JPH09249507A - 防汚材 - Google Patents

防汚材

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JPH09249507A
JPH09249507A JP5455496A JP5455496A JPH09249507A JP H09249507 A JPH09249507 A JP H09249507A JP 5455496 A JP5455496 A JP 5455496A JP 5455496 A JP5455496 A JP 5455496A JP H09249507 A JPH09249507 A JP H09249507A
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JP
Japan
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lower alkyl
alkyl group
resin
hydrogen atom
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JP5455496A
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Mutsumi Kawamata
睦 川又
Sadao Kobayashi
貞雄 小林
Yasushi Fujiwara
靖 藤原
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Taisei Corp
Original Assignee
Taisei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、熱硬化タイ
プシリコーン、アミノ樹脂、フラン樹脂、アルキド樹
脂、ジアリルフタレート樹脂、レゾルシノール樹脂)及
び分子量79.1〜50,000の含窒素化合物(例えば、インド
ール化合物、ピリジン化合物)を含有する防汚材。 【効果】 スライムを形成する微生物をはじめ、水中の
大型付着生物の忌避効果に優れるとともに、その持続期
間も長く、また人体に安全でかつ環境汚染の少ない防汚
効果が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、火力もしくは原子力発
電所の復水器冷却用水又は石油化学工業の熱交換器冷却
用水の取水路・排水路や、船舶の船底、漁網、ブイ等の
海中に置かれる設備等に有害な水中生物が付着し繁殖す
ることを防止する防汚材に関する。
【0002】
【従来の技術】発電所の冷却用水の取水路及び排水路、
船舶の船底部、海中に置かれた設備など、常時水と接触
する部分には、フジツボ、カキ、ムラサキイガイ、ヒド
ラ、セルプラ、ホヤ、コケムシ、アオサ、アオノリ、シ
オミドロ、付着珪藻、付着バクテリア等の貝類、藻類及
び微生物が付着繁茂し、これら付着生物は流体抵抗の増
加、熱伝導性の低下など設備機器の能力の低下という好
ましくない状態を引き起こす。
【0003】従来、このような淡水及び海中有害生物の
付着繁茂を防止するために各種の防汚材が使用されてい
る。このような防汚材の有効成分としては、硫酸銅、亜
酸化銅、有機スズ化合物等の金属成分が従来から知られ
ており、現在でも多く用いられている。これらの有効成
分は塗料中に10〜50重量%含有せしめ、水中で連続的に
溶出させることにより有害生物の付着を試みている。
【0004】また、これら防汚材中の重金属が河川又は
海水などの環境を汚染したり、さらには魚介類を媒介し
て人体へ害を及ぼすというような社会的問題が起こりつ
つあるため、現在、防汚材中の有機スズ化合物等につい
ては使用制限又は使用禁止されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、安全
で有効な防汚材及びそれを用いた水路壁を提供すること
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記のような現状に鑑
み、本発明者らは、安全性が高く優れた防汚効果を有す
る材料を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、熱硬化性樹
脂と含窒素化合物とを含む防汚材が有害水中付着生物の
忌避作用を有することを見出し、この知見に基づき本発
明を完成するに至った。即ち、本発明は、熱硬化性樹脂
及び分子量79.1〜50,000の含窒素化合物を含有する防汚
材である。
【0007】また、本発明は、上記熱硬化性樹脂が、エ
ポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹
