JPH09249587A - ポリ塩素化アルカンの製造方法 - Google Patents

ポリ塩素化アルカンの製造方法

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JPH09249587A
JPH09249587A JP6041596A JP6041596A JPH09249587A JP H09249587 A JPH09249587 A JP H09249587A JP 6041596 A JP6041596 A JP 6041596A JP 6041596 A JP6041596 A JP 6041596A JP H09249587 A JPH09249587 A JP H09249587A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】オレフィンとトリクロロメチル基を有する化合
物とを、アミンの存在下に反応させるポリ塩素化アルカ
ンの製造において、反応後使用したアミンを簡便な方法
で高収率に回収し、該製造方法を工業的に満足できる方
法で実施することを目的とする。 【解決手段】オレフィンとトリクロロメチル基を有する
化合物とをアミンの存在下に反応させて特定のリ塩素化
アルカンを含む反応液を得、次いで、この反応液を酸洗
浄することなく該反応液から上記ポリ塩素化アルカンを
分離した後、アミン塩酸塩を含む残物にアルカリを加え
てアミンを遊離させ、該遊離したアミンを回収すること
を特徴とするポリ塩素化アルカンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリ塩素化アルカ
ンの製造方法、詳しくはオレフィンとトリクロロメチル
基を有する化合物とをアミンの存在下に反応させる、一
般式 X−(A)n−Cl (但し、Aはオレフィンに基づく単量体単位であり、X
はトリクロロメチル基を有する化合物のトリクロロメチ
ル基から塩素原子を一個除いた残基であり、nは1〜1
0の整数である)で示されるポリ塩素化アルカンの製造
方法において、反応後使用したアミンを回収する方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】オレフィンとトリクロロメチル基を有す
る化合物とをアミンの存在下に反応させると、重合度が
1〜10程度のポリ塩素化アルカンが得られることが知
られている。
【0003】これらのポリ塩素化アルカンは、各種誘導
体の製造原料として重要な化合物である。例えば、塩化
ビニリデンと四塩化炭素を反応させて得られる重合度が
1の1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパンや
塩化ビニルと四塩化炭素を反応させて得られる重合度が
1の1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンは代替
フロンの製造原料として重要な化合物である。
【0004】従来、アミンの存在下にオレフィンとトリ
クロロメチル基を有する化合物とを反応させるポリ塩素
化アルカンの製造法としては、例えば、ジャーナルオブ
モレキュラーキャタリシス(Journal of M
olecular Catalysis)77号51〜
60頁1992年に、各種オレフィンと四塩化炭素とを
塩化第一銅およびn−ブチルアミン存在下で反応させ、
得られた反応液を10%塩酸水で洗浄してn−ブチルア
ミンを水相に除去後、有機相を減圧下に蒸留することに
よってポリ塩素化アルカンを得る方法が開示されてい
る。しかしながら、この刊行物には、目的物を分離した
後の水相からアミンを回収することは何ら記載されてい
ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記、従来技術におい
て、アミンは比較的多量に使用されており、さらに、使
用するアミンが比較的高価であるため、該方法を工業的
に実施するためには反応後、使用したアミンを収率よく
回収することが望まれる。
【0006】その場合、上記目的物を分離した後に得ら
れる水相において、アミンは塩酸塩として存在している
ので、該アミンを回収しようとすれば、上記水相にアル
カリを加えてアミンを遊離させることが必要になる。と
ころが、上記水相は、塩酸塩を形成する酸分の他、酸洗
浄に使用した塩酸分も多量に含まれているため、かかる
