JPH09227695A - 摺動性樹脂成形品 - Google Patents

摺動性樹脂成形品

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JPH09227695A
JPH09227695A JP3357296A JP3357296A JPH09227695A JP H09227695 A JPH09227695 A JP H09227695A JP 3357296 A JP3357296 A JP 3357296A JP 3357296 A JP3357296 A JP 3357296A JP H09227695 A JPH09227695 A JP H09227695A
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JP
Japan
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resin
liquid crystalline
polyester resin
weight
crystalline polyester
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Application number
JP3357296A
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English (en)
Inventor
Harufumi Murakami
治史 村上
Takayuki Ishikawa
貴之 石川
Kazuhito Kobayashi
和仁 小林
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Polyplastics Co Ltd
Original Assignee
Polyplastics Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 曲げ弾性率等の機械的特性に優れ、且つ摩耗
特性の優れ優れた摺動性成形品を得る。 【解決手段】 (a) 溶融時に異方性相を形成し得ない熱
可塑性樹脂と(b) 異方性溶融相を形成し得る液晶性ポリ
エステル樹脂を共に配合し、(a) 熱可塑性樹脂のマトリ
ックス中に(b) 液晶性ポリエステル樹脂を繊維の形で存
在させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融時に異方性相
を形成し得ない熱可塑性樹脂と液晶性ポリエステル樹脂
とのブレンド樹脂組成物からなり、液晶性ポリエステル
樹脂が熱可塑性樹脂のマトリックス中に繊維の形で存在
する成形品に関し、更に詳しくは、摺動性、特に摩耗特
性に優れ、機械物性に優れた上記樹脂組成物からなる成
形品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】熱可塑
性樹脂は、種々の成形品の成形材料としてごく一般的に
使用されており、耐熱性、機械的特性の向上のために、
ガラス繊維等の無機充填材が配合されている。特に、曲
げ弾性率等の機械的特性の向上には、ガラス繊維等の繊
維状充填材が効果的である。しかしながら、ガラス繊維
等の繊維状充填材の使用は、摩擦特性に非常に悪い影響
を及ぼしている。つまり、配合物であるガラス繊維が摺
動する相手材を傷付けたり等、摩擦特性、特に耐摩耗特
性において、悪い結果となっていた。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記問題点に
鑑み鋭意検討を行った結果、(a) 異方性溶融相を形成し
得ない熱可塑性樹脂と(b) 液晶性ポリエステル樹脂を共
に配合し、(a) 熱可塑性樹脂のマトリックス中に(b) 液
晶性ポリエステル樹脂を繊維の形で存在させることによ
り、曲げ弾性率等の機械的特性に優れ、かつ摩擦特性の
優れた摺動性成形品を得られることを見出し、本発明を
完成するに至った。即ち本発明は、(a) 溶融時に異方性
を形成し得ない熱可塑性樹脂と(b) 異方性溶融相を形成
し得る液晶性ポリエステル樹脂の比率 (a)/(b) が99/
1〜50/50である樹脂組成物からなる成形品であり、
(b) 液晶性ポリエステル樹脂が(a) 成分のマトリックス
中に繊維の形で存在することを特徴とする樹脂成形品で
ある。
【0004】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成を詳細に説明
する。本発明に用いられる(a) 溶融時に異方性相を形成
