JPH09228540A - 葺き下ろし用鋼製天井フレーム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】葺き下ろし部を簡単に施工することのできる葺
き下ろし用鋼製天井フレームを提供する。 【解決手段】一対のランナー２と、これら一対のランナ
ー２の各端部にそれぞれ連結された一対の勾配ランナー
３と、これら一対の勾配ランナー３間においてランナー
２に沿って摺動自在に嵌合された野縁４からなり、勾配
ランナー３は、葺き下ろし部の勾配に一致する傾斜角度
の傾斜面３ａを有するとともに、その傾斜面３ａが平行
となるように配置されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、葺き下ろし用鋼製
天井フレームに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、天井は、梁間に渡した吊り木受
けと天井板が貼り付けられた野縁との間を吊り木で接続
するとともに、間仕切りパネルに設けた廻縁で天井板の
周縁を固定して構成されている。このような天井構造の
場合、間仕切りパネルで仕切った部屋毎に吊り木受け、
天井板、野縁、吊り木および廻縁の施工を行わなければ
ならず、多くの作業時間が必要となるばかりでなく、費
用が嵩むという問題があった。

【０００３】このため、出願人の出願に係る特開平６−
１９３１８８号公報に記載されるように、木桟材を矩形
に枠組みしてパネル化し、この天井パネルを天井吊り金
具で梁に吊り下げて天井を形成した後、間仕切りパネル
で間仕切りすることが提案されている。そして、前述し
た天井パネルを用いて天井を形成する際、葺き下ろし部
についても同様に施工することが知られている（出願人
の出願に係る特開平６−２００５８６号公報参照）。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た天井パネルを天井吊り金具で吊り下げて葺き下ろし部
を施工する場合、天井パネルの取り付けに先立って、葺
き下ろし部の壁際（勾配の下側）に面して配設される天
井パネルの一辺と当接可能な当たり止めを内壁枠に固定
しなければならず、二重手間になる他、現場において葺
き下ろし勾配に合わせた当たり止めを製作しなければな
らず、作業が煩雑になるという問題があった。

【０００５】なお、天井の不燃化および天井下地強度の
向上を目的として、出願人は、特開平６−２４０８０２
号公報に記載されるように、鋼材を矩形に枠組みして鋼
製天井フレームを形成し、この鋼製天井フレームを前述
した天井吊り金具で梁に固定することにより天井を施工
することも提案しているが、このような鋼製天井フレー
ムを前述の天井パネルに代えて用いても、葺き下ろし梁
の勾配に合わせた当たり止めを必要とすることから、同
様の問題点を有するものである。

【０００６】本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたもので、葺き下ろし部を簡単に施工することのでき
る葺き下ろし用鋼製天井フレームを提供するものであ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、本発明は、一対のランナーおよび一対のランナ
ーの各端部にそれぞれ連結された一対の勾配ランナーと
によって矩形に枠組みされるとともに、これらの勾配ラ
ンナー間にランナーに沿って摺動自在に嵌合された複数
本の野縁からなり、前記一対の勾配ランナーは、葺き下
ろし部の勾配に合致する勾配の傾斜面を有するととも
に、その傾斜面が平行となるように連結されていること
を特徴とするものである。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。

【０００９】図１には、本発明の葺き下ろし用鋼製天井
フレームが示されており、この葺き下ろし用鋼製天井フ
レーム１は、亜鉛メッキ鋼板をロール成形によって断面
コ字状に折曲された２本のランナー２、葺き下ろし勾配
に一致する勾配の傾斜面３ａを有する、断面略コ字状に
折曲された２本の勾配ランナー３および断面略方形に折
曲された複数本の野縁４を組み合わせて形成されてい
る。

【００１０】具体的には、２本のランナー２，２をその
溝部が対向するように配置し、これらのランナー２の一
端に一方の勾配ランナー３をその溝部が内方を向くよう
に下側からビスｂ（図５参照）を打ち込んで固定し、ま
た、ランナー２の他端に他方の勾配ランナー３をその溝
部が内方を向くように、かつ、その傾斜面３ａが一方の
勾配ランナー３の傾斜面３ａと平行となるように下側か
らビスｂを打ち込んで固定し、矩形の枠組みを形成する
とともに、この枠組みを形成するランナー２に摺動自在
に嵌合された複数本の野縁４、すなわち、各勾配ランナ
ー３の端縁にそれぞれ接する野縁４およびこの野縁４間
に配置された複数本の野縁４をそれぞれ粘着テープなど
でランナー２に仮止めして構成されている。

