JPH09235548A - 蛍光体及びその製造方法 - Google Patents

蛍光体及びその製造方法

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JPH09235548A
JPH09235548A JP8043032A JP4303296A JPH09235548A JP H09235548 A JPH09235548 A JP H09235548A JP 8043032 A JP8043032 A JP 8043032A JP 4303296 A JP4303296 A JP 4303296A JP H09235548 A JPH09235548 A JP H09235548A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】酸素の影響を受けず、電子線励起によって発光
し、原料物質の選択によって各種の発光色を実現でき、
輝度特性及び寿命特性に優れた蛍光体を提供する。 【解決手段】Ga2 3 を23.5gと、MgCl2
0.04g(Mgで0.2mol%)を混合して石英ボ
ードに載せ、石英管の中で流量10ml/min.でア
ンモニアを流しながら1100℃の温度下に10時間保
持すると、GaN:Mg蛍光体が得られる。MgCl2
の量を0.001mol%〜10mol%の範囲で変化
させて複数種類の試料を得た。各蛍光体の試料を用いて
蛍光表示管を作成する。各試料のMgのmol%と、電
子線の射突によって発光する際の輝度の相対強度の関係
を示す。Zn又はMgの最も好ましい範囲は0.001
〜0.3であり、この範囲で発光強度の相対値はピーク
時の約70%以上となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化ガリウムと窒
化インジウムの固溶体にドープ物質がドープされて電子
線励起によって発光し、原料物質の選択によって各種の
発光色を実現でき、輝度特性及び寿命特性に優れた蛍光
体と、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】特開昭51−41686号公報には、G
2 3 をアンモニア雰囲気下で窒化させて得たGaN
を母体とし、Cdをドーパントとした蛍光体が開示され
ている。この蛍光体は電子線励起による発光には応用さ
れておらず、前記文献にも電子線励起による発光につい
ての記載はない。電子線励起によって発光する蛍光体で
はないが、LEDの分野においてはドーパントとしてZ
nやMgをドープしたGaNが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】Ga2 3 を窒素雰囲
気下で窒化させると、Ga2 3 は物質の表面から窒化
していくが、高温にするとその表面は再び酸化してしま
う。即ち、窒化ガリウムは窒素が抜けやすい性質と、さ
らに酸素の存在により酸化される可能性を有している。
従って酸化物であるGa2 3 を原料物質とすると、こ
れを完全に窒化することは困難であり、得られた窒化ガ
リウムも残存した酸素が発光に悪影響を及ぼすなど品質
が良好とはいえない。さらに、窒化ガリウムの電子線励
起素子への応用を考えた場合、蛍光体としての窒化ガリ
ウムの粉体は基板等に塗布された後に大気中で焼成され
る等、素子の製作過程で各種の熱処理を受けるため、そ
の表面が劣化する可能性があった。
【0004】本発明は、酸素の影響を受けることがな
く、電子線励起によって発光し、原料物質の選択によっ
て各種の発光色を実現でき、輝度特性及び寿命特性に優
れた蛍光体と、その製造方法を提供することを目的とし
ている。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載された蛍
光体は、化学式Ga1-x Inx N:A(但し0≦x<
0.8、A=Zn又はMg)で表されることを特徴とす
る。
【0006】請求項2に記載された蛍光体の製造方法
は、原料物質である酸素を含まないガリウム化合物と、
酸素を含まないインジウム化合物と、酸素を含まないド
ープ物質の中から、少なくとも酸素を含まないガリウム
化合物と酸素を含まないドープ物質を含む原料物質を選
択して混合し、窒素を含む雰囲気内においてこれらを加
熱して化学式Ga1-x Inx N:A(但し0≦x<0.
