JPH0926006A - プーリ式変速機 - Google Patents

プーリ式変速機

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Publication number
JPH0926006A
JPH0926006A JP17714395A JP17714395A JPH0926006A JP H0926006 A JPH0926006 A JP H0926006A JP 17714395 A JP17714395 A JP 17714395A JP 17714395 A JP17714395 A JP 17714395A JP H0926006 A JPH0926006 A JP H0926006A
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JP
Japan
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sheave
cam
pulley
fixed
movable
Prior art date
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Pending
Application number
JP17714395A
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English (en)
Inventor
Eiichiro Ikeda
英一郎 池田
Kazuya Sandou
和也 三堂
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Bando Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Bando Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Publication of JPH0926006A publication Critical patent/JPH0926006A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 1対の入出力軸9,16上に固定シーブ2
2,27とそれに対向配置されて接離する可動シーブ2
3,28とを設けた変速プーリを有するプーリ式変速機
において、可動シーブ23,28のボス部23a,28
a内周面に形成する係合溝31のボス部全長に対する有
効長さを長くし、可動シーブ23,28ないしプーリ2
1,26の軸方向長さのコンパクト化を図る。また、後
加工が不要で加工工数を低減し、部品点数も下げる。 【解決手段】 可動シーブ23,28のボス部23a,
28a内周面に入力軸9又はスリーブ16の外周面にピ
ン31により支持したベアリング34が係合する1対の
係合溝34,34をボス部23a,28aにおける固定
シーブ22,27側端部から固定シーブ22,27と反
対側端部までの全体に亘りブローチ加工によって形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プーリ式変速機の
改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、農業機械等においては、エン
ジンの動力を変速して駆動車輪或いは各種の作業装置に
伝達するために、ベルト伝動を利用したプーリ式の変速
機が多用されている。このベルト伝動を利用したプーリ
式変速機の一例として、従来、例えば実開昭57―16
4352号公報に示されるように、互いに平行に配置さ
れた1対の回転軸の各々に、回転軸の各々に対して回転
一体にかつ摺動不能に固定された固定シーブと、各回転
軸に固定シーブとの間に断面略V字状のベルト溝を形成
するように対向配置されて回転一体にかつ摺動自在に支
持された可動シーブとからなり、一方の可動シーブの固
定シーブへの向きと他方の可動シーブの固定シーブへの
向きとが互いに逆向きに設定された1対の可変プーリを
設けるとともに、これら両可変プーリのベルト溝間に伝
動ベルトを巻き掛け、上記各可変プーリの可動シーブ背
面側に、各々、回転軸回りに回動可能な回動カムと固定
体に連結されて回動不能な固定カムとからなり回動カム
の固定カムに対する回動により可動シーブを固定シーブ
に接離するように移動させるカム機構を配設し、両カム
機構の回動カムをロッド及び変速軸で連結することによ
り、一方の可変プーリの可動シーブがそれに対向する固
定シーブに接近すると、他方の可変プーリの可動シーブ
がそれと対向する固定シーブから離れるように上記両カ
ム機構の回動カムを互いに連係して回動させ、各可変プ
ーリの伝動ベルトに対する有効半径(プーリ径)を変化
させて両回転軸間の変速比を変化させるようにした可変
プーリ式のものが知られている。
【0003】このように回転軸上に、固定シーブ及び可
動シーブからなる変速プーリを備えた変速機において
は、可動シーブを回転軸に対して摺動可能に支持するた
めの構造として、可動シーブのボス部と回転軸とをキー
結合するもの、或いは可動シーブのボス部内周面に軸方
向のリング溝を形成し、回転軸外周にピンを突設して、
それにリング溝と係合するリングを回転可能に支持する
ものが一般的に採用される。
【0004】そして、可動シーブのボス部内周面にキー
溝やリング溝等の係合溝を形成する場合、ボス部にその
外周面からエンドミル加工によって軸方向に延びる長孔
を貫通形成し、その後、ボス部に円筒状カラーを外嵌合
して該カラーで上記長孔を外面側から閉塞することで、
長孔周囲を溝側面としかつカラー内周面を溝底部とする
係合溝を形成することが考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、その場合、ボ
ス部をその外周面側からボス部軸線と直交する方向の軸
心を持つエンドミルによって長孔を加工する際、そのエ
ンドミルが可動シーブのシーブ本体と干渉するので、長
孔の固定シーブ側端部はエンドミルが可動シーブのシー
ブ本体と干渉しない位置までしか加工できない。このた
め、ボス部の全長に対して係合溝の有効長さが短くな
り、換言すれば係合溝として所定の有効長さが必要なと
きにはそれに対するボス部の全長が必然的に長くなり、
可動シーブひいてはプーリの軸方向長さが長くなって、
そのコンパクト化に限度がある。
【0006】また、長孔の加工後、ボス部にカラーを外
嵌合する工程が必要であり、加工工数が多くなるととも
に、カラーが必要で部品点数も増加する。
【0007】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、上記変速プーリにおける
可動シーブのボス部内周面に形成する係合溝の構造を改
良することで、ボス部に対する係合溝の長さを長くでき
るようにし、可動シーブないし変速プーリのコンパクト
化を図るとともに、部品点数及び加工工数の低減を図る
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明では、可動シーブのボス部内周面の係合
溝をブローチ加工によってボス部の軸方向の一端から他
端まで形成することとした。
【0009】具体的には、請求項1の発明では、回転軸
に回転一体にかつ軸方向に移動不能に支持された固定シ
ーブと、この固定シーブとの間にベルトが巻き掛けられ
る断面略V字状のベルト溝を形成するように固定シーブ
と対向した状態で配置され、回転軸にボス部にて回転一
体にかつ軸方向に移動可能に支持された可動シーブとか
らなる変速プーリを備えたプーリ式変速機が前提であ
る。
【0010】そして、上記可動シーブのボス部内周面
に、軸方向に延びる係合溝を形成する一方、このボス部
内周面に対応する回転軸外周面に、上記係合溝と係合す
る係合部を設ける。
【0011】さらに、上記係合溝は、可動シーブのボス
部における固定シーブ側端部から固定シーブと反対側端
部までの全体に亘りブローチ加工されて設けられている
ものとする。
【0012】すなわち、可動シーブのボス部内周面をブ
ローチ加工等して係合溝を形成することにより、エンド
ミル加工時のように可動シーブのシーブ本体と干渉する
懸念がなくなり、係合溝をボス部の固定シーブ側端部か
ら固定シーブと反対側端部までの全体に亘り形成するこ
とができる。そして、こうして可動シーブのボス部内周
面の係合溝がボス部の固定シーブ側端部から固定シーブ
と反対側端部までの全体に亘り形成されているので、係
合溝の有効長さをボス部の全長近くまでの寸法値とする
ことができ、その分、ボス部の長さひいては可動シーブ