脂、熱硬化タイプシリコーン、アミノ樹脂、フラン樹
脂、アルキド樹脂、ジアリルフタレート樹脂及びレゾル
シノール樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種で
ある防汚材である。さらに、本発明は、上記含窒素化合
物が、次式(1):
【0008】
【化3】
【0009】(式中、Yは水素原子、低級アルキル基又
はフェニル基を表し、X1 、X2 、X3 、X4 、X5
びX6 は、同一又は各々異なってもよく、水素原子、ハ
ロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシル基、ニ
トロ基、シアノ基、シアノ低級アルキル基、ハロゲン化
低級アルキル基、置換されたもしくは非置換のフェニル
基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、低級アルコキ
シカルボニル基、脂肪族低級アシル基、脂肪族低級アシ
ルオキシ基、低級アルコキシカルボニル低級アルキル
基、芳香族アシル基、低級シクロアルキルアミノ低級ア
ルキル基、ニトロビニル基、ピリジル低級アルキル基、
カルバモイル基、カルバモイル低級アルキル基、ジアリ
ルアミノ低級アルキル基又はジ低級アルキルアミノ低級
アルキル基を表す。)で示されるインドール化合物及び
次式(2):
【0010】
【化4】
【0011】(式中、Yは水素原子、低級アルキル基又
はフェニル基を表し、X1 、X2 、X3 、X4 及びX5
は、同一又は各々異なってもよく、水素原子、ハロゲン
原子、低級アルキル基、低級アルコキシル基、ニトロ
基、シアノ基、シアノ低級アルキル基、ハロゲン化低級
アルキル基、置換されたもしくは非置換のフェニル基、
アラルキル基、アラルキルオキシ基、低級アルコキシカ
ルボニル基、脂肪族低級アシル基、脂肪族低級アシルオ
キシ基、低級アルコキシカルボニル低級アルキル基、芳
香族アシル基、低級シクロアルキルアミノ低級アルキル
基、ニトロビニル基、ピリジル低級アルキル基、カルバ
モイル基、カルバモイル低級アルキル基、ジアリルアミ
ノ低級アルキル基又はジ低級アルキルアミノ低級アルキ
ル基を表す。)で示されるピリジン化合物から選ばれる
少なくとも1種の化合物である防汚材である。さらにま
た、本発明は、上記防汚材を塗布してなる水路壁であ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の防汚材は、熱硬化性樹脂と分子量79.1〜50,000
の含窒素化合物とを含有する。含窒素化合物としては、
インドール化合物、ピリジン化合物等を例示することが
でき、それらを単独で又は組み合わせて用いることがで
きる。インドール化合物としては、次式(1):
【0013】
【化5】
【0014】(式中、Yは水素原子、低級アルキル基又
はフェニル基を表し、X1 、X2 、X3 、X4 、X5
びX6 は、同一又は各々異なってもよく、水素原子、ハ
ロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシル基、ニ
トロ基、シアノ基、シアノ低級アルキル基、ハロゲン化
低級アルキル基、置換されたもしくは非置換のフェニル
基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、低級アルコキ
シカルボニル基、脂肪族低級アシル基、脂肪族低級アシ
ルオキシ基、低級アルコキシカルボニル低級アルキル
基、芳香族アシル基、低級シクロアルキルアミノ低級ア
ルキル基、ニトロビニル基、ピリジル低級アルキル基、
カルバモイル基、カルバモイル低級アルキル基、ジアリ
ルアミノ低級アルキル基又はジ低級アルキルアミノ低級
アルキル基を表す。)で示されるものが挙げられ、それ
らを単独で又は組み合わせて用いることができる。ま
た、ピリジン化合物としては、次式(2):
【0015】
【化6】
【0016】(式中、Yは水素原子、低級アルキル基又
はフェニル基を表し、X1 、X2 、X3 、X4 及びX5
は、同一又は各々異なってもよく、水素原子、ハロゲン
原子、低級アルキル基、低級アルコキシル基、ニトロ
基、シアノ基、シアノ低級アルキル基、ハロゲン化低級
アルキル基、置換されたもしくは非置換のフェニル基、
アラルキル基、アラルキルオキシ基、低級アルコキシカ
ルボニル基、脂肪族低級アシル基、脂肪族低級アシルオ
キシ基、低級アルコキシカルボニル低級アルキル基、芳
香族アシル基、低級シクロアルキルアミノ低級アルキル
基、ニトロビニル基、ピリジル低級アルキル基、カルバ
モイル基、カルバモイル低級アルキル基、ジアリルアミ
