JPH0650426A - 無段変速装置 - Google Patents

無段変速装置

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JPH0650426A
JPH0650426A JP19987392A JP19987392A JPH0650426A JP H0650426 A JPH0650426 A JP H0650426A JP 19987392 A JP19987392 A JP 19987392A JP 19987392 A JP19987392 A JP 19987392A JP H0650426 A JPH0650426 A JP H0650426A
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JP
Japan
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belt
speed change
tension
tension roller
pulley
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Application number
JP19987392A
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Inventor
Hirobumi Miyata
博文 宮田
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Bando Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Bando Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 変速プーリ機構15及び差動ギヤ機構4を組
み合わせてなる無段変速装置に対し、出力回転方向の切
換わりに伴い変速プーリ機構15での1対のベルトスパ
ンの張り側及び緩み側が変化しても、常に緩み側スパン
をテンションローラ56で押圧して、テンション機構5
1によるベルト推力を安定して維持できるようにする。 【構成】 変速プーリ機構15における変速プーリ1
6,31間のベルトスパンの間にテンションローラ56
を配置して、それをアーム54によりベルトスパンと交
差する方向に移動可能とし、変速装置の出力部の正逆転
切換えを行う操作レバー46の操作に連動してアーム5
4を揺動させてテンションローラ56を移動させ、緩み
側となるスパンを内面側から押圧する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は無段変速装置に関し、
特に、変速プーリ機構と差動ギヤ機構とを組み合わせた
ものに関する。
【0002】
【従来の技術】ベルト式の無段変速装置の一例として、
互いに平行に配置された1対の回転軸の各々に、該各回
転軸に対して回転一体にかつ摺動不能に固定された固定
シーブと、回転軸に固定シーブとの間にV字状のベルト
溝を形成するように対向配置されて回転一体にかつ摺動
可能に支持された可動シーブとからなる変速プーリを有
するととともに、これら両変速プーリのベルト溝間に巻
き掛けられたVベルトを有する変速プーリ機構からな
り、可動シーブの軸方向の移動によってVベルトに対す
る有効半径を可変とすることにより、両回転軸間の変速
比を変えるようにしたものが知られている。
【0003】ところで、従来、特開昭62−11815
9号公報に示されているように、上記変速プーリ機構を
備えるとともに、変速用のギヤ機構としての遊星ギヤ機
構(差動ギヤ機構)を設けた無段変速装置が提案されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この変速プーリ機構及
び差動ギヤ機構を備えた無段変速装置において、差動ギ
ヤ機構を利用して出力軸を停止状態から回転させようと
すると、動力伝達経路が駆動動力と循環動力との2つに
分かれることが生じる。すなわち、閉路式差動ギヤ装置
では、差動ギヤ機構の3つのギヤ要素の1つを出力軸に
連結し、プーリ機構の変速比調整により差動ギヤ機構の
残りの1つのギヤ要素の回転数を変えることで、そのギ
ヤ要素と残りの他のギヤ要素との間の回転方向及び回転
速度を異ならせ、出力側ギヤ要素つまり出力軸の回転方
向及び回転数を決定するようになっている。ところが、
そのとき、動力として駆動動力及び循環動力が発生し、
出力動力は駆動動力から循環動力を減じたものとなる。
そして、入力軸から出力軸に至る2つの動力伝達経路の
うち、どちらが駆動動力経路又は循環動力経路になるか
は、差動ギヤ機構におけるギヤ要素の角速度で分かれ、
角速度の大きい方が駆動動力経路となる。
【0005】そして、このような変速プーリ機構及び差
動ギヤ機構を組み合わせてなる無段変速装置では、出力
軸の回転数を入力軸に対し正逆方向に切り換えて変速す
ることができ、正逆転切換機構が別途に不要となる利点
がある。
【0006】しかし、その場合、出力回転方向が正逆方
向に切り換わるのに伴い、変速プーリ機構でのプーリ間
の1対のベルトスパンの張り側及び緩み側も逆になる。
このため、例えば正転方向のときに緩み側となるスパン
を常にテンションローラで押圧するように設定すると、
逆転時には上記テンションローラで押圧していたベルト
スパンが張り側となるので、テンション機構による良好
なベルト推力が得られなくなるという問題が生じる。
【0007】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもの
で、その目的は、変速プーリ機構及び差動ギヤ機構を組
み合わせてなる無段変速装置に対し、テンション機構に
改良を加えることにより、変速プーリ間の1対のベルト
スパンの張り側及び緩み側が切り換わっても、常に緩み
側スパンを押圧できるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明では、変速プーリ間のベルトスパ
ンの間にテンションローラをベルトスパンと交差する方
向に移動可能に配置し、このテンションローラを変速装
置の出力部の正逆転切換えを行う切換操作部の操作に連
動して移動させて、緩み側となるスパンを内面側から択
一的に押圧するようにした。
【0009】具体的には、この発明の無段変速装置は、