アミンの遊離操作は多量のアルカリが必要となり処理量
の増大による操作性の低下から、回収できないアミンの
ロス量が増えたりする。また、時間的ロスも多くなる。
従って、上記方法によりポリ塩素化アルカンを合成後、
得られた水相からアミンを回収することは、今一歩効率
的に実施することはできなかった。
【0007】また、一方で本発明者らが、上記反応後、
得られた反応液を酸洗浄することなく蒸留して、該液中
に遊離しているであろうアミンの回収を試みたところ、
アミンはほとんど留出せず回収はできなかった。
【0008】以上の背景にあって本発明は、上記オレフ
ィンとトリクロロメチル基を有する化合物とを、アミン
の存在下に反応させるポリ塩素化アルカンの製造におい
て、反応後使用したアミンを簡便な方法で高収率に回収
し、該製造方法を工業的に満足できる方法で実施するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題に鑑み鋭意検討を続けてきた。その結果、反応が終了
した後の反応液中には、遊離したアミンはほとんど存在
せず、反応に使用したアミンのほぼ全てはこの段階で既
にアミン塩酸塩となって存在していることがわかった。
これは本発明者らが初めて見いだした知見である。この
知見により、反応液は酸洗浄せずとも、使用したアミン
はアミン塩酸塩として目的物であるポリ塩素化アルカン
と容易に分離でき、それにより、該アミン塩酸塩をアミ
ンに遊離させる操作を簡略化させることができることを
見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】即ち、本発明は、オレフィンとトリクロロ
メチル基を有する化合物とをアミンの存在下に反応させ
て、一般式 X−(A)n−Cl (但し、Aはオレフィンに基づく単量体単位であり、X
はトリクロロメチル基を有する化合物のトリクロロメチ
ル基から塩素原子を一個除いた残基であり、nは1〜1
0の整数である)で示されるポリ塩素化アルカンを含む
反応液を得、次いで、この反応液を酸洗浄することなく
該反応液から上記ポリ塩素化アルカンを分離した後、ア
ミン塩酸塩を含む残物にアルカリを加えてアミンを遊離
させ、該遊離したアミンを回収することを特徴とするポ
リ塩素化アルカンの製造方法である。
【0011】本発明におけるオレフィンは、公知のもの
が何等制限なく用いることができるが、一般式
【0012】
【数1】
【0013】(但し、(Z1)(Z2)(Z3)(Z
4)は各々同一であってもよい水素原子、ハロゲン原
子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルキルオキ
シカルボニル基より選ばれる基である。)で示される、
炭素数2〜10のオレフィンが好ましい。具体的には、
エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソ
ブチレン、ブタジエン、1−ペンテン、2−ペンテン、
2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2
−メチル−2−ブテン、イソプレン、塩化ビニル、塩化
ビニリデン、1,2−ジクロロエテン、1,1,2−ト
リクロロエテン、アリルクロライド、1−クロロ−1,
2,2−トリフルオロエテン、1,1−ジクロロ−2,
2−ジフルオロエテン、1,2−ジクロロ−1,2−ジ
フルオロエテン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル
等を例示することができる。入手しやすさの点で特に、
エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンが
好適であり、さらには、塩化ビニル、塩化ビニリデンが
好ましい。
【0014】本発明において反応に使用するトリクロロ
メチル基を有する化合物としては、公知のものが何等制
限なく用いることができるが、一般式CYCl3(但
し、YはH、ハロゲン基、アルキル基、ハロゲン化アル
キル基、アルキルオキシカルボニル基、ニトリル基のい
ずれかである。)で示される化合物が好適である。ここ
で、上記アルキル基、ハロゲン化アルキル基及びアルキ
ルオキシカルボニル基において、アルキル基の炭素数
は、炭素数1〜5のものが好ましい。具体的に例示する
と、クロロホルム、四塩化炭素、1,1,1−トリクロ
