JP3822402B2 - 光ピックアップ部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、異方性溶融相を形成しない熱可塑性樹脂と異方性溶融相を形成しうる液晶性ポリマーからなる複合樹脂組成物から形成される、コンパクトディスク、レーザーディスク、ビデオディスク、光磁気ディスク等に用いる光ピックアップ部品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
異方性溶融相を形成し得る液晶性ポリマーは、熱可塑性樹脂の中でも寸法精度、特に光ピックアップ部品において重要な特性である振動吸収特性に優れた、つまり損失係数の少ない材料として知られている。また、光ピックアップ部品においては、共振周波数を高めることも振動特性としては重要なことであり、そのためには弾性率(E)を上げるか、比重(ρ)を下げる、つまり比弾性率(E/ρ)を高めることが必要であるため、液晶性ポリマーに各種充填材の添加が行われてきた。
【0003】
しかし、近年の光ディスクドライブの高倍速化に伴い、光ピックアップの応答性を上げるために軽量な光ピックアップが必要であり、樹脂の低比重化も求められている。ここで、前記の弾性率を上げるために充填材を入れると比重が高くなり比弾性率としては効果が少なく、前記の応答性も悪くなるという問題が発生する。
【0004】
また、液晶性ポリマー以外の樹脂を用い充填材を添加した場合、比重を下げることは可能であるが、樹脂自体の比弾性率、振動吸収特性が劣るため、液晶性ポリマーを用いた場合よりも前記特性が下がるという問題があり、上記の全ての問題を解決できる材料は存在しなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題点に鑑み、低比重であり且つ弾性率に関しても優れた特性を有する素材について鋭意探索、検討を重ねた結果、異方性溶融相を形成しないポリエステル系樹脂に液晶性ポリマーを配合し、更に特定のりん化合物を配合した複合樹脂組成物を光ピックアップ部品の材料とすることにより、振動特性を顕著に向上させ得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち本発明は、異方性溶融相を形成しないポリエステル系樹脂(A) 100 重量部に、異方性溶融相を形成しうる液晶性ポリマー(B) 1〜100 重量部を配合してなる複合樹脂組成物(C) 100 重量部に対し、特定のりんオキソ酸モノエステルおよびジエステル (D) から選ばれる一種または二種以上を 0.001 2.0 重量部配合してなる熱可塑性樹脂組成物から形成されることを特徴とする光ピックアップ部品である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明で使用される異方性溶融相を形成しない熱可塑性樹脂(A) としては、液晶性ポリマー(B) より比重の低い樹脂である必要があり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル−1−ペンテン等のポリオレフィン系(共)重合体、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系重合体、ABS樹脂、ポリアリーレンサルファイド樹脂、ポリアクリレート、ポリアセタール及びこれらを主体とする樹脂等が挙げられる。これらの中では、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等のポリエステル系樹脂が好ましく、成形収縮率と線膨張率が比較的低いポリカーボネート樹脂が特に好ましい。
【0008】
本発明で使用される異方性溶融相を形成しうる液晶性ポリマー(B) とは、溶融状態で分子配向があり、光学的に異方性を示す。この場合の分子配向は分子の長軸方向及びその平行方向に分子が全体として配列しており、この軸と分子の傾きとは必ずしも一致しなくてもよい。異方性溶融相の性質は、直交偏光子を利用した慣用の偏光検査法により確認することができる。より具体的には、異方性溶融相の確認は、Leitz 偏光顕微鏡を使用し、Leitz ホットステージにのせた溶融試料を窒素雰囲気下で40倍の倍率で観測することにより実施できる。本発明に適用できる液晶性ポリマーは、直交偏光子の間で検査したときに、たとえ溶融静止状態であっても偏光は通常通過し光学的に異方性を示す。