【００１１】そして、ランナー２に嵌め込まれた野縁４
は、粘着テープを除去することによってランナー２の溝
部に沿って摺動可能である他、葺き下ろし用鋼製天井フ
レーム１の枠組みを形成する勾配ランナー３は、ビスｂ
を抜くことによってランナー２との固定を解除すること
ができ、ランナー２との固定位置を調整したり、ランナ
ー２の端縁部を切断した後、再びビス止めできるように
なっている。また、野縁４の側面には、凹凸部（図５参
照）が形成されて曲げ強度の向上が図られている。

【００１２】この葺き下ろし用鋼製天井フレーム１は、
葺き下ろし部の大きさに対応できるように、縦寸法と横
寸法が標準化されており、例えば、ほぼ畳１畳に相当す
る１ｍ×２ｍを基準として複数種類の大きさが用意され
ている他、葺き下ろし部の勾配の変化に対応できるよう
に、傾斜面３ａの勾配が異なる複数種類の勾配ランナー
３が用意されている。したがって、長さの異なるランナ
ー２と、傾斜面３ａの勾配および長さの異なる勾配ラン
ナー３と、長さの異なる野縁４を組み合わせることによ
り、葺き下ろし部の大きさと葺き下ろし勾配に対応する
葺き下ろし用鋼製天井フレーム１を形成することができ
る。

【００１３】一方、前述した葺き下ろし用鋼製天井フレ
ーム１を葺き下ろし梁Ｈ１に吊り下げる天井吊り金具５
は、図２および図３に示すように、葺き下ろし梁Ｈ１に
取り付け可能な吊り金具６と、葺き下ろし用鋼製天井フ
レーム１の野縁４に嵌め込み可能な野縁金具７と、吊り
金具６に螺合された連結ボルト８と、この連結ボルト８
に螺合され、野縁金具７を挾持する一対のナット９から
構成されている。

【００１４】吊り金具６は、葺き下ろし梁Ｈ１のリップ
ｈ１に差し込み可能な切欠部６ａが形成されるととも
に、この切欠部６ａと対向する端縁近傍にナット６ｂが
溶着されて構成され、詳細には図示しないが、切欠部６
ａを閉鎖するようにＬ字状に折曲された板バネが設けら
れている。したがって、吊り金具６の切欠部６ａを葺き
下ろし梁Ｈ１のリップｈ１に差し込んだ際、板バネがリ
ップｈ１を挾み込むと同時に、葺き下ろし梁Ｈ１の下面
に係合するようになっており、吊り金具６を脱落するこ
となく葺き下ろし梁Ｈ１に取り付けることができる。

【００１５】野縁金具７は、葺き下ろし用鋼製天井フレ
ーム１の野縁４の外周面を包囲できるように略ｂ字状に
折曲された野縁金具本体７ａと、この野縁金具本体７ａ
にスポット溶接で一体に溶着された断面Ｌ字状の取付金
具７ｂからなり、野縁金具本体７ａは薄板で、取付金具
７ｂはそれよりも厚板でそれぞれ形成されている。そし
て、野縁金具本体７ａおよび取付金具７ｂには、連結ボ
ルト８を挿通させることのできる穴がそれぞれ形成され
ており、これらの穴に連結ボルト８が挿通された際、連
結ボルト８に螺合された一対のナット９を介して野縁金
具本体７ａと取付金具７ｂとを上下から挾み込み、挾持
できるようになっている。

【００１６】このように構成した天井吊り金具５を用い
て葺き下ろし用鋼製天井フレーム１を吊り下げて葺き下
ろし部を施工するには、壁際となる葺き下ろし部の下側
から順に葺き下ろし用鋼製天井フレーム１を取り付け
る。まず、葺き下ろし梁Ｈ１に対する葺き下ろし用鋼製
天井フレーム１の取り付け高さに合わせて吊り金具６の
切欠部６ａの先端と上方のナット９との間隔を予め調整
した後、吊り金具６の切欠部６ａを葺き下ろし梁Ｈ１の
リップｈ１に差し込み、連結ボルト８を有する吊り金具
６を葺き下ろし梁Ｈ１に取り付ける。一方、野縁金具７
の野縁金具本体７ａを押し開き、葺き下ろし用鋼製天井
フレーム１の枠組みを形成する上方の勾配ランナー３に
隣接する野縁４に外側から嵌め込む。