ノ低級アルキル基又はジ低級アルキルアミノ低級アルキ
ル基を表す。)で示されるものが挙げられ、それらを単
独で又は組み合わせて用いることができる。
【0017】上記式(1)及び(2)において、X1
2 、X3 、X4 、X5 、X6 又はYで表される低級ア
ルキル基とは、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアル
キル基をいい、例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブ
チル基、 tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙
げられる。
【0018】また、X1 、X2 、X3 、X4 、X5 又は
6 で表されるハロゲン原子としては、例えばフッ素原
子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ;低級
アルコキシル基とは、炭素数1〜5のアルコキシル基を
いい、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、
ブトキシ基が挙げられ;シアノ低級アルキル基とは、前
記低級アルキル基がシアノ基で置換されたものをいい、
例えばシアノメチル基、シアノエチル基、シアノプロピ
ル基が挙げられ;ハロゲン化低級アルキル基とは、前記
低級アルキル基が前記ハロゲン原子で置換されたものを
いい、例えばクロロメチル基、トリフルオロメチル基、
2−ブロモエチル基が挙げられ;置換されたフェニル基
としては、例えばアミノ基、前記ハロゲン原子、前記低
級アルキル基又は前記低級アルコキシル基等で置換され
たフェニル基が挙げられ;アラルキル基としては、例え
ばベンジル基が挙げられ;アラルキルオキシ基として
は、例えばベンジルオキシ基が挙げられ;低級アルコキ
シカルボニル基とは、炭素数2〜6のアルコキシカルボ
ニル基をいい、例えばメトキシカルボニル基、エトキシ
カルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカル
ボニル基が挙げられ;脂肪族低級アシル基とは、炭素数
2〜6の脂肪族アシル基をいい、例えばアセチル基、プ
ロピオニル基が挙げられ;脂肪族低級アシルオキシ基と
は、炭素数2〜6の脂肪族アシル基をいい、例えばアセ
トキシ基、プロピオニルオキシ基が挙げられ;低級アル
コキシカルボニル低級アルキル基とは、前記低級アルキ
ル基が前記低級アルコキシカルボニル基で置換されたも
のをいい、例えばメトキシカルボニルメチル基、エトキ
シカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、
エトキシカルボニルエチル基が挙げられ;芳香族アシル
基としては、例えば非置換の、又は例えばアミノ基、前
記ハロゲン原子、前記低級アルキル基もしくは前記低級
アルコキシル基等で置換されたベンゾイル基が挙げら
れ;低級シクロアルキルアミノ低級アルキル基とは、前
記低級アルキル基が炭素数3〜7の低級シクロアルキル
アミノ基で置換されたものをいい、例えばシクロヘキシ
ルアミノメチル基、シクロヘキシルアミノエチル基、シ
クロペンチルアミノメチル基、シクロペンチルアミノエ
チル基が挙げられ;ピリジル低級アルキル基とは、前記
低級アルキル基がピリジル基で置換されたものをいい、
例えばピリジルメチル基、ピリジルエチル基、ピリジル
プロピル基が挙げられ;カルバモイル低級アルキル基と
は、前記低級アルキル基がカルバモイル基で置換された
ものをいい、例えばカルバモイルメチル基、カルバモイ
ルエチル基、カルバモイルプロピル基が挙げられ;ジア
リルアミノ低級アルキル基とは、前記低級アルキル基が
ジアリルアミノ基で置換されたものをいい、例えばジア
リルアミノメチル基、ジアリルアミノエチル基、ジアリ
ルアミノプロピル基が挙げられ;ジ低級アルキルアミノ
低級アルキル基とは、前記低級アルキル基がジ低級アル
キルアミノ基で置換されたものをいい、例えばジメチル
アミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジメチルア
ミノプロピル基が挙げられる。上記式(1)で示される
インドール化合物の具体例としては、表1に示す化合物
が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
