JPH0924275A - 二酸化マンガン触媒の製造方法およびカルボン酸アミドの製造方法 - Google Patents

二酸化マンガン触媒の製造方法およびカルボン酸アミドの製造方法

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JPH0924275A
JPH0924275A JP7200591A JP20059195A JPH0924275A JP H0924275 A JPH0924275 A JP H0924275A JP 7200591 A JP7200591 A JP 7200591A JP 20059195 A JP20059195 A JP 20059195A JP H0924275 A JPH0924275 A JP H0924275A
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mol
acid
carboxylic acid
permanganate
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JP7200591A
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Keiko Miki
恵子 三木
Kazuyuki Matsuoka
一之 松岡
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Daicel Corp
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い触媒活性を有する二酸化マンガン触媒を
用いて、ニトリルを水和することにより、高い選択率で
カルボン酸アミドを製造する。 【解決手段】 過マンガン酸塩を、酸性条件下、多価カ
ルボン酸又はその誘導体で還元処理する際、過マンガン
酸塩1モルに対して水溶性多価カルボン酸又はその塩
0.5〜5モルを用いて温度5〜80℃で処理すること
により、二酸化マンガンを得る。多価カルボン酸にはシ
ュウ酸などの水溶性脂肪族多価カルボン酸が含まれる。
二酸化マンガン触媒の存在下、ニトリルを水和すること
により、カルボン酸アミドを高い収率及び選択率で得る
ことができる。前記ニトリルには、例えば、ラクトニト
リル、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニトリル
などのα−シアンヒドリン化合物などが含まれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水和反応によりニ
トリルから対応するカルボン酸アミドを製造する上で有
用な二酸化マンガン触媒の製造方法、およびそれを用い
たカルボン酸アミドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ニトリルの水和反応により対応するカル
ボン酸アミドを製造することができる。この水和反応
は、例えば、アクリロニトリルからアクリルアミドを製
造する方法、シアンヒドリン化合物からヒドロキシカル
ボン酸アミドを経由して、ヒドロキシカルボン酸、ヒド
ロキシカルボン酸エステル又は不飽和カルボン酸エステ
ルなどを製造する方法に利用できる重要な反応である。
【0003】ニトリルの水和反応を利用してカルボン酸
を製造する方法として、硫酸触媒の存在下、ニトリルの
水和により生成するカルボン酸アミドを経由してカルボ
ン酸を製造する方法(硫酸法)が知られている。しか
し、この硫酸法では、下記式(1)に示されるように、
重硫酸アンモニウムが副生するため、その副生物の処理
設備を必要とする。そのため、硫酸法では高い作業効率
で経済的にカルボン酸を製造するのが困難である。従っ
て、硫酸触媒を用いることなく、ニトリルの水和による
カルボン酸アミドの製造方法を開発することが望まれて
いる。
【0004】 RCN+H2SO4+H2O → RCONH2・H2SO4 RCONH2・H2SO4+H2O → RCOOH+NH4HSO4 (1) 一方、二酸化マンガンがニトリル水和反応に対して優れ
た触媒活性を示すことは、例えば、Bull. Chem. Jpn.,
59,2983〜2989(1986年)、及び Chemi
stry Letters,183〜186(1982年)に記載さ
れている。これらの文献には、二酸化マンガンの触媒活
性が調製法により異なり、電解マンガンよりも触媒活性
が低いと記載されている。また、特開昭63−5753
5号公報には、二酸化マンガンの調製は一般的に難し
く、得られた二酸化マンガンの触媒活性がバッチ毎に異
なるため、再現性のある触媒活性の二酸化マンガン触媒
を調製するには特別の熟練を必要とすることが記載され
ている。
【0005】二酸化マンガンは種々の方法で調製されて
いる。例えば、特開昭55−222号公報には、ツアイ
トシュリフト・フュア・アノルガニッシェ・ウント・ア
ルゲマイネ・ケミー(Zeitschrift fur anorganische u
nd allgemeine Chemie)、309、1〜36及び121
〜150(1961年)に記載の方法に従い、中性〜ア
ルカリ性条件下、20〜100℃で7価のマンガンを還
元して二酸化マンガンを得る方法が記載されている。米
国特許第3366639号明細書には、等量の硫酸マン
ガンと過マンガン酸カリウムとを、小過剰の水酸化ナト
リウムの存在下、80℃に加熱する方法が開示されてい
る。また、特開昭55−87749号公報には、硝酸マ
ンガンの熱分解による二酸化マンガンの製造法、特開昭
55−98146号公報には、炭酸マンガンの熱分解に
よる二酸化マンガンの製造法が開示されている。さら
に、特開平3−68447号公報には、過マンガン酸塩
と2価のマンガン化合物とを酸性水溶液中、60〜15
0℃で反応させる方法が開示されている。
【0006】しかし、これらの方法でも、ニトリル水和
反応に対して高い触媒活性および選択性を有する二酸化
マンガン触媒を再現性よく得ることは困難である。ま
た、ニトリル水和反応に対する触媒活性及び反応選択性
も工業的観点からすると未だ十分でない。
【0007】さらに、特開平6−269666号公報に
は、過マンガン酸塩をヒドラジン類又はヒドロキシカル
ボン酸で還元する方法が開示されている。この文献に
は、比較例として過マンガン酸塩1モルをシュウ酸0.