ロエタン、1,1,1−トリクロロ−2,2,2−トリ
フルオロエタン、トリクロロ酢酸メチル、トリクロロ酢
酸エチル、シアン化トリクロロメチル等を挙げることが
でる。入手しやすさの点で特にクロロホルム、四塩化炭
素が好適であり、さらには、四塩化炭素が好ましい。
【0015】本発明において、トリクロロメチル基を有
する化合物に対するオレフィンの使用量は、特に制限さ
れるものではないが、重合度の低いものを選択的に得る
ためには、オレフィンの使用量は少ない方が好ましく、
通常は、トリクロロメチル基を有する化合物1モルに対
して0.01〜1モルの範囲から選ばれる。
【0016】本発明において、上記したオレフィンとト
リクロロメチル基を有する化合物とをアミンの存在下に
反応させる。
【0017】本発明において反応に用いるアミンとして
は、公知のものを何等制限なく使用することができる
が、脂肪族の1級、2級、3級アミンが好適である。具
体的にはメチルアミン、エチルアミン、n−プロピルア
ミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、t−ブ
チルアミン、n−ヘキシルアミン、2−エチルヘキシル
アミン、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘ
キサメチレンジアミン、N,N−ジクロロ−n−ブチル
アミン、エタノールアミン等の脂肪族1級アミン;ジメ
チルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミ
ン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ
シクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ピペリジ
ン、モルホリン、ピロリジン等の脂肪族2級アミン;ト
リメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピ
ルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリエタノールア
ミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−メチル
モルホリン等の脂肪族3級アミン等を例示することがで
きる。特に、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピ
ルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、t
−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、2−エチルヘキ
シルアミン、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミ
ン、ヘキサメチレンジアミン、N,N−ジクロロ−n−
ブチルアミン、エタノールアミン等の脂肪族1級アミン
等が目的とするポリ塩素化アルカンの反応収率が高くな
るために好ましく、さらには、n−プロピルアミン、イ
ソプロピルアミン、n−ブチルアミン、ヘキサメチレン
ジアミンが好ましい。
【0018】アミンの使用量は特に制限されるものでは
ないが、あまりに多いと経済的ではないため、通常、反
応に使用するオレフィン類1モルに対して0.001〜
1モルの範囲から選ばれる。
【0019】上記したアミンは、単独で用いてもよく、
金属、金属酸化物または金属塩の共存下で用いてもよ
く、さらには、ベンゾイルパーオキシドやアゾビスイソ
ブチロニトリル等のラジカル開始剤の共存下で用いても
よいが、金属、金属酸化物または金属塩の共存下で用い
た方が反応活性が高く、より重合度が低いポリ塩素化ア
ルカンの生成割合が高くなるために好ましい。
【0020】共存させる金属、金属酸化物または金属塩
としては、周期律表第3、第4、第5周期の遷移金属お
よびAl、Sn、Pbの金属、金属酸化物、金属塩を挙
げることができ、金属塩としては、これら金属のハロゲ
ン化物、硫酸塩、硝酸塩、シアン化物、酢酸塩、シュウ
酸塩、クエン酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、オ
クテン酸塩、ナフテン酸塩、アセチルアセトネート等を
挙げることができるが、本発明においては、より重合度