互いに平行に配置された第1及び第2回転軸と変速プー
リ機構及び差動ギヤ機構とを備えている。上記変速プー
リ機構は両回転軸を変速可能に駆動連結するもので、各
々、上記各回転軸に固定シーブ及び可動シーブが互いに
逆向きになるように配置支持された1対の変速プーリ
と、該両変速プーリ間に巻き掛けられたベルトと、上記
各変速プーリの可動シーブ背面側に配設され、該可動シ
ーブを相対向する固定シーブに対し接離させて変速プー
リのベルト巻付け径を変化させる1対の駆動機構と、上
記両変速プーリのベルト巻付け径が互いに逆方向に変化
するように両駆動機構を連動させて両プーリ間の変速比
を変化させる連動機構と、該連動機構を作動させる切換
操作部と、上記両変速プーリ間のベルトスパン間に該ベ
ルトスパンと交差する方向に移動可能に配置されたテン
ションローラを有し、該テンションローラでベルトの緩
み側スパン内面を、該緩み側スパンにプーリ間の変速比
に対応して発生する張力よりも大きい張力となるように
押圧してベルト推力を発生させるテンション機構とから
なる。
【0010】また、差動ギヤ機構は互いに連結された第
1〜第3ギヤ要素を有し、第1ギヤ要素が上記第1回転
軸に連結される一方、第2ギヤ要素が上記第1回転軸に
連結されている。
【0011】そして、上記第1回転軸又は第3ギヤ要素
の一方が入力部とされ、他方が出力部とされていて、上
記切換操作部の切換操作により出力部を入力部に対し正
転状態、ニュートラル状態又は逆転状態に切り換えて変
速するように構成されている。
【0012】さらに、上記切換操作部が切換操作された
ときにテンションローラのベルト押圧方向をテンション
ローラがベルトの緩み側となるスパンを択一的に押圧す
るように切り換える切換機構を設ける。
【0013】請求項2の発明では、上記テンション機構
のローラを回転軸の軸方向に移動可能とし、このテンシ
ョンローラを切換操作部が切換操作されたときにベルト
位置に対応するように軸方向に移動させるローラ駆動機
構を設ける。
【0014】請求項3の発明では、同様にテンションロ
ーラを回転軸の軸方向に移動可能とした上で、このテン
ションローラを変速プーリ機構の変速比に応じてベルト
位置に対応するように軸方向に移動させるローラ駆動機
構を設ける。
【0015】
【作用】上記の構成により、請求項1の発明では、第1
及び第2回転軸間には変速プーリ機構及び差動ギヤ機構
が並列に配置されているので、第1回転軸又は差動ギヤ
機構の第3ギヤ要素の一方を入力部として入力される動
力は、変速プーリ機構又は差動ギヤ機構の一方を駆動動
力経路とし、他方を循環動力経路として伝達された後、
第1回転軸又は第3ギヤ要素の他方を出力部として出力
される。そして、切換操作部を操作して上記変速プーリ
機構の変速比を変えることで、出力部が入力部に対し正
転状態、ニュートラル状態又は逆転状態に切換変速され
る。
【0016】上記変速プーリ機構においては、切換操作
部の操作により駆動機構の一方を作動させて一方の変速
プーリの可動シーブを軸方向に移動させると、それに伴
って他方の駆動機構も作動して他方の変速プーリの可動
シーブが上記一方の変速プーリにおける可動シーブの固
定シーブに対する接離動作とは逆の動作でもって移動
し、この両可動シーブの逆方向の移動によって両プーリ
間の変速比が変更される。
【0017】このとき、上記切換操作部の操作により変
速装置の出力部が入力部に対し正転状態又は逆転状態に
切り換えられると、それに応じて変速プーリ機構におけ
る1対のベルトスパンの張り側及び緩み側が切り換わる
が、切換機構により上記切換操作部の切換操作に連係し
てテンションローラのベルト押圧方向も切り換わり、テ
ンションローラがベルトの緩み側となるスパンを押圧す
る。このため、変速プーリ間の1対のベルトスパンの張
り側及び緩み側が変化しても、常に緩み側スパンを押圧
できることとなる。
【0018】請求項2の発明では、切換操作部の操作に
より変速装置の出力部が入力部に対し正転状態又は逆転
状態に切り換えられたとき、それに応じてテンションロ
ーラがローラ駆動機構によりベルト位置に対応するよう
に回転軸の軸方向に移動する。このようにテンションロ
ーラがベルトの軸方向の移動に合わせて移動することに
より、例えば両回転軸の軸間距離を短くする目的で、テ
ンションローラ外周部が各変速プーリのベルト溝内に配
置されるようテンションローラの軸方向長さをベルト幅
よりも小さくしても、テンションローラがベルト位置か
ら軸方向に外れて緩み側スパンを押圧不能になることは
なく、ベルトスパンを安定して押圧することができる。
【0019】請求項3の発明では、テンションローラが
ローラ駆動機構により変速プーリ機構の変速比に応じて
ベルト位置に対応するように回転軸の軸方向に移動する
ので、テンションローラの軸方向の移動をベルト位置に
精度よく追従させることができ、請求項2の発明に比
べ、テンションローラの軸方向の長さをさらに小さくし
て、軸間距離の短縮化により有利となる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0021】(実施例1)図6及び図7は本発明の実施
例1に係る無段変速装置の全体構成を示す。これらの図
において、1は複数に分割されたケーシングで、その内
部には互いに平行に配置された第1及び第2回転軸2,
3が回転可能に支承されている。第1回転軸2は入力部
としての入力軸を、また第2回転軸3は中間軸をそれぞ
れ構成している。
【0022】また、ケーシング1内には、第2回転軸3
の右端部上に配置された差動ギヤ機構としての遊星ギヤ
機構4と、上記両回転軸2,3をVベルトBによって変
速可能に駆動連結する変速プーリ機構15とが収容され
ている。
【0023】上記遊星ギヤ機構4は、第2回転軸3に回
転一体に固定された第2ギヤ要素としてのサンギヤ5
と、該サンギヤ5に噛合する複数のピニオン6,6,…
と、第2回転軸3に回転可能に支承され、上記ピニオン
6,6,…を担持する第3ギヤ要素としてのピニオンキ
ャリア7と、最も外周に配置され、上記ピニオン6,
6,…に内周で噛合する第1ギヤ要素としてのリングギ
ヤ9とを備えている。上記リングギヤ9は外周にて、ケ
ーシング1に軸支したギヤ10に噛合され、このギヤ1
0は同様のギヤ11を介して、上記第1回転軸2の前端
に回転一体に取り付けたギヤ12に噛合連結されてい
る。また、ピニオンキャリア7は出力部を構成するもの