26モルで還元する方法が記載され、この方法で得られ
た二酸化マンガンは、ヒドラジン類で還元した二酸化マ
ンガン触媒よりも活性が低い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、ニトリル水和反応に対して高い触媒活性を有する二
酸化マンガン触媒を再現性よく製造できる方法を提供す
ることにある。本発明の他の目的は、ニトリル水和反応
に対して高い触媒活性を有し、高い選択率でカルボン酸
アミドを製造できる二酸化マンガン触媒の製造方法を提
供することにある。本発明のさらに他の目的は、ニトリ
ルから対応するカルボン酸アミドを高い収率及び選択率
で製造できる方法を提供することにある。本発明の別の
目的は、硫酸触媒を用いることなく、ニトリルの水和に
よりカルボン酸アミドを製造できる方法を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、過マンガ
ン酸塩をシュウ酸などの多価カルボン酸又はその塩で還
元する方法に着目して、ニトリル水和用二酸化マンガン
触媒の調製方法について鋭意検討した結果、過マンガン
酸塩を多価カルボン酸又はその塩により還元処理する
際、多価カルボン酸又はその塩を特定の反応条件下で使
用すると、ニトリル水和反応において高い触媒活性およ
び選択率を有する二酸化マンガン触媒が再現性よく得ら
れることを見いだし、本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明の製造方法では、過マン
ガン酸塩を多価カルボン酸又はその塩で還元処理し、二
酸化マンガンを生成させる方法であって、過マンガン酸
塩1モルに対して水溶性多価カルボン酸又はその誘導体
0.5〜10モルを用いて処理することにより、二酸化
マンガン触媒を製造する。この方法において、還元処理
は、酸性条件下で行うことができる。また、多価カルボ
ン酸にはシュウ酸などの水溶性脂肪族多価カルボン酸な
どが含まれる。前記過マンガン酸塩は、濃度0.2〜8
モル/Lの水溶液として、多価カルボン酸又はその誘導
体は、濃度0.2〜8モル/Lの水溶液として用いるこ
とができる。本発明の方法には、例えば、濃度0.2〜
5モル/Lの過マンガン酸アルカリ金属塩の水溶液と、
濃度0.2〜5モル/Lの水溶性脂肪族多価カルボン酸
又はその塩の水溶液とを、過マンガン酸アルカリ金属塩
に対する水溶性脂肪族多価カルボン酸又はその塩のモル
比0.5〜5で用い、温度5〜80℃で反応させること
により、二酸化マンガン触媒を製造する方法も含まれ
る。
【0011】前記二酸化マンガン触媒はニトリル水和用
触媒として適している。そのため、本発明の製造方法で
は、前記二酸化マンガン触媒の存在下、ニトリルを水和
することにより、カルボン酸アミドを製造する。この方
法において、ニトリルはシアンヒドリン化合物であって
もよい。なお、本明細書中、「二酸化マンガン触媒」と
は、α型、β型、γ型、δ型などの結晶構造を問わず、
化学量論的にMnO2〜MnO1.7程度の範囲にある二酸
化マンガン触媒を意味する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。前記過マンガン酸塩には、例えば、過マンガン酸リ
チウム、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウ
ムなどのアルカリ金属塩;過マンガン酸マグネシウム、
過マンガン酸カルシウム、過マンガン酸ストロンチウ
ム、過マンガン酸バリウムなどのアルカリ土類金属塩;
過マンガン酸アンモニウムなどが含まれる。これらの過
マンガン酸塩は水和物であってもよい。これらの過マン
ガン酸塩は単独で又は2種類以上組み合わせて用いても
よい。
【0013】好ましい過マンガン酸塩には水溶性過マン
ガン酸塩が含まれる。特に、水溶性過マンガン酸塩であ
って、しかも生成する二酸化マンガンと還元処理に伴っ
て生成する副生物(金属水酸化物など)とを容易に分離
できる水溶性過マンガン酸塩、例えば、過マンガン酸カ
リウム、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸リチウ
ムなどのアルカリ金属塩などが好ましい。
【0014】本発明では、前記過マンガン酸塩を還元処
理するための還元剤として水溶性の多価カルボン酸又は
その誘導体を用いる。前記過マンガン酸塩を還元処理す
るための多価カルボン酸としては、例えば、シュウ酸、
マロン酸、コハク酸、無水コハク酸、グルタル酸、無水
グルタル酸、アジピン酸などの炭素数2〜6程度の脂肪
族飽和多価カルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコ
ン酸などの脂肪族不飽和多価カルボン酸;シクロヘキサ
ン−1,4−ジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、テ
トラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキ
サヒドロ無水フタル酸、無水ヘット酸、無水ハイミック
酸などの脂環式多価カルボン酸;フタル酸、無水フタル
酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族多価カル
ボン酸が挙げられる。これらの多価カルボン酸は単独で
又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、前記多価
カルボン酸のうち水不溶性又は難溶性多価カルボン酸
(例えば、グルタル酸、アジピン酸、イタコン酸などの
脂肪族多価カルボン酸、脂環式多価カルボン酸や芳香族
