JP4053617B2 - 着色フレーク状ガラス、その製造方法及びそれを配合した化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、着色フレーク状ガラス、特に色むらがなく、伸展性(のび)が良好で、透明感、触感に優れた着色剤に適した着色フレーク状ガラス、その製造方法及び化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
低次酸化チタンは、塗料、プラスチックフィルム、化粧料基材等に添加・配合され、黒色着色剤として利用されている。一般に、この用途に用いられる低次酸化チタンは、粉末状であり、媒体に均一分散させることが難しく、また一度分散させても、経時的に凝集し、だまになったり、むらになる問題点があった。特に、化粧料として配合した場合は、上記問題が顕著になり、さらに、すべりが悪くなって肌上での伸展性(のび)が悪くなるといった問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の従来技術に鑑み、従来製造が難しかった、高い均一着色性を有し、かつ可視光に対する透明性が高く、かつ触感に優れた、着色フレーク状ガラス及びそれを配合した高品質な化粧料を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本課題を解決するため、本発明者らは、粒径が1nm以上、300nm以下である酸化チタン微粒子を均一に分散含有したフレーク状ガラスまたはフレーク状ガラス前駆体を、水素、一酸化炭素、一酸化窒素、アンモニア等還元性気体中または炭素質存在下窒素気体中で熱処理し、酸化チタン微粒子を、低次酸化チタン微粒子や酸窒化チタン微粒子や窒化チタン微粒子に変えることを見いだし、本発明に到った。
【0005】
すなわち、本発明の着色フレーク状ガラスは、窒化チタンの結晶微粒子を前記ガラスの内部に分散した状態で0.1〜50重量%含有する着色フレーク状ガラスである。
【0006】
本発明の着色フレーク状ガラスに含まれる結晶微粒子は窒化チタンからなり、フレーク状ガラスに所望の着色を付与する。窒化チタンは、 TiOxNy(ここで、0≦x<2、0<y≦1、1≦x+2y≦2)
で表され、xがゼロであってyが1であるときは窒化チタンである。ただし、xがあまりに2に近く、そしてyがあまりにゼロに近いときは非常に薄い着色しか得られないので、xは好ましくは1.90以下、より好ましくは1.60以下であり、yは好ましくは0.05以上、より好ましくは0.20以上である。
【0007】
本発明の着色フレーク状ガラスに含まれる結晶微粒子は1nm以上、300nm以下の直径を有すことが好ましい。直径が1nmより小さいと着色の色調が良くないので好ましくない。また、300nmより大きいと、可視光に対する透明性が損なわれる、フレーク表面に微粒子が突出し触感が悪くなる等の理由でやはり好ましくない。
【0008】
本発明の着色フレーク状ガラスに含まれる結晶微粒子はフレーク状ガラスに対して0.1〜50重量%、より好ましくは1.0〜40重量%、更に好ましくは2.0〜30重量%含有しているのが良い。上記含有量が0.1重量%より少ないと、着色が充分でなく好ましくない。上記含有量が50重量%より多い場合は、フレーク状ガラスの機械的強度が低くなるので好ましくない。
【0009】
前記着色フレーク状ガラスのマトリックスは酸化珪素ガラス、または酸化珪素を主成分とし酸化チタン、酸化アルミニウム、および酸化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属酸化物を補助成分とするガラスであることが好ましい。すなわち着色フレーク状ガラスのマトリックスの好ましい組成は、SiO2 50〜100重量%、TiO2+Al2O3+ZrO2 0〜50重量%である。
【0010】
次に着色フレーク状ガラスの製造方法について説明する。まず、酸化チタン微粒子をフレーク状ガラスまたはフレーク状ガラス前駆体内に分散する。その方法は、特に限定されないが、(1)加水分解および縮重合可能な有機金属化合物(珪素、チタン、アルミニウム、ジルコニウムの有機化合物)と水を含む溶液に、含水酸化チタンコロイドや水酸化チタン微粒子を添加分散し、これを基材、好ましくは表面が平滑な基材の表面上に塗布し、乾燥して基材から剥離させた後、必要に応じてガラス緻密化のための加熱処理(通常は800〜1200℃で10分間〜5時間)をおこなって製造する方法、(2)加水分解および縮重合可能な有機金属化合物と水を含む溶液に、チタンのアルコキシド、アセチルアセトン化合物、シュウ酸化合物、硫酸化合物、ハロゲン化物等のチタン化合物を添加溶解し、これを基材、好ましくは表面が平滑な基板の表面上に塗布し、乾燥して基材から剥離させた後、必要に応じてガラス緻密化および酸化チタン微粒子をガラスマトリックス中に析出させるための加熱処理(通常は600〜1200℃で10分間〜5時間)をおこなう方法等が、特に優れた特性を有する酸化チタン微粒子分散フレーク状ガラスまたはフレーク状ガラス前駆体を得ることができるので好ましい。なお、上記(1)および(2)の方法での加熱処理を行う前のフレーク状ガラスを「フレーク状ガラス前駆体」(または単に「ガラス前駆体」)と言うこととする。