【表1】 表 1 化合物番号 化 学 名 1 2, 3−ジメチルインドール 2 3−インドリルアセトニトリル 3 3−インドリルアセテート 4 5−クロロ−2−インドールカルボン酸エチル 5 1−メチルインドール 6 5−メチルインドール 7 3− (2−ニトロビニル) −1−フェニルインドール 8 4−クロロインドール 9 6−クロロインドール 10 5, 6−ジメトキシインドール 11 4−メトキシインドール 12 4−メチルインドール 13 6−メチルインドール 14 4−インドリルアセテート 15 4−ニトロインドール 16 4−インドールカルボン酸メチル 17 3−インドール酢酸エチル 18 3−インドリルアセトアミド 19 4−メトキシ−1−メチルインドール 20 3−シアノインドール 21 1, 2−ジフェニルインドール 22 4−メトキシ−2−インドールカルボン酸メチル 23 6−メトキシ−2−インドールカルボン酸メチル 24 4, 6−ジメトキシ−2−インドールカルボン酸メチル 25 2, 3−インドールジカルボン酸ジメチル 26 3−(2−ブロモエチル)インドール 27 3−アセチルインドール 28 5−ベンジルオキシインドール 29 5−ブロモインドール 30 5−クロロインドール 31 5−クロロ−2−メチルインドール 32 5−シアノインドール 33 1, 2−ジメチルインドール 34 2, 5−ジメチルインドール 35 2−インドールカルボン酸エチル 36 5−フルオロインドール 37 5−メトキシインドール 38 5−メトキシ−2−メチルインドール 39 2−メチルインドール 40 3−メチルインドール 41 7−メチルインドール 42 5−ニトロインドール 43 6−ニトロインドール 44 2−フェニルインドール 45 5−ブロモ−3−インドリルアセテート 46 3−カルバモイル−2−メチルインドール 47 1−エチル−2−フェニルインドール 48 1−メチル−2−フェニルインドール 49 1−メチル−3−インドリルアセテート 50 3−(シクロヘキシルアミノメチル)インドール 51 2−メチル−3−プロピオニルインドール 52 5−ベンジルオキシ−3−インドリルアセトアミド 53 5−ベンジルオキシ−3−インドリルアセトニトリル 54 5−ベンジルオキシ−2−インドールカルボン酸エチル 55 5−メチル−2−インドールカルボン酸エチル 56 2−メチル−3−プロピルインドール 57 3−ベンジルインドール 58 3−(3−インドリル)プロピオン酸メチル 59 3−プロピオニルインドール 60 3−(3−インドリル)プロピオニトリル 61 2, 3−ジメチル−5−ニトロインドール 62 3−ジアリルアミノメチルインドール 63 3−インドリル酢酸メチル 64 3−(2−ニトロビニル)インドール 65 3−(2−(3−ピリジル)エチル)インドール 66 3−エチル−2−メチル−5−ニトロインドール 67 5−クロロ−2−フェニルインドール 68 3−(4−クロロベンゾイル)−2−メチルインドール 69 2−(2−アミノフェニル)インドール 70 グラミン 71 1−メチルグラミン 72 2−メチルグラミン 73 5−メチルグラミン 74 6−メチルグラミン 75 5−メトキシグラミン 76 5−フルオログラミン 77 6−フルオログラミン 78 5−ブロモグラミン 79 6−ブロモグラミン 80 4−クロログラミン 81 5−クロログラミン 82 5−ベンジルオキシグラミン 83 6−ベンジルオキシグラミン 84 1,2−ジメチルグラミン 85 2,6−ジブロモグラミン 86 5,6−ジブロモグラミン 87 6−ブロモ−2−メチルグラミン 88 2,5,6−トリブロモグラミン 89 5,6−ジブロモ−2−メチルグラミン 90 2,6−ジブロモ−1−メチルグラミン 91 2,5,6−トリブロモ−1−メチルグラミン 92 N,N−ジメチル−5−メトキシトリプタミン 93 N,N−ジメチルホモトリプタミン
【0020】表1に示したインドール化合物は、全て公
知の化合物であり、公知の方法により、化学的に合成す
ることにより得ることができる。また、該インドール化
合物の多くは、動物、植物、バクテリア等に含まれてお
り、これらの生物より抽出・精製することによっても得
ることができる。例えば、上記式(1)においてX1
4 及びX5 が臭素原子であり、X3 及びX6 が水素原
子であり、X2 がジメチルアミノメチル基であり、Yが
メチル基であるインドール化合物である2,5,6−ト
リブロモ−1−メチルグラミン(化合物番号91)は、
コケムシの一種(Zoobotryo n verticillatum)に含まれて
いることが知られている(Aiya Sato, et al., Tetrahed
ron Lett., 24, 481(1983))。更に、2,5,6−トリ
ブロモ−1−メチルグラミン(化合物番号91)は、Zo
obotryon pellucidu mより抽出・精製することによって
も得ることができる。
