JPH09238687A - 核酸合成法 - Google Patents

核酸合成法

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JPH09238687A
JPH09238687A JP8051573A JP5157396A JPH09238687A JP H09238687 A JPH09238687 A JP H09238687A JP 8051573 A JP8051573 A JP 8051573A JP 5157396 A JP5157396 A JP 5157396A JP H09238687 A JPH09238687 A JP H09238687A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、生体由来試料中の目的とする遺伝
子を前処理なしで直接増幅出来る核酸合成法を提供する
ことを目的とする。 【解決手段】 本発明は、生体由来試料中の遺伝子包含
体もしくは生体由来試料そのものと遺伝子増幅反応液を
混合し反応させる核酸合成法において、25℃における
前記反応液のpHを8.5〜9.5にしたことを特徴と
する。例えばヒト血液を試料として用い、種々のpHの
PCR反応液でPCRを行った結果、図1の電気泳動図
に示す如くpH8.5以上のPCR反応液を使用するこ
とにより、特異的なPCR産物を得ることができた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は核酸合成法、特に、
ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction :
以下PCRと略す)法による核酸合成法に関する。
【0002】
【従来の技術】PCR法は、DNA鎖の中の特定の領域
をはさんで、プライマーを結合させ、DNAポリメラー
ゼを作用させて、DNA合成反応を繰り返すことによっ
て、目的のDNA断片を数十万倍にも増幅できる方法で
ある。PCR法は、マリス氏らの発明である特開昭61
−274697号に述べられている。
【0003】PCR法は、種々の試料中の核酸の高感度
分析法として使用可能で、特に動物体液由来の試料中の
核酸の分析法に使用できる。従って、PCR法は、微生
物に起因する伝染病や遺伝病やガンの診断等に利用され
る。さらに、PCRは移植や親子鑑定の際のDNAタイ
ピングの検査にも適した方法である。これらの場合末梢
血液が検査対象に選ばれる場合が多い。
【0004】PCR法の1つの欠点は色素、たんぱく、
糖類あるいは未知の夾雑物が反応を阻害することであ
る。すなわち、代表的な耐熱性DNAポリメラーゼであ
るThermus aquaticus 由来のTaqDNAポリメラーゼ
をはじめ、多くのDNAポリメラーゼは、微量の体液由
来の夾雑物がPCR反応液中に混在しても、PCRが強
く阻害されることが良く知られている。通常、TaqD
NAポリメラーゼ用の反応液を作製するためには、あら
かじめ25℃においてpH8.3の1MTris-HCl等を用
いて、10倍濃度のPCR用緩衝液(100mM Tris-HCl,5
00mM KCl,10-40mMMgCl2 )を作製しておく。そして、使
用時に、この緩衝液を1倍濃度に希釈したものに、dAT
P,dCTP,dGTP,dTTP をそれぞれ 200μM、必要なプライ
マーを0.2-1.0 μM、TaqDNAポリメラーゼを2.5u
nits/100μl となるように添加し、さらに必要によって
は、ゼラチンやNP40,Tween等の界面活性剤等の添加物を
加え、鋳型DNAを加えてPCRを行う。しかし、この
ような反応液を用いた場合、微量の体液由来の夾雑物が
PCR反応液中に混在しても、PCRが強く阻害される
ことになる。
【0005】そこで、PCR法によるDNA増幅に先立
つて被験物から細胞、細菌、ウィルス等(以下、遺伝子
包含体と称する)を分離し、そして、その遺伝子包含体
からのDNAの抽出が必要である。阻害を除去するため
に、酵素、界面活性剤、カオトロピック剤等により遺伝
子包含体を分解し、その後、フェノールあるいはフェノ