【0009】
前記のような液晶性ポリマー(B) としては特に限定されないが、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドであることが好ましく、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドを同一分子鎖中に部分的に含むポリエステルもその範囲にある。これらは、60℃でペンタフルオロフェノールに濃度0.1 重量%で溶解したときに、好ましくは少なくとも約2.0 dl/g、さらに好ましくは2.0 〜10.0dl/gの対数粘度(I.V.)を有するものが使用される。
【0010】
本発明に適用できる液晶性ポリマー(B) としての芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドとして特に好ましくは、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミンの群から選ばれた少なくとも1種以上の化合物を構成成分として有する芳香族ポリエステル、芳香族ポリエステルアミドである。
【0011】
より具体的には、
(1)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸およびその誘導体の1種又は2種以上からなるポリエステル;
(2)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸およびその誘導体の1種又は2種以上と、(b)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸およびその誘導体の1種又は2種以上と、(c)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオールおよびその誘導体の少なくとも1種又は2種以上、とからなるポリエステル;(3)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸およびその誘導体の1種又は2種以上と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミンおよびその誘導体の1種又は2種以上と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸およびその誘導体の1種又は2種以上、とからなるポリエステルアミド;
(4)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸およびその誘導体の1種又は2種以上と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミンおよびその誘導体の1種又は2種以上と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸およびその誘導体の1種又は2種以上と、(d)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオールおよびその誘導体の少なくととと1種又は2種以上、とからなるポリエステルアミドなどが挙げられる。さらに上記の構成成分に必要に応じ分子量調整剤を併用してもよい。
【0012】
本発明に適用できる前記液晶性ポリマー(B) を構成する具体的化合物の好ましい例としては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、下記一般式(V)および下記一般式(VI)で表される化合物等の芳香族ジオール;テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸および下記一般式(VII)で表される化合物等の芳香族ジカルボン酸;p−アミノフェノール、p−フェニレンジアミン等の芳香族アミン類が挙げられる。
【0013】
【化2】
Figure 0003822402
【0014】
本発明が適用される特に好ましい液晶性ポリマー(B) としては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を主構成単位成分とする芳香族ポリエステルである。
【0015】