【0021】ここで用いる抽出溶媒としては、一般には
有機溶媒、好ましくはアセトン、エタノールが挙げられ
る。また、精製法としては、分配精製やクロマトグラフ
ィー等の公知の方法を用いることができるが、好ましく
はヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒を溶出剤とするシリ
カゲルクロマトグラフィーを用いる。上記式(2)で示
されるピリジン化合物の具体例としては、表2に示す化
合物が挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。
【0022】
【表2】 表 2 化合物番号 化 学 名 1 ピリジン 2 シアノピリジン 3 ニコチン酸アミド 4 6−メチルニコチンアミド 5 ピコリン酸アミド 6 ピコリン酸 7 ジピコリン酸 8 ニコチン酸 9 ニコチン 10 イソニコチン酸 11 3−ピリジンスルフォン酸 12 3−ピリジンプロパノール 13 3−ピリジンアセトニトリル 14 トリゴネリン 15 ピリドキシン 16 ピリドキサール 17 ピリドキサミン 18 キノリン酸
【0023】表2に示したピリジン化合物は、全て公知
の化合物であり、公知の方法により、化学的に合成する
ことにより得ることができる。本発明における含窒素化
合物を、抽出により生物から得た場合には、粗抽出物を
そのまま用いてもよく、適宜精製して用いてもよい。
【0024】本発明では、上記含窒素化合物は分子量が
79.1〜50,000の範囲内のものであることが必要であり、
100 〜10,000の範囲内のものであるのが好ましい。分子
量が79.1未満ではインドール環やピリジン環を持たない
ため本発明の効果が弱く、50,000を超えると樹脂の硬化
を阻害する等、樹脂に対して悪影響を及ぼす。
【0025】本発明の防汚材に含まれる熱硬化性樹脂と
しては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェ
ノール樹脂、熱硬化タイプシリコーン、アミノ樹脂、フ
ラン樹脂、アルキド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、レ
ゾルシノール樹脂等が挙げられ、それらを単独で又は組
み合わせて使用することができる。
【0026】エポキシ樹脂としては、生物に対する溶剤
の毒性を排除した無溶剤エポキシ樹脂等が好ましく、フ
ェノール樹脂としては、レゾール樹脂等が好ましく、熱
硬化タイプシリコーンとしては、高分子量の、具体的に
は分子量2,500 〜10,000程度のシリコーンが好ましく、
アミノ樹脂としては、メラミン樹脂や尿素樹脂等が好ま
しく、フラン樹脂としては、フルフリルアルコール樹脂
等が好ましく、アルキド樹脂としては、グリプタル樹脂
等が好ましい。
【0027】それらの中でも、無溶剤エポキシ樹脂、高
分子量シリコーン、レゾール樹脂、グリプタル樹脂、メ
ラミン樹脂及び尿素樹脂を用いるのが特に好ましく、ま
た、無溶剤エポキシ樹脂と高分子量シリコーンとを組み
合わせて用いるのが特に好ましい。
【0028】熱硬化性樹脂と含窒素化合物との混合比
は、熱硬化性樹脂50〜90重量%、含窒素化合物10〜50重
量%であるのが好ましい。これらの範囲内であれば、熱
硬化性樹脂と含窒素化合物との相互作用による防汚効果
が得られる。熱硬化性樹脂として、無溶剤エポキシ樹脂
と高分子量シリコーンとを用いる場合(無溶剤エポキシ
樹脂のみを用いる場合も含む)には、無溶剤エポキシ樹
脂50〜90重量%、高分子量シリコーン0〜40重量%、含
窒素化合物10〜50重量%であるのが好ましい。
【0029】本発明の防汚材は、熱硬化性樹脂及び含窒
素化合物以外にも、使用形態や使用目的に応じて他の成
分を適宜含有してもよい。例えば、本発明の防汚材は、
塗料、溶液、乳剤等の形態として使用することができ、
一般的な調製法により得ることができる。
【0030】塗料として使用する場合には、熱硬化性樹
脂及び含窒素化合物の他、所望に応じて一般的な溶剤、
体質顔料、着色顔料、添加剤等を配合することができ
る。この場合、熱硬化性樹脂及び含窒素化合物の合計含
量は、塗料の重量に基づいて5〜50重量%であるのが好
ましく、10〜40重量%であるのが特に好ましい。
【0031】溶液として使用する場合には、例えば熱硬
化性樹脂及び含窒素化合物を所望の溶媒に溶解させれば
よい。このとき使用される溶媒としては、トルエン、キ
シレン、クロロホルム、酢酸エチル、エチルメチルケト
ン、アセトン、エタノール、メタノール等が挙げられ
る。溶液の場合、熱硬化性樹脂及び含窒素化合物の合計
含量は、溶液の重量に基づいて5〜70重量%であるのが