【0011】
上記方法のうち、(1)の方法、特にその中でも含水酸化チタンコロイドを添加する方法では、上記コロイドが上記有機金属化合物と水を含む溶液中に、均一に分散しやすいので、最終的に得られるフレーク状ガラス中の酸化チタン微粒子分散性が非常に高く、優れた特性を有するものが簡単に製造できる。また、上記方法のうち、チタン化合物を添加溶解する(2)の方法では、熱処理によってガラスマトリックス中に酸化チタン微粒子が析出するので、小さい粒径の酸化チタン分散ガラスが得られ、着色フレーク状ガラスの透明性が特に優れている。
【0012】
上記酸化チタン微粒子分散フレーク状ガラスまたは上記(1)の方法でのガラス前駆体の中の酸化チタン微粒子径は1nm以上、300nm以下である。酸化チタン微粒子径は、上記熱処理の条件や上記(1)の方法における含水酸化チタンコロイドや水酸化チタン微粒子の粒径によって調節することができる。酸化チタン微粒子は後述の処理で還元されてもその直径はそれほど大きく変化しない。酸化チタン微粒子径が1nmより小さいと透明性が高くなりすぎ、酸化チタン微粒子還元後の着色の色調が良くないので好ましくない。また、300nmより大きいと、可視光に対する透明性が損なわれる、フレーク表面に微粒子が突出し触感が悪くなる等の理由でやはり好ましくない。
【0013】
次に上記酸化チタン微粒子分散フレーク状ガラスまたはガラス前駆体中の酸化チタン微粒子またはチタニア成分を還元する方法は特に限定されないが、上記酸化チタン微粒子分散フレーク状ガラスまたはガラス前駆体を、窒素化合物が存在する還元性条件で加熱することにより得られる。すなわち水素、一酸化炭素のような還元性気体または一酸化窒素、アンモニアのような還元性窒素化合物気体の中で熱処理する方法や、上記酸化チタン微粒子分散フレーク状ガラスまたはガラス前駆体を、有機物または炭素の存在下で、窒素気体のような非酸化性雰囲気の中で熱処理する方法、等が簡単に酸化チタン微粒子を還元できるので好ましい。なお、上記一酸化窒素、アンモニアのような窒素化合物気体の中で熱処理する場合には、酸化チタン微粒子は酸窒化チタン微粒子または窒化チタン微粒子に変化する。
【0014】
本発明では、上記還元性気体を用いて、上記フレーク状ガラスまたはガラス前駆体中の酸化チタンを還元し、窒化チタン微粒子含有フレーク状ガラスを得ている。還元性気体は、ガラスまたはガラス前駆体マトリックス中を拡散し、酸化チタン微粒子のみを還元する。
【0015】
この酸化チタン微粒子の還元は、酸化チタン微粒子表面から内部に向かって進行し、条件によっては、微粒子全体が還元される。しかし、着色剤としての観点からは、微粒子全体が還元される必要はない。
【0016】
還元時の熱処理に関しては、その方法に特に制限はない。焼結温度および時間は、酸化チタン微粒子の還元が確実に進行する条件、すなわち窒素化合物が存在する還元性条件で、かつマトリックスのガラス前駆体からガラスへの変化を確実にするような条件以上に加熱することが好ましく、通常は500〜1600℃で10分間〜24時間加熱する。
【0017】
水素、一酸化炭素、一酸化窒素、アンモニア等還元性気体中で熱処理する場合、熱処理温度は700〜1200℃とするのが、酸化チタン微粒子の還元を確実にするので好ましい。もし、処理すべき上記フレーク状ガラスまたはガラス前駆体中に有機物が混入している場合には、この熱処理に先だって、空気中300〜400℃で有機物の除去を行っておくことが、透明性の高い着色フレーク状ガラスを得るために好ましい。
【0018】
また、有機物や炭素質存在下、窒素気体中で熱処理する場合は、900〜1600℃の温度で処理するのが好ましい。上記有機物や炭素質は、基本的に炭素元素を含んでいれば何でも良い。例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、フェノール樹脂、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロース等各種有機高分子、ジメチルビニルエトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、シリコーンオイル等の各種有機珪素化合物、ステアリン酸、オレイン酸、あまに油、ひまし油等各種油脂類、パラフィン炭化水素、オレフィン炭化水素、アセチレン系炭化水素等の炭化水素化合物、無定形炭素、グラファイト、ダイヤモンド等の炭素質等が用いられる。
