JPH09225284A - 釉薬用分散剤 - Google Patents

釉薬用分散剤

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JPH09225284A
JPH09225284A JP8032375A JP3237596A JPH09225284A JP H09225284 A JPH09225284 A JP H09225284A JP 8032375 A JP8032375 A JP 8032375A JP 3237596 A JP3237596 A JP 3237596A JP H09225284 A JPH09225284 A JP H09225284A
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JP
Japan
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pva
glaze
dispersant
reaction
weight
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Application number
JP8032375A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Nishiguchi
宏 西口
Toshio Watanabe
敏雄 渡辺
Akira Kitada
明 北田
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DKS Co Ltd
Original Assignee
Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd
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Publication date
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  • Emulsifying, Dispersing, Foam-Producing Or Wetting Agents (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間の保存後も粘度が安定であって、釉薬
の懸濁安定性(分散性)にも優れている釉薬組成物を得
ること。 【解決手段】 ポリビニルアルコールにアクリルアミド
をマイケル付加反応させ、その後加水分解処理を行って
得た重量平均分子量8,000〜390,000の変性
ポリビニルアルコールを直接乾燥するか、あるいは少量
の有機溶媒で精製した後乾燥して得た変性ポリビニルア
ルコール粉末品を釉薬用分散剤として用いた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は釉薬用分散剤に関
し、詳しくは、瓦、タイル、陶磁器、衛生陶器等に使用
する、粘度安定性および懸濁安定性(分散性)に優れた
釉薬組成物を得ることのできる釉薬用分散剤に関する。
【0002】
【従来の技術】瓦、タイル、陶磁器等の製造時におい
て、表面を釉薬で覆うことにより、素地の表面を液体お
よび気体に対して不透過性とし、素地の表面を覆って被
膜の役目をすることにより美感を与え、同時に強度をア
ップさせる。
【0003】釉薬には、製品の種類から見て、陶磁釉、
磁器釉、炉器釉などがあり、また、主成分から見て、長
石釉薬、石灰釉など数多くのものがある。一般には、成
分の大部分を溶融してフリットとし、これに長石、蛙目
粘土、木節粘土、着色剤として酸化コバルト、酸化銅、
亜鉛華等の金属酸化物を加えたものに分散剤を添加する
ことにより、安定性良好な釉薬が調製されている。
【0004】従来の分散剤としてはデキストリン、アル
ギン酸ソーダ等が使用されていた。これらは、分散作用
により、素地への均一な釉薬の付着作用機能を有してい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したデキストリ
ン、アルギン酸ソーダ等の分散剤を添加することによ
り、確かに、釉薬の当初の分散性は良好なものとなる
が、ある程度の期間保存する場合における分散性には乏
しく、無機物の沈降、不均一な付着現象などといった問