ール・クロロホルム等を用いて、遺伝子包含体の分解物
からDNAを抽出する方法が従来より使用されている。
最近ではDNA精製法として、イオン交換樹脂、ガラス
フィルターあるいはタンパク凝集作用を有する試薬が使
用されている。
【0006】かような精製試薬キットの1つは「COL
LECTAGENE」(AMRAD社)の名で市販され
ている。この試薬キットを用いて試料は以下の手順で前
処理される。 1.抗凝固剤処理をした哺乳動物由来の全血を試験管中
で「マグネティクパーティクル」とよく混合し、これに
より白血球と「マグネティクパーティクル」を結合させ
る。 2.「マグネティクパーティクル」に結合した白血球を
リン酸緩衝液で洗浄する。 3.「マグネティクパーティクル」に結合した白血球
は、結合状態のままでプロテアーゼで分解し、これによ
りたんぱくは分解され、白血球中のDNAが遊離され
る。 4.試験管内容物は、プロテアーゼ残査を不活性化する
ため加熱し、冷却後白血球由来の遊離DNAを含む溶液
を得て、この溶液はそのまま次のPCRに使用される。
【0007】一方、RNA−PCRは、目的RNAを検
出したり、その塩基配列の研究に使用され、従って、診
断の他にも医学用途、産業用途、環境用途等に利用され
る。例えば、RNA−PCRは、肝炎の原因となるC型
肝炎ウィルス(HCV)や後天性免疫不全症候群の原因
となるHIVウィルスの検出に使われる。
【0008】RNA−PCR法では、まず逆転写酵素の
存在下で目的RNAを鋳型にして相補的なDNA(cD
NA)が合成される。そして、このcDNAがPCRで
増幅される。従来の技術では、試料中のRNAをRNA
−PCR法で取り扱う場合には、RNAの精製処理は必
須である。基本的にRNAは、DNA精製法と同様な方
法により精製される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
を用いて試料中のDNAやRNAの精製を行っても、不
純物の完全な除去は困難であり、かつ、試料中の核酸の
回収量が一定しない場合も多く、このため引き続く核酸
合成が、とりわけ試料中の目的とする核酸の含量が少な
い場合には、うまくできない場合もある。また、これら
精製法は操作が煩雑で時間を要し、また操作中のコンタ
ミネーションの機会が高い。従って、これらの問題点を
解決するためには、より簡便で、かつ効果的な試料前処
理法が望まれる。
【0010】そこで、本発明は、生体由来試料中の目的
とする遺伝子を直接増幅出来る核酸合成法を提供するこ
とを目的とする。言い換えれば、生体由来試料、特に動
物体液由来試料もしくは試料中に含まれる遺伝子包含体
の反応系への直接添加によってもPCRが可能な反応法
および反応試薬を提供することにある。
【0011】さらに本発明の他の目的は、上記の目的に
適した試薬キットを提供することにある。要約すれば本
発明の目的は、動植物組織、体液および排泄物中に存在
する遺伝子、とりわけDNAの増幅に適したPCR改良
法およびPCR反応試薬を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本件発明者は、鋭意検討
した結果、PCR反応液のpHを通常用いる場合より高
くすることで、生体由来の夾雑物が多量に存在しても、
さらには血液や唾液のような体液をPCR反応液に直接
添加しても、PCRが可能になることを見いだし、本発
明をなすに至ったのである。
【0013】すなわち、本発明は、生体由来試料中の遺
伝子包含体もしくは生体由来試料そのものと遺伝子増幅
反応液を混合し反応させる核酸合成法において、25℃
における前記反応液のpHを8.5〜9.5にしたこと
を特徴とする。
【0014】本発明において、生体由来試料とは、動植
物組織、体液、排泄物等をいい、遺伝子包含体とは細
胞、細菌、ウイルス等をいう。体液には血液や唾液が含
まれ、細胞には血液から分離した白血球が含まれるが、
これらに限定されるものではない。
【0015】遺伝子増幅反応液は、通常、pH緩衝液並
びにMgCl2 、KCl等の塩類、プライマー、デオキ
シリボヌクレオチド類及び合成酵素を含むものである。
また、上記の塩類は適宜他の塩類に変更して使用されて
