JPH10128113A - 二酸化マンガン触媒とその製造方法、及びそれを用いたカルボン酸アミドの製造方法 - Google Patents

二酸化マンガン触媒とその製造方法、及びそれを用いたカルボン酸アミドの製造方法

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JPH10128113A
JPH10128113A JP8286525A JP28652596A JPH10128113A JP H10128113 A JPH10128113 A JP H10128113A JP 8286525 A JP8286525 A JP 8286525A JP 28652596 A JP28652596 A JP 28652596A JP H10128113 A JPH10128113 A JP H10128113A
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manganese dioxide
permanganate
dioxide catalyst
reducing agent
producing
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Kazuyuki Matsuoka
一之 松岡
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ニトリル水和反応に対して高活性でしかも安
定性の高い二酸化マンガン触媒を得る。 【解決手段】 二酸化マンガン触媒は、細孔半径30n
m以下の細孔の全細孔容積V(ml/g)に対する細孔
半径2〜7nmの細孔の細孔容積V1 (ml/g)の割
合V1 /Vが0.85〜1である。この触媒の比表面積
は150〜500m2 /g程度である。前記触媒は、過
マンガン酸塩と還元剤とを合流混合して反応させること
により製造できる。合流混合する際の還元剤の供給量
は、過マンガン酸塩1モルに対して0.2〜5モル程度
であり、反応温度は10〜150℃程度である。前記触
媒は、過マンガン酸塩供給ライン1、還元剤供給ライン
2及びこれらの供給ラインからそれぞれ供給される過マ
ンガン酸塩と還元剤とを合流混合する反応器3とを有す
る製造装置により製造できる。この触媒は、シアンヒド
リン化合物などのニトリルを水和して対応するカルボン
酸アミドを製造するための触媒として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高活性でしかも安
定な酸化マンガン触媒とその製造方法および製造装置、
並びにそれを用いたカルボン酸アミドの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ニトリルの水和反応により対応するカル
ボン酸アミドを製造することができる。この水和反応
は、例えば、アクリルニトリルからアクリルアミドを製
造する方法、シアンヒドリン化合物からヒドロキシカル
ボン酸アミドを経由して、ヒドロキシカルボン酸、ヒド
ロキシカルボン酸エステルまたは不飽和カルボン酸エス
テルなどを製造する方法に利用できる重要な反応であ
る。
【0003】ニトリルの水和反応を利用してカルボン酸
を製造する方法として、硫酸触媒の存在下、ニトリルの
水和反応により生成するカルボン酸アミドを経由してカ
ルボン酸を製造する方法(硫酸法)が知られている。
【0004】しかし、この硫酸法では、下記式(1)に
示されるように、重硫酸アンモニウムが副生するため、
その副生物の処理設備を必要とする。そのため、硫酸法
では、高い作業効率で経済的にカルボン酸を製造するの
が困難である。従って、硫酸触媒を用いることなくニト
リルを水和してカルボン酸アミドを製造し得る方法が望
まれている。
【0005】 RCN+H2 SO4 +H2 O→RCONH2 ・H2 SO4 RCONH2 ・H2 SO4 +H2 O→RCOOH+NH4 HSO4 (1) 一方、酸化マンガンが、ニトリルの水和反応や、一酸化
炭素、炭化水素の酸化反応等の触媒として用いられるこ
とが知られている。触媒学会編、「元素別触媒便覧」
(地知書館発行)には、高活性な酸化マンガン触媒を得
る方法として、過マンガン酸カリウムを硝酸で分解す
る方法、沈殿酸化物を硝酸で処理する方法、硫酸マ
ンガンを硝酸中で過マンガン酸カリウムにより酸化する
方法、沈殿Mn(OH)2 を酸化する方法などが記載
されている。また、工業的な二酸化マンガン触媒の製造
法としては、炭酸マンガン鉱石を硫酸で抽出して得られ
る硫酸マンガン−硫酸液を電解する方法(電解法)が知
られている。
【0006】さらに、Bull. Chem. Soc. Jpn., 59, 29
83〜2989(1986 年) 及びChemistryLetters, 183〜186(1
982年) には、ニトリル水和用の二酸化マンガン触媒に
関し、触媒活性は調製法により異なり、上記電解法によ
り製造した二酸化マンガンが最も高い活性を示すことが
記載されている。特開昭63−53535号公報には、
二酸化マンガンの調製は一般に難しく、得られた二酸化
マンガンの触媒活性がバッチ毎に異なるため、再現性の
ある触媒活性を有する二酸化マンガン触媒を調製するた
めには特別な熟練を必要とすることが記載されている。
【0007】また、特開昭55−222号公報には、中
性からアルカリ性条件下、20〜100℃で7価のマン
ガンを還元して二酸化マンガンを得る方法が記載されて
いる。米国特許第3366639号明細書には、等量の
硫酸マンガンと過マンガン酸カリウムとを、小過剰の水
酸化ナトリウムの存在下、80℃に加熱する方法が開示
されている。特開昭55−87749号公報には、硝酸
マンガンの熱分解による二酸化マンガンの製造法が開示
され、特開昭55−98146号公報には、炭酸マンガ
ンの熱分解による二酸化マンガンの製造法が開示されて
いる。また、特開平3−68447号公報には、過マン
ガン酸塩と2価のマンガン化合物とを酸性水溶液中、6
0〜150℃で反応させる方法が開示されている。さら
に、特開平6−269666号公報には、過マンガン酸
塩をヒドラジン類またはヒドロキシカルボン酸で還元す
る方法が開示されており、高表面積の二酸化マンガンが
高い活性を有することが記載されている。しかし、これ
らの方法で得られる触媒も、工業的観点からすると、触
媒活性及び反応選択性の点で未だ充分でない場合が多
い。
【0008】また、上記方法のうち、過マンガン酸塩を
還元して二酸化マンガン触媒を得る方法では、いずれ
も、過マンガン酸塩及び還元剤の何れか一方の成分を他
方の成分に添加するバッチ式反応方法が採用されてい
る。しかし、このようなバッチ式反応方法では、一方の
成分の添加初期から添加終了時までの間、反応系におけ
る両成分の比率が絶えず変化し、反応雰囲気が一定しな
い。そのため、過マンガン酸塩の還元反応が一定条件下
で進行せず、種々の結晶粒子径を有する二酸化マンガン
が生成し、一定の細孔構造を有する二酸化マンガン触媒
を再現性よく得ることができない。そして、上記方法に
より得られる二酸化マンガン触媒は、一般に安定性に乏
しく触媒寿命が短い。なお、前記特開平3−68447
号公報の実施例には、過マンガン酸カリウム水溶液に硫
酸酸性硫酸マンガン水溶液を70℃で可及的速やかに注
加して撹拌する方法が採用されている。しかし、このよ
うな方法では、製造スケールが大きくなると、反応器の
形状、移液設備、撹拌装置、反応熱の除去方法、反応時
における発生ガスの急激な発泡等の問題から、反応成分
の添加速度、撹拌速度に自ずから限度があり、工業的規
模で実施することは極めて困難である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、高活性でしかも安定性の高い二酸化マンガン触
媒と、その製造方法及び製造装置を提供することにあ
る。
【0010】本発明の他の目的は、ニトリルの水和反応
に対して高い触媒活性を長期間保持でき、カルボン酸ア
ミドを効率よく製造できる二酸化マンガン触媒と、その
製造方法及び製造装置を提供することにある。
【0011】本発明のさらに他の目的は、反応成分であ
る過マンガン酸塩と還元剤とを短時間で均一に混合で