多価カルボン酸)は、後述する塩として使用することに
より水溶性多価カルボン酸塩として使用することができ
る。
【0015】好ましい多価カルボン酸には、水溶性多価
カルボン酸、特に水溶性脂肪族多価カルボン酸が含まれ
る。水溶性脂肪族多価カルボン酸は不飽和多価カルボン
酸(例えば、マレイン酸など)などであってもよいが、
水溶性飽和脂肪族多価カルボン酸、(例えば、シュウ
酸、マロン酸、コハク酸、無水コハク酸など)を用いる
場合が多い。特に好ましい多価カルボン酸にはシュウ酸
などの炭素数2〜4程度の飽和脂肪族ジカルボン酸が含
まれる。
【0016】多価カルボン酸の誘導体には、還元処理工
程で多価カルボン酸を生成させる種々の化合物、特に多
価カルボン酸の塩や低級アルキルエステルなどが含まれ
る。前記多価カルボン酸の塩としては、例えば、リチウ
ム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、カル
シウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、アン
モニウム塩などの無機塩基との塩、ジメチルアミン、ト
リメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、モルホ
リンなどの有機アミン、エタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールア
ミンなどの有機塩基との塩などが挙げられ、低級アルキ
ルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチル
エステルなどのC1-4 アルキルエステル(特にC1-2
ルキルエステル)が挙げられる。低級アルキルエステル
は、多価カルボン酸のモノアルキルエステルなどのよう
に半エステルであってもよい。これらの多価カルボン酸
の誘導体は一種又は二種以上混合して使用でき、遊離の
前記多価カルボン酸と併用してもよい。好ましい多価カ
ルボン酸の誘導体には、水溶性の多価カルボン酸誘導体
(例えば、多価カルボン酸塩や多価カルボン酸メチルエ
ステルなど)、特に水不溶物を生成させることのない多
価カルボン酸塩(例えば、アルカリ金属塩、有機塩基と
の塩など)が含まれる。
【0017】特に好ましい多価カルボン酸又はその誘導
体には、シュウ酸又はその誘導体[例えば、無水シュウ
酸、シュウ酸二水和物、アンモニウム塩(例えば、シュ
ウ酸アンモニウム、シュウ酸水素アンモニウムなど)、
アルカリ金属塩(例えば、シュウ酸リチウム、シュウ酸
水素リチウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸水素カリウ
ム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸水素ナトリウムな
ど)、有機塩基との塩(例えば、ジメチルアミン、ジエ
チルアミン、エタノールアミンなどのアミンとの塩)、
水溶性低級アルキルエステル(例えば、シュウ酸ジメチ
ルなど)]が含まれる。シュウ酸又はその誘導体は、シ
ュウ酸又はその水和物、シュウ酸塩として使用する場合
が多い。
【0018】過マンガン酸塩と、多価カルボン酸又はそ
の誘導体は、それぞれ、通常、水溶液として使用され
る。水溶液中の前記成分の濃度は、前記成分が溶解可能
な範囲でできるだけ高濃度であるのが好ましい。水溶液
中の過マンガン酸塩の濃度および多価カルボン酸又はそ
の誘導体の濃度は、生成する二酸化マンガンの活性、作
業性などを損なわない範囲で選択でき、例えば、それぞ
れ、0.2〜8モル/L(例えば、0.2〜5モル/
L)、好ましくは0.2〜3モル/L、さらに好ましく
は0.3〜1.5モル/L程度である。水溶液中の過マ
ンガン酸塩の濃度、多価カルボン酸又はその塩の濃度が
0.2モル/L未満であると、生成する二酸化マンガン
の比表面積が減少し、活性が低下する場合がある。
【0019】本発明の特色は、過マンガン酸塩に対して
比較的多くの多価カルボン酸を使用し、ニトリル水和反
応における触媒活性および選択率の高いニトリル水和用
二酸化マンガン触媒を生成させる点にある。すなわち、
多価カルボン酸の使用量は、過マンガン酸塩1モルに対
して0.5モル以上(例えば、0.5〜10モル)、好
ましくは0.6〜5モル(例えば、0.6〜4モル)、
さらに好ましくは0.8〜3モル(例えば、0.8〜
1.5モル)程度であり、0.5〜5モル程度である場
合が多い。過マンガン酸塩1モルに対する多価カルボン
酸の使用量が0.5モル未満であると、還元反応が円滑
に進行しないためか、二酸化マンガンの収率および触媒
活性が大きく低下する。なお、多価カルボン酸の使用量
が過剰である場合、還元反応が過度に進行し、2価の酸
化マンガンが生成し活性が低下する場合がある。
【0020】過マンガン酸塩の還元処理において、前記
多価カルボン酸又はその塩と共に2価のマンガン塩を併
用してもよい。2価のマンガン塩を併用することによ
り、多価カルボン酸の使用量を低減できる。前記2価の
マンガン塩には、例えば、硫酸マンガン、硝酸マンガ
ン、塩化マンガン、リン酸マンガン、炭酸マンガンなど
の無機酸塩;酢酸マンガン、シアン酸マンガン、チオシ
アン酸マンガン、スルホン酸マンガンなどの有機酸塩が
含まれる。これら2価のマンガン塩は水和物であっても
よい。2価のマンガン塩は一種又は二種以上混合して使
用できる。好ましい2価のマンガン塩には、硫酸マンガ
ン、硝酸マンガン、塩化マンガンなどの無機酸塩及びこ
れらの水和物が含まれる。2価のマンガン塩の使用量
は、過マンガン酸塩の還元反応が損なわれない範囲で選
択でき、例えば、過マンガン酸塩1モルに対して0.0