ないしプーリの軸方向長さを短くしてそのコンパクト化
を図ることができる。
【0013】また、可動シーブのボス部内周面にブロー
チ加工により係合溝を形成することで、エンドミル加工
のように加工後にボス部にカラーを外嵌合して長孔を塞
ぐ工程が不要で、加工のままでよく、加工工数を減少で
きるとともに、カラーを省略して部品点数の低減を図る
こともできる。
【0014】請求項2の発明では、互いに平行に配置さ
れた1対の回転軸と、この各回転軸上にそれぞれ設けら
れ、各々、回転軸に回転一体にかつ軸方向に移動不能に
固定支持された固定シーブ、及び該固定シーブとの間に
断面略V字状のベルト溝を形成するように上記固定シー
ブに対向して設けられ、かつ背面側に軸方向に延びるボ
ス部を有し、該ボス部にて回転軸に回転一体にかつ軸方
向に移動可能に外嵌支持された可動シーブからなり、一
方の可動シーブの固定シーブへの向きと他方の可動シー
ブの固定シーブへの向きとが互いに逆向きに設定された
駆動及び従動プーリと、これら駆動及び従動プーリのベ
ルト溝間に巻き掛けられたベルトと、上記駆動及び従動
プーリの各可動シーブ背面側にそれぞれ配置され、各
々、互いにカム接触する第1及び第2カムからなり、こ
の第1及び第2カムの一方が可動シーブのボス部上にベ
アリングを介して軸方向に可動シーブと共に移動一体に
かつ相対回転可能に支持され、他方が回転軸に軸方向に
移動不能にかつ回転軸に対して相対回転可能に設けら
れ、両カムの一方は回転軸回りに回動可能な回動カムと
される一方、他方は回動不能な固定カムとされ、上記回
動カムと固定カムとの相対回転により可動シーブを固定
シーブに対して接離させるように軸方向に移動させて上
記各プーリの有効半径を変化させる駆動プーリ側及び従
動プーリ側カム機構と、上記駆動及び従動プーリの一方
の可動シーブが、対向する固定シーブに接近すると他方
の可動シーブが対向する固定シーブから離れるように上
記両カム機構の回動カムを互いに連動連結して回動させ
ることで上記両回転軸間の変速比を変化させる変速切換
機構と、上記駆動及び従動プーリ間に配置され、両プー
リ間に巻き掛けられるベルトの緩み側スパンを該ベルト
が各プーリのベルト溝に食い込むように押圧して、ベル
トへの推力を発生させるテンション機構とを備えたプー
リ式変速機が前提である。
【0015】そして、請求項1の発明と同様に、上記各
プーリの可動シーブのボス部内周面に、軸方向に延びる
係合溝を、ボス部における固定シーブ側端部から固定シ
ーブと反対側端部までの全体に亘りブローチ加工により
形成する一方、上記可動シーブのボス部内周面に対応す
る回転軸外周面には、上記係合溝に係合する係合部を設
ける。
【0016】この発明では、両回転軸間の変速比を切り
換える場合、駆動プーリ側又は従動プーリ側カム機構の
一方の回動カム(第1又は第2カムの一方)を固定カム
(第1又は第2カムの他方)に対し相対回転させると、
該カム機構側のプーリの可動シーブが軸方向に移動して
固定シーブに接近し、該プーリが閉じる。これに対し、
上記駆動及び従動プーリ側カム機構における回動カム同
士は変速切換機構により連動するように連結されている
ので、駆動プーリ側又は従動プーリ側カム機構の他方の
回動カムも固定カムに対し相対回転し、該カム機構側の
プーリの可動シーブが軸方向に移動して固定シーブから
離れ、該プーリが開く。こうして両プーリは、各々の可
動シーブの固定シーブに対する接離動作が逆方向にな
り、この両可動シーブの逆方向の移動によって両回転軸
間の変速比が切換変更される。
【0017】そして、上記駆動及び従動の両プーリ間に
巻き掛けられるベルトの緩み側スパンがテンション機構
により押圧されて、ベルトは各プーリのベルト溝に食い
込み、そのときの楔効果によりベルト推力が発生し、こ
のベルト推力により回転軸間で動力が伝達される。
【0018】また、こうしてベルトへの推力はその緩み
側スパンの押圧により発生し、両回転軸間の変速切換時
には上記変速切換機構により駆動及び従動プーリ側カム
機構における回動カムが連動して、両プーリが互いに同
期して開閉するため、駆動及び従動プーリの開閉の挙動
は逆になり、両プーリ間の開閉推力が部分的に相殺し合
い、その残りが変速操作力となる。すなわち、一般に、
ベルトに作用する初張力は、駆動プーリに入力される回
転トルクにより張り側及び緩み側張力に分れ、この両張
力の差により駆動プーリから従動プーリに動力伝達が行
われるが、各プーリに発生する推力(ベルトをプーリが
推す力)は、プーリが回転しない静的状態、或いは回転
していても伝動負荷の小さい軽負荷状態では略同じとな
る。これに対し、伝動負荷が大きくなると、ベルトにお
ける張力分布の変化により、駆動プーリ側の推力が常に
従動プーリ側の推力よりも大きくなり、両推力に差が生
じる。そして、この発明では、各プーリの可動シーブの
背面側にカム機構が配置され、これらはいずれも第1カ
ムと第2カムとの相対回転により可動シーブを軸方向に
移動させるものであるため、両プーリに発生する推力は
互いに相殺され、両推力の差よりも大きな外力を与える
ことで、変速操作することができる。従って、このよう
に変速操作力は、両プーリに発生する推力の差を越えた
操作力でよいので、軽負荷時には勿論のこと高負荷時で
あっても変速操作力を大幅に軽減することができる。
【0019】しかも、そのとき、一方のプーリに発生す
る推力を他方のプーリに推力として伝達するのを、各プ
ーリの可動シーブ背面側に配置したカム機構で行ってい
るので、各プーリの推力を効率よく該プーリ側カム機構
の両カムを相対回転させるためのトルクに転換でき、ま
た、その間の動力伝達経路が短くて摺動抵抗が極めて小
さくなり、変速操作力をより一層軽減することができ
る。
【0020】そのとき、上記プーリの推力から転換され
た、第1及び第2カムを相対回転させるためのトルクに
より、両カムにはそれぞれカム回転反力が生じる。そし
て、可動シーブのボス部上にベアリングを介して支持さ
れている一方のカムに生じるカム回転反力は、該カムを
支持している可動シーブのボス部を押圧するように作用
する。つまり、このボス部に対するカム回転反力は、ボ
ス部と回転軸との摺動部分におけるクリアランスによっ
て可動シーブがベルトから推力を受けたときに可動シー
ブを回転軸に対して傾倒させる方向に働くモーメントと
は逆方向のモーメントが生じるように作用し、この逆方
向のモーメントにより上記ボス部が回転軸に対して略平
行度を保つようになるとともに、上記カム回転反力によ
る押圧力は所定幅のベアリングを介して上記ボス部に作
用するので、可動シーブのボス部内周の回転軸外周に対
する面圧分布が軸方向に分散して大きなピークがなくな
り、その結果、ボス部の摺動抵抗が小さくなる。この摺
動抵抗が小さくなった分だけ、ベルト発生推力が従来よ
りも大きな取出推力としてカム機構に伝達されることと
なる。
【0021】そして、変速機は、両プーリ間の開閉力が
逆になって両プーリ間の開閉力が部分的に互いに相殺し
合うように両カム機構の回動カム同士が変速切換機構で
連結され、一方のカム機構の取出推力を他方のカム機構
のベルト推力に利用するようにしていることから、この
関係をシーソーに例えた場合、変速比が一定で変速切換
えを行わないときには、上記取出推力自体は本発明の場
合が従来の場合よりも大きくなるものの、駆動側及び従
動側で取出推力は同じとなり、これらが互いに釣り合っ
て推力の取出効率は従来の場合と同じである。
【0022】ところが、変速比を変化させるときには、
ベルト発生推力と取出推力との差が変速操作に必要な荷
重(操作力)であるので、従来の場合では、取出推力が
小さい分だけ残りの操作力が大きくなるのに対し、この
発明では、取出推力が大きいことから、その分、逆に操
作力が小さくて済むこととなる。その結果、両回転軸間
の変速切換えが小さな操作力で敏速に行われる。
【0023】そして、この発明においても、上記請求項
1の発明と同様に、各プーリの可動シーブのボス部内周
面にブローチ加工により係合溝が形成されるので、ボス
部長さに対する係合溝の有効長さを長くし、ボス部の長
さひいては可動シーブないしプーリの軸方向長さを短く
してそのコンパクト化を図ることができるとともに、加
工工数及び部品点数の低減を図ることができる。
【0024】請求項3の発明では、上記係合部は、回転
軸外周面に突設されたピンと、このピンに支持され、上
記係合溝の側面に当接して転動する外輪を有するベアリ
ングとを備えてなるものとする。
【0025】この構成により、変速機の負荷状態でトル
クを受けた状態で可動シーブを回転軸の軸方向に摺動さ
せて変速しようとすると、この可動シーブの摺動に伴
