に回転させる正転状態と、回転停止させるニュー
トラル状態と、他方向に回転させる逆転状態とに切り換
えて変速するように構成するとともに、上記ベルトが
速プーリ機構における両変速プーリの可動シーブ回転
軸の軸方向へ押圧し該両可動シーブが上記連動機構及び
駆動機構を介して押圧し合って、その両押圧力(以下、
この発明ではベルト推力という)間の差により上記ニュ
ートラル状態へ復元するように構成する。
【0013】さらに、無段変速装置は、上記各回転軸又
は該回転軸上の変速プーリの可動シーブの一方に設けら
れたカム溝と、回転軸又は可動シーブの他方に設けら
れ、上記カム溝に係合する係止部材とからな、回転軸
と可動シーブとの相対回転により可動シーブを軸方向に
押圧する1対のトルクカム機構を備えている。
【0014】上記各トルクカム機構のカム溝を、軸方向
に対し所定のリード角で傾斜するカム部と、該カム部に
上記ニュートラル状態に対応する位置で連続し、リード
角が0となるように軸方向に延びるキー溝部とからな
り、かつ、両トルクカム機構におけるカム溝のカム部の
傾斜方向を回転軸の回転方向に対して互いに逆向きに傾
斜させて、上記一方のトルクカム機構の係止部材がカム
溝のカム部に位置するとき、他方のトルクカム機構の係
止部材がカム溝のキー溝部に位置するように構成する。
【0015】請求項2の発明では、変速装置のニュート
ラル状態での両変速プーリのベルト巻付け径が所定の条
件にあるとき、一定リード角のカム溝を有するトルクカ
ム機構を一方のプーリ側のみに設けることとする。
【0016】すなわち、この発明では、上記請求項1の
発明と同じ構成の回転軸、変速プーリ機構及び差動ギヤ
機構を備えていて、第1回転軸又は差動ギヤ機構の第3
ギヤ要素の一方が入力部とされ、他方が出力部とされて
いて、切換操作部の切換操作によって上記両プーリ間の
変速比を変化させることにより、出力部を入力部に対し
一方向に回転させる正転状態と、回転停止させるニュー
トラル状態と、他方向に回転させる逆転状態とに切り換
えて変速するように構成するとともに、ベルトが変速プ
ーリ機構における両変速プーリの可動シーブ回転軸の
軸方向へ押圧し該両可動シーブが上記連動機構及び駆動
機構を介して押圧し合って、その両押圧力間の差により
上記ニュートラル状態へ復元するように構成する。
【0017】そして、ニュートラル状態にあるときの両
変速プーリでのベルト巻付け径が互いに異なるように構
成する。
【0018】また、上記ニュートラル状態から正転状態
又は逆転状態への切換変速に伴う両変速プーリのベルト
巻付け径の変化量の大きい側で従動側となる変速プーリ
側の回転軸又は該回転軸上の変速プーリの可動シーブの
一方に設けられたカム溝と、上記回転軸又は可動シーブ
の他方に設けられ、上記カム溝に係合する係止部材とか
らなり、回転軸と可動シーブとの相対回転により可動シ
ーブを軸方向に押圧するトルクカム機構を備えている。
【0019】
【作用】上記の構成により、請求項1の発明では、第1
回転軸は差動ギヤ機構の第3ギヤ要素に対し、第1及び
第2回転軸間に掛け渡された変速プーリ機構を含む動力
伝達経路と、この動力伝達経路に並列に配置され、差動
ギヤ機構の第1ギヤ要素から第1回転軸に至る動力伝達
経路とを介して連結されているので、第1回転軸又は差
動ギヤ機構の第3ギヤ要素の一方を入力部として入力さ
れる動力は、上記変速プーリ機構を含む動力伝達経路又
は差動ギヤ機構の第1ギヤ要素から第1回転軸に至る動
力伝達経路の一方を駆動動力経路とし、他方を循環動力
経路として伝達された後、第1回転軸又は第3ギヤ要素
の他方を出力部として出力される。そして、切換操作部
を操作して上記変速プーリ機構のプーリ間の変速比を変
えることで、出力部が入力部に対し正転状態、ニュート
ラル状態又は逆転状態に切換変速される。
【0020】上記変速プーリ機構においては、切換操作
部の操作により駆動機構の一方を作動させて一方の変速
プーリの可動シーブを軸方向に移動させると、それに伴
って他方の駆動機構も作動して他方の変速プーリの可動
シーブが上記一方の変速プーリにおける可動シーブの固
定シーブに対する接離動作とは逆の動作でもって移動
し、この両可動シーブの逆方向の移動によって両プーリ
間の変速比が変更される。
【0021】このとき、上記各駆動機構は、各変速プー
リの固定及び可動シーブが軸方向に対し互いに逆側に位
置するように配置されて、その各可動シーブを背面側か
らそれぞれ相対する固定シーブに対し接離させるもので
あり、この両駆動機構が連動機構により連係されている
ため、該連動機構のレバー比を同じくすることで、両変
速プーリへのベルト推力は互いに相殺される。従って、
無段変速装置が上記ニュートラル状態にあると、変速プ
ーリ機構における両変速プーリはいずれも駆動側プーリ
(又は従動側プーリ)となり、両プーリ間でのベルトの
張力分布がバランスしてベルト推力は互いに同じとなる
ので、両変速プーリでのベルト推力の差は上記相殺によ
って零となり、そのニュートラル状態が維持される。
【0022】しかし、無段変速装置が上記ニュートラル
状態から正転側又は逆転側に変化して、変速プーリ機構
の一方のプーリのベルト巻付け径が他方よりも増大する
と、この負荷伝動状態への移行によりベルトの有効張力
が発生して張り側と緩み側との張力が変化し、両プーリ
でのベルトの張力分布がアンバランスになり、両プーリ
でのベルト推力の差が生じる。すなわち、無段変速装置
がニュートラル状態から少しでも変わって変速プーリ機
構の変速比が変化すると、その変速プーリ機構の両変速
プーリ間で上記の如きベルト推力の相殺があっても、そ
の両プーリ間でのベルト推力の差が残り、このベルト推
力の差に起因して、ベルト巻付け径が増大した側のプー
リの該巻付け径が小さくなるように変化する。つまり、
変速プーリ機構では自動的にニュートラル状態に戻る復
元力が作用し、この復元力により出力部の回転停止状態
であるニュートラル状態に達すると、上記と同様に、両
変速プーリ間でのベルト推力がバランスしてベルトの有
効張力がなくなるので、そのニュートラル状態に保たれ
る。
【0023】また、上記第1及び第2回転軸上のトルク
カム機構の各々におけるカム溝は、軸方向に対し傾斜す
るカム部と、該カム部に上記ニュートラル状態に対応す
る位置で連続し、リード角が0となるように軸方向に延
びるキー溝部とからなり、両トルクカム機構のカム溝の
カム部の傾斜方向が回転軸の回転方向に対して互いに逆
向きに傾斜しているので、変速装置のニュートラル状態
では、各トルクカム機構の係止部材はいずれもカム溝に
おけるカム部とキー溝部との境界位置に位置するが、ニ
ュートラル状態から正転位置又は逆転位置に変化する
と、一方のトルクカム機構の係止部材はカム溝のカム部
に、また他方のトルクカム機構の係止部材はカム溝のキ
ー溝部にそれぞれ移動する。そして、上記係止部材がカ
ム溝のカム部に位置するトルクカム機構はその機能を発
揮して、ベルト推力を発生させる一方、係止部材がキー
溝部に位置するトルクカム機構はその機能を停止する。
このことで、変速プーリ間での動力伝達方向が逆になっ
ても、それに対応して、ベルト推力が逆方向になるトル
クカム機構の作用を停止させ、必要な方向のベルト推力
のみを活かすことができ、よってトルクカム機構による
操作力軽減効果を安定して確保することができる。
