JP3656313B2 - フレーク状金属酸化物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレーク状金属酸化物、特に発色性、安定性、安全性に優れ、かつ伸展性や触感が良好な、種々の色調を発現する着色剤に適したフレーク状金属酸化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
今まで、化粧品用着色剤として金微粒子を用いる試みがなされてきた。その例として、表面上に金微粒子を固定したマイカやタルク等の体質顔料を配合した化粧料(特開平1−215865)、金コロイドで染色したタンパク質や絹フィブロイン粉末を配合した化粧料(特開平3-90012、特開平3-77806)、金微粒子を固定した金属酸化物粉体を配合した化粧料(特公平5−87045)等が挙げられる。
【0003】
これら金微粒子を固定した粉体は、赤紫〜紫色系統の鮮やかな色を発現し、化粧料として使用されている。しかしながら、化粧品基材のオイル成分や皮膚上の油脂分に触れることにより色がくすんだり、さらに担体表面の金微粒子の脱落や凝集により色あせや変色を起こしたり、すり潰して粉砕するときの強い圧力により金微粒子が変形し変色して色ムラを起こしたりする場合があった。
【0004】
また、製造方法によっては、鮮やかな色とはならず、褐色や灰色等の、化粧料としては好ましくない発色になりがちで、鮮やかな発色には製造工程の厳密な管理やノウハウが必要であり、手間がかかるなどの問題もあった。さらに、得られた金微粒子固定粉体の中には、媒体に均一分散させることが難しく、また一度分散させても、経時的に凝集していわゆる「だま」になったり、むらになる場合があった。特に、化粧料として多量配合した場合は、上記問題が顕著になり、さらに、すべりが悪くなって肌上での伸展性(のび)が悪くなるといった難点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の従来技術に鑑み、鮮やかな発色性と安定性、均一着色性を有し、かつ伸展性(のび)が良好で触感に優れた、金微粒子を含有するフレークを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本課題を解決するため、本発明者らは、加水分解および縮重合が可能な有機金属化合物と水を含む溶液に、金化合物を添加し、これを基材上、好ましくは表面が平滑な基板上に塗布し、乾燥して基材から剥離させた後、熱処理すれば、簡単かつ効率的に、発色性、安定性に優れた金微粒子分散含有フレーク状金属酸化物が製造できることを見いだし、本発明に到った。
【0007】
すなわち、本発明は、加水分解および縮重合が可能な、珪素、チタン、アルミニウムおよびジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属の有機化合物と水を含む溶液に金化合物を添加し、これを基材上に塗布し、乾燥して基材から剥離させた後、熱処理および紫外線照射することによって得られる、前記少なくとも一種の金属の酸化物を主成分とし、0.01〜30質量%の金微粒子を分散含有したフレーク状金属酸化物である。
【0008】
本発明のフレーク状金属酸化物中の金微粒子の粒径(棒状の場合はその長さ)は、1nm以上、300nm以下が好ましい。粒径が1nmより小さいと、金微粒子による発色効果が低下し、鮮やかな発色が認められないので好ましくない。また、粒径が300nmより大きいと、光の散乱の効果が大きくなり濁った色調となるので好ましくない。そして金微粒子の形状は特に限定されない。球状、卵型状、棒状、板状等何でも良い。また本発明における金微粒子は、後述するが、加熱により金属酸化物中で析出した金微粒子である。
【0009】
本発明のフレーク状金属酸化物中の金含有量は、0.01質量%以上、30質量%以下である。より好ましい含有量は0.2〜25質量%である。金の含有量が0.01質量%より少ないと、発色効果が充分でなく好ましくない。含有量が30質量%より多くなっても、着色濃度はそれほど濃くならず、コスト高となるので好ましくない。このフレーク状金属酸化物を化粧料に配合して使用する場合、比較的に薄い着色を必要とするパウダーファンデーション、スキンクリーム、ハンドクリーム、メイクアップベース等用としてはフレーク状金属酸化物中の金含有量は比較的に小さく、例えば0.2〜3質量%が好ましい場合が多く、比較的に濃い着色を必要とするネイルエナメル、アイシャドー、口紅等用にはフレーク状金属酸化物中の金含有量は比較的に大きく、例えば3〜25質量%が好ましい場合が多い。ただし配合によっては、他の着色剤との兼ね合いで前記好ましい範囲を逸脱する場合もある。
【0010】
本発明のフレーク状金属酸化物のマトリックスは、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種からなる。
【0011】
本発明のフレーク状金属酸化物マトリックスは、非晶質、結晶質、非晶質と結晶質の混合体の何れでも良い。非晶質、結晶質等のいずれになるかは主としてフレーク状金属酸化物マトリックスの組成および熱処理条件によって決められ、酸化チタン、酸化アルミニウム、または酸化ジルコニウム単独からなる金属酸化物は結晶質になることが多く、酸化珪素単独またはこれと、酸化チタン、酸化アルミニウム、または酸化ジルコニウムとの混合物からなるフレーク状金属酸化物は、非晶質または、非晶質と結晶質の混合体になることが多い。好ましくは、非晶質、特にガラス状態であることが、フレーク状金属酸化物粉体の触感が特に良いので、望まれる。
【0012】
本発明のフレーク状金属酸化物の製造方法としては、加水分解および縮重合が可能な有機金属化合物と水を含む溶液に、塩化金酸、塩化金酸ナトリウム、シアン化金、シアン化金カリウム、三塩化ジエチルアミン金酸等の金化合物を添加し、これを基材上、好ましくは表面が平滑な基板上に塗布し、乾燥して基材から剥離させた後、熱処理、紫外線照射により金微粒子を金属酸化物マトリックス中に析出させる方法である。この方法により優れた特性を有する金微粒子分散含有フレーク状金属酸化物を得ることができる。
【0013】
本発明に用いる加水分解および縮重合が可能な有機金属化合物は、加水分解、脱水縮合を行うものであれば基本的にはどんな化合物でも良いが、アルコキシル基を有する金属アルコキシドが好ましい。具体的には、Si、Ti、Al、Zr等のメトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシド等が、単体あるいは混合体として用いられる。
【0014】
上記有機金属化合物を含む溶液の有機溶媒は、実質的に上記有機金属化合物を溶解すれば基本的に何でも良いが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類が最も好ましい。場合によっては、溶媒を必要としないこともある。
【0015】
上記有機金属化合物の加水分解には水が必要である。これは、酸性、中性、塩基性の何れでも良いが、加水分解を促進するためには、塩酸、硝酸、硫酸等で酸性にした水を用いるのが好ましい。酸の添加量は特に限定されないが、有機金属化合物に対してモル比で0.001〜2が良い。添加酸量が、モル比で0.001より少ないと、有機金属化合物の加水分解の促進が充分でなく、またモル比で2より多くても、もはや加水分解促進の効果が向上せず、酸が過剰となり好ましくない。
【0016】
水の添加量は、溶液の10質量%以上、80質量%以下が良い。水添加量が、溶液の10質量%より少ないと、上記コロイドが安定に存在できなくなる傾向が強く、好ましくない。また、水添加量が、溶液の80質量%より多いと、溶液中の固形分換算濃度が低くなりすぎて、フレークの収率が低くなり、好ましくない。