【００１７】次いで、勾配ランナー３の傾斜面３ａが垂
直面となるように配置し、予め内壁枠Ｗ（図４参照）の
壁面に墨出しした墨出し線に葺き下ろし用鋼製天井フレ
ーム２の枠組みを形成する他方のランナー２および下方
の勾配ランナー３の傾斜面３ａ端縁をそれぞれ沿わせた
後、これらの他方のランナー２および下方の勾配ランナ
ー３をその溝部を通して内壁枠Ｗの壁面コーナー部にビ
ス打ちする。この際、下方の勾配ランナー３のビス打ち
に支障がないように、その勾配ランナー３に隣接する野
縁４をランナー２に沿って上方に向けて摺動させてお
く。このようにして葺き下ろし用鋼製天井フレーム１の
他方のランナー２および下方の勾配ランナー３のビス打
ちが終了すれば、連結ボルト８を野縁金具７の野縁金具
本体７ａおよび取付金具７ｂに形成された穴に挿通させ
た後、連結ボルト８にナット９を螺合させ、野縁金具７
を取り付ける。

【００１８】この結果、壁際の葺き下ろし用鋼製天井フ
レーム１を支持することができる。すなわち、葺き下ろ
し用鋼製天井フレーム１の枠組みを形成する他方のラン
ナー２および下方の勾配ランナー３が内壁枠Ｗの壁面に
ビス打ちされ、その枠組みを形成する上方の勾配ランナ
ー３に隣接する野縁４の、一方のランナー２近傍が葺き
下ろし梁Ｈ１に天井吊り金具５を介して吊り下げられる
ものである。これで、１枚目の葺き下ろし用鋼製天井フ
レーム２の取り付けが完了する。

【００１９】また、壁際の葺き下ろし用鋼製天井フレー
ム１に続いて２枚目の葺き下ろし用鋼製天井フレーム１
を取り付けるには、葺き下ろし用鋼製天井フレーム１を
内壁枠Ｗの壁面に付けられた墨出し線と１枚目の葺き下
ろし用鋼製天井フレーム１の枠組みを形成する上方の勾
配ランナー３の傾斜面３ａに、２枚目の葺き下ろし用鋼
製天井フレーム１の枠組みを形成する他方のランナー２
および下方の勾配ランナー３の傾斜面３ａをそれぞれ沿
わせた後、他方のランナー２を内壁枠Ｗの壁面に、下方
の勾配ランナー３を１枚目の葺き下ろし用鋼製天井フレ
ーム２の枠組みを形成する上方の勾配ランナー３にそれ
ぞれその溝部を通してビス打ちする。

【００２０】この際、１枚目の葺き下ろし用鋼製天井フ
レーム１の枠組みを形成する上方の勾配ランナー３の傾
斜面３ａと、２枚目の葺き下ろし用鋼製天井フレーム１
の枠組みを形成する下方の勾配ランナー３の傾斜面３ａ
とは、垂直面において面接触するものである。そして、
予め葺き下ろし梁Ｈ１に取り付けられた吊り金具６に螺
合されている連結ボルト８を野縁金具７の野縁金具本体
７ａおよび取付金具７ｂに形成された穴に挿通させた
後、連結ボルト８にナット９を螺合させ、野縁金具７を
取り付ける。

【００２１】この結果、２枚目の葺き下ろし用鋼製天井
フレーム１の枠組みを形成する他方のランナー２が内壁
枠Ｗの壁面にビス打ちされ、その下方の勾配ランナー３
が１枚目の葺き下ろし用鋼製天井フレーム１の枠組みを
形成する上方の勾配ランナー３にビス打ちされ、さら
に、その上方の勾配ランナー３に隣接する野縁４の、一
方のランナー２近傍が葺き下ろし梁Ｈ１に天井吊り金具
５を介して吊り下げられる。これで、２枚目の葺き下ろ
し用鋼製天井フレーム１の取り付けが完了する。

