JPH0926003A - プーリ式動力伝達装置 - Google Patents

プーリ式動力伝達装置

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JPH0926003A
JPH0926003A JP17707295A JP17707295A JPH0926003A JP H0926003 A JPH0926003 A JP H0926003A JP 17707295 A JP17707295 A JP 17707295A JP 17707295 A JP17707295 A JP 17707295A JP H0926003 A JPH0926003 A JP H0926003A
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JP
Japan
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tension
pulley
cam
belt
shaft
Prior art date
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Application number
JP17707295A
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English (en)
Inventor
Eiichiro Ikeda
英一郎 池田
Kazuya Sandou
和也 三堂
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Bando Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Bando Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一対のプーリにベルトが巻き掛けられ、テン
ション機構によってベルトの緩み側スパンを押圧してベ
ルトへの推力を発生させるようにしたプーリ式動力伝達
装置に対し、テンション機構の構造を改良することで、
該機構の加工工程及び部品点数を削減し、組付け作業の
簡略化を図ると共に、十分な信頼性を得る。 【解決手段】 ベルト30に対して張力を与えるテンシ
ョン機構38を、テンションアーム39と、テンション
アーム39の基端部に設けられたボス部39aと、テン
ションアーム39の先端部に設けられたテンション軸4
0と、テンション軸40に回動自在に支持され、ベルト
30に当接可能なテンションプーリ41と、テンション
プーリ41が緩み側スパンを押圧するようにテンション
アーム39を回動付勢するテンションスプリング48と
を備えて成し、テンションアーム39、ボス部39a及
びテンション軸40を溶接により一体化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プーリ式動力伝達
装置に係り、特に、1対の回転軸に夫々設けられたプー
リに掛け渡されたベルトに対して所定の張力を付与する
ための機構の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、農業機械等においては、エン
ジンの動力を変速して駆動車輪或いは各種の作業装置に
伝達するために、ベルト伝動を利用したプーリ式の変速
機が多用されている。このベルト伝動を利用したプーリ
式変速機の一例として、従来、例えば実開昭57―16
4352号公報に示されるように、互いに平行に配置さ
れた1対の回転軸の各々に、回転軸の各々に対して回転
一体にかつ摺動不能に固定された固定シーブと、各回転
軸に固定シーブとの間に断面略V字状のベルト溝を形成
するように対向配置されて回転一体にかつ摺動自在に支
持された可動シーブとからなり、一方の可動シーブの固
定シーブへの向きと他方の可動シーブの固定シーブへの
向きとが互いに逆向きに設定された1対の可変プーリを
設けるとともに、これら両可変プーリのベルト溝間に伝
動ベルトを巻き掛け、上記各可変プーリの可動シーブ背
面側に、各々、回転軸回りに回動可能な回動カムと固定
体に連結されて回動不能な固定カムとからなり回動カム
の固定カムに対する回動により可動シーブを固定シーブ
に接離するように移動させるカム機構を配設し、両カム
機構の回動カムをロッド及び変速軸で連結することによ
り、一方の可変プーリの可動シーブがそれに対向する固
定シーブに接近すると、他方の可変プーリの可動シーブ
がそれと対向する固定シーブから離れるように上記両カ
ム機構の回動カムを互いに連係して回動させ、各可変プ
ーリの伝動ベルトに対する有効半径(プーリ径)を変化
させて両回転軸間の変速比を変化させるようにした可変
プーリ式のものが知られている。
【0003】ところで、このように一対のプーリ間にベ
ルトを掛け渡して成る動力伝達装置にあっては、ベルト
による動力伝達を確実に行うためにはベルトとプーリと
の接触面圧を所定値以上確保する必要があることから、
ベルトには所定の張力が付与されている。また、上述し
たような固定シーブと可動シーブとによりプーリを構成
する変速比が可変な動力伝達装置では、可動シーブが固
定シーブから離れる際、それに応じてベルトのプーリに
対する巻付き径を小さくする必要があることから、この
ためにもベルトに所定の張力を付与しておくことが必要
である。そして、ベルトに張力を付与するテンション機
構としては、ベルトの延長方向に沿って延び、基端部を
回動中心として回動自在なテンションアームと、該テン
ションアームの先端部から該テンションアームの延長方
向に対して直交する方向に延びるテンション軸と、該テ
ンション軸にベアリングを介して回動自在に支持され、
ベルトの内面若しくは外面に当接可能なテンションプー
リと、該テンションプーリがベルトに接触して所定の押
圧力を与えるように、上記テンションアームを回動付勢
するスプリングとを備えている。つまり、テンションプ
ーリからベルトに与えられる押圧力によってベルトに所
定の張力を生じさせ、各プーリ間の動力伝達を良好に行
わせるようにし、また、固定シーブと可動シーブとによ
りプーリを構成する装置にあっては、固定シーブに対す
る可動シーブの位置に応じた巻付き径が得られて所望の
減速比を得るようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来のテ
ンション機構では、テンションアームの先端部に対する
テンション軸の組付け構造として、テンションアームに
組付け孔を形成し、テンション軸の基端部のみを、この
組付け孔と略同径にし、その他の部分を大径にし、更
に、基端部の外周面に雄ねじを形成する。そして、この
テンション軸の基端部をテンションアームの組付け孔に
挿通した状態で、雄ねじに対してナットを螺合してテン