【0017】
その他、上記溶液の特性を変化させるために、有機増粘剤等を添加しても良い。しかし、この添加量が多いと、最終段階の加熱で炭化することがあるので、添加量は10質量%以下にとどめるべきである。
【0018】
前述の本発明の金微粒子分散含有フレーク状金属酸化物の製造方法の他に、加水分解および縮重合が可能な有機金属化合物と水を含む溶液に、金コロイドを添加し、これを基材上、好ましくは表面が平滑な基板上に塗布し、乾燥して基材から剥離させた後、熱処理することにより金微粒子分散含有フレーク状金属酸化物を製造することができる。この製法を以下「金コロイド添加法」と呼ぶ。この製法では、上記コロイドを上記有機金属化合物と水を含む溶液中に、均一に分散することができ、最終的に得られるフレーク状金属酸化物中の金微粒子の形状や大きさを制御することが比較的容易で、様々な特性を有するものが簡単に製造できる。上記金コロイドは、公知の方法で製造できる。例えば、塩化金酸、塩化金酸ナトリウム、シアン化金、シアン化金カリウム、三塩化ジエチルアミン金酸等の金化合物水溶液を、クエン酸、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸、ホルムアルデヒド、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム等の公知の還元剤で処理することにより金コロイドが得られる。また、還元剤を使用する代わりに上記金化合物水溶液に紫外線を照射することによっても得られる。
【0019】
上記金コロイド作製前の金化合物水溶液または金コロイド分散液に、安定性向上の目的で、界面活性剤や有機高分子を添加してもよい。界面活性剤は、一般に使用されているものなら何でも使用でき、特に限定されないが、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等の陽イオン性界面活性剤、 ビス(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、 N-アシル-L-グルタミン酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤、 ポリオキシエチレンセシルエーテル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、セスキオレイン酸ソルビタン等の非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、 β-ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン 等の両イオン性界面活性剤等が挙げられる。このうち、水溶液中で負に帯電している金コロイドをより強く安定化させるので、上記陽イオン性界面活性剤が特に好ましく用いられる。
【0020】
上記界面活性剤の添加量は、金化合物水溶液または金コロイドに対して0.001〜10質量%が好ましい。0.001質量%より少ないと、金コロイドの安定化効果が小さすぎ、また10質量%より多くても、後述の金コロイド粒子形状制御の目的を除き、安定化に対する効果はあまり向上しなくなる。界面活性剤のより好ましい添加量は0.1〜5質量%である。
【0021】
上記有機高分子は、特に限定されないが、ゼラチン、デキストリン、可溶性デンプン、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等が用いられる。
【0022】
上記有機高分子の添加量は、金化合物水溶液または金コロイドに対して0.01〜10質量%が好ましい。0.01質量%より少ないと金コロイドの安定化効果が小さすぎ、また10質量%より多くても、安定化に対する効果はあまり向上しなくなる。上記有機高分子のより好ましい添加量は0.2〜5質量%である。
【0023】
上記金コロイドの作製前の金化合物水溶液に、金コロイドの粒子形状制御のために、多量の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤は、濃度に応じ様々な集合状態を取り、この影響で金コロイドの粒子形状が、球状の他、卵型状、棒状、板状等の種々形状となる。界面活性剤の種類は、特に限定されず、上記種々界面活性剤を使用することができるが、特に塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等の陽イオン性界面活性剤が、水溶液中で負に帯電した金コロイド粒子との相互作用が強いので、金コロイド粒子形状制御がより容易であり、特に好ましい。例えば塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム25質量%溶液中では棒状の金微粒子が生じるが、この界面活性剤を添加しない場合には球状の金微粒子となる。
【0024】
上記金コロイド粒子形状制御のための界面活性剤の添加量は、界面活性剤の種類により異なるが、概ね金コロイド作製前の溶液に対して10〜50質量%が好ましい。10質量%より少ないと、顕著な金コロイド粒子形状制御効果が認められず、50質量%より多くても形状制御の観点からは特に添加量に見合う効果は得られない。
【0025】
このような、多量の界面活性剤と金化合物を含んだ溶液を上記公知の方法で処理し、金化合物を還元して、種々の粒子形状の金コロイドが得られる。
【0026】
上記種々方法で作製できる金コロイドは、金の濃度が0.001〜5質量%であり、1〜300nmの粒径で、球状の他、卵型状、棒状、板状等の種々粒子形状を有する。この金コロイドを、上記有機金属化合物と水を含む溶液中に添加し、均一な溶液を得た後、これを基材上、好ましくは表面が平滑な基板上に塗布し、乾燥して基材から剥離させた後、熱処理して、1〜300nm大の金微粒子が0.01〜30質量%含有したフレーク状金属酸化物を製造することができる。
【0027】
上記製法のうち、本発明による金微粒子分散含有フレーク状金属酸化物の製法では、熱処理または紫外線照射によって金属酸化物マトリックス中に、金微粒子を析出させる。この方法では、金コロイドを作製する手間がかからないので、工程上有利であり、容易に金微粒子含有量の高いフレーク状金属酸化物を作製することができる。
【0028】
上記本発明のフレーク状金属酸化物製法及び金コロイド添加法において、金微粒子の金属酸化物前駆体(ゲル)マトリックス中での親和性や安定性を増加させ、結果として金微粒子の金属酸化物マトリックス中での含有率を向上させる方法として、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、 1,3-ビス(3-アミノプロピル)-1,1,3,3テトラメチルジシロキサン、 3-アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等のアミノシランを上記有機金属化合物と金コロイド(または金化合物)を含む溶液に添加混合しても良い。
【0029】
上記アミノシランの添加量は、特に限定されないが、有機金属化合物に対してモル比で0.01〜1.5が良い。添加量が、モル比で0.01より少ないと、金微粒子の金属酸化物マトリックス中への固定効果が充分でなく、またモル比で1.5より多いと、上記溶液がゲル化する傾向が強くなり、フレーク化が難しくなるので好ましくない。
【0030】
上記の金微粒子(または金化合物)、加水分解および縮重合が可能な有機金属化合物、水、有機溶媒を含む塗布溶液の好ましい配合比は,金微粒子(または金化合物)を基準にして次の通りである。