【００２２】このように、１枚の葺き下ろし用鋼製天井
フレーム１によって、もしくは、複数枚の葺き下ろし用
鋼製天井フレーム１を連結してそれぞれ葺き下ろし部が
形成される場合において、その葺き下ろし部における最
上の葺き下ろし用鋼製天井フレーム１の枠組みを形成す
る上方の勾配ランナー３の傾斜面３ａを、図２および図
４に示すように、鋼製天井フレーム１０のランナー野縁
１１の外面に沿わせてビス打ちし、鋼製天井フレーム１
０と固定すればよい。この場合においても、上方の勾配
ランナー３のビス打ちに支障がないように、上方の勾配
ランナー３に隣接する野縁４をランナー２に沿って下方
に向けて摺動させておけばよい。

【００２３】この際、取り付け誤差が発生した場合は、
ビスｂを緩めてランナー２と勾配ランナー３との固定を
解除した後、勾配ランナー３をランナー２に対して鋼製
天井フレーム１０のランナー野縁１１に密着するように
移動させてビス打ちし、再びビスｂをランナー２との間
に打ち込んで固定すればよい。

【００２４】また、２列目の葺き下ろし用鋼製天井フレ
ーム１についても同様にビス打ちして固定する。この２
列目の葺き下ろし用鋼製天井フレーム１の施工に際して
は、その枠組みを形成する他方のランナー２が先に施工
された１列目の葺き下ろし用鋼製天井フレーム１の枠組
みを形成する一方のランナー２にビス打ちされるもので
ある。

【００２５】このようにして葺き下ろし部を施工した
後、天井高さを調整する場合は、その設定寸法に合わせ
て連結ボルト８の下端に形成された溝にドライバーを差
し込んで回転させることにより、葺き下ろし梁Ｈ１に取
り付けられた吊り金具６に対して連結ボルト８を昇降さ
せ、下側のナット９を位置決めすればよい。次いで、上
側のナット９を締め付けて野縁金具７を一対のナット９
で挾み込み、挾持することにより、調整された天井高さ
に固定することができる。

【００２６】この結果、葺き下ろし用鋼製天井フレーム
１を壁際から順にビス打ちするとともに、天井吊り金具
５を介して吊り下げていくことによって葺き下ろし部を
簡単に施工することができる。

【００２７】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、一対のラ
ンナーおよび一対のランナーの各端部にそれぞれ連結さ
れた一対の勾配ランナーとによって矩形に枠組みされる
とともに、これらの勾配ランナー間にランナーに沿って
摺動自在に嵌合された複数本の野縁からなり、前記一対
の勾配ランナーは、葺き下ろし部の勾配に合致する勾配
の傾斜面を有するとともに、その傾斜面が平行となるよ
うに連結されていることにより、天井吊り金具を介して
葺き下ろし用鋼製天井フレームを壁際から順に配設する
ことによって葺き下ろし部を簡単に施工することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の葺き下ろし用鋼製天井フレームを示す
斜視図である。

【図２】葺き下ろし用鋼製天井フレームの天井吊り金具
の側面図である。

【図３】図２の天井吊り金具の正面図である。

【図４】葺き下ろし用鋼製天井フレームを天井吊り金具
を介して葺き下ろし梁に吊り下げて形成される葺き下ろ
し部の側面図である。

【図５】本発明の葺き下ろし用鋼製天井フレームと天井
吊り金具との関係を一部省略して示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 葺き下ろし用鋼製天井フレーム ２ ランナー ３ 勾配ランナー ４ 野縁 ５ 天井吊り金具 ６ 吊り金具 ７ 野縁金具 ８ 連結ボルト ９ ナット Ｈ１ 葺き下ろし梁 Ｗ 内壁枠

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一対のランナーおよび一対のランナーの
   各端部にそれぞれ連結された一対の勾配ランナーとによ
   って矩形に枠組みされるとともに、これらの勾配ランナ
   ー間にランナーに沿って摺動自在に嵌合された複数本の
   野縁からなり、前記一対の勾配ランナーは、葺き下ろし
   部の勾配に合致する勾配の傾斜面を有するとともに、そ
   の傾斜面が平行となるように連結されていることを特徴
   とする葺き下ろし用鋼製天井フレーム。