い、ピン上のベアリングがその外輪外周面を係合溝側面
に当接させた状態で係合溝内を転動することとなり、こ
のときの摺動抵抗は、ベアリング外周面と係合溝との転
がり抵抗及びベアリングの内外輪での転がり抵抗とな
り、滑り抵抗は生じない。従って、この摺動抵抗はキー
結合やスプライン結合での滑り抵抗に比べて大幅に低下
し、変速操作力を低減することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図3及び図4は本発明に係るプーリ
式無段変速機Tの全体構成を示し、この変速機Tは、図
示しないが走行型の農業機械においてエンジンと駆動車
輪との間の動力伝達経路に配設されている。
【0027】図3及び図4において、1は変速機Tのケ
ースで、この変速機ケース1は図3の左側にある前ケー
ス2と、右側の後ケース3とに2分割されている。前ケ
ース2は、図3で右側に開放された皿状のもので、その
図3で上部にはボス状(円筒状)の入力軸受孔2aが貫
通形成され、また下部には同形状の出力軸受穴2bが凹
陥形成されている。また、後ケース3は、図3で左側に
開放された皿状のもので、その図3で上部にはボス状の
入力軸受孔3aが上記前ケース2の入力軸受孔2aに対
応して、また下部には同様の出力軸受孔3bが前ケース
2の出力軸受孔3bに対応してそれぞれ貫通形成されて
いる。そして、前ケース2の開口縁部にはフランジ2c
が形成され、このフランジ2cには複数のねじ孔4,
4,…が開口されている。一方、後ケース3の開口縁部
には上記前ケース2のフランジ2cと接合されるフラン
ジ3cが形成され、このフランジ3cには前ケース2の
ねじ孔4,4,…に対応して複数のボルト挿通孔5,
5,…が設けられており、前後ケース2,3の組付時に
両フランジ2c,3cを当接させて後ケース3の各ボル
ト挿通孔5にそれぞれ組付ボルト6を挿通し、この各組
付ボルト6の先端部を前ケース2の対応するねじ孔4に
螺合締結することで、両ケース2,3を一体に組み付け
るようにしている。
【0028】上記前ケース2における複数のねじ孔4,
4,…のうち、後述するテンションプーリ41の近傍に
位置するねじ孔4(図4上端左側のもの)と、該ねじ孔
4に対してテンションプーリ41と略反対側にあるねじ
孔4(図4下端右側のもの)との1対にはそれぞれカラ
ー7,7がノックピンとして嵌挿されており、このカラ
ー7,7によって前後ケース2,3の組付時の芯出しを
行うようになっている。
【0029】尚、図4に示す如く、変速機ケース1下部
の左右中間部は、変速機Tの下側を農業機械の前後方向
に延びるプロペラシャフト113と干渉しないように部
分的に凹陥されている。
【0030】変速機ケース1には、互いに平行に配置し
た入力軸9(回転軸)及び出力軸13が前後ケース2,
3に亘って回転可能に支承されている。尚、入力軸9及
び出力軸13は図4で反時計回り方向に回転する。入力
軸9の前端部(図3の左端部)は前ケース2の入力軸受
孔2aにベアリング10を介して、また後端部は後ケー
ス3の入力軸受孔3aにベアリング11を介してそれぞ
れ回転可能に支持されている。入力軸9の前端(図3の
左端)はケース1から外部に突出し、この端部に図外の
エンジンの出力軸が駆動連結される。
【0031】一方、出力軸13の前端部(図3の左端
部)には小径部13aが形成され、この小径部13aに
て出力軸13が前ケース2の出力軸受穴2bにベアリン
グ14を介して回転可能に支持されている。一方、出力
軸13の後端部は後ケース3の出力軸受孔3bにベアリ
ング15を介して回転可能に支持され、この出力軸13
の後端はケース1外に突出していて、図外の駆動車輪に
駆動連結されている。そして、出力軸13の中間部には
スリーブ16(この実施形態ではスリーブ16と出力軸
13とで本発明でいう回転軸が構成される)が相対回転
可能に外嵌合されている。このスリーブ16の前端部内
径は他の部分よりも大径とされて大径部16aが形成さ
れ、この大径部16aと、出力軸13前端の小径部13
aで上記ベアリング14の位置よりも後側部分との間に
はベアリング17がその内輪17aを出力軸13の小径
部13aに、また外輪17bをスリーブ16にそれぞれ
係合せしめて介設されている。
【0032】変速機ケース1内には、上記入力軸9及び
出力軸13をVベルト30によって変速可能に駆動連結
する変速プーリ機構20が収容されている。この変速プ
ーリ機構20は、入力軸9上に配置された変速プーリか
らなる駆動プーリ21を有する。この駆動プーリ21
は、入力軸9上に回転一体にかつ摺動不能にキー結合さ
れたフランジ状の固定シーブ22と、入力軸9上に固定
シーブ22に対向するようにボス部23aにて摺動可能
にかつ相対回転可能に支持されたフランジ状の可動シー
ブ23とからなり、これら両シーブ22,23間に断面
略V字状のベルト溝24が形成されている。上記固定シ
ーブ22の背面には、円周方向に等間隔をあけて放射状
に配置された送風冷却用の複数のフィン22a,22
a,…が一体に形成されている。
【0033】一方、出力軸13に外嵌合されているスリ
ーブ16上には駆動プーリ21と同径の変速プーリから
なる従動プーリ26が設けられている。この従動プーリ
26は、上記駆動プーリ21と同様の構成であり、出力
軸13のスリーブ16上に回転一体にかつ摺動不能にキ
ー結合されたフランジ状の固定シーブ27と、スリーブ
16(出力軸13)に、固定シーブ27に対し上記駆動
プーリ21における固定シーブ22に対する可動シーブ
23の対向方向と逆方向でもって対向するようにボス部
28aにて摺動可能にかつ相対回転可能に結合されたフ
ランジ状の可動シーブ28とからなり、これら両シーブ
27,28間には断面略V字状のベルト溝29が形成さ
れている。この従動プーリ26における固定シーブ27
の背面にも、円周方向に等間隔をあけて放射状に配置さ
れた送風冷却用の複数のフィン27a,27a,…が一
体に形成されており、この各固定シーブ22,27のフ
ィン22a,27aによってケース1内に空気流を生成
して発熱部分を冷却するようにしている。
【0034】上記駆動プーリ21における可動シーブ2
3の入力軸9に対する摺動構造、及び従動プーリ26に
おける可動シーブ28のスリーブ16(出力軸13)に
対する摺動構造はいずれも同じであり、ここでは、駆動
プーリ21について説明することとし、従動プーリ26
側については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
すなわち、図1及び図2に示すように、駆動プーリ21
における可動シーブ23のボス部23a内周面には、そ
の直径方向に対向する位置に、ボス部23aのシーブ本
体23b側端つまり固定シーブ22側端(図1の右端)
からシーブ本体23bと反対側端つまり固定シーブ22
と反対側端(図1の左端)までに至る全体に亘って軸方
向に延びる断面略矩形状の1対の係合溝31,31がブ
ローチ加工によって形成されている。
【0035】一方、入力軸9(従動プーリ26側ではス
リーブ16)の外周面には直径方向に対向する位置に、
入力軸9外周面(スリーブ16外周面)の軸方向の一部
を部分的に接線方向と平行に所定深さだけ切り欠いてな
る切欠き32,32が形成されている。また、入力軸9
(スリーブ16及び出力軸13)にはそれを直径方向に
貫通するピン33が入力軸9に対し圧入により固定支持
され、このピン33の両端部は上記各切欠き32から所
定寸法だけ突出している。尚、図5に示すように、ピン
33は従動プーリ26側ではスリーブ16に対してのみ
圧入固定され、かつ出力軸13においてピン33の外径
よりも大きい長径を有する長孔36に挿通されていて、
出力軸13と所定角度だけ相対回転可能とされている。
そして、上記ピン33両端の突出部にはそれぞれベアリ
ング34,34が1対となって各々の内輪34bにて支
持されており、この各ベアリング34はそれぞれ上記可
動シーブ23のボス部23a内周における係合溝31に
係合されて、外輪34aが係合溝31の側面に当接して
転動するようになっている。尚、各ベアリング34の外
径(外輪34aの外径)は入力軸9(スリーブ16)の
外径の1/2.5以上とされている。また、各ピン33
の先端はベアリング34から若干だけ突出しており、係
合溝33の底面は、このピン33のベアリング34から
の突出部と干渉しないように中凹形状とされている。
【0036】上記駆動プーリ21のベルト溝24と従動
プーリ26のベルト溝29との間には例えばブロックベ
ルト等からなる上記Vベルト30が巻き掛けられてお
り、両プーリ21,26の各可動シーブ23,28をそ