き、反応を速やかに完結させることのできる二酸化マン
ガン触媒の製造方法及び製造装置を提供することにあ
る。
【0012】本発明の別の目的は、高活性な二酸化マン
ガン触媒を、簡易な設備により、再現性よく、しかも工
業的に高い生産効率で製造できる二酸化マンガン触媒の
製造方法及び製造装置を提供することにある。
【0013】本発明のさらに別の目的は、ニトリルから
対応するカルボン酸アミドを高い収率及び選択率で製造
できる方法を提供することにある。
【0014】本発明のさらに他の目的は、硫酸触媒を用
いることなく、ニトリルの水和により、カルボン酸アミ
ドを製造できる方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討した結果、特定の細孔分布を有
する二酸化マンガン触媒が高活性で、しかも安定性が高
く触媒寿命が長いこと、及びこのような触媒は、過マン
ガン酸塩と還元剤とを合流混合することにより簡易に得
られることを見出だし、本発明を完成した。
【0016】すなわち、本発明は、細孔半径30nm以
下の細孔の全細孔容積V(ml/g)に対する細孔半径
2〜7nmの細孔の細孔容積V1 (ml/g)の割合V
1 /Vが0.85〜1である二酸化マンガン触媒を提供
する。好ましい触媒では、前記細孔容積Vが0.2〜2
ml/gである。また、触媒の比表面積は150〜50
0m2 /g程度である。
【0017】本発明は、また、過マンガン酸塩と還元剤
とを合流混合して反応させ、二酸化マンガンを生成させ
る二酸化マンガン触媒の製造方法を提供する。この方法
において、過マンガン酸塩に対する還元剤の割合は、過
マンガン酸塩1モルに対して0.2〜5モル程度であ
る。
【0018】本発明は、さらに、過マンガン酸塩と還元
剤とを反応させて二酸化マンガン触媒を製造する装置で
あって、過マンガン酸塩供給ライン、還元剤供給ライ
ン、及び前記過マンガン酸塩供給ライン及び還元剤供給
ラインよりそれぞれ供給される過マンガン酸塩と還元剤
とを合流混合する反応器とを有する二酸化マンガン触媒
製造装置を提供する。前記反応器には、ラインミキサ
ー、ホモジナイザーなどが含まれる。
【0019】本発明は、さらにまた、前記二酸化マンガ
ン触媒の存在下、ニトリルを水和するカルボン酸アミド
の製造方法を提供する。前記ニトリルとしてシアンヒド
リン化合物などが使用できる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、必
要に応じて図面を参照しつつ説明する。なお、本発明中
の「二酸化マンガン触媒」は、α型、β型、γ型、δ型
などの結晶構造を問わず、化学量論的に、MnO2 〜M
nO1.7 程度の範囲にある二酸化マンガン触媒を意味す
る。
【0021】本発明の二酸化マンガン触媒は、細孔半径
2〜7nmという特定の細孔半径を持つ細孔の割合が極
めて大きいという特徴を有する。すなわち、本発明の二
酸化マンガン触媒は、細孔半径30nm以下の細孔の全
細孔容積V(ml/g)に対する細孔半径2〜7nmの
細孔の細孔容積V1 (ml/g)の割合V1 /Vが0.
85〜1であり、好ましくは0.9〜1程度である。
【0022】前記細孔半径及び細孔容積(細孔分布)
は、触媒の細孔分布を得る際に通常用いられる窒素吸着
法(脱着法)により求めることができる。上記窒素吸着
法による細孔分布の測定は、例えば、コールター株式会
社製のOMNISORP360型の細孔容積測定装置な
どにより行うことができる。
【0023】前記細孔半径30nm以下の細孔の全細孔
容積Vに対する、細孔半径2〜7nmの細孔の細孔容積
1 の割合V1 /Vが0.85未満では、触媒活性と熱
安定性を両立させることができない。例えば、細孔半径
2nm未満の細孔が多い触媒では、通常、比表面積が大
きく初期活性は比較的高いものの、熱安定性が低く、活
性低下が著しい。そのため、長期間の使用に耐えない。
一方、細孔半径が7nmを越える細孔が多い触媒では、
熱安定性は向上するものの、活性が低い。
【0024】細孔半径30nm以下の細孔の全細孔容積
Vは、触媒活性を損なわない範囲であればよく、通常
0.2ml/g以上(例えば、0.2〜2ml/g程
度)、好ましくは0.3ml/g以上(例えば、0.3
〜1.5ml/g程度)、さらに好ましくは0.35m
l/g以上(例えば、0.35〜1ml/g程度)であ
る。また、二酸化マンガン触媒の比表面積は、通常15
0m2 /g以上(例えば150〜500m2 /g程
度)、好ましくは200〜500m2 /g、さらに好ま
しくは220〜400m2 /g程度である。
【0025】二酸化マンガン触媒は、結晶の成長が少な
く、しかも均一な粒径を有するのが好ましい。二酸化マ
ンガン触媒の平均粒径は、例えば0.1〜5μm、好ま
しくは0.5〜3μm程度である。
【0026】本発明の触媒は、前記特定の細孔分布を有
するため、触媒活性及び反応選択性に優れるだけでな
く、高い熱安定性を有し、触媒寿命が長い。そのため、
ニトリルの水和反応や、一酸化炭素、炭化水素の酸化反
応等の触媒として好適に使用できる。特に、ニトリルの
水和反応に対して高い活性及び選択性を長期間に亘って
維持できる。
【0027】本発明の二酸化マンガン触媒は、例えば、
下記の製造装置及び製造方法により製造することができ
る。
【0028】図1は、本発明の二酸化マンガン触媒製造
装置の一例を示す概略図である。この製造装置は、過マ
ンガン酸塩供給ライン1と、還元剤供給ライン2と、前
記供給ライン1及び2よりそれぞれ供給される過マンガ
ン酸塩と還元剤とを合流混合して反応させる管形の反応
器3と、反応器3より反応混合液を流出させる反応混合
液流出ライン4と、前記反応混合液流出ライン4を通じ
て供給される反応混合液を熟成するための熟成槽5と、
熟成槽5で熟成された熟成混合液を流出させる熟成混合
液流出ライン6とを有する。反応器3及び熟成槽5に
は、それぞれ冷却液又は熱媒を流通させる熱交換設備、
例えばジャケットが備えられている。また、熟成槽5に
は撹拌翼が備えられている。
【0029】反応器3の形状は、過マンガン酸塩と還元
剤とを合流混合可能であれば特に限定されず、上記管形
反応器のほか、槽形反応器等であってもよい。反応器
は、通常の静置式混合器であってもよく、撹拌手段を備
えた混合器であってもよい。撹拌手段としては、慣用の
撹拌手段、例えば、撹拌翼、邪魔板などの邪魔物、オリ
フィス、ジェットなどを使用できる。なお、管形反応
器、特に内径の小さい管形反応器では、必ずしも撹拌手
段を備えていなくてもよい。
【0030】好ましい反応器としては、合流液を短時間
で均一に混合できる反応器、例えば、ラインミキサー、
ホモジナイザーなどが挙げられる。このような反応器で
は、短時間で反応を完了させることができるので、反応
生成物を連続的に生産効率よく製造できる。
【0031】上記製造装置では、過マンガン酸塩供給ラ
インと、還元剤供給ラインと、前記2つの反応成分を合
流混合して反応させる反応器を有しているので、両成分
を適切な量比で接触させて反応させることができる。こ
の製造装置は、過マンガン酸塩と還元剤とから、前記本
発明の二酸化マンガン触媒を再現性よく且つ効率よく製
造できる。
【0032】以下、上記製造装置を用いて、二酸化マン
ガン触媒を製造する方法について説明する。
【0033】二酸化マンガン触媒は、通常、過マンガン
酸塩と還元剤とをそれぞれ反応器内に供給して合流混合
し、反応させる反応工程と、反応混合液を流出させる流
出工程と、生成した二酸化マンガンを回収する回収工程
とを経て製造される。
【0034】上記過マンガン酸塩供給ライン1より供給
する過マンガン酸塩としては、過マンガン酸リチウム、
過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウムなどの
アルカリ金属塩;過マンガン酸マグネシウム、過マンガ
ン酸カルシウム、過マンガン酸バリウムなどのアルカリ
土類金属塩;アンモニウム塩として過マンガン酸アンモ
ニウムなどが挙げられる。これらの過マンガン酸塩は水
和物であってもよい。過マンガン酸塩は、通常7価のも
のが使用される。前記過マンガン酸塩は単独で用いても
よく、また2種以上を併用してもよい。