1〜10モル、好ましくは0.05〜5モル程度であ
る。
【0021】過マンガン酸塩の還元処理は、通常、液相
系で行われる。溶媒としては、通常、水性媒体、特に水
が用いられる。過マンガン酸塩と多価カルボン酸又はそ
の誘導体との反応(還元処理)は、酸性〜塩基性の広い
範囲で行なうことができるが、塩基性領域で二酸化マン
ガンを生成させると、触媒活性が低下し易い。そのた
め、前記還元処理は、酸性〜中性領域(例えばpH8以
下)、特にpH4以下の酸性領域(例えばpH2以下の
強酸性領域)で行なうのが好ましい。酸性条件下で還元
処理する場合、通常、酸(例えば、硫酸、硝酸、塩酸、
リン酸などの無機酸;酢酸、トリクロロ酢酸、トリフル
オロ酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸、p−トル
エンスルホン酸などの有機酸)を用い、酸性領域に液性
を調整される。好ましい酸には、無機酸(鉱酸)、特に
硫酸などが含まれる。
【0022】過マンガン酸塩と多価カルボン酸又はその
誘導体との反応(還元処理)は、反応効率、生成する二
酸化マンガンの活性を損なわない温度範囲で行なうこと
ができ、例えば、処理温度5〜80℃、好ましくは15
〜75℃(例えば、20〜70℃)程度で行なうことが
できる。反応温度が5℃未満では反応性の低下にともな
って還元処理に長時間を要し、80℃を越えると、還元
反応の過度の進行によるためか、2価の酸化マンガンが
副生したり、表面積が減少して二酸化マンガンの触媒活
性が低下しやすい。反応時間は、例えば、5分〜20時
間程度の範囲から適当に選択できる。
【0023】反応終了後、触媒を安定化させるため、熟
成するのが好ましい。この熟成は、反応温度よりも若干
高い温度で、数分〜数時間行うことができる。熟成は、
例えば、10〜150℃(好ましくは50〜120℃)
程度の温度で10分〜12時間程度行うことができる。
生成した二酸化マンガン触媒は、濾過などの方法により
反応混合液から分離したり、水洗、乾燥して精製して、
ニトリル水和反応に使用してもよい。
【0024】このようにして得られた二酸化マンガン触
媒は、ニトリルの水和により対応するカルボン酸アミド
を製造するためのニトリル水和用触媒として好適であ
る。本発明のカルボン酸アミドの製造方法において、反
応成分として用いるニトリルは特に制限されず、広い範
囲の化合物から選択できる。代表的なニトリルは、式
RCN 又は RCOCN で表わすことができる(式
中、Rは脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族
炭化水素基又は複素環基を示し、これらの基はさらに置
換基を有していてもよい)。ニトリルにはポリニトリル
類も含まれる。すなわち、前記脂肪族炭化水素基、脂環
式炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素環基は一価の
基に限らず、二価以上の多価基であってもよい。
【0025】前記脂肪族炭化水素基には、飽和炭化水素
基及び不飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチ
ル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシ
ルなどの炭素数1〜12(好ましくは1〜6)程度のア
ルキル基;ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロ
ペニル、2−ブテニルなどの炭素数2〜12程度のアル
ケニル基;エチニル、2−プロピニルなどの炭素数2〜
12程度のアルキニル基;及び炭素数2〜12程度のア
ルキレン基などが含まれる。
【0026】脂環式炭化水素基には、例えば、シクロプ
ロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシ
ル、シクロオクチルなどの炭素数3〜10程度のシクロ
アルキル基やこれらに対応するシクロアルキレン基など
が含まれ、芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニ
ル、ナフチルなどの炭素数6〜14程度のアリール基や
これらに対応するアリーレン基などが例示できる。
【0027】複素環基としては、例えば、窒素原子、酸
素原子及び硫黄原子から選択された少なくとも1つの原
子をヘテロ原子として含む複素環基が含まれる。複素環
基は、芳香族性複素環基、非芳香族性複素環基、縮合複
素環基のいずれであってもよい。複素環基としては、例
えば、フリル、チエニル、ピロリル、ピロリジニル、ピ
リジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピ
ペリジノ、モルホリノ、モルホリニル、キノリル基など
が例示できる。
【0028】前記Rで示されるこれらの基は、その種類
に応じて、さらに、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ア
ルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ
基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、
カルボキシル基、エステル基、アシル基、アミノ基、モ
ノまたはジ置換アミノ基、ニトロ基などの置換基を有し
ていてもよい。置換基の個数は、例えば、1〜4程度で
ある。
【0029】脂肪族ニトリルには、例えば、炭素数2〜
6の飽和又は不飽和ニトリル(アセトニトリル、プロピ
オニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バ
レロニトリル、イソバレロニトリルなどの飽和モノニト
リル類;マロニトリル、アジポニトリルなどの飽和ジニ
トリル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シ
アン化アリル、クロトンニトリルなどの不飽和ニトリル
類)などが含まれる。脂肪族ニトリルには、ピルボニト
リルなどのRCOCN(Rは前記に同じ)で表わされる
化合物も含まれる。
【0030】脂環式ニトリルには、例えば、炭素数4〜
10のニトリル(シクロペンタンカルボニトリル、シク
ロヘキサンカルボニトリルなど)などが含まれる。芳香
族ニトリルには、例えば、ベンゾニトリル、o−、m−
及びp−クロロベンゾニトリル、o−、m−及びp−フ
ルオロベンゾニトリル、o−、m−及びp−ニトロベン
ゾニトリル、o−、m−及びp−トルベンゾニトリル、
2,4−ジクロロベンゾニトリル、アニソニトリル、α
−ナフトニトリル、β−ナフトニトリルなどの芳香族モ
ノニトリル;フタロニトリル、イソフタロニトリル、テ
レフタロニトリルなどの芳香族ジニトリルなどが含まれ
る。芳香族ニトリルには、例えば、フェニルアセトニト
リル、p−ヒドロキシフェニルアセトニトリル、p−メ
トキシフェニルアセトニトリルなどのアラルキル基を有
するニトリルも含まれる。
【0031】複素環式ニトリルには、窒素原子、酸素原
子及び硫黄原子から選択された少なくとも1つの原子を
ヘテロ原子として含む5又は6員環を含む複素環基を有
するニトリル化合物、例えば、2−チオフェンカルボニ
トリル、2−フロニトリルなどのヘテロ原子として硫黄
原子又は酸素原子を含むニトリル;2−シアノピリジ
ン、3−シアノピリジン、4−シアノピリジン、シアノ
ピラジン、シアノピペリジンなどのヘテロ原子として窒
素原子を含むニトリル;5−シアノインドールなどの縮
合複素環式ニトリルなどが含まれる。また、複素環式ニ
トリルには、RCOCN(Rは複素環基を示す)で表わ
される化合物、例えば、ニコチノニトリル、イソニコチ
ノニトリルなども含まれる。
【0032】前記Rで示される脂肪族炭化水素基、脂環
式炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素環基が置換基
を有するニトリルには、例えば、アミノニトリル化合
物、シアンヒドリン化合物などが含まれる。アミノニト
リル化合物としては、例えば、アミノアセトニトリル、
α−アミノプロピオニトリル、α−アミノブチロニトリ
ルなどのα−アミノニトリル;3−アミノプロピオニト
リルなどのβ−アミノニトリルなどが挙げられる。
【0033】本発明の方法は、前記シアンヒドリン化合
物の水和に有用である。前記シアンヒドリン化合物に
は、α−シアンヒドリン化合物、β−シアンヒドリン化
合物、γ−シアンヒドリン化合物などが含まれる。シア
ンヒドリン化合物の炭素数は、例えば2〜18、好まし
くは3〜12、さらに好ましくは3〜8程度である。
【0034】α−シアンヒドリン化合物には、例えば、
一般式(I)で表わされる化合物が含まれる。
【0035】
【化2】 [式中R1 、R2 は、同一又は異なって、水素原子又は
置換基を有してもよい炭化水素基を示し、R1 とR2
隣接する炭素原子と共に環を形成してもよい。但し、R
1 とR2 は同時に水素原子ではない] 前記R1 、R2 で示される炭化水素基及びこの炭化水素
基が有していてもよい置換基は、前記Rの項で説明した
脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素
基及びこれらの置換基と同じである。好ましいR1 、R
2 には、例えば、前記Rの項で述べた炭素数1〜12
(好ましくは1〜6)程度のアルキル基、炭素数2〜1
2程度のアルケニル基、炭素数2〜12程度のアルキニ
ル基、炭素数3〜10程度のシクロアルキル基、炭素数
6〜14程度のアリール基、及びベンジル、フェネチ
ル、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−
フェニルブチル基などのC7-10アラルキル基などが含ま
れる。R1 とR2 が隣接する炭素原子と共に形成する環
としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シ
クロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シク
ロオクチル環などの炭素数3〜8程度のシクロアルカン
環などが挙げられる。
【0036】α−シアンヒドリン化合物の代表的な例と
しては、例えば、ヒドロキシアセトニトリル、ラクトニ
トリル、アセトンシアンヒドリン、2−ヒドロキシブタ
ンニトリル、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニ
トリル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタンニトリル、
2−ヒドロキシ−3−メチルブタンニトリル、2−ヒド
ロキシ−3−ブテンニトリル、2−ヒドロキシペンタン
ニトリル、2−ヒドロキシヘキサンニトリル、2−ヒド
ロキシオクタンニトリルなどの脂肪族α−シアンヒドリ
ン;2−ヒドロキシ−シクロヘキサンアセトニトリル、
シクロペンタノンシアンヒドリン、シクロヘキサノンシ
アンヒドリンなどの脂環式α−シアンヒドリン;マンデ
ロニトリル、2−ヒドロキシ−3−フェニルブタンニト
リルなどの芳香族α−シアンヒドリンなどが挙げられ
る。
【0037】前記β−シアンヒドリン化合物としては、