8、A=Zn又はMg)で表される蛍光体を製造するこ
とを特徴としている。
【0007】請求項3に記載された蛍光体の製造方法
は、請求項2記載の蛍光体の製造方法において、前記ガ
リウム化合物が硫化ガリウムであり、前記インジウム化
合物が硫化インジウムであり、前記ドープ物質が硫化物
又は塩化物等で酸素を含まないことを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の蛍光体は、化学式Ga
1-x Inx N:A(但し0≦x<0.8、A=Zn又は
Mg)で表される。即ち、この蛍光体の母体はGaNと
InNの固溶体であり、x=0の場合は母体がGaNで
あり、xが0よりも大きく0.8よりも小さい場合は母
体がGaInNとなる。ドーパントはZn又はMgであ
る。
【0009】この蛍光体を製造するには、少なくとも次
の原料物質を用意する。まず、酸素を含まないガリウム
化合物、例えば硫化ガリウム。次に、必要に応じて酸素
を含まないインジウム化合物、例えば硫化インジウム。
そして、酸素を含まないドープ物質、例えばZn又はM
gの硫化物又は塩化物を用意する。
【0010】前述した原料物質の中から必要なものを選
択し、これらを窒素を含む雰囲気内において加熱すれ
ば、前記化学式によって表される粒状蛍光体を得ること
ができる。
【0011】図1はGaNを母体とする本発明の蛍光体
の発光スペクトルを示す。この蛍光体は電子線の射突に
よて発光する際に450nm付近に強度のピークを有し
ており、青色に発光する。
【0012】図2は、本発明の蛍光体におけるドープ物
質(Zn又はMg)のmol%と、電子線の射突によっ
て発光する際の輝度の相対強度の関係を示すグラフであ
る。ドープ物質(Zn又はMg)のmol%の好ましい
範囲は0.005〜0.7の範囲であり、この時蛍光体
の発光強度の相対値はピーク時の約50%以上となる。
ドープ物質(Zn又はMg)のmol%のさらに好まし
い範囲は0.01〜0.3の範囲であり、この時蛍光体
の発光強度の相対値はピーク時の約70%以上となる。
【0013】図3は、本発明の蛍光体におけるGaN及
びInNの混晶比と、蛍光体のエネルギギャップとの関
係を示すグラフである。混晶比が異なれば蛍光体のエネ
ルギギャップも異なり、これによって蛍光体の発光色の
違いが生じる。例えば、GaNの比率が大きい場合に
は、蛍光体の発光色は緑からさらに青に近くなるが、I
nNの比率が大きい場合には、蛍光体の発光色は赤に近
づいていく。
【0014】図4は、本発明の蛍光体を蛍光表示管の陽
極に適用し、この蛍光表示管を発光させた場合、該蛍光
表示管の陽極の電圧Vと蛍光体の輝度の相対値との関係
を示すグラフである。本発明の蛍光体であるGaN:M
gとGaInN:Znは、比較のために記載した公知の
蛍光体であるGaN:Cdに比べ、同じ陽極電圧に対す
る輝度の相対値が大きい。
【0015】図5は、本発明の蛍光体を発光部に有する
蛍光表示管を連続点灯させた場合、初期の輝度を100
とした時の輝度の相対値と連続点灯時間との関係を示し
たグラフである。本発明の蛍光体によれば、連続点灯時
間が約2000時間程度になっても輝度の低下はほとん
どなく、初期の輝度を維持している。
【0016】
【実施例】
1)第1の実施例 第1実施例であるGaN:Mg蛍光体の製造方法を説明
する。Ga2 3 を23.5gと、MgCl2 を0.0
4g(Mgで母体に対して0.2mol%)使用する。
これらの原料を混合して石英ボードに載せ、これを石英
管の中に入れる。石英管の中に流量10ml/min.
でアンモニアを流しながら前記混合した原料を1100
℃の温度下に10時間保持すると、下記の反応によって
GaN:Mg蛍光体粒子が得られる。 Ga2 3 +2NH3 →2GaN+3H2
【0017】本実施例のGaN:Mg蛍光体をSEM
(走査型電子顕微鏡)で観察すると、従来の知見に基づ
けば針状になるであろうという本発明者等の予測に反し
て、この蛍光体は平板状の粒子状を呈していた。
【0018】前記蛍光体の試料を用いて蛍光表示管を作
成する。前記蛍光体の試料を蛍光表示管の陽極基板の陽
極導体上に有機バインダーを用いて塗布する。該陽極基
板を大気中にて500℃で焼成し、前記バインダーを除
去する。この陽極基板上に制御電極や陰極等の各種電極
等を設け、さらに陽極基板に容器部を封着して外囲器を
構成し、外囲器内を高真空状態に排気して封止する。こ
のようにして作成した蛍光表示管の陽極に50Vの電圧
を印加し、陰極及び制御電極にも適当な電圧を加え、陰
極から放出された電子を陽極の蛍光体層に射突させて発
光させる。
【0019】図1はGaNを母体とする本実施例の蛍光
体の発光スペクトルを示す。この蛍光体は電子線の射突
によて発光する際に450nm付近に強度のピークを有
しており、青色に発光する。
【0020】MgCl2 の量を0.001mol%〜1
0mol%の範囲で変化させて複数種類の試料を得た。
各試料のMgのmol%と、電子線の射突によって発光
する際の輝度の相対強度の関係は、前述した図2のグラ
フと同様のグラフとなり、ドープ物質であるMgのmo
l%の好ましい範囲も[発明の実施の形態]の項で説明
した通りである。
【0021】前記蛍光表示管における陽極の電圧Vaと
蛍光体の輝度の相対値との関係は、図4で示したGa
N:Mg蛍光体と同様である。
【0022】前記蛍光表示管を連続点灯させた場合、初
期の輝度を100とした時の輝度の相対値と連続点灯時
間との関係は、図5で示したグラフと同様である。
【0023】2)第2の実施例 第2実施例であるGaInN:Zn蛍光体の製造方法を
説明する。Ga2 3 を16.4gと、In2 3
9.8gと、ZnSを0.02g(Znで0.1mol
%)使用する。これらの原料を良く混合して石英ボード