ション軸をテンションアームに一体的に組付けていた。
このため、テンション軸の基端部にねじ加工を必要とし
たり、テンションアーム及びテンション軸以外に締結用
のナットを必要とするため、加工工程及び部品点数が多
く、また、組付け作業が煩雑であるといった不具合があ
った。また、テンション軸の先端部には、ベルトからの
押圧力による曲げモーメントが作用したり、テンション
プーリのベアリングの機能が不十分な場合には回転する
テンションプーリからの回転力が作用するので、上述の
ようなねじ止め構造では、ナットが緩む可能性があり、
十分な信頼性が得られているとは言えなかった。また、
このようなテンションアームの先端部に対するテンショ
ン軸の組付け部分だけでなく、テンションアームの基端
部である回動部分においても加工工程及び部品点数が多
くなる傾向があった。
【0005】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので
あり、その主たる目的は、テンション機構の構造を改良
することで、該機構の加工工程及び部品点数を削減し、
組付け作業の簡略化を図ると共に、十分な信頼性を得る
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明では、テンション機構を構成する部材の
うち相対移動を必要としない部材同士を溶接により一体
化させておくことで、これら各部材を1個のユニット化
された部材として扱えるようにした。
【0007】具体的には、請求項1の発明は、互いに平
行に配置された1対の回転軸と、上記各回転軸上にそれ
ぞれ設けられ、断面略V字状のベルト溝を備えた駆動及
び従動プーリと、上記駆動及び従動プーリのベルト溝間
に巻き掛けられたベルトと、上記ベルトの緩み側スパン
を押圧してベルトへの推力を発生させるテンション機構
とを備えたプーリ式動力伝達装置を前提としている。ま
た、上記テンション機構を、基端部を回動中心として回
動自在なテンションアームと、該テンションアームの基
端部に設けられた円筒状のボス部と、上記テンションア
ームの先端部に設けられたテンション軸と、上記テンシ
ョン軸に回動自在に支持され、上記緩み側スパンに当接
可能なテンションプーリと、上記テンションプーリが緩
み側スパンを押圧するようにテンションアームを回動付
勢する付勢手段とを備えさせて成す。そして、上記テン
ションアーム、ボス部及びテンション軸を互いに溶接し
て一体化する構成としている。
【0008】この構成により、本発明では、ベルトの緩
み側スパンを押圧してベルトへの推力を発生させるテン
ション機構として、テンションアーム、ボス部及びテン
ション軸を1個のユニット化された部材として扱えるこ
とになるので、テンション機構の構造が簡略化され、部
品点数の低減や組付性の向上がなされる。また、テンシ
ョン軸をテンションアームにねじ止めするものではない
ので、このねじ止め部分が緩んでしまうといった虞れも
なく、連結部分に十分な信頼性が得られている。
【0009】請求項2記載の発明は、互いに平行に配置
された1対の回転軸と、上記各回転軸上にそれぞれ設け
られ、各々、回転軸に回転一体にかつ軸方向に移動不能
に固定支持された固定シーブと、該固定シーブとの間に
断面略V字状のベルト溝を形成するように上記固定シー
ブに対向して設けられ、かつ背面側に軸方向に延びるボ
ス部を有し、該ボス部にて回転軸に回転一体にかつ軸方
向に移動可能に外嵌支持された可動シーブとからなり、
一方の可動シーブの固定シーブへの向きと他方の可動シ
ーブの固定シーブへの向きとが互いに逆向きに設定され
た駆動及び従動プーリと、上記駆動及び従動プーリのベ
ルト溝間に巻き掛けられたベルトと、上記駆動及び従動
プーリの各可動シーブ背面側にそれぞれ配置され、各
々、互いにカム接触する第1カムと第2カムとからな
り、上記第1及び第2カムの一方が可動シーブのボス部
上にベアリングを介して軸方向に可動シーブと共に移動
一体にかつ相対回転可能に支持され、他方が回転軸に軸
方向に移動不能にかつ回転軸に対して相対回転可能に設
けられ、両カムの一方は回転軸回りに回動可能な回動カ
ムとされる一方、他方は回動不能な固定カムとされ、上
記回動カムと固定カムとの相対回転により可動シーブを
固定シーブに対して接離させるように軸方向に移動させ
て上記各プーリの有効半径を変化させる駆動プーリ側及
び従動プーリ側カム機構と、上記駆動及び従動プーリの
一方の可動シーブが、対向する固定シーブに接近すると
他方の可動シーブが対向する固定シーブから離れるよう
に上記両カム機構の回動カムを互いに連動連結して回動
させることで上記両回転軸間の変速比を変化させる変速
切換機構と、上記駆動及び従動プーリ間に配置され、両
プーリ間に巻き掛けられるベルトの緩み側スパンを該ベ
ルトが各プーリのベルト溝に食い込むように押圧して、
ベルトへの推力を発生させるテンション機構とを備えた
プーリ式動力伝達装置を前提としている。また、上述し
た請求項1記載の発明に係る構成と同様に、上記テンシ
ョン機構を、基端部を回動中心として回動自在なテンシ
ョンアームと、該テンションアームの基端部に設けられ
た円筒状のボス部と、上記テンションアームの先端部に
設けられたテンション軸と、上記テンション軸に回動自
在に支持され、上記緩み側スパンに当接可能なテンショ
ンプーリと、上記テンションプーリが緩み側スパンを押
圧するようにテンションアームを回動付勢する付勢手段
とを備えさせて成す。そして、上記テンションアーム、
ボス部及びテンション軸を互いに溶接して一体化する構
成としている。
【0010】このような両軸間の変速比を可変とした変
速機においても上述した請求項1記載の発明に係る作用
と同様に、テンションアーム、ボス部及びテンション軸
を1個のユニット化された部材として扱え、テンション
機構の構造の簡略化、部品点数の低減、組付性の向上、
連結部分の信頼性の確保が図れることになる。
【0011】請求項3記載の発明は、上記請求項1又は
2記載のプーリ式動力伝達装置において、回転軸、各プ
ーリ、ベルト及びテンション機構を、密閉容器状の装置
ケーシング内に収容させ、テンション機構の付勢手段を
コイルスプリングで成し、該コイルスプリングの一端を
テンションアームに、また他端を装置ケーシングの内面
に設けたスプリング係止部に夫々係止した構成としてい
る。
【0012】この構成により、テンション機構全体を装
置ケーシング内に収容することができて該ケーシングの
密閉度を高めることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1及び図3は本発明の実施形態に
係るプーリ式無段変速機Tの全体構成を示し、この変速
機Tは、図示しないが走行型の農業機械においてエンジ
ンと駆動車輪との間の動力伝達経路に配設されている。