金微粒子(または金化合物) 1質量部
加水分解および縮重合が可能な有機金属化合物 5〜40質量部
水 10〜80質量部
酸 0.00009〜10質量部
有機溶媒 1〜50質量部
【0031】
本発明で使用する塗布基板は金属、ガラスあるいはプラスチック等の材質で、表面が平滑なものを用いる。このような基板に、上記の有機金属化合物を含む液体を塗布し、0.06〜50μmの薄い膜とする。この膜が乾燥すると収縮するが、基板は収縮しないので、膜に亀裂が発生し、フレーク状となる。基板と膜との剥離が起きるためには、基板と膜との間に強い結合等の相互作用が少ない状態が好ましい。
【0032】
上記基板表面に膜を形成する技術は、公知の技術を用いればよく、例えば、上記の有機金属化合物を含む液体に基板を浸漬した後、引き上げる方法や、基板上に上記液体を滴下し、基板を高速で回転させる方法、基板上に上記液体を吹き付ける方法、ロールコーターを用いる方法、カーテンコーターを用いる方法等が用いられる。
【0033】
基板上に塗布し、乾燥して基材から剥離させたフレークは、ついで熱処理する。熱処理に関しては、その方法に特に制限はない。焼結温度および時間については、マトリックスのゲルからガラスまたは結晶への転移を確実にし、かつ金微粒子が安定に存在したり、析出したりするために、高い温度で所定時間加熱することが好ましく、通常は300〜1200℃で5分間〜5時間加熱する。使用する目的によっては、たとえばフレーク状粉体の機械的強度が要求されず、かつそのフレーク状粉体内にすでに金微粒子が分散しているときには、乾燥後の熱処理を行わなくてもよい場合がある。
【0034】
また、加水分解および縮重合が可能な有機金属化合物と水を含む溶液に金化合物を添加する本発明の製法では、上記熱処理または紫外線照射によって金属酸化物マトリックス中に、金微粒子を析出させる。紫外線照射に関しても、その方法に特に制限はない。一般に使用される水銀灯やキセノンランプを用い、1分間〜100時間照射する。照射時期は、上記溶液を基板に塗布する前後や乾燥前後、フレーク状ゲル回収前後等いつでも良い。
【0035】
本発明のフレーク状金属酸化物の厚みは、溶液あるいは製膜条件等によって変化するが、概ね0.05μmから5μmの間である。5μmより厚いと、製膜後の自由表面と基板付近との乾燥速度の差が大きくなりすぎ、基板に平行な方向での膜間剥離が発生するようになる。逆に0.05μmより薄いと、基板と膜との付着力が大きくなりすぎ、膜が基板から剥離しなくなる。この厚みは、好ましくは、0.1〜2μmである。この範囲の厚みを持つフレーク状粉体は、良好な触感を有する。さらに好ましくは、0.1〜1μmである。この範囲のフレーク状粉体は、特に良好な触感を有し、非常に伸びが良い。
【0036】
本発明のフレーク状金属酸化物のアスペクト比は、特に限定されないが、5〜150であることが好ましい。この範囲のアスペクト比を持つフレーク状粉体は、ムラがなく、滑らかな触感や伸展性(のび)が得られる。より好ましいアスペクト比は10〜100である。
【0037】
本発明のフレーク状金属酸化物の粒径は、特に限定されないが、2〜150μmであることが好ましく、この範囲の粒径を持つフレーク状粉体は、ムラがなく、滑らかな触感や伸展性(のび)が得られる。より好ましい粒径は5〜80μmである。
【0038】
本発明のフレーク状金属酸化物は、金微粒子の大きさ、形状、金属酸化物の種類等により、色調が異なり、赤色、赤紫色、紫色、青紫色、青色等の様々な発色を示す。例えば金微粒子が100nm以上の大きさになると、マトリックスにもよるが、青色系統の色になりやすく、またマトリックスの誘電率が高くなると、金微粒径が数十nmであっても、紫色〜青色系統の色となる。通常の金コロイドの大きさ(数十nm以下)で低誘電率マトリックス中であれば赤色系統の色になりやすい。また金微粒子のアスペクト比が大きくなるにしたがって赤色から次第に青色に変化する傾向にある。
【0039】
本発明のフレーク状金属酸化物を配合した化粧料は、金微粒子の凝集や脱落等の経時変化がなく、金微粒子と油脂やオイル成分との直接的な接触がないので、鮮やかな発色性と安定性、均一着色性を有する。また、熱処理温度によっては、金属酸化物の硬度が充分高いので、外圧や外力によって金微粒子が変形することもなく、色ムラや変色がない。さらに、金微粒子分散含有フレーク状金属酸化物が、互いに凝集することもなく、その表面が平滑であり、良好なすべり性を示すことから、伸展性(のび)が良く、使用触感に優れた製品となる。
【0040】
本発明で言う化粧料には、上記金微粒子分散含有フレーク状金属酸化物の他、必要に応じ、通常用いられている顔料等を併用しても、何等差し支えない。例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、弁柄、群青、紺青、酸化クロム、水酸化クロム等の無機顔料、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス等の真珠光沢顔料、タール色素、天然色素、シリカビーズ、ナイロン、アクリル等のプラスチックビーズ等の粉体、タルク、カオリン、マイカ、セリサイト、その他の雲母類、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、クレー類等が例示される。
【0041】
上記金微粒子分散含有フレーク状金属酸化物の配合量としては、その目的とする化粧料の種類により異なるが、顔料等の固体成分に対して1〜80質量%の範囲で用いられ、特に2〜50質量%の範囲が好ましい。これ以下の含有量では、着色効果が顕著に発揮されない、発色が良くない等の問題点があり、逆に上限より多くのフレーク状金属酸化物を添加しても、着色効果は上がらず、他の顔料成分が減少し、色調を整えたり、皮膚への付着性を上げることが困難になる。
【0042】
また、本発明で用いる金微粒子分散含有フレーク状金属酸化物の化粧料中での分散性を向上させたり、感触を良くするために、このフレーク状金属酸化物の表面処理を施して、改質することは何等差し支えない。例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、反応性アルキルポリシロキサン、金属石鹸の他、水素添加レシチン、アシルアミノ酸、アシル化コラーゲンのアルミニウム、マグネシウム、カルシウム、チタン、亜鉛、ジルコニウム、鉄より選ばれた金属塩等の、いわゆる疎水化剤で表面処理を行うと、フレーク状金属酸化物の表面は親水性から疎水性に変わるため、化粧料の調合時に添加する油剤との馴染みが良くなり、感触の良い化粧料となる。
【0043】
本発明で言う化粧料としては、口紅、アイシャドー、パウダーファンデーション、ネイルエナメル、眉墨、アイライナー等のメイクアップ化粧品の他、石鹸、クレンジングクリーム、コールドクリーム、スキンクリーム、スキンミルク、スキンローション、ミルキーローション、Tゾーンエッセンス、エッセンスパウダー、パック、ハンドクリーム、メイクアップベース、シェービングフォーム、シェービングクリーム、ベビーオイル等の洗浄用化粧品、基礎化粧品やヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアートリートメント、ヘアークリーム、ヘアーオイル、シャンプー、リンス、ヘアースプレー等の頭髪用化粧品にも用いることができる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を示す。
参考例1