好ましく、10〜50重量%であるのが特に好ましい。
【0032】乳剤として使用する場合は、溶媒中に熱硬
化性樹脂及び含窒素化合物を分散させ、更に界面活性剤
を添加して常法により乳剤を調合すればよい。このとき
使用される溶媒としては、トルエン、キシレン、酢酸エ
チル、ベンゼン、アセトン、エタノール、グリセロー
ル、水等が挙げられる。また、界面活性剤としては、普
通一般のものが用いられる。乳剤の場合、熱硬化性樹脂
及び含窒素化合物の合計含量は、溶液の重量に基づいて
5〜50重量%であるのが好ましく、10〜40重量%である
のが特に好ましい。
【0033】本発明の防汚材は、所望の箇所、例えば取
水路及び排水路の壁面や、船底、水中構築物、冷却水取
水路等に塗布することもできるし、漁網等の高分子樹脂
素材や、コンクリート等の水中使用物素材に練り込んで
使用することもできる。
【0034】このように、本発明の防汚材を水路の壁面
等に塗布したり、練り込んだりすることにより、スライ
ムを形成する微生物をはじめ、水中の大型生物の付着を
長期間防止することができる。本発明の防汚材による防
汚効果は重金属の溶出によるものではなく、熱硬化性樹
脂はもちろん、含有する他の溶媒等による害もないた
め、人体に対して安全であり、かつ環境汚染がほとんど
ない。
【0035】また、本発明の防汚材を施用した材料の表
面が摩耗したとしても、防汚材自体が常に材料表面に現
れるため、防汚性能の劣化が少なく、持続性があるとい
う利点がある。しかも、従来の有機スズ化合物が、付着
生物を殺傷することにより防汚性を示しているのに対
し、本発明の防汚材は付着生物を殺傷することなく、付
着機能のみを阻止するものであり、環境に対する悪影響
がほとんどない。
【0036】本発明の防汚材を塗布した取水路・排水路
等の壁(水路壁)、特に火力もしくは原子力発電所の復
水器冷却用水、又は石油化学工業の熱交換器冷却用水等
の取水路もしくは排水路等の水路壁は、付着生物による
流体抵抗の増加がほとんどなく、熱伝導性の低下も防ぐ
ことができ、長期にわたり設備機器としての能力に優れ
たものとなる。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明の範囲はこの実施例に限定されるもの
ではない。
【0038】(実施例1)無溶剤エポキシ樹脂(硬化剤
12.5重量%含む)80,70,60,50,40重量%、熱硬化性の高
分子量シリコーン10重量%及び含窒素化合物10,20,30,4
0,50重量%を含有する防汚材を調製した。なお、溶剤に
ついては、生物に対する悪影響を考慮して添加しなかっ
た。無溶剤エポキシ樹脂としては、ABC商会製のケミ
クリートE,#1414を使用し、その硬化剤としては、ケ
ミクリートE用の硬化剤(変性脂肪族ポリアミン)を使
用し、熱硬化性の高分子量シリコーンとしては、信越化
学社製のKR2038(平均分子量:3,000 )を使用し、イン
ドール環系の含窒素化合物としては、メルク社製のグラ
ミンを使用し、ピリジン環系の含窒素化合物としては、
関東化学社製のニコチン酸アミドを使用した。
【0039】それら防汚材は、無溶剤エポキシ樹脂に、
硬化剤、高分子量シリコーン及び含窒素化合物をすばや
く添加して、均一になるように数分間撹拌することによ
り得た。得られた各防汚材を、透明なアクリル板(縦18
cm×横26cm)に厚さ1〜3mmになるように塗布した。こ
れらを40日間(5月〜9月の間)海に浸漬した後引き上
げ、スライム(微生物フィルム)、フジツボ、ムラサキ
イガイ等の付着の程度を観察し、評価した。結果を表3
に示す。
【0040】(比較例1)実施例1と同様の無溶剤エポ
キシ樹脂90重量%及び熱硬化性の高分子量シリコーン10
重量%を含有する防汚材を調製した。得られた防汚材に
ついて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に
示す。
【0041】(比較例2)熱硬化性樹脂の代わりに、熱
可塑性樹脂であるアクリルエマルジョン(大日本インキ
社製,ボンコート3990,配合量:80重量%)を用いた以
外、実施例1の防汚材No.7と同様にして防汚材を調製
し、評価を行った。結果を表3に示す。
【0042】防汚材の評価は、付着生物がサンプル表面
(18cm×26cm)を占有する面積の大小で行い、以下に示
すような4段階の記号で採点した。 ◎:肉眼で見て特に汚れの付着がない状態 ○:わずかに汚れが認められる △:微生物の付着が認められるが大型付着生物は認めら
れない ×:付着生物が多く目立つ
【0043】
【表3】
【0044】*1:浸漬前及び浸漬後の写真を図1(a),
(b) に示す。 *2:浸漬前及び浸漬後の写真を図2(a),(b) に示す。 *3:浸漬前及び浸漬後の写真を図3(a),(b) に示す。