題が発生した。この場合、分散剤の添加量を増していく
と、保存する場合にあってもある程度分散性は良くなる
が、その反面、粘度が高くなるため、素地への釉薬のの
りが悪くなり、作業性の低下、ボールミルによる粉砕効
率の低下をきたし非効率的なものとなった。
【0006】さらに、天然物であるため、安定した品質
のものが得られにくく、また、腐敗しやすいため、特に
夏場における釉薬の保存安定性に問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述の問
題を解消すべく鋭意研究の結果、釉薬の分散剤として特
定の変性ポリビニルアルコール(以下「ポリビニルアル
コール」を「PVA」という)を使用することにより、
前記した不利、欠点を伴うことなく釉薬保存中の分散性
及び保存安定性を顕著に向上させることができることを
確認し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、請求項1に記載の釉薬用分散剤
は、PVAにビニル化合物をマイケル付加反応させて得
られる重量平均分子量8,000〜390,000の変
性PVAよりなる。
【0009】請求項2に記載の釉薬用分散剤は、PVA
にビニル化合物をマイケル付加反応させ、その後加水分
解処理を行って得られる重量平均分子量8,000〜3
90,000の変性PVAよりなる。
【0010】請求項3に記載の釉薬用分散剤は、PVA
にビニル化合物をマイケル付加反応させて得るかあるい
はその後加水分解処理を行なって得た重量平均分子量
8,000〜390,000の変性PVAを、直接乾燥
するか、あるいは少量の有機溶媒で精製した後乾燥して
得られる変性PVA粉末品よりなる。
【0011】請求項4に記載の釉薬用分散剤は、請求項
1〜3のいずれか1項に記載の釉薬用分散剤において、
前記ビニル化合物がアクリルアミドおよび/または2−
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸あるい
はその塩であることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる反応原料とし
てのPVAのけん化度に特に限定はないが、触媒に強ア
ルカリを用いた場合は80%以上が好ましく、99%以
上の完全けん化物が更に好ましい。これは触媒のアルカ
リがけん化により消費されるのを防止するためと、けん
化により生じる副生成物(酢酸塩)の量を抑えるためで
ある。また、PVAの重合度としては50〜10,00
0のものが良い。
【0013】また反応ベース(原料)であるPVAとし
てPVAの変性物を使用してもよい。その変性物として
は、酢酸ビニルとマレイン酸、イタコン酸等の二塩基酸
の共重合物をけん化したカルボキシル変性PVA、酢酸
ビニルと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスル
ホン酸(塩)モノマーとの共重合物をけん化したスルホ
ン酸変性PVA等がある。
【0014】本発明に用いられるビニル化合物としては
アクリロニトリル、アクリルアミド、アクリル酸または
その塩、アクリル酸エステル、2−アクリルアミド−2
−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)またはその塩
(例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム
塩)、ビニルスルホン酸またはその塩、ビニルスルホオ
キサイド、ビニルスルホン、マレイン酸、マレイン酸ジ
エステルなどのノニオン、アニオン性ビニル化合物が挙
げられる。このうち、釉薬組成物の粘度安定性、分散性
の点でアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチ
ルプロパンスルホン酸またはその塩が好ましい。
【0015】本発明に使用する変性PVAの製造方法
は、下記の方法等があるが、いずれの方法によって得ら
れたものでも良い。 イ)PVA水溶液中にてビニル化合物をマイケル付加反
応させる方法。 ロ)ビニル化合物を溶媒懸濁系でPVAにマイケル付加
反応させる方法。 ハ)固形のPVAと液状のビニル化合物とを固−液反応
条件下でマイケル付加反応させる方法。