水1300mlおよび1質量%の塩化金酸(HAuCl4・4H2O)水溶液200mlを混合し、加熱沸騰させた。これに1質量%のクエン酸水溶液500mlを添加した後、ただちにポリビニルアルコール(重合度50)12gを添加し、暫く加熱沸騰させて、赤紫色の金コロイド(金0.125質量%)を得た。動的光散乱法で、金コロイドの粒径を測定したところ、平均粒径は約10nmであった。
【0045】
この金コロイド1600mlと0.8N硝酸100ml、シリコンテトラメトキシド980ml、エタノール600ml、2-プロパノール600ml を混合し、50℃で約15時間養生して塗布液とした。
【0046】
この液に、表面を研磨して平滑にした厚さ0.5mmのステンレス板を浸漬して、30cm/minの速度で引き上げその表面に液を塗布した。これを150℃で乾燥して、塗布されたゲル膜を剥離しフレーク状とし、1000℃で1時間焼結した。この焼結フレークをジェットミルで粉砕、分級して、平均粒径約10μmとして、桃色のフレーク状シリカ粉体を得た。
【0047】
このフレーク状粉体をX線回折により調べた結果、マトリックスはガラス状態のシリカであった。焼結後のフレークの化学分析の結果、金の含有量は、約0.5質量%であった。透過型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、直径が約10nmの球状金微粒子が、シリカガラスマトリックス中に凝集することなく分散しているのが観察された。また走査型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、表面は非常に平滑であり、厚みは約0.6μmであった。
【0048】
このフレーク状粉体を手に取り触感を調べたところ、非常に滑らかな感触であった。また、乳鉢を用いて、このフレーク状粉体をすりつぶしても、変色は認められなかった。また、別にこのフレーク状粉体にひまし油を少量添加し、かき混ぜたが、やはり顕著な色の変化はなかった。
【0049】
参考比較例1
水1600ml、0.8N硝酸100ml、シリコンテトラメトキシド980ml、エタノール600ml、2-プロパノール600mlを混合し、 50℃で約15時間養生して塗布液とした。
【0050】
この液に、表面を研磨して平滑にした厚さ0.5mmのステンレス板を浸漬して、30cm/minの速度で引き上げその表面に液を塗布した。これを150℃で乾燥して、塗布されたゲル膜を剥離しフレーク状とし、1000℃で1時間焼結した。この焼結フレークをジェットミルで粉砕、分級して、平均粒径約10μmとして、フレーク状シリカガラス粉体を得た。
【0051】
このフレーク状シリカガラス粉体100gを3000mlの水に分散させ、炭酸ナトリウムを加えてpHを約11に調整した。この懸濁液を攪拌しながら、0.1質量%の塩化金酸(HAuCl4・4H2O)水溶液1000mlをゆっくりと滴下した。滴下後、数時間攪拌し、フレークを濾過、水洗して、150℃で乾燥後、300℃で1時間熱処理して桃色のフレーク状粉体を得た。
【0052】
このフレーク状粉体をX線回折により調べた結果、マトリックスはガラス状態であった。化学分析の結果、金の含有量は、約0.5質量%であった。透過型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、約20nmの直径の球状金微粒子が、シリカガラス表面上に付着しているのが観察された。また走査型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、厚みは約0.6μmであった。
【0053】
このフレーク状粉体を手に取り触感を調べたところ、少し抵抗を感じるものの滑らかな感触であった。乳鉢を用いて、このフレーク状粉体をすりつぶしたところ、一部赤褐色や灰青色に変色した。また、別にこのフレーク状粉体にひまし油を少量添加し、かき混ぜたところ、全体が少し黒っぽくくすんだ。
【0054】
以下の表1〜3に示す配合でパウダーファンデーションを作製した。
【0055】
【表1】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
成分-1 配合量(質量%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
参考例1で作製したフレーク 15.8
タルク 73.5
酸化チタン(一次粒径200〜250nm) 3.8
微粒子酸化チタン(一次粒径30〜50nm) 1.9
ステアリン酸マグネシウム 2.9
黄色酸化鉄 0.8
黒色酸化鉄 0.1
シルクパウダー 0.5
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0056】
【表2】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
成分-2 配合量(質量%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
スクワラン 0.5
セスキオレイン酸ソルビタン 0.1
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0057】
【表3】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
成分-3 配合量(質量%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
香料 0.1
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0058】
成分-1をヘンシェルミキサーを用いて、5分間撹拌した。 これに、70℃にて均一に溶融した成分-2を滴下しながら、撹拌混合を行った。さらに、成分-3を添加後、1分間撹拌混合し、 アトマイザーにより粉砕して製品-1を得た。
【0059】
成分-1中の参考例1で作製した金微粒子分散含有フレーク状シリカガラス(厚み0.6μm、粒径10μm、金含有量0.5質量%)の代わりに、参考比較例1で作製した金微粒子被覆フレーク状シリカガラス(厚み0.6μm、粒径10μm、金含有量0.5質量%) を添加した以外は、上記と全く同じ方法で製品-2を得た。
【0060】
これらをパネラー20名に10日間使用させ、最高点を5点とする1〜5点の5段階法にて、評価した官能テストの結果を表4に示す。
【0061】
【表4】
===================================
項目 参考例1の粉体(製品-1) 参考比較例1の粉体(製品-2)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
のび 4.8 4.0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
つき 4.4 3.5
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
透明感 4.7 2.4
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
光沢感 4.5 2.8
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
色感 4.8 2.2
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
性能持続性 4.1 3.2
===================================
【0062】