で、その右端には出力ギヤ8が一体に固定され、この出
力ギヤ8は図外の出力軸に駆動連結されている。
【0024】一方、上記変速プーリ機構15は、第1回
転軸2の左端部上に配置された第1変速プーリ16を有
する。この第1変速プーリ16は、第1回転軸2にボス
部17aにて回転一体にかつ摺動不能に固定されたフラ
ンジ状の固定シーブ17と、該固定シーブ17のボス部
17a(第1回転軸2)上に固定シーブ17に対向する
ようにボス部18aにて摺動可能にかつ相対回転可能に
支持されたフランジ状の可動シーブ18とからなり、こ
れら両シーブ17,18間にはベルト溝19が形成され
ている。
【0025】一方、第2回転軸3の左端部上には第1変
速プーリ16と同径の第2変速プーリ31が設けられて
いる。この第2変速プーリ31は、上記第1変速プーリ
16と同様の構成であり、第2回転軸3にボス部32a
にて回転一体にかつ摺動不能に固定されたフランジ状の
固定シーブ32と、該固定シーブ32のボス部32a
(第2回転軸3)に、固定シーブ32に対し上記第1変
速プーリ16における固定シーブ17に対する可動シー
ブ18の対向方向と逆方向でもって対向するようにボス
部33aにて摺動可能にかつ相対回転可能に結合された
フランジ状の可動シーブ33とからなり、これら両シー
ブ32,33間にはベルト溝34が形成されている。
【0026】そして、上記第1変速プーリ16のベルト
溝19と第2変速プーリ31のベルト溝34との間には
VベルトBが巻き掛けられており、両変速プーリ16,
31の各可動シーブ18,33をそれぞれ固定シーブ1
7,32に対して接離させて各プーリ16,31のベル
ト巻付け径を変更する。例えば第1変速プーリ16の可
動シーブ18を固定シーブ17に接近させ、かつ第2変
速プーリ31の可動シーブ33を固定シーブ32から離
隔させたときには、第1変速プーリ16のベルト巻付け
径を第2変速プーリ31よりも大きくすることにより、
第1回転軸2の回転を第2回転軸3に増速して伝達す
る。一方、逆に、第1変速プーリ16の可動シーブ18
を固定シーブ17から離隔させ、かつ第2変速プーリ3
1の可動シーブ33を固定シーブ32に接近させたとき
には、第1変速プーリ16のベルト巻付け径を小にし、
第2変速プーリ31のベルト巻付け径を大きくすること
により、第1回転軸2の回転を減速して第2回転軸3に
伝えるようになされている。
【0027】上記第1変速プーリ16の可動シーブ18
のボス部18aと第1回転軸2との間にはトルクカム機
構20が配設されている。このトルクカム機構20は、
第1回転軸2外周面の例えば直径方向に対向する位置に
突設されたボルトからなる1対のトルクピン21,21
と、可動シーブ18のボス部18aに形成され、上記ピ
ン21,21にそれぞれ係合するカム溝22,22とか
らなり、この各カム溝22は回転軸心と平行な方向に対
して所定のリード角だけ傾斜しており、無段変速装置の
使用頻度の高い前進状態の動力伝達時に、このトルクカ
ム機構20を作動させて可動シーブ18を固定シーブ1
7から離隔させるようになっている。
【0028】上記第1回転軸2上には第1変速プーリ1
6における可動シーブ18背面側に、該可動シーブ18
を固定シーブ17に対して接離させるための駆動機構と
しての第1カム機構23が設けられている。このカム機
構23は、可動シーブ18のボス部18a上にベアリン
グ24を介して相対回転可能にかつ軸方向に移動一体に
外嵌合支持された円筒カム25を有する。このカム25
の第1変速プーリ16と反対側端面には1対の傾斜カム
面25a,25a(1つのみ図示する)が円周方向に等
角度間隔(180°間隔)をあけて形成され、外周には
図7に示すように回動レバー26が回動一体に突設され
ている。
【0029】また、上記円筒カム25の背面側には、そ
の各カム面25aに当接して転動するカムフォロワとし
てのローラ27,27が配設され、この各ローラ27は
ケーシング1に固定した軸28に回転可能に支持されて
いる。
【0030】一方、第2回転軸3上には、第2変速プー
リ31における可動シーブ33の背面側に、該可動シー
ブ33を固定シーブ32に対して接離させるための駆動
機構としての第2カム機構35が設けられている。この
第2カム機構35は、上記第1カム機構23と同様の構
成で、可動シーブ33のボス部33a上にベアリング3
6を介して相対回転可能にかつ軸方向に移動一体に外嵌
合支持された円筒カム37を有する。このカム37の第
2変速プーリ31と反対側端面には1対の傾斜カム面3
7a,37a(1つのみ図示する)が円周方向に等角度
間隔をあけて形成され、外周には回動レバー38(図7
参照)が回動一体に突設されている。また、円筒カム3
7の背面側には、その各カム面37aに当接して転動す
るローラ39,39が配設され、この各ローラ39はケ
ーシング1に軸40を介して回転可能に支持されてい
る。
【0031】そして、図7に示す如く、上記第1カム機
構23の回動レバー26先端にはピン41を介してリン
ク42の一端が連結され、このリンク42の他端は上記
第2カム機構35の回動レバー38先端にピン43を介
して連結されており、上記回動レバー26,38、リン
ク42及びピン41,43により連動機構44が構成さ
れている。この連動機構44により、各カム機構23,
35におけるカム25,37を互いに連係して可動シー
ブ18,33のボス部18a,33a周りに回動させ、
その各カム面25a,37a上でローラ27,39を転
動させることにより、可動シーブ18,33を軸方向に
移動させて固定シーブ17,32に対し互いに相反して
接離させ、そのベルト溝19,34の有効半径つまりプ
ーリ16,31でのベルト巻付け径を可変とし、第1及
び第2回転軸2,3間の変速比を変化させるようにして
いる。
【0032】さらに、図8に示すように、上記変速プー
リ機構15の連動機構44において第2カム機構35の
回動レバー38先端にはロッド45を介して切換操作部
としての操作レバー46が連結されている。この操作レ
バー46は軸47を中心として前進位置、ニュートラル
位置及び後進位置の間を前後に揺動するもので、その変
速パターンは、後進位置からニュートラル位置を経て前
進位置に移動させるとき、図1に示すようにニュートラ
ル位置で一旦左方向に移動させるようになっている。そ
して、操作レバー46の下端に上記ロッド45が連結さ