【0024】請求項2の発明では、変速装置のニュート
ラル状態を境として切り換えられる正逆転方向のうち、
その使用頻度の高い側での変速幅を他の側よりも大きく
するために、変速装置がニュートラル状態にあるときの
変速プーリ機構での両変速プーリのベルト巻付け径が互
いに異なっている。このとき、その変速装置のニュート
ラル状態から正転状態又は逆転状態への切換変速に伴う
両変速プーリのベルト巻付け径の変化量の大きい側で従
動側となる変速プーリの回転軸側のみにトルクカム機構
が設けられているので、カム機構の数を半減でき、コス
ト的に有利である。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0026】(実施例1) 図1及び図2は本発明の実施例1に係る無段変速装置の
全体構成を示す。これらの図において、1は複数に分割
されたケーシングで、その内部には互いに平行に配置さ
れた第1及び第2回転軸2,3が回転可能に支承されて
いる。第1回転軸2は入力部としての入力軸を、また第
2回転軸3は中間軸をそれぞれ構成している。
【0027】また、ケーシング1内には、第2回転軸3
の右端部上に配置された差動ギヤ機構としての遊星ギヤ
機構4と、上記両回転軸2,3をVベルトBによって変
速可能に駆動連結する変速プーリ機構15とが収容され
ている。
【0028】上記遊星ギヤ機構4は、第2回転軸3に回
転一体に固定された第2ギヤ要素としてのサンギヤ5
と、該サンギヤ5に噛合する複数のピニオン6,6,…
と、第2回転軸3に回転可能に支承され、上記ピニオン
6,6,…を担持する第3ギヤ要素としてのピニオンキ
ャリア7と、最も外周に配置され、上記ピニオン6,
6,…に内周で噛合する第1ギヤ要素としてのリングギ
ヤ9とを備えている。上記リングギヤ9は外周にて、ケ
ーシング1に軸支したギヤ10に噛合され、このギヤ1
0は同様のギヤ11を介して、上記第1回転軸2の前端
に回転一体に取り付けたギヤ12に噛合連結されてい
る。また、ピニオンキャリア7は出力部を構成するもの
で、その右端には出力ギヤ8が一体に固定され、この出
力ギヤ8は図外の出力軸に駆動連結されている。
【0029】一方、上記変速プーリ機構15は、第1回
転軸2の左端部上に配置された第1変速プーリ16を有
する。この第1変速プーリ16は、第1回転軸2にボス
部17aにて相対回転可能にかつ摺動不能に支持された
フランジ状の固定シーブ17と、該固定シーブ17のボ
ス部17a上に固定シーブ17に対向するようにボス部
18aにて摺動可能にかつ回転一体に支持されたフラン
ジ状の可動シーブ18とからなり、これら両シーブ1
7,18間にはベルト溝19が形成されている。
【0030】一方、第2回転軸3の左端部上には第1変
速プーリ16と同径の第2変速プーリ31が設けられて
いる。この第2変速プーリ31は、上記第1変速プーリ
16と同様の構成であり、第2回転軸3にボス部32a
にて回転一体にかつ摺動不能に固定されたフランジ状の
固定シーブ32と、該固定シーブ32のボス部32a上
に、固定シーブ32に対し上記第1変速プーリ16にお
ける固定シーブ17に対する可動シーブ18の対向方向
と逆方向でもって対向するようにボス部33aにて摺動
可能にかつ回転一体支持されたフランジ状の可動シー
ブ33とからなり、これら両シーブ32,33間にはベ
ルト溝34が形成されている。
【0031】そして、上記第1変速プーリ16のベルト
溝19と第2変速プーリ31のベルト溝34との間には
VベルトBが巻き掛けられており、両変速プーリ16,
31の各可動シーブ18,33をそれぞれ固定シーブ1
7,32に対して接離させて各プーリ16,31のベル
ト巻付け径を変更する。例えば第1変速プーリ16の可
動シーブ18を固定シーブ17に接近させ、かつ第2変
速プーリ31の可動シーブ33を固定シーブ32から離
隔させたときには、第1変速プーリ16のベルト巻付け
径を第2変速プーリ31よりも大きくすることにより、
第1回転軸2の回転を第2回転軸3に増速して伝達す
る。一方、逆に、第1変速プーリ16の可動シーブ18
を固定シーブ17から離隔させ、かつ第2変速プーリ3
1の可動シーブ33を固定シーブ32に接近させたとき
には、第1変速プーリ16のベルト巻付け径を小にし、
第2変速プーリ31のベルト巻付け径を大きくすること
により、第1回転軸2の回転を減速して第2回転軸3に
伝えるようになされている。
【0032】上記第1変速プーリ16の可動シーブ18
のボス部18aと第1回転軸2との間にはトルクカム機
構20が配設されている。このトルクカム機構20は、
第1回転軸2外周面の例えば直径方向に対向する位置に
突設されたボルトからなる1対のピン21,21(係止
部材)と、可動シーブ18のボス部18aに形成され、
上記ピン21,21にそれぞれ係合するカム溝22,2
2とからなる。この各カム溝22は回転軸心と平行な方
向に対して所定のリード角だけ傾斜しており、無段変速
装置の使用頻度の高い前進状態の動力伝達時に、この前
進状態への移行に伴い第1変速プーリ16のベルト巻付
け径が大から小に変化することに対応して、このトルク
カム機構20を作動させて可動シーブ18に対し固定シ
ーブ17から離隔させる方向に荷重を与え、これによ
り、連動機構44を介して第2変速プーリ31の可動シ
ーブ33に対し、第2変速プーリ31のベルト巻付け径
が小から大に変化することに対応して固定シーブ32に
接近する方向に荷重を与えるようになっている。
【0033】上記第1回転軸2上には第1変速プーリ1
6における可動シーブ18背面側に、該可動シーブ18
を固定シーブ17に対して接離させるための駆動機構と
しての第1カム機構23が設けられている。このカム機
構23は、可動シーブ18のボス部18a上にベアリン
グ24を介して相対回転可能にかつ軸方向に移動一体に
外嵌合支持された円筒カム25を有する。このカム25
の第1変速プーリ16と反対側端面には1対の傾斜
カム面25a,25a(1つのみ図示する)が円周方向
に等角度間隔(180°間隔)をあけて形成され、カム
25の外周には図2に示すように回動レバー26が回動
一体に突設されている。
【0034】また、上記円筒カム25の背面側には、そ
の各カム面25aに当接して転動するカムフォロワとし
てのローラ27,27が配設され、この各ローラ27は
ケーシング1に固定した軸28に回転可能に支持されて
いる。
【0035】一方、第2回転軸3上には、第2変速プー
リ31における可動シーブ33の背面側に、該可動シー
ブ33を固定シーブ32に対して接離させるための駆動
機構としての第2カム機構35が設けられている。この
第2カム機構35は、上記第1カム機構23と同様の構
成で、可動シーブ33のボス部33a上にベアリング3
6を介して相対回転可能にかつ軸方向に移動一体に外嵌
合支持された円筒カム37を有する。このカム37の第
2変速プーリ31と反対側端面には1対の傾斜カム
面37a,37a(1つのみ図示する)が円周方向に等
角度間隔をあけて形成され、カム37の外周には回動レ
バー38(図2参照)が回動一体に突設されている。ま
た、円筒カム37の背面側には、その各カム面37aに
当接して転動するローラ39,39が配設され、この各
ローラ39はケーシング1に軸40を介して回転可能に
支持されている。
【0036】そして、図2に示す如く、上記第1カム機
