JPH09228603A - 化粧板の取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、化粧版を壁下地に接着する接着剤
の接着力が失われた場合でも、化粧板を保持して脱落を
防止することのできる安全性の高い化粧板の取付構造を
提供することを目的とする。 【解決手段】 化粧板１を建造物の壁下地２に接着剤４
によって接合する化粧板の取付構造において、下地２に
固定される板状の固定片５及び固定片５から斜め上向き
に延びる鉤片６を備えた吊り金具３の鉤片６と、この鉤
片６を受け入れるように斜め上向きに延びるように化粧
板１の裏面に形成された溝１ａとの係合により、化粧板
１を支持したこととした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、建造物の内外装壁
の化粧板の取付構造に係り、詳しくは、化粧板を建造物
における壁下地に接着剤によって接合する様式の化粧板
の取付構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の技術としては、図７，８
に示すように荷重受け金具５０をビス５１を用いて下地
５３に固定し、化粧板５４下縁の左右両端部をこの金具
５０で受け、化粧板５４と下地５３とを接着剤５５によ
り固定するのが一般的である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の取付構造では、火災発生時等に接着剤が溶融した
り、地震の際に接着剤層が破損されたりしてその接着力
を失い、化粧板５４が剥がれ落ちることがある。

【０００４】接着剤による外装用化粧板の接合は、主に
低層建築に適用されるが、低層ではあっても化粧板の落
下は、通行人などに極めて危険である。また、内装用化
粧板にあっては、火災時の剥落により逃げ道を塞いだり
壁面の防火作用を失ったりするという危険性がある。

【０００５】本発明は、上記問題を解決するため、接着
剤の接着力が失われた場合でも、化粧板を保持して脱落
を防止することのできる安全性の高い化粧板の取付構造
を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を達成するた
め、本発明は、化粧板を建造物の壁下地に接着剤によっ
て接合する化粧板の取付構造において、前記下地に固定
される板状の固定片及び該固定片から斜め上向きに延び
る鉤片を備えた吊り金具の該鉤片と、該鉤片を受け入れ
るように斜め上向きに延びるように化粧板の裏面に形成
された溝との係合により、化粧板を支持したことを特徴
とする。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明の第１実施形態につき、以
下に図面を参照しつつ説明する。図１は、化粧板１の取
付構造を示す縦断側面図であり、図２はその正面図を示
している。化粧板１は、取付面を構成する下地２に、吊
り金具３及び接着剤層４を介して取り付けられる。化粧
板１には、陶板、天然石板等、種々の板状材を使用する
ことができる。化粧板１の寸法は、例えば３０〜６０ｃ
ｍ角とすることができる。下地２は、珪酸カルシウム
板、合板、モルタル板、ＰＣ板、中空セメント板、ＡＬ
Ｃ板又は木等、通常の種々の構成とされ得る。

【０００８】図３は吊り金具３の正面図、図４は図３の
Ａ−Ａ線断面図を示している。吊り金具３は、板状の固
定片５と、該固定片から斜め上向きに延びる鉤片６とを
備える。固定片５には、ネジ用の長孔５ａが形成されて
いる。鉤片６の固定片５の面からの傾斜角度αは、５６
゜〜６０゜とされるのが望ましく、通常は、５８゜程度
とされる。これは、６０゜以上では、化粧板１が外れや
すく、５６゜以下では、化粧板１が欠けやすいからであ
る。

【０００９】固定片５には、凹凸を設けることができ、
長孔５ａのある上部５Ｕから、水平に延びる段差５ｂを
経て下地２側から離反し該上部５Ｕに平行に延びる下部
５Ｌが形成され、該下部５Ｌには、下地２側の凹陥した
凹部５ｃが垂直方向に３本延びている。これにより、接
着剤層４のための空間が画定される。これら段部５ｂ及
び凹部５ｃの厚みは、同じ幅とされる。

【００１０】化粧板１の裏面には、鉤片６を挿入するた
め、斜め上方に向いて入る溝１ａが形成されている（図
１）。溝１ａは、化粧板１の上部の左右両端部、上下部
の左右両端部、上部の左右両端部及び中央部、又は上下
部の左右両端部及び中央部等に、２〜６箇所形成され得
る。