れており、この操作レバー46の切換操作により連動機
構44を作動させて、変速プーリ機構15の変速比を変
えることで、上記遊星ギヤ機構4のピニオンキャリア7
(出力部)を第1回転軸2(入力部)に対し正転状態、
ニュートラル状態又は逆転状態に切り換えて変速し、ニ
ュートラル状態では、第1変速プーリ16でのベルト巻
付け径が例えば108mmに、第2変速プーリ31でのベ
ルト巻付け径が例えば72mmにそれぞれなるように構成
されている。
【0033】具体的には、上記第2カム機構35におけ
る回動レバー38の先端には係止部材としてのピン48
が突設されている一方、ロッド45の端部には上記ピン
48と係合する係合部49が形成され、この係合部49
はロッド45の長さ方向に所定寸法だけ長い長溝(又は
長孔)からなっており、この係合部49及びピン48に
より、操作レバー46がニュートラル位置にあるとき、
操作レバー46の操作力を連動機構44に伝達不能とす
る不感帯部50が構成されていている。
【0034】また、上記第1及び第2変速プーリ16,
31間に張られたベルトBの1対のスパンのうちの緩み
側となるスパンをその内面から外方に押圧してベルトB
に張力を与えることでベルト推力を発生するテンション
機構51が設けられている。このテンション機構51
は、図2及び図3にも拡大して示すように、第2回転軸
3回りのケーシング1にボルト52,52により一体的
に取り付けられた円筒状のガイド53と、このガイド5
3に揺動可能に外嵌支持されたボス部54a及び該ボス
部54a外周面に突設されたアーム部54bからなるア
ーム54と、該アーム54のアーム部54b先端に取り
付けられ、第1及び第2回転軸2,3と平行に延びる軸
55と、この軸55に回転可能に支承され、ベルト幅よ
りも軸方向長さの小さいテンションローラ56とを備え
ている。
【0035】さらに、上記アーム54のボス部54a外
周にはアーム54部と反対側にレバー部54c(図2及
び図3参照)が突設されている。図1に示すように、こ
のレバー部54cの先端にはばね57の一端が連結さ
れ、該ばね57の他端はプッシュプルワイヤ58を介し
て上記操作レバー46の例えば中間部に連結されてい
る。上記レバー部54c及びワイヤ58により、テンシ
ョンローラ56のベルト押圧方向を切り換える切換機構
61が構成されており、この切換機構61により、操作
レバー46が前進位置と後進位置との間でニュートラル
位置を経由して切換操作されたときに、該操作レバー4
6のニュートラル位置での左右方向の移動により、ばね
57を介してアーム54を第2回転軸3回りに揺動させ
て、テンションローラ56のベルト押圧方向をテンショ
ンローラ56がベルトBの緩み側となるスパンを択一的
に押圧するように切り換える。そして、無段変速装置の
例えば前進状態でベルトBの図7上側のスパンが緩み側
となるときには、アーム54を図7で時計回り方向に回
動させて、縮んだばね57の伸長力によりベルトBの緩
み側スパン内面を押圧する一方、後進状態でベルトBの
図7下側のスパンが緩み側となるときには、アーム54
を図7で反時計回り方向にそれぞれ回動させて、伸びた
ばね57の収縮力によりベルトBの緩み側スパン内面を
押圧し、これら前進及び後進状態の切換途中で、テンシ
ョンローラ56の軸を第1及び第2回転軸2,3の軸心
を結ぶ平面上に位置付けてその外周面をベルトB内面か
ら離隔させる。そして、上記ばね57のアーム54に対
する回動付勢力は、上記テンションローラ56がベルト
Bの緩み側スパンを該緩み側スパンに発生する最大張力
よりも大きい張力で押圧するように設定されており、こ
の張力によりベルト推力を発生させる。
【0036】さらに、アーム54は軸55及びテンショ
ンローラ56と共に回転軸2,3の軸方向に移動可能と
され、操作レバー46が前進位置と後進位置との間でニ
ュートラル位置を経由して切換操作されたときに、テン
ションローラ56をベルト位置に対応するように回転軸
2,3の軸方向に移動させるローラ駆動機構62が設け
られている。すなわち、図2及び図3に示すように、上
記アーム54のボス部54a内周面には1対のピン5
9,59が直径方向に対向して突設されている一方、ガ
イド53の外周には上記ピン59,59にそれぞれ係合
するガイド溝60,60が形成されている。この各ガイ
ド溝60は、図4に示すように基本的に円周方向に延び
ているが、その一半部は端部に向かって軸方向に向かう
ように中央位置から彎曲しており、このことでアーム5
4の揺動に応じてテンションローラ56を回転軸の軸方
向に移動させ、例えば無段変速装置の後進状態では、図
5(c)に示すようにテンションローラ56を図5
(b)に示すニュートラル状態と同じ位置で回動させる
が、前進状態では、図5(a)に示すようにテンション
ローラ56をニュートラル位置から軸方向右側に移動さ
せながら回動させるようになっている。
【0037】次に、上記実施例の作用について説明す
る。無段変速装置の入/出力部間の動力伝達経路に変速
プーリ機構15及び遊星ギヤ機構4が並列に配置されて
いるので、この変速装置の作動時、第1回転軸2から入
力された動力は、変速プーリ機構15と第1回転軸2上
のギヤ12〜10及び遊星ギヤ機構4とに伝達された
後、該遊星ギヤ機構4におけるピニオンキャリア7の出
力ギヤ8から出力動力として出力される。
【0038】具体的には、操作レバー46がニュートラ
ル位置に位置付けられているとき、遊星ギヤ機構4のピ
ニオンキャリア7は回転停止していて、無段変速装置は
ニュートラル状態にある。このニュートラル状態では、
変速プーリ機構15の第1変速プーリ16でのベルト巻
付け径は例えば108mmで、第2変速プーリ31でのベ
ルト巻付け径は例えば72mmであり、変速比は0.66
6の所定値にあって、第1及び第2変速プーリ16,3
1の双方が駆動側(又は従動側)となっている。また、
図1において操作レバー46がニュートラル位置で右側
にあるとすると、テンション機構51のアーム54は図
7で反時計回り方向の回動端位置にあって、ばね57の
収縮力によりテンションローラ56がベルトBの図7下
側のスパンを内面側から押圧している。
【0039】このとき、各変速プーリ16,31の固定
シーブ17,32及び可動シーブ18,33が軸方向に
対し互いに逆側に位置するように配置されており、その
各可動シーブ18,33を背面側からそれぞれ相対する