本発明における光ピックアップ部品を構成する複合樹脂組成物(C) は、前記異方性溶融相を形成しない熱可塑性樹脂(A) と異方性溶融相を形成しうる液晶性ポリマー(B) からなるものであり、異方性溶融相を形成しうる液晶性ポリマー(B) が異方性溶融相を形成しない熱可塑性樹脂(A) のマトリックス相に繊維状に好ましくは平均アスペクト比6以上にミクロ分散していることが必要である。これにより、液晶性ポリマー(B) が繊維補強材の役目をし、熱可塑性樹脂(A) の補強が可能となる。ここでいう繊維化とは、液晶性ポリマー(B) が繊維状又は針状構造となることであり、繊維化した幹繊維に対して枝分かれした繊維構造を有するものも含まれる。液晶性ポリマー(B) が異方性溶融相を形成しない熱可塑性樹脂(A) のマトリックス相に繊維状にミクロ分散した前記複合樹脂組成物(C) は、通常の押出装置により両者を混練し、射出成形の際の剪断力で得られるが、液晶性ポリマー(B) の割合が熱可塑性樹脂(A) の割合よりも多い場合にはマトリックス相が反転してしまう場合があるため、前記複合樹脂組成物(C) 中の組成割合は、異方性溶融相を形成しない熱可塑性樹脂(A) 100 重量部に対し、液晶性ポリマー(B) 1〜100 重量部の範囲にあることが好ましい。
【0016】
更に、本発明においては、上記の通り、成形時に液晶性ポリマー(B) を繊維化するためには、りん化合物を添加することが好ましい。特に異方性溶融相を形成しない熱可塑性樹脂(A) がポリカーボネート樹脂の場合、液晶性ポリマーとポリカーボネート樹脂が島状の分散をせず、射出成形しても繊維化しない場合があり、その効果が顕著である。このりん化合物としては、りんオキソ酸モノエステルおよびジエステル(D) であり、下記一般式(I)、(II)で示されるような物質である。
【0017】
(X)nP(=O)(OR)3-n (I)
(X)nP(OR)3-n (II)
〔式中、n は1または2であり、X は水素原子、水酸基、または一価の有機基であり、複数の場合同一でも異なっていてもよい。R は一価の有機基であり、複数の場合同一でも異なっていてもよい。〕
一般にホスホネート化合物、ホスフィネート化合物、ホスホナイト化合物、ホスフィナイト化合物およびこれらの構造要素を分子内に含む有機りん化合物が該当する。
【0018】
ホスホネート化合物の具体例としては、例えばジメチルホスホネート、ジエチルホスホネート、ジブチルホスホネート、ジ(エチルヘキシル)ホスホネート、ジデシルホスホネート、ジパルミチルホスホネート、ジステアリルホスホネート、ジラウリルホスホネート、ジフェニルホスホネート、ジベンジルホスホネート、ジトルイルホスホネート、ジ(ノニルフェニル)ホスホネート、ジオレイルホスホネート、ジメチルメチルホスホネート、ジエチルメチルホスホネート、ジ(エチルヘキシル)メチルホスホネート、ジパルミチルメチルホスホネート、ジステアリルメチルホスホネート、ジラウリルメチルホスホネート、ジフェニルメチルホスホネート、ジメチルフェニルホスホネート、ジエチルフェニルホスホネート、ジ(エチルヘキシル)フェニルホスホネート、ジパルミチルフェニルホスホネート、ジステアリルフェニルホスホネート、ジラウリルフェニルホスホネート、ジフェニルフェニルホスホネート、ジベンジルフェニルホスホネート等が挙げられる。
【0019】
ホスフィネート化合物の具体例としては、たとえばメチルホスフィネート、エチルホスフィネート、ブチルホスフィネート、エチルヘキシルホスフィネート、パルミチルホスフィネート、ステアリルホスフィネート、ラウリルホスフィネート、フェニルホスフィネート、ベンジルホスフィネート、トルイルホスフィネート、ノニルフェニルホスフィネート、オレイルホスフィネート、エチルメチルホスフィネート、エチルジメチルホスフィネート、(エチルヘキシル)メチルホスフィネート、(エチルヘキシル)ジメチルホスフィネート、パルミチルメチルホスフィネート、パルミチルジメチルホスフィネート、ステアリルメチルホスフィネート、ステアリルジメチルホスフィネート、ラウリルメチルホスフィネート、ラウリルジメチルホスフィネート、フェニルメチルホスフィネート、エチルフェニルホスフィネート、(エチルヘキシル)フェニルホスフィネート、パルミチルフェニルホスフィネート、ステアリルフェニルホスフィネート、ステアリルジフェニルホスフィネート、ラウリルフェニルホスフィネート、ラウリルジフェニルホスフィネート、フェニルフェニルホスフィネート、ベンジルフェニルホスフィネート等が挙げられる。