が低いポリ塩素化アルカンの生成割合がさらに高くなる
ために、特に、塩化第一銅、塩化第二銅、塩化第一鉄、
塩化第二鉄の共存下に実施することが好ましい。
【0021】金属、金属酸化物または金属塩を使用する
場合の使用量は、特に制限されるものではないが、あま
りに多いと経済的でないため、通常、反応に使用するア
ミン1モルあたり0.001〜1モルの範囲から選ばれ
る。
【0022】反応温度は特に限定されないが、通常、4
0〜200℃、好ましくは50〜150℃の範囲であ
る。また、反応圧力は常圧、加圧、減圧のいずれでも実
施可能であり、反応中、攪拌することが好ましい。
【0023】さらに反応は、回分式、半連続式、連続式
のいずれでも実施可能である。
【0024】このようにして、オレフィンとトリクロロ
メチル基を有する化合物とをアミンの存在下に反応させ
て、一般式 X−(A)n−Cl (但し、Aはオレフィンに基づく単量体単位であり、X
はトリクロロメチル基を有する化合物からトリクロロメ
チル基を除いた残基であり、nは1〜10の整数であ
る)で示されるポリ塩素化アルカンを含む反応液を製造
することができる。製造されるポリ塩素化アルカンを具
体的に例示すると、オレフィンとして塩化ビニルを用
い、トリクロロメチル基を有する化合物として四塩化炭
素を用いた場合には、一般式 CCl3−(CH2−CHCl)n−Cl (但し、nは1〜10、好ましくは1〜5の整数であ
る)で示される化合物を、オレフィンとして塩化ビニリ
デンを用い、トリクロロメチル基を有する化合物として
四塩化炭素を用いた場合には、一般式 CCl3−(CH2−CHCl2n−Cl (但し、nは1〜10、好ましくは1〜5の整数であ
る)で示される化合物を挙げることができる。
【0025】本発明において、この反応液は、目的物で
あるポリ塩素化アルカンの単離の他、使用したアミンの
回収にも供する。
【0026】その際、本発明では、まず、この反応液を
酸洗浄することなく上記ポリ塩素化アルカンを分離す
る。即ち、かかる反応液中において、前記反応に使用し
たアミンは、特に反応液を酸洗浄しなくても、反応中に
既にそのほとんどがアミン塩酸塩となって系外に析出し
ている。従って、該反応液は、そのままポリ塩素化アル
カンの抽出等の汎用的な分離操作に供しても、実質上問
題なく該ポリ塩素化アルカンを分離することができる。
そして、上記使用したアミンを回収する観点からすれ
ば、このように酸洗浄をしないことにより、後述するア
ミンの回収操作においてアミン塩酸塩からアミンを遊離
させる際に、過剰の酸を中和しなくてもすみアルカリの
使用量を大幅に減らすことができる。また、アミンを遊
離させる際の操作性も向上し時間的なロスが軽減され
る。
【0027】本発明において、反応液からポリ塩素化ア
ルカンを分離する方法は、上記の如く該反応液を酸洗浄
しない限り如何なる方法で実施しても良い。具体的に
は、ポリ塩素化アルカンおよびアミン塩酸塩を含む反応
液に水を加えたあと水相と有機相とに分液し、アミン塩
酸塩を含む水相とポリ塩素化アルカンを含む有機相とに
分離する抽出による方法、ポリ塩素化アルカンおよびア
ミン塩酸塩を含む反応液中の不溶成分と溶解成分とに分
離し、アミン塩酸塩を含む固体成分とポリ塩素化アルカ
ンを含む溶液成分とに分離する固液分離による方法、或
いはポリ塩素化アルカンおよびアミン塩酸塩を含む反応
液を蒸留してポリ塩素化アルカンを留去する蒸留による
方法等を例示することができる。アミンの回収率の良好
さを勘案すれば、前記抽出による方法及び固液分離によ
る方法が好ましく、特に、抽出による方法が好ましい。
【0028】前記抽出による方法を採用する場合、反応
液に加える水の量は、引き続き実施するアミン塩酸塩か
らアミンを遊離させる操作で副生する塩化アルカリを飽
和溶解させるに足り得る量以上であれば特に制限されな
い。通常、塩化アルカリを飽和溶解させる量〜塩化アル
カリを飽和溶解させる量の5倍量の範囲から選ばれる。
また、アミン塩酸塩を含む水相とポリ塩素化アルカンを
含む有機相の分離性が悪い場合、ポリ塩素化アルカンを
溶解する水と相溶しにくい有機溶媒を加えて分離しても
何等差し支えない。
【0029】固液分離による方法を採用する場合、その
手法は公知の方法を何等制限なく採用可能である。具体
的には、ろ過による方法、遠心分離による方法、重力沈
降による方法等を挙げることができる。
