JPH09255533A - フレーク状金属酸化物及びそれを配合した化粧料 - Google Patents

フレーク状金属酸化物及びそれを配合した化粧料

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JPH09255533A
JPH09255533A JP6613796A JP6613796A JPH09255533A JP H09255533 A JPH09255533 A JP H09255533A JP 6613796 A JP6613796 A JP 6613796A JP 6613796 A JP6613796 A JP 6613796A JP H09255533 A JPH09255533 A JP H09255533A
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flakes
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和宏 堂下
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浩司 横井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鮮やかな発色性と様々な色調、均一着色性や
高い安定性を有し、かつ伸展性(のび)が良好で触感に
優れた、金微粒子分散含有フレーク状金属酸化物及びそ
れを配合した高品質な化粧料を提供するものである。 【解決手段】 酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウ
ム、酸化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくと
も一種の金属酸化物を主成分とし、 0.01〜30重量
%の金微粒子を分散含有したフレーク状金属酸化物及び
それを配合した化粧料である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フレーク状金属酸
化物、特に発色性、安定性、安全性に優れ、かつ伸展性
や触感が良好な、種々の色調を発現する着色剤に適した
フレーク状金属酸化物及びこれを配合した化粧料に関す
る。
【0002】
【従来の技術】今まで、化粧品用着色剤として金微粒子
を用いる試みがなされてきた。その例として、表面上に
金微粒子を固定したマイカやタルク等の体質顔料を配合
した化粧料(特開平1−215865)、金コロイドで
染色したタンパク質や絹フィブロイン粉末を配合した化
粧料(特開平3-90012、特開平3-77806)、
金微粒子を固定した金属酸化物粉体を配合した化粧料
(特開平5−87045)等が挙げられる。
【0003】これら金微粒子を固定した粉体は、赤紫〜
紫色系統の鮮やかな色を発現し、化粧料として使用され
ている。しかしながら、化粧品基材のオイル成分や皮膚
上の油脂分に触れることにより色がくすんだり、さらに
担体表面の金微粒子の脱落や凝集により色あせや変色を
起こしたり、すり潰して粉砕するときの強い圧力により
金微粒子が変形し変色して色ムラを起こしたりする場合
があった。
【0004】また、製造方法によっては、鮮やかな色と
はならず、褐色や灰色等の、化粧料としては好ましくな
い発色になりがちで、鮮やかな発色には製造工程の厳密
な管理やノウハウが必要であり、手間がかかるなどの問
題もあった。さらに、得られた金微粒子固定粉体の中に
は、媒体に均一分散させることが難しく、また一度分散
させても、経時的に凝集していわゆる「だま」になった
り、むらになる場合があった。特に、化粧料として多量
配合した場合は、上記問題が顕著になり、さらに、すべ
りが悪くなって肌上での伸展性(のび)が悪くなるとい
った難点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の従来技
術に鑑み、鮮やかな発色性と安定性、均一着色性を有
し、かつ伸展性(のび)が良好で触感に優れた、金微粒
子を含有するフレーク及びそれを配合した高品質な化粧
料を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本課題を解決するため、
本発明者らは、加水分解および縮重合が可能な有機金属
化合物と水を含む溶液に、金コロイドまたは金化合物を
添加し、これを基材上、好ましくは表面が平滑な基板上
に塗布し、乾燥して基材から剥離させた後、熱処理すれ
ば、簡単かつ効率的に、発色性、安定性に優れた金微粒
子分散含有フレーク状金属酸化物が製造できることを見
いだし、本発明に到った。
【0007】すなわち、本発明は、酸化珪素、酸化チタ
ン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムからなる群よ
り選ばれる少なくとも一種の金属酸化物を主成分とし、
0.01〜30重量%の金微粒子を分散含有したフレー
ク状金属酸化物である。
【0008】本発明のフレーク状金属酸化物中の金微粒
径(棒状の場合はその長さ)は、1nm以上、300n
m以下が好ましい。粒径が1nmより小さいと、金微粒
子による発色効果が低下し、鮮やかな発色が認められな
いので好ましくない。また、粒径が300nmより大き
いと、光の散乱の効果が大きくなり濁った色調となるの
で好ましくない。そして金微粒子の形状は特に限定され
ない。球状、卵型状、棒状、板状等何でも良い。また本
発明における金微粒子は、後述するが、金コロイド溶液
から由来するものであるか、または加熱により金属酸化
物中で析出した金微粒子である。
【0009】本発明のフレーク状金属酸化物中の金含有
量は、0.01重量%以上、30重量%以下である。よ
り好ましい含有量は0.2〜25重量%である。金の含
有量が0.01重量%より少ないと、発色効果が充分で
なく好ましくない。含有量が30重量%より多くなって
も、着色濃度はそれほど濃くならず、コスト高となるの
で好ましくない。このフレーク状金属酸化物を化粧料に
配合して使用する場合、比較的に薄い着色を必要とする
パウダーファンデーション、スキンクリーム、ハンドク
リーム、メイクアップベース等用としてはフレーク状金
属酸化物中の金含有量は比較的に小さく、例えば0.2
〜3重量%が好ましい場合が多く、比較的に濃い着色を
必要とするネイルエナメル、アイシャドー、口紅等用に
はフレーク状金属酸化物中の金含有量は比較的に大き
く、例えば3〜25重量%が好ましい場合が多い。ただ
し配合によっては、他の着色剤との兼ね合いで前記好ま
しい範囲を逸脱する場合もある。
【0010】本発明のフレーク状金属酸化物のマトリッ
クスは、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸
化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種
からなる。
【0011】本発明のフレーク状金属酸化物マトリック
スは、非晶質、結晶質、非晶質と結晶質の混合体の何れ
でも良い。非晶質、結晶質等のいずれになるかは主とし
てフレーク状金属酸化物マトリックスの組成および熱処
理条件によって決められ、酸化チタン、酸化アルミニウ
ム、または酸化ジルコニウム単独からなる金属酸化物は
結晶質になることが多く、酸化珪素単独またはこれと、
酸化チタン、酸化アルミニウム、または酸化ジルコニウ
ムとの混合物からなるフレーク状金属酸化物は、非晶質
または、非晶質と結晶質の混合体になることが多い。好
ましくは、非晶質、特にガラス状態であることが、フレ
ーク状金属酸化物粉体の触感が特に良いので、望まれ
る。
【0012】本発明のフレーク状金属酸化物の製造方法
は、特に限定されないが、第一の製法として、加水分解
および縮重合が可能な有機金属化合物と水を含む溶液
に、金コロイドを添加し、これを基材上、好ましくは表
面が平滑な基板上に塗布し、乾燥して基材から剥離させ
た後、熱処理して製造する方法が挙げられる。第二の製
法は、加水分解および縮重合が可能な有機金属化合物と