れぞれ固定シーブ22,27に対して接離させて各プー
リ21,26のベルト巻付け径を変更する。例えば駆動
プーリ21の可動シーブ23を固定シーブ22に接近さ
せ、かつ従動プーリ26の可動シーブ28を固定シーブ
27から離隔させたときには、駆動プーリ21のベルト
巻付け径を従動プーリ26よりも大きくすることによ
り、入力軸9の回転を出力軸13に増速して伝達する高
速状態とする。一方、逆に、駆動プーリ21の可動シー
ブ23を固定シーブ22から離隔させ、かつ従動プーリ
26の可動シーブ28を固定シーブ27に接近させたと
きには、駆動プーリ21のベルト巻付け径を小にし、従
動プーリ26のベルト巻付け径を大きくすることによ
り、入力軸9の回転を減速して出力軸13に伝える低速
状態とするようになされている。
【0037】また、変速機ケース1内には、駆動及び従
動プーリ21,26間に張られたVベルト30の1対の
スパンのうちの緩み側スパン30aをその内面から外方
に押圧してベルト30に張力を与えることでベルト推力
を発生するテンション機構38が設けられている。この
テンション機構38は、図6にも示すように、前ケース
2における出力軸受穴2b周囲のボス状部分に基端側の
ボス部39aにて回動可能に外嵌合支持されたテンショ
ンアーム39を有し、このテンションアーム39のボス
部39aは、テンションアーム39の本体に一体的に溶
接されている。テンションアーム39の先端部には出力
軸13(入力軸9)と平行に後方に延びるテンション軸
40が一体に溶接され、このテンション軸40の先端部
は各プーリ21,26におけるベルト溝24,29部分
に位置し、この先端部には、Vベルト30の緩み側スパ
ン30aを内面から押圧可能なテンションプーリ41が
ベアリング42を介して回転可能に支持されている。こ
のテンションプーリ41の位置は、変速に伴うVベルト
30の軸方向の移動に拘らず、常にテンションプーリ4
1がベルト30内面の一部に接触してそれを押圧可能な
位置に設定されている。尚、テンションプーリ41の断
面形状の両側面は各プーリ21,26のベルト溝24,
29側面に平行な角度とされ、このことでテンションプ
ーリ41側面の傾斜角度はベルト溝24,29の断面角
度に一致し、テンションプーリ41外周面の軸方向長さ
はベルト30外面側の幅よりも小さくされている。
【0038】そして、上記テンションアーム39にはそ
の先端から基端側に向かう方向(テンション軸40と略
反対側)に延長されてなるばね取付アーム部43が一体
形成され、このばね取付アーム部43の先端部は前側に
折り曲げられていて、その折曲げ部には凹部からなるば
ね係止部44が形成されている。一方、図4及び図7に
示す如く、前ケース2の一方の内側面には、リング状の
テンション用カラー46が出力軸13(入力軸9)と平
行に延びる取付ボルト47により取付固定され、このテ
ンション用カラー46には引張ばねからなるテンション
スプリング48の一端部が外嵌合状態で係止され、この
スプリング48の他端部は上記テンションアーム39の
ばね取付アーム部43のばね係止部44に係止されてお
り、このテンションスプリング48のばね力によりテン
ションアーム39を図4で反時計回り方向に回動付勢し
て、テンションプーリ41にVベルト30の緩み側スパ
ン30aの内面を押圧させる。そして、テンションスプ
リング48のテンションアーム39に対する回動付勢力
は、テンションプーリ41がベルト30の緩み側スパン
30aを該緩み側スパン30aに発生する最大張力より
も大きい張力で押圧するように設定されており、この張
力によりベルト推力を発生させるようにしている。
【0039】上記入力軸9上には駆動プーリ21におけ
る可動シーブ23背面側に、該可動シーブ23を固定シ
ーブ22に対して接離させるための駆動機構としての駆
動プーリ側カム機構50が設けられている。このカム機
構50は例えばアルミニウム合金製の円筒状のカム本体
52を有する回動カム51を備え、該回動カム51は、
可動シーブ23のボス部23a上にベアリング57を介
して入力軸9回りに相対回転可能にかつ軸方向に移動一
体に外嵌合支持されている。カム本体52の駆動プーリ
21と反対側端面には、上記ベアリング57よりも半径
方向外側でかつ円周方向に等角度間隔(180°間隔)
をあけた上下位置に、図8〜図10に示すように1対の
焼結金属からなる円弧板状のカムチップ53,53が、
タッピングねじ54を各カムチップ53に形成したボル
ト挿通孔53aに挿通してカム本体52に螺合締結する
ことで取付固定され、この各カムチップ53の表面には
それぞれ所定角度に傾斜した傾斜カム面55が形成され
ている。また、カム本体52の外周には上記両カムチッ
プ53,53を通る線に沿って下方に延びる回動レバー
56(図4参照。図3では説明のために出力軸13と反
対側に延びるように記載している)が回動一体に突設さ
れている。
【0040】また、上記回動カム51の背面側には上記
各カムチップ53と対応した位置に、各カムチップ53
のカム面55とカム接触する固定カムとしての1対のカ
ム受けベアリング59,59が配置され、この各カム受
けベアリング59は、前ケース2の内面に入力軸9の半
径方向に沿って配置固定した支持軸60に支持されてい
る。すなわち、図11に拡大して示す如く、前ケース2
の内面には所定位置に、入力軸9の半径方向に並んだ1
対の軸受部61,63が突設され、この一方の軸受部6
1には入力軸9と平行な方向つまり前ケース2の内面か
ら開口に向かう方向に延びる有底状のねじ孔62が形成
されている。また、他方の軸受部63の先端には断面略
半円状の凹部64が形成されている。そして、支持軸6
0の一端部は平板状とされて貫通状のボルト孔60aが
形成されており、支持軸60の他端部を上記他方の軸受
部63の凹部64に密嵌合した状態で、取付ボルト65
を支持軸60一端部のボルト孔60aを挿通して一方の
軸受部61のねじ孔62に螺合締結することで、カム受
けベアリング59を支持軸60により前ケース2内面に
固定支持するようになっている。
【0041】一方、出力軸13上には、従動プーリ26
における可動シーブ28の背面側に、該可動シーブ28
を固定シーブ27に対して接離させるための従動プーリ
側カム機構67が設けられている。この従動プーリ側カ
ム機構67は、上記駆動プーリ側カム機構50と同様の
構成で、可動シーブ28のボス部28aに外嵌合したベ
アリング用カラー68上にベアリング74を介して出力
軸13回りに相対回転可能にかつ軸方向に移動一体に外
嵌合支持された回動カム69を有する。この回動カム6
9はカム本体70と、その従動プーリ26と反対側端面
でベアリング74よりも出力軸13の半径方向外側でか
つ円周方向に等角度間隔をあけた上下位置に取付固定さ
れ、各々傾斜カム面72を有する1対の焼結金属からな
るカムチップ71,71とからなり、この各カムチップ
71は、上記駆動プーリ側カム機構50の回動カム51
と同様に(尚、この回動カム51と同じ図8〜図10に
基づいて説明する)、タッピングねじ54をカムチップ
71のボルト挿通孔71aに挿通してカム本体70に螺
合締結することで固定されている。また、このカム本体
70の外周には、上記両カムチップ71,71を通る線
に沿って下方、つまり上記駆動プーリ側カム機構50の
回動レバー56と同じ方向に延びる回動レバー73(図
3では説明のために入力軸9と反対側に延びるように記
載している)が回動一体に突設されている。
【0042】また、回動カム69の背面側には、上記各
カムチップ71とカム接触する固定カムとしての1対の
カム受けベアリング76,76がカムチップ71,71
と対応して配置され、この各カム受けベアリング76
は、後ケース3の内面に出力軸13の半径方向に沿って
配置固定した支持軸77上に支持されている。このカム
受けベアリング76の支持構造は上記駆動プーリ側カム
機構50のものと同じであるので(図11参照)、図1
1と同じ部分については同じ符号を付してその説明は省
略する。
【0043】そして、図12及び図13にも示す如く、
上記駆動プーリ側カム機構50におけるカム51外周の
回動レバー56先端部と、従動プーリ側カム機構67の
カム69外周の回動レバー73先端部とは互いに連係し
て回動するようにリンクバー79により連結されてい
る。このリンクバー79は略細長い三角形の板材からな
り、その中間部は上記変速機ケース1下部の凹部(図4
参照)と干渉しないように上側に折り曲げられ、その前
縁にはリブ状のフランジ79aが一体形成されている。
リンクバー79の一端部(三角形の3頂点の1つをなす
部分)にはピン孔80が、また駆動プーリ側カム機構5