固定シーブ17,32に対し接離させるカム機構23,
35が連動機構44により連係されているため、ニュー
トラル状態では、図11(a)に示すように、両変速プ
ーリ16,31がいずれも駆動側(又は従動側)となる
ことで、両プーリ16,31でのベルトBの張力分布が
バランスし、ベルト推力は互いに同じとなる。そして、
このニュートラル状態から正転側又は逆転側に変化し、
図11(b)或いは図11(c)に示す如く、第1又は
第2変速プーリ16,31の一方におけるベルト巻付け
径が他方よりも増大すると、両プーリ16,31でのベ
ルトBの張力分布がアンバランスになり、上記ベルト巻
付け径が増大した側のプーリ16(又は31)のベルト
推力が、小さくなった側のプーリ31(又は16)より
も大きくなり、このベルト推力の差は負荷が増大するほ
ど大きくなる。このことは、無段変速装置が真のニュー
トラル状態から少しでも変わると、上記ベルト推力の差
に起因して、ベルト巻付け径の増大した側のプーリ16
(又は31)の該巻付け径が小さくするように変化し、
自動的にニュートラル状態に戻る復元力が作用する。そ
して、この実施例では、上記操作レバー46から連動機
構44に至る操作力伝達経路に、上記ニュートラル状態
で操作レバー46の操作力を連動機構44に伝達不能と
する不感帯部50が設けられているので、上記ニュート
ラル状態へ戻ろうとする際に、この不感帯部50でのピ
ン48が係合部49で自在に移動して、ニュートラル状
態への復元が拘束されないこととなり、よってニュート
ラル状態を安定して維持することができる。
【0040】具体的に、本発明者によれば、変速プーリ
機構15の変速比iがi=0.666となる例として、
上記のように第1及び第2変速プーリ16,31でのベ
ルト巻付け径がそれぞれ108mm,72mmである場合の
他、同ベルト巻付け径がそれぞれ78mm,52mm、13
8mm,92mm及び183mm,122mmである3つの場合
を想定し、これらに対し、ニュートラル状態で、両変速
プーリ16,31の可動シーブ18,33を±1mmだけ
軸方向に移動させたときの変速比の変化を考察した。そ
の結果を図9に示す。この図9から、同じ変速比でも、
ベルト巻付け径が大きくなるほど変速比の変化量が小さ
くなることが判る。
【0041】そして、図9の斜線部分は、上記不感帯部
50で設定されるニュートラル状態での不感帯に相当す
る変速比の範囲を例示しており、操作レバー46のニュ
ートラル位置で変速比iが変化しても、それがi=0.
62〜0.712の範囲内にある限り、安定したニュー
トラル状態を維持できることとなる。
【0042】さらに、図10は、上記変速比の幅(i=
0.62〜0.712)を設定するための可動シーブ1
8,33の必要移動量を示しており、ベルト巻付け径が
大きくなるほど可動シーブ18,33の必要移動量も大
きくなることが判る。
【0043】上記各変速プーリ16,31のカム機構2
3,35における回動レバー26,38同士がリンク4
2により連係されているため、操作レバー46の切換操
作により上記変速プーリ機構15の変速比を変えること
で、遊星ギヤ機構4のピニオンキャリア7つまり無段変
速装置の出力正転又は逆転状態に変えかつその回転速度
を増大変化させることができる。
【0044】すなわち、上記ニュートラル状態から、操
作レバー46を前進位置に位置付けると、この操作レバ
ー46は第2カム機構35におけるカム37外周の回動
レバー38に連結されているので、上記前進位置への切
換状態では、上記カム37がそのカム面37a,37a
上でそれぞれカム用ローラ39,39を転動させながら
第2変速プーリ31における可動シーブ33のボス部3
3a周りに一方向に回動する。これにより、上記カム面
37aがローラ39に押されてカム37が第2回転軸3
上を移動し、該カム37にベアリング36を介して移動
一体の可動シーブ33が同方向に移動して固定シーブ3
2に接近する。このことにより第2変速プーリ31が閉
じてそのベルト巻付け径が上記ニュートラル状態の72
mmから最大で120mmまで増大し、このベルト巻付け径
の増大によりVベルトBが第2変速プーリ31側に引き
寄せられる。
【0045】また、これと同時に、上記操作レバー46
の前進位置への切換えに伴い、上記第2変速プーリ31
の可動シーブ33の動きに同期して、第1カム機構23
のカム25が第1回転軸2上を上記第2カム機構35の
カム37と同じ一方向に回動する。このカム25の回動
によりカム用ローラ27に対する押圧がなくなる。この
ため、上記第2変速プーリ31側に移動するベルトBの
張力により、カム25及びそれにベアリング24を介し
て連結されている可動シーブ18は固定シーブ17から
離れる方向に第1回転軸2上を移動し、この両シーブ1
7,18の離隔により第1変速プーリ16が開いてベル
ト巻付け径が上記ニュートラル状態の108mmから最小
で60mmまで減少する。これらの結果、第2変速プーリ
31のベルト巻付け径が第1変速プーリ16よりも大き
くなり、第1回転軸2の回転が増速されて第2回転軸3
に伝達される。この変速比で、上記ピニオンキャリア7
の回転方向が第1回転軸2に対し例えば正転状態にな
り、変速比をさらに変えることで、ピニオンキャリア7
の正転方向の回転速度つまり前進速度を増大させること
ができる。
【0046】このとき、入力動力は、ギヤ12〜10及
び遊星ギヤ機構4のリングギヤ9を経由してそのピニオ
ンキャリア7に至る経路を駆動動力経路とし、遊星ギヤ
機構4のサンギヤ5から第2回転軸3ないし変速プーリ
機構15に至る経路を循環動力経路として伝達され、第
2変速プーリ31が駆動側プーリになる一方、第1変速
プーリ16が従動側プーリとなり、ベルトBの図7で上
側のスパンが緩み側となる。このように変速プーリ機構
15が循環動力経路となることで、そのベルトBに駆動
動力よりも小さい循環動力を伝達させることができ、使
用頻度の多い前進状態での高出力時であってもベルトB
の伝動負荷を小さくすることができる。
【0047】また、上記操作レバー46の変速パターン
はニュートラル位置で左右方向に移動するように設定さ
れているので、前進位置に操作される操作レバー46は
ニュートラル位置で一旦左側に移動した後、前進方向に
移動する。この操作レバー46にはワイヤ58及びばね
57を介してテンション機構51におけるアーム54の
レバー部54cが連結されているので、上記操作レバー