【0014】図1及び図4において、1は変速機Tのケ
ースで、この変速機ケース1は図1の左側にある前ケー
ス2と、右側の後ケース3とに2分割されている。前ケ
ース2は、図1で右側に開放された皿状のもので、その
図1で上部にはボス状(円筒状)の入力軸受孔2aが貫
通形成され、また下部には同形状の出力軸受穴2bが凹
陥形成されている。また、後ケース3は、図1で左側に
開放された皿状のもので、その図1で上部にはボス状の
入力軸受孔3aが上記前ケース2の入力軸受孔2aに対
応して、また下部には同様の出力軸受孔3bが前ケース
2の出力軸受孔2bに対応してそれぞれ貫通形成されて
いる。そして、前ケース2の開口縁部にはフランジ2c
が形成され、このフランジ2cには複数のねじ孔4,
4,…が開口されている。一方、後ケース3の開口縁部
には上記前ケース2のフランジ2cと接合されるフラン
ジ3cが形成され、このフランジ3cには前ケース2の
ねじ孔4,4,…に対応して複数のボルト挿通孔5,
5,…が設けられており、前後ケース2,3の組付時に
両フランジ2c,3cを当接させて後ケース3の各ボル
ト挿通孔5にそれぞれ組付ボルト6を挿通し、この各組
付ボルト6の先端部を前ケース2の対応するねじ孔4に
螺合締結することで、両ケース2,3を一体に組み付け
るようにしている。
【0015】上記前ケース2における複数のねじ孔4,
4,…のうち、後述するテンションプーリ41の近傍に
位置するねじ孔4(図4上端左側のもの)と、該ねじ孔
4に対してテンションプーリ41と略反対側にあるねじ
孔4(図4下端右側のもの)との1対にはそれぞれカラ
ー7,7がノックピンとして嵌挿されており、このカラ
ー7,7によって前後ケース2,3の組付時の芯出しを
行うようになっている。
【0016】尚、図4に示す如く、変速機ケース1下部
の左右中間部は、変速機Tの下側を農業機械の前後方向
に延びるプロペラシャフト113と干渉しないように部
分的に凹陥されている。
【0017】変速機ケース1には、互いに平行に配置し
た入力軸9(回転軸)及び出力軸13が前後ケース2,
3に亘って回転可能に支承されている。尚、入力軸9及
び出力軸13は図4で反時計回り方向に回転する。入力
軸9の前端部(図1の左端部)は前ケース2の入力軸受
孔2aにベアリング10を介して、また後端部は後ケー
ス3の入力軸受孔3aにベアリング11を介してそれぞ
れ回転可能に支持されている。入力軸9の前端(図1の
左端)はケース1から外部に突出し、この端部に図外の
エンジンの出力軸が駆動連結される。
【0018】一方、出力軸13の前端部(図1の左端
部)には小径部13aが形成され、この小径部13aに
て出力軸13が前ケース2の出力軸受穴2bにベアリン
グ14を介して回転可能に支持されている。一方、出力
軸13の後端部は後ケース3の出力軸受孔3bにベアリ
ング15を介して回転可能に支持され、この出力軸13
の後端はケース1外に突出していて、図外の駆動車輪に
駆動連結されている。そして、出力軸13の中間部には
スリーブ16(この実施形態ではスリーブ16と出力軸
13とで本発明でいう回転軸が構成される)が相対回転
可能に外嵌合されている。このスリーブ16の前端部内
径は他の部分よりも大径とされて大径部16aが形成さ
れ、この大径部16aと、出力軸13前端の小径部13
aで上記ベアリング14の位置よりも後側部分との間に
はベアリング17がその内輪17aを出力軸13の小径
部13aに、また外輪17bをスリーブ16にそれぞれ
係合せしめて介設されている。
【0019】変速機ケース1内には、上記入力軸9及び
出力軸13をVベルト30によって変速可能に駆動連結
する変速プーリ機構20が収容されている。この変速プ
ーリ機構20は、入力軸9上に配置された変速プーリか
らなる駆動プーリ21を有する。この駆動プーリ21
は、入力軸9上に回転一体にかつ摺動不能にキー結合さ
れたフランジ状の固定シーブ22と、入力軸9上に固定
シーブ22に対向するようにボス部23aにて摺動可能
にかつ相対回転可能に支持されたフランジ状の可動シー
ブ23とからなり、これら両シーブ22,23間に断面
略V字状のベルト溝24が形成されている。上記固定シ
ーブ22の背面には、円周方向に等間隔をあけて放射状
に配置された送風冷却用の複数のフィン22a,22
a,…が一体に形成されている。
【0020】一方、出力軸13に外嵌合されているスリ
ーブ16上には駆動プーリ21と同径の変速プーリから
なる従動プーリ26が設けられている。この従動プーリ
26は、上記駆動プーリ21と同様の構成であり、出力
軸13のスリーブ16上に回転一体にかつ摺動不能にキ
ー結合されたフランジ状の固定シーブ27と、スリーブ
16(出力軸13)に、固定シーブ27に対し上記駆動
プーリ21における固定シーブ22に対する可動シーブ
23の対向方向と逆方向でもって対向するようにボス部
28aにて摺動可能にかつ相対回転可能に結合されたフ
ランジ状の可動シーブ28とからなり、これら両シーブ
27,28間には断面略V字状のベルト溝29が形成さ
れている。この従動プーリ26における固定シーブ27
の背面にも、円周方向に等間隔をあけて放射状に配置さ
れた送風冷却用の複数のフィン27a,27a,…が一
体に形成されており、この各固定シーブ22,27のフ
ィン22a,27aによってケース1内に空気流を生成
して発熱部分を冷却するようにしている。
【0021】上記駆動プーリ21の可動シーブ23の入
力軸9に対する摺動構造、及び従動プーリ26の可動シ
ーブ28のスリーブ16(出力軸13)に対する摺動構
造はいずれも同じであり、ここでは、従動プーリ26に
ついて説明することとし、駆動プーリ21側については
同じ符号を付して詳細な説明は省略する。すなわち、図
3にも示すように、従動プーリ26における可動シーブ
28のボス部28a内周面には、その直径方向に対向す
る位置に、ボス部28aの固定シーブ27側端から固定
シーブ27と反対側端に至る全体に亘って軸方向に延び
る断面略矩形状の1対の係合溝31,31がブローチ加
工によって形成されている。
【0022】一方、スリーブ16(駆動プーリ21側で
は入力軸9)の外周面には直径方向に対向する位置に、
スリーブ16外周面の軸方向の一部を部分的に接線方向
と平行に所定深さだけ切り欠いてなる切欠き32,32
が形成されている。また、スリーブ16及び出力軸13
(回転軸)には両者を直径方向に貫通するピン33がス
リーブ16に対し圧入により固定支持され(駆動プーリ
21側では入力軸9に対し圧入固定)、このピン33の
両端部は上記各切欠き32から所定寸法だけ突出してい
る。図3に示すように、このピン33は出力軸13にお
いてピン33の外径よりも大きい長径を有する長孔36
に挿通されていて、出力軸13と所定角度だけ相対回転
可能とされている。そして、ピン33両端の突出部にそ