【0019】
上記有機物や炭素質の添加量は特に限定されないが、炭素換算量で酸化チタンに対して、1〜300重量%、好ましくは3〜150重量%で良い。この量が1重量%より少ないと、酸化チタンの還元が充分に起こらず好ましくない。また、300重量%より多いと、処理時間がかかる、炭化残留することがある等の理由から、やはり好ましくない。
【0020】
また、上記有機物や炭素質は、酸化チタン分散フレーク状ガラスやフレーク状ガラス前駆体と接触させることが好ましい。さらに好ましくは、酸化チタン分散フレーク状ガラスやフレーク状ガラス前駆体の中に、好ましくは0.01〜150重量%上記有機物や炭素質を含有させて、酸化チタン微粒子に上記有機物や炭素質を接触させることが好ましい。そのためには、酸化チタン微粒子分散フレーク状ガラス前駆体の原料の中に上記有機物や炭素質を添加する方法が簡単で好ましい。
【0021】
本発明に用いる有機金属化合物は、加水分解、脱水縮合を行うものであれば基本的にはどんな化合物でも良いが、アルコキシル基を有する金属アルコキシドが好ましい。具体的には、Si、Ti、Al、Zr等のメトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシド等が、単体あるいは混合体として用いられる。
【0022】
上記有機金属化合物を含む溶液の溶媒は、実質的に上記有機金属化合物を溶解すれば基本的に何でも良いが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類が最も好ましい。
【0023】
上記有機金属化合物の加水分解には水が必要である。これは、酸性、中性、塩基性の何れでも良いが、加水分解を促進するためには、塩酸、硝酸、硫酸等で酸性にした水を用いるのが好ましい。酸の添加量は特に限定されないが、有機金属化合物に対してモル比で0.001〜2が良い。添加酸量が、モル比で0.001より少ないと、有機金属化合物の加水分解の促進が充分でなく、またモル比で2より多くても、もはや加水分解促進の効果が向上せず、酸が過剰となり好ましくない。
【0024】
また、この添加する水は、上記含水酸化チタンコロイドを用いる場合、このコロイドの分散安定化のためにも必要である。水の添加量は、溶液の10重量%以上、80重量%以下が良い。ただしここで言う水分量は、上記コロイド中に含まれているものと、新たに添加する水の総計である。水添加量が、溶液の10重量%より少ないと、上記コロイドが安定に存在できなくなる傾向が強く、好ましくない。また、水添加量が、溶液の80重量%より多いと、溶液中の固形分換算濃度が低くなりすぎて、フレークの収率が低くなり、好ましくない。
【0025】
その他、上記溶液の特性を変化させるために、有機増粘剤等を添加しても良い。しかし、この添加量が多いと、最終段階の加熱で炭化することがあるので、添加量は10重量%以下にとどめるべきである。
【0026】
本発明で上記有機金属化合物を含む溶液を塗布するために使用する基板は金属、ガラスあるいはプラスチック等の材質で、表面が平滑なものを用いる。このような基板に、上記の有機金属化合物を含む液体を塗布し、0.06〜50μmの薄い膜とする。この膜が乾燥すると収縮するが、基板は収縮しないので、膜に亀裂が発生し、フレーク状となる。基板と膜との剥離が起きるためには、基板と膜との間に強い結合等の相互作用が少ない状態が好ましい。
【0027】
上記基板表面に膜を形成する技術は、公知の技術を用いればよく、例えば、上記の有機金属化合物を含む液体に基板を浸漬した後、引き上げる方法や、基板上に上記液体を滴下し、基板を高速で回転させる方法、基板上に上記液体を吹き付ける方法、ロールコーターを用いる方法、カーテンコーターを用いる方法等が用いられる。
【0028】
本発明で製造されるフレーク状ガラスの厚みは、溶液あるいは製膜条件等によって変化するが、概ね5μmから0.05μmの間である。5μmより厚いと、製膜後の自由表面と基板付近との乾燥速度の差が大きくなりすぎ、基板に平行な方向での膜間剥離が発生するようになる。逆に0.05μmより薄いと、基板と膜との付着力が大きくなりすぎ、膜が基板から剥離しなくなる。
【0029】
本発明の還元した酸化チタン結晶微粒子を含有するフレーク状ガラスのうち、窒化チタンを含むフレーク状ガラスは、赤褐色〜黒色を呈する。
本発明において、窒化チタン結晶微粒子を含有するフレーク状ガラスは、少なくとも窒化チタンを含む微粒子を含有していれば良く、フレーク状ガラス内の他の成分(例えば、金属イオン、金属酸化物、炭素等)は、窒化チタン結晶微粒子の特性(例えば、高い可視光透明性・鮮やかな着色等)を充分に発揮させる範囲内であれば、含まれていても何等差し支えない。例えば、酸化チタン微粒子は、その合計が窒化チタン結晶微粒子の含有量を越えない範囲で含有されていてもよい。