し得ない熱可塑性樹脂は通常用いられるどのような熱可
塑性樹脂でもかまわなく、例えばポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリ4−メチル−1−ペンテン等のポリオレ
フィン系(共)重合体、ポリエチレンテレフタレート樹
脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系重合体、
ABS樹脂、ポリアリーレンサルファイド樹脂、ポリア
クリレート樹脂、ポリアセタール樹脂及びこれらを主体
とする樹脂等が挙げられる。これらの中では、ポリカー
ボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポ
リエステル系樹脂が好ましく、成形収縮率と線膨張率が
比較的低いポリカーボネート樹脂が特に好ましい。ま
た、摩擦特性が優れているポリアセタール樹脂も本発明
において好ましい樹脂である。
【0005】本発明に使用される(b) 異方性溶融相を形
成し得る液晶性ポリエステルとは、溶融状態で分子配向
が有り、光学的に異方性を示す。溶融状態での異方性観
察は、直交偏光子を利用した慣用の偏光検査法により確
認することができる。より具体的には、異方性溶融相の
確認は、Leitz 偏光顕微鏡を使用し、Leitz ホットステ
ージにのせた溶融試料を窒素雰囲気下で40倍の倍率で観
察することにより実施できる。本発明のポリマーは直交
偏光子の間で検査したときにたとえ溶融静止状態であっ
ても偏光は透過し、光学的に異方性を示す。これは徐々
に加熱した際にはある温度範囲で液晶相に特有の光学模
様として観察できる。又、X線回折においても相に特異
的な回折パターンを観察することができる。熱分析では
一般的に示差走査熱量計が用いられ、各種相転移のエン
トロピー変化や転移温度を測定できる。本発明に使用す
るのに適した液晶性ポリマーは、一般溶剤には実質的に
不溶である傾向を示し、したがって溶液加工には不向き
である。しかし、既に述べたように、これらのポリマー
は普通の溶融加工法により容易に加工することができ
る。本発明で用いられる異方性溶融相を示すポリエステ
ルは、芳香族ポリエステル及び芳香族ポリエステルアミ
ドが好ましく、芳香族ポリエステル及び芳香族ポリエス
テルアミドを同一分子鎖中に部分的に含むポリエステル
も好ましい例である。特に好ましくは、芳香族ヒドロキ
シカルボン酸、芳香族ヒドロキシルアミン、芳香族ジア
ミンの群から選ばれた少なくとも1種以上の化合物を構
成成分として有する液晶性芳香族ポリエステル、液晶性
芳香族ポリエステルアミドである。より具体的には、 1)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体
の1種又は2種以上からなるポリエステル 2)主として a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種
又は2種以上と b)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びその
誘導体の1種又は2種以上と c)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール
及びその誘導体の少なくとも1種又は2種以上とからな
るポリエステル 3)主として a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種
又は2種以上と b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン及びその
誘導体の1種又は2種以上と c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びその
誘導体の1種又は2種以上とからなるポリエステルアミ
ド 4)主として a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種
又は2種以上と b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン及びその
誘導体の1種又は2種以上と c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びその
誘導体の1種又は2種以上と d)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール
及びその誘導体の少なくとも1種又は2種以上とからな
るポリエステルアミドが挙げられる。