構23の回動レバー26先端にはピン41を介してリン
ク42の一端が連結され、このリンク42の他端は上記
第2カム機構35の回動レバー38先端にピン43を介
して連結されており、上記回動レバー26,38、リン
ク42及びピン41,43により連動機構44が構成さ
れている。この連動機構44により、各カム機構23,
35におけるカム25,37を互いに連係して可動シー
ブ18,33のボス部18a,33a周りに回動させ、
その各カム面25a,37a上でローラ27,39を転
動させることにより、可動シーブ18,33を軸方向に
移動させて固定シーブ17,32に対し互いに相反して
接離させ、そのベルト溝19,34の有効半径つまりプ
ーリ16,31でのベルト巻付け径を可変とし、第1及
び第2回転軸2,3間の変速比を変化させるようにして
いる。
【0037】さらに、図4に示すように、上記変速プー
リ機構15の連動機構44において第2カム機構35の
回動レバー38先端にはロッド45を介して切換操作部
としての操作レバー46が連結されている。この操作レ
バー46は軸47を中心として前進位置、ニュートラル
位置及び後進位置の間を前後に揺動するもので、その変
速パターンは、後進位置からニュートラル位置を経て前
進位置に移動させるとき、図3に示すようにニュートラ
ル位置で一旦左方向に移動させるようになっている。そ
して、操作レバー46の下端に上記ロッド45が連結さ
れており、この操作レバー46の切換操作により連動機
構44を作動させて、変速プーリ機構15のプーリ1
6,31間の変速比を変えることで、上記遊星ギヤ機構
4のピニオンキャリア7(出力部)を第1回転軸2(入
力部)に対し一方向に回転させる正転状態と、回転停止
させるニュートラル状態と、他方向に回転させる逆転状
態とに切り換えて変速し、ニュートラル状態では、第1
変速プーリ16でのベルト巻付け径が例えば108mm
に、第2変速プーリ31でのベルト巻付け径が例えば7
2mmにそれぞれなるように、つまりニュートラル状態に
あるときの両変速プーリ16,31でのベルト巻付け
互いに異なっている。
【0038】具体的には、上記第2カム機構35におけ
る回動レバー38の先端にはピン48が突設されている
一方、ロッド45の端部には上記ピン48と係合する係
合部49が形成され、この係合部49はロッド45の長
さ方向に所定寸法だけ長い長溝(又は長孔)からなって
おり、この係合部49及びピン48により、操作レバー
46がニュートラル位置にあるとき、操作レバー46の
操作力を連動機構44に伝達不能とする不感帯部50が
構成されていている。
【0039】また、上記第1及び第2変速プーリ16,
31間に張られたベルトBの1対のスパンのうちの緩み
側となるスパンをその内面から外方に押圧してベルトB
に張力を与えることでベルト推力を発生するテンション
機構51が設けられている。このテンション機構51
は、図5及び図6にも拡大して示すように、第2回転軸
3回りのケーシング1にボルト52,52により一体的
に取り付けられた円筒状のガイド53と、このガイド5
3に揺動可能に外嵌支持されたボス部54a及び該ボス
部54a外周面に突設されたアーム部54bからなるア
ーム54と、該アーム54のアーム部54b先端に取り
付けられ、第1及び第2回転軸2,3と平行に延びる軸
55と、この軸55に回転可能に支承され、ベルト幅よ
りも軸方向長さの小さいテンションローラ56とを備え
ている。さらに、上記アーム54のボス部54a外周に
はアーム54部と反対側にレバー部54c(図5及び図
6参照)が突設されている。図3に示すように、このレ
バー部54cの先端にはばね57の一端が連結され、該
ばね57の他端はプッシュプルワイヤ58を介して上記
操作レバー46の例えば中間部に連結されており、操作
レバー46のニュートラル位置での左右方向の移動によ
りばね57を介してアーム54を第2回転軸3回りに揺
動させて、テンションローラ56外周面でベルトBの緩
み側スパンを内面側から押圧し、無段変速装置の例えば
前進状態でベルトBの図2上側のスパンが緩み側となる
ときには、アーム54を図2で時計回り方向に回動させ
て、縮んだばね57の伸長力によりベルトBの緩み側ス
パン内面を押圧する一方、後進状態でベルトBの図2下
側のスパンが緩み側となるときには、アーム54を図2
で反時計回り方向にそれぞれ回動させて、伸びたばね5
7の収縮力によりベルトBの緩み側スパン内面を押圧
し、これら前進及び後進状態の切換途中で、テンション
ローラ56の軸を第1及び第2回転軸2,3の軸心を結
ぶ平面上に位置付けてその外周面をベルトB内面から離
隔させる。そして、上記ばね57のアーム54に対する
回動付勢力は、上記テンションローラ56がベルトBの
緩み側スパンを該緩み側スパンに発生する最大張力より
も大きい張力で押圧するように設定されており、この張
力によりベルト推力を発生させる。
【0040】さらに、図5及び図6に示すように、上記
アーム54のボス部54a内周面には1対のピン59,
59が直径方向に対向して突設されている一方、ガイド
53の外周には上記ピン59,59にそれぞれ係合する
ガイド溝60,60が形成されている。この各ガイド溝
60は、図7に示すように基本的に円周方向に延びてい
るが、その一半部は端部に向かって軸方向に向かうよう
に中央位置から彎曲しており、このことでアーム54の
揺動に応じてテンションローラ56を軸方向に移動さ
せ、例えば無段変速装置の後進状態では、図8(c)に
示すようにテンションローラ56を図8(b)に示すニ
ュートラル状態と同じ位置で回動させるが、前進状態で
は、図8(a)に示すようにテンションローラ56をニ
ュートラル位置から軸方向右側に移動させながら回動さ
せるようになっている。
【0041】次に、上記実施例の作用について説明す
る。無段変速装置の入/出力部間の動力伝達経路に変速
プーリ機構15及び遊星ギヤ機構4が並列に配置されて
いるので、この変速装置の作動時、第1回転軸2から入
力された動力は、変速プーリ機構15と第1回転軸2上
のギヤ12〜10及び遊星ギヤ機構4とに伝達された
後、該遊星ギヤ機構4におけるピニオンキャリア7の出
力ギヤ8から出力動力として出力される。
【0042】具体的には、操作レバー46がニュートラ
ル位置に位置付けられているとき、遊星ギヤ機構4のピ
ニオンキャリア7は回転停止していて、無段変速装置は
ニュートラル状態にある。このニュートラル状態では、
変速プーリ機構15の第1変速プーリ16でのベルト巻
付け径は例えば108mmで、第2変速プーリ31でのベ
ルト巻付け径は例えば72mmであり、変速比は0.66
6の所定値にあって、第1及び第2変速プーリ16,3
1の双方が駆動側(又は従動側)となっている。また、
図3において操作レバー46がニュートラル位置で右側
にあるとすると、テンション機構51のアーム54は図
2で反時計回り方向の回動端位置にあって、ばね57の
収縮力によりテンションローラ56がベルトBの図2下
側のスパンを内面側から押圧している。
【0043】このとき、各変速プーリ16,31の固定
シーブ17,32及び可動シーブ18,33が軸方向に
対し互いに逆側に位置するように配置されており、その
各可動シーブ18,33を背面側からそれぞれ相対する
固定シーブ17,32に対し接離させるカム機構23,
35が連動機構44により連係されているため、該連動