【0030】
本発明の窒化チタン結晶微粒子を含有するフレーク状ガラスを配合したことを特徴とする化粧料は、上記フレーク状ガラスの可視光透明性が高く、均一な色調であり、経時的な変化もないので、色むらがなく発色性の良い安定な製品となる。また、上記フレーク状ガラスが、互いに凝集することもなく、良好なすべり性を示すことから、伸展性(のび)が良く、使用触感に優れた製品となる。
【0031】
本発明で言う化粧料には、上記窒化チタン微粒子含有フレーク状ガラスの他、必要に応じ、通常用いられている顔料等を併用しても、何等差し支えない。例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、弁柄、群青、紺青、酸化クロム、水酸化クロム等の無機顔料、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス等の真珠光沢顔料、タール色素、天然色素、シリカビーズ、ナイロン、アクリル等のプラスチックビーズ等の粉体、タルク、カオリン、マイカ、セリサイト、その他の雲母類、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、クレー類等が例示される。
【0032】
上記窒化チタン結晶微粒子含有フレーク状ガラスの配合量としては、その目的とする化粧料の種類により異なるが、顔料等の固体成分に対して1〜80重量%の範囲で用いられ、特に2〜50重量%の範囲が好ましい。これ以下の含有量では、発色が良くなく、逆に上限より多くのフレーク状ガラスを添加しても、発色効果は上がらず、他の顔料成分が減少し、色調を整えたり、皮膚への付着性を上げることが困難になる。
【0033】
また、本発明で用いる窒化チタン結晶微粒子含有フレーク状ガラスの化粧料中での分散性を向上させたり、感触を良くするために、このフレーク状ガラスの表面処理を施して、改質することは何等差し支えない。例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、反応性アルキルポリシロキサン、金属石鹸の他、水素添加レシチン、アシルアミノ酸、アシル化コラーゲンのアルミニウム、マグネシウム、カルシウム、チタン、亜鉛、ジルコニウム、鉄より選ばれた金属塩等の、いわゆる疎水化剤で表面処理を行うと、フレーク状ガラスの表面は親水性から疎水性に変わるため、化粧料の調合時に添加する油剤との馴染みが良くなり、感触の良い化粧料となる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を示す。
実施例1
0.1mol/Lのチタンイソブトキシドの無水エタノール溶液に、2N塩酸を滴下して、撹拌し、50℃で養生し、水酸化チタンゾルを得た。これを限外濾過法で濃縮し、二酸化チタン換算含有量約10重量%、粒子径100〜200nmの水酸化チタンコロイドを得た。
【0035】
この水酸化チタンコロイド700mL、0.02Nの硝酸8000mL、シリコンテトラメトキシド5400mL、エタノール2500mL、2−プロパノール3500mLを混合し、40℃で約60時間養生して塗布液とした。この液に、表面を研磨して平滑にした厚さ0.5mmのステンレス板を浸漬し、約30cm/minの速度で引き上げた。これを120℃で乾燥して、ゲル膜を剥離し、200℃で1時間乾燥し、酸化チタン微粒子分散フレーク状ガラス前駆体を作製した。
【0036】
この酸化チタン微粒子分散フレーク状ガラス前駆体を、アンモニア気流中、1200℃、48時間熱処理して、赤褐色フレーク状ガラスを得た。このフレークをジェットミルで粉砕、分級して、平均粒径約25μmとした。X線回折法で調べたところ、窒化チタン結晶のみが検出され、酸化チタン結晶は検出されず、マトリックスはシリカガラス状態であった。化学分析の結果、窒化チタンの含有量は、約3重量%であった。
【0037】
透過型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、直径が100〜200nmの窒化チタン結晶微粒子が、シリカガラスマトリックス中に平均的に分散しているのが観察された。走査型電子顕微鏡でこのフレークを観察したところ、フレークの表面は非常に平滑であり、フレーク厚みは約0.6μmであった。
【0038】
このフレークは、触感が良好で、滑らかな感触であった。また、ビニル樹脂の未硬化液中に容易に分散でき、これをアプリケーターを用いてフィルム化し、硬化させたところ、均一に赤褐色に着色したフィルムが得られた。
【0039】
比較例1