に載せ、これを石英管の中に入れる。石英管の中に流量
10ml/min.でアンモニアを流しながら前記混合
した原料を1150℃の温度下に6時間保持すると、G
aInN:Zn蛍光体が得られる。
【0024】前記蛍光体の試料を用いて蛍光表示管を作
成する。蛍光表示管の前面側となる陽極基板の上に、透
光性を有するITO電極からなる陽極導体を形成する。
該陽極導体上に前記蛍光体の試料をPVAを用いてスラ
リー塗布し、該陽極基板を大気中にて480℃で焼成す
る。
【0025】この陽極基板に対面する陰極基板の内面に
は、電子源としての電界放出素子を形成する。まず陰極
基板の表面に陰極導体を形成する。陰極導体及び陰極基
板の上に絶縁層を形成する。絶縁層の上にはゲートを形
成する。ゲートと絶縁層には、陰極導体に達する孔をエ
ッチングによって形成する。孔内の陰極導体上にコーン
形状のエミッタを形成する。陰極導体とゲートに適当な
電圧を印加すれば、エミッタの先端から電子が電界放出
される。
【0026】前記陽極基板と陰極基板を所定の微小な間
隔をおいて対面させ、両基板の外周縁部を気密性を有す
るスペーサ部材、例えばふうフリットガラス等で封着
し、外囲器を構成する。外囲器内は内部を高真空状態に
排気して封止する。このようにして作成した蛍光表示管
の陽極に約100Vの電圧を印加し、陰極導体及びゲー
トにも適当な電圧を加え、陰極から電界放出された電子
を陽極の蛍光体層に射突させて発光させる。蛍光体層の
発光は、透光性を有する陽極導体及び陽極基板を介して
陽極基板の外側から視認される。
【0027】本実施例の蛍光体を用いた前記蛍光表示管
を前記の条件で駆動すると、蛍光体層は緑色に発光し
た。蛍光体の発光色は、図3に示したように、GaN及
びInNの混晶比によって決まるエネルギギャップの違
いに起因する。
【0028】前記蛍光表示管における陽極の電圧Vaと
蛍光体の輝度の相対値との関係は、図4で示したGaI
nN:Zn蛍光体と同様である。
【0029】本実施例においては、反応ガスとしてアン
モニアを用いたが、メチルアミンやアミルアミン等のア
ミン系物質を用いることができる。その場合には、反応
温度をアンモニアを用いた場合よりも低くすることがで
きる。
【0030】3)第3の実施例 第3実施例であるGaN:Zn蛍光体の製造方法を説明
する。Ga2 3 を16.4gと、ZnSを0.02g
(Znで0.1mol%)を良く混合して石英ボードに
載せ、これを石英管の中に入れる。石英管の中に流量1
0ml/min.でアンモニアを流しながら前記混合し
た原料を1150℃の温度下に6時間保持すると、Ga
N:Zn蛍光体が得られる。
【0031】4)第4の実施例 第4の実施例であるGaInN:Mg蛍光体の製造方法
を説明する。Ga2 3 を16.4gと、In2 3
9.8gと、MgCl2 を0.04g(Mgで0.2m
ol%)とを良く混合して石英ボードに載せ、これを石
英管の中に入れる。石英管の中に流量10ml/mi
n.でアンモニアを流しながら前記混合した原料を11
50℃の温度下に6時間保持すると、GaInN:Mg
蛍光体が得られる。
【0032】第3及び第4の実施例の蛍光体によって
も、図1〜図3を参照して説明したのと同様の効果を得
ることができる。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、製造時には酸素の影響
を受けることがなく、電子線励起によって発光し、原料
物質の選択によって青等の各種の発光色を実現でき、輝
度特性及び寿命特性に優れた蛍光体を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】GaNを母体とする本発明の蛍光体の発光スペ
クトルを示す図である。
【図2】本発明の蛍光体におけるドープ物質(Zn又は
Mg)のmol%と、電子線の射突によって発光する際
の輝度の相対強度の関係を示す図である。
【図3】本発明の蛍光体におけるGaN及びInNの混
晶比と、蛍光体のエネルギギャップとの関係を示す図で
ある。
【図4】本発明の蛍光体を陽極に有する蛍光表示管を発
光させた場合、該蛍光表示管の陽極の電圧Vaと蛍光体
の輝度の相対値との関係を示す図である。
【図5】本発明の蛍光体を陽極に有する蛍光表示管を連
続点灯させた場合、初期の輝度を100とした時の輝度
の相対値と連続点灯時間との関係を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 蟹江 壽 千葉県松戸市新松戸3−1−1パークハウ ス新松戸311の207

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学式Ga1-x Inx N:A(但し0≦
    x<0.8、A=Zn又はMg)で表される蛍光体。
  2. 【請求項2】 原料物質である酸素を含まないガリウム
    化合物と、酸素を含まないインジウム化合物と、酸素を
    含まないドープ物質の中から、少なくとも酸素を含まな
    いガリウム化合物と酸素を含まないドープ物質を含む原
    料物質を選択して混合し、窒素を含む雰囲気内において
    これらを加熱して化学式Ga1-x In x N:A(但し0
    ≦x<0.8、A=Zn又はMg)で表される蛍光体を
    製造する蛍光体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ガリウム化合物が硫化ガリウムであ
    り、前記インジウム化合物が硫化インジウムであり、酸
    素を含まない前記ドープ物質が硫化又は塩化したドープ
    物質である請求項2記載の蛍光体の製造方法。
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