【0016】前記したハ)の「固−液反応条件」とは、
固体種のPVAと、液状のビニル化合物(あるいはビニ
ル化合物溶解液)とを反応させて変性PVAを製造する
において、前記した固体種のPVAを、反応を通して前
記ビニル化合物に溶解させることなく(溶解しても極僅
か)、固形の状態(粉末の状態)を維持したまま、前記
ビニル化合物との化学反応を進行させ、当該PVAを変
性させる条件のことを言う。
【0017】前記イ)ロ)ハ)の製造方法のうち、高反
応率物質を得るという点でハ)の方法が好ましい。以
下、ハ)の方法について詳しく述べる。
【0018】配合の手順としては、まず粉末のPVA
に、NaOH、KOH、トリエチルアミンなどの触媒を
添加し、次いでビニル化合物を添加する。本発明の添加
順序はこれに限らないが、いずれにしろ、できるだけ均
一に添加することが望ましい。この場合、PVAの高速
撹拌下に薬剤を添加したり、薬剤を噴霧添加する方法な
ども反応を均一に行う上で望ましい。反応に使用する触
媒の量としては、PVAに対し0.5〜100モル%、
ビニル化合物の量としては1〜150モル%の範囲が好
適である。
【0019】これらを横形ブレンダーなどでPVAの粉
末形態を維持しつつ撹拌し、30分〜10時間マイケル
付加反応を行う。マイケル付加反応を行うための適当な
温度は5〜90℃の範囲であり、好ましくは20〜70
℃の範囲である。ビニル化合物の種類(例えば、アクリ
ロニトリル、アクリルアミド等)によっては、この後ア
ルカリ等を添加し加水分解を行うこともできる。この場
合、用途に応じて部分的に加水分解したり、完全に加水
分解することもできる。加水分解物についても、本発明
の変性PVAに該当する。
【0020】加水分解にはNaOH,KOH,LiO
H,NaCO,NHOH等のアルカリ製剤のほ
か、ジメチルアミン等のアルキルアミン類、モノエタノ
ールアミン等のアルカノールアミン類も使用できる。
【0021】更に反応中、系を窒素で置換することによ
り、製品の着色やラジカルによる分子鎖の切断を防止す
ることができる。
【0022】最終的に得られた生成物をそのまま乾燥す
るか、あるいは変性PVAの生成物1重量部に対して1
〜5重量部といった少量のメタノールやイソプロピルア
ルコールなどで精製した後乾燥することで容易に粉末品
(平均粒径150〜1,000μm)を得ることができ
る(乾燥は公知の方法を利用できる)。
【0023】このように、反応後容易に粉末品を得るた
めには、反応を通して反応系の水分量を0〜70重量%
にすることが必要であり、好ましくは0〜50重量%以
下にすることが必要である。反応系の水分量が70重量
%を超えると粉末化が困難となるばかりでなく反応率も
上がりにくい。さらに、水分量が70重量%を超える
と、反応を通してPVAが粉末状態を維持することが困
難となる。反応系の水分量が0重量%に近いほどより粉
末品を得易く、より高い反応率が期待できる。
【0024】なお、反応系の水分量を0重量%とする場
合、ビニル化合物は元来液状のものを用い、あるいは固
形のビニル化合物を用いる場合でも水以外の溶媒を用い
てこれを溶解する。また、触媒も、これが固形の場合で
も液状の場合でも、そのまま使用するか、あるいは、水
以外の溶媒に溶解または希釈して用いる。
【0025】さらに、反応をより均一に行う目的で(す
なわち、反応系内の反応の偏りを防ぐという目的で)、
PVA不溶性溶媒を添加することもできる。このPVA
不溶性溶媒とは、PVAを溶解せず該溶媒中に分散さ
せ、PVAのスラリー(懸濁液)を形成させ得る溶媒を
いい、具体的には、メタノール、イソプロピルアルコー
ル、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
PVA不溶性溶媒を添加することにより、反応中におい
てPVA(既に変性されているものも含め)が、団子状
(塊状)になるのを防ぐという効果も発揮する。
【0026】PVA不溶性溶媒の添加量としては、PV
A1重量部に対し0.1〜5重量部が適当であり、これ
以下だと均一化への寄与が小さく、また、これ以上にな
るとスラリー状となりにくい。
【0027】前記した製造方法で得られたPVA変性体
の変性率は、NMRやIRにより求めることができる。
本検討で得られた変性PVAの変性率は0.5〜45モ
ル%であった。また、その他の変性率を求める手段とし