水を含む溶液に、塩化金酸、塩化金酸ナトリウム、シア
ン化金、シアン化金カリウム、三塩化ジエチルアミン金
酸等の金化合物を添加し、これを基材上、好ましくは表
面が平滑な基板上に塗布し、乾燥して基材から剥離させ
た後、熱処理、紫外線照射等により金微粒子を金属酸化
物マトリックス中に析出させる方法である。これらの方
法が特に優れた特性を有する金微粒子分散含有フレーク
状金属酸化物を得ることができるので好ましい。
【0013】本発明に用いる加水分解および縮重合が可
能な有機金属化合物は、加水分解、脱水縮合を行うもの
であれば基本的にはどんな化合物でも良いが、アルコキ
シル基を有する金属アルコキシドが好ましい。具体的に
は、Si、Ti、Al、Zr等のメトキシド、エトキシ
ド、プロポキシド、ブトキシド等が、単体あるいは混合
体として用いられる。
【0014】上記有機金属化合物を含む溶液の有機溶媒
は、実質的に上記有機金属化合物を溶解すれば基本的に
何でも良いが、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール等のアルコール類が最も好ましい。場合
によっては、溶媒を必要としないこともある。
【0015】上記有機金属化合物の加水分解には水が必
要である。これは、酸性、中性、塩基性の何れでも良い
が、加水分解を促進するためには、塩酸、硝酸、硫酸等
で酸性にした水を用いるのが好ましい。酸の添加量は特
に限定されないが、有機金属化合物に対してモル比で
0.001〜2が良い。添加酸量が、モル比で0.00
1より少ないと、有機金属化合物の加水分解の促進が充
分でなく、またモル比で2より多くても、もはや加水分
解促進の効果が向上せず、酸が過剰となり好ましくな
い。
【0016】また、この添加する水は、上記第一の製法
を用いる場合における金コロイドの分散安定化のために
も必要である。水の添加量は、溶液の10重量%以上、
80重量%以下が良い。ただしここで言う水分量は、上
記コロイド中に含まれているものと、新たに添加する水
の総計である。水添加量が、溶液の10重量%より少な
いと、上記コロイドが安定に存在できなくなる傾向が強
く、好ましくない。また、水添加量が、溶液の80重量
%より多いと、溶液中の固形分換算濃度が低くなりすぎ
て、フレークの収率が低くなり、好ましくない。
【0017】その他、上記溶液の特性を変化させるため
に、有機増粘剤等を添加しても良い。しかし、この添加
量が多いと、最終段階の加熱で炭化することがあるの
で、添加量は10重量%以下にとどめるべきである。
【0018】上記製法のうち、金コロイドを添加する上
記第一の製法では、上記コロイドを上記有機金属化合物
と水を含む溶液中に、均一に分散することができ、最終
的に得られるフレーク状金属酸化物中の金微粒子の形状
や大きさを制御することが比較的容易で、様々な特性を
有するものが簡単に製造できる。上記金コロイドは、公
知の方法で製造できる。例えば、塩化金酸、塩化金酸ナ
トリウム、シアン化金、シアン化金カリウム、三塩化ジ
エチルアミン金酸等の金化合物水溶液を、クエン酸、ク
エン酸ナトリウム、アスコルビン酸、ホルムアルデヒ
ド、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム等の公知の還
元剤で処理することにより金コロイドが得られる。ま
た、還元剤を使用する代わりに上記金化合物水溶液に紫
外線を照射することによっても得られる。
【0019】上記金コロイド作製前の金化合物水溶液ま
たは金コロイド分散液に、安定性向上の目的で、界面活
性剤や有機高分子を添加してもよい。界面活性剤は、一
般に使用されているものなら何でも使用でき、特に限定
されないが、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモ
ニウム、臭化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化ヘ
キサデシルトリメチルアンモニウム等の陽イオン性界面
活性剤、 ビス(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナ
トリウム、セチル硫酸ナトリウム、 N-アシル-L-グル
タミン酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤、 ポリ
オキシエチレンセシルエーテル、モノラウリン酸ポリエ
チレングリコール、セスキオレイン酸ソルビタン等の非
イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタ
イン、 β-ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、2
-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチル
イミダゾリニウムベタイン 等の両イオン性界面活性剤
等が挙げられる。このうち、水溶液中で負に帯電してい
る金コロイドをより強く安定化させるので、上記陽イオ
ン性界面活性剤が特に好ましく用いられる。
【0020】上記界面活性剤の添加量は、金化合物水溶
液または金コロイドに対して0.001〜10重量%が
好ましい。0.001重量%より少ないと、金コロイド
の安定化効果が小さすぎ、また10重量%より多くて
も、後述の金コロイド粒子形状制御の目的を除き、安定
化に対する効果はあまり向上しなくなる。界面活性剤の
より好ましい添加量は0.1〜5重量%である。
【0021】上記有機高分子は、特に限定されないが、
ゼラチン、デキストリン、可溶性デンプン、エチルセル
ロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピ
ロリドン、ポリエチレングリコール等が用いられる。
【0022】上記有機高分子の添加量は、金化合物水溶
液または金コロイドに対して0.01〜10重量%が好
ましい。0.01重量%より少ないと金コロイドの安定
化効果が小さすぎ、また10重量%より多くても、安定
化に対する効果はあまり向上しなくなる。上記有機高分
子のより好ましい添加量は0.2〜5重量%である。
【0023】上記金コロイドの作製前の金化合物水溶液
に、金コロイドの粒子形状制御のために、多量の界面活
性剤を添加してもよい。界面活性剤は、濃度に応じ様々
な集合状態を取り、この影響で金コロイドの粒子形状
が、球状の他、卵型状、棒状、板状等の種々形状とな
る。界面活性剤の種類は、特に限定されず、上記種々界
面活性剤を使用することができるが、特に塩化ステアリ
ルトリメチルアンモニウム、臭化ジドデシルジメチルア
ンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム
等の陽イオン性界面活性剤が、水溶液中で負に帯電した
金コロイド粒子との相互作用が強いので、金コロイド粒
子形状制御がより容易であり、特に好ましい。例えば塩
化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム25重量%溶液
中では棒状の金微粒子が生じるが、この界面活性剤を添
加しない場合には球状の金微粒子となる。
【0024】上記金コロイド粒子形状制御のための界面
活性剤の添加量は、界面活性剤の種類により異なるが、
概ね金コロイド作製前の溶液に対して10〜50重量%
が好ましい。10重量%より少ないと、顕著な金コロイ
ド粒子形状制御効果が認められず、50重量%より多く
ても形状制御の観点からは特に添加量に見合う効果は得
られない。
【0025】このような、多量の界面活性剤と金化合物
を含んだ溶液を上記公知の方法で処理し、金化合物を還
元して、種々の粒子形状の金コロイドが得られる。
【0026】上記種々方法で作製できる金コロイドは、
金の濃度が0.001〜5重量%であり、1〜300n
mの粒径で、球状の他、卵型状、棒状、板状等の種々粒
子形状を有する。この金コロイドを、上記有機金属化合
物と水を含む溶液中に添加し、均一な溶液を得た後、こ
れを基材上、好ましくは表面が平滑な基板上に塗布し、