【0030】蒸留による方法を採用する場合、蒸留は、
常圧、加圧、減圧のいずれでも実施可能であるが、アミ
ン塩酸塩の熱分解が起こる可能性があるため、蒸留温度
は低い方が好ましく、特に、減圧下に蒸留することが好
ましい。具体的には、留去しようとするポリ塩素化アル
カンの物性にもよるが、通常、加熱温度は50〜200
℃の範囲、真空度は300〜0.1mmHgの範囲から
選ばれる。この場合、未反応のオレフィンやトリクロロ
メチル基を有する化合物の回収および目的とするポリ塩
素化アルカンの精製を兼ねて留去しても何等さしつかえ
ない。
【0031】このようにして、ポリ塩素化アルカンおよ
びアミン塩酸塩を含む反応液を、酸洗浄することなくア
ミン塩酸塩を含む残物とポリ塩素化アルカンを含む分離
物とに分離することができる。ポリ塩素化アルカンを含
む分離物からは、公知の方法、例えば、蒸留等の方法で
ポリ塩素化アルカンをさらに単離・精製することができ
る。
【0032】次いで、本発明においては、アミン塩酸塩
を含む残物にアルカリを加えてアミンを遊離させる。
【0033】アミンの遊離に用いるアルカリとしては、
反応に用いたアミンより強い塩基であれば特に制限され
ない。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属水酸化物;酸化
カルシウム等のアルカリ金属酸化物;炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;ナトリウムメト
キシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−t−ブト
キシド、カリウム−t−ブトキシド等のアルカリ金属ア
ルコキシド;アンモニア;強塩基性陰イオン交換樹脂;
等を例示することができるが、入手の容易さから、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸
化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモ
ニアが好ましく、特に、水酸化ナトリウム、酸化カルシ
ウム、炭酸ナトリウムが好ましい。
【0034】アミンの遊離操作に使用するアルカリの量
は、ポリ塩素化アルカンを分離したあとの残物に含まれ
るアミン塩酸塩からアミンを遊離させるのに必要な量用
いれば十分である。通常、反応に使用したアミン1モル
に対して0.8モル〜1.5モルの範囲、好ましくは1
モル〜1.2モルの範囲であるのが一般的である。
【0035】遊離操作に使用するアルカリは、固体、水
溶液、懸濁液のいずれの状態でも用いることができる。
【0036】また、アミンの遊離操作は、副生する塩化
アルカリが溶解する程度の水の存在下に実施することが
好ましい。従って、ポリ塩素化アルカンの分離を前記固
液分離による方法で実施した場合においては、分離され
たアミン塩酸塩を含む固体成分に水を加えて該固体成分
を溶解させて用いるのが好ましい。また、同様にポリ塩
素化アルカンの分離を前記蒸留による方法で実施した場
合においては、得られたアミン塩酸塩を含む釜残溶液に
は水を加え分液し、アミン塩酸塩を含む水相として用い
るのが好ましい。
【0037】アミンの遊離操作時の温度はあまりに高い
と遊離したアミンが揮散する恐れがあるため、通常、−
10〜70℃、好ましくは0〜50℃の範囲から選ばれ
る。
【0038】このようにしてアミン塩酸塩を含む残物か
らアミンを遊離させたあと、この遊離したアミンを公知
の方法で分離して回収する。分離の方法を具体的に例示
すると、蒸留により分離する方法、溶媒抽出により分離
する方法等を挙げることができる。
【0039】蒸留により分離する方法は、常圧、加圧、
減圧のいずれも採用することができるが、蒸留は窒素等
の不活性ガス雰囲気下で行うことがアミンの分解を抑え
てアミンの回収率が高くなるために好ましい。また、蒸
留時の釜温は、蒸留しようとするアミンの物性にもよる
が、あまりに高いと遊離したアミン類が分解する恐れが
あるため、通常、30〜200℃、好ましくは40〜1
50℃の範囲である。
【0040】また、溶媒抽出により分離する方法におい
て、抽出溶媒としては水と相溶しにくい溶媒であれば制
限されるものではないが、特に、反応の原料であるトリ
クロロメチル基を有する化合物を抽出溶媒として使用す
ることが好適である。抽出溶媒の使用量および抽出回数