ては、アニオン変性についてはコロイド滴定が、また窒
素を含む化合物による変性ではセミミクロケルダール法
などが挙げられる。
【0028】本発明における変性PVAの重量平均分子
量(GPCにより測定)の範囲は、8,000〜39
0,000であり、好ましい範囲は25,000〜30
0,000である。8,000未満であれば、これを釉
薬に対する分散剤として用いる場合において、釉薬の粘
度が低くなり過ぎて長期に分散安定化させることが困難
となるという問題があり、390,000を超えると、
変性PVAの製造が困難となるという問題がある。
【0029】なお、GPCにおける溶離液として0.1
規定NaCl水溶液を用い、東ソー(株)製カラム4本
(TSKgelG2500PW,G3000PW,G4
000PW,G5000PW)を直列に繋いで測定し
た。
【0030】本発明の釉薬用分散剤の配合割合としては
特に限定はないが、釉薬(固型分)に対し、その0.0
1〜2重量%であることが好適である。0.01重量%
未満では安定な釉薬としての寿命が短縮され、2重量%
を超えると釉薬組成物とした場合にスラリーの粘度が急
上昇し、その取り扱い、特に送液が困難となる。また不
経済である。
【0031】本発明の釉薬用分散剤を配合してなる釉薬
組成物は、下記のような作用、利点および特徴を有す
る。すなわち、 (1)変性PVAの分散効果により、釉粒子が均一に分
散し、しかも保存中長期にわたって釉粒子の凝集、沈降
等の現象が起こらない。
【0032】(2)バクテリアの繁殖により粘度が低下
することがなく、長期間にわたってほぼ一定の粘度を維
持する。
【0033】なお、本発明の実施に関し、変性PVAと
他の分散剤、水溶性高分子等を、本発明の作用効果に悪
影響を与えない範囲で併用することもできる。
【0034】他の分散剤としては、例えば、低分子量ポ
リアクリル酸、ポリエチレンオキサイド、ポリマレイン
酸などが挙げられる。また、上記水溶性高分子として
は、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセル
ロース、グアガム、アルギン酸ソーダ、デキストリンな
どが挙げられる。
【0035】ビニル化合物として、例えばアクリルアミ
ド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸(AMPS)あるいはその塩を用いて得た変性PVA
は下記の構造単位よりなる。
【0036】(アクリルアミド(加水分解しない場
合))
【化1】
【0037】(アクリルアミド(完全に加水分解する場
合))
【化2】
【0038】(アクリルアミド(部分的に加水分解する
場合))
【化3】
【0039】(AMPS)
【化4】
【0040】(アクリルアミド/AMPS(完全に加水
分解する場合))
【化5】
【0041】
【実施例】製造例1 4リットル容の横形ブレンダーに、完全けん化で重合度
が1,700のPVA(クラレPVA−117)440
g、粉末のNaOH12gおよびアクリロニトリル26
5gを加え、50℃で6時間撹拌した。この時の反応系
の水分量は0重量%であった。得られた生成物を500
gのイソプロピルアルコールで精製した後乾燥し、白色
の粉末660g(平均粒径520μm)を得た。得られ
た粉末をNMRで分析したところ、シアノエチル化度
(変性率)は45モル%、反応率は90%であった。ま
た、GPCにより重量平均分子量を測定したところ、9
0,000であった。
【0042】製造例2 4リットル容の横形ブレンダーに、完全けん化で重合度
が1,700のPVA(クラレPVA−117)440
g、30%−NaOH水溶液400gおよび50%−ア
クリルアミド水溶液426gを加え、20℃で4時間撹
拌した。この時の反応系の水分量は39重量%であっ
た。得られた生成物を500gのメタノールで精製した
のち乾燥し、白色の粉末630g(平均粒径400μ
m)を得た。得られた粉末をNMRで分析したところ、
カルバモイルエチル化度(変性率)は23モル%、反応
率は77%であった。また、GPCにより重量平均分子
量を測定したところ、85,000であった。
【0043】製造例3 4リットル容の横形ブレンダーに、完全けん化で重合度
が2,400のPVA(クラレPVA−124)440
g、30%−NaOH水溶液200gおよび50%−ア