機構44の回動レバー26,38のレバー比を同じくす
ることで、両変速プーリ16,31へのベルト推力は互
いに相殺される。従って、上記ニュートラル状態では、
図11(a)に示すように、両変速プーリ16,31が
いずれも駆動側(又は従動側)となることで、両プーリ
16,31でのベルトBの張力分布がバランスし、ベル
ト推力は互いに同じとなるので、両変速プーリ16,3
1でのベルト推力の差は上記相殺によって零となり、そ
のニュートラル状態が維持される。
【0044】そして、このニュートラル状態から正転側
又は逆転側に変化し、図11(c)に示す如く、第2変
速プーリ31におけるベルト巻付け径が第1変速プーリ
16よりも増大し、或いは図11(b)に示す如く、第
1変速プーリ16のベルト巻付け径が第2変速プーリ3
1よりも増大すると、この負荷伝動状態への移行により
ベルトBの有効張力が発生して張り側と緩み側との張力
が変化し、両プーリ16,31でのベルトBの張力分布
がアンバランスになって両変速プーリ16,31でのベ
ルト推力の差が生じる。このことは、無段変速装置が真
のニュートラル状態から少しでも変わって変速プーリ機
構15の変速比が変化すると、その変速プーリ機構15
の両変速プーリ16,31間で上記の如きベルト推力の
相殺があるにも拘らず、その両変速プーリ16,31間
でベルト推力の差が残り、このベルト推力の差に起因し
て、ベルト巻付け径の増大した側のプーリ16(又は3
1)の該巻付け径が小さくるように変化し、自動的に
ニュートラル状態に戻る復元力が作用する。斯かる復元
力の作用によって出力ギヤ(ピニオンキャリア7)が
回転停止するニュートラル状態に戻ると、上記と同様
に、両変速プーリ16,31間でのベルト推力がバラン
スしてベルトBの有効張力がなくなるので、そのニュー
トラル状態に保たれようとする。そして、この実施例で
は、上記操作レバー46から連動機構44に至る操作力
伝達経路に、上記ニュートラル状態で操作レバー46の
操作力を連動機構44に伝達不能とする不感帯部50が
設けられているので、上記ニュートラル状態へ戻ろうと
する際に、この不感帯部50でのピン48が係合部49
で自在に移動して、ニュートラル状態への復元が拘束さ
れないこととなり、よってニュートラル状態を安定して
維持することができる。
【0045】具体的に、本発明者によれば、変速プーリ
機構15の変速比iがi=0.666となる例として、
上記のように第1及び第2変速プーリ16,31でのベ
ルト巻付け径がそれぞれ108mm,72mmである場合の
他、同ベルト巻付け径がそれぞれ78mm,52mm、13
8mm,92mm及び183mm,122mmである3つの場合
を想定し、これらに対し、ニュートラル状態で、両変速
プーリ16,31の可動シーブ18,33を±1mmだけ
軸方向に移動させたときの変速比の変化を考察した。そ
の結果を図9に示す。この図9から、同じ変速比でも、
ベルト巻付け径が大きくなるほど変速比の変化量が小さ
くなることが判る。
【0046】そして、図9の斜線部分は、上記不感帯部
50で設定されるニュートラル状態での不感帯に相当す
る変速比の範囲を例示しており、操作レバー46のニュ
ートラル位置で変速比iが変化しても、それがi=0.
62〜0.712の範囲内にある限り、安定したニュー
トラル状態を維持できることとなる。
【0047】さらに、図10は、上記変速比の幅(i=
0.62〜0.712)を設定するための可動シーブ1
8,33の必要移動量を示しており、ベルト巻付け径が
大きくなるほど可動シーブ18,33の必要移動量も大
きくなることが判る。
【0048】上記各変速プーリ16,31のカム機構2
3,35における回動レバー26,38同士がリンク4
2により連係されているため、操作レバー46の切換操
作により上記変速プーリ機構15の変速比を変えること
で、遊星ギヤ機構4のピニオンキャリア7つまり無段変
速装置の出力回転を正転又は逆転状態に変えかつその回
転速度を増大変化させることができる。
【0049】すなわち、上記ニュートラル状態から、操
作レバー46を前進位置に位置付けると、この操作レバ
ー46は第2カム機構35におけるカム37外周の回動
レバー38に連結されているので、上記前進位置への切
換状態では、上記カム37がそのカム面37a,37a
上でそれぞれカム用ローラ39,39を転動させながら
第2変速プーリ31における可動シーブ33のボス部3
3a周りに一方向に回動する。これにより、上記カム面
37aがローラ39に押されてカム37が第2回転軸3
上を移動し、該カム37にベアリング36を介して移動
一体の可動シーブ33が同方向に移動して固定シーブ3
2に接近する。このことにより第2変速プーリ31が閉
じてそのベルト巻付け径が上記ニュートラル状態の72
mmから最大で120mmまで増大し、このベルト巻付け径
の増大によりVベルトBが第2変速プーリ31側に引き
寄せられる。
【0050】また、これと同時に、上記操作レバー46
の前進位置への切換えに伴い、上記第2変速プーリ31
の可動シーブ33の動きに同期して、第1カム機構23
のカム25が第1回転軸2上を上記第2カム機構35の
カム37と同じ一方向に回動する。このカム25の回動
によりカム用ローラ27に対する押圧がなくなる。この
ため、上記第2変速プーリ31側に移動するベルトBの
張力により、カム25及びそれにベアリング24を介し
て連結されている可動シーブ18は固定シーブ17から
離れる方向に第1回転軸2上を移動し、この両シーブ1
7,18の離隔により第1変速プーリ16が開いてベル
ト巻付け径が上記ニュートラル状態の108mmから最小
で60mmまで減少する。これらの結果、第2変速プーリ
31のベルト巻付け径が第1変速プーリ16よりも大き
くなり、第1回転軸2の回転が減速されて第2回転軸3
に伝達される。この変速比で、上記ピニオンキャリア7
の回転方向が第1回転軸2に対し例えば正転状態にな
り、変速比をさらに変えることで、ピニオンキャリア7
の正転方向の回転速度つまり前進速度を増大させること
ができる。
【0051】このとき、入力動力は、ギヤ12〜10及
び遊星ギヤ機構4のリングギヤ9を経由してそのピニオ
ンキャリア7に至る経路を駆動動力経路とし、遊星ギヤ
機構4のサンギヤ5から第2回転軸3ないし変速プーリ
機構15に至る経路を循環動力経路として伝達される。
すなわち、第1回転軸2(第2回転軸3)とは逆方向に
回転するリングギヤ9が、第1回転軸2(第2回転軸
3)と同方向に回転するサンギヤ5よりも速い速度で回
転して、出力ギヤ8を第1回転軸2(第2回転軸3)と
は逆方向に回転させる。この状態では、リングギヤ9の
駆動力をサンギヤ5よりも大きくすることが必要である
ので、リングギヤ9にギヤ12〜10を介して駆動動力
が伝達され、余剰の動力が循環動力としてサンギヤ5か
ら変速プーリ機構15を介して第1回転軸2に伝達され
る。つまり、第1回転軸2に入力された入力動力は、該
第1回転軸2からギヤ12〜10、遊星ギヤ機構のリ
ングギヤ9及びピニオンキャリア7を経由して出力ギヤ
8に至る経路を駆動動力経路として順に伝達される駆動
動力と、上記遊星ギヤ機構4のピニオン6からサンギヤ
5、第2回転軸3、変速プーリ機構15の第2変速プー
リ31、ベルトB、第1変速プーリ16、第1回転軸2
に至る経路を循環動力経路として順に伝達される循環動