乾燥して基材から剥離させた後、熱処理して、1〜30
0nm大の金微粒子が0.01〜30重量%含有したフ
レーク状金属酸化物を製造することができる。
【0027】上記製法のうち、加水分解および縮重合が
可能な有機金属化合物と水を含む溶液に、金化合物を添
加する第二の製法では、熱処理または紫外線照射によっ
て金属酸化物マトリックス中に、金微粒子を析出させ
る。この方法では、金コロイドを作製する手間がかから
ないので、工程上有利であり、容易に金微粒子含有量の
高いフレーク状金属酸化物を作製することができる。
【0028】上記第一及び第二の製法において、金微粒
子の金属酸化物前駆体(ゲル)マトリックス中での親和
性や安定性を増加させ、結果として金微粒子の金属酸化
物マトリックス中での含有率を向上させる方法として、
3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミ
ノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N
-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメト
キシシラン、 1,3-ビス(3-アミノプロピル)-1,
1,3,3テトラメチルジシロキサン、 3-アミノプロ
ピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等のアミノシ
ランを上記有機金属化合物と金コロイド(または金化合
物)を含む溶液に添加混合しても良い。
【0029】上記アミノシランの添加量は、特に限定さ
れないが、有機金属化合物に対してモル比で0.01〜
1.5が良い。添加酸量が、モル比で0.01より少な
いと、金微粒子の金属酸化物マトリックス中への固定効
果が充分でなく、またモル比で1.5より多いと、上記
溶液がゲル化する傾向が強くなり、フレーク化が難しく
なるので好ましくない。
【0030】上記の金微粒子(または金化合物)、加水
分解および縮重合が可能な有機金属化合物、水、有機溶
媒を含む塗布溶液の好ましい配合比は,金微粒子(また
は金化合物)を基準にして次の通りである。 金微粒子(または金化合物) 1重量部 加水分解および縮重合が 可能な有機金属化合物 5〜40重量部 水 10〜80重量部 酸 0.00009〜10重量部 有機溶媒 1〜50重量部
【0031】本発明で使用する塗布基板は金属、ガラス
あるいはプラスチック等の材質で、表面が平滑なものを
用いる。このような基板に、上記の有機金属化合物を含
む液体を塗布し、0.06〜50μmの薄い膜とする。
この膜が乾燥すると収縮するが、基板は収縮しないの
で、膜に亀裂が発生し、フレーク状となる。基板と膜と
の剥離が起きるためには、基板と膜との間に強い結合等
の相互作用が少ない状態が好ましい。
【0032】上記基板表面に膜を形成する技術は、公知
の技術を用いればよく、例えば、上記の有機金属化合物
を含む液体に基板を浸漬した後、引き上げる方法や、基
板上に上記液体を滴下し、基板を高速で回転させる方
法、基板上に上記液体を吹き付ける方法、ロールコータ
ーを用いる方法、カーテンコーターを用いる方法等が用
いられる。
【0033】基板上に塗布し、乾燥して基材から剥離さ
せたフレークは、ついで熱処理する。熱処理に関して
は、その方法に特に制限はない。焼結温度および時間に
ついては、マトリックスのゲルからガラスまたは結晶へ
の転移を確実にし、かつ金微粒子が安定に存在したり、
析出したりするために、高い温度で所定時間加熱するこ
とが好ましく、通常は300〜1200℃で5分間〜5
時間加熱する。使用する目的によっては、たとえばフレ
ーク状粉体の機械的強度が要求されず、かつそのフレー
ク状粉体内にすでに金微粒子が分散しているときには、
乾燥後の熱処理を行わなくてもよい場合がある。
【0034】また、上記製法のうち、加水分解および縮
重合が可能な有機金属化合物と水を含む溶液に金化合物
を添加する上記第二の製法では、上記熱処理または紫外
線照射によって金属酸化物マトリックス中に、金微粒子
を析出させる。紫外線照射に関しても、その方法に特に
制限はない。一般に使用される水銀灯やキセノンランプ
を用い、1分間〜100時間照射する。照射時期は、上
記溶液を基板に塗布する前後や乾燥前後、フレーク状ゲ
ル回収前後等いつでも良い。
【0035】本発明のフレーク状金属酸化物の厚みは、
溶液あるいは製膜条件等によって変化するが、概ね0.
05μmから5μmの間である。5μmより厚いと、製
膜後の自由表面と基板付近との乾燥速度の差が大きくな
りすぎ、基板に平行な方向での膜間剥離が発生するよう
になる。逆に0.05μmより薄いと、基板と膜との付
着力が大きくなりすぎ、膜が基板から剥離しなくなる。
この厚みは、好ましくは、0.1〜2μmである。この
範囲の厚みを持つフレーク状粉体は、良好な触感を有す
る。さらに好ましくは、0.1〜1μmである。この範
囲のフレーク状粉体は、特に良好な触感を有し、非常に
伸びが良い。
【0036】本発明のフレーク状金属酸化物のアスペク
ト比は、特に限定されないが、5〜150であることが
好ましい。この範囲のアスペクト比を持つフレーク状粉
体は、ムラがなく、滑らかな触感や伸展性(のび)が得
られる。より好ましいアスペクト比は10〜100であ
る。
【0037】本発明のフレーク状金属酸化物の粒径は、
特に限定されないが、2〜150μmであることが好ま
しく、この範囲の粒径を持つフレーク状粉体は、ムラが
なく、滑らかな触感や伸展性(のび)が得られる。より
好ましい粒径は5〜80μmである。
【0038】本発明のフレーク状金属酸化物は、金微粒
子の大きさ、形状、金属酸化物の種類等により、色調が
異なり、赤色、赤紫色、紫色、青紫色、青色等の様々な
発色を示す。例えば金微粒子が100nm以上の大きさ
になると、マトリックスにもよるが、青色系統の色にな
りやすく、またマトリックスの誘電率が高くなると、金
微粒径が数十nmであっても、紫色〜青色系統の色とな
る。通常の金コロイドの大きさ(数十nm以下)で低誘
電率マトリックス中であれば赤色系統の色になりやす
い。また金微粒子のアスペクト比が大きくなるにしたが
って赤色から次第に青色に変化する傾向にある。
【0039】本発明のフレーク状金属酸化物を配合した
ことを特徴とする化粧料は、金微粒子の凝集や脱落等の
経時変化がなく、金微粒子と油脂やオイル成分との直接
的な接触がないので、鮮やかな発色性と安定性、均一着
色性を有する。また、熱処理温度によっては、金属酸化
物の硬度が充分高いので、外圧や外力によって金微粒子
が変形することもなく、色ムラや変色がない。さらに、
金微粒子分散含有フレーク状金属酸化物が、互いに凝集
することもなく、その表面が平滑であり、良好なすべり
性を示すことから、伸展性(のび)が良く、使用触感に
優れた製品となる。
【0040】本発明で言う化粧料には、上記金微粒子分
散含有フレーク状金属酸化物の他、必要に応じ、通常用
いられている顔料等を併用しても、何等差し支えない。
例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、黄
色酸化鉄、黒色酸化鉄、弁柄、群青、紺青、酸化クロ
ム、水酸化クロム等の無機顔料、雲母チタン、オキシ塩
化ビスマス等の真珠光沢顔料、タール色素、天然色素、
シリカビーズ、ナイロン、アクリル等のプラスチックビ
ーズ等の粉体、タルク、カオリン、マイカ、セリサイ
ト、その他の雲母類、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウ
ム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、クレー類等
が例示される。
【0041】上記金微粒子分散含有フレーク状金属酸化
物の配合量としては、その目的とする化粧料の種類によ
り異なるが、顔料等の固体成分に対して1〜80重量%
の範囲で用いられ、特に2〜50重量%の範囲が好まし
い。これ以下の含有量では、着色効果が顕著に発揮され