【0020】
ホスホナイト化合物の具体例としては、たとえばジメチルホスホナイト、ジエチルホスホナイト、ジブチルホスホナイト、ジ(エチルヘキシル)ホスホナイト、ジデシルホスホナイト、ジパルミチルホスホナイト、ジステアリルホスホナイト、ジラウリルホスホナイト、ジフェニルホスホナイト、ジベンジルホスホナイト、ジトルイルホスホナイト、ジ(ノニルフェニル)ホスホナイト、ジオレイルホスホナイト、ジメチルメチルホスホナイト、ジエチルメチルホスホナイト、ジ(エチルヘキシル)メチルホスホナイト、ジパルミチルメチルホスホナイト、ジステアリルメチルホスホナイト、ジラウリルメチルホスホナイト、ジフェニルメチルホスホナイト、ジメチルフェニルホスホナイト、ジエチルフェニルホスホナイト、ジ(エチルヘキシル)フェニルホスホナイト、ジパルミチルフェニルホスホナイト、ジステアリルフェニルホスホナイト、ジラウリルフェニルホスホナイト、ジフェニルフェニルホスホナイト、ジベンジルフェニルホスホナイト等が挙げられる。
【0021】
ホスフィナイト化合物の具体例としては、たとえばメチルホスフィナイト、エチルホスフィナイト、ブチルホスフィナイト、エチルヘキシルホスフィナイト、パルミチルホスフィナイト、ステアリルホスフィナイト、ラウリルホスフィナイト、フェニルホスフィナイト、ベンジルホスフィナイト、トルイルホスフィナイト、ノニルフェニルホスフィナイト、オレイルホスフィナイト、エチルメチルホスフィナイト、エチルジメチルホスフィナイト、(エチルヘキシル)メチルホスフィナイト、(エチルヘキシル)ジメチルホスフィナイト、パルミチルメチルホスフィナイト、パルミチルジメチルホスフィナイト、ステアリルメチルホスフィナイト、ステアリルジメチルホスフィナイト、ラウリルメチルホスフィナイト、ラウリルジメチルホスフィナイト、フェニルメチルホスフィナイト、エチルフェニルホスフィナイト、(エチルヘキシル)フェニルホスフィナイト、パルミチルフェニルホスフィナイト、ステアリルフェニルホスフィナイト、ステアリルジフェニルホスフィナイト、ラウリルフェニルホスフィナイト、ラウリルジフェニルホスフィナイト、フェニルフェニルホスフィナイト、ベンジルフェニルホスフィナイト等が挙げられる。これらの中で、特に一般式(III) で示されるホスホン酸エステルが好ましく用いられる。
【0022】
H(OH)mP(=O)(OR)2-m (III)
〔式中、m は0または1であり、R は一価の有機基である。〕
また、(C) のりん化合物として、上述のホスホネート、ホスフィネート、ホスホナイト、ホスフィナイト構造要素を分子内に含む有機りん化合物も使用できる。その具体例として以下のような化合物が挙げられる。
【0023】
【化3】
Figure 0003822402
【0024】
本発明において、上記の特定のりん化合物を配合することにより、樹脂成分の一部である液晶性ポリマー(B) が低い剪断速度領域でも容易に繊維化するため、成形時の射出速度が遅くても薄肉部はもとより厚肉部の表層からかなり内部まで液晶性ポリマーの繊維化した層が形成され、高強度、高弾性率を発現することができる。即ち、成分の比剛性を高くすることができるのである。この特定のりん化合物(D) の配合量は、複合樹脂組成物(C) 100 重量部に対し0.001 〜2.0 重量部、特に好ましくは0.01〜0.5 重量部である。配合量が 0.001重量部未満であると成形中の液晶性ポリマーを繊維化する効果が少なく、 2.0重量部を超えて配合するとむしろ材料物性を低下させる。
【0025】
更に、本発明に係わる複合樹脂組成物(C) には、場合によっては、本発明の効果を阻害しない範囲で、平均繊維径0.5 〜20μm の繊維状充填材(E) 、及び/又は、平均粒径0.1 〜50μm の粒状充填材(F) を配合してもよい。つまり、充填材を配合することにより、振動特性に重要な比弾性率(E/ρ)を向上させることになるのである。
【0026】
本発明において、平均繊維径0.5 〜20μm (好ましくは平均アスペクト比5以上)の繊維状充填材(E) としては、チョップドガラスファイバー、炭素繊維、ガラスミルドファイバー、炭素ミルドファイバー、ウォラストナイト、ウィスカー、金属繊維、無機系繊維及び鉱石系繊維等の各種繊維が使用可能である。
【0027】