れぞれベアリング34,34が1対となって各々の内輪
34bにて支持されており、この各ベアリング34はそ
れぞれ上記可動シーブ28のボス部28a内周における
係合溝31に係合されて、外輪34aが係合溝31の側
面に当接して転動するようになっている。また、各ベア
リング34の外径(外輪34aの外径)はスリーブ16
(入力軸9)の外径の1/2.5以上とされている。
【0023】そして、上記駆動プーリ21のベルト溝2
4と従動プーリ26のベルト溝29との間には例えばブ
ロックベルト等からなる上記Vベルト30が巻き掛けら
れており、両プーリ21,26の各可動シーブ23,2
8をそれぞれ固定シーブ22,27に対して接離させて
各プーリ21,26のベルト巻付け径を変更する。例え
ば駆動プーリ21の可動シーブ23を固定シーブ22に
接近させ、かつ従動プーリ26の可動シーブ28を固定
シーブ27から離隔させたときには、駆動プーリ21の
ベルト巻付け径を従動プーリ26よりも大きくすること
により、入力軸9の回転を出力軸13に増速して伝達す
る高速状態とする。一方、逆に、駆動プーリ21の可動
シーブ23を固定シーブ22から離隔させ、かつ従動プ
ーリ26の可動シーブ28を固定シーブ27に接近させ
たときには、駆動プーリ21のベルト巻付け径を小に
し、従動プーリ26のベルト巻付け径を大きくすること
により、入力軸9の回転を減速して出力軸13に伝える
低速状態とするようになされている。
【0024】また、変速機ケース1内には、駆動及び従
動プーリ21,26間に張られたVベルト30の1対の
スパンのうちの緩み側スパン30aをその内面から外方
に押圧してベルト30に張力を与えることでベルト推力
を発生するテンション機構38が設けられている。この
テンション機構38は、図2及び図5にも示すように、
テンションアーム39を有し、該テンションアーム39
には、前ケース2における出力軸受穴2bに対応してボ
ス部装着孔39bが形成されており、このボス部装着孔
39bに円筒状のボス部39aが嵌め込まれた状態で一
体的に溶接され(図2における溶接部A)、該ボス部3
9aが出力軸受穴2bの外周囲に回動可能に外嵌合支持
されている。また、テンションアーム39の先端部には
出力軸13(入力軸9)と平行に後方に延びるテンショ
ン軸40が一体に溶接され(図2における溶接部B)、
このテンション軸40の先端部は各プーリ21,26に
おけるベルト溝24,29部分に位置し、この先端部に
は、Vベルト30の緩み側スパン30aを内面から押圧
可能なテンションプーリ41がベアリング42を介して
回転可能に支持されている。このテンションプーリ41
の位置は、変速に伴うVベルト30の軸方向の移動に拘
らず、常にテンションプーリ41がベルト30内面の一
部に接触してそれを押圧可能な位置に設定されている。
尚、テンションプーリ41の断面形状の両側面は各プー
リ21,26のベルト溝24,29側面に平行な角度と
され、このことでテンションプーリ41側面の傾斜角度
はベルト溝24,29の断面角度に一致し、テンション
プーリ41外周面の軸方向長さはベルト30外面側の幅
よりも小さくされている。
【0025】そして、上記テンションアーム39にはそ
の先端から基端側に向かう方向(テンション軸40と略
反対側)に延長されてなるばね取付アーム部43が一体
形成され、このばね取付アーム部43の先端部は前側に
折り曲げられていて、その折曲げ部には凹部からなるば
ね係止部44が形成されている。一方、図4及び図7に
示す如く、前ケース2の一方の内側面には、スプリング
係止部としてのリング状のテンション用カラー46が出
力軸13(入力軸9)と平行に延びる取付ボルト47に
より取付固定され、このテンション用カラー46には引
張ばねからなる付勢手段としてのテンションスプリング
48の一端部が外嵌合状態で係止され、このスプリング
48の他端部は上記テンションアーム39のばね取付ア
ーム部43のばね係止部44に係止されており、このテ
ンションスプリング48のばね力によりテンションアー
ム39を図4で反時計回り方向に回動付勢して、テンシ
ョンプーリ41にVベルト30の緩み側スパン30aの
内面を押圧させる。そして、テンションスプリング48
のテンションアーム39に対する回動付勢力は、テンシ
ョンプーリ41がベルト30の緩み側スパン30aを該
緩み側スパン30aに発生する最大張力よりも大きい張
力で押圧するように設定されており、この張力によりベ
ルト推力を発生させるようにしている。
【0026】上記入力軸9上には駆動プーリ21におけ
る可動シーブ23背面側に、該可動シーブ23を固定シ
ーブ22に対して接離させるための駆動機構としての駆
動プーリ側カム機構50が設けられている。このカム機
構50は例えばアルミニウム合金製の円筒状のカム本体
52を有する回動カム51を備え、該回動カム51は、
可動シーブ23のボス部23a上にベアリング57を介
して入力軸9回りに相対回転可能にかつ軸方向に移動一
体に外嵌合支持されている。カム本体52の駆動プーリ
21と反対側端面には、上記ベアリング57よりも半径
方向外側でかつ円周方向に等角度間隔(180°間隔)
をあけた上下位置に、図10〜図12に示すように1対
の焼結金属からなる円弧板状のカムチップ53,53
が、タッピングねじ54を各カムチップ53に形成した
ボルト挿通孔53aに挿通してカム本体52に螺合締結
することで取付固定され、この各カムチップ53の表面
にはそれぞれ所定角度に傾斜した傾斜カム面55が形成
されている。また、カム本体52の外周には上記両カム
チップ53,53を通る線に沿って下方に延びる回動レ
バー56(図4参照。図1では説明のために出力軸13
と反対側に延びるように記載している)が回動一体に突
設されている。
【0027】また、上記回動カム51の背面側には上記
各カムチップ53と対応した位置に、各カムチップ53
のカム面55とカム接触する固定カムとしての1対のカ
ム受けベアリング59,59が配置され、この各カム受
けベアリング59は、前ケース2の内面に入力軸9の半
径方向に沿って配置固定した支持軸60に支持されてい
る。すなわち、図6に拡大して示す如く、前ケース2の
内面には所定位置に、入力軸9の半径方向に並んだ1対
の軸受部61,63が突設され、この一方の軸受部61
には入力軸9と平行な方向つまり前ケース2の内面から
開口に向かう方向に延びる有底状のねじ孔62が形成さ
れている。また、他方の軸受部63の先端には断面略半
円状の凹部64が形成されている。そして、支持軸60
の一端部は平板状とされて貫通状のボルト孔60aが形
成されており、支持軸60の他端部を上記他方の軸受部
63の凹部64に密嵌合した状態で、取付ボルト65を
支持軸60一端部のボルト孔60aを挿通して一方の軸
受部61のねじ孔62に螺合締結することで、カム受け