0の回動レバー56先端部には上記ピン孔80よりも小
径のピン孔81がそれぞれ入力軸9と平行に貫通形成さ
れ、両ピン孔80,81を合致させかつリンクバー79
のピン孔80に焼結金属からなるブッシュ82を嵌挿し
た状態でリンクピン83を両ピン孔80,81に挿通し
て抜き止めすることで、リンクバー79と回動レバー5
6先端部とがリンクピン83により揺動可能に連結され
ている。
【0044】一方、リンクバー79の他端部における後
端部(三角形の残りの2頂点の1つをなす部分)にもピ
ン孔85が、また従動プーリ側カム機構67の回動レバ
ー73先端部にも上記ピン孔85よりも小径のピン孔8
6がそれぞれ出力軸13と平行に貫通形成され、両ピン
孔85,86を合致させかつリンクバー79のピン孔8
5に焼結金属製ブッシュ87を嵌挿した状態でリンクピ
ン88を両ピン孔85,86に挿通して抜き止めするこ
とで、リンクバー79と回動レバー73の先端部とがリ
ンクピン88により揺動可能に連結されている。そし
て、上記回動レバー56,73、リンクピン83,88
及びリンクバー79により変速切換機構89が構成され
ており、この変速切換機構89により、各カム機構5
0,67における回動カム51,69を互いに連係して
可動シーブ23,28のボス部23a,28a回りに回
動させ、その各カムチップ53,71のカム面55,7
2上でカム受けベアリング59,76を転動させること
により、各プーリ21,26の可動シーブ23,28を
軸方向に移動させて固定シーブ22,27に対し互いに
相反して接離させ、そのベルト溝24,29の有効半径
つまり各プーリ21,26でのベルト巻付け径を可変と
し、両プーリ21,26間のプーリ比つまり変速機Tの
変速比を変化させるようにしている。
【0045】上記従動プーリ26側には、伝動トルクが
作用して可動シーブ28と出力軸13とが相対回転した
ときにその可動シーブ28を軸方向に移動させてベルト
推力を発生させるトルクカム機構91が設けられてい
る。このトルクカム機構91は、図5にも示すように、
可動シーブ28のボス部28aにおける直径方向に対向
した位置(上記両係合溝31,31と90°ずれた位
置)に、出力軸13の軸線方向に向かって円周方向に向
かうように傾斜しかつボス部28aの内外面に亘り貫通
する1対のカム孔92,92を備えている。また、出力
軸13において上記スリーブ16により覆われていない
部位の外周面には直径方向に対向する位置に、出力軸1
3外周面の軸方向の一部を部分的に接線方向と平行に所
定深さだけ切り欠いてなる切欠き93,93が形成され
ている。そして、出力軸13には直径方向に貫通するピ
ン94が圧入により固定支持され、該ピン94の両端部
は上記切欠き93,93から所定寸法だけ突出し、この
ピン94両端の突出部にはそれぞれ、上記可動シーブ2
8のボス部28aにおけるカム孔92に係合して外輪9
5aをカム孔92側面に当接して転動させるベアリング
95が支持されており、従動プーリ26に伝動トルクが
作用したとき、カム孔92とベアリング95とのカム効
果により可動シーブ28を軸方向に移動させてベルト推
力を発生させるようにしている。
【0046】さらに、前ケース2の前壁部には、略入力
軸9及び出力軸13間でかつ両軸9,13の各軸心を通
る平面上の位置にボス状の軸挿通孔97が貫通形成さ
れ、この軸挿通孔97には入力軸9(出力軸13)と平
行方向に延びる操作軸98がベアリング99によって回
転可能に支持され、この操作軸98の一端は変速機ケー
ス1外に延びていて断面四角形状とされ、その端部に図
外の操作レバーが回動一体に取り付けられる。
【0047】図4、図12及び図13に示すように、操
作軸98の他端は変速機ケース1内に位置し、その他端
部にはクランクアーム100の基端が回転一体に溶接固
定されている。このクランクアーム100は略く字形状
に彎曲した板材からなり、その先端部には連結ロッド1
02の一端部が連結されている。この連結ロッド102
は、各々先端部に直交方向の軸部101aが回動可能に
支持された1対のリンクボール101,101を軸部1
01a,101aが逆向きに配置されるよう結合してな
るもので、クランクアーム100の先端部に連結ロッド
102の一方のリンクボール101がその軸部101a
にて連結されている。この連結ロッド102の他端部つ
まり他方のリンクボール101の軸部101aは、上記
リンクバー79において駆動プーリ側カム機構50の回
動レバー56近傍に連結されている。そして、操作軸9
8を操作レバーによりLo位置及びHi位置の間で回動
切換操作することで、変速切換機構89を作動させて、
各回動カム51,69に突設されている各回動アーム5
6,73をLo及びHi位置間で回動させ、変速プーリ
機構20のプーリ比を変えることで、上記出力軸13を
入力軸9に対し減速状態又は増速状態に切り換えて変速
するようになされている。尚、107は入力軸9、出力
軸13及び操作軸98周りに配置されたダストシールで
ある。
【0048】次に、上記実施形態に係る変速機の作動に
ついて説明する。農業機械に搭載したエンジンが変速機
Tの入力軸9に駆動連結され、その出力軸13が駆動車
輪に駆動連結されているので、エンジンの回転動力は変
速機Tで変速された後、駆動車輪に伝達される。そし
て、駆動及び従動プーリ側カム機構50,67における
回動レバー56,73同士がリンクバー79により連係
されているため、操作軸98の切換操作により変速プー
リ機構20のプーリ比が変えられて変速機Tの変速比が
切り換えられる。
【0049】(低速状態)具体的には、変速機Tの変速
比を下げて低速状態(Lo状態)とするとき、操作軸9
8が操作レバーにより回動切換操作されてLo位置に位
置付けられる。すなわち、操作軸98の内端にはクラン
クアーム100の基端部が一体に固定され、このクラン
クアーム100の先端部は連結ロッド102を介してリ
ンクバー79に連結され、このリンクバー79は、駆動
プーリ側カム機構50における回動カム51外周の回動
レバー56と、従動プーリ側カム機構67における回動
カム69外周の回動レバー73とを連結しているので、
操作軸98の回動に伴ってクランクアーム100が回動
して両回動レバー56,73が回動する。そして、上記
操作軸98のLo位置への切換状態では、上記従動プー
リ側カム機構67の回動カム69がそのカムチップ7
1,71のカム面72,72上でそれぞれカム受けベア
リング76,76を転動させながら従動プーリ26にお
ける可動シーブ28のボス部28a回りに一方向に回動
する。この回動により、上記各カム面72がカム受けベ
アリング76に押されて回動カム69が出力軸13周囲
のスリーブ16上を移動し、該カム69にベアリング7
4を介して移動一体の可動シーブ28が同方向に移動し
て固定シーブ27に接近する。このことにより従動プー
リ26が閉じてそのベルト巻付け径が増大し、このベル
ト巻付け径の増大によりVベルト30が従動プーリ26
側に引き寄せられる。
【0050】また、これと同時に、上記操作軸98のL
o位置への切換えに伴い、上記従動プーリ26の可動シ
ーブ28の動きに同期して、駆動プーリ側カム機構50
の回動カム51が入力軸9上を上記従動プーリ側カム機
構67のカム69と同じ一方向に回動する。このカム5
1の回動によりその各カムチップ53のカム面55のカ
ム受けベアリング59に対する押圧がなくなる。このた
め、上記従動プーリ26側に移動するベルト30の張力
により、カム51及びそれにベアリング57を介して連
結されている可動シーブ23は固定シーブ22から離れ
る方向に入力軸9上を移動し、この両シーブ22,23
の離隔により駆動プーリ21が開いてベルト巻付け径が
減少する。これらの結果、従動プーリ26のベルト巻付
け径が駆動プーリ21よりも大きくなり、入力軸9の回
転が減速されて出力軸13に伝達される。このことで変
速機TはLo状態になり、エンジンの回転が減速されて
駆動車輪に伝達される。
【0051】尚、テンション機構38のテンションスプ
リング48の付勢力によりテンションアーム39が図4
で時計回り方向に回動付勢され、その先端のテンション
プーリ41がベルト30の緩み側スパン30a内面を押
圧し、この押圧によりベルト30に張力が付与される。
このとき、この張力は緩み側スパン30aに発生する最
大張力よりも大きいため、このベルト張力によりベルト
30のプーリ21,26に対するくさび効果が生じて推
力が発生し、この推力により両プーリ21,26間でベ
ルト30を介して動力が伝達される。
【0052】(高速状態)一方、上記操作軸98をHi
位置に位置付けると、このHi位置への切換状態では、