は、使用する抽出溶媒と水へのアミンの分配比を測定し
て、所望のアミンの回収率を達成するのに必要な量およ
び抽出回数を計算により求めて決定すればよい。
【0041】抽出後の抽出液からは、公知の方法、例え
ば、前記した蒸留により分離する方法によりアミンを単
離することができるが、反応の原料であるトリクロロメ
チル基を有する化合物を抽出溶媒として用いた場合、所
望であればアミンを単離せずに反応原料として使用する
ことも可能である。
【0042】このようにして、オレフィンとトリクロロ
メチル基を有する化合物とをアミンの存在下に反応させ
て得られる反応液から、酸洗浄せずに、高い回収率でア
ミンを回収することができる。回収したアミンは、反応
に循環して再利用することができる。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、75%以上の高い回収
率で反応に使用したアミンを回収することができ、回収
したアミンは、反応に循環再利用することができる。ま
た、酸洗浄が不要なため、酸洗浄に使用する酸が不要で
あり、さらに、アミン類を遊離させるのに必要なアルカ
リを大幅に少なくすることができ、このアルカリを添加
する時の操作性も向上する。従って、本発明は工業的に
極めて有用である。
【0044】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に説明するため実
施例を掲げるが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0045】実施例1 攪拌機及び温度計を備えた3Lオートクレーブに四塩化
炭素1999.7g(13.00モル)および塩化第一
銅6.21g(0.063モル)を入れ−20℃に冷却
し、塩化ビニル93.75g(1.50モル)を加え反
応器を閉じた。反応器内を窒素に置換した後、攪拌しな
がら80℃まで昇温し、n−ブチルアミンを9.14g
(0.125モル)加えた。次いで、同温度でn−ブチ
ルアミンを0.16g/分の速度で8時間連続供給して
反応を継続した(n−ブチルアミンの総使用量;85.
94g(1.175モル))。反応終了後、反応液の溶
液部分を分析したところ、n−ブチルアミンは全く存在
していなかった。
【0046】その後、反応液を室温まで冷却したあと3
00mLの水を加えて洗浄し、有機相と水相とに分液
し、水相に40℃以下の温度で水酸化ナトリウム47g
(1.175モル)を加えてn−ブチルアミンを遊離さ
せた。次いで、この液を、窒素雰囲気下で釜温が97℃
となるまで蒸留してn−ブチルアミン含量が96.5%
の留出液を79.35g得た(n−ブチルアミン回収
率;89.1%、水分含量;3.4重量%)。
【0047】一方、有機相を定量したところ、塩化ビニ
ルの98.6%が転化しており、重合度が1の1,1,
1,3,3−ペンタクロロプロパン、重合度が2の1,
1,1,3,5,5−ヘキサクロロペンタンおよび重合
度が3の1,1,1,3,5,7,7−ヘプタクロロヘ
プタンが転化した塩化ビニルに対して、それぞれ90.
5%、8.1%、0.2%の選択率で生成していた(転
化した塩化ビニルに対する重合度が1〜3のポリ塩素化
アルカンの収率;98.2%)。
【0048】実施例2 実施例1と同じ装置に四塩化炭素1999.7g(1
3.00モル)および塩化第一銅1.66g(0.01
7モル)を入れ反応器を閉じた。反応器内を窒素に置換
した後、攪拌しながら80℃まで昇温し、同温度で塩化
ビニルを0.729g/分、n−ブチルアミンを0.0
40g/分の速度で9時間連続供給して反応を継続した
(塩化ビニル総使用量;393.66g(6.30モ
ル)、n−ブチルアミンの総使用量;21.60g
(0.295モル))。9時間後塩化ビニルおよびn−
ブチルアミンの供給を停止し、反応液の溶液部分を分析
したところ、n−ブチルアミンは全く存在していなかっ
た。
【0049】その後、反応液を室温まで冷却したあと7
0mLの水を加えて洗浄し、有機相と水相とに分液し、
水相に40℃以下の温度で水酸化ナトリウム12g
(0.30モル)を加えてn−ブチルアミンを遊離させ
た。次いで、この液を、窒素雰囲気下で釜温が97℃と
なるまで蒸留してn−ブチルアミン含量が96.6%の
留出液を19.61g得た(n−ブチルアミン回収率;
87.8%、水分含量;3.4重量%)。
【0050】一方、有機相を定量したところ、塩化ビニ