例えば、3−ヒドロキシプロパンニトリル、3−ヒドロ
キシブタンニトリル、3−ヒドロキシヘキサンニトリ
ル、2−ヒドロキシシクロヘキサンカルボニトリル、3
−ヒドロキシ−3−フェニルプロパンニトリルなどが例
示できる。γ−シアンヒドリン化合物としては、例え
ば、4−ヒドロキシブタンニトリル、4−ヒドロキシヘ
キサンニトリル、3−ヒドロキシヘキサンカルボニトリ
ル、4−ヒドロキシ−4−フェニルブタンニトリルなど
が挙げられる。
【0038】好ましいニトリルには、シアンヒドリン化
合物、例えば、前記式(I)で表わされる化合物などの
ように、ヒドロキシカルボン酸を得る上で有用なα−シ
アンヒドリン化合物などが含まれる。さらにシアンヒド
リン化合物のうち好ましいニトリルには、ラクトニトリ
ル、アセトンシアンヒドリン、2−ヒドロキシ−4−メ
チルチオブタンニトリルなどの炭素数3〜8程度の脂肪
族α−シアンヒドリンなどが含まれる。
【0039】なお、ニトリルがα−シアンヒドリン化合
物である場合には、α−シアンヒドリン化合物からシア
ン化水素を脱離した対応するオキソ化合物(例えば、ラ
クトニトリルに対するアセトアルデヒド;2−ヒドロキ
シ−4−メチルチオブタンニトリルに対する3−メチル
チオプロパナール)を反応系に共存させると、α−シア
ンヒドリン化合物の分解が抑制され、対応するヒドロキ
シカルボン酸アミドの収率が増大する。オキソ化合物の
添加量はα−シアンヒドリン化合物に対して、例えば、
0.1〜50モル%程度、好ましくは0.5〜30モル
%程度、さらに好ましくは1〜10モル%程度である。
【0040】ニトリルの水和反応は、例えば、ニトリル
1モルに対して水0.5〜200モル程度を用いて行う
ことができるが、水過剰系で行うのが好ましい。水和反
応における水の使用量は、例えば、ニトリル1モルに対
して1.1〜100モル程度である。なお、ニトリルの
溶解性および反応効率を高めるため、水和反応は、反応
に悪影響を及ぼさない範囲で、系内に有機溶媒(例え
ば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセ
トン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの水溶性有
機溶媒など)を添加して行うこともできる。
【0041】前記二酸化マンガン触媒の形状は特に限定
されず、粉末状、顆粒状などであってもよく、成型して
用いてもよい。成型した触媒は、固定床流通反応用触媒
などとして使用できる。反応温度は、例えば、20〜1
50℃、好ましくは30〜100℃程度である。反応温
度が20℃未満では反応時間が長くなりやすい。反応温
度が150℃を越えると脱シアン化水素反応などの副反
応が起こりやすい。反応時間は、例えば5分〜20時間
程度の範囲から選択できる。水和反応の反応形式は、固
定床式、流動床式などのいずれであってもよい。また、
反応は、回分式、流通式のいずれの方式で行うこともで
きる。反応で生成したカルボン酸アミドは、必要に応じ
て、慣用の精製方法、例えば、抽出、蒸留、再結晶、濃
縮、クロマトグラフィーなどの方法により精製すること
ができる。
【0042】本発明のカルボン酸アミドの製造方法で
は、再現性に優れ、高い触媒活性及び反応選択性を有す
るニトリル水和用二酸化マンガン触媒を用いるので、目
的とするカルボン酸アミドを、工業的規模で生産効率よ
く安定に製造できる。本発明により得られたカルボン酸
アミドは、慣用の方法、例えば加水分解反応、エステル
化反応、アミド−エステル交換反応などにより、対応す
るカルボン酸又はカルボン酸エステルに容易に変換でき
る。例えば、シアンヒドリン化合物から得られるヒドロ
キシカルボン酸アミドは、加水分解により、対応するヒ
ドロキシカルボン酸に誘導できると共に、アミド−エス
テル交換反応により対応するヒドロキシカルボン酸エス
テルに導くことができる。また、ヒドロキシカルボン酸
エステルは、前記ヒドロキシカルボン酸のエステル化に
よっても製造できる。さらに、ヒドロキシカルボン酸エ
ステルの脱水反応により、不飽和カルボン酸エステルを
得ることができる。従って、本発明のカルボン酸アミド
の製造方法は、カルボン酸及びカルボン酸エステル類、
特に、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸エ
ステル及び不飽和カルボン酸エステルなどを製造する上
で極めて有用である。
【0043】
【発明の効果】本発明の方法では、過マンガン酸塩に対
して比較的多くの多価カルボン酸を用いて還元するの
で、ニトリル水和反応に対して高い触媒活性を有する二
酸化マンガン触媒を再現性よく製造できる。ニトリル水
和用二酸化マンガン触媒は、ニトリル水和反応に対して
高い触媒活性を有するだけでなく、高い選択率でカルボ
ン酸アミドを製造する上で有用である。本発明のカルボ
ン酸アミドの製造方法では、前記二酸化マンガン触媒を
用いるので、ニトリルから対応するカルボン酸アミドを
高い収率及び選択率で製造できる。特に、硫酸触媒を用
いることなく、ニトリルの水和によりカルボン酸アミド
を製造できる。
【0044】
【実施例】以下に、実施例および比較例に基づいて本発
明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に
より限定されるものではない。 実施例1触媒調製 過マンガン酸カリウム0.0625モルを水110ml
に溶解した過マンガン酸カリウム水溶液(濃度0.57
モル/L)に、濃硫酸0.06モルを徐々に加えた後、
30℃に加熱した。この溶液に、シュウ酸0.125モ
ルを水130mlに溶解したシュウ酸水溶液(濃度0.