力とに分かれる。この変速プーリ機構15が循環動力経
路となる状態では、上記の如く、循環動力が遊星ギヤ機
構4のピニオン6からサンギヤ5、第2回転軸3、変速
プーリ機構15を経て第1回転軸2に向かって伝達され
るので、第2変速プーリ31が駆動側プーリになる一
方、第1変速プーリ16が従動側プーリとなり、ベルト
Bの図2で上側のスパンが緩み側となる。このように変
速プーリ機構15が循環動力経路となることで、そのベ
ルトBに駆動動力よりも小さい循環動力伝達すること
になり、使用頻度の多い前進状態での高出力時であって
もベルトBの伝動負荷を小さくすることができる。
【0052】また、上記操作レバー46の変速パターン
はニュートラル位置で左右方向に移動するように設定さ
れているので、前進位置に操作される操作レバー46は
ニュートラル位置で一旦左側に移動した後、前進方向に
移動する。この操作レバー46にはワイヤ58及びばね
57を介してテンション機構51におけるアーム54の
レバー部54cが連結されているので、上記操作レバー
46の左方向の移動に伴い、ワイヤ58がレバー部54
cを押してアーム54を図2で時計回り方向に回動さ
せ、このことによりテンションローラ56が図2下側の
ベルトスパンから離れて上方に移動し、このテンション
ローラ56はアーム54の時計回り方向の回動端位置で
ばね57の収縮力によりベルトBの図2上側の緩み側ス
パンを内面側から押圧する(図11(c)参照)。
【0053】また、上記アーム54のボス部54a内周
には1対のピン59,59が突設され、この各ピン59
はガイド53のガイド溝60に係合されているので、こ
のガイド溝60によるピン59の案内作用により、アー
ム54は図2で時計回り方向に回動するのに連れて軸方
向に移動し、それに伴いテンションローラ56の位置も
図8(b)から図8(a)の状態に軸方向に移動する。
【0054】尚、上記テンション機構51のばね57の
付勢力によりアーム54が回動付勢され、その先端のテ
ンションローラ56がベルトBの緩み側スパン内面を押
圧し、この押圧によりベルトBに張力が付与されるが、
この張力は緩み側スパンに発生する最大張力よりも大き
いため、このベルト張力によりベルトBのプーリ16,
31に対するくさび効果が生じて推力が発生し、この推
力により両プーリ16,31間でベルトBを介して動力
が伝達される。
【0055】一方、上記操作レバー46を後進位置に位
置付けると、この後進位置への切換状態では、上記第1
カム機構23のカム25がその各カム面25a上でカム
用ローラ27を転動させながら第1変速プーリ16にお
ける可動シーブ18のボス部18a周りに他方向に回動
する。これにより、上記カム面25aがローラ27に押
されてカム25が第1回転軸2上を移動し、該カム25
に移動一体の可動シーブ18が同方向に移動して固定シ
ーブ17に接近する。このことにより第1変速プーリ1
6が閉じてそのベルト巻付け径が上記ニュートラル状態
の108mmから最大で120mmまで増大し、このベルト
巻付け径の増大によりVベルトBが第1変速プーリ16
側に引き寄せられる。
【0056】また、上記操作レバー46の後進位置への
切換えに伴い、上記第2カム機構35のカム37が第2
回転軸3上を上記第1カム機構23のカム25と同じ他
方向に回動する。このカム37の回動によりカム用ロー
ラ39に対する押圧がなくなる。このため、上記第1変
速プーリ16側に移動するベルトBの張力により、カム
37及びそれにベアリング36を介して連結されている
可動シーブ33は固定シーブ32から離れる方向に第2
回転軸3上を移動し、この両シーブ32,33の離隔に
より第2変速プーリ31が開いてベルト巻付け径が上記
ニュートラル状態の72mmから最小で60mmまで減少す
る。これらの結果、第1変速プーリ16のベルト巻付け
径が第2変速プーリ31よりも大きくなり、第1回転軸
2の回転が増速されて第2回転軸3に伝達される。この
変速比で、上記ピニオンキャリア7の回転方向が第1回
転軸2に対し例えば逆転状態になり、変速比をさらに変
えることで、ピニオンキャリア7の逆転方向の回転速度
つまり後進速度を増大させることができる。
【0057】このとき、上記前進時とは逆に、入力動力
は、変速プーリ機構15ないし第2回転軸3から遊星ギ
ヤ機構4のサンギヤ5に至る経路を駆動動力経路とし、
遊星ギヤ機構4のピニオンキャリア7からピニオン6,
6,…、リングギヤ9、ギヤ10〜12を経由して第1
回転軸2に至る経路を循環動力経路として伝達される。
すなわち、第1回転軸2(第2回転軸3)と同方向に回
転するサンギヤ5が第1回転軸2(第2回転軸3)とは
逆方向に回転するリングギヤ9よりも速い速度で回転し
て、出力ギヤ8を第1回転軸2(第2回転軸3)と同方
向に回転させる。この状態では、サンギヤ5の駆動力を
リングギヤ9よりも大きくすることが必要であるので、
サンギヤ5に変速プーリ機構15を介して駆動動力が伝
達され、余剰の動力が循環動力としてリングギヤ9から
ギヤ10〜12を介して第1回転軸2に伝達される。つ
まり、上記前進時とは異なり、第1回転軸2への入力動
力は、該第1回転軸2から変速プーリ機構15、第2回
転軸3、遊星ギヤ機構4のサンギヤ5を経て出力ギヤ8
に至る経路を駆動動力経路として順に伝達される駆動動
力と、遊星ギヤ機構4のピニオン6,6,…、リングギ
ヤ9、ギヤ10〜12を経由して第1回転軸2に至る経
路を循環動力経路として伝達される循環動力とに分かれ
る。そして、このように駆動動力が変速プーリ機構1
5、第2回転軸3、遊星ギヤ機構4のサンギヤ5を経て
出力ギヤ8に向かって伝達されるので、第1変速プーリ
16が駆動側プーリになる一方、第2変速プーリ31が
従動側プーリとなり、ベルトBの図2で下側のスパンが
緩み側となる。
【0058】また、上記後進位置に操作される操作レバ
ー46はニュートラル位置で一旦右側に移動した後、後
進方向に移動する。この操作レバー46の右方向の移動
に伴い、ワイヤ58がレバー部54cを引っ張ってアー
ム54を図2で反時計回り方向に回動させ、このことに
よりテンションローラ56が図2上側のベルトスパンか
ら離れて下方に移動し、このテンションローラ56はア
ーム54の反時計回り方向の回動端位置でばね57の伸
長力によりベルトBの図2下側の緩み側スパンを内面側
から押圧する(図11(b)参照)。
【0059】また、上記アーム54のボス部54a内周
におけるピン59に対するガイド溝60の案内作用によ
り、アーム54は図2で反時計回り方向に回動するもの
の軸方向には移動せず、テンションローラ56の位置は
図8(b)から図8(c)の状態に変化する。
【0060】したがって、この実施例では、テンション
機構51におけるテンションローラ56の軸方向長さが
ベルト幅よりも小さく、しかもテンションローラ56が
ベルトスパンの内面を押圧してベルト推力を付与するよ
うになっているので、大きな外径のテンションローラ5
6を使用してベルトスパンの屈曲率を小さくしながら、
テンションローラ56外周部を各変速プーリ16,31
のベルト溝19,34内に配置して、第1及び第2回転
軸2,3間の軸間距離を短くすることができ、無段変速
装置のコンパクト化を図ることができる。
【0061】また、上記の如く、操作レバー46のニュ
ートラル位置での横方向の移動により、テンション機構