このように、参考例の化粧料は、のびやつき(付着性)が良く、透明感、光沢感が良好で、発色に優れ、色あせしにくいことが確認された。
【0063】
実施例1
水500mlに塩化金酸(HAuCl4・4H2O)209gを溶解させ、これにシリコンテトラメトキシド490ml、1N塩酸100ml、エタノール600ml、3-アミノプロピルトリエトキシシラン368gを添加し混合した。 別に、チタンイソプロポキシド356gを2-プロパノール1000ml に溶解させた溶液を準備し、これを、先に調製した塩化金酸とシリコンテトラメトキシドを含む溶液に、ゆっくりと添加し混合した。この混合液を60℃で約20時間養生して塗布液とした。
【0064】
この液に、ポリイミドフィルム板(宇部興産製、商品名ユーピレックス)を浸漬して、30cm/minの速度で引き上げその表面に液を塗布した。これを150℃で乾燥し、その後、上記塗布基板を多量の水中に入れ、水中で基板表面のゲル膜を剥離させフレーク状とした。水中のフレークを濾過によって回収し、120℃で乾燥させてフレーク状ゲルを得た。その後、このフレーク状ゲルを850℃で3時間焼結し、ジェットミルで粉砕、分級して、平均粒径約10μmとして、紫外線吸収能を有する青紫色フレーク状粉体を得た。
【0065】
このフレーク状粉体をX線回折等により調べた結果、マトリックスはガラス状態のシリカ-チタニア2成分が主であり、 アナターゼ型酸化チタンの結晶が混在しているのが認められた。焼結後のフレークの化学分析の結果、金の含有量は約20質量%、酸化チタン含有量約20質量%、酸化珪素含有量約60質量%であった。透過型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、直径が約30nmの球状金微粒子が、凝集することなくフレーク中に分散しているのが観察された。また走査型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、表面は非常に平滑であり、厚みは約0.7μmであった。
【0066】
このフレーク状粉体を手に取り触感を調べたところ、非常に滑らかな感触であった。また、乳鉢を用いて、このフレーク状粉体をすりつぶしても、変色は認められなかった。また、別にこのフレーク状粉体にひまし油を少量添加し、かき混ぜたが、やはり顕著な色の変化はなかった。
【0067】
比較例1
水1600ml、6N塩酸200ml、シリコンテトラメトキシド490ml、エタノール600ml、3-アミノプロピルトリエトキシシラン368g を添加し混合した。別に、チタンイソプロポキシド356g を2-プロパノール500mlに溶解させた溶液を準備し、これを、先に調製した溶液に、ゆっくりと添加し混合した。この混合液を60℃で約20時間養生して塗布液とした。
【0068】
この液に、ポリイミドフィルム板(宇部興産製、商品名ユーピレックス)を浸漬して、30cm/minの速度で引き上げその表面に液を塗布した。これを150℃で乾燥し、その後、多量の水中に基板ごと入れ、水中でゲル膜を剥離させフレーク状とした。水中のフレークを濾過によって回収し、120℃で乾燥させてフレーク状ゲル粉体を得た。
【0069】
このフレーク状ゲル粉体100gを3000mlの水に分散させ、アンモニアを加えてpHを約12に調整した。この懸濁液を攪拌しながら、3質量%の塩化金酸(HAuCl4・4H2O)水溶液1743mlをゆっくりと滴下した。滴下後、数時間攪拌し、フレークを濾過、水洗して、150℃で乾燥後、850℃で3時間熱処理して灰青色のフレーク状粉体を得た。
【0070】
このフレーク状粉体をX線回折等により調べた結果、マトリックスはガラス状態のシリカ-チタニア2成分が主であり、 アナターゼ型酸化チタンの結晶が混在しているのが認められた。燒結後のフレークの化学分析の結果、金の含有量は約14質量%、酸化チタン含有量約21質量%、酸化珪素含有量約65質量%であった。透過型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、一次粒径が約50nmの球状金微粒子が、シリカガラス表面上に付着しているのが観察された。また走査型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、厚みは約0.7μmであった。
【0071】
このフレーク状粉体を手に取り触感を調べたところ、あまり良い感触ではなかった。乳鉢を用いて、このフレーク状粉体をすりつぶしたところ、一部褐色や黒色に変色した。また、別にこのフレーク状粉体にひまし油を少量添加し、かき混ぜたところ、全体が黒っぽくくすんだ。
【0072】
以下の表5〜7に示す配合でネイルエナメルを作製した。
【0073】
【表5】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
成分-4 配合量(質量%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ニトロセルロース 15.0
フタル酸系アルキド樹脂 12.0
フタル酸ジブチル 4.0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0074】
【表6】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
成分-5 配合量(質量%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
酢酸ブチル 25.0
酢酸エチル 7.0
トルエン 24.0
2-プロパノール 6.0
エタノール 2.0
1−ブタノール 2.0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0075】
【表7】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
成分-6 配合量(質量%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
実施例1で作製した本発明のフレーク 3.0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0076】
成分-4と成分-5を混合し溶解させた。これに、成分-6を添加し、 撹拌混合を行ない、製品-3を得た。
【0077】
成分-6である実施例1で作製したフレークのかわりに比較例1で作製したフレークを使用した以外は、前記と同様の方法により、 製品-4を得た。
【0078】
上記製品をパネラー20名に10日間使用させ、最低点を1点、最高点を5点とする5段階法にて、評価した官能テストの結果を表8に示す。
【0079】
【表8】
===================================
項目 本発明による化粧料(製品-3) 比較例による化粧料(製品-4)
(実施例1) (比較例1)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
のび 4.8 3.5
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
つき 4.4 2.8
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
塗布性 4.2 2.9
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
光沢感 4.9 3.1
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
仕上り感 4.7 2.5