ない、発色が良くない等の問題点があり、逆に上限より
多くのフレーク状金属酸化物を添加しても、着色効果は
上がらず、他の顔料成分が減少し、色調を整えたり、皮
膚への付着性を上げることが困難になる。
【0042】また、本発明で用いる金微粒子分散含有フ
レーク状金属酸化物の化粧料中での分散性を向上させた
り、感触を良くするために、このフレーク状金属酸化物
の表面処理を施して、改質することは何等差し支えな
い。例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、反
応性アルキルポリシロキサン、金属石鹸の他、水素添加
レシチン、アシルアミノ酸、アシル化コラーゲンのアル
ミニウム、マグネシウム、カルシウム、チタン、亜鉛、
ジルコニウム、鉄より選ばれた金属塩等の、いわゆる疎
水化剤で表面処理を行うと、フレーク状金属酸化物の表
面は親水性から疎水性に変わるため、化粧料の調合時に
添加する油剤との馴染みが良くなり、感触の良い化粧料
となる。
【0043】本発明で言う化粧料としては、口紅、アイ
シャドー、パウダーファンデーション、ネイルエナメ
ル、眉墨、アイライナー等のメイクアップ化粧品の他、
石鹸、クレンジングクリーム、コールドクリーム、スキ
ンクリーム、スキンミルク、スキンローション、ミルキ
ーローション、Tゾーンエッセンス、エッセンスパウダ
ー、パック、ハンドクリーム、メイクアップベース、シ
ェービングフォーム、シェービングクリーム、ベビーオ
イル等の洗浄用化粧品、基礎化粧品やヘアートニック、
ヘアーリキッド、ヘアートリートメント、ヘアークリー
ム、ヘアーオイル、シャンプー、リンス、ヘアースプレ
ー等の頭髪用化粧品にも用いることができる。
【0044】
【発明の実施の形態】以下に実施例を示す。 実施例1 水1300mlおよび1重量%の塩化金酸(HAuCl
4・4H2O)水溶液200mlを混合し、加熱沸騰させ
た。これに1重量%のクエン酸水溶液500mlを添加
した後、ただちにポリビニルアルコール(重合度50)
12gを添加し、暫く加熱沸騰させて、赤紫色の金コロ
イド(金0.125重量%)を得た。動的光散乱法で、
金コロイドの粒径を測定したところ、平均粒径は約10
nmであった。
【0045】この金コロイド1600mlと0.8N硝
酸100ml、シリコンテトラメトキシド980ml、
エタノール600ml、2-プロパノール600ml を
混合し、50℃で約15時間養生して塗布液とした。
【0046】この液に、表面を研磨して平滑にした厚さ
0.5mmのステンレス板を浸漬して、30cm/mi
nの速度で引き上げその表面に液を塗布した。これを1
50℃で乾燥して、塗布されたゲル膜を剥離しフレーク
状とし、1000℃で1時間焼結した。この焼結フレー
クをジェットミルで粉砕、分級して、平均粒径約10μ
mとして、桃色のフレーク状シリカ粉体を得た。
【0047】このフレーク状粉体をX線回折により調べ
た結果、マトリックスはガラス状態のシリカであった。
焼結後のフレークの化学分析の結果、金の含有量は、約
0.5重量%であった。透過型電子顕微鏡でフレークを
観察したところ、直径が約10nmの球状金微粒子が、
シリカガラスマトリックス中に凝集することなく分散し
ているのが観察された。また走査型電子顕微鏡でフレー
クを観察したところ、表面は非常に平滑であり、厚みは
約0.6μmであった。
【0048】このフレーク状粉体を手に取り触感を調べ
たところ、非常に滑らかな感触であった。また、乳鉢を
用いて、このフレーク状粉体をすりつぶしても、変色は
認められなかった。また、別にこのフレーク状粉体にひ
まし油を少量添加し、かき混ぜたが、やはり顕著な色の
変化はなかった。
【0049】比較例1 水1600ml、0.8N硝酸100ml、シリコンテ
トラメトキシド980ml、エタノール600ml、2
-プロパノール600mlを混合し、 50℃で約15時
間養生して塗布液とした。
【0050】この液に、表面を研磨して平滑にした厚さ
0.5mmのステンレス板を浸漬して、30cm/mi
nの速度で引き上げその表面に液を塗布した。これを1
50℃で乾燥して、塗布されたゲル膜を剥離しフレーク
状とし、1000℃で1時間焼結した。この焼結フレー
クをジェットミルで粉砕、分級して、平均粒径約10μ
mとして、フレーク状シリカガラス粉体を得た。
【0051】このフレーク状シリカガラス粉体100g
を3000mlの水に分散させ、炭酸ナトリウムを加え
てpHを約11に調整した。この懸濁液を攪拌しなが
ら、0.1重量%の塩化金酸(HAuCl4・4H2O)
水溶液1000mlをゆっくりと滴下した。滴下後、数
時間攪拌し、フレークを濾過、水洗して、150℃で乾
燥後、300℃で1時間熱処理して桃色のフレーク状粉
体を得た。
【0052】このフレーク状粉体をX線回折により調べ
た結果、マトリックスはガラス状態であった。化学分析
の結果、金の含有量は、約0.5重量%であった。透過
型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、約20nm
の直径の球状金微粒子が、シリカガラス表面上に付着し
ているのが観察された。また走査型電子顕微鏡でフレー
クを観察したところ、厚みは約0.6μmであった。
【0053】このフレーク状粉体を手に取り触感を調べ
たところ、少し抵抗を感じるものの滑らかな感触であっ
た。乳鉢を用いて、このフレーク状粉体をすりつぶした
ところ、一部赤褐色や灰青色に変色した。また、別にこ
のフレーク状粉体にひまし油を少量添加し、かき混ぜた
ところ、全体が少し黒っぽくくすんだ。
【0054】実施例2及び比較例2 以下の表1〜3に示す配合でパウダーファンデーション
を作製した。
【0055】
【表1】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 成分-1 配合量(重量%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例1で作製した本発明のフレーク 15.8 タルク 73.5 酸化チタン(一次粒径200〜250nm) 3.8 微粒子酸化チタン(一次粒径30〜50nm) 1.9 ステアリン酸マグネシウム 2.9 黄色酸化鉄 0.8 黒色酸化鉄 0.1 シルクパウダー 0.5 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0056】
【表2】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 成分-2 配合量(重量%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− スクワラン 0.5 セスキオレイン酸ソルビタン 0.1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0057】
【表3】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 成分-3 配合量(重量%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 香料 0.1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0058】成分-1をヘンシェルミキサーを用いて、
5分間撹拌した。 これに、70℃にて均一に溶融した
成分-2を滴下しながら、撹拌混合を行った。さらに、
成分-3を添加後、1分間撹拌混合し、 アトマイザーに
より粉砕して製品-1(実施例2)を得た。
【0059】成分-1中の実施例1で作製した金微粒子
分散含有フレーク状シリカガラス (厚み0.6μm、
粒径10μm、金含有量0.5重量%)の代わりに、比
較例1で作製した金微粒子被覆フレーク状シリカガラス
(厚み0.6μm、粒径10μm、金含有量0.5重量
%) を添加した以外は、上記と全く同じ方法で製品-2
(比較例2)を得た。
【0060】これらをパネラー20名に10日間使用さ
せ、最高点を5点とする1〜5点の5段階法にて、評価