51のアーム54が回動してベルトBの緩み側となるス
パン内面を押圧するため、前進及び後進の切換えにより
両変速プーリ16,31間での駆動側及び従動側の関係
が逆になってベルトBの緩み側スパンが変化しても、常
に緩み側となるスパンを押圧することができる。しか
も、これらの切換えを前後進の切換えのための操作レバ
ー46の操作により行うので、1つの操作レバー46で
前後進の切換え及びベルトBの緩み側スパンの押圧切換
えを行うことができる。
【0062】さらに、ベルトBの緩み側スパンの変化に
応じてテンション機構51のアーム54が回動するのに
伴い、アーム54のボス部54a内周のピン59,59
がガイド53外周のガイド溝60,60に案内されて、
該アーム54が軸方向に移動するので、上記のようにテ
ンションローラ56の幅がベルト幅よりも小さく、しか
もベルトBが変速プーリ16,31の開閉により巻付け
径が変化しながらそのベルト溝19,34の固定シーブ
17,32側側面に沿って軸方向に移動しても、テンシ
ョンローラ56がベルトBの位置から軸方向に外れて緩
み側スパンを押圧不能になることはなく、ベルトBを安
定して押圧することができる。
【0063】また、上記の如く、無段変速装置がニュー
トラル状態から前進状態に移行したときには、変速プー
リ機構15における第1変速プーリ16のベルト巻付け
径は例えば108mmから最小60mmまで、また第2変速
プーリ31のベルト巻付け径は72mmから最大120mm
までそれぞれ変化するが、後進状態に移行したときに
は、第1変速プーリ16のベルト巻付け径は108mmか
ら最大120mmまで、また第2変速プーリ31のベルト
巻付け径は72mmから最小60mmまでそれぞれ変化し
て、ニュートラル状態から前進状態へのベルト巻付け径
の変化量が後進状態よりも大きくなっている。このよう
に、使用頻度の高い前進状態で変速プーリ機構15のベ
ルトBに駆動動力よりも小さい循環動力が伝達されるよ
うニュートラル状態での変速プーリ機構15の変速比
(変速プーリでのベルト巻付け径)が設定されているの
で、この前後進の変速プーリ16,31のベルト巻付け
径の変化量の違いに合わせて、ベルト巻付け径の変化量
の大きい前進側では、第1変速プーリ16のみにこの
前進状態への移行により第1変速プーリ16のベルト巻
付け径が大から小へ変化するのに対応して第1変速プー
リ16の可動シーブ18に対し固定シーブ17から離隔
させる方向の荷重を付与するトルクカム機構20を設け
るだけの安価な構造で、このトルクカム機構20により
第1変速プーリ16の可動シーブ18に推力を得、この
可動シーブ18への推力を連動機構44を介して第2変
速プーリ31の可動シーブ33に伝達して該可動シーブ
33を第2変速プーリ31のベルト巻付け径が大から小
へ変化するのに対応して固定シーブ32に接近させる作
用力を得ることで、前進側の変速操作力を低減すること
ができ、このトルクカム機構20による低操作力、つま
り変速のための必要荷重の低減が確実に得られる。
(尚、前進状態からニュートラル側への移行の場合に
は、両変速プーリ16,31の可動シーブ18,33は
カム機構23,35及び連動機構44を介して押圧し合
ってその両押圧力間の差によりニュートラル状態へ復元
する推力が発生するので、自然にニュートラル側へ移行
することになる。)すなわち、ベルト巻付け径の変化量
の大きい前進時に従動側となる第1変速プーリ16側に
トルクカム機構20を設ければ、前進側ではトルクカム
機構20の作用により低操作力が可能となる。一方、後
進側では、ベルト巻付け径の変化量が前進側のベルト巻
付け径の変化量に比べその半分以下であるので、カム機
構23,35のカム角度を小さくすることで低操作力で
変速可能となる。
【0064】しかも、上記トルクカム機構20は、無段
変速装置の前進状態で循環動力に対し従動側となる第1
変速プーリ16側に設けられているので、トルクカム溝
22のリード角が一定でも、変速比に応じた必要なベル
ト推力を容易に取り出すことができる。すなわち、無段
変速装置が前進状態にあるときに第1変速プーリ16は
従動側となり、この従動側にトルクカム機構20が設け
られているので、駆動側となる第2変速プーリ31が一
定のトルクを入力しても従動側のプーリへのトルクは変
速比により変化し、この変速比を変化させるのに伴い、
従動側にあるトルクカム機構20の作用トルクが自動的
に変化することとなり、ベルトBの有効張力の変化に比
例してトルクカム機構20の作用力も変化する。このこ
とで、トルクカム機構20のカム溝22のリード角が一
定でも適正な荷重が得られることとなる。
【0065】(実施例2) 図12及び図13は本発明の実施例2を示し(尚、図1
及び図2と同じ部分については同じ符号を付してその詳
細な説明は省略する)、変速プーリ16,31の双方に
トルクカム機構を設けたものである。
【0066】すなわち、この実施例では、上記実施例1
とは異なり、変速装置のニュートラル状態から前進状態
への変速プーリ機構15の変速比の変化量が後進状態へ
の変化量と同等である。また、図12に示すように、両
変速プーリ16,31の双方にそれぞれトルクカム機構
20,29が設けられている。つまり、ニュートラル状
態から前進状態への変速プーリ機構15の変速比の変化
量が後進状態への変化量と同等であるときには、上記の
ように(段落0063参照)カム機構23,35のカム
角度を小さくして対処することが困難であるので、両変
速プーリの双方に2つのリード角を持つトルクカム機構
20,29を設ける必要がある。
【0067】そして、上記各トルクカム機構20,29
のカム溝22は、軸方向に対し所定のリード角で傾斜す
るカム部22aと、該カム部22aに上記ニュートラル
状態に対応するニュートラルラインLN で連続し、リー
ド角が0となるように軸方向に延びるキー溝部22bと
からなっている。
【0068】また、両トルクカム機構20,29のカム
溝22,22のカム部22a,22aの傾斜方向が回転
軸2,3の回転方向に対して互いに逆向きに傾斜してお
り、一方のトルクカム機構20(又は29)のトルクピ
ン21がカム溝22のカム部22aに位置するとき、他
方のトルクカム機構29(又は20)のトルクピン21
がカム溝22のキー溝部22bに位置するようになって
いる。
【0069】したがって、この実施例では、図13に示
すように、一方のトルクカム機構20(又は29)のト
ルクピン21がカム溝22のカム部22aにあって、該
トルクカム機構20(又は29)が作動状態にあるとき
には、他方のトルクカム機構29(又は20)はそのト
ルクピン21がカム溝22のキー溝部22bにあって、
トルクカム溝22のリード角が0となり、単なるキー結
合の機能しかなくなる。よって、トルクカム機構20,
29によるベルト推力の増大により変速操作力を軽減し
つつ、変速プーリ機構15の駆動側及び従動側の逆転に
対処することができる。
【0070】(実施例3) 上記実施例1では、操作レバー46のニュートラル位置
での横方向の移動により、テンション機構51のアーム
54を回動させてベルトBの緩み側となるスパン内面を
押圧するようにしているが、テンション機構51を図1
4に示すように変更することもできる。
【0071】すなわち、図14は本発明の実施例3を示
し、この実施例では、テンション機構51は、各々第2