クリルアミド水溶液284gを加え、N気流下、30
℃で2時間撹拌した。この時の反応系の水分量は31重
量%であった。次いで50%−NaOH50gを加え、
90℃で1時間加水分解を行った。この時の反応系の水
分量は32%であった。得られた生成物を直接乾燥し、
白色の粉末610g(平均粒径630μm)を得た。得
られた粉末をNMRおよびIRで分析したところ、カル
バモイルエチル化度は2モル%、カルボキシエチル化度
は13モル%(トータル変性率は15モル%)、反応率
は75%であった。また、GPCにより重量平均分子量
を測定したところ、120,000であった。
【0044】製造例4 4リットル容の横形ブレンダーに、けん化度88%で重
合度が500のPVA(クラレPVA−205)490
g、50%−NaOH水溶液320g、アクリル酸23
5gおよびイソプロピルアルコール200g(対PVA
0.4倍量)を加えスラリー状態で60℃で8時間撹拌
した。この時の反応系の水分量は13重量%であった。
得られた生成物を300gのメタノールで精製した後乾
燥し、白色の粉末640g(平均粒径590μm)を得
た。得られた粉末をコロイド滴定で分析したところ、カ
ルボキシエチル化度(変性率)は16モル%で、反応率
は64%であった。また、GPCにより重量平均分子量
を測定したところ、22,000であった。
【0045】製造例5 4リットル容の横形ブレンダーに、完全けん化で重合度
が4,000のPVA440g、50%−NaOH水溶
液280gおよび50%の2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルホン酸水溶液828gを加え、80℃
で5時間撹拌した。この時の反応系の水分量は36%で
あった。得られた生成物を500gのイソプロピルアル
コールで精製した後乾燥し、白色の粉末710g(平均
粒径650μm)を得た。NMR分析の結果、得られた
粉末のスルホン基変性率は14モル%、反応率は70%
であった。また、GPCにより重量平均分子量を測定し
たところ、220,000であった。
【0046】製造例6 4リットル容の横形ブレンダーに、けん化度88%で重
合度が500のPVA(クラレPVA−205)490
g、50%−NaOH水溶液30g、25%アクリル酸
ソーダ水溶液1,228gを加え、60℃で8時間撹拌
した。この時の反応系の水分量は54重量%であった。
得られた生成物に更に50%の2−アクリルアミド−2
−メチルプロパンスルホン酸ソーダ水溶液230gを加
え、70℃で4時間撹拌した。この時の反応系の水分量
は53%であった。得られた生成物を500gのイソプ
ロピルアルコールで精製した後乾燥し、白色の粉末72
0g(平均粒径800μm)を得た。得られた生成物を
NMRで分析したところ、カルボキシ変性率が17モル
%、スルホン基変性率が3モル%(トータル変性率20
モル%)で、反応率は67%であった。また、GPCに
より重量平均分子量を測定したところ、30,000で
あった。
【0047】製造例7 4リットル容の横形ブレンダーに、完全けん化で重合度
が1,700のPVA(クラレPVA−117)440
g、30%−NaOH水溶液200gおよび50%−ア
クリルアミド水溶液284gを加え、N気流下、30
℃で2時間撹拌した。この時の反応系の水分量は31重
量%であった。次いで50%−NaOH50gを加え、
90℃で3時間加水分解を行った。この時の反応系の水
分量は32%であった。得られた生成物を直接乾燥し、
白色の粉末610g(平均粒径760μm)を得た。得
られた粉末をNMRおよびIRで分析したところ、カル
バモイルエチル化度は0モル%、カルボキシエチル化度
は15モル%(トータル変性率は15モル%)、反応率
は75%であった。また、GPCにより重量平均分子量
を測定したところ、92,000であった。
【0048】製造例8 4リットル容のセパラブルフラスコに完全けん化で重合
度が1,700のPVA(クラレPVA−117)20
0g、および水1,500gを加え、80℃に昇温しP
VAを完全に溶解させた。次いで、50%−NaOH水
溶液20gおよびアクリルアミド97gを加え、50℃
で10時間撹拌した。この時の反応系の水分量は83重
量%であった。得られた反応溶液を多量のメタノールに
投入し、ミキサーで剪断することによりようやく粉末品