した官能テストの結果を表4に示す。
【0061】
【表4】 =================================== 項目 本発明の粉体(製品-1) 比較の粉体(製品-2) (実施例2) (比較例2) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− のび 4.8 4.0 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− つき 4.4 3.5 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 透明感 4.7 2.4 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 光沢感 4.5 2.8 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 色感 4.8 2.2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 性能持続性 4.1 3.2 ===================================
【0062】このように、本発明の化粧料は、のびやつ
き(付着性)が良く、透明感、光沢感が良好で、発色に
優れ、色あせしにくいことが確認された。
【0063】実施例3 水500mlに塩化金酸(HAuCl4・4H2O)20
9gを溶解させ、これにシリコンテトラメトキシド49
0ml、1N塩酸100ml、エタノール600ml、
3-アミノプロピルトリエトキシシラン368gを添加
し混合した。 別に、チタンイソプロポキシド356g
を2-プロパノール1000ml に溶解させた溶液を準
備し、これを、先に調製した塩化金酸とシリコンテトラ
メトキシドを含む溶液に、ゆっくりと添加し混合した。
この混合液を60℃で約20時間養生して塗布液とし
た。
【0064】この液に、ポリイミドフィルム板(宇部興
産製、商品名ユーピレックス)を浸漬して、30cm/
minの速度で引き上げその表面に液を塗布した。これ
を150℃で乾燥し、その後、上記塗布基板を多量の水
中に入れ、水中で基板表面のゲル膜を剥離させフレーク
状とした。水中のフレークを濾過によって回収し、12
0℃で乾燥させてフレーク状ゲルを得た。その後、この
フレーク状ゲルを850℃で3時間焼結し、ジェットミ
ルで粉砕、分級して、平均粒径約10μmとして、紫外
線吸収能を有する青紫色フレーク状粉体を得た。
【0065】このフレーク状粉体をX線回折等により調
べた結果、マトリックスはガラス状態のシリカ-チタニ
ア2成分が主であり、 アナターゼ型酸化チタンの結晶
が混在しているのが認められた。焼結後のフレークの化
学分析の結果、金の含有量は約20重量%、酸化チタン
含有量約20重量%、酸化珪素含有量約60重量%であ
った。透過型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、
直径が約30nmの球状金微粒子が、凝集することなく
フレーク中に分散しているのが観察された。また走査型
電子顕微鏡でフレークを観察したところ、表面は非常に
平滑であり、厚みは約0.7μmであった。
【0066】このフレーク状粉体を手に取り触感を調べ
たところ、非常に滑らかな感触であった。また、乳鉢を
用いて、このフレーク状粉体をすりつぶしても、変色は
認められなかった。また、別にこのフレーク状粉体にひ
まし油を少量添加し、かき混ぜたが、やはり顕著な色の
変化はなかった。
【0067】比較例3 水1600ml、6N塩酸200ml、シリコンテトラ
メトキシド490ml、エタノール600ml、3-ア
ミノプロピルトリエトキシシラン368g を添加し混
合した。別に、チタンイソプロポキシド356g を2-
プロパノール500mlに溶解させた溶液を準備し、こ
れを、先に調製した溶液に、ゆっくりと添加し混合し
た。この混合液を60℃で約20時間養生して塗布液と
した。
【0068】この液に、ポリイミドフィルム板(宇部興
産製、商品名ユーピレックス)を浸漬して、30cm/
minの速度で引き上げその表面に液を塗布した。これ
を150℃で乾燥し、その後、多量の水中に基板ごと入
れ、水中でゲル膜を剥離させフレーク状とした。水中の
フレークを濾過によって回収し、120℃で乾燥させて
フレーク状ゲル粉体を得た。
【0069】このフレーク状ゲル粉体100gを300
0mlの水に分散させ、アンモニアを加えてpHを約1
2に調整した。この懸濁液を攪拌しながら、3重量%の
塩化金酸(HAuCl4・4H2O)水溶液1743ml
をゆっくりと滴下した。滴下後、数時間攪拌し、フレー
クを濾過、水洗して、150℃で乾燥後、850℃で3
時間熱処理して灰青色のフレーク状粉体を得た。
【0070】このフレーク状粉体をX線回折等により調
べた結果、マトリックスはガラス状態のシリカ-チタニ
ア2成分が主であり、 アナターゼ型酸化チタンの結晶
が混在しているのが認められた。燒結後のフレークの化
学分析の結果、金の含有量は約14重量%、酸化チタン
含有量約21重量%、酸化珪素含有量約65重量%であ
った。透過型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、
一次粒径が約50nmの球状金微粒子が、シリカガラス
表面上に付着しているのが観察された。また走査型電子
顕微鏡でフレークを観察したところ、厚みは約0.7μ
mであった。
【0071】このフレーク状粉体を手に取り触感を調べ
たところ、あまり良い感触ではなかった。乳鉢を用い
て、このフレーク状粉体をすりつぶしたところ、一部褐
色や黒色に変色した。また、別にこのフレーク状粉体に
ひまし油を少量添加し、かき混ぜたところ、全体が黒っ
ぽくくすんだ。
【0072】実施例4及び比較例4 以下の表5〜7に示す配合でネイルエナメルを作製し
た。
【0073】
【表5】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 成分-4 配合量(重量%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ニトロセルロース 15.0 フタル酸系アルキド樹脂 12.0 フタル酸ジブチル 4.0 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0074】
【表6】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 成分-5 配合量(重量%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 酢酸ブチル 25.0 酢酸エチル 7.0 トルエン 24.0 2-プロパノール 6.0 エタノール 2.0 1−ブタノール 2.0 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0075】
【表7】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 成分-6 配合量(重量%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例3で作製した 本発明のフレーク 3.0 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0076】成分-4と成分-5を混合し溶解させた。こ
れに、成分-6を添加し、 撹拌混合を行ない、製品-3
(実施例4)を得た。
【0077】成分-6である実施例3で作製した本発明
のフレークのかわりに比較例3 で作製したフレークを
使用した以外は、前記と同様の方法により、 製品-4
(比較例4)を得た。
【0078】上記製品をパネラー20名に10日間使用
させ、最低点を1点、最高点を5点とする5段階法に
て、評価した官能テストの結果を表8に示す。
【0079】