回転軸3回りのケーシング1にボス部54aにて揺動可
能に支持された2つのアーム54,54を有し、この各
アーム54は上記実施例1とは異なり、操作レバー46
とは連結されていない。各アーム54のアーム部54b
先端にはそれぞれベルトBの各スパン内面を押圧可能な
テンションローラ56が第1及び第2回転軸2,3と平
行な軸55を介して回転可能に支持されている。また、
各アーム部54bの先端部には上記軸55回りに揺動可
能なばね受け65,65が取り付けられている。この一
方のばね受け65にはばね66の一端が一体的に連結さ
れ、このばね66の他端は他方のばね受け65に一体的
に連結されており、上記ばね66の伸長付勢力により両
アーム54,54を互いに角度間隔が大きくなる方向
(図14で上側のアーム54は時計回り方向、下側のア
ーム54は反時計回り方向)に回動付勢して、各テンシ
ョンローラ56がそれぞれベルトBの各スパン内面を常
時押圧するようにしている。
【0072】したがって、この実施例では、ニュートラ
ル状態にあるとき、各アーム54先端のテンションロー
ラ56がそれぞれベルトBの各スパン内面を同じ押圧力
で押圧している。このニュートラル状態から前進状態に
切り換わり、第2回転軸3が駆動側になりかつ第1回転
軸2が従動側になって、ベルトBの図14で下側のスパ
ンが張り側スパンに、また上側のスパンが緩み側スパン
にそれぞれなると、図14で実線にて示すように、張り
側スパン内面を押圧している下側のテンションローラ5
6は図で上側に押し戻され、このことでばね66が圧縮
されて、その分、上側のテンションローラ56がベルト
Bの緩み側スパン内面を所定の押圧力で押圧する。
【0073】一方、第1回転軸2が駆動側になり第2回
転軸3が従動側になる後進時に、図で上側のスパンが張
り側スパンに、また下側のスパンが緩み側スパンにそれ
ぞれなるとき、図で仮想線にて示すように、張り側スパ
ン内面を押圧している上側のテンションローラ56は下
側に押し戻され、このことでばね66が圧縮されて、下
側のテンションローラ56がベルトBの緩み側スパン内
面を所定の押圧力で押圧する。
【0074】このように、各アーム54先端のテンショ
ンローラ56がそれぞれベルトBの各スパン内面を常時
押圧し、その張り側スパンの戻りによって緩み側スパン
に対する押圧力を得るので、上記実施例1のようにアー
ム54の操作レバー46への連結を要することなく、前
進及び後進の切換えに応じて自動的に緩み側スパンを押
圧することができる。
【0075】尚、上記第1及び第2回転軸2,3の軸間
距離に余裕がある場合には、テンション機構51のロー
ラ56を各変速プーリ16,31内に入り込まない(軸
方向から見て重ならない)ように配置できるので、その
ローラ56の軸方向長さを大きくしてもよく、そのこと
によりローラ56を回転軸2,3の軸方向に移動させる
ことは不要となる。
【0076】また、上記各実施例では、変速プーリ16
(又は31)の可動シーブ18(又は33)にカム溝2
2を形成し、回転軸2(又は3)外周にトルクピン21
を突設しているが、逆に、回転軸2(又は3)外周にカ
ム溝22を形成し、可動シーブ18(又は33)内周に
トルクピン21を突設してもよい。
【0077】また、上記実施例では、遊星ギヤ機構4の
リングギヤ9を第1回転軸2に連結しているが、ピニオ
ンキャリア7を第1回転軸2に連結して、リングギヤ9
を出力部としてもよい。また、サンギヤ5を出力部にし
てもよく、要は、遊星ギヤ機構4のサンギヤ5、ピニオ
ンキャリア7及びリングギヤ9のうちの1つが第1回転
軸2に、今1つが第2回転軸3にそれぞれ連結され、残
りを出力部とすればよい。
【0078】さらに、遊星ギヤ機構4のピニオンキャリ
ア7を動力の入力部とし、第1回転軸2を出力部とする
ことも可能である。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よると、1対の回転軸間に変速プーリ機構及び差動ギヤ
機構を組み合わせて配置してなる無段変速装置に対し、
変速プーリ機構における各変速プーリの可動シーブ背面
側に、可動シーブを相対向する固定シーブに対し両変速
プーリ間で互いに逆向きに接離させて変速プーリのベル
ト巻付け径を変化させる1対の駆動機構を配設し、両変
速プーリのベルト巻付け径が互いに逆方向に変化するよ
うに両駆動機構を連動させて両プーリ間の変速比を可変
とする連動機構を設け、一方の回転軸又は差動ギヤ機構
における第3ギヤ要素の一方を入力部とし、他方を出力
部として、切換操作部の切換操作により連動機構を作動
させて変速プーリ間の変速比を変化させ、出力部を入力
部に対し正転状態、ニュートラル状態又は逆転状態に切
り換えて変速するようにするとともに、両変速プーリの
可動シーブに対するベルト推力(ベルトの軸方向への押
圧力)間の差により上記ニュートラル状態へ復元するよ
うに構成し、各変速プーリと回転軸との間にそれぞれト
ルクカム機構を設け、この各トルクカム機構のカム溝
を、所定のリード角を有するカム部とリード角が0のキ
ー溝部とで構成して、両部分の境界を変速装置がニュー
トラル状態となる位置に対応させ、一方のトルクカム機
構の係止部材がカム溝のカム部に位置するときには、他
方のトルクカム機構の係止部材がカム溝のキー溝部に位
置するように構成したことにより、変速プーリ間での動
力伝達方向が逆になっても、それに対応して、ベルト推
力が逆方向になるトルクカム機構の作用を停止させ、か
つ必要な方向のベルト推力のみを活かして、トルクカム
機構によるベルト推力が常に操作力を軽減する方向に作
用するようにでき、よってトルクカム機構による操作力
軽減効果を安定して確保することができる。
【0080】請求項2の発明によると、変速装置がニュ
ートラル状態にあるときの変速プーリ機構での両変速プ
ーリのベルト巻付け径を互いに異ならせて、変速装置の
ニュートラル状態から正転状態又は逆転状態への切換変
速に伴う両変速プーリのベルト巻付け径の変化量を異な
らせ、その変化量の大きい側で従動側となる変速プーリ
の回転軸側のみにトルクカム機構を設けたことにより、
カム機構の数を半減して上記効果が低コストで得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における無段変速装置の全体
構成を示す断面図である。
【図2】無段変速装置の全体構成を概略的に示す正面図
である。
【図3】テンション機構におけるテンションローラのベ
ルトスパン押圧位置を切り換えるための機構を模式的に
示す図である。
【図4】無段変速装置の操作レバーからの操作力伝達経
路を示す正面図である。
【図5】テンション機構のアーム及びガイドの正面図で
ある。
【図6】テンション機構のアーム及びガイドの断面図で
ある。
【図7】テンション機構におけるガイド外周のガイド溝
を示す展開図である。
【図8】テンション機構におけるテンションローラの軸
方向への移動状態を示す説明図である。
【図9】ベルト巻付け径に対し適正ニュートラル幅の設
定範囲を例示する特性図である。
【図10】適正ニュートラル幅に対応する可動シーブ移
動量を例示する特性図である。
【図11】ニュートラル状態に安定するときのプーリに
対するベルト巻付け径の変化を示す模式的に正面図であ
る。
【図12】本発明の実施例2に係る無段変速装置の変速