【0035】好ましい過マンガン酸塩には、水溶性過マ
ンガン酸塩が含まれる。なかでも、水溶性の過マンガン
酸塩であって、しかも還元剤との反応の際に副生する金
属水酸化物が水溶性であり、生成する二酸化マンガンと
容易に分離できる過マンガン酸塩、例えば、過マンガン
酸リチウム、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カ
リウムなどのアルカリ金属塩、特に過マンガン酸カリウ
ムなどが好ましい。
【0036】前記還元剤供給ライン2より供給する還元
剤としては、過マンガン酸塩を還元可能な種々の化合物
を使用でき、無機化合物、有機化合物又はこれらの混合
物の何れであってもよい。前記還元剤には、2価のマン
ガン化合物、ハロゲン化水素酸、過硫酸塩、亜硫酸塩、
チオ硫酸塩、ヒドラジン類、ヒドロキシアミン類、アル
コール類、フェノール類、カルボン酸類、ヒドロキシカ
ルボン酸類、アルデヒド類などが含まれる。
【0037】2価のマンガン化合物として、硫酸マンガ
ン、硝酸マンガン、塩化マンガン、リン酸マンガン、炭
酸マンガンなどの無機酸塩;酢酸マンガン、シアン酸マ
ンガン、チオシアン酸マンガンなどの有機酸塩などの2
価のマンガン塩等が挙げられる。これらの2価のマンガ
ン化合物は水和物であってもよい。ハロゲン化水素酸と
して、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸などが挙げられ
る。過硫酸塩には、過硫酸アンモニウム;過硫酸カリウ
ム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸アルカリ金属塩等が
含まれる。亜硫酸塩には、亜硫酸アンモニウム;亜硫酸
カリウム、亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸アルカリ金属
塩等が含まれる。チオ硫酸塩には、チオ硫酸アンモニウ
ム;チオ硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウムなどのチオ
硫酸アルカリ金属塩等が含まれる。ヒドラジン類とし
て、ヒドラジン;塩酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、酢
酸ヒドラジンなどのヒドラジンの塩等が挙げられる。ヒ
ドロキシアミン類として、ヒドロキシアミン;ヒドロキ
シアミン塩酸塩、ヒドロキシアミン硫酸塩、ヒドロキシ
アミン酢酸塩などのヒドロキシアミンの塩等が挙げられ
る。
【0038】アルコール類には、1価アルコール及び多
価アルコールが含まれる。1価アルコールとして、メタ
ノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノー
ル、アリルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコ
ール、シクロヘキサノールなどが挙げられる。1価アル
コールの炭素数は、例えば1〜10、好ましくは1〜
6、さらに好ましくは1〜4程度である。多価アルコー
ルとして、エチレングリコール、1,2−プロパンジオ
ール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオ
ール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、
ポリエチレングリコール、シクロペンテン−1,2−ジ
オールなどの2価アルコール;グリセリン、トリメチロ
ールプロパンなどの3価アルコール;ペンタエリトリッ
トなどの4価アルコール;キシリットなどの5価アルコ
ール;ソルビット、マンニットなどの6価アルコールな
どが挙げられる。多価アルコールの炭素数は、例えば2
〜10程度、好ましくは2〜6程度である。
【0039】フェノール類には、フェノール、クレゾー
ルなどの一価フェノール;ハイドロキノン、レゾルシノ
ールなどの多価フェノール;及びこれらの塩(例えば、
カリウム塩、ナトリウム塩などのアルカリ金属塩など)
が含まれる。フェノール類の炭素数は、例えば6〜10
程度である。
【0040】カルボン酸類には、1価カルボン酸、多価
カルボン酸、及びこれらの塩(カリウム塩、ナトリウム
塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩などの無機塩
基との塩;ジメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピ
リジン塩などの有機塩基との塩など)が含まれる。1価
カルボン酸として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、アクリ
ル酸、安息香酸などが例示される。1価カルボン酸の炭
素数は、例えば1〜10、好ましくは1〜4程度であ
る。多価カルボン酸として、シュウ酸、マロン酸、コハ
ク酸、無水コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリ
ン酸、フタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。多価
カルボン酸の炭素数は、例えば2〜12、好ましくは2
〜6、さらに好ましくは2〜4程度である。
【0041】ヒドロキシカルボン酸類には、グリコール
酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸な
どのヒドロキシカルボン酸、及びこれらの塩(カリウム
塩、ナトリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム
塩などの無機塩基との塩;ジメチルアミン塩、トリエチ
ルアミン塩、ピリジン塩などの有機塩基との塩など)等
が含まれる。ヒドロキシカルボン酸類の炭素数は、例え
ば1〜10、好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜
4程度である。
【0042】アルデヒド類としては、ホルムアルデヒ
ド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、フェニ
ルアセトアルデヒド等が挙げられる。また、アルデヒド
類には、グルコース、スクロースなどのヘミアセタール
基を有する糖類も含まれる。アルデヒド類の炭素数は、
例えば1〜12、好ましくは1〜6、さらに好ましくは
1〜4程度である。上記還元剤は1種で又は2種以上混
合して用いることができる。
【0043】還元剤は、水系で反応を円滑に進行させる
ため、水溶性であるのが好ましい。前記還元剤のなかで
も、2価のマンガン化合物、ハロゲン化水素酸、ヒドラ
ジン又はその塩、多価アルコール、多価カルボン酸又は
その塩、ヒドロキシカルボン酸又はその塩などが好まし
い。さらに好ましい還元剤には、2価のマンガン化合物
(例えば、硫酸マンガンなどの2無機酸塩;酢酸マンガ
ンなどの有機酸塩等の2価のマンガン塩)、多価カルボ
ン酸又はその塩(例えば、シュウ酸などの炭素数2〜4
程度のジカルボン酸又はその塩)などが含まれる。特
に、硫酸マンガンなどの2価のマンガン化合物を用いる
場合が多い。
【0044】過マンガン酸塩及び還元剤は、それぞれ反
応器3に、通常、連続的に供給する。なお、「連続的」
とは、実質的に連続的であればよく、過マンガン酸塩溶
液及び還元剤溶液を滴下ロートで滴下したり、プランジ
ャー式ポンプ等により所定のストロークで供給する場合
など間欠的に供給する場合も含まれる。過マンガン酸塩
及び還元剤をそれぞれ連続的に供給することにより、両
成分を一定の反応雰囲気下で反応させることができ、安
定性に優れ且つ品質にバラツキの小さい二酸化マンガン
触媒を生産効率よく得ることができる。
【0045】過マンガン酸塩と還元剤は、通常、それぞ
れ、過マンガン酸塩溶液及び還元剤溶液、好ましくは水
溶液として使用される。過マンガン酸塩溶液及び還元剤
溶液中の前記成分の濃度は、前記成分が溶解可能な範囲
で適宜選択できる。過マンガン酸塩溶液の濃度は、例え
ば0.1〜8モル/L、好ましくは0.2〜6モル/
L、さらに好ましくは0.3〜3モル/L(例えば0.