ベアリング59を支持軸60により前ケース2内面に固
定支持するようになっている。
【0028】一方、出力軸13上には、従動プーリ26
における可動シーブ28の背面側に、該可動シーブ28
を固定シーブ27に対して接離させるための従動プーリ
側カム機構67が設けられている。この従動プーリ側カ
ム機構67は、上記駆動プーリ側カム機構50と同様の
構成で、可動シーブ28のボス部28aに外嵌合したベ
アリング用カラー68上にベアリング74を介して出力
軸13回りに相対回転可能にかつ軸方向に移動一体に外
嵌合支持された回動カム69を有する。この回動カム6
9はカム本体70と、その従動プーリ26と反対側端面
でベアリング74よりも出力軸13の半径方向外側でか
つ円周方向に等角度間隔をあけた上下位置に取付固定さ
れ、各々傾斜カム面72を有する1対の焼結金属からな
るカムチップ71,71とからなり、この各カムチップ
71は、上記駆動プーリ側カム機構50の回動カム51
と同様に(尚、この回動カム51と同じ図10〜図12
に基づいて説明する)、タッピングねじ54をカムチッ
プ71のボルト挿通孔71aに挿通してカム本体70に
螺合締結することで固定されている。また、このカム本
体70の外周には、上記両カムチップ71,71を通る
線に沿って下方、つまり上記駆動プーリ側カム機構50
の回動レバー56と同じ方向に延びる回動レバー73
(図1では説明のために入力軸9と反対側に延びるよう
に記載している)が回動一体に突設されている。
【0029】また、回動カム69の背面側には、上記各
カムチップ71とカム接触する固定カムとしての1対の
カム受けベアリング76,76がカムチップ71,71
と対応して配置され、この各カム受けベアリング76
は、後ケース3の内面に出力軸13の半径方向に沿って
配置固定した支持軸77上に支持されている。このカム
受けベアリング76の支持構造は上記駆動プーリ側カム
機構50のものと同じであるので(図6参照)、図6と
同じ部分については同じ符号を付してその説明は省略す
る。
【0030】そして、図8及び図9にも示す如く、上記
駆動プーリ側カム機構50におけるカム51外周の回動
レバー56先端部と、従動プーリ側カム機構67のカム
69外周の回動レバー73先端部とは互いに連係して回
動するようにリンクバー79により連結されている。こ
のリンクバー79は略細長い三角形の板材からなり、そ
の中間部は上記変速機ケース1下部の凹部(図4参照)
と干渉しないように上側に折り曲げられ、その前縁には
リブ状のフランジ79aが一体形成されている。リンク
バー79の一端部(三角形の3頂点の1つをなす部分)
にはピン孔80が、また駆動プーリ側カム機構50の回
動レバー56先端部には上記ピン孔80よりも小径のピ
ン孔81がそれぞれ入力軸9と平行に貫通形成され、両
ピン孔80,81を合致させかつリンクバー79のピン
孔80に焼結金属からなるブッシュ82を嵌挿した状態
でリンクピン83を両ピン孔80,81に挿通して抜き
止めすることで、リンクバー79と回動レバー56先端
部とがリンクピン83により揺動可能に連結されてい
る。
【0031】一方、リンクバー79の他端部における後
端部(三角形の残りの2頂点の1つをなす部分)にもピ
ン孔85が、また従動プーリ側カム機構67の回動レバ
ー73先端部にも上記ピン孔85よりも小径のピン孔8
6がそれぞれ出力軸13と平行に貫通形成され、両ピン
孔85,86を合致させかつリンクバー79のピン孔8
5に焼結金属製ブッシュ87を嵌挿した状態でリンクピ
ン88を両ピン孔85,86に挿通して抜き止めするこ
とで、リンクバー79と回動レバー73の先端部とがリ
ンクピン88により揺動可能に連結されている。そし
て、上記回動レバー56,73、リンクピン83,88
及びリンクバー79により変速切換機構89が構成され
ており、この変速切換機構89により、各カム機構5
0,67における回動カム51,69を互いに連係して
可動シーブ23,28のボス部23a,28a回りに回
動させ、その各カムチップ53,71のカム面55,7
2上でカム受けベアリング59,76を転動させること
により、各プーリ21,26の可動シーブ23,28を
軸方向に移動させて固定シーブ22,27に対し互いに
相反して接離させ、そのベルト溝24,29の有効半径
つまり各プーリ21,26でのベルト巻付け径を可変と
し、両プーリ21,26間のプーリ比つまり変速機Tの
変速比を変化させるようにしている。
【0032】上記従動プーリ26側には、伝動トルクが
作用して可動シーブ28と出力軸13とが相対回転した
ときにその可動シーブ28を軸方向に移動させてベルト
推力を発生させるトルクカム機構91が設けられてい
る。このトルクカム機構91は、図3にも示すように、
可動シーブ28のボス部28aにおける直径方向に対向
した位置(上記両係合溝31,31と90°ずれた位
置)に、出力軸13の軸線方向に向かって円周方向に向
かうように傾斜しかつボス部28aの内外面に亘り貫通
する1対のカム孔92,92を備えている。また、出力
軸13において上記スリーブ16により覆われていない
部位の外周面には直径方向に対向する位置に、出力軸1
3外周面の軸方向の一部を部分的に接線方向と平行に所
定深さだけ切り欠いてなる切欠き93,93が形成され
ている。そして、出力軸13には直径方向に貫通するピ
ン94が圧入により固定支持され、該ピン94の両端部
は上記切欠き93,93から所定寸法だけ突出し、この
ピン94両端の突出部にはそれぞれ、上記可動シーブ2
8のボス部28aにおけるカム孔92に係合して外輪9
5aをカム孔92側面に当接して転動させるベアリング
95が支持されており、従動プーリ26に伝動トルクが
作用したとき、カム孔92とベアリング95とのカム効
果により可動シーブ28を軸方向に移動させてベルト推
力を発生させるようにしている。
【0033】さらに、前ケース2の前壁部には、略入力
軸9及び出力軸13間でかつ両軸9,13の各軸心を通
る平面上の位置にボス状の軸挿通孔97が貫通形成さ
れ、この軸挿通孔97には入力軸9(出力軸13)と平
行方向に延びる操作軸98がベアリング99によって回
転可能に支持され、この操作軸98の一端は変速機ケー
ス1外に延びていて断面四角形状とされ、その端部に図
外の操作レバーが回動一体に取り付けられる。
【0034】図4、図8及び図9に示すように、操作軸
98の他端は変速機ケース1内に位置し、その他端部に
はクランクアーム100の基端が回転一体に溶接固定さ
れている。このクランクアーム100は略く字形状に彎
曲した板材からなり、その先端部には連結ロッド102
の一端部が連結されている。この連結ロッド102は、
各々先端部に直交方向の軸部101aが回動可能に支持
された1対のリンクボール101,101を軸部101