96モル/L)を、撹拌下、反応温度を30〜35℃に
調整しながら添加した。添加終了後、加熱し、撹拌下、
90℃で3時間で熟成した。得られたスラリーを濾過
し、濾滓を純水で硫酸根が検出されなくなるまで洗浄
し、110℃で乾燥し、粉砕することにより、黒色の二
酸化マンガン触媒(A)を得た。また、再現性を確認す
るため、上記と同様の操作を3回行い、二酸化マンガン
触媒(B)、(C)および(D)を調製した。
【0045】水和反応 得られた二酸化マンガン触媒(A)0.1gを、撹拌機
を備えた内容積50mlのガラス反応器に入れ、ラクト
ニトリル(LCN)水溶液29g(モル比:水/LCN
=64)を加え、70℃で1.5時間反応させた。そし
て、反応液中のLCN及びラクトアミドを高速液体クロ
マトグラフィーにより定量したところ、LCNの転化率
87.0%、ラクトアミドの収率86.8%、ラクトア
ミドの選択率99.8%であった。また、二酸化マンガ
ン触媒(B)、(C)および(D)について、上記と同
様にして水和反応を行ったところ。ラクトアミドの収率
は、それぞれ86.1%、86.7%及び86.7%で
あり、高い触媒活性を有する二酸化マンガン触媒を再現
性よく得ることができた。
【0046】比較例1触媒調製 過マンガン酸カリウム0.0625モルを水110ml
に溶解した過マンガン酸カリウム水溶液(濃度0.57
モル/L)を50℃に加熱した。この水溶液に、硫酸マ
ンガン0.047モルと水酸化カリウム0.088モル
を溶解した50℃の水溶液50mlを撹拌下で添加した
後、90℃で3時間撹拌して熟成した。得られたスラリ
ーを濾過し、濾滓を純水で硫酸根が検出されなくなるま
で洗浄し、110℃で乾燥し、粉砕することにより、黒
色の二酸化マンガン触媒(E)を得た。また、以上と同
様の操作を3回繰り返し、二酸化マンガン触媒(F)、
(G)および(H)を調製した。
【0047】水和反応 二酸化マンガン触媒(E)、(F)、(G)および
(H)のそれぞれについて実施例1と同様にしてLCN
の水和反応を行ったところ、ラクトアミドの収率はそれ
ぞれ5.3%、2.2%、4.9%、および3.3%で
あった。
【0048】比較例2 過マンガン酸カリウム0.0625モルを水110ml
に溶解した過マンガン酸カリウム水溶液(濃度0.57
モル/L)を50℃に加熱した。この水溶液に、硫酸ヒ
ドラジン0.125モルと水250mlとの水溶液を撹
拌下で添加した後、90℃で3時間撹拌して熟成した。
得られたスラリーを濾過し、濾滓を純水で硫酸根が検出
されなくなるまで洗浄し、110℃で乾燥し、粉砕する
ことにより、黒色の二酸化マンガン触媒を得た。そし
て、得られた二酸化マンガン触媒を用い、実施例1と同
様にしてLCNの水和反応を行ったところ、ラクトアミ
ドの収率は63%であった。
【0049】実施例2 シュウ酸0.125モルを水250mlに溶解したシュ
ウ酸水溶液(濃度0.5モル/L)を用いる以外、実施
例1と同様にして二酸化マンガン触媒を調製した。そし
て、実施例1と同様にしてLCNの水和反応を行ったと
ころ、ラクトアミドの収率は82.3%であった。
【0050】実施例3 実施例1で調製した二酸化マンガン触媒(A)1.0g
を、撹拌機を備えた内容積50mlのガラス反応器に入
れ、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニトリル
(2−ヒドロキシ−4−メチルチオブチロニトリル)水
溶液30g(モル比:水/2−ヒドロキシ−4−メチル
チオブタンニトリル=64)を加え、70℃で1.5時
間撹拌反応させた。そして、反応液中の2−ヒドロキシ
−4−メチルチオブタンニトリル及び2−ヒドロキシ−
4−メチルチオブタンアミド(2−ヒドロキシ−4−メ
チルチオブチルアミド)を高速液体クロマトグラフィー
で定量したところ、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブ
タンニトリルの転化率は100%、2−ヒドロキシ−4
−メチルチオブタンアミドの収率は99.1%、2−ヒ
ドロキシ−4−メチルチオブタンアミドの選択率は9
9.1%であった。
【0051】比較例3 二酸化マンガン触媒に代えて電解マンガン(東洋ソーダ
(株)製;銘柄:FM)1gを用いる以外、実施例3と
同様にして2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニト
リルの水和反応を行ったところ、2−ヒドロキシ−4−
メチルチオブタンアミドの収率は64%であった。
【0052】比較例4 過マンガン酸カリウム0.0625モルを水110ml
に溶解した過マンガン酸カリウム水溶液(濃度0.57
モル/L)に、濃硫酸0.06モルを徐々に加えた後、
50℃に加熱した。この溶液に、シュウ酸0.025モ
ルを水250mlに溶解したシュウ酸水溶液(濃度0.