4〜2モル/L)程度であり、還元剤溶液の濃度は、例
えば0.1〜8モル/L、好ましくは0.3〜6モル/
L、さらに好ましくは0.5〜5モル/L(例えば0.
6〜3モル/L)程度である。過マンガン酸塩溶液の濃
度、還元剤溶液の濃度が低すぎると、触媒活性が低下す
る場合がある。また、逆に、過マンガン酸塩溶液の濃
度、還元剤溶液の濃度が高すぎると、触媒寿命が短くな
る場合がある。
【0046】過マンガン酸塩と還元剤との供給モル比
は、還元剤等の種類により異なるが、通常、過マンガン
酸塩1モルに対して、還元剤を0.2〜5モル、好まし
くは0.3〜3モル、さらに好ましくは0.4〜2.5
モル、特に好ましくは0.5〜2モル程度供給する。過
マンガン酸塩と還元剤の供給割合を前記範囲内に設定す
ると、二酸化マンガン触媒の安定性や触媒寿命を著しく
向上できる。なお、過マンガン酸塩に対する還元剤の供
給割合が低すぎると、二酸化マンガンの生産性が低くな
り、濾過性も低下しやすくなる。
【0047】過マンガン酸塩と還元剤との反応は、酸性
〜塩基性の広い範囲で行うことができるが、塩基性領域
で二酸化マンガンを生成させると、触媒活性及び反応選
択性が低下しやすい。そのため、前記反応は、酸性〜中
性領域(例えばpH8以下)、特にpH4以下の酸性領
域(例えばpH2以下の強酸性領域)で行うのが好まし
い。酸性領域下で反応を行う場合、通常、酸(例えば、
硫酸、硝酸、塩酸、リン酸などの無機酸;酢酸、プロピ
オン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸な
どの有機酸)を用いて液性を酸性領域に調整される。好
ましい酸には、無機酸、特に硫酸が含まれる。
【0048】前記酸は、過マンガン酸塩及び還元剤とは
別個に反応器に供給してもよいが、前記過マンガン酸塩
溶液及び還元剤溶液の少なくとも一方の溶液に含有させ
て反応器に供給するのが好ましい。
【0049】前記酸の供給量は、反応系の液性を酸性領
域に調整できる範囲で適宜選択でき、過マンガン酸塩1
モルに対して、通常0.2〜8モル、好ましくは0.3
〜6モル、さらに好ましくは0.5〜4モル程度であ
る。また、酸として硫酸を使用する場合、還元剤(例え
ば硫酸マンガン)中の硫酸根と硫酸の総和を、過マンガ
ン酸塩1モルに対して、例えば0.4〜6モル、特に
0.5〜4モル(例えば0.6〜3.5モル)程度に設
定すると、触媒の活性及び反応選択性が大幅に向上す
る。
【0050】過マンガン酸塩と還元剤とを合流混合する
と、両成分が反応して、二酸化マンガンが生成する。反
応温度は、還元剤の種類等により異なるが、通常10〜
150℃、好ましくは20〜120℃、さらに好ましく
は30〜100℃、特に好ましくは40〜60℃程度で
ある。反応温度が低すぎると、反応速度が低下しやす
く、逆に高すぎると、触媒の比表面積が低下しやすい。
【0051】本発明の方法において、過マンガン酸塩と
還元剤とを瞬時に均一に混合する、すなわち、両成分を
合流とともに均質混合するのが好ましい。
【0052】反応域[反応器(合流混合器)と熟成槽]
における滞留時間は、触媒活性に悪影響を与えない範囲
で適宜選択でき、数秒から10時間(例えば1秒〜10
時間程度)、好ましくは1秒〜5時間程度、さらに好ま
しくは1秒〜3時間程度である。なお、前記反応域に
は、例えば菅形反応器において、二酸化マンガンの生成
反応が実質的に終了している領域は含まれない。前記反
応域における滞留時間が短すぎると反応が完結しにく
く、長すぎると、結晶が成長して触媒活性が低下する場
合がある。本発明の方法では、反応が短時間で実質的に
完了するので、反応器(合流混合器)ではさほど長い滞
留時間を要しない。反応器(合流混合器)における滞留
時間は、反応温度、反応器の型や合流液の混合状態で異
なるが、通常、数秒から5分程度(例えば1秒〜5分程
度)、好ましくは1秒〜3分程度、さらに好ましくは1
秒〜1分程度である。また、反応器(合流混合器)の条
件により必ずしも熟成槽は必要としない。上記のよう
に、本発明の方法では、滞留時間を短くできるので、槽
形反応器を用いる場合であっても、反応容積を小さくで
き、大きな撹拌設備を必要としない。
【0053】生成した二酸化マンガン触媒は、濾過、遠
心分離などにより反応混合液から分離し、水洗、乾燥す
ることにより回収できる。こうして得られる二酸化マン
ガン触媒は、前記特定の細孔分布を有している。そのた
め、触媒活性が高く、しかも安定性が高い。また、上記
方法では、結晶の成長が抑制されており、アモルファス
粒子として得られる場合が多い。
【0054】本発明の二酸化マンガン触媒の製造方法で
は、本発明の前記二酸化マンガン触媒を簡易な設備及び
操作により容易に製造できる。また、一方の成分を入れ
た反応器に他方の成分を添加する従来の方法のように、
両成分の量比が時間と共に変化するのと異なり、両成分
を常に適切な量比で反応させることができるため、高品
質の二酸化マンガン触媒を再現性よく製造できる。
【0055】また、前記成分を合流混合するので、工業
的な規模であっても、過マンガン酸塩と還元剤とを短時
間で均一に混合できるとともに、反応温度をさほど高く
しなくても短時間で反応を完結させることができる。さ
らに、短時間で反応を完結でき、しかも前記成分を連続
的に反応させることができるので、一定の品質の触媒を
高い生産効率で製造できる。さらにまた、反応を連続式
で行うことができることから、酸素の発生速度を一定の
速度に調整できるので、特に、脱気用の設備を必要とせ
ず、運転上も安全である。また、運転時間の長短により
生産量の調整を容易に行うことができる。
【0056】本発明のカルボン酸アミドの製造におい
て、反応成分として用いるニトリルは特に、制限され
ず、広い範囲の化合物から選択できる。代表的なニトリ
ルは、式RCN又はRCOCNで表すことができる(式
中、Rは脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族
炭化水素基、又は複素環基を示し、これらの基はさらに
置換基を有していてもよい)。ニトリルには、ポリニト
リル類も含まれる。すなわち、前記脂肪族炭化水素基、
脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、又は複素環基は
1価の基に限らず、2価以上の多価基であってもよい。
前記脂肪族炭化水素基には、飽和炭化水素基および不飽
和炭化水素基、例えば、メチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペ
ンチル、ヘキシル、オクチル、デシル等の炭素数1〜1
2(好ましくは1〜6)程度のアルキル基;ビニル、ア
リル、1−プロペニル、イソプロペニル、2−ブテニル
などの炭素数2〜12程度のアルケニル基;エチニル、
2−プロピニルなどの炭素数2〜12程度のアルキニル
基;炭素数1〜12程度のアルキレン基などが含まれ
る。
【0057】脂環式炭化水素基には、例えば、シクロプ
ロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキチ
ル、シクロオクチルなどの炭素数3〜10程度のシクロ
アルキル基やこれらに対応するシクロアルキレン基など
が含まれ、芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニ
ル、ナフチルなどの炭素数6〜14程度のアリール基や
これらに対応するアリーレン基などが例示できる。
【0058】複素環基としては、例えば、窒素原子、酸
素原子及び硫黄原子から選択された少なくとも1つの原