いる。また、ノニデットP−40、ポリオキシエチレン
ソルビタン類等の界面活性剤、ゼラチン、アルブミン等
の蛋白、ジメチルスルホキシド等種々の物質が添加され
る場合がある。
【0016】本発明に使用することが望ましいpH緩衝
液は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンと塩
酸、硝酸、硫酸等の鉱酸の組合せであり、鉱酸の中で望
ましいものは塩酸である。また、CAPSO(3-N-Cyclo
hexylamino-2-hydroxypropanesulfonic acid) あるいは
CHES(2-(Cyclohexylamino)ethanesulfonic acid)と
苛性ソーダ、苛性カリとの組み合せによるpH緩衝液等
種々のpH緩衝液が使用され得る。pH調整された緩衝
液は、PCR反応液の中で10mMから100mMの間
の濃度で使用される。
【0017】本明細書中でプライマーは、核酸と重合用
試薬等の存在下に合成の開始点として働くオリゴヌクレ
オチドをいう。プライマーは一本鎖であることが望まし
いが、二本鎖も使用できる。もし、プライマーが二本鎖
の場合には、増幅反応に先立って一本鎖状にすることが
望ましい。プライマーは、公知の方法により合成するこ
とができるし、また、生物界から単離することもでき
る。本明細書中で核酸は、DNA、RNAの一本鎖、二
本鎖およびDNAとRNAよりなる二本鎖を意味する。
核酸は種々の遺伝子包含体より入手できる。両端の一定
個数以上のプライマーが準備できれば、核酸は本発明に
より増幅することができる。
【0018】また、“合成酵素”は、プライマー付加に
よる核酸を合成する酵素あるいは、かような化学合成系
を意味する。適切な合成酵素としては、E.coliのDN
AポリメラーゼI、E.coliのDNAポリメラーゼのク
レノーフラグメント、T4DNAポリメラーゼ、Taq
DNAポリメラーゼ、T.litoralis DNAポリメラー
ゼ、TthDNAポリメラーゼ、PfuDNAポリメラ
ーゼそして逆転写酵素などがあるが、これらにのみ限定
されるものではない。さらに、本明細書中で使用してい
る“熱安定性”は、高温下好ましくは、65〜95℃で
もその活性を保持する化合物の性質を意味する。
【0019】反応液のpH値は、例えばHLA typing
や遺伝子異常の検査等のgenomic DNAの解析に適し
た、血液を直接PCR反応液に添加する系(血液直接P
CR)においては、反応液のpHは8.5以上の範囲、
好ましくは8.5〜9.0の範囲である。特に、pH
8.8付近の至適なpHのPCR反応液を用いることに
より、最大血液を2.5%含有したPCR反応液より、
PCR産物を得ることができる。
【0020】また、HIV provirus 等の末梢血白血球
中に少量混在するDNAを検出するのに適した、採集し
た白血球に直接PCR反応液を添加する系(溶血PC
R)においては、反応液のpHは8.5以上の範囲、好
ましくは8.5〜9.2の範囲に調整することにより、
PCRにより、1万個の白血球由来DNAに混入した1
00個以下のHIV DNAを検出することができる。
特に、pH9.0付近の至適なpHのPCR反応液を用
いることにより、10個のHIV DNAも充分検出す
ることが可能である。
【0021】また、唾液を直接PCR反応液に添加した
場合(唾液直接PCR)は、反応液のpHは8.5以上
の範囲、好ましくはpHを8.8以上にすることによ
り、唾液中の細胞DNA由来PCR産物を安定に得るこ
とができる。特に、PCR反応液のpHを9.4まで上
げることにより、8%の唾液を含有したPCR反応液か
らも十分な量のPCR産物を得ることができる。
【0022】なお、本発明はPCR実施者が自身で反応
液を調整して実施することもできるし、またこれらの反
応液を構成する全部あるいは一部を試薬キットにして提
供すれば、本発明の実施がより確実、容易になる。
【0023】試薬キットは、pH緩衝液並びにプライマ
ー、デオキシリボヌクレオチド類及び熱安定性ポリメラ
ーゼを含み試料中の目的とする遺伝子を増幅する核酸合