【表8】 =================================== 項目 本発明の化粧料(製品-3) 比較の化粧料(製品-4) (実施例4) (比較例4) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− のび 4.8 3.5 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− つき 4.4 2.8 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 塗布性 4.2 2.9 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 光沢感 4.9 3.1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 仕上り感 4.7 2.5 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 色感 4.6 1.3 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 均一性 4.5 1.8 ===================================
【0080】このように、本発明の化粧料は、のび(伸
展性)やつき(付着性)に優れ、均一に塗布し易く、透
明感、光沢感が良好で、発色が良く、仕上り感に優れる
ことが確認された。
【0081】実施例5 アルミニウムsec-ブトキシド500g、0.03N
塩酸3600ml を混合し、85℃で8時間加熱しゾ
ルを得た。このゾルを室温に冷やしてから、塩化金酸を
24g添加し溶解させ塗布液とした。
【0082】この液に、ポリエーテルエーテルケトンフ
ィルム板(住友化学製、商品名エスペックス-KC)を
浸漬して、40cm/min の速度で引き上げその表
面に液を塗布した。これを150℃で乾燥し、500W
高圧水銀灯の光を30分間照射してマトリックス中に金
微粒子を析出させた。
【0083】その後、上記塗布基板を3重量%ヒドラジ
ン水溶液中に入れ、液中で基板表面の膜を剥離させフレ
ーク状とした。液中のフレークを濾過によって回収し、
200℃で乾燥させた後、1200℃で1時間焼結し、
ジェットミルで粉砕、分級して、平均粒径約10μmと
して、紫色フレーク状粉体を得た。
【0084】このフレーク状粉体をX線回折等により調
べた結果、 マトリックスはα-アルミナの結晶であるの
が認められた。化学分析の結果、金の含有量は約10重
量%であった。透過型電子顕微鏡でフレークを観察した
ところ、約20nm大の卵型状金微粒子が、凝集するこ
となくフレーク中に分散しているのが観察された。また
走査型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、表面は
平滑であり、厚みは約0.7μmであった。
【0085】このフレーク状粉体を手に取り触感を調べ
たところ、滑らかな感触であった。また、乳鉢を用い
て、このフレーク状粉体をすりつぶしても、変色は認め
られなかった。また、別にこのフレーク状粉体にひまし
油を少量添加し、かき混ぜたが、やはり顕著な色の変化
はなかった。
【0086】比較例5 アルミニウムsec-ブトキシド500g、0.03N
塩酸3600ml を混合し、85℃で8時間加熱しゾ
ルを得た。このゾルを室温に冷やし塗布液とした。
【0087】この液に、ポリエーテルエーテルケトンフ
ィルム板(住友化学製、商品名エスペックス-KC)を
浸漬して、30cm/min の速度で引き上げその表
面に液を塗布した。これを150℃で乾燥し、その後、
3重量%ヒドラジン水溶液中でゲル膜を剥離させフレー
ク状とした。液中のフレークを濾過によって回収し、1
20℃で乾燥させてフレーク状粉体を得た。
【0088】このフレーク状粉体100gを3000m
lの水に分散させ、ヒドラジンを加えてpHを約10に
調整した。この懸濁液を攪拌しながら、1重量%の塩化
金酸(HAuCl4・4H2O)水溶液2100mlをゆ
っくりと滴下した。滴下後、数時間攪拌し、フレークを
濾過、水洗して、200℃で乾燥後、1200℃で1時
間熱処理して紫色のフレーク状粉体を得た。
【0089】このフレーク状粉体をX線回折等により調
べた結果、 マトリックスはα-アルミナの結晶であるの
が認められた。化学分析の結果、金の含有量は約10重
量%であった。透過型電子顕微鏡でフレークを観察した
ところ、直径が約20nmの球状金微粒子が、フレーク
表面上に付着しているのが観察された。また走査型電子
顕微鏡でフレークを観察したところ、厚みは約0.7μ
mであった。
【0090】このフレーク状粉体を手に取り触感を調べ
たところ、あまり良い感触ではなかった。乳鉢を用い
て、このフレーク状粉体をすりつぶしたところ、一部褐
色や黒色に変色した。また、別にこのフレーク状粉体に
ひまし油を少量添加し、かき混ぜたところ、全体が黒っ
ぽくくすんだ。
【0091】実施例6及び比較例6 次に、以下の表9〜11に示す配合でアイシャドーを作
製した。
【0092】
【表9】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 成分-7 配合量(重量%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例-5で作製した本発明のフレーク 13.5 タルク 40.0 マイカ 21.0 雲母チタン 10.3 ステアリン酸亜鉛 8.6 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0093】
【表10】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 成分-8 配合量(重量%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− スクワラン 1.0 セスキオレイン酸ソルビタン 1.0 流動パラフィン 3.0 ワセリン 1.5 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0094】
【表11】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 成分-9 配合量(重量%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 香料 0.1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0095】成分-7をヘンシェルミキサーを用いて、
5分間撹拌した。これに、 70℃にて均一に混合した
成分-8を滴下しながら、撹拌混合を行った。さらに、
成分-9を添加後、1分間撹拌混合し、粉砕したものを
圧縮成形して、 製品-5(実施例6)を得た。
【0096】成分-7中の実施例5で作製した本発明の
フレークのかわりに、 比較例5で作製したフレークを
使用した以外は、前記と同様の方法により、 製品-6
(比較例6)を得た。
【0097】上記製品をパネラー20名に10日間使用
させ、最低点1、最高点を5点とする5段階法にて、評
価した官能テストの結果を表12に示す。
【0098】
【表12】 =================================== 項目 本発明の化粧料(製品-5) 比較の化粧料(製品-6) (実施例-6) (比較例-6) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− のび 4.5 3.8 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− つき 4.3 3.7 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ぼかし易さ 4.2 3.2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 光沢感 4.0 3.9 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 仕上り感 4.5 3.4 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 色感 4.6 2.8 ===================================