a,101aが逆向きに配置されるよう結合してなるも
ので、クランクアーム100の先端部に連結ロッド10
2の一方のリンクボール101がその軸部101aにて
連結されている。この連結ロッド102の他端部つまり
他方のリンクボール101の軸部101aは、上記リン
クバー79において駆動プーリ側カム機構50の回動レ
バー56近傍に連結されている。そして、操作軸98を
操作レバーによりLo位置及びHi位置の間で回動切換
操作することで、変速切換機構89を作動させて、各回
動カム51,69に突設されている各回動アーム56,
73をLo及びHi位置間で回動させ、変速プーリ機構
20のプーリ比を変えることで、上記出力軸13を入力
軸9に対し減速状態又は増速状態に切り換えて変速する
ようになされている。
【0035】また、107は入力軸9、出力軸13及び
操作軸98周りに配置されたダストシールである。
【0036】次に、上記実施形態に係る変速機の作動に
ついて説明する。農業機械に搭載したエンジンが変速機
Tの入力軸9に駆動連結され、その出力軸13が駆動車
輪に駆動連結されているので、エンジンの回転動力は変
速機Tで変速された後、駆動車輪に伝達される。そし
て、駆動及び従動プーリ側カム機構50,67における
回動レバー56,73同士がリンクバー79により連係
されているため、操作軸98の切換操作により変速プー
リ機構20のプーリ比が変えられて変速機Tの変速比が
切り換えられる。
【0037】(低速状態)具体的には、変速機Tの変速
比を下げて低速状態(Lo状態)とするとき、操作軸9
8が操作レバーにより回動切換操作されてLo位置に位
置付けられる。すなわち、操作軸98の内端にはクラン
クアーム100の基端部が一体に固定され、このクラン
クアーム100の先端部は連結ロッド102を介してリ
ンクバー79に連結され、このリンクバー79は、駆動
プーリ側カム機構50における回動カム51外周の回動
レバー56と、従動プーリ側カム機構67における回動
カム69外周の回動レバー73とを連結しているので、
操作軸98の回動に伴ってクランクアーム100が回動
して両回動レバー56,73が回動する。そして、上記
操作軸98のLo位置への切換状態では、上記従動プー
リ側カム機構67の回動カム69がそのカムチップ7
1,71のカム面72,72上でそれぞれカム受けベア
リング76,76を転動させながら従動プーリ26にお
ける可動シーブ28のボス部28a回りに一方向に回動
する。この回動により、上記各カム面72がカム受けベ
アリング76に押されて回動カム69が出力軸13周囲
のスリーブ16上を移動し、該カム69にベアリング7
4を介して移動一体の可動シーブ28が同方向に移動し
て固定シーブ27に接近する。このことにより従動プー
リ26が閉じてそのベルト巻付け径が増大し、このベル
ト巻付け径の増大によりVベルト30が従動プーリ26
側に引き寄せられる。
【0038】また、これと同時に、上記操作軸98のL
o位置への切換えに伴い、上記従動プーリ26の可動シ
ーブ28の動きに同期して、駆動プーリ側カム機構50
の回動カム51が入力軸9上を上記従動プーリ側カム機
構67のカム69と同じ一方向に回動する。このカム5
1の回動によりその各カムチップ53のカム面55のカ
ム受けベアリング59に対する押圧がなくなる。このた
め、上記従動プーリ26側に移動するベルト30の張力
により、カム51及びそれにベアリング57を介して連
結されている可動シーブ23は固定シーブ22から離れ
る方向に入力軸9上を移動し、この両シーブ22,23
の離隔により駆動プーリ21が開いてベルト巻付け径が
減少する。これらの結果、従動プーリ26のベルト巻付
け径が駆動プーリ21よりも大きくなり、入力軸9の回
転が減速されて出力軸13に伝達される。このことで変
速機TはLo状態になり、エンジンの回転が減速されて
駆動車輪に伝達される。
【0039】尚、テンション機構38のテンションスプ
リング48の付勢力によりテンションアーム39が図4
で時計回り方向に回動付勢され、その先端のテンション
プーリ41がベルト30の緩み側スパン30a内面を押
圧し、この押圧によりベルト30に張力が付与される。
このとき、この張力は緩み側スパン30aに発生する最
大張力よりも大きいため、このベルト張力によりベルト
30のプーリ21,26に対するくさび効果が生じて推
力が発生し、この推力により両プーリ21,26間でベ
ルト30を介して動力が伝達される。
【0040】(高速状態)一方、上記操作軸98をHi
位置に位置付けると、このHi位置への切換状態では、
上記駆動プーリ側カム機構50のカム51がその各カム
チップ53のカム面55上でカム受けベアリング59を
転動させながら駆動プーリ21における可動シーブ23
のボス部23a回りに他方向に回動する。このことによ
り、上記カム面55がカム受けベアリング59に押され
てカム51が入力軸9上を移動し、該カム51に移動一
体の可動シーブ23が同方向に移動して固定シーブ22
に接近する。このことにより駆動プーリ21が閉じてそ
のベルト巻付け径が増大し、このベルト巻付け径の増大
によりVベルト30が駆動プーリ21側に引き寄せられ
る。
【0041】また、これと同時に、上記従動プーリ側カ
ム機構67のカム69がスリーブ16上で上記駆動プー
リ側カム機構50のカム51と同じ他方向に回動する。
このカム69の回動によりカム受けベアリング76に対
する押圧がなくなる。このため、上記駆動プーリ21側
に移動するベルト30の張力により、カム69及びそれ
にベアリング74を介して連結されている可動シーブ2
8は固定シーブ27から離れる方向にスリーブ16上を
移動し、この両シーブ27,28の離隔により従動プー
リ26が開いてベルト巻付け径が減少する。これらの結
果、駆動プーリ21のベルト巻付け径が従動プーリ26
よりも大きくなり、入力軸9の回転が増速されて出力軸
13に伝達される。この結果、変速機TはHi状態にな
り、エンジンの回転が増速されて駆動車輪に伝達され
る。
【0042】この実施形態の場合、変速プーリ機構20
の各プーリ21,26における可動シーブ23,28の
ボス部23a,28a上に各カム機構50,67の回動
カム51,69がベアリング57,74を介して支持さ
れ、これら両回動カム51,69外周の回動レバー5
6,73同士が1つのリンクバー79で連結されている
ので、上記変速プーリ機構20の変速切換時に、前ケー
ス2及び後ケース3にそれぞれ支持されたカム受けベア
リング59,76から回動カム51,69におけるカム
チップ53,71のカム面55,72に力が該カム面5
5,72と直角方向に作用し、この力の入力軸9及び出
力軸13に直交方向の直角分力が入力軸9及び出力軸1
3の軸心とリンクバー79への連結点とを結ぶ線と直角
に作用したとき、入力軸9及び出力軸13の軸心とリン