成法に用いる試薬キットにおいて、当該pH緩衝液が、
当該キットを使用するPCR反応液のpHが25℃の温
度条件下で8.5〜9.5となるpH緩衝能力を有する
pH緩衝液としたことを特徴とする。
【0024】本発明によれば、生体由来試料、特に動物
体液由来の試料の反応系への直接添加によってもDNA
増幅が可能となる。つまり、動物体液由来の試料、例え
ば、全血、血漿、血清又はダ液はそのまま増幅反応用の
試薬類と混合されPCRサイクルが行われる。
【0025】上述のいずれの試料を用いた場合も、PC
Rの一工程としてPCR反応液がDNAの変性の目的で
高温条件にさらされたときに、遺伝子包含体は破壊され
DNAが遊離される結果、プライマー等のPCRに必要
な試薬がDNAに接触可能となる。この際、PCR反応
液中に血液成分やダ液成分等が存在するが、それにもか
かわらず、この改良されたPCR法によればDNA増幅
が生ずる。
【0026】
【実施例】
[実験例1:PCR反応液中のpHの測定]本例はPC
R反応液中のpHの測定を行った実験である。表1に
は、PCR反応液を作製するために用意した1M Tris-
HCl のpH、10倍濃度のPCR用緩衝液(100mM Tris
-HCl,500mM KCl,15mM MgCl2 )のpH、及びPCR時に
実際使用するPCR反応液(10mM Tris-HCl,50mM KCl,
1.5mM MgCl2 ,200μM のdATP,dCTP,dGTP及びdTTP,1.0μ
M のprimer,2.5units/100 μl のTaq DNA ポリメラーゼ
(TaKaRa Taq: Takara shuzo,Kyoto,Japan) のpHを示
している。なお、PCRのプライマーはヒトbeta-globi
n coding region 内に位置するplus鎖の塩基配列を持つ
オリゴヌクレオチド(P1)及び minus鎖の塩基配列を
持つオリゴヌクレオチド(P2)であり、PCRにより
408bpの増幅産物を得ることができる(Saiki,R.K.,Gel
fand,D.H.,,Stoffel,S.,Scharf,S.J.,Higuchi,R.,Horn,
G.T.,Mullis,K.B. and Erlich,H.A.(1988) Science 23
9,487-491.)。
【0027】 P1:5′GAAGAGCCAAGGACAGGTAC
3′ P2:5′GGAAAATAGACCAATAGGCA
G3′ 表1から通常PCR反応液に用いられているpH8.3
の Tris-HCl を緩衝液として、10倍濃度のPCR用緩
衝液を作製した時のpHは8.3であるが、PCR時に
実際に使用するPCR反応液のpHとしては、8.1ま
で低下している。同様にpH8.5からpH10.0の
pH範囲の Tris-HCl を緩衝液として使用した場合、1
0倍濃度のPCR用緩衝液のpHは、用いた Tris-HCl
のpHとほぼ同じであるが、PCR時に実際に使用する
PCR反応液のpHは、0.2〜0.8の範囲で低下が
見られた。また、HClを添加しない1M Tris のpH
は、11であるが、10倍濃度のPCR用緩衝液を作製
した時のpHは、10.2、PCR反応液を作製した時
のpHは9.4まで低下した。
【0028】そこで、次に、PCR反応液のpHを8.
1〜9.4のあいだで、0.2〜0.3づつ変化させた
PCR反応液を作製し、血液または唾液を直接添加し、
それらの体液中に含まれている細胞中のDNAをターゲ
ットとして、PCRを試みた。
【0029】
【表1】 [実験例2:血液直接PCR]ヒト血液を試料として用
いた。種々のpHのPCR反応液に、ヒト血液を10〜
0.63μlを添加し(全 100μl)、PCRを行っ
た。PCR反応液は、実験例1で作製したものを使用し
た。PCRは、94℃、2分のプレヒーティングの後、
94℃ 1分間、55℃1分間、72℃ 1分間の条件
で40サイクル、最後に72℃ 7分間のポリメライゼ
ーションを行った。PCR終了後、反応液5μlを用い
て、3%アガロースを含む、0.5μg/ml臭化エチ
ジウム添加TAE(40mM Tris-acetate,1mM EDTA,pH8.