1モル/L)を、撹拌下、反応温度を50〜52℃に調
整しながら添加した。添加終了後、加熱し、撹拌下、9
0℃で3時間で熟成した。得られたスラリーを濾過し、
濾滓を純水で硫酸根が検出されなくなるまで洗浄し、1
10℃で乾燥し、粉砕することにより、黒色の二酸化マ
ンガン触媒を得た。そして、得られた二酸化マンガン触
媒を、実施例1と同様にしてLCNの水和反応を行った
ところ、ラクトアミドの収率は39.8%であった。
【0053】比較例5 過マンガン酸カリウム0.25モルを水360mlに溶
解した過マンガン酸カリウム水溶液(濃度0.69モル
/L)に、濃硫酸0.2モルを徐々に加えた後、90℃
に加熱した。この溶液に、シュウ酸0.065モルを水
50mlに溶解したシュウ酸水溶液(濃度1.3モル/
L)を、撹拌下、反応温度を90〜92℃に調整しなが
ら添加した。添加終了後、加熱し、撹拌下、90℃で3
時間で熟成した。得られたスラリーを濾過し、濾滓を純
水で硫酸根が検出されなくなるまで洗浄し、110℃で
乾燥し、粉砕することにより、黒色の二酸化マンガン触
媒を得た。そして、得られた二酸化マンガン触媒を、実
施例3と同様にして2−ヒドロキシ−4−メチルチオブ
タンニトリルの水和反応を行ったところ、2−ヒドロキ
シ−4−メチルチオブタンアミドの収率は53.4%で
あった。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 過マンガン酸塩を多価カルボン酸又はそ
    の塩で還元処理し、二酸化マンガンを生成させる方法で
    あって、過マンガン酸塩1モルに対して水溶性多価カル
    ボン酸又はその誘導体0.5〜10モルを用いて処理す
    る二酸化マンガン触媒の製造方法。
  2. 【請求項2】 酸性条件下で処理する請求項1記載の二
    酸化マンガン触媒の製造方法。
  3. 【請求項3】 多価カルボン酸が水溶性脂肪族多価カル
    ボン酸である請求項1記載の二酸化マンガン触媒の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 水溶性脂肪族多価カルボン酸がシュウ酸
    である請求項1記載の二酸化マンガン触媒の製造方法。
  5. 【請求項5】 濃度0.2〜8モル/Lの過マンガン酸
    塩の水溶液と、濃度0.2〜8モル/Lの多価カルボン
    酸又はその誘導体の水溶液とを用いる請求項1記載の二
    酸化マンガン触媒の製造方法。
  6. 【請求項6】 濃度0.2〜5モル/Lの過マンガン酸
    アルカリ金属塩の水溶液と、濃度0.2〜5モル/Lの
    水溶性脂肪族多価カルボン酸又はその塩の水溶液とを、
    過マンガン酸アルカリ金属塩に対する水溶性脂肪族多価
    カルボン酸又はその塩のモル比0.5〜5で用い、温度
    5〜80℃で反応させる二酸化マンガン触媒の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかの項に記載の触
    媒の存在下、ニトリルを水和するカルボン酸アミドの製
    造方法。
  8. 【請求項8】 ニトリルがシアンヒドリン化合物である
    請求項7記載のカルボン酸アミドの製造方法。
  9. 【請求項9】 シアンヒドリン化合物が、一般式(I) 【化1】 [式中R1 、R2 は、同一又は異なって、水素原子又は
    置換基を有してもよい炭化水素基を示し、R1 とR2
    隣接する炭素原子と共に環を形成してもよい。但し、R
    1 とR2 は同時に水素原子ではない]で表されるα−シ
    アンヒドリン化合物である請求項8記載のカルボン酸ア
    ミドの製造方法。
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