炭素繊維、炭素ミルドファイバーとしては、ポリアクリロニトリルを原料とするPAN系、ピッチを原料とするピッチ系繊維が用いられる。ウィスカーとしては、窒化珪素ウィスカー、三窒化珪素ウィスカー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、炭化珪素ウィスカー、ボロンウィスカー等が用いられ、金属繊維としては、軟鋼、ステンレス、鋼およびその合金、黄銅、アルミニウムおよびその合金、鉛等の繊維が用いられる。無機系繊維としては、ロックウール、ジルコニア、アルミナシリカ、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、炭化珪素、アルミナ、シリカ、高炉スラグ等の各種繊維が用いられる。鉱石系繊維としては、アスベスト等が用いられる。その中でも性能の面および価格の面からチョップドガラスファイバー、ガラスミルドファイバー、炭素ミルドファイバー、ウォラストナイトが好ましい。ミルドファイバーとしては、通常のミルドファイバーの他にニッケル、銅等が金属コートされたミルドファイバー、シランファイバー等も使用可能である。
【0028】
本発明において、粒状充填材(F) とは、繊維状、板状、短冊状の如き特定の方向への広がりを持たない粒状体を意味し、平均アスペクト比が1〜2であるようなものを指す。その平均粒径は、0.1 〜50μm である。粒状充填材としては、具体的には、カオリン、クレー、バーミキュライト、タルク、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、長石粉、酸性白土、ロウ石クレー、セリサイト、シリマナイト、ベントナイト、ガラス粉、ガラスビーズ、スレート粉、シラン等の珪酸塩、炭酸カルシウム、胡粉、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩、バライト粉、沈降性硫酸カルシウム、焼石膏、硫酸バリウム等の硫酸塩、水和アルミナ等の水酸化物、アルミナ、酸化アンチモン、マグネシア、酸化チタン、亜鉛華、シリカ、珪砂、石英、ホワイトカーボン、珪藻土等の酸化物、二硫化モリブデン等の硫化物、金属粉粒体等の材質からなるものである。その中でも価格と性能の面から、ガラスビーズ、タルクおよび酸化チタンが好ましい。
【0029】
弾性率向上を達成するためには、前記繊維状充填材および粒状充填材の添加量、特に繊維状充填材が多いほど良いが、添加量過多は比重の増加、押出性および成形性、特に流動性を悪化させ、更には機械的強度を低下させる。また、添加量が少なすぎても添加量に見合った弾性率が発現されない。そのため繊維状充填材(E) および粒状充填材(F) の添加量は、複合樹脂組成物(C) 100 重量部に対しそれぞれ5〜100 重量部、好ましくは10〜50重量部である。また、(E) 、(F) 成分の総添加量は150 重量部以下、好ましくは100 重量部以下にする必要がある。
【0030】
本発明において使用する繊維状充填材、粒状充填材はそのままでも使用できるが、一般的に用いられる公知の表面処理剤、収束剤を併用することができる。
【0031】
なお、複合樹脂組成物に対し、核剤、カーボンブラック等の顔料、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤、離型剤および難燃剤等の添加剤を添加して、所望の特性を付与した組成物も本発明で言う複合樹脂組成物の範囲に含まれる。
【0032】
本発明の複合樹脂組成物は、異方性溶融相を形成しない熱可塑性樹脂(A) と液晶性ポリマー(B) 、更に特定のりん化合物(D) 、1種若しくは2種以上の充填材(E) 、(F) を用いることにより各々の欠点を補い合うことにより低比重であり、弾性率に優れた材料を得るものであり、更には成形体中の各充填材が均一に分散し、粒状充填材の間に繊維充填材が存在するような分散状態で、より高性能が発揮される。
【0033】
このような複合樹脂組成物を製造するには、両者を前記組成割合で含有し、混練すればよい。通常、押出機で混練し、ペレット状に押し出し、射出成形等に用いるが、この様な押出機による混練に限定されるものではない。本発明の光ピックアップ部品は、上記複合樹脂組成物から通常の成形方法、例えば射出成形により容易に成形される。