0) 液中で電気泳動を行い検出した。
【0030】本実験の電気泳動図を図1に示す。図中M
は分子量マーカー(制限酵素HincIIで切断した 250ngの
φX174RFDNA)、1はヒト血液10μl添加、2は5μ
l添加、3は2.5μl添加、4は1.25μl添加、
5は0.63μl添加、6は0μlの泳動レーンを示
す。
【0031】pH8.3の1M Tris-HCl を用いて作製
した標準的なPCR反応液(pH8.1)を用いてPC
Rを行った場合、添加したいずれの量の血液からも、be
ta-globin 特異的なPCR産物を得ることができなかっ
た(図1中A)。さらに、それよりpHが0.2高いP
CR反応液を用いた場合も、いずれの添加量の血液から
も特異的なPCR産物を得ることができなかった(図1
中B)。しかし、pH8.5のPCR反応液を使用する
ことにより、2.5μlおよび1.25μlの血液を添
加した場合に、特異的なPCR産物を得ることができた
(図1中C)。さらにpH8.8およびpH9.0のP
CR反応液を使用することにより、それぞれ2.5〜
0.63μl(図1中D),1.25〜0.63μl
(図1中E)の範囲の血液を添加した場合に、特異的な
PCR産物を得ることができた。
【0032】以上の結果は、PCR反応液を通常使用さ
れているpHの範囲を超えて調整することにより、PC
R反応液に直接血液を添加しても、PCRによる増幅が
可能となる事を示している。さらにその場合の反応液の
至適pHは8.8付近であることが同時に示される。
【0033】[実験例3:溶血PCR]ヒト血液23.
7μl(1.4×105 WBC)を溶血した後、遠心
し、上清を取り除き、白血球を回収した。回収した白血
球に、HIV DNA(1000,100,10 ,0)および種々の
pHのPCR反応液を添加し(全 100μl)、PCRを
行った。PCR反応液は、プライマーをHIV pol reg
ion 内に位置するplus鎖の塩基配列を持つオリゴヌクレ
オチド(P3)及び minus鎖の塩基配列を持つオリゴヌ
クレオチド(P4)に代えた以外は、実験例1で作製し
たものを使用し、PCR及び検出は実験例2と同様に行
った。
【0034】 P3:5´CATGGGTACCAGCACACAAA
GG3´ P4:5´TCTACTTGTCCATGCATGGC
TTC3´ なお、これらのプライマーを用いることにより、PCR
により 244bpの増幅産物を得ることができる(Simmond
s,P.et.al.(1990) J.Virol.64,864-872)。実験結果は
図2に示した通りである。図中Mは分子量マーカー(実
験例2と同様のもの)、1はHIV DNA 1000 copies,2は
100 copies, 3は10 copies,4は0 copiesを添加した泳
動レーンである。
【0035】図2より、pH8.3の1M Tris-HCl を
用いて作製した標準的なPCR反応液(pH8.1)を
用いてPCRを行った場合、添加したいずれの量のHI
VDNAからも特異的なPCR産物を得ることができな
かった(図2中A)。さらに、それよりpHが0.2高
いPCR反応液を用いた場合、1000 copies のHIV
DNAを添加したときのみ、特異的なPCR産物を得る
ことができた(図2中B)。さらに高いpHの反応液を
用いた場合、pH9.0までの範囲内において、pHの
上昇にともない感度の上昇が認められた。すなわち、p
H8.5のPCR反応液を使用することにより、100 co
piesまでの(図2中C)、pH8.8およびpH9.0
のPCR反応液を使用することにより、10 copies まで
の(図2中D,E)、HIV DNAをPCR後の電気
泳動により検出できた。
【0036】また、pH8.8およびpH9.0のPC
R反応液を使用した時のPCR産物の量を増幅バンドの
濃さで比較すると、pH9.0反応液使用時の方が多か
った。さらにPCR反応液のpHを9.2まで上げる
と、DNA 1000 copies添加時においては濃い増幅バン
ドが得られたが、100 copies添加時の増幅バンドの濃さ
は極めて薄かった。
【0037】以上の結果は、PCR反応液を通常使用さ
れているpHの範囲を超えて調整することにより、回収
した末梢血白血球にPCR反応液を直接添加しても、P
CRによる増幅が可能となる事を示している。さらにそ
の場合の反応液の至適pHは9.0付近であることが同
時に示される。
【0038】[実験例4:ヒト唾液PCR]ヒト唾液を
試料として用いた。種々のpHのPCR反応液に、ヒト
唾液を4〜0.5μl添加し(全50μl)、PCRを
行った。PCR反応液は、実験例1で作製したものを使
用した。また、PCRおよび検出は実験例2と同様に行
った。実験結果は図3に示した通りである。図中Mは分
子量マーカー(実験例2と同様のもの)、1はヒト唾液
を4μl添加、2は2μl添加、3は1μl添加、4は
0.5μl添加、5は0μlの泳動レーンを示す。