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
色感 4.6 1.3
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
均一性 4.5 1.8
===================================
【0080】
このように、本発明のフレーク状金属酸化物を配合した化粧料は、のび(伸展性)やつき(付着性)に優れ、均一に塗布し易く、透明感、光沢感が良好で、発色が良く、仕上り感に優れることが確認された。
【0081】
参考例2
アルミニウムsec-ブトキシド500g、0.03N塩酸3600ml を混合し、85℃で8時間加熱しゾルを得た。このゾルを室温に冷やしてから、塩化金酸を24g添加し溶解させ塗布液とした。
【0082】
この液に、ポリエーテルエーテルケトンフィルム板(住友化学製、商品名エスペックス-KC)を浸漬して、40cm/min の速度で引き上げその表面に液を塗布した。これを150℃で乾燥し、500W高圧水銀灯の光を30分間照射してマトリックス中に金微粒子を析出させた。
【0083】
その後、上記塗布基板を3質量%ヒドラジン水溶液中に入れ、液中で基板表面の膜を剥離させフレーク状とした。液中のフレークを濾過によって回収し、200℃で乾燥させた後、1200℃で1時間焼結し、ジェットミルで粉砕、分級して、平均粒径約10μmとして、紫色フレーク状粉体を得た。
【0084】
このフレーク状粉体をX線回折等により調べた結果、 マトリックスはα-アルミナの結晶であるのが認められた。化学分析の結果、金の含有量は約10質量%であった。透過型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、約20nm大の卵型状金微粒子が、凝集することなくフレーク中に分散しているのが観察された。また走査型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、表面は平滑であり、厚みは約0.7μmであった。
【0085】
このフレーク状粉体を手に取り触感を調べたところ、滑らかな感触であった。また、乳鉢を用いて、このフレーク状粉体をすりつぶしても、変色は認められなかった。また、別にこのフレーク状粉体にひまし油を少量添加し、かき混ぜたが、やはり顕著な色の変化はなかった。
【0086】
参考比較例2
アルミニウムsec-ブトキシド500g、0.03N塩酸3600ml を混合し、85℃で8時間加熱しゾルを得た。このゾルを室温に冷やし塗布液とした。
【0087】
この液に、ポリエーテルエーテルケトンフィルム板(住友化学製、商品名エスペックス-KC)を浸漬して、30cm/min の速度で引き上げその表面に液を塗布した。これを150℃で乾燥し、その後、3質量%ヒドラジン水溶液中でゲル膜を剥離させフレーク状とした。液中のフレークを濾過によって回収し、120℃で乾燥させてフレーク状粉体を得た。
【0088】
このフレーク状粉体100gを3000mlの水に分散させ、ヒドラジンを加えてpHを約10に調整した。この懸濁液を攪拌しながら、1質量%の塩化金酸(HAuCl4・4H2O)水溶液2100mlをゆっくりと滴下した。滴下後、数時間攪拌し、フレークを濾過、水洗して、200℃で乾燥後、1200℃で1時間熱処理して紫色のフレーク状粉体を得た。
【0089】
このフレーク状粉体をX線回折等により調べた結果、 マトリックスはα-アルミナの結晶であるのが認められた。化学分析の結果、金の含有量は約10質量%であった。透過型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、直径が約20nmの球状金微粒子が、フレーク表面上に付着しているのが観察された。また走査型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、厚みは約0.7μmであった。
【0090】
このフレーク状粉体を手に取り触感を調べたところ、あまり良い感触ではなかった。乳鉢を用いて、このフレーク状粉体をすりつぶしたところ、一部褐色や黒色に変色した。また、別にこのフレーク状粉体にひまし油を少量添加し、かき混ぜたところ、全体が黒っぽくくすんだ。
【0091】
次に、以下の表9〜11に示す配合でアイシャドーを作製した。
【0092】
【表9】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
成分-7 配合量(質量%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
参考例2で作製したフレーク 13.5
タルク 40.0
マイカ 21.0
雲母チタン 10.3
ステアリン酸亜鉛 8.6
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0093】
【表10】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
成分-8 配合量(質量%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
スクワラン 1.0
セスキオレイン酸ソルビタン 1.0
流動パラフィン 3.0
ワセリン 1.5
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0094】
【表11】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
成分-9 配合量(質量%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
香料 0.1
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0095】
成分-7をヘンシェルミキサーを用いて、5分間撹拌した。これに、 70℃にて均一に混合した成分-8を滴下しながら、撹拌混合を行った。さらに、成分-9を添加後、1分間撹拌混合し、粉砕したものを圧縮成形して、 製品-5を得た。
【0096】
成分-7中の参考例2で作製したフレークのかわりに、 参考比較例2で作製したフレークを使用した以外は、前記と同様の方法により、 製品-6を得た。
【0097】
上記製品をパネラー20名に10日間使用させ、最低点1、最高点を5点とする5段階法にて、評価した官能テストの結果を表12に示す。
【0098】
【表12】
===================================
項目 参考例の化粧料(製品-5) 比較の化粧料(製品-6)
(参考例2) (参考比較例2)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
のび 4.5 3.8
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
つき 4.3 3.7
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ぼかし易さ 4.2 3.2
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
光沢感 4.0 3.9
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
仕上り感 4.5 3.4
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
色感 4.6 2.8