【0045】表3から判るように、樹脂及び含窒素化合
物の種類と配合量によって、付着生物に対する抗菌効果
や防汚効果は異なるが、熱硬化性樹脂及び含窒素化合物
を含む防汚材は優れた効果を示し、その中でも熱硬化性
樹脂及びピリジン化合物系を含む防汚材が特に優れた効
果を示した。
【0046】
【発明の効果】本発明の防汚材は、スライムを形成する
微生物をはじめ、水中の大型付着生物の忌避効果に優れ
るとともに、その持続期間も長く、また人体に安全でか
つ環境汚染の少ない防汚効果を得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における防汚材No.7の浸漬前(a) 及
び浸漬後(b) の状態を示す写真である。
【図2】比較例1における防汚材の浸漬前(a) 及び浸漬
後(b) の状態を示す写真である。
【図3】比較例2における防汚材の浸漬前(a) 及び浸漬
後(b) の状態を示す写真である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年3月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性樹脂及び分子量79.1〜50,000の
    含窒素化合物を含有する防汚材。
  2. 【請求項2】 前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、不
    飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、熱硬化タイプ
    シリコーン、アミノ樹脂、フラン樹脂、アルキド樹脂、
    ジアリルフタレート樹脂及びレゾルシノール樹脂からな
    る群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とす
    る、請求項1記載の防汚材。
  3. 【請求項3】 前記含窒素化合物が、次式(1): 【化1】 (式中、Yは水素原子、低級アルキル基又はフェニル基
    を表し、X1 、X2 、X3 、X4 、X5 及びX6 は、同
    一又は各々異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、
    低級アルキル基、低級アルコキシル基、ニトロ基、シア
    ノ基、シアノ低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル
    基、置換されたもしくは非置換のフェニル基、アラルキ
    ル基、アラルキルオキシ基、低級アルコキシカルボニル
    基、脂肪族低級アシル基、脂肪族低級アシルオキシ基、
    低級アルコキシカルボニル低級アルキル基、芳香族アシ
    ル基、低級シクロアルキルアミノ低級アルキル基、ニト
    ロビニル基、ピリジル低級アルキル基、カルバモイル
    基、カルバモイル低級アルキル基、ジアリルアミノ低級
    アルキル基又はジ低級アルキルアミノ低級アルキル基を
    表す。)で示されるインドール化合物及び次式(2): 【化2】 (式中、Yは水素原子、低級アルキル基又はフェニル基
    を表し、X1 、X2 、X3 、X4 及びX5 は、同一又は
    各々異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、低級ア
    ルキル基、低級アルコキシル基、ニトロ基、シアノ基、
    シアノ低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基、置
    換されたもしくは非置換のフェニル基、アラルキル基、
    アラルキルオキシ基、低級アルコキシカルボニル基、脂
    肪族低級アシル基、脂肪族低級アシルオキシ基、低級ア
    ルコキシカルボニル低級アルキル基、芳香族アシル基、
    低級シクロアルキルアミノ低級アルキル基、ニトロビニ
    ル基、ピリジル低級アルキル基、カルバモイル基、カル
    バモイル低級アルキル基、ジアリルアミノ低級アルキル
    基又はジ低級アルキルアミノ低級アルキル基を表す。)
    で示されるピリジン化合物から選ばれる少なくとも1種
    の化合物であることを特徴とする、請求項1記載の防汚
    材。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3いずれか記載の防汚材を
    塗布してなる水路壁。
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