子をヘテロ原子として含む複素環が含まれる。複素環基
は、芳香族性複素環基、非芳香族性複素環基、縮合複素
環基のいずれであってもよい。複素環基としては、例え
ば、フリル、チエニル、ピロリル、ピロリジニル、ピリ
ジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピペ
リジノ、モルホリノ、モリホリニル、キノリル基などが
例示できる。
【0059】Rで示されるこれらの基は、さらに、ハロ
ゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ
基、アリールオキシ基、メルカプト基、アルキルチオ
基、アリールチオ基、カルボキシル基、エステル基、ア
シル基、アミノ基、モノ又はジ置換アミノ基、ニトロ基
などの置換基を有していてもよい。置換基の個数は、例
えば、1〜4程度である。
【0060】脂肪族ニトリルには、例えば、炭素数2〜
6の飽和又は不飽和ニトリル(アセトニトリル、プロピ
オニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バ
レロニトリル、イソバレロニトリルなどの飽和モノニト
リル;マロンニトリル、アジポニトリルなどの飽和ジニ
トリル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、シ
アン化アリル、クロトンニトリルなどの不飽和ニトリル
類などが含まれる。脂肪族ニトリルには、ピルボニトリ
ルなどの、RCOCN(Rは前記と同じ)で表わされる
化合物も含まれる。
【0061】脂環式ニトリルには、例えば、炭素数4〜
10のニトリル(シクロペンタンカルボニトリル、シク
ロヘキサンカルボニトリル)などが含まれる。
【0062】芳香族ニトリルには、例えば、ベンゾニト
リル、o−,m−,及びp−クロロベンゾニトリル、o
−,m−,及びp−フルオロベンゾニトリル、o−,m
−,及びp−ニトロベンゾニトリル、o−,m−,及び
p−トルベンゾニトリル、2,4−ジクロロベンゾニト
リル、アニソニトリル、α−ナフトニトリル、β−ナフ
トニトリルなどの芳香族モノニトリル、フタロニトリ
ル、イソフタロニトリル、テレフタロニトリルなどの芳
香族ジニトリルなどが含まれる。芳香族ニトリルには、
例えば、フェニルアセトニトリル、p−ヒドロキシフェ
ニルアセトニトリル、p−メトキシフェニルアセトニト
リルなどのアラルキル基を有するニトリルも含まれる。
【0063】複素環式ニトリルには、窒素原子、酸素原
子及び硫黄原子から選択された少くとも1つの原子をヘ
テロ原子として含む5又は6員環を含む複素環基を有す
るニトリル化合物、例えば、2−チオフェンカルボニト
リル、2−フロニトリルなどのヘテロ原子として硫黄原
子又は酸素原子を含むニトリル;2−シアノピリジン、
3−シアノピリジン、4−シアノピリジン、シアノピラ
ジン、シアノピペラジン、シアノピペリジンなどのヘテ
ロ原子として窒素原子を含むニトリル;5−シアノイン
ドールなどの縮合複素環式ニトリルなどが含まれる。ま
た、複素環式ニトリルには、RCOCN(Rは複素環基
を示す)で表わされる化合物、例えば、ニコチノニトリ
ル、イソニコチノニトリルなども含まれる。
【0064】前記で示される脂肪族炭化水素基、脂環式
炭化水素基、芳香族炭化水素基、又は複素環基が置換基
を有するニトリルには、例えば、アミノニトリル化合
物、シアンヒドリン化合物などが含まれる。アミノニト
リル化合物としては、例えば、アミノアセトニトリル、
α−アミノプロピオニトリル、α−アミノブチルニトリ
ルなどのα−アミノニトリル;3−アミノプロピオニト
リルなどのβ−アミノニトリルなどが挙げられる。
【0065】前記シアンヒドリン化合物としては、α−
シアンヒドリン化合物、β−シアンヒドリン化合物、γ
−シアンヒドリン化合物などが含まれる。シアンヒドリ
ン化合物の炭素数は、例えば2〜18、好ましくは3〜
12、さらに好ましくは3〜8程度である。α−シアン
ヒドリン化合物としては、例えば、一般式(I)
【0066】
【化2】 [式中R1 ,R2 は、同一または異なって、水素原子ま
たは置換基を有してもよい炭化水素基を示し、R1 ,R
2 は、隣接する炭素原子と共に環を形成してもよい。但
し、R1 ,R2 は、同時に水素原子ではない]で表わさ
れる化合物が例示できる。
【0067】前記R1 ,R2 で示される炭化水素基、及
びこの炭化水素基が有していてもよい置換基としては、
前記Rについての説明箇所で述べた脂肪族炭化水素基、
脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基及びこれらの基が
有していてもよい置換基などが挙げられる。好ましい、
1 、R2 には、例えば、前記Rの説明で述べた炭素数
1〜12(好ましくは1〜6)程度のアルキル基,炭素
数2〜12程度のアルケニル基、炭素数2〜12程度の
アルキニル基、炭素数3〜10程度のシクロアルキル
基、炭素数6〜14程度のアリール基、及びフェニルメ
チル、2−フェニルエチル、1−フェニルエチル、3−
フェニルプロピル、4−フェニルブチル基などの炭素数
7〜10程度のアラルキル基などが含まれる。
【0068】R1 とR2 が隣接する炭素原子と共に形成
する環としては、シクロプロピル、シクロブチル、シク
ロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロ
オクチル環などの炭素数3〜8程度のシクロアルカン環
などが挙げられる。
【0069】α−シアンヒドリン化合物の代表的な例と
して、例えば、ヒドロキシアセトニトリル、ラクトニト
リル、アセトンシアンヒドリン、2−ヒドロキシブタン
ニトリル、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニト
リル、2−ヒドロキシ−2−メチルチオブタンニトリ
ル、2−ヒドロキシ−3−メチルチオブタンニトリル、
2−ヒドロキシ−3−ブテンニトリル、2−ヒドロキシ
ペンタンニトリル、2−ヒドロキシヘキサンニトリル、
2−ヒドロキシオクタンニトリルなどの脂肪族α−シア
ンヒドリン;2−ヒドロキシ−シクロヘキサンアセトニ
トリル、シクロペンタノンシアンヒドリン、シクロヘキ
サノンシアンヒドリンなどの脂環式α−シアンヒドリ
ン;マンデロニトリル、2−ヒドロキシ−3−フェニル
ブタンニトリルなどの芳香族α−シアンヒドリンなどが
挙げられる。
【0070】前記β−シアンヒドリン化合物としては、
例えば、3−ヒドロキシプロパンニトリル、3−ヒドロ
キシブタンニトリル、3−ヒドロキシヘキサンニトリ
ル、2−ヒドロキシシクロヘキサンカルボニトリル、3
−ヒドロキシ−3−フェニルプロパンニトリルなどが挙
げられる。
【0071】前記γ−シアンヒドリン化合物としては、
例えば、4−ヒドロキシブタンニトリル、4−ヒドロキ
シヘキサンニトリル、3−ヒドロキシヘキサンカルボニ
トリル、4−ヒドロキシ−4−フェニルブタンニトリル
などが挙げられる。
【0072】好ましいニトリルには、シアンヒドリン化
合物、中でも、ヒドロキシカルボン酸を得る上で有用
な、例えば、前記式(1)で表される化合物などのα−
シアンヒドリン化合物などが含まれる。さらに好ましい
ニトリルには、ラクトニトリル、アセトンシアンヒドリ
ン、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニトリルな
どの炭素数3〜8程度の脂肪族α−シアンヒドリン化合
物などが含まれる。
【0073】なお、ニトリルがα−シアンヒドリン化合
物である場合は、α−シアンヒドリン化合物からシアン
化水素を脱離した対応するオキソ化合物(例えば、ラク