【0006】更に上記の構成成分に必要に応じ分子量調
整剤を併用しても良い。本発明の液晶性ポリエステルを
構成する具体的化合物の好ましい例は、2,6 −ナフタレ
ンジカルボン酸、2,6 −ジヒドロシキナフタレン、1,4
−ジヒドロキシナフタレン及び6−ヒドロキシ−2−ナ
フトエ酸等のナフタレン化合物、4,4'−ジフェニルジカ
ルボン酸、4,4'−ジヒドロキシビフェニル等のビフェニ
ル化合物、p−ヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、ハ
イドロキノン、p−アミノフェノール及びp−フェニレ
ンジアミン等のパラ位置換のベンゼン化合物及びそれら
の核置換ベンゼン化合物(置換基は塩素、臭素、メチ
ル、フェニル、1−フェニルエチルより選ばれる)、イ
ソフタル酸、レゾルシン等のメタ位置換のベンゼン化合
物である。その具体的化合物の好ましい例は、2,6 −ナ
フタレンジカルボン酸、2,6 −ジヒドロキシナフタレ
ン、1,4 −ジヒドロキシナフタレン及び6−ヒドロキシ
−2−ナフトエ酸等のナフタレン化合物、4,4'−ジフェ
ニルジカルボン酸、4,4'−ジヒドロキシビフェニル等の
ビフェニル化合物、下記一般式(I)、(II)又は(II
I)で表される化合物:
【0007】
【化1】
【0008】(但し、X :アルキレン(C1〜C4)、アル
キリデン、-O- 、-SO-、-SO2- 、-S-、-CO-より選ばれ
る基 Y :-(CH2)n-(n =1〜4)、-O(CH2)nO-(n =1〜
4)より選ばれる基)である。又、本発明に使用される
液晶性ポリエステルは、上述の構成成分の他に同一分子
鎖中に部分的に異方性溶融相を示さないポリアルキレン
テレフタレートであってもよい。この場合のアルキル基
の炭素数は2乃至4である。上述の構成成分の内、ナフ
タレン化合物、ビフェニル化合物、パラ位置換ベンゼン
化合物より選ばれる1種若しくは2種以上の化合物を必
須の構成成分として含むものが更に好ましい例である。
又、p−位置換ベンゼン化合物の内、p−ヒドロキシ安
息香酸、メチルハイドロキノン及び1−フェニルエチル
ハイドロキノンは特に好ましい例である。構成成分とな
るエステル形成性の官能基を有する化合物の具体例及び
本発明で用いられるのに好ましい異方性溶融相を形成す
るポリエステルの具体例については特公昭63−36633号
公報に記載されている。上記の芳香族ポリエステル及び
ポリエステルアミドはまた、60℃でペンタフルオロフェ
ノールに 0.1重量%濃度で溶解したときに、少なくとも
約 2.0dl/g、例えば約 2.0〜10.0dl/gの対数粘度
(I.V.)を一般に示す。
【0009】本発明において、(a) 熱可塑性樹脂と(b)
液晶性ポリエステル樹脂の比率(a)/(b) は、99/1〜5
0/50、好ましくは99/1〜80/20である。 (a)/(b)
が99/1より大きいと、繊維化した液晶性ポリエステル
樹脂が実質的な補強効果を示さず、(a) 熱可塑性樹脂の
みの性能に対しほとんど優位性を示さない。又、(a)/
(b) が50/50より低いと、マトリックスが(b) 液晶性ポ
リエステル樹脂になるため、熱可塑性樹脂の特性が生か
されなくなり、好ましくない。又、摺動性の面では、
(a)/(b) が、80/20以上で十分であり、経済性の点
で、 (a)/(b) は、99/1〜80/20が好ましい。
【0010】次に、本発明は、(c) 成分としてシラン化
合物を配合することが層剥離の点で好ましい。ここで、
シラン化合物は、ビニルアルコキシシラン、アミノアル
コキシシラン、メルカプトアルコキシシランより選ばれ
る1種もしくは2種以上であり、ビニルアルコキシシラ
ンとしては、例えばビニルトリエトキシシラン、ビニル
トリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエト
キシ)シランなど、またアミノアルコキシシランとして
は、例えばγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ
−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチ
ル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フ
ェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなど、
メルカプタン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシ
ランなどが挙げられる。(c) シラン化合物の配合量は、