上記駆動プーリ側カム機構50のカム51がその各カム
チップ53のカム面55上でカム受けベアリング59を
転動させながら駆動プーリ21における可動シーブ23
のボス部23a回りに他方向に回動する。このことによ
り、上記カム面55がカム受けベアリング59に押され
てカム51が入力軸9上を移動し、該カム51に移動一
体の可動シーブ23が同方向に移動して固定シーブ22
に接近する。このことにより駆動プーリ21が閉じてそ
のベルト巻付け径が増大し、このベルト巻付け径の増大
によりVベルト30が駆動プーリ21側に引き寄せられ
る。
【0053】また、これと同時に、上記従動プーリ側カ
ム機構67のカム69がスリーブ16上で上記駆動プー
リ側カム機構50のカム51と同じ他方向に回動する。
このカム69の回動によりカム受けベアリング76に対
する押圧がなくなる。このため、上記駆動プーリ21側
に移動するベルト30の張力により、カム69及びそれ
にベアリング74を介して連結されている可動シーブ2
8は固定シーブ27から離れる方向にスリーブ16上を
移動し、この両シーブ27,28の離隔により従動プー
リ26が開いてベルト巻付け径が減少する。これらの結
果、駆動プーリ21のベルト巻付け径が従動プーリ26
よりも大きくなり、入力軸9の回転が増速されて出力軸
13に伝達される。この結果、変速機TはHi状態にな
り、エンジンの回転が増速されて駆動車輪に伝達され
る。
【0054】この実施形態の場合、変速プーリ機構20
の各プーリ21,26における可動シーブ23,28の
ボス部23a,28a上に各カム機構50,67の回動
カム51,69がベアリング57,74を介して支持さ
れ、これら両回動カム51,69外周の回動レバー5
6,73同士が1つのリンクバー79で連結されている
ので、上記変速プーリ機構20の変速切換時に、前ケー
ス2及び後ケース3にそれぞれ支持されたカム受けベア
リング59,76から回動カム51,69におけるカム
チップ53,71のカム面55,72に力が該カム面5
5,72と直角方向に作用し、この力の入力軸9及び出
力軸13に直交方向の直角分力が入力軸9及び出力軸1
3の軸心とリンクバー79への連結点とを結ぶ線と直角
に作用したとき、入力軸9及び出力軸13の軸心とリン
クバー79への連結点とを結ぶ線に対しプーリ比の変化
に拘らず直角でかつ上記直角分力と逆向きのカム回転反
力が生じ、このカム回転反力は、回動カムが支持されて
いる可動シーブ23,28のボス部23a,28aに対
し、プーリ21,26のベルト30が巻き掛けられてい
る範囲の中央位置においてボス部23a,28aを押圧
するように作用する。つまり、このボス部23a,28
aに対するカム回転反力は、ボス部23a,28aと入
力軸9及び出力軸13との摺動部分におけるクリアラン
スで、可動シーブ23,28がベルト30から推力を受
けたときに可動シーブ23,28を入力軸9及び出力軸
13に対し傾倒させる方向に働くモーメントとは逆方向
のモーメントが生じるように作用し、このモーメントに
より元のモーメントが相殺されて小さくなり、可動シー
ブ23,28のボス部23a,28a内周の入力軸9及
び出力軸13外周に対する面圧分布が軸心方向に分散
し、ボス部23a,28aの摺動抵抗が小さくなる。こ
の摺動抵抗が小さくなった分だけ、ベルト発生推力の回
動カム51,69による固定点に与える荷重(つまり取
出推力)が大きくなり、換言すれば、ベルト発生推力が
大きな抵抗なく回動カム51,69に取出推力として伝
達されることとなる。そして、プーリ比を変化させると
きには、ベルト発生推力と取出推力との差が変速操作に
必要な荷重(操作力)であるので、取出推力が大きい分
だけ、逆に操作力が小さくて済むこととになる。その結
果、上記変速プーリ機構20における両変速プーリ2
1,26間のベルト30の推力バランスにより変速操作
力を低減することができる。
【0055】また、この実施形態では、上記の如き変速
時、駆動プーリ21の可動シーブ23が入力軸9上を、
また従動プーリ26の可動シーブ28がスリーブ16上
をそれぞれ伝動負荷トルクを受けて軸方向に移動する
際、入力軸9又はスリーブ16の外周に突設されている
ピン33上の各ベアリング34が各可動シーブ23,2
8のボス部23a,28a内周面の係合溝31内を、ベ
アリング34の外輪34a外周面を係合溝31側面に当
接させた状態で転動する。このときの摺動抵抗は、ベア
リング34の外輪34a外周面と係合溝31側面との転
がり抵抗及びベアリング34の内外輪での転がり抵抗と
なり、滑り抵抗は生じない。従って、この転がり抵抗か
らなる摺動抵抗によって変速操作力をさらに低減するこ
とができる。
【0056】また、上記ベアリング34の外径が入力軸
9又はスリーブ16の外径の1/2.5以上で比較的大
径であるので、係合溝31及びベアリング34に発生す
るヘルツ応力は小さくなり、ベアリング34の外輪34
a外周面や係合溝31側面を焼入処理する必要はなく、
コストダウンを図ることができる。
【0057】さらに、1本のピン33を入力軸9又はス
リーブ16に直径方向に貫通させて両端部を入力軸9又
はスリーブ16表面に突出させ、その突出したピン33
の両端部にそれぞれ上記ベアリング34,34が支持さ
れているので、両ベアリング34,34を支持するピン
33を共用化して部品点数の低減及び組立ての容易化を
図ることができる。
【0058】また、上記各可動シーブ23,28のボス
部23a,28a内周面における1対の係合溝31,3
1の各々はボス部23a,28aの長さ方向にブローチ
加工により形成されるので、この係合溝31を、ボス部
23a,28a外周側からエンドミルによりボス部長さ
方向に延びる長孔を孔開け加工した後、ボス部23a,
28aにカラーを外嵌合して該カラーで長孔を覆うよう
にして作る場合のように、エンドミルが可動シーブ2
3,28のシーブ本体に邪魔されることはなく、係合溝
31をボス部23a,28aの長さ方向の全体に亘って
容易に加工することができる。そして、この各係合溝3
1をボス部23a,28aの全体に亘って形成すること
で、その係合溝31でベアリング34が有効に移動する
有効長さを長くでき、逆に言えば、係合溝31の同じ有
効長さに対するボス部23a,28aの全長を短くする
ことができる。よって、可動シーブ23,28ひいては
プーリ21,26の軸方向の長さのコンパクト化を図る
ことができ、プーリ21,26を狭いスペースにも収容
配置することができる。
【0059】しかも、可動シーブ23,28のボス部2
3a,28a内周面にブローチ加工により係合溝31,
31を形成することで、エンドミル加工のように加工後
にボス部にカラーを外嵌合して長孔を塞ぐ工程が不要と
なって、加工のままでよく、加工工数を減少できるとと
もに、カラーを省略して部品点数の低減を図ることがで
きる。
【0060】さらに、上記各カム機構50,67におけ
る回動カム51,69が、カム本体52,70と、該カ
ム本体52,70に取り付けられた焼結金属からなるカ
ムチップ53,71とで構成されている、つまり回動カ
ム51,69におけるカム受けベアリング59,76と
接する部分のみが他の部分とは分けられて、それとは異
なる硬質焼結金属製のカムチップ53,71とされてい
るので、回動カム51,69でのカム面55,72がカ
ム受けベアリング59,76の転動の繰返しによって摩
耗することは殆どなく、変速機Tの変速操作性を長期間
に亘り安定して保つことができる。
【0061】また、このように各カム51,69のカム
面55,72をカム本体52,70とは別体のカムチッ
プ53,71に形成したことで、カムチップ53,71
を他のものに容易に交換することができ、カム面55,
72の傾斜の仕様変更が容易となる。
【0062】しかも、上記各回動カム51,69の各カ
ムチップ53,71は、カム本体52,70を可動シー
ブ23,28のボス部23a,28a上に支持するベア
リング57,74の位置よりも半径方向外側に配置され
ているので、このカムチップ53,71のカム面55,
72をベアリング57,74よりもプーリ21,26中
央側(固定シーブ22,27側)に配置することができ
る。その分、カム機構50,67の軸方向の長さを短く
してプーリ21,26の大きさをコンパクトにすること
ができる。
【0063】また、従動プーリ26側にはトルクカム機
構91が設けられているので、従動プーリ26に伝動ト
ルクが作用して可動シーブ28と出力軸13とが相対回
転したとき、可動シーブ28のボス部28aの傾斜状の
各カム孔92の側面がスリーブ16外周のベアリング9
5から軸方向に移動するように押され、このカム効果に