===================================
【0099】
このように、参考例の化粧料は、のび(伸展性)やつき(付着性)に優れ、ぼかし易く、発色が良く、仕上り感に優れることが、確認された。
【0100】
参考例3
水500mlにヒドロキシエチルセルロース5g、 塩化金酸(HAuCl4・4H2O)31gを溶解させ、これにシリコンテトラメトキシド 490ml、1N塩酸100ml、エタノール600ml、 3-アミノプロピルトリエトキシシラン184gを添加し混合した。別に、ジルコニウムイソプロポキシド55gを2-プロパノール500mlに溶解させた溶液を準備し、 これを、先に調製した塩化金酸とシリコンテトラメトキシドを含む溶液に、ゆっくりと添加し混合した。この混合液を60℃で約15時間養生した。
【0101】
この液に、500W高圧水銀灯の光を5時間照射し、液中に金微粒子を生成させ、さらに50℃で5時間養生して塗布液とした。
【0102】
この液に、ポリイミドフィルム板(宇部興産製、商品名ユーピレックス)を浸漬して、30cm/minの速度で引き上げその表面に液を塗布した。これを150℃で乾燥し、その後、多量の水中に基板ごと入れ、水中でゲル膜を剥離させフレーク状とした。水中のフレークを濾過によって回収し、120℃で乾燥させてフレーク状ゲルを得た。その後、このフレーク状ゲルを500℃で3時間焼結し、ジェットミルで粉砕、分級して、平均粒径約15μmとして、光沢感ある赤紫色フレーク状粉体を得た。
【0103】
このフレーク状粉体をX線回折等により調べた結果、 マトリックスはシリカ-ジルコニア2成分のガラス状態であるのが認められた。化学分析の結果、金の含有量は約5質量%、酸化ジルコニウム含有量約7質量%、酸化珪素含有量約88質量%であった。透過型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、直径が約5nmの球状金微粒子が、フレーク中に単分散しているのが観察された。また走査型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、表面は非常に平滑であり、厚みは約0.6μmであった。
【0104】
このフレーク状粉体を手に取り触感を調べたところ、非常に滑らかな感触であった。また、乳鉢を用いて、このフレーク状粉体をすりつぶしても、変色は認められなかった。また、別にこのフレーク状粉体にひまし油を少量添加し、かき混ぜたところ、色がより鮮やかに変化するのが認められた。これはフレークに存在する微細な孔にひまし油が含浸して微細な孔による光散乱が減少するためと考えられる。
【0105】
参考比較例3
水500ml、6N塩酸200ml、シリコンテトラメトキシド613ml、エタノール600mlを添加し混合した。別に、ジルコニウムイソプロポキシド55gを2-プロパノール500mlに溶解させた溶液を準備し、 これを、先に調製した溶液に、ゆっくりと添加し混合した。この混合液を60℃で約20時間養生して塗布液とした。
【0106】
この液に、ポリイミドフィルム板(宇部興産製、商品名ユーピレックス)を浸漬して、30cm/minの速度で引き上げその表面に液を塗布した。これを150℃で乾燥し、その後、多量の水中に基板ごと入れ、水中でゲル膜を剥離させフレーク状とした。水中のフレークを濾過によって回収し、120℃で乾燥させてフレーク状ゲルを得た。その後、このフレーク状ゲルを500℃で3時間焼結し、ジェットミルで粉砕、分級して、平均粒径約15μmとした。
【0107】
このフレーク状粉体100gを3000mlの水に分散させ、ヒドラジンを加えてpHを約10に調整した。この懸濁液を攪拌しながら、1質量%の塩化金酸(HAuCl4・4H2O)水溶液1150mlをゆっくりと滴下した。滴下後、数時間攪拌し、フレークを濾過、水洗して、200℃で乾燥後、500℃で3時間熱処理して赤紫色のフレーク状粉体を得た。
【0108】
このフレーク状粉体をX線回折等により調べた結果、 マトリックスはシリカ-ジルコニア2成分のガラス状態であるのが認められた。化学分析の結果、金の含有量は約5質量%、酸化ジルコニウム含有量約7質量%、酸化珪素含有量約88質量%であった。透過型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、直径が約5nmの球状金微粒子が、フレーク表面上に付着しているのが観察された。また走査型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、厚みは約0.6μmであった。
【0109】
このフレーク状粉体を手に取り触感を調べたところ、少し抵抗を感じるが良い感触であった。乳鉢を用いて、このフレーク状粉体をすりつぶしたところ、色が濃い部分と薄い部分にわかれ、色ムラとなった。また、別にこのフレーク状粉体にひまし油を少量添加し、かき混ぜたところ、色調が濃くなったが、全体が少し黒っぽくくすんだ。
【0110】
以下の表13〜15に示す配合で口紅を作製した。
【0111】
【表13】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
成分-10 配合量(質量%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ひまし油 35.0
ミリスチン酸オクチルドデシル 19.0
ミリスチン酸イソプロピル 5.4
ラノリン 5.5
みつろう 2.7
キャンデリラろう 6.6
カルナウバろう 0.9
セレシン 7.2
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0112】
【表14】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
成分-11 配合量(質量%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
参考例3で作製したフレーク 12.1
二酸化チタン 5.5
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0113】
【表15】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
成分-12 配合量(質量%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
香料 0.1
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0114】
成分-10を混合して85℃に加熱溶融した。この溶融物に成分-11を添加して、撹拌混合を行った。さらに、成分-12 を添加、撹拌混合し、型に流し込み、冷却して、棒状に成形して製品-7を得た。
【0115】
成分-11中の参考例3で作製した本発明のフレークのかわりに、 参考比較例3で作製したフレークを使用した以外は、前記と同様の方法により、 製品-8を得た。
【0116】
上記製品をパネラー20名に10日間使用させ、最低点を1点、最高点を5点とする5段階法にて、評価した官能テストの結果を表16に示す。
【0117】
【表16】
===================================
項目 参考例の化粧料(製品-7) 比較の化粧料(製品-8)
(参考例3) (参考比較例3)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
のび 4.5 4.0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