【0034】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製、ユーピロンS3000)100 重量部と液晶性ポリマー(ポリプラスチックス(株)製、A950)60重量部からなる樹脂成分に対して、ジオレイルホスホネート(城北化学工業(株)製)0.2 重量部を添加し、更にチョップドガラスファイバー60重量部、マイカ20重量部を添加し、30mmの2軸押出機にて樹脂温度290 ℃で溶融混練し、ペレット化して目的の樹脂組成物を得た。
【0035】
押出し工程は、押出し中、混練物に空気が混入し酸化条件とならないように注意を払い、ベントから減圧操作により揮発成分を除去しながら目的樹脂組成物の調製を行った。
【0036】
次いで、該ペレットを射出成形にて樹脂温度290 ℃で、厚み0.8 、1.6 、6.4 mm、幅12.7mm、長さ131mm の試験片に成形し、下記評価を行った。
(曲げ弾性率)
上記の厚み0.8mm 試験片を用い、ASTM D 790に従って測定した。
(比重)
上記の厚み6.4mm 試験片を用い、ASTM D 792に従って測定した。
(制振性)
上記の厚み1.6mm 試験片を用い、JIS G 0602「制振鋼板の振動減衰特性試験方法」に準じ測定し、周波数100 〜1500Hzでの損失係数により評価を行った。損失係数の逆数は、振動時の振動回数に比例するため、損失係数の逆数が小さいほど振動が早くおさまり(制振性に優れる)、損失係数が大きいほど制振性に優れることになる。
実施例2、比較例1〜4
樹脂組成物として、表1に示す組成のものを用いた以外は実施例1と同様に試験片を成形し、物性を評価した。
【0037】
上記の評価結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0003822402

Claims (7)

  1. 異方性溶融相を形成しないポリエステル系樹脂(A) 100 重量部に、異方性溶融相を形成しうる液晶性ポリマー(B) 1〜100 重量部を配合してなる複合樹脂組成物(C) 100 重量部に対し、下記一般式(I)、( II )で示されるりんオキソ酸モノエステルおよびジエステル (D) から選ばれる一種または二種以上を 0.001 2.0 重量部配合してなる熱可塑性樹脂組成物から形成されることを特徴とする光ピックアップ部品。
    (X) n P(=O)(OR) 3-n (I)
    (X) n P(OR) 3-n II
    〔式中、 n は1または2であり、 X は水素原子、水酸基、または一価の有機基であり、複数の場合同一でも異なっていてもよい。 R は一価の有機基であり、複数の場合同一でも異なっていてもよい。〕
  2. りんオキソ酸モノエステルおよびジエステル (D) が下記一般式 (III) で示されるホスホン酸エステルである請求項1記載の光ピックアップ部品。
    H(OH) m P(=O)(OR) 2-m (III)
    〔式中、 m は0または1であり、 R は一価の有機基である。〕
  3. りんオキソ酸モノエステルおよびジエステル(D) が下記一般式(IV)で示されるホスホン酸エステルである請求項1又は2記載の光ピックアップ部品。
    Figure 0003822402
    〔式中、Y は二価のα,ω−ジオキシ有機基である。〕
  4. 更に平均繊維径 0.5 20 μ m の繊維状充填材 (E) を複合樹脂組成物 (C) 100 重量部に対し5〜 100 重量部配合してなる熱可塑性樹脂組成物から形成される請求項1〜3の何れか1項記載の光ピックアップ部品。
  5. 更に平均粒径 0.1 50 μ m の粒状充填材 (F) を複合樹脂組成物 (C) 100 重量部に対し5〜 100 重量部配合してなる熱可塑性樹脂組成物から形成される請求項1〜4の何れか1項記載の光ピックアップ部品。
  6. 繊維状充填材 (E) がチョップドガラスファイバー、ミルドファイバー、ウォラストナイトから選ばれる1種又は2種以上である請求項4〜5の何れか1項記載の光ピックアップ部品。
  7. 粒状充填材 (F) がマイカ、タルク、酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上である請求項5〜6の何れか1項記載の光ピックアップ部品。
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