を得ることができた。得られた粉末をNMRで分析した
ところ、カルバモイルエチル化度(変性率)は4モル
%、反応率は13%であった。GPCによる重量平均分
子量は84,000であった。
【0049】製造例9 1リットル容のセパラブルフラスコに、完全けん化で重
合度が1,700のPVA(クラレPVA−117)4
4g、30%−NaOH水溶液40g、50%−アクリ
ルアミド水溶液43g、アセトン500gを加え、20
℃で4時間撹拌した。得られた生成物を濾過した後乾燥
し、白色の粉末60g(平均粒径510μm)を得た。
得られた粉末をNMRで分析したところ、カルバモイル
エチル化度(変性率)は21モル%、反応率は70%で
あった。また、GPCにより重量平均分子量を測定した
ところ、82,000であった。
【0050】製造例10 1リットル容のセパラブルフラスコに、完全けん化で重
合度が2,400のPVA(クラレPVA−124)4
4g、30%−NaOH水溶液20g、50%−アクリ
ルアミド水溶液28g、トルエン600gを加え、40
℃で7時間撹拌した。次いで50%−NaOH5gを加
え、90℃で1時間加水分解を行った。得られた生成物
を濾過した後少量メタノールで精製し、乾燥することに
より白色の粉末55g(平均粒径650μm)を得た。
得られた粉末をNMRで分析したところ、カルバモイル
エチル化度(変性率)は2モル%、カルボキシエチル化
度は13モル%(トータル変性率は15モル%)、反応
率は75%であった。また、GPCにより重量平均分子
量を測定したところ、123,000であった。
【0051】実施例1〜10 安定性(粘度安定性、分散性)が非常に悪いとされてい
る瓦用シルバー釉(固形分70%、比重2.24、pH
9.0)1,000gに対し、製造例1〜10で得た変
性PVA2.8g(前記瓦用シルバー釉の固形分に対し
0.4%)を水50mlに溶解したものを添加し、その
後1時間混合撹拌して釉薬組成物を調製した。
【0052】得られた釉薬組成物に関し、経日粘度およ
び分散性の変化を調べた。その結果を[表1]に示す。
【0053】比較例1〜3 比較のために、上記変性PVAを含む水溶液を加える代
わりに、デキストリン(比較例1に相当)、アルギン酸
ソーダ(比較例2に相当)、又はPVA(比較例3に相
当)(けん化度88%、重合度1,700)を含む水溶
液を同量加えて得たそれぞれの懸濁状釉薬組成物につい
ての粘度安定性および分散状態を調べた。結果を[表
1]に併記する。
【0054】
【表1】 この結果より、変性PVAを使用した場合は粘度、分散
状態ともに良好な安定性を示しているが、他の分散剤で
は粘度、分散状態ともに悪いことは明らかである。
【0055】
【発明の効果】本発明の変性PVAを配合してなる釉薬
組成物は、長期間の保存後も粘度が安定であって、釉薬
の懸濁安定性(分散性)にも優れている。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルアルコールにビニル化合物を
    マイケル付加反応させて得られる重量平均分子量8,0
    00〜390,000の変性ポリビニルアルコールより
    なる釉薬用分散剤。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコールにビニル化合物を
    マイケル付加反応させ、その後加水分解処理を行って得
    られる重量平均分子量8,000〜390,000の変
    性ポリビニルアルコールよりなる釉薬用分散剤。
  3. 【請求項3】 ポリビニルアルコールにビニル化合物を
    マイケル付加反応させて得るかあるいはその後加水分解
    処理を行なって得た重量平均分子量8,000〜39
    0,000の変性ポリビニルアルコールを、直接乾燥す
    るか、あるいは少量の有機溶媒で精製した後乾燥して得
    られる変性ポリビニルアルコール粉末品よりなる釉薬用
    分散剤。
  4. 【請求項4】 前記ビニル化合物がアクリルアミドおよ
    び/または2−アクリルアミド−2−メチルプロパンス
    ルホン酸あるいはその塩である請求項1〜3のいずれか
    1項に記載の釉薬用分散剤。
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