トニトリルに対するアセトアルデヒド、2−ヒドロキシ
−4−メチルチオブタンニトリルに対する3−メチルチ
オプロパナール)を反応系に共存させると、α−シアン
ヒドリン化合物の分解が抑制され、対応するヒドロキシ
カルボン酸アミドの収率が増大する。オキソ化合物の添
加量はα−シアンヒドリン化合物に対して、例えば、
0.1〜50モル%程度、好ましくは0.5〜30モル
%程度、さらに好ましくは1〜10モル%程度である。
【0074】ニトリルの水和反応は水過剰系で行うのが
好ましい。水和反応における水の使用量は、ニトリル1
モルに対して、例えば、1〜200モル程度、好ましく
は1.1〜100モル程度である。なお、水和反応は、
反応に影響を及ぼさない範囲で、系内に有機溶媒(例え
ば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノールなど
の水溶性有機溶媒など)を添加して行うこともできる。
【0075】前記二酸化マンガン触媒の形状は特に限定
されず、粉末状、顆粒状などであってもよく、また、成
形して用いてもよい。成形した触媒は、固定床流通反応
用触媒などとして使用できる。
【0076】水和反応の反応温度は、例えば、20〜1
50℃、好ましくは30〜100℃の範囲である。反応
温度が20℃未満では反応時間が長くなりやすい。反応
時間が150℃を越えると脱シアン化水素反応などの副
反応が起こりやすい。反応時間は流通式の場合は、1〜
300分程度であり、回分式の場合は5分〜20時間程
度である。
【0077】水和反応の反応形式としては、固定床式、
流動床式などのいずれであってもよい。また、反応は、
回分式、流動式のいずれの方式でも行うことができる。
【0078】反応で生成したカルボン酸アミドは、必要
に応じて、慣用の精製法、例えば、抽出、蒸留、再結
晶、クロマトグラフィーなどの方法により精製すること
ができる。
【0079】本発明のカルボン酸アミドの製造方法で
は、長寿命で高い触媒活性及び反応選択性を有する触媒
を用いるので、目的とするカルボン酸アミドを、工業的
な規模で、生産効率よく製造できる。
【0080】本発明で得られたカルボン酸アミドは、慣
用の方法、例えば、加水分解反応、エステル化反応、ア
ミド−エステル交換反応などにより、容易に、対応する
カルボン酸又はカルボン酸エステルに変換できる。例え
ば、シアンヒドリン化合物から得られるヒドロキシカル
ボン酸アミドは、加水分解により、対応するヒドロキシ
カルボン酸に誘導できるとともに、アミド−エステル交
換反応により対応するヒドロキシカルボン酸エステルに
導くことができる。また、ヒドロキシカルボン酸エステ
ルは、前記ヒドロキシカルボン酸のエステル化によって
も製造できる。さらに、ヒドロキシカルボン酸エステル
の脱水反応により、不飽和カルボン酸エステルを得るこ
とができる。
【0081】したがって、本発明のカルボン酸アミドの
製造法は、カルボン酸及びカルボン酸エステル類、特
に、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸エス
テル及び不飽和カルボン酸エステルなどを製造する上で
極めて有用である。
【0082】
【発明の効果】本発明の二酸化マンガン触媒は、特定の
細孔分布を有するので、高い触媒活性及び反応選択性を
有するだけでなく、安定性が高く、特にニトリル水和反
応に対して高い触媒活性を長期間維持でき、対応するカ
ルボン酸アミドを効率よく生成させる。
【0083】本発明の二酸化マンガン触媒の製造方法及
び製造装置によれば、反応成分である過マンガン酸塩と
還元剤とを、工業的規模においても、短時間で均一に混
合でき、反応を速やかに完結させることができる。ま
た、過マンガン酸塩と還元剤の両成分を常に適切な量比
で反応させることができるとともに、反応を連続的に行
うことができるので、上記のように優れた二酸化マンガ
ン触媒を、簡易に、再現性よく、しかも高い生産効率で
製造できる。
【0084】本発明のカルボン酸アミドの製造方法によ
れば、ニトリルから対応するカルボン酸アミドを高い収
率及び選択率で製造できる。また、ニトリルから、硫酸
触媒を用いることなくカルボン酸アミドが製造ができる
ため、従来のような重硫酸アンモニウムの副生がない。
【0085】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0086】触媒の細孔容積(細孔分布)は、次のよう
にして求めた。すなわち、触媒を、窒素雰囲気下、温度
20℃、圧力10-2mmHgの条件で120分脱気処理
した後、コールター株式会社製のOMNISORP36
0型の細孔容積測定装置を用い、窒素の脱離等温線から
細孔半径30nm以下の細孔の全細孔容積(V)及び細
孔半径2〜7nmの細孔の細孔容積(V1 )を求めた。
また、転化率及び選択率の「%」はモル%を示す。
【0087】実施例1二酸化マンガン触媒の調製 過マンガン酸カリウム2.486モルを水2414ml
に溶解し、過マンガン酸カリウム水溶液を調製した。一
方、硫酸マンガン1.657モルと硫酸5.427モル
を水1038mlに溶解し、硫酸マンガン水溶液を調製
した。前記過マンガン酸カリウム水溶液と硫酸マンガン
水溶液とを、それぞれ55℃に加熱し、ジャケット付き
のガラス製T字管(合流混合器)[内径8mm;反応容
積(前記両水溶液の接触部の容積)35ml]の左右の
開口部から、それぞれ5分30秒かけて連続的に供給
し、反応混合液(反応生成スラリー)を残りの開口部か
ら流出させた。過マンガン酸カリウム及び硫酸マンガン
の供給速度は、それぞれ0.452モル/分、0.30
1モル/分であった。なお、ジャケットには55℃の温
水を流通させた。反応混合液の合流混合器における滞留
時間は約4秒であった。
【0088】流出した反応生成スラリーを5Lのビーカ
ーに入れ、撹拌しながら90℃で熟成した。熟成開始
後、1、2、3時間毎にスラリーの一部をサンプリング
し、濾過、洗浄し、ケーキを得た。ケーキを110℃で
20時間乾燥して二酸化マンガン触媒を得た。二酸化マ
ンガン触媒の比表面積を窒素吸着法(大倉理研(株)
製:自動表面積測定装置 AMS−8000)で測定し
た結果、熟成1、2及び3時間の触媒の比表面積は、そ
れぞれ、247m2 /g、245m2 /g及び241m
2 /gであった。触媒の比表面積は、熟成時間により大
きな変化は見られなかった。
【0089】また、熟成3時間の触媒の細孔分布を測定
したところ、細孔半径30nm以下の細孔の細孔容積
(V)は0.430ml/g、細孔半径2〜7nmの細
孔の細孔容積(V1 )は0.395ml/gであり、V
1 /V=0.917であった。
【0090】実施例2二酸化マンガン触媒の調製 過マンガン酸カリウム2.216モルを水2152ml
に溶解し、過マンガン酸カリウム水溶液を調製した。一
方、硫酸マンガン3.308モルと硫酸3.341モル
を水1097mlに溶解し、硫酸マンガン水溶液を調製
した。前記過マンガン酸カリウム水溶液と硫酸マンガン
水溶液の両液を、それぞれ55℃に加熱し、実施例1と
同様のガラス製T字管(合流混合器)の左右の開口部か
ら、それぞれ11分かけて連続的に供給し、反応混合液
(反応生成スラリー)を残りの開口部から流出させた。
過マンガン酸カリウム及び硫酸マンガンの供給速度は、
それぞれ0.201モル/分、0.300モル/分であ
った。なお、ジャケットには55℃の温水を流通させ
た。反応混合液の合流混合器における滞留時間は約7秒
であった。
【0091】流出した反応生成スラリーを100mlの
ビーカーに受け、撹拌しながら、5Lのビーカーの中に