【0099】このように、本発明の化粧料は、のび(伸
展性)やつき(付着性)に優れ、ぼかし易く、発色が良
く、仕上り感に優れることが、確認された。
【0100】実施例7 水500mlにヒドロキシエチルセルロース5g、 塩
化金酸(HAuCl4・4H2O)31gを溶解させ、こ
れにシリコンテトラメトキシド 490ml、1N塩酸
100ml、エタノール600ml、 3-アミノプロピ
ルトリエトキシシラン184gを添加し混合した。別
に、ジルコニウムイソプロポキシド55gを2-プロパ
ノール500mlに溶解させた溶液を準備し、 これ
を、先に調製した塩化金酸とシリコンテトラメトキシド
を含む溶液に、ゆっくりと添加し混合した。この混合液
を60℃で約15時間養生した。
【0101】この液に、500W高圧水銀灯の光を5時
間照射し、液中に金微粒子を生成させ、さらに50℃で
5時間養生して塗布液とした。
【0102】この液に、ポリイミドフィルム板(宇部興
産製、商品名ユーピレックス)を浸漬して、30cm/
minの速度で引き上げその表面に液を塗布した。これ
を150℃で乾燥し、その後、多量の水中に基板ごと入
れ、水中でゲル膜を剥離させフレーク状とした。水中の
フレークを濾過によって回収し、120℃で乾燥させて
フレーク状ゲルを得た。その後、このフレーク状ゲルを
500℃で3時間焼結し、ジェットミルで粉砕、分級し
て、平均粒径約15μmとして、光沢感ある赤紫色フレ
ーク状粉体を得た。
【0103】このフレーク状粉体をX線回折等により調
べた結果、 マトリックスはシリカ-ジルコニア2成分の
ガラス状態であるのが認められた。化学分析の結果、金
の含有量は約5重量%、酸化ジルコニウム含有量約7重
量%、酸化珪素含有量約88重量%であった。透過型電
子顕微鏡でフレークを観察したところ、直径が約5nm
の球状金微粒子が、フレーク中に単分散しているのが観
察された。また走査型電子顕微鏡でフレークを観察した
ところ、表面は非常に平滑であり、厚みは約0.6μm
であった。
【0104】このフレーク状粉体を手に取り触感を調べ
たところ、非常に滑らかな感触であった。また、乳鉢を
用いて、このフレーク状粉体をすりつぶしても、変色は
認められなかった。また、別にこのフレーク状粉体にひ
まし油を少量添加し、かき混ぜたところ、色がより鮮や
かに変化するのが認められた。これはフレークに存在す
る微細な孔にひまし油が含浸して微細な孔による光散乱
が減少するためと考えられる。
【0105】比較例7 水500ml、6N塩酸200ml、シリコンテトラメ
トキシド613ml、エタノール600mlを添加し混
合した。別に、ジルコニウムイソプロポキシド55gを
2-プロパノール500mlに溶解させた溶液を準備
し、 これを、先に調製した溶液に、ゆっくりと添加し
混合した。この混合液を60℃で約20時間養生して塗
布液とした。
【0106】この液に、ポリイミドフィルム板(宇部興
産製、商品名ユーピレックス)を浸漬して、30cm/
minの速度で引き上げその表面に液を塗布した。これ
を150℃で乾燥し、その後、多量の水中に基板ごと入
れ、水中でゲル膜を剥離させフレーク状とした。水中の
フレークを濾過によって回収し、120℃で乾燥させて
フレーク状ゲルを得た。その後、このフレーク状ゲルを
500℃で3時間焼結し、ジェットミルで粉砕、分級し
て、平均粒径約15μmとした。
【0107】このフレーク状粉体100gを3000m
lの水に分散させ、ヒドラジンを加えてpHを約10に
調整した。この懸濁液を攪拌しながら、1重量%の塩化
金酸(HAuCl4・4H2O)水溶液1150mlをゆ
っくりと滴下した。滴下後、数時間攪拌し、フレークを
濾過、水洗して、200℃で乾燥後、500℃で3時間
熱処理して赤紫色のフレーク状粉体を得た。
【0108】このフレーク状粉体をX線回折等により調
べた結果、 マトリックスはシリカ-ジルコニア2成分の
ガラス状態であるのが認められた。化学分析の結果、金
の含有量は約5重量%、酸化ジルコニウム含有量約7重
量%、酸化珪素含有量約88重量%であった。透過型電
子顕微鏡でフレークを観察したところ、直径が約5nm
の球状金微粒子が、フレーク表面上に付着しているのが
観察された。また走査型電子顕微鏡でフレークを観察し
たところ、厚みは約0.6μmであった。
【0109】このフレーク状粉体を手に取り触感を調べ
たところ、少し抵抗を感じるが良い感触であった。乳鉢
を用いて、このフレーク状粉体をすりつぶしたところ、
色が濃い部分と薄い部分にわかれ、色ムラとなった。ま
た、別にこのフレーク状粉体にひまし油を少量添加し、
かき混ぜたところ、色調が濃くなったが、全体が少し黒
っぽくくすんだ。
【0110】実施例8及び比較例8 以下の表13〜15に示す配合で口紅を作製した。
【0111】
【表13】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 成分-10 配合量(重量%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ひまし油 35.0 ミリスチン酸オクチルドデシル 19.0 ミリスチン酸イソプロピル 5.4 ラノリン 5.5 みつろう 2.7 キャンデリラろう 6.6 カルナウバろう 0.9 セレシン 7.2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0112】
【表14】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 成分-11 配合量(重量%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例-7で作製した本発明のフレーク 12.1 二酸化チタン 5.5 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0113】
【表15】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 成分-12 配合量(重量%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 香料 0.1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0114】成分-10を混合して85℃に加熱溶融し
た。この溶融物に成分-11を添加して、撹拌混合を行
った。さらに、成分-12 を添加、撹拌混合し、型に流
し込み、冷却して、棒状に成形して製品-7(実施例
8)を得た。
【0115】成分-11中の実施例7で作製した本発明
のフレークのかわりに、 比較例7で作製したフレーク
を使用した以外は、前記と同様の方法により、 製品-8
(比較例8)を得た。
【0116】上記製品をパネラー20名に10日間使用
させ、最低点を1点、最高点を5点とする5段階法に
て、評価した官能テストの結果を表16に示す。
【0117】
【表16】 =================================== 項目 本発明の化粧料(製品-7) 比較の化粧料(製品-8) (実施例8) (比較例8) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− のび 4.5 4.0 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− つき 4.5 3.8 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 光沢感 4.3 4.0 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 仕上り感 4.6 3.5 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 色感 4.7 2.7 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 化粧もち 3.9 3.3 ===================================