クバー79への連結点とを結ぶ線に対しプーリ比の変化
に拘らず直角でかつ上記直角分力と逆向きのカム回転反
力が生じ、このカム回転反力は、回動カムが支持されて
いる可動シーブ23,28のボス部23a,28aに対
し、プーリ21,26のベルト30が巻き掛けられてい
る範囲の中央位置においてボス部23a,28aを押圧
するように作用する。つまり、このボス部23a,28
aに対するカム回転反力は、ボス部23a,28aと入
力軸9及び出力軸13との摺動部分におけるクリアラン
スで、可動シーブ23,28がベルト30から推力を受
けたときに可動シーブ23,28を入力軸9及び出力軸
13に対し傾倒させる方向に働くモーメントとは逆方向
のモーメントが生じるように作用し、このモーメントに
より元のモーメントが相殺されて小さくなり、可動シー
ブ23,28のボス部23a,28a内周の入力軸9及
び出力軸13外周に対する面圧分布が軸心方向に分散
し、ボス部23a,28aの摺動抵抗が小さくなる。こ
の摺動抵抗が小さくなった分だけ、ベルト発生推力の回
動カム51,69による固定点に与える荷重(つまり取
出推力)が大きくなり、換言すれば、ベルト発生推力が
大きな抵抗なく回動カム51,69に取出推力として伝
達されることとなる。そして、プーリ比を変化させると
きには、ベルト発生推力と取出推力との差が変速操作に
必要な荷重(操作力)であるので、取出推力が大きい分
だけ、逆に操作力が小さくて済むこととになる。その結
果、上記変速プーリ機構20における両変速プーリ2
1,26間のベルト30の推力バランスにより変速操作
力を低減することができる。
【0043】次に、上記テンションスプリング48を張
り状態としながら変速機ケース1内に組み付ける作業に
ついて図13により説明すると、予め、前ケース2に変
速プーリ機構20、テンション機構38、各カム機構5
0,67、変速切換機構89、操作軸98等を組み付け
て、後ケース3のみが組み付けられていない状態として
おき、テンションスプリング48はテンションアーム3
9のばね取付アーム部43と前ケース2内面のテンショ
ン用カラー46との間に収縮状態で掛け渡す。このと
き、テンションスプリング48が収縮しているので、テ
ンションプーリ41によりベルト30の緩み側スパン3
0aは大きく押圧されて変速機ケース1(前ケース2)
外に食み出した状態となる。
【0044】そして、先端部の一側に軸係合部111a
が、また中間部の所定位置の他側にカラー係合部111
bがそれぞれ切欠形成されている板状の組付治具111
を用意し、後ケース3を前ケース2に両フランジ2c,
3cが近接した状態として仮付けした後、上記組付治具
111の軸係合部111aをテンション軸40に係合さ
せ、その状態で組付治具111を押して上記テンション
スプリング48を伸長させながらテンションプーリ41
を変速機ケース1内側に押し込み、次いで、組付治具1
11をテンション軸40との係合位置を支点として図1
3で反時計回り方向に回してカラー係合部111bを、
テンションプーリ41近くにある前ケース2のフランジ
2cのねじ孔4に嵌挿されたカラー7に係合させて止め
る。この状態では、テンションスプリング48が伸長状
態となってテンションプーリ41が変速機ケース1内に
移動し、そのテンションプーリ41はベルト30内面を
押圧した状態である通常の変速状態の位置に位置付けら
れる。しかる後、上記仮付けした後ケース3を前ケース
2に組付ボルト6,6,…の挿通締結によって組み付
け、その組付けが完了する直前に上記組付治具111を
時計回り方向に回し操作して前後ケース2,3間の隙間
から抜き取った後、前後ケース2,3の組付けを完了さ
せればよい。
【0045】そのとき、予め、前ケース2の1対のねじ
孔4,4にノックピンとしてのカラー7,7が嵌挿され
ているので、後ケース3を前ケース2に位置決めして組
み付ける際、上記両カラー7,7をそれぞれ後ケース3
の対応するボルト挿通孔5,5に嵌挿するだけで正確に
位置決めすることができ、その位置決めを容易に行うこ
とができる。
【0046】しかも、上記カラー7,7の一方が、上記
組付治具111をテンションスプリング48を伸長状態
で固定するための係合部を兼用しているので、この係合
部と位置決め用カラーとの兼用により部品点数の低減や
ケース1の組付作業(変速機Tの組立作業)の容易化等
を図ることができる。
【0047】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、テンション機構38において、テンションアーム3
9、そのボス部39a、テンション軸40が全て溶接に
より結合されて一体化されているので、テンション機構
38の構造が簡略化され、部品点数の低減や組付性の向
上を図ることができる。
【0048】また、上記テンションスプリング48の固
定側端部が、変速機ケース1内に取付固定したテンショ
ン用カラー46に係止されているので、そのスプリング
48のケース1側への係止固定が容易となるとともに、
スプリング48が変速機ケース1外に出ないので、その
変速機ケース1の密閉度を高めることができ、該ケーシ
ング1の密閉度を高めることができる。このため、ケー
シング1内への塵埃等の異物の侵入による作動不良や破
損などの不具合が回避されることになり、これにより装
置全体としての信頼性の向上を図ることができる。
【0049】尚、上記実施形態は、1対の変速プーリか
らなる変速プーリ機構20を有する変速機Tに適用した
場合であるが、本発明は、回転軸上に固定及び可動シー
ブを対向配置した変速プーリを少なくとも1つ有する変
速機や、変速プーリ機構を持たないプーリ式動力伝達装
置に対しても適用することができる。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1及び2記
載の発明によれば、一対のプーリにベルトが巻き掛けら
れ、テンション機構によってベルトの緩み側スパンを押
圧してベルトへの推力を発生させるようにしたプーリ式
動力伝達装置に対し、テンション機構を構成するテンシ
ョンアーム、ボス部及びテンション軸を互いに溶接して
一体化することで、これらを1個のユニット化された部
材として扱うことができるようにしたために、テンショ
ン機構の構造の簡略化、部品点数の低減、組付性の向上
を図ることができ、また、テンション軸をテンションア
ームにねじ止めするものではないので、このねじ止め部
分が緩んでしまうといった虞れもなく、連結部分に十分
な信頼性を確保することができる。これによって装置全
体としての構造の簡略化、部品点数の低減、組付性の向
上、信頼性の向上を図ることができる。
【0051】請求項3記載の発明によれば、テンション
アームに対して回動付勢力を与えるコイルスプリングの
一端をテンションアームに、また他端を装置ケーシング