ルの91.0%が転化しており、重合度が1の1,1,
1,3,3−ペンタクロロプロパン、重合度が2の1,
1,1,3,5,5−ヘキサクロロペンタンおよび重合
度が3の1,1,1,3,5,7,7−ヘプタクロロヘ
プタンが転化した塩化ビニルに対して、95.5%、
3.0%、0.1%の選択率で生成していた(転化した
塩化ビニルに対する重合度が1〜3のポリ塩素化アルカ
ンの収率;98.6%)。
【0051】実施例3 実施例2と同様にして得た反応液中の不溶成分をろ取、
真空乾燥して淡緑色の結晶性粉末を得(26.26
g)、この結晶に70mLの水を加えたあとに水酸化ナ
トリウムを加えてn−ブチルアミンを遊離させたこと以
外は実施例2と同様に操作した。その結果を表1に示し
た。
【0052】実施例4 実施例2と同様にして得た反応液から窒素雰囲気下で未
反応四塩化炭素を留去したあと、回分式減圧蒸留によ
り、真空度55mmHgで100℃〜100.5℃の留
分を集めて純度99.0%の1,1,1,3,3−ペン
タクロロプロパン1079.0g(転化した塩化ビニル
に対する単離後の収率;87.0%)および蒸留残物1
93.5gを得、この蒸留残物に70mLの水を加え、
有機相を分離したあとの水相に水酸化ナトリウムを加え
てn−ブチルアミンを遊離させたこと以外は実施例2と
同様に操作した。その結果を表1に示した。
【0053】なお、留去した未反応四塩化炭素および
1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン中にn−ブ
チルアミンは全く含まれていなかった。
【0054】実施例5 n−ブチルアミンを遊離させたあとの液から、四塩化炭
素100mLで3回抽出してn−ブチルアミンを回収し
たこと以外は実施例2と同様に操作した。その結果を表
1に示した。
【0055】実施例6 アミンとしてイソプロピルアミンを用い、アミンの総使
用量が同一のモル数となるような供給速度としたこと以
外は実施例1と同様に操作した。その結果を表2に示し
た。
【0056】実施例7 オレフィンとして塩化ビニリデンを用い、塩化ビニリデ
ンの総使用量が同一のモル数となるような供給速度とし
たこと以外は実施例1と同様に操作した。その結果を表
2に示した。
【0057】実施例8 オレフィンとしてエチレンを用い、反応温度を130℃
としたこと以外は実施例1と同様に操作した。その結果
を表2に示した。
【0058】実施例9 トリクロロメチル基を有する化合物として1,1,1−
トリクロロエタンを用いたこと以外は実施例1と同様に
操作した。その結果を表2に示した。
【0059】実施例10 トリクロロメチル基を有する化合物として1,1,1−
トリフルオロ−2,2,2−トリクロロエタンを用いた
こと以外は実施例1と同様に操作した。その結果を表2
に示した。
【0060】比較例1 実施例1の方法で得た反応液を10%塩酸2500gで
洗浄して有機相と塩酸相に分液し、塩酸相に水酸化ナト
リウム322g(8.05モル)を加えたこと以外は実
施例1と同様に操作した。その結果を表1に示した。
【0061】比較例2 実施例1の方法で得た反応液を10%塩酸2500gで
洗浄して有機相と塩酸相に分液し、塩酸相に水酸化ナト
リウム270g(6.75モル)を加えたこと以外は実
施例1と同様に操作した。その結果を表1に示した。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オレフィンとトリクロロメチル基を有する
    化合物とをアミンの存在下に反応させて、一般式 X−(A)n−Cl (但し、Aはオレフィンに基づく単量体単位であり、X
    はトリクロロメチル基を有する化合物のトリクロロメチ
    ル基から塩素原子を一個除いた残基であり、nは1〜1
    0の整数である)で示されるポリ塩素化アルカンを含む
    反応液を得、次いで、この反応液を酸洗浄することなく
    該反応液から上記ポリ塩素化アルカンを分離した後、ア
    ミン塩酸塩を含む残物にアルカリを加えてアミンを遊離
    させ、該遊離したアミンを回収することを特徴とするポ
    リ塩素化アルカンの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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