プーリ機構及びトルクカム機構を模式的に示す図であ
る。
【図13】実施例2におけるプーリの回転方向に対する
ベルト変速比の変化を示す特性図である。
【図14】実施例3における変速プーリ機構を示す正面
図である。
【符号の説明】
2 第1回転軸 3 第2回転軸 4 遊星ギヤ機構(差動ギヤ機構) 5 サンギヤ(第2ギヤ要素) 7 ピニオンキャリア(第3ギヤ要素) 9 リングギヤ(第1ギヤ要素) 15 変速プーリ機構 16,31 変速プーリ 17,32 固定シーブ 18,33 可動シーブ 19,34 ベルト溝 20,29 トルクカム機構 21 トルクピン(係止部材) 22 カム溝 22a カム部 22b キー溝部 23,35 カム機構(駆動機構) 25,37 円筒カム 25a,37a カム面 27,39 ローラ 42 リンク 44 連動機構 46 操作レバー(切換操作部) 48 ピン 49 係合部 50 不感帯部 51 テンション機構 53 ガイド 54 アーム 56 テンションローラ 58 ワイヤ 59 ピン 60 ガイド溝 B 伝動ベルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−292957(JP,A) 特開 平1−320371(JP,A) 特開 平2−180341(JP,A) 実開 昭62−30053(JP,U) 実開 昭62−75255(JP,U) 実開 平2−130448(JP,U) 実開 平4−71847(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 37/02 F16H 9/12 F16H 63/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに平行に配置された第1及び第2回
    転軸と、 各々、上記各回転軸に固定シーブ及び可動シーブが互い
    に逆向きになるように配置支持された1対の変速プーリ
    と、該両変速プーリ間に巻き掛けられたベルトと、上記
    各変速プーリの可動シーブ背面側に配設され、該可動シ
    ーブを相対向する固定シーブに対し接離させて変速プー
    リのベルト巻付け径を変化させる1対の駆動機構と、上
    記両変速プーリのベルト巻付け径が互いに逆方向に変化
    するように両駆動機構を連動させて両プーリ間の変速比
    を変化させる連動機構と、該連動機構を作動させる切換
    操作部と、上記両変速プーリ間のベルトの緩み側スパン
    を、該緩み側スパンにプーリ間の変速比に対応して発生
    する張力よりも大きい張力となるように押圧するテンシ
    ョン機構とを有し、両回転軸を変速可能に駆動連結する
    変速プーリ機構と、 互いに連結された第1〜第3ギヤ要素を有し、第1ギヤ
    要素が上記第1回転軸に連結される一方、第2ギヤ要素
    が上記第2回転軸に連結された差動ギヤ機構とを備え、 上記第1回転軸又は第3ギヤ要素の一方が入力部とさ
    れ、他方が出力部とされていて、上記切換操作部の切換
    操作によって上記両プーリ間の変速比を変化させること
    により、上記出力部を入力部に対し一方向に回転させる
    正転状態と、回転停止させるニュートラル状態と、他方
    向に回転させる逆転状態とに切り換えて変速するように
    構成されているとともに、上記ベルトが 変速プーリ機構における両変速プーリの可
    動シーブ回転軸の軸方向へ押圧し該両可動シーブが
    記連動機構及び駆動機構を介して押圧し合って、その両
    押圧力間の差により上記ニュートラル状態へ復元するよ
    うに構成され、 上記各回転軸又は該回転軸上の変速プーリの可動シーブ
    の一方に設けられたカム溝と、回転軸又は可動シーブの
    他方に設けられ、上記カム溝に係合する係止部材とから
    なり、回転軸と可動シーブとの相対回転により可動シー
    ブを軸方向に押圧する1対のトルクカム機構を備え、 上記各トルクカム機構のカム溝は、軸方向に対し所定の
    リード角で傾斜するカム部と、該カム部に上記ニュート
    ラル状態に対応する位置で連続し、リード角が0となる
    ように軸方向に延びるキー溝部とからなり、かつ、両ト
    ルクカム機構におけるカム溝のカム部の傾斜方向が回転
    軸の回転方向に対して互いに逆向きに傾斜していて、 上記一方のトルクカム機構の係止部材がカム溝のカム部
    に位置するとき、他方のトルクカム機構の係止部材がカ
    ム溝のキー溝部に位置するように構成されていることを
    特徴とする無段変速装置。
  2. 【請求項2】 互いに平行に配置された第1及び第2回
    転軸と、 各々、上記各回転軸に固定シーブ及び可動シーブが互い
    に逆向きになるように配置支持された1対の変速プーリ
    と、該両変速プーリ間に巻き掛けられたベルトと、上記
    各変速プーリの可動シーブ背面側に配設され、該可動シ
    ーブを相対向する固定シーブに対し接離させて変速プー
    リのベルト巻付け径を変化させる1対の駆動機構と、上
    記両変速プーリのベルト巻付け径が互いに逆方向に変化
    するように両駆動機構を連動させて両プーリ間の変速比
    を変化させる連動機構と、該連動機構を作動させる切換
    操作部と、上記両変速プーリ間のベルトの緩み側スパン
    を、該緩み側スパンにプーリ間の変速比に対応して発生
    する張力よりも大きい張力となるように押圧するテンシ
    ョン機構とを有し、両回転軸を変速可能に駆動連結する
    変速プーリ機構と、 互いに連結された第1〜第3ギヤ要素を有し、第1ギヤ
    要素が上記第1回転軸に連結される一方、第2ギヤ要素
    が上記第2回転軸に連結された差動ギヤ機構とを備え、 上記第1回転軸又は第3ギヤ要素の一方が入力部とさ
    れ、他方が出力部とされていて、上記切換操作部の切換
    操作によって上記両プーリ間の変速比を変化させること
    により、上記出力部を入力部に対し一方向に回転させる
    正転状態と、回転停止させるニュートラル状態と、他方
    向に回転させる逆転状態とに切り換えて変速するように
    構成されているとともに、上記ベルトが 変速プーリ機構における両変速プーリの可
    動シーブ回転軸の軸方向へ押圧し該両可動シーブが
    記連動機構及び駆動機構を介して押圧し合って、その両
    押圧力間の差により上記ニュートラル状態へ復元するよ
    うに構成され、 上記ニュートラル状態にあるときの両変速プーリでのベ
    ルト巻付け径が互いに異なるように構成され、 上記ニュートラル状態から正転状態又は逆転状態への切
    換変速に伴う両変速プーリのベルト巻付け径の変化量の
    大きい側で従動側となる変速プーリ側の回転軸又は該回
    転軸上の変速プーリの可動シーブの一方に設けられたカ
    ム溝と、上記回転軸又は可動シーブの他方に設けられ、
    上記カム溝に係合する係止部材とからなり、回転軸と可
    動シーブとの相対回転により可動シーブを軸方向に押圧
    するトルクカム機構を備えていることを特徴とする無段
    変速装置。
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