オーバーフローさせ、90℃で撹拌し、熟成した。熟成
開始後、1、2、3時間毎にスラリーの一部をサンプリ
ングし、濾過、洗浄し、ケーキを得た。ケーキを110
℃で20時間乾燥して二酸化マンガン触媒を得た。二酸
化マンガン触媒の比表面積を、実施例1と同様の方法で
求めた結果、熟成1、2及び3時間の触媒の比表面積
は、それぞれ、265m2 /g、275m2 /g及び2
72m2 /gであった。触媒の比表面積は、熟成時間に
より大きな変化は見られなかった。
【0092】また、熟成3時間の触媒の細孔分布を測定
したところ、細孔半径30nm以下の細孔の細孔容積
(V)は0.475ml/g、細孔半径2〜7nmの細
孔の細孔容積(V1 )は0.469ml/gであり、V
1 /V=0.987であった。
【0093】比較例1二酸化マンガン触媒の調製 5Lのビーカー内で、過マンガン酸カリウム2.216
モルを水2152mlに溶解して、過マンガン酸カリウ
ム水溶液を調製し、55℃に加熱した。一方、硫酸マン
ガン3.308モルと硫酸3.341モルを水1349
mlに溶解して、硫酸マンガン水溶液を調製し、55℃
に加熱した。前記過マンガン酸カリウム水溶液中に、撹
拌しながら、前記硫酸マンガン水溶液を速やかに注加し
た。なお、硫酸マンガン水溶液注加時に発熱が見られ
た。得られた反応生成スラリーを、撹拌しながら90℃
で熟成した。熟成開始後、1、2、3時間毎にスラリー
の一部をサンプリングし、濾過、洗浄し、ケーキを得
た。ケーキを110℃で20時間乾燥して二酸化マンガ
ン触媒を得た。二酸化マンガン触媒の比表面積を、実施
例1と同様の方法で求めた結果、熟成1、2及び3時間
の触媒の比表面積は、それぞれ、243m2 /g、22
6m2 /g及び217m2 /gであり、時間の経過と共
に著しく低下した。
【0094】また、熟成3時間の触媒の細孔分布を測定
したところ、細孔半径30nm以下の細孔の細孔容積
(V)は0.546ml/g、細孔半径2〜7nmの細
孔の細孔容積(V1 )は0.231ml/gであり、V
1 /V=0.423であった。
【0095】比較例2二酸化マンガン触媒の調製 5Lのビーカー内で、硫酸マンガン3.376モルと硫
酸3.41モルを水1120mlに溶解して、硫酸マン
ガン水溶液を調製し、50℃に加熱した。一方、過マン
ガン酸カリウム2.262モルを水2197mlに溶解
して、過マンガン酸カリウム水溶液を調製し、50℃に
加熱した。前記硫酸マンガン水溶液中に、撹拌しなが
ら、前記過マンガン酸カリウム水溶液を1分間で速やか
に注加した。なお、過マンガン酸カリウム水溶液注加時
に発熱が見られた。得られた反応生成スラリーを、撹拌
しながら90℃で3時間熟成した後、濾過、洗浄し、ケ
ーキを得た。ケーキを110℃で20時間乾燥して二酸
化マンガン触媒を得た。二酸化マンガン触媒の比表面積
を、実施例1と同様の方法で求めた結果、277m2
gであった。
【0096】また、触媒の細孔分布を測定したところ、
細孔半径30nm以下の細孔の細孔容積(V)は0.5
71ml/g、細孔半径2〜7nmの細孔の細孔容積
(V1)は0.368ml/gであり、V1 /V=0.
645であった。
【0097】実施例3、4及び比較例3、4ニトリルの水和反応 内径3mm、長さ20cmのSUS製反応管に、それぞ
れ、下記の二酸化マンガン触媒(何れも3時間熟成した
触媒)1gを充填し、外部から50℃に加熱した。反応
管に、ラクトニトリルと水とを、それぞれ1.22g/
時及び13.78g/時の流量で供給した。所定時間ご
とに反応生成液をサンプリングして、高速液体クロマト
グラフィにより定量分析し、ラクトニトリルの転化率
と、生成したラクトアミドの選択率を求めた。その結果
を表1に示す。なお、表中、転化率はラクトニトリルの
転化率を、選択率はラクトアミドの選択率を示す。ま
た、表中の「−」はデータがないことを示す。
【0098】実施例3…実施例1で調製した触媒 実施例4…実施例2で調製した触媒 比較例3…比較例1で調製した触媒 比較例4…比較例2で調製した触媒
【0099】
【表1】 実施例5、6及び比較例5ニトリルの水和反応 撹拌機を備えた内容積30mlのSUS製反応器に、そ
れぞれ、下記の二酸化マンガン触媒(何れも3時間熟成
した触媒)を1g入れ、撹拌下、ラクトニトリルと水と
を、それぞれ2.4g/時及び27g/時の流量で連続
的に供給した。なお、反応器内の温度を60℃に調節し
た。反応開始後30分後と4時間後に反応生成液をサン
プリングし、高速液体クロマトグラフィで定量分析し
て、ラクトニトリルの転化率(%)を求めた。その結果
を表2に示す。
【0100】実施例5…実施例1で調製した触媒 実施例6…実施例2で調製した触媒 比較例5…比較例2で調製した触媒
【0101】
【表2】 比較例6ニトリルの水和反応 比較のため、前記Bull. Chem. Soc. Jpn., 59, 2983〜
2989(1986 年) に、ニトリルの水和反応に対して高活性
であると記載されている電解マンガン(東洋ソーダ
(株)製、商品名:FM、比表面積43m2 /g)を用
いる以外は、実施例4と同様の操作を行った。その結
果、反応開始30分後及び4時間後のラクトニトリルの
転化率は、それぞれ27%及び7%であった。
【0102】実施例7ニトリルの水和反応 触媒として、実施例2において3時間熟成した二酸化マ
ンガン触媒1gを用い、反応管に、2−ヒドロキシ−4
−メチルチオブタンニトリルと水とを、それぞれ1.3
g/時及び13.8g/時の流量で連続的に供給した以
外は、実施例3と同様の操作を行った。所定時間ごとに
反応生成液をサンプリングして、高速液体クロマトグラ
フィにより定量分析し、2−ヒドロキシ−4−メチルチ
オブタンニトリルの転化率(ニトリル転化率)と、生成
した対応する2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンア
ミドの選択率(アミド選択率)を求めた。その結果を表
3に示す。
【0103】
【表3】 実施例8二酸化マンガン触媒の調製とニトリルの水和反応 熟成を70℃で3時間、さらに90℃で2時間行った以
外は実施例1と同様の操作により二酸化マンガン触媒を
調製した。得られた触媒の細孔容積を測定した結果、細
孔半径30nm以下の細孔の細孔容積(V)は0.36
1ml/g、細孔半径2〜7nmの細孔の細孔容積(V
1 )は0.326ml/gであり、V1/V=0.90
3であった。また、比表面積は、264m2 /gであっ
た。
【0104】この触媒を用いる以外は実施例3と同様の
操作により反応を行った結果、反応経過40時間後のラ
クトニトリルの転化率は99.0%、ラクトアミドの選
択率は99.2%であった。
【0105】比較例7二酸化マンガン触媒の調製とニトリルの水和反応 過マンガン酸カリウム0.185モルを水166mlに
溶解して、過マンガン酸カリウム水溶液を調製し、50
℃に加熱した。一方、硫酸マンガン0.276モルと硫
酸0.278モルを水153mlに溶解して、硫酸マン
ガン水溶液を調製し、50℃に加熱した。前記硫酸マン
ガン水溶液中に、撹拌しながら、前記過マンガン酸カリ
ウム水溶液を30秒間で注加した。なお、過マンガン酸
カリウム水溶液注加時に発熱が見られた。得られた反応
生成スラリーを、撹拌しながら55℃で3時間熟成した
後、濾過、洗浄し、ケーキを得た。ケーキを110℃で
20時間乾燥して二酸化マンガン触媒を得た。
【0106】得られた触媒の細孔容積を測定した結果、
細孔半径30nm以下の細孔の細孔容積(V)は0.3
04ml/g、細孔半径2〜7nmの細孔の細孔容積
(V1)は0.134ml/gであり、V1 /V=0.