より可動シーブ28が軸方向に移動してベルト推力が発
生する。
【0064】そのとき、上記トルクカム機構91の1対
のベアリング95,95は、スリーブ16により覆われ
ていない部位の出力軸13に圧入固定したピン94の両
端部に支持されている一方、可動シーブ28を摺動可能
にスリーブ16に係合するベアリング34支持用のピン
33は、出力軸13においてピン33の外径よりも大き
い長径を有する長孔36への挿通により出力軸13と所
定角度だけ相対回転可能とされているので、出力軸13
のトルクカム機構91による可動シーブ28への係合
と、スリーブ16の可動シーブ28への係合とが分離さ
れる。よって、トルクカム機構91を備えたプーリ26
であっても、その可動シーブ28の摺動構造をベアリン
グ34を利用したものとすることができる。
【0065】また、上記出力軸13前端の小径部13a
に配置したベアリング17の外輪17bにスリーブ16
が当接する一方、内輪17aに出力軸13の小径部13
aと他の部分との段部が係止されているので、ベアリン
グ17の内輪17aで上記トルクカム機構91によるス
ラスト荷重を、また外輪17bで固定シーブ27にベル
ト30から作用するスラスト荷重をそれぞれ分担して受
け持たせて、スリーブ16及び出力軸13の相対回転の
抵抗をベアリング17での内外輪17a,17b間の小
さな転がり抵抗とすることができる。尚、スリーブ16
内周面と出力軸13外周面との間にニードルベアリング
(図示せず)を介在させてもよく、また、このニードル
ベアリングと上記ベアリング17と組み合わせて設ける
こともできる。
【0066】また、上記テンション機構38において、
テンションアーム39、そのボス部39a、テンション
軸40及びばね取付アーム部43が全て溶接により結合
されて一体化されているので、テンション機構38の構
造が簡略化され、部品点数の低減や組付性の向上も図れ
る。
【0067】また、上記テンションスプリング48の固
定側端部が、変速機ケース1内に取付固定したテンショ
ン用カラー46に係止されているので、そのスプリング
48のケース1側への係止固定が容易となるとともに、
スプリング48が変速機ケース1外に出ないので、その
変速機ケース1の密閉度を高めることができる。
【0068】ここで、上記テンションスプリング48を
張り状態としながら変速機ケース1内に組み付ける作業
について図14により説明すると、予め、前ケース2に
変速プーリ機構20、テンション機構38、各カム機構
50,67、変速切換機構89、操作軸98等を組み付
けて、後ケース3のみが組み付けられていない状態とし
ておき、テンションスプリング48はテンションアーム
39のばね取付アーム部43と前ケース2内面のテンシ
ョン用カラー46との間に収縮状態で掛け渡す。このと
き、テンションスプリング48が収縮しているので、テ
ンションプーリ41によりベルト30の緩み側スパン3
0aは大きく押圧されて変速機ケース1(前ケース2)
外に食み出した状態となる。
【0069】そして、先端部の一側に軸係合部111a
が、また中間部の所定位置の他側にカラー係合部111
bがそれぞれ切欠形成されている板状の組付治具111
を用意し、後ケース3を前ケース2に両フランジ2c,
3cが近接した状態として仮付けした後、上記組付治具
111の軸係合部111aをテンション軸40に係合さ
せ、その状態で組付治具111を押して上記テンション
スプリング48を伸長させながらテンションプーリ41
を変速機ケース1内側に押し込み、次いで、組付治具1
11をテンション軸40との係合位置を支点として図1
4で反時計回り方向に回してカラー係合部111bを、
テンションプーリ41近くにある前ケース2のフランジ
2cのねじ孔4に嵌挿されたカラー7に係合させて止め
る。この状態では、テンションスプリング48が伸長状
態となってテンションプーリ41が変速機ケース1内に
移動し、そのテンションプーリ41はベルト30内面を
押圧した状態である通常の変速状態の位置に位置付けら
れる。しかる後、上記仮付けした後ケース3を前ケース
2に組付ボルト6,6,…の挿通締結によって組み付
け、その組付けが完了する直前に上記組付治具111を
時計回り方向に回し操作して前後ケース2,3間の隙間
から抜き取った後、前後ケース2,3の組付けを完了さ
せればよい。
【0070】そのとき、予め、前ケース2の1対のねじ
孔4,4にノックピンとしてのカラー7,7が嵌挿され
ているので、後ケース3を前ケース2に位置決めして組
み付ける際、上記両カラー7,7をそれぞれ後ケース3
の対応するボルト挿通孔5,5に嵌挿するだけで正確に
位置決めすることができ、その位置決めを容易に行うこ
とができる。
【0071】しかも、上記カラー7,7の一方が、上記
組付治具111をテンションスプリング48を伸長状態
で固定するための係合部を兼用しているので、この係合
部と位置決め用カラーとの兼用により部品点数の低減や
ケース1の組付作業(変速機Tの組立作業)の容易化等
を図ることができる。
【0072】また、上記リンクバー79は略三角形状の
板材からなり、その3つの頂点の1つである一端部に駆
動プーリ側カム機構50の回動カム51の回動レバー5
6が連結され、残り2つの頂点のうち後側頂点である部
分に従動プーリ側カム機構67の回動カム69外周の回
動レバー73が連結され、操作軸98側の連結ロッド1
02の端部は上記駆動プーリ側カム機構50の回動レバ
ー56寄りに連結されているので、連結ロッド102の
端部を上記残り2つの頂点のうち前側頂点である部分に
連結する場合に比べ、リンクバー79への曲げ応力の集
中がなく、その折損等を確実に防止することができる。
【0073】また、上記リンクバー79の両端部のピン
孔80,85にそれぞれ焼結金属からなるブッシュ8
2,87が嵌挿され、このブッシュ82,87を嵌挿し
た状態でリンクピン83,88がピン孔80,85と回
動レバー56,73先端部のピン孔81,86とに挿通
されて、各回動レバー56,73とリンクバー79とが
揺動可能に連結されているので、これらの連結部の摩耗
をブッシュ82,87により低減して、長期間に亘って
安定した変速操作性を得ることができる。
【0074】また、上記各カム機構50,67における
カム受けベアリング59,76は、変速機ケース1内面
に取り付けた支持軸60,77上に支持され、この支持
軸60,77の一端部は変速機ケース1内面の軸受部6
3の凹部64に嵌合され、他端部が取付ボルト65によ
り他の軸受部61に螺合締結されているので、取付ボル
ト65はその他端部のみをボルト締結するだけでケース
1に取付固定でき、カム受けベアリング59,76を変
速機ケース1内面に対し片持ち状態の支持軸60,77
によって容易に取付支持することができる。
【0075】そして、上記支持軸60,77の端部を締
結する取付ボルト65を螺合させるねじ孔62は、変速
機ケース1において入出力軸9,13と平行な方向に変
速機ケース1の内面から開口に向かう方向に延びている
ので、変速機ケース1を鋳造する際にねじ孔62用の穴
部を成形しておけば、その後にねじ部を加工するだけで
容易に形成することができ、ねじ孔62を入出力軸9,
13と直交する方向に形成する場合の工具挿通用の孔や
その加工後の蓋部が不要となる。
【0076】尚、上記実施形態では、可動シーブ23,
28のボス部23a,28aにおける係合溝31及びベ
アリング34をそれぞれ1対としているが、これらの数
を1つ又は3つ以上に変更してもよい。
【0077】また、上記実施形態は、1対の変速プーリ
からなる変速プーリ機構20を有する変速機Tに適用し
た場合であるが、本発明は、回転軸上に固定及び可動シ
ーブを対向配置した変速プーリを有する変速機であれば
適用することができる。
【0078】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明で
は、回転軸上に固定シーブとそれに対向配置されて接離
する可動シーブとを設けた変速プーリを有するプーリ式
変速機において、可動シーブのボス部内周面に、回転軸
外周面の係合部が係合する係合溝をボス部における固定
シーブ側端部から固定シーブと反対側端部までの全体に
亘りブローチ加工によって形成した。また、請求項2の
発明では、互いに平行に配置された1対の回転軸上にそ
れぞれ設けられた駆動及び従動プーリと、この両プーリ
間に巻き掛けられたベルトと、各プーリの可動シーブ背
面側に配置され、回動カムの固定カムとの相対回転によ
り該可動シーブを軸方向に移動させるカム機構と、両可
変プーリの一方の可動シーブが固定シーブに接近する
と、他方のプーリの可動シーブが固定シーブから離れる