【0118】このように、本発明の化粧料は、のび(伸
展性)やつき(付着性)に優れ、光沢感が良好で、発色
が良く、仕上り感及び化粧もちの良いことが、確認され
た。
【0119】実施例9 2重量%の塩化金酸(HAuCl4・4H2O)水溶液2
000mlにポリビニルアルコール(重合度300)8
0gを添加し溶解させ、これを加熱沸騰させて5重量%
のクエン酸水溶液500mlを添加し、暫く加熱沸騰さ
せ、褐色の金コロイド(金0.74重量%)を得た。動
的光散乱法で、金コロイドの粒径を測定したところ、平
均粒径は約110nmであった。
【0120】この金コロイド1100mlと6N硝酸2
00ml、シリコンテトラメトキシド858ml、N-
(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシ
シラン185g、エタノール600ml、2-プロパノ
ール600mlを混合し、 40℃で約5時間養生して
塗布液とした。
【0121】この液に、表面をクロムメッキした厚さ
0.5mmのステンレス板を浸漬して、30cm/mi
nの速度で引き上げその表面に液を塗布した。これを2
00℃で乾燥して、塗布されたゲル膜を剥離しフレーク
状とし、1000℃で1時間焼結した。この焼結フレー
クをジェットミルで粉砕、分級して、平均粒径約20μ
mとして、赤みがかった茶褐色のフレーク状粉体を得
た。
【0122】このフレーク状粉体をX線回折により調べ
た結果、マトリックスはガラス状態のシリカであった。
燒結後のフレークの化学分析の結果、金の含有量は、約
2重量%であった。透過型電子顕微鏡でフレークを観察
したところ、直径が約100nmの球状金微粒子が、凝
集することなくシリカガラスマトリックス中に分散して
いるのが観察された。また走査型電子顕微鏡でフレーク
を観察したところ、表面は非常に平滑であり、厚みは約
0.6μmであった。
【0123】このフレーク状粉体を手に取り触感を調べ
たところ、非常に滑らかな感触であった。また、乳鉢を
用いて、このフレーク状粉体をすりつぶしても、変色は
認められなかった。また、別にこのフレーク状粉体にひ
まし油を少量添加し、かき混ぜたが、やはり顕著な色の
変化はなかった。
【0124】このフレークを用いて、実施例2に示した
方法で、パウダリーファンデーションを作製したとこ
ろ、のびやつき(付着性)が良く、独特の色調を持ち、
発色に優れ、色あせしにくくい化粧料が得られた。
【0125】実施例10 30重量%の塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム
水溶液2000mlに塩化金酸を12g添加し、溶解さ
せた。この溶液に、200Wの高圧水銀灯の光を50時
間照射し、金微粒子を生成させ、赤紫色の金コロイド
(金0.29重量%)を得た。透過型電子顕微鏡観察に
よれば、この金コロイド中には、直径が約20〜30n
mの球状の金微粒子と、幅約20〜30nm、長さ約1
00〜200nmの棒状の金微粒子が混在していた。
【0126】この金コロイド1742mlに、モノラウ
リン酸ポリエチレングリコール52gを溶解させ、さら
に0.8N硝酸100ml、シリコンテトラメトキシド
980ml、エタノール600ml、2-プロパノール
600mlを混合し、 50℃で約15時間養生して塗
布液とした。
【0127】この液に、表面を研磨して平滑にした厚さ
0.5mmのステンレス板を浸漬して、30cm/mi
nの速度で引き上げその表面に液を塗布した。これを1
50℃で乾燥して、塗布されたゲル膜を剥離しフレーク
状とし、1000℃で1時間焼結した。この焼結フレー
クをジェットミルで粉砕、分級して、平均粒径約30μ
mとして、淡赤紫色のフレーク状粉体を得た。
【0128】このフレーク状粉体をX線回折により調べ
た結果、マトリックスはガラス状態のシリカであった。
燒結後のフレークの化学分析の結果、金の含有量は、約
1.2重量%であった。透過型電子顕微鏡でフレークを
観察したところ、直径が約20nmの球状の金微粒子
と、幅約20〜30nm、長さ約100〜200nmの
棒状の金微粒子が混在してシリカガラスマトリックス中
に凝集することなく分散しているのが観察された。また
走査型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、表面は
非常に平滑であり、厚みは約0.6μmであった。
【0129】このフレーク状粉体を手に取り触感を調べ
たところ、非常に滑らかな感触であった。また、乳鉢を
用いて、このフレーク状粉体をすりつぶしても、変色は
認められなかった。また、別にこのフレーク状粉体にひ
まし油を少量添加し、かき混ぜたが、やはり顕著な色の
変化はなかった。
【0130】このフレークを用いて、実施例2に示した
方法で、パウダリーファンデーションを作製したとこ
ろ、のびやつき(付着性)が良く、独特の色調を持ち、
発色に優れ、色あせしにくくい化粧料が得られた。
【0131】
【発明の効果】以上の本発明の詳細な説明及び実施例、
比較例で明らかなように、本発明によれば、鮮やかな発
色性と様々な色調、均一着色性や高い安定性を有し、か
つ伸展性(のび)が良好で触感に優れたフレーク状金属
酸化物が得られる。
【0132】また、本発明のフレーク状金属酸化物を配
合した化粧料は、金微粒子の凝集や脱落等の経時変化が
なく、金微粒子と油脂やオイル成分との直接的な接触が
ないので、鮮やかな発色性と色調安定性、均一着色性を
有する。また、外圧や外力によって金微粒子が変形する
こともなく、色ムラや変色がなく、さらに、金微粒子分
散含有フレーク状金属酸化物が、互いに凝集することも
なく、その表面が平滑であり、良好なすべり性を示すこ
とから、伸展性(のび)が良く、使用触感に優れた製品
となる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年4月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来の技術】今まで、化粧品用着色剤として金微粒子
を用いる試みがなされてきた。その例として、表面上に
金微粒子を固定したマイカやタルク等の体質顔料を配合
した化粧料(特開平1−215865)、金コロイドで
染色したタンパク質や絹フィブロイン粉末を配合した化
粧料(特開平3-90012、特開平3-77806)、
金微粒子を固定した金属酸化物粉体を配合した化粧料
(特平5−87045)等が挙げられる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウ
    ム、酸化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくと
    も一種の金属酸化物を主成分とし、0.01〜30重量
    %の金微粒子を分散含有したフレーク状金属酸化物。
  2. 【請求項2】 前記金微粒子は1〜300nmの粒径を
    有する請求項1記載のフレーク状金属酸化物。
  3. 【請求項3】 平均厚みが0.1〜2μm、アスペクト
    比が5〜150である請求項1または2記載のフレーク
    状金属酸化物。
  4. 【請求項4】 前記金属酸化物が非晶質またはガラス状
    である請求項1〜3のいずれかに記載の金微粒子分散含
    有フレーク状金属酸化物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のフレー
    ク状金属酸化物を配合したことを特徴とする化粧料。
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