市販の窒化チタン粉末(TiN99%、黄褐色、Aldrich社製)の触感はあまり良くなく、ざらざらとした感触であった。この粉末を分散したビニル樹脂フィルムを、次のようにして作製した。すなわち、この粉末をビニル樹脂の未硬化液中に分散し、これをアプリケーターを用いてフィルム化し、硬化させることによりビニル樹脂フィルムを得た。得られたビニル樹脂フィルムは、均一な着色は得られなかった。
【0040】
実施例2及び比較例2
以下の表1の配合でパウダーファンデーションを作製した。
【0041】
【表1】
成分−7をヘンシェルミキサーを用いて、5分間撹拌した。これに、70℃にて均一に溶融した成分−8を滴下しながら、撹拌混合を行った。さらに、成分−9を添加後、1分間撹拌混合し、アトマイザーにより粉砕して製品−5(実施例2)を得た。
【0042】
成分−7中の実施例1で作製した本発明のフレーク状ガラスのかわりに、比較例1記載の黄褐色窒化チタン粉末を添加した以外は、上記と全く同じ方法で製品−6(比較例2)を得た。
【0043】
これらをパネラー20名に10日間使用させ、最高点を5点とする1〜5点の5段階法にて、評価した官能テストの結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
このように、本発明の化粧料は、のびやつき(付着性)が良く、透明感、光沢感が良好で、発色に優れ、色あせしにくいことが、確認された。
【0045】
【発明の効果】
以上の本発明の詳細な説明及び実施例、比較例で明らかなように、本発明によれば、従来製造が難しかった、高い均一着色性を有し、かつ可視光に対する透明性が高く、かつ伸展性(のび)が良好で触感に優れた、着色剤が得られる。
【0046】
また、本発明の窒化チタンの各種微粒子を含有するフレーク状ガラスを配合したことを特徴とする化粧料は、可視光透明性が高く、均一な色調であり、経時的な変化もないので、色むらがなく発色性の良い安定な製品となる。また、窒化チタンの微粒子がガラス質内に閉じ込められているので、これら微粒子が直接、皮膚に触れることがなく、安全性が高い。さらに、上記フレーク状ガラスが、互いに凝集することもなく、良好なすべり性を示すことから、伸展性(のび)が良く、使用触感に優れた製品となる。
Claims (8)
- 着色フレーク状ガラスにおいて、窒化チタンの結晶微粒子を前記ガラスの内部に分散した状態で0.1〜50重量%含有する着色フレーク状ガラス。
- 前記着色フレーク状ガラスのマトリックスは酸化珪素ガラス、または酸化珪素を主成分とし酸化チタン、酸化アルミニウム、および酸化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属酸化物を補助成分とするガラスである請求項1に記載の着色フレーク状ガラス。
- 前記結晶微粒子が、1〜300nmの直径を有する請求項1に記載の着色フレーク状ガラス。
- 粒径が1nm以上、300nm以下である酸化チタン微粒子を分散含有したフレーク状ガラスまたはフレーク状ガラス前駆体を、窒素化合物が存在する還元性条件で加熱して、前記酸化チタン微粒子を窒化チタン微粒子に変えることを特徴とする着色フレーク状ガラスの製造方法。
- 前記加熱は500〜1600℃で行う請求項4に記載の着色フレーク状ガラスの製造方法。
- 前記酸化チタン微粒子を分散含有したフレーク状ガラス前駆体は、加水分解および縮重合可能な有機金属化合物と水を含む溶液に、含水酸化チタンコロイドまたは水酸化チタン微粒子を添加分散し、これを基材の表面上に塗布し、乾燥して基材から剥離させることによって得られる請求項4に記載の着色フレーク状ガラスの製造方法。
- 前記酸化チタン微粒子を分散含有したフレーク状ガラス前駆体は、加水分解および縮重合可能な有機金属化合物と水を含む溶液に、チタンのアルコキシド、アセチルアセトン化合物、シュウ酸化合物、硫酸化合物またはハロゲン化物を添加溶解し、これを基材の表面上に塗布し、乾燥して基材から剥離させることによって得られる請求項4に記載の着色フレーク状ガラスの製造方法。
- 請求項1〜3に記載の着色フレーク状ガラスを配合したことを特徴とする化粧料。
Priority Applications (1)
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JP09994396A JP4053617B2 (ja) | 1996-04-22 | 1996-04-22 | 着色フレーク状ガラス、その製造方法及びそれを配合した化粧料 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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