46の左方向の移動に伴い、ワイヤ58がレバー部54
cを押してアーム54を図7で時計回り方向に回動さ
せ、このことによりテンションローラ56が図7下側の
ベルトスパンから離れて上方に移動し、このテンション
ローラ56はアーム54の時計回り方向の回動端位置で
ばね57の収縮力によりベルトBの図7上側の緩み側ス
パンを内面側から押圧する。
【0048】また、上記アーム54のボス部54a内周
には1対のピン59,59が突設され、この各ピン59
はガイド53のガイド溝60に係合されているので、こ
のガイド溝60によるピン59の案内作用により、アー
ム54は図7で時計回り方向に回動するのに連れて軸方
向に移動し、それに伴いテンションローラ56の位置も
図5(b)から図5(a)の状態に軸方向に移動する。
【0049】尚、上記テンション機構51のばね57の
付勢力によりアーム54が回動付勢され、その先端のテ
ンションローラ56がベルトBの緩み側スパン内面を押
圧し、この押圧によりベルトBに張力が付与されるが、
この張力は緩み側スパンに発生する最大張力よりも大き
いため、このベルト張力によりベルトBのプーリ16,
31に対するくさび効果が生じて推力が発生し、この推
力により両プーリ16,31間でベルトBを介して動力
が伝達される。
【0050】一方、上記操作レバー46を後進位置に位
置付けると、この後進位置への切換状態では、上記第1
カム機構23のカム25がその各カム面25a上でカム
用ローラ27を転動させながら第1変速プーリ16にお
ける可動シーブ18のボス部18a周りに他方向に回動
する。これにより、上記カム面25aがローラ27に押
されてカム25が第1回転軸2上を移動し、該カム25
に移動一体の可動シーブ18が同方向に移動して固定シ
ーブ17に接近する。このことにより第1変速プーリ1
6が閉じてそのベルト巻付け径が上記ニュートラル状態
の108mmから最大で120mmまで増大し、このベルト
巻付け径の増大によりVベルトBが第1変速プーリ16
側に引き寄せられる。
【0051】また、上記操作レバー46の後進位置への
切換えに伴い、上記第2カム機構35のカム37が第2
回転軸3上を上記第1カム機構23のカム25と同じ他
方向に回動する。このカム37の回動によりカム用ロー
ラ39に対する押圧がなくなる。このため、上記第1変
速プーリ16側に移動するベルトBの張力により、カム
37及びそれにベアリング36を介して連結されている
可動シーブ33は固定シーブ32から離れる方向に第2
回転軸3上を移動し、この両シーブ32,33の離隔に
より第2変速プーリ31が開いてベルト巻付け径が上記
ニュートラル状態の72mmから最小で60mmまで減少す
る。これらの結果、第1変速プーリ16のベルト巻付け
径が第2変速プーリ31よりも大きくなり、第1回転軸
2の回転が増速されて第2回転軸3に伝達される。この
変速比で、上記ピニオンキャリア7の回転方向が第1回
転軸2に対し例えば逆転状態になり、変速比をさらに変
えることで、ピニオンキャリア7の逆転方向の回転速度
つまり後進速度を増大させることができる。
【0052】このとき、上記前進時とは逆に、入力動力
は、変速プーリ機構15ないし第2回転軸3から遊星ギ
ヤ機構4のサンギヤ5に至る経路を駆動動力経路とし、
遊星ギヤ機構4のピニオンキャリア7からピニオン6,
6,…、リングギヤ9、ギヤ10〜12を経由して第1
回転軸2に至る経路を循環動力経路として伝達され、第
1変速プーリ16が駆動側プーリになる一方、第2変速
プーリ31が従動側プーリとなり、ベルトBの図7で下
側のスパンが緩み側となる。
【0053】また、上記後進位置に操作される操作レバ
ー46はニュートラル位置で一旦右側に移動した後、後
進方向に移動する。この操作レバー46の右方向の移動
に伴い、ワイヤ58がレバー部54cを引っ張ってアー
ム54を図7で反時計回り方向に回動させ、このことに
よりテンションローラ56が図7上側のベルトスパンか
ら離れて下方に移動し、このテンションローラ56はア
ーム54の反時計回り方向の回動端位置でばね57の伸
長力によりベルトBの図7下側の緩み側スパンを内面側
から押圧する。
【0054】また、上記アーム54のボス部54a内周
におけるピン59に対するガイド溝60の案内作用によ
り、アーム54は図7で反時計回り方向に回動するもの
の軸方向には移動せず、テンションローラ56の位置は
図5(b)から図5(c)の状態に変化する。
【0055】したがって、この実施例では、テンション
機構51におけるテンションローラ56の軸方向長さが
ベルト幅よりも小さく、しかもテンションローラ56が
ベルトスパンの内面を押圧してベルト推力を付与するよ
うになっているので、大きな外径のテンションローラ5
6を使用してベルトスパンの屈曲率を小さくしながら、
テンションローラ56外周部を各変速プーリ16,31
のベルト溝19,34内に配置して、第1及び第2回転
軸2,3間の軸間距離を短くすることができ、無段変速
装置のコンパクト化を図ることができる。
【0056】また、上記の如く、操作レバー46のニュ
ートラル位置での横方向の移動により、テンション機構
51のアーム54が回動してベルトBの緩み側となるス
パン内面を押圧するため、前進及び後進の切換えにより
両変速プーリ16,31間での駆動側及び従動側の関係
が逆になってベルトBの緩み側スパンが変化しても、常
に緩み側となるスパンを押圧することができる。しか
も、これらの切換えを前後進の切換えのための操作レバ
ー46の操作により行うので、1つの操作レバー46で
前後進の切換え及びベルトBの緩み側スパンの押圧切換
えを行うことができる。
【0057】さらに、ベルトBの緩み側スパンの変化に
応じてテンション機構51のアーム54が回動するのに
伴い、アーム54のボス部54a内周のピン59,59
がガイド53外周のガイド溝60,60に案内されて、
該アーム54が軸方向に移動するので、上記のようにテ
ンションローラ56の幅がベルト幅よりも小さく、しか
もベルトBが変速プーリ16,31の開閉により巻付け
径が変化しながらそのベルト溝19,34の固定シーブ
17,32側側面に沿って軸方向に移動しても、テンシ
ョンローラ56がベルトBの位置から軸方向に外れて緩
み側スパンを押圧不能になることはなく、ベルトBを安
定して押圧することができる。
【0058】また、上記の如く、無段変速装置がニュー