(a) 成分と(b) 成分からなる樹脂成分 100重量部に対し
0.01〜3.0 重量部、好ましくは0.03〜1.5 重量部であ
る。(c) 成分の配合量が0.01重量部より少ないと層剥離
の改善が見られず、又、 3.0重量部より多くても弾性
率、強度の低下をもたらし好ましくない。
【0011】次に本発明の樹脂成形品には、使用目的に
応じて各種の粉粒状、板状の無機充填剤が配合されてい
てもかまわない。粉粒状充填剤としては、カーボンブラ
ック、黒鉛、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス
バルーン、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリ
ン、タルク、クレー、珪藻土、ウォラストナイトの如き
珪藻塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナの如
き金属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの
如き金属の硫酸塩、その他フェライト、炭化硅素、窒化
硅素、窒化ほう素、各種金属粉末等が挙げられる。ま
た、板状充填剤としては、マイカ、ガラスフレーク、各
種の金属箔等が挙げられる。これらの無機充填剤は一種
又は二種以上併用することが出来、摺動性の点では、黒
鉛、タルク、ウォラストナイト等が好ましい。ここで、
無機充填剤の配合量は、(a) 成分と(b) 成分からなる樹
脂成分100 重量部に対し、1〜200 重量部、特に1〜10
0 重量部が好ましい。また、シリコーンオイル、ポリエ
チレンワックス、金属石鹸等の摩擦特性を向上させる滑
剤、潤滑剤を配合することも可能である。
【0012】本発明の樹脂成形品は、(b) 液晶性ポリエ
ステル樹脂が(a) 熱可塑性樹脂のマトリックス相に繊維
の形でミクロ分散しており、これにより、液晶性ポリエ
ステル樹脂が繊維補強材の役目をし、熱可塑性樹脂の補
強が可能となり、機械的物性に優れた成形品が得られる
のである。ここでいう繊維化とは、液晶性ポリエステル
樹脂がアスペクト比6以上の繊維状又は針状構造となる
ことであり、繊維化した幹繊維に対し枝分かれした繊維
構造を有するものも含まれる。本発明は、液晶性ポリエ
ステル樹脂を繊維化することにより、摺動性が良好で、
且つガラス繊維強化樹脂並の剛性を実現したものであ
る。本発明では、摺動性において特に比摩耗量が非常に
少なく、使用する熱可塑性樹脂(a) の種類には関係な
く、金属と摺動させた場合の樹脂の比摩耗量が20.0×10
-2(mm3/kgf・km)以下となっており、熱可塑性樹脂単
一のものに比べて顕著な効果を示している。
【0013】更に、成形時に液晶性ポリエステル樹脂を
繊維化するためには、燐化合物を配合することが好まし
い。熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂、特にポリカー
ボネート樹脂の場合、液晶性ポリエステル樹脂がポリカ
ーボネート樹脂のマトリックス中に島状の分散をせず、
成形等をしても繊維化しない場合があり、燐化合物を配
合する効果が顕著である。この燐化合物としては、燐化
物類、燐酸化合物類、亜燐酸化合物類等が挙げられ、例
えばテトラキス(2,4 −ジ−t−ブチルフェニル)−4,
4'−ビフェニレンフォスフォナイト、ビス(2,6 −ジ−
t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトー
ル−ジフォスファイト、ビス(2,4,6 −ジ−t−ブチル
フェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイト、
トリス(2,4 −ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイ
ト等が例示されるが、亜燐酸化合物のものが好ましく、
特にペンタエリスリトール型の亜燐酸化合物が好まし
い。この燐化合物の配合量は、(a) 成分と(b) 成分の合
計 100重量部に対して0.01〜1.0 重量部が好ましく、特
に 0.1〜0.5 重量部配合するのが好ましい。配合量が0.
01重量部未満であると液晶性ポリエステル樹脂を繊維化
する事が困難な場合があり、1.0 重量部を越えて配合す
ると配合した燐化合物のガスが大量に発生し、かえって
機械的特性や成形性を損なうことになる。
【0014】また、本発明の樹脂成形品は、使用目的に
よって熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤等の添加剤、臭素