【0039】pH8.3の1M Tris-HCl 用いて作製し
た標準的なPCR反応液(pH8.1)を用いてPCR
を行った場合、添加したいずれの量の唾液からも、beta
-globin 特異的なPCR産物を得ることができなかった
(図3中A)。さらに、pH8.3のPCR反応液を用
いた場合、0.5μlの唾液を添加した場合のみ特異的
なPCR産物を得ることができた(図1中B)が、pH
8.5のPCR反応液を用いた場合、再びPCR産物を
検出することができなくなった(図1中C)。しかし、
pH8.8以上のPCR反応液を使用した場合、pHの
上昇にともなって、PCR産物が広い添加量の範囲で、
検出できるようになった。すなわち、pH8.8および
9.0のPCR反応液を使用した場合、0.5μl唾液
添加時のみならず、それ以上の量の唾液添加時において
も、検出可能な量のPCR産物が生成された(図1中
D、E)。さらにPCR反応液のpHを上昇させるとと
もに、生成されるPCR産物量は増大し、HClを添加
しない1M Tris を用いて作成したPCR反応液(pH
9.4)を用いてPCRを行った場合、いずれの添加量
の唾液においても、電気泳動により検出するのに十分な
量のPCR産物が生成できた(図1中G)。
【0040】以上の結果は、唾液においても、PCR反
応液を通常使用されているpHの範囲を超えて調整する
ことにより、PCR反応液に直接唾液を添加しても、P
CRによる増幅が可能となる事を示している。さらにそ
の場合の反応液の至適pHは9.4以上であることが同
時に示される。
【0041】
【発明の効果】本発明により、生体由来の試料から粗分
離した遺伝子包含体を核酸合成用反応液系に直接添加し
ても、効率良く、目的の遺伝子を合成することが可能と
なる。従って、核酸合成の際の核酸を含む試料の前処理
が簡便、迅速におこなえるようになる。特に血液試料の
前処理が簡便、迅速におこなえるようになる。
【0042】また、本発明により、遺伝子包含体を含有
する生体由来試料を直接核酸合成用反応液系に添加し
て、目的の遺伝子を効率良く合成することが可能とな
る。
【0043】更に、上述の試薬キットを使用すれば、本
発明にかかる改良PCR法が容易に実施される結果、本
発明の効果である前処理の簡略化とあいまって、PCR
法が簡便に行なえるようになる。
【0044】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA アンチセンス:No 配列: GAAGAGCCAAGGACAGGTAC
【0045】配列番号:2 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA アンチセンス:No 配列: GGAAAATAGACCAATAGGCAG
【0046】配列番号:3 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA アンチセンス:No 配列: CATGGGTACCAGCACACAAAGG
【0047】配列番号:4 配列の長さ:23 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA アンチセンス:No 配列: TCTACTTGTCCATGCATGGCTTC
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実験例2で増幅されたDNAを検出す
るために用いたゲル電気泳動の泳動図である。
【図2】図2は、実験例3で増幅されたDNAを検出す
るために用いたゲル電気泳動の泳動図である。
【図3】図3は、実験例4で増幅されたDNAを検出す
るために用いたゲル電気泳動の泳動図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C12Q 1/70 7823−4B C12Q 1/70 G01N 33/50 G01N 33/50 P G F

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体由来試料中の遺伝子包含体もしくは
    生体由来試料そのものと遺伝子増幅反応液を混合し反応
    させる核酸合成法において、25℃における前記反応液
    のpHを8.5〜9.5にしたことを特徴とする核酸合
    成法。
  2. 【請求項2】 pH緩衝液並びにプライマー、デオキシ
    リボヌクレオチド類及び熱安定性ポリメラーゼを含み試
    料中の目的とする遺伝子を増幅する核酸合成法に用いる
    試薬キットにおいて、当該pH緩衝液が、当該キットを
    使用する遺伝子増幅反応液のpHが25℃の温度条件下
    で8.5〜9.5となるpH緩衝能力を有するpH緩衝
    液としたことを特徴とする核酸合成法に用いる試薬キッ
    ト。
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