つき 4.5 3.8
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
光沢感 4.3 4.0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
仕上り感 4.6 3.5
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
色感 4.7 2.7
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
化粧もち 3.9 3.3
===================================
【0118】
このように、参考例の化粧料は、のび(伸展性)やつき(付着性)に優れ、光沢感が良好で、発色が良く、仕上り感及び化粧もちの良いことが、確認された。
【0119】
参考例4
2質量%の塩化金酸(HAuCl4・4H2O)水溶液2000mlにポリビニルアルコール(重合度300)80gを添加し溶解させ、これを加熱沸騰させて5質量%のクエン酸水溶液500mlを添加し、暫く加熱沸騰させ、褐色の金コロイド(金0.74質量%)を得た。動的光散乱法で、金コロイドの粒径を測定したところ、平均粒径は約110nmであった。
【0120】
この金コロイド1100mlと6N硝酸200ml、シリコンテトラメトキシド858ml、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン185g、エタノール600ml、2-プロパノール600mlを混合し、 40℃で約5時間養生して塗布液とした。
【0121】
この液に、表面をクロムメッキした厚さ0.5mmのステンレス板を浸漬して、30cm/minの速度で引き上げその表面に液を塗布した。これを200℃で乾燥して、塗布されたゲル膜を剥離しフレーク状とし、1000℃で1時間焼結した。この焼結フレークをジェットミルで粉砕、分級して、平均粒径約20μmとして、赤みがかった茶褐色のフレーク状粉体を得た。
【0122】
このフレーク状粉体をX線回折により調べた結果、マトリックスはガラス状態のシリカであった。燒結後のフレークの化学分析の結果、金の含有量は、約2質量%であった。透過型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、直径が約100nmの球状金微粒子が、凝集することなくシリカガラスマトリックス中に分散しているのが観察された。また走査型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、表面は非常に平滑であり、厚みは約0.6μmであった。
【0123】
このフレーク状粉体を手に取り触感を調べたところ、非常に滑らかな感触であった。また、乳鉢を用いて、このフレーク状粉体をすりつぶしても、変色は認められなかった。また、別にこのフレーク状粉体にひまし油を少量添加し、かき混ぜたが、やはり顕著な色の変化はなかった。
【0124】
このフレークを用いて、参考例1に示した方法で、パウダリーファンデーションを作製したところ、のびやつき(付着性)が良く、独特の色調を持ち、発色に優れ、色あせしにくい化粧料が得られた。
【0125】
参考例5
30質量%の塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム水溶液2000mlに塩化金酸を12g添加し、溶解させた。この溶液に、200Wの高圧水銀灯の光を50時間照射し、金微粒子を生成させ、赤紫色の金コロイド(金0.29質量%)を得た。透過型電子顕微鏡観察によれば、この金コロイド中には、直径が約20〜30nmの球状の金微粒子と、幅約20〜30nm、長さ約100〜200nmの棒状の金微粒子が混在していた。
【0126】
この金コロイド1742mlに、モノラウリン酸ポリエチレングリコール52gを溶解させ、さらに0.8N硝酸100ml、シリコンテトラメトキシド980ml、エタノール600ml、2-プロパノール600mlを混合し、 50℃で約15時間養生して塗布液とした。
【0127】
この液に、表面を研磨して平滑にした厚さ0.5mmのステンレス板を浸漬して、30cm/minの速度で引き上げその表面に液を塗布した。これを150℃で乾燥して、塗布されたゲル膜を剥離しフレーク状とし、1000℃で1時間焼結した。この焼結フレークをジェットミルで粉砕、分級して、平均粒径約30μmとして、淡赤紫色のフレーク状粉体を得た。
【0128】
このフレーク状粉体をX線回折により調べた結果、マトリックスはガラス状態のシリカであった。燒結後のフレークの化学分析の結果、金の含有量は、約1.2質量%であった。透過型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、直径が約20nmの球状の金微粒子と、幅約20〜30nm、長さ約100〜200nmの棒状の金微粒子が混在してシリカガラスマトリックス中に凝集することなく分散しているのが観察された。また走査型電子顕微鏡でフレークを観察したところ、表面は非常に平滑であり、厚みは約0.6μmであった。
【0129】
このフレーク状粉体を手に取り触感を調べたところ、非常に滑らかな感触であった。また、乳鉢を用いて、このフレーク状粉体をすりつぶしても、変色は認められなかった。また、別にこのフレーク状粉体にひまし油を少量添加し、かき混ぜたが、やはり顕著な色の変化はなかった。
【0130】
このフレークを用いて、参考例1に示した方法で、パウダリーファンデーションを作製したところ、のびやつき(付着性)が良く、独特の色調を持ち、発色に優れ、色あせしにくい化粧料が得られた。
【0131】
【発明の効果】
以上の本発明の詳細な説明及び実施例、比較例で明らかなように、本発明によれば、鮮やかな発色性と様々な色調、均一着色性や高い安定性を有し、かつ伸展性(のび)が良好で触感に優れたフレーク状金属酸化物が得られる。
【0132】
また、本発明のフレーク状金属酸化物を配合した化粧料は、金微粒子の凝集や脱落等の経時変化がなく、金微粒子と油脂やオイル成分との直接的な接触がないので、鮮やかな発色性と色調安定性、均一着色性を有する。また、外圧や外力によって金微粒子が変形することもなく、色ムラや変色がなく、さらに、金微粒子分散含有フレーク状金属酸化物が、互いに凝集することもなく、その表面が平滑であり、良好なすべり性を示すことから、伸展性(のび)が良く、使用触感に優れた製品となる。
Claims (5)
- 加水分解および縮重合が可能な、珪素、チタン、アルミニウムおよびジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属の有機化合物と水を含む溶液に金化合物を添加し、これを基材上に塗布し、乾燥して基材から剥離させた後、熱処理および紫外線照射することによって得られる、前記少なくとも一種の金属の酸化物を主成分とし、0.01〜30質量%の金微粒子を分散含有したフレーク状金属酸化物。
- 前記少なくとも一種の金属の有機化合物は金属アルコキシドである請求項1記載のフレーク状金属酸化物。
- 前記金微粒子は1〜300nmの粒径を有する請求項1または2記載のフレーク状金属酸化物。
- 平均厚みが0.1〜2μm、アスペクト比が5〜150である請求項1〜3のいずれか1項に記載のフレーク状金属酸化物。
- 前記金属酸化物が非晶質またはガラス状である請求項1〜4のいずれか1項に記載のフレーク状金属酸化物。
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