元素を含む有機化合物、三酸化アンチモン等難燃性を付
与するための添加剤等を配合しても良い。
【0015】次に、(b) 液晶性ポリエステル樹脂が(a)
熱可塑性樹脂のマトリックス相に繊維の形でミクロ分散
している成形品を得る方法としては、 (1) 通常の押出装置により混練し、(b) 液晶性ポリエス
テル樹脂の流動開始温度以上、好ましくは流動開始温度
より10℃以上高い温度、且つ(a) 熱可塑性樹脂の流動開
始温度以上、好ましくは流動開始温度より10℃以上高い
温度で射出成形或いは延伸工程の含まれるフィルム、繊
維等の押出成形により、射出成形の際のせん断力或いは
延伸力で得る方法 (2) 本発明の各成分を混練し、ペレット化する際に、
(a) 、(b) 成分の何れもが溶融加工できる温度で溶融混
練し、(b) 液晶性ポリエステル樹脂をアスペクト比6以
上に繊維化し、そのペレットを用いて、(b) 液晶性ポリ
エステル樹脂の流動開始温度より低く、且つ(a) 熱可塑
性樹脂の流動開始温度以上、好ましくは流動開始温度よ
り10℃以上高い温度で成形する方法 が挙げられる。ペレット化する際に、(b) 液晶性ポリエ
ステル樹脂を繊維化する方法としては、溶融混練操作が
可能な通常の押出機により、ダイ直径とストランド直径
の比率、即ちダイ直径/ストランド直径が1以下、好ま
しくは 0.3以下になるようにストランドの引き取り速度
を調整することにより容易に達成される。また、フィル
ム、繊維の場合も延伸速度を調節することにより容易に
達成される。このペレット化する際に繊維化することに
より、射出成形に限らず、押出成形で得られる比較的厚
肉の成形品やブロー成形等、低い剪断力しかかからない
成形法でも繊維化した液晶性ポリエステル樹脂が存在す
る成形品が得られ、どのような成形法も用いることがで
きる。
【0016】尚、樹脂の流動開始温度とは、樹脂を加熱
昇温させていった際に、外力によって流動性を示す温度
であり、後記の方法により測定できる。
【0017】
【発明の効果】本発明では、液晶性ポリエステル樹脂を
繊維の形で熱可塑性樹脂のマトリックス中に存在させる
ことにより、曲げ弾性率等の機械的特性が優れ、かつ耐
摩耗性の良好な摺動性樹脂成形品を得ることができる。
【0018】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、
評価方法などは以下の通りである。 (曲げ弾性率、曲げ強度)ASTM D 790に従い、曲げ弾性
率(kgf/cm2)、曲げ強度(kgf/cm2)を測定した。 (流動開始温度)毛細管型レオメーター((株)島津製
作所、フローテスターCFT-500 型)を用い4℃/分の昇
温速度で加熱溶融されたサンプル樹脂を 100kgf/cm2
荷重下で、内径1mm、長さ10mmのノズルから押出したと
きに、該サンプル樹脂の溶融粘度が48000 ポイズを示す
温度で表した。各樹脂の流動開始温度を表3に示す。 (液晶性ポリエステル樹脂のアスペクト比)曲げ特性の
測定で用いたものと同様の試験片を流動方向に平行な面
が出るように切削した後、断面を鏡面研磨し、その表面
を電子顕微鏡にて観察し液晶性ポリエステル樹脂成分の
平均アスペクト比を評価した。即ち任意に選んだ液晶性
ポリエステル樹脂ドメイン50個の長さ/太さを測定し平
均値とした。これらは表面上で観察できる長さを測定し
た。評価基準は以下の通りとした。 平均アスペクト比6以上 ○ 平均アスペクト比6未満 × (表面剥離)曲げ特性の測定で用いたものと同様の試験
片を用い、これに粘着テープを貼り付け剥す方法で、は
がれてくる表層の面積を3段階で評価した。評価基準は
以下の通りとした。 0.5 cm2 未満 ○ 0.5 cm2 以上1.0 cm2 未満 △ 1.0 cm2 以上 × (摺動特性)鈴木式摩擦摩耗試験機を用い、面圧10kgf/
cm2 、線速度 4.5cm/sec、接触面積2.0cm2 で、相手材
を金属(S55C)を用い、動摩擦係数、比摩耗量を測定
した。
【0019】実施例1 ポリアセタール樹脂(ポリプラスチックス(株)製、M
25−44、融点 165℃)と液晶性ポリエステル(ユニチカ
(株)製、ロッドランLC3000)との混合比が9:1の
樹脂成分 100重量部を30mmの2軸押出機にて樹脂温度 1
90℃で溶融混練し、ペレット化した。次いで、該ペレッ
トを射出成形機(サイドゲート)にて成形温度190 ℃
(シリンダー設定温度を示す。樹脂温度は通常これより
も高い。)で試験片を成形し、機械的特性、液晶性ポリ
エステル樹脂のアスペクト比、表層剥離、摺動特性を評