ように両カム機構の回動カムを互いに連動連結して回動
させることで両回転軸間の変速比を変化させる変速切換
機構と、両可変プーリ間に巻き掛けられるベルトの緩み
側スパンを、該ベルトが各プーリのベルト溝に食い込ん
でベルトへの推力が発生するように押圧するテンション
機構とを備えた可変プーリ式の変速機において、同様
に、各プーリの可動シーブのボス部内周面に係合溝を、
ボス部における固定シーブ側端部から固定シーブと反対
側端部までの全体に亘りブローチ加工によって形成し
た。従って、これらの発明によると、可動シーブのボス
部内周面の係合溝を、エンドミル加工時のように可動シ
ーブのシーブ本体と干渉することなく、ボス部の固定シ
ーブ側端部から固定シーブと反対側端部までの全体に亘
り形成して、その有効長さを長くでき、その分、ボス部
ひいては可動シーブないしプーリの軸方向長さを短くし
てそのコンパクト化を図ることができるとともに、加工
工数及び部品点数の低減を図ることもできる。
【0079】請求項3の発明によると、上記係合部は、
回転軸外周面に突設されたピンと、このピンに支持さ
れ、上記係合溝の側面に当接して転動する外輪を有する
ベアリングとを備えた構成としたことで、プーリの可動
シーブの軸方向への移動時の摺動抵抗を転がり抵抗のみ
とすることができ、可動シーブを固定シーブに対し接離
してプーリ比を変速する際の変速操作力の大幅な低減を
図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2のI−I線断面図である。
【図2】可動シーブの正面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るプーリ式変速機の水平
断面図である。
【図4】プーリ式変速機をケースを開けた状態で示す正
面図である。
【図5】図3のV−V線拡大断面図である。
【図6】テンションアームの拡大正面図である。
【図7】ケースにおけるスプリング取付部の構造を示す
拡大断面図である。
【図8】カム本体に対するカムチップの取付構造を示す
拡大展開図である。
【図9】カム本体に対するカムチップの取付構造を示す
拡大正面図である。
【図10】カム本体に対するカムチップの取付構造を示
す拡大断面図である。
【図11】ケースにおけるカム受けベアリング取付部の
構造を示す拡大断面図である。
【図12】変速切換機構のリンクバー、連結ロッド、ク
ランクアーム及び操作軸の連結構造を示す拡大正面図で
ある。
【図13】変速切換機構のリンクバー、連結ロッド、ク
ランクアーム及び操作軸の連結構造を示す拡大平面図で
ある。
【図14】治具によりテンションスプリングを張りなが
ら前後ケースを組み付ける状態を示す正面図である。
【符号の説明】
T 変速機 1 変速機ケース 2 前ケース 3 後ケース 4 ねじ孔 7 カラー 9 入力軸 13 出力軸 16 スリーブ 17 ベアリング 20 変速プーリ機構 21 駆動プーリ 26 従動プーリ 22,27 固定シーブ 23,28 可動シーブ 23a,28a ボス部 24,29 ベルト溝 30 Vベルト 31 係合溝 33 ピン 34 ベアリング 38 テンション機構 39 テンションアーム 41 テンションプーリ 48 テンションスプリング 50 駆動プーリ側カム機構 67 従動プーリ側カム機構 51,69 回動カム 52,70 カム本体 53,71 カムチップ 55,72 傾斜カム面 56,73 回動レバー 57,74 ベアリング 59,76 カム受けベアリング 60,77 支持軸 61,63 軸受部 62 ねじ孔 64 凹部 65 取付ボルト 70 カム本体 79 リンクバー 80,85 ピン孔 82,87 ブッシュ 83,88 リンクピン 89 変速切換機構 91 トルクカム機構 98 操作軸 102 連結ロッド 111 組付治具

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸に回転一体にかつ軸方向に移動不
    能に支持された固定シーブと、 上記固定シーブとの間にベルトが巻き掛けられる断面略
    V字状のベルト溝を形成するように固定シーブと対向し
    た状態で配置され、回転軸にボス部にて回転一体にかつ
    軸方向に移動可能に支持された可動シーブとからなる変
    速プーリを備えたプーリ式変速機において、 上記可動シーブのボス部内周面には軸方向に延びる係合
    溝が形成されている一方、 上記可動シーブのボス部内周面に対応する回転軸外周面
    には、上記係合溝に係合する係合部が設けられ、 上記係合溝は、可動シーブのボス部における固定シーブ
    側端部から固定シーブと反対側端部までの全体に亘りブ
    ローチ加工されて設けられていることを特徴とするプー
    リ式変速機。
  2. 【請求項2】 互いに平行に配置された1対の回転軸
    と、 上記各回転軸上にそれぞれ設けられ、各々、回転軸に回
    転一体にかつ軸方向に移動不能に固定支持された固定シ
    ーブと、該固定シーブとの間に断面略V字状のベルト溝
    を形成するように上記固定シーブに対向して設けられ、
    かつ背面側に軸方向に延びるボス部を有し、該ボス部に
    て回転軸に回転一体にかつ軸方向に移動可能に外嵌支持
    された可動シーブとからなり、一方の可動シーブの固定
    シーブへの向きと他方の可動シーブの固定シーブへの向
    きとが互いに逆向きに設定された駆動及び従動プーリ
    と、 上記駆動及び従動プーリのベルト溝間に巻き掛けられた
    ベルトと、 上記駆動及び従動プーリの各可動シーブ背面側にそれぞ
    れ配置され、各々、互いにカム接触する第1カムと第2
    カムとからなり、上記第1及び第2カムの一方が可動シ
    ーブのボス部上にベアリングを介して軸方向に可動シー
    ブと共に移動一体にかつ相対回転可能に支持され、他方
    が回転軸に軸方向に移動不能にかつ回転軸に対して相対
    回転可能に設けられ、両カムの一方は回転軸回りに回動
    可能な回動カムとされる一方、他方は回動不能な固定カ
    ムとされ、上記回動カムと固定カムとの相対回転により
    可動シーブを固定シーブに対して接離させるように軸方
    向に移動させて上記各プーリの有効半径を変化させる駆
    動プーリ側及び従動プーリ側カム機構と、 上記駆動及び従動プーリの一方の可動シーブが、対向す
    る固定シーブに接近すると他方の可動シーブが対向する
    固定シーブから離れるように上記両カム機構の回動カム
    を互いに連動連結して回動させることで上記両回転軸間
    の変速比を変化させる変速切換機構と、 上記駆動及び従動プーリ間に配置され、両プーリ間に巻
    き掛けられるベルトの緩み側スパンを該ベルトが各プー
    リのベルト溝に食い込むように押圧して、ベルトへの推
    力を発生させるテンション機構とを備えたプーリ式変速
    機において、 上記各プーリの可動シーブのボス部内周面には軸方向に
    延びる係合溝が形成され、 上記可動シーブのボス部内周面に対応する回転軸外周面
    には、上記係合溝に係合する係合部が設けられ、 上記係合溝は、可動シーブのボス部における固定シーブ
    側端部から固定シーブと反対側端部までの全体に亘りブ
    ローチ加工されて設けられていることを特徴とするプー
    リ式変速機。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のプーリ式変速機に
    おいて、 係合部は、回転軸外周面に突設されたピンと、 上記ピンに支持され、上記係合溝の側面に当接して転動
    する外輪を有するベアリングとを備えてなることを特徴
    とするプーリ式変速機。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10318354A (ja) * 1997-05-23 1998-12-04 Koyo Seiko Co Ltd 樹脂プ−リ
EP1760365A2 (en) 2005-08-30 2007-03-07 Yamaha Hatsudoki Kabushiki Kaisha Continously variable transmission, saddle-ride type vehicle, and method of manufacturing the continously variable transmission

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