441であった。また、比表面積は、383m2 /gで
あった。
【0107】この触媒を用いる以外は実施例3と同様の
操作により反応を行った結果、反応経過20時間後のラ
クトニトリルの転化率は83.4%、ラクトアミドの選
択率は98.2%であった。
【0108】比較例8二酸化マンガン触媒の調製とニトリルの水和反応 特開平3−68447号公報の記載に準じて二酸化マン
ガン触媒を調製した。すなわち、過マンガン酸カリウム
0.42モルを水250mlに溶解して、過マンガン酸
カリウム水溶液を調製した。一方、硫酸マンガン0.2
8モルと硫酸0.55モルを水180mlに溶解して、
硫酸マンガン水溶液を調製した。2液をそれぞれ70℃
に加熱し、過マンガン酸カリウム水溶液に激しく撹拌し
ながら、硫酸マンガン水溶液を素早く添加した後、90
℃で3時間熟成し、濾過、洗浄しケーキを得た。ケーキ
を110℃で20時間乾燥して二酸化マンガン触媒を得
た。
【0109】得られた触媒の細孔容積を測定した結果、
細孔半径30nm以下の細孔の細孔容積(V)は0.6
29ml/g、細孔半径2〜7nmの細孔の細孔容積
(V1)は0.508ml/gであり、V1 /V=0.
808であった。また、比表面積は、254m2 /gで
あった。
【0110】この触媒を用いる以外は実施例3と同様の
操作により反応を行った結果、反応経過30時間後のラ
クトニトリルの転化率は94.7%、ラクトアミドの選
択率は98.6%であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の二酸化マンガン触媒の製造装置
の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1…過マンガン酸塩供給ライン 2…還元剤供給ライン 3…反応器 5…熟成槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 235/04 C07C 235/04 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細孔半径30nm以下の細孔の全細孔容
    積V(ml/g)に対する細孔半径2〜7nmの細孔の
    細孔容積V1 (ml/g)の割合V1 /Vが0.85〜
    1である二酸化マンガン触媒。
  2. 【請求項2】 細孔半径30nm以下の細孔の全細孔容
    積Vが0.2〜2ml/gである請求項1記載の二酸化
    マンガン触媒。
  3. 【請求項3】 比表面積が150〜500m2 /gであ
    る請求項1記載の二酸化マンガン触媒。
  4. 【請求項4】 過マンガン酸塩と還元剤との合流混合に
    より生成する二酸化マンガン触媒。
  5. 【請求項5】 過マンガン酸塩と還元剤とを合流混合し
    て反応させ、二酸化マンガンを生成させる二酸化マンガ
    ン触媒の製造方法。
  6. 【請求項6】 過マンガン酸塩1モルに対して、還元剤
    を0.2〜5モルの割合で混合する請求項5記載の二酸
    化マンガン触媒の製造方法。
  7. 【請求項7】 過マンガン酸塩溶液と還元剤溶液とを連
    続的に供給しつつ瞬間混合して反応させ、二酸化マンガ
    ンを生成させる請求項5記載の二酸化マンガン触媒の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 過マンガン酸塩と還元剤とを10〜15
    0℃の温度で反応させる請求項5記載の二酸化マンガン
    触媒の製造方法。
  9. 【請求項9】 過マンガン酸塩として過マンガン酸アル
    カリ金属塩を用いる請求項5記載の二酸化マンガン触媒
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 過マンガン酸アルカリ金属塩として過
    マンガン酸カリウムを用いる請求項9記載の二酸化マン
    ガン触媒の製造方法。
  11. 【請求項11】 還元剤として、2価のマンガン化合
    物、ヒドラジン又はその塩、ヒドロキシカルボン酸又は
    その塩、多価アルコール、多価カルボン酸又はその塩、
    及びハロゲン化水素酸から選ばれた少なくとも1種の成
    分を用いる請求項5記載の二酸化マンガン触媒の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 還元剤として硫酸マンガンを用いる請
    求項11記載の二酸化マンガン触媒の製造方法。
  13. 【請求項13】 過マンガン酸塩と還元剤とを酸性下で
    反応させる請求項5記載の二酸化マンガン触媒の製造方
    法。
  14. 【請求項14】 過マンガン酸塩と還元剤とを、過マン
    ガン酸塩1モルに対して0.2〜8モルの硫酸の存在下
    で反応させる請求項13記載の二酸化マンガン触媒の製
    造方法。
  15. 【請求項15】 過マンガン酸塩と還元剤とを20〜1
    20℃の温度で合流混合して反応させた後、熟成する請
    求項5記載の二酸化マンガン触媒の製造方法。
  16. 【請求項16】 過マンガン酸塩水溶液と還元剤水溶液
    とをそれぞれ反応器内に連続的に供給して合流混合し、
    反応させる反応工程と、反応混合液を流出させる流出工
    程と、生成した二酸化マンガンを回収する回収工程とを
    含むニトリル水和用二酸化マンガン触媒の製造方法であ
    って、前記反応器における滞留時間が5秒〜5分である
    二酸化マンガン触媒の製造方法。
  17. 【請求項17】 過マンガン酸カリウムと2価のマンガ
    ン化合物とを硫酸酸性下で反応させて二酸化マンガン触
    媒を製造する方法であって、前記過マンガン酸カリウム
    を含む過マンガン酸水溶液と前記2価のマンガン化合物
    を含むマンガン化合物水溶液とを、2価のマンガン化合
    物と過マンガン酸カリウムの供給モル比(前者/後者)
    0.5〜2、硫酸及び前記2価のマンガン化合物に含ま
    れる硫酸根の総和と過マンガン酸カリウムの供給モル比
    (前者/後者)0.4〜5モルの条件で合流混合する請
    求項16記載の二酸化マンガン触媒の製造方法。
  18. 【請求項18】 過マンガン酸塩と還元剤とを反応させ
    て二酸化マンガン触媒を製造する装置であって、過マン
    ガン酸塩供給ライン、還元剤供給ライン、及び前記過マ
    ンガン酸塩供給ライン及び還元剤供給ラインよりそれぞ
    れ供給される過マンガン酸塩と還元剤とを合流混合する
    反応器とを有する二酸化マンガン触媒製造装置。
  19. 【請求項19】 反応器がラインミキサー又はホモジナ
    イザーである請求項18記載の二酸化マンガン触媒製造
    装置。
  20. 【請求項20】 請求項1〜4の何れかの項に記載の二
    酸化マンガン触媒の存在下、ニトリルを水和するカルボ
    ン酸アミドの製造方法。
  21. 【請求項21】 ニトリルがシアンヒドリン化合物であ
    る請求項20記載のカルボン酸アミドの製造方法。
  22. 【請求項22】 シアンヒドリン化合物が、一般式
    (I)で表わされるシアンヒドリン化合物である請求項
    21記載のカルボン酸アミドの製造方法。 【化1】 [式中R1 ,R2 は、同一または異なって、水素原子ま
    たは置換基を有してもよい炭化水素基を示し、R1 ,R
    2 は、隣接する炭素原子と共に環を形成してもよい。但
    し、R1 ,R2 は、同時に水素原子ではない]
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