価した。結果を表1に示す。 実施例2 ポリアセタール樹脂(ポリプラスチックス(株)製、M
25−44(MI=3.0)、融点 165℃)と液晶性ポリエステ
ル(ユニチカ(株)製、ロッドランLC3000)との混合
比が9:1の樹脂成分 100重量部に、γ−アミノプロピ
ルトリエトキシシランを 0.1重量部配合し、30mmの2軸
押出機にて樹脂温度 190℃で溶融混練し、ペレット化し
た。次いで、該ペレットを射出成形機(サイドゲート)
にて成形温度 190℃(シリンダー設定温度を示す。樹脂
温度は通常これよりも高い。)で試験片を成形し、機械
的特性、液晶性ポリエステル樹脂のアスペクト比、表層
剥離、摺動特性を評価した。結果を表1に示す。 比較例1 ポリアセタール樹脂(ポリプラスチックス(株)製、M
90−44(MI=9.0)、融点 165℃)にガラス繊維を20重
量%配合し、30mmの2軸押出機にて樹脂温度 190℃で溶
融混練し、ペレット化した。次いで、該ペレットを射出
成形機(サイドゲート)にて成形温度 190℃で試験片を
成形し、機械的特性、液晶性ポリエステル樹脂のアスペ
クト比、表層剥離、摺動特性を評価した。結果を表1に
示す。
【0020】実施例3 ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチ
ック(株)製、ユーピロンH−3000)と液晶性ポリエス
テル(ポリプラスチックス(株)製、ベクトラA950)と
の混合比が9:1の樹脂成分 100重量部に、γ−アミノ
プロピルトリエトキシシランを 0.1重量部及びビス(2,
6 −ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリ
スリトール−ジホスファイト 0.2重量部を配合し、30mm
の2軸押出機にて樹脂温度 300℃で溶融混練し、ペレッ
ト化した。次いで、該ペレットを射出成形機(サイドゲ
ート)にて成形温度 300℃(シリンダー設定温度を示
す。樹脂温度は通常これよりも高い。)で試験片を成形
し、機械的特性、液晶性ポリエステル樹脂のアスペクト
比、表層剥離、摺動特性を評価した。結果を表2に示
す。 実施例4〜5 ポリカーボネート樹脂と液晶性ポリエステルとの混合比
を変更した以外は、実施例3と同様にして評価した。結
果を表2に示す。 比較例2 ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチ
ック(株)製、ユーピロンH−3000)を用い、実施例3
と同様の成形機にて成形温度 300℃で試験片を成形し、
評価した。結果を表2に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) 溶融時に異方性相を形成し得ない熱
    可塑性樹脂と(b) 異方性溶融相を形成し得る液晶性ポリ
    エステル樹脂の比率 (a)/(b) が99/1〜50/50である
    樹脂組成物からなる成形品であり、(b) 液晶性ポリエス
    テル樹脂が、(a) 成分のマトリックス中に繊維の形で存
    在していることを特徴とする摺動性樹脂成形品。
  2. 【請求項2】 (a)/(b) が、99/1〜80/20である請
    求項1記載の摺動性樹脂成形品。
  3. 【請求項3】 (a) 成分と(b) 成分とからなる樹脂成分
    100重量部に対して、(c) ビニルアルコキシシラン、ア
    ミノアルコキシシラン及びメルカプトアルコキシシラン
    より選ばれる少なくとも1種のシラン化合物を0.01〜3.
    0 重量部配合してなる樹脂組成物からなる請求項1又は
    2記載の摺動性樹脂成形品。
  4. 【請求項4】 (a) 溶融時に異方性相を形成し得ない熱
    可塑性樹脂が、ポリアセタール樹脂である請求項1〜3
    の何れか1項記載の摺動性樹脂成形品。
  5. 【請求項5】 (a) 溶融時に異方性相を形成し得ない熱
    可塑性樹脂が、ポリエステル系樹脂である請求項1〜3
    の何れか1項記載の摺動性樹脂成形品。
  6. 【請求項6】 (a) 溶融時に異方性相を形成し得ない熱
    可塑性樹脂が、ポリカーボネート系樹脂である請求項5
    記載の摺動性樹脂成形品。
  7. 【請求項7】 更に、燐化合物を(a) 成分と(b) 成分か
    らなる樹脂成分100重量部に対し0.01〜1.0 重量部配合
    してなる請求項5又は6記載の摺動性樹脂成形品。
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