トラル状態から前進状態に移行したときには、変速プー
リ機構15における第1変速プーリ16のベルト巻付け
径は例えば108mmから最小60mmまで、また第2変速
プーリ31のベルト巻付け径は72mmから最大120mm
までそれぞれ変化するが、後進状態に移行したときに
は、第1変速プーリ16のベルト巻付け径は108mmか
ら最大120mmまで、また第2変速プーリ31のベルト
巻付け径は72mmから最小60mmまでそれぞれ変化し
て、ニュートラル状態から前進状態へのベルト巻付け径
の変化量が後進状態よりも大きくなっている。このよう
に、使用頻度の高い前進状態で変速プーリ機構15のベ
ルトBに駆動動力よりも小さい循環動力が伝達されるよ
うニュートラル状態での変速プーリ機構15の変速比
(変速プーリでのベルト巻付け径)が設定されているの
で、第1変速プーリ16側のみにトルクカム機構20を
設けるだけで、トルクカム機構20による低操作力を確
実に得ることができる。
【0059】しかも、上記トルクカム機構20は、無段
変速装置の前進状態で循環動力に対し従動側となる第1
変速プーリ16側に設けられているので、トルクカム溝
22のリード角が一定でも、変速比に応じた必要なベル
ト推力を容易に取り出すことができる。
【0060】尚、例えば、ニュートラル状態から前進状
態への変速プーリ機構15の変速比の変化量が後進状態
への変化量と同等であるときには、図12に示すよう
に、両変速プーリの双方にトルクカム機構20,29を
設ける必要がある。そのとき、各々のトルクカム溝22
を、無段変速装置のニュートラル状態にあるときに対応
するニュートラルラインLN を境にして彎曲させ、ニュ
ートラルラインLN の一側ではリード角を所定角度にす
るが、他側ではリード角を0とし、このリード角が0と
なる側を両トルクカム機構20,29で互いに逆とす
る。
【0061】こうすることで、図13に示すように、一
方のトルクカム機構20(又は29)が作動状態にある
ときには、他方のトルクカム機構29(又は20)はそ
のトルクカム溝22のリード角が0となって、単なるキ
ー結合の機能しかなくなる。よって、トルクカム機構2
0,29によるベルト推力の増大により変速操作力を軽
減しつつ、変速プーリ機構15の駆動側及び従動側の逆
転に対処することができる。
【0062】(実施例2)図14及び図15は本発明の
実施例2を示し(尚、図6及び図7と同じ部分について
は同じ符号を付してその詳細な説明は省略する)、テン
ションローラ56の軸方向への移動を変速プーリ機構1
5の変速比に応じて比例的に行わせるようにしたもので
ある。
【0063】すなわち、この実施例では、ローラ駆動機
構62は上記実施例1とは異なっており、テンション機
構51のアーム54は第2回転軸3回りのケーシング1
に対し回動のみ可能で回転軸2,3の軸方向には移動不
能である。その代り、テンションローラ56は軸55に
対し摺動可能なスリーブ63上に支持されていて、テン
ションローラ56自体が軸方向に移動可能となってい
る。
【0064】上記軸55の先端には、アーム54におけ
るアーム部54bの延長線上に延びる支点用アーム64
の基端が取付固定され、この支点用アーム64の先端部
はアーム部54b側に折り曲げられ、その側面にはレバ
ー65の一端部がピン66を介して揺動可能に連結され
ている。レバー65の中間部は上記スリーブ63にピン
67を介して連結され、他端部は、第2カム機構35に
おけるカム37の外周面に形成した係合溝68に係合さ
れており、この構造により、第2カム機構35の作動に
より第2変速プーリ31の可動シーブ33が軸方向に移
動して変速プーリ機構15の変速比が変わると、それに
応じてテンションローラ56を軸方向に移動させる。そ
して、上記レバー65におけるピン66,67間の距離
と、ピン67からレバー65の他端までの距離との比率
(支点比)を適切に設定することで、テンションローラ
56を常にベルトBの中心位置に対応させて移動させる
ようにしている。
【0065】したがって、この実施例の場合、テンショ
ンローラ56が変速プーリ機構15の変速比に応じてベ
ルト位置に対応するように回転軸2,3の軸方向に移動
するので、上記実施例1に比べ、テンションローラ56
の軸方向の移動をベルト位置に精度よく追従させること
ができ、テンションローラ56の軸方向の長さをさらに
小さくして、軸間距離の短縮化や変速装置のコンパクト
化により一層有利となる利点がある。
【0066】尚、上記各実施例では、遊星ギヤ機構4の
リングギヤ9を第1回転軸2に連結しているが、ピニオ
ンキャリア7を第1回転軸2に連結して、リングギヤ9
を出力部としてもよい。また、サンギヤ5を出力部にし
てもよく、要は、遊星ギヤ機構4のサンギヤ5、ピニオ
ンキャリア7及びリングギヤ9のうちの1つが第1回転
軸2に、今1つが第2回転軸3にそれぞれ連結され、残
りを出力部とすればよい。
【0067】さらに、遊星ギヤ機構4のピニオンキャリ
ア7を動力の入力部とし、第1回転軸2を出力部とする
ことも可能である。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よると、1対の回転軸間に変速プーリ機構及び差動ギヤ
機構を組み合わせて配置してなる無段変速装置に対し、
変速プーリ機構における各変速プーリの可動シーブ背面
側に、可動シーブを相対向する固定シーブに対し両変速
プーリ間で互いに逆向きに接離させて変速プーリのベル
ト巻付け径を変化させる1対の駆動機構を配設し、両変
速プーリのベルト巻付け径が互いに逆方向に変化するよ
うに両駆動機構を連動させて両プーリ間の変速比を可変
とする連動機構を設け、変速プーリ間の1対のベルトス
パン間にベルトスパン内面を押圧するテンションローラ
をベルトスパンと交差する方向に移動可能に配置し、連
動機構を作動させるための切換操作部が操作されたと
き、それに応じてテンションローラのベルト押圧方向を
切り換え、テンションローラがベルトの緩み側となるス
パンを択一的に押圧するようにしたことにより、切換操
作部の操作により変速プーリ機構のベルトスパンの張り
側及び緩み側が変化しても、常に緩み側となるベルトス
パンを押圧でき、よって変速プーリ機構及び差動ギヤ機
構を組み合わせてなる無段変速装置のベルト推力を安定
して維持することができる。
【0069】請求項2の発明では、上記テンションロー
ラを回転軸の軸方向に移動可能として、切換操作部が切