【００１１】傾斜角度αは、溝１ａの傾斜角度β（図
１）よりも鋭角に設定し、これにより、鉤片６と溝１ａ
の内側面との間に間隙Ｘを生ぜしめ、化粧板１が風等に
より下方に力を受けて微少移動しても、これを間隙Ｘに
よって吸収することができるよう、鉤片６に弾力性を持
たせておくことが好ましい。そのため、吊り金具３は、
ステンレス等の金属板で形成することができ、その厚み
は、例えば０．３〜１．０ｍｍ、好ましくは０．５ｍｍ
とされる。また、風等により化粧板１に引っ張り力Ｐが
作用した場合、もし鉤片６の基部が溝１ａの切り口１ｂ
に当接していると、切り口１ｂに力Ｆ（図１）が作用
し、溝１ａの底部を起点とするクラックが発生しやすい
（該起点にモーメント力が働く）が、図１に示すように
鉤片６の先端部において溝１ａの底部を支持することと
すれば前記クラックが発生しにくくなる。

【００１２】更に鉤片６は、固定片５の下端に湾曲部５
ｄを介して連接することが望ましい（図５）。湾曲部５
ｄを介することにより、鉤片６と固定片５との連接部位
に働く応力集中を緩和し、吊り金具３の耐久性を向上さ
せることができる。

【００１３】化粧板１の下地２への取り付けは、以下の
手順で行うことができる。

【００１４】先ず、化粧板１の継ぎ目である目地を形成
する位置に、吊り金具３の長孔５ａを位置せしめ、該金
具をビス７で下地２に固定する。ビス７は、下地２の材
質に合わせて、コンクリートビス、ＡＬＣ用ビス、ボー
ドテクスビス等が使用される。吊り金具３は、化粧板１
上方の左右両端部となる位置に取り付ける。次に、下地
２の表面に接着剤層４を塗布する。接着剤層４には、一
液型変成シリコーン系弾性接着剤、一液型エポキシ変成
シリコーン系接着剤、一液型変成エポキシ系接着剤等、
公知の接着剤を使用することができる。接着剤層４の塗
布後、鉤片６を溝１ａに係合させて、化粧板１を吊り金
具３に吊設しつつ、下地２に接合する。必要に応じて、
化粧板１相互の間隙に目地材８を施すことにより、化粧
板１の取付構造が完成する。

【００１５】図６は、吊り金具３の第２実施形態を示し
ている。この例では、上記第１実施形態における吊り金
具３にある段部５ｂ及び凹部５ｃが形成されていない点
を除き、同様の構成であるので同符号を付してその説明
を省略する。

【００１６】上記第１実施形態の吊り金具３では、接着
剤層４の厚さ決めが容易であり、化粧板１の重量による
撓みが少ない点で優れており、第２実施形態の吊り金具
３′では、構造が簡単なため、製造が容易である点で優
れている。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る化粧
板の取付構造によれば、化粧板を下地に固定する接着剤
が接着力を失っても、吊り金具の斜め上向きの鉤片と化
粧板に形成された斜め上向きの溝との係合によって化粧
板が吊設されているので、化粧板の脱落が防止され、安
全性が保証される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る化粧板の取付構造の一実施形態を
示す縦断側面図である。

【図２】図１の正面図である。

【図３】図１の吊り金具を示す正面図である。

【図４】図３のＡ−Ａ線断面図である。

【図５】好ましい形態の吊り金具を用いた化粧板の取付
構造を示す縦断側面図である。

【図６】本発明の構成要素である吊り金具の第２実施形
態を示す斜視図である。

【図７】従来の化粧板の取付構造を示す縦断側面図であ
る。

【図８】図７の取付構造の正面図である。

【符号の説明】

１ 化粧板 １ａ 溝 ２ 下地 ３ 吊り金具 ４ 接着剤層 ５ 固定片 ６ 鉤片

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 化粧板を建造物の壁下地に接着剤によっ
   て接合する化粧板の取付構造において、 前記下地に固定される板状の固定片及び該固定片から斜
   め上向きに延びる鉤片を備えた吊り金具の該鉤片と、該
   鉤片を受け入れるように斜め上向きに延びるように化粧
   板の裏面に形成された溝との係合により、化粧板を支持
   したことを特徴とする化粧板の取付構造。