の内面に設けたスプリング係止部に夫々係止したため
に、テンション機構全体を装置ケーシング内に収容する
ことができ、該ケーシングの密閉度を高めることができ
る。このため、ケーシング内への塵埃等の異物の侵入に
よる作動不良や破損などの不具合が回避されることにな
り、これによっても装置全体としての信頼性の向上を図
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るプーリ式変速機の水平断
面図である。
【図2】テンション機構を示す断面図である。
【図3】図1のIII-III 線拡大断面図である。
【図4】プーリ式変速機をケースを開けた状態で示す正
面図である。
【図5】テンションアームの拡大正面図である。
【図6】ケースにおけるカム受けベアリング取付部の構
造を示す拡大断面図である。
【図7】ケースにおけるスプリング取付部の構造を示す
拡大断面図である。
【図8】変速切換機構のリンクバー、連結ロッド、クラ
ンクアーム及び操作軸の連結構造を示す拡大正面図であ
る。
【図9】変速切換機構のリンクバー、連結ロッド、クラ
ンクアーム及び操作軸の連結構造を示す拡大平面図であ
る。
【図10】カム本体に対するカムチップの取付構造を示
す拡大展開図である。
【図11】カム本体に対するカムチップの取付構造を示
す拡大正面図である。
【図12】カム本体に対するカムチップの取付構造を示
す拡大断面図である。
【図13】治具によりテンションスプリングを張りなが
ら前後ケースを組み付ける状態を示す正面図である。
【符号の説明】
1 変速機ケース 9 入力軸 13 出力軸 21 駆動プーリ 26 従動プーリ 22,27 固定シーブ 23,28 可動シーブ 23a,28a ボス部 24,29 ベルト溝 30 Vベルト 38 テンション機構 39 テンションアーム 39a ボス部 40 テンション軸 41 テンションプーリ 46 テンション用カラー 48 テンションスプリング 50 駆動プーリ側カム機構 51,69 回動カム 59,76 カム軸受けベアリング 67 従動プーリ側カム機構

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに平行に配置された1対の回転軸
    と、 上記各回転軸上にそれぞれ設けられ、断面略V字状のベ
    ルト溝を備えた駆動及び従動プーリと、 上記駆動及び従動プーリのベルト溝間に巻き掛けられた
    ベルトと、 上記ベルトの緩み側スパンを押圧してベルトへの推力を
    発生させるテンション機構とを備えたプーリ式動力伝達
    装置において、 上記テンション機構は、 基端部を回動中心として回動自在なテンションアーム
    と、 該テンションアームの基端部に設けられた円筒状のボス
    部と、 上記テンションアームの先端部に設けられたテンション
    軸と、 上記テンション軸に回動自在に支持され、上記緩み側ス
    パンに当接可能なテンションプーリと、 上記テンションプーリが緩み側スパンを押圧するように
    テンションアームを回動付勢する付勢手段とを備えてお
    り、 上記テンションアーム、ボス部及びテンション軸は互い
    に溶接されて一体化されていることを特徴とするプーリ
    式動力伝達装置。
  2. 【請求項2】 互いに平行に配置された1対の回転軸
    と、 上記各回転軸上にそれぞれ設けられ、各々、回転軸に回
    転一体にかつ軸方向に移動不能に固定支持された固定シ
    ーブと、該固定シーブとの間に断面略V字状のベルト溝
    を形成するように上記固定シーブに対向して設けられ、
    かつ背面側に軸方向に延びるボス部を有し、該ボス部に
    て回転軸に回転一体にかつ軸方向に移動可能に外嵌支持
    された可動シーブとからなり、一方の可動シーブの固定
    シーブへの向きと他方の可動シーブの固定シーブへの向
    きとが互いに逆向きに設定された駆動及び従動プーリ
    と、 上記駆動及び従動プーリのベルト溝間に巻き掛けられた
    ベルトと、 上記駆動及び従動プーリの各可動シーブ背面側にそれぞ
    れ配置され、各々、互いにカム接触する第1カムと第2
    カムとからなり、上記第1及び第2カムの一方が可動シ
    ーブのボス部上にベアリングを介して軸方向に可動シー
    ブと共に移動一体にかつ相対回転可能に支持され、他方
    が回転軸に軸方向に移動不能にかつ回転軸に対して相対
    回転可能に設けられ、両カムの一方は回転軸回りに回動
    可能な回動カムとされる一方、他方は回動不能な固定カ
    ムとされ、上記回動カムと固定カムとの相対回転により
    可動シーブを固定シーブに対して接離させるように軸方
    向に移動させて上記各プーリの有効半径を変化させる駆
    動プーリ側及び従動プーリ側カム機構と、 上記駆動及び従動プーリの一方の可動シーブが、対向す
    る固定シーブに接近すると他方の可動シーブが対向する
    固定シーブから離れるように上記両カム機構の回動カム
    を互いに連動連結して回動させることで上記両回転軸間
    の変速比を変化させる変速切換機構と、 上記駆動及び従動プーリ間に配置され、両プーリ間に巻
    き掛けられるベルトの緩み側スパンを該ベルトが各プー
    リのベルト溝に食い込むように押圧して、ベルトへの推
    力を発生させるテンション機構とを備えたプーリ式動力
    伝達装置において、 上記テンション機構は、 基端部を回動中心として回動自在なテンションアーム
    と、 該テンションアームの基端部に設けられた円筒状のボス
    部と、 上記テンションアームの先端部に設けられたテンション
    軸と、 上記テンション軸に回動自在に支持され、上記緩み側ス
    パンに当接可能なテンションプーリと、 上記テンションプーリが緩み側スパンを押圧するように
    テンションアームを回動付勢する付勢手段とを備えてお
    り、 上記テンションアーム、ボス部及びテンション軸は互い
    に溶接されて一体化されていることを特徴とするプーリ
    式動力伝達装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のプーリ式動力伝達
    装置において、 回転軸、各プーリ、ベルト及びテンション機構は、密閉
    容器状の装置ケーシング内に収容されており、 テンション機構の付勢手段はコイルスプリングでなって
    おり、該コイルスプリングの一端はテンションアーム
    に、また他端は装置ケーシングの内面に設けたスプリン
    グ係止部に夫々係止されていることを特徴とするプーリ
    式動力伝達装置。
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