換操作されたときにベルト位置に対応するように軸方向
に移動させることとした。また、請求項3の発明では、
同様にテンションローラを変速プーリ機構の変速比に応
じてベルト位置に対応するように回転軸の軸方向に移動
させることとした。従って、これらの発明によると、テ
ンションローラをベルトの軸方向の移動に合わせて移動
するので、例えば両回転軸の軸間距離を短くする目的で
テンションローラの軸方向長さをベルト幅よりも小さく
しても、テンションローラがベルト位置から軸方向に外
れることを防いで、ベルトスパンを安定して押圧するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1においてテンションローラの
ベルトスパン押圧位置を切り換えるための機構を模式的
に示す図である。
【図2】テンション機構のアーム及びガイドの正面図で
ある。
【図3】テンション機構のアーム及びガイドの断面図で
ある。
【図4】テンション機構におけるガイド外周のガイド溝
を示す展開図である。
【図5】テンション機構におけるテンションローラの軸
方向への移動状態を示す説明図である。
【図6】無段変速装置の全体構成を示す断面図である。
【図7】無段変速装置の全体構成を概略的に示す正面図
である。
【図8】無段変速装置の不感帯部を示す正面図である。
【図9】ベルト巻付け径に対し適正ニュートラル幅の設
定範囲を例示する特性図である。
【図10】適正ニュートラル幅に対応する可動シーブ移
動量を例示する特性図である。
【図11】ニュートラル状態に安定するときのプーリに
対するベルト巻付け径の変化を示す模式的に正面図であ
る。
【図12】両変速プーリ側にトルクカム機構を備えた無
段変速装置の変形例を模式的に示す図である。
【図13】無段変速装置の変形例での回転方向に対する
ベルト変速比の変化を示す特性図である。
【図14】本発明の実施例2を示す要部断面図である。
【図15】実施例2を示す図7相当図である。
【符号の説明】 2 第1回転軸 3 第2回転軸 4 遊星ギヤ機構(差動ギヤ機構) 5 サンギヤ(第2ギヤ要素) 7 ピニオンキャリア(第3ギヤ要素) 9 リングギヤ(第1ギヤ要素) 15 変速プーリ機構 16,31 変速プーリ 17,32 固定シーブ 18,33 可動シーブ 19,34 ベルト溝 20,29 トルクカム機構 23,35 カム機構(駆動機構) 25,37 円筒カム 25a,37a カム面 27,39 ローラ 42 リンク 44 連動機構 46 操作レバー(切換操作部) 48 ピン 49 係合部 50 不感帯部 51 テンション機構 53 ガイド 54 アーム 56 テンションローラ 58 ワイヤ 59 ピン 60 ガイド溝 61 切換機構 62 ローラ駆動機構 B 伝動ベルト

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに平行に配置された第1及び第2回
    転軸と、 各々、上記各回転軸に固定シーブ及び可動シーブが互い
    に逆向きになるように配置支持された1対の変速プーリ
    と、該両変速プーリ間に巻き掛けられたベルトと、上記
    各変速プーリの可動シーブ背面側に配設され、該可動シ
    ーブを相対向する固定シーブに対し接離させて変速プー
    リのベルト巻付け径を変化させる1対の駆動機構と、上
    記両変速プーリのベルト巻付け径が互いに逆方向に変化
    するように両駆動機構を連動させて両プーリ間の変速比
    を変化させる連動機構と、該連動機構を作動させる切換
    操作部と、上記両変速プーリ間のベルトスパン間に該ベ
    ルトスパンと交差する方向に移動可能に配置されたテン
    ションローラを有し、該テンションローラでベルトの緩
    み側スパン内面を、該緩み側スパンにプーリ間の変速比
    に対応して発生する張力よりも大きい張力となるように
    押圧してベルト推力を発生させるテンション機構とから
    なり、両回転軸を変速可能に駆動連結する変速プーリ機
    構と、 互いに連結された第1〜第3ギヤ要素を有し、第1ギヤ
    要素が上記第1回転軸に連結される一方、第2ギヤ要素
    が上記第1回転軸に連結された差動ギヤ機構とを備え、 上記第1回転軸又は第3ギヤ要素の一方が入力部とさ
    れ、他方が出力部とされていて、上記切換操作部の切換
    操作により出力部を入力部に対し正転状態、ニュートラ
    ル状態又は逆転状態に切り換えて変速するように構成さ
    れているとともに、 上記切換操作部が切換操作されたときに上記テンション
    ローラのベルト押圧方向をテンションローラがベルトの
    緩み側となるスパンを択一的に押圧するように切り換え
    る切換機構を設けたことを特徴とする無段変速装置。
  2. 【請求項2】 請求項1の無段変速装置において、 テンションローラは回転軸の軸方向に移動可能とされ、 切換操作部が切換操作されたときにテンションローラを
    ベルト位置に対応するように軸方向に移動させるローラ
    駆動機構を設けたことを特徴とする無段変速装置。
  3. 【請求項3】 請求項1の無段変速装置において、 テンションローラは回転軸の軸方向に移動可能とされ、 変速プーリ機構の変速比に応じてテンションローラをベ
    ルト位置に対応するように軸方向に移動させるローラ駆
    動機構を設けたことを特徴とする無段変速装置。
JP19987392A 1992-07-27 1992-07-27 無段変速装置 Withdrawn JPH0650426A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4814620A (en) * 1987-12-01 1989-03-21 Honeywell Inc. Tilted array with parallel cold shield
WO2022066118A1 (en) * 2020-09-28 2022-03-31 Bursa Uludağ Üni̇versi̇tesi̇ Control mechanism developed for continuously variable transmission (cvt) system

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