JP4190877B2 - 硫酸カルシウムスラリー組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硫酸カルシウムスラリー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
硫酸カルシウムは、火力発電所における脱硫装置やリン酸製造の副産物として安価かつ大量に製造されており、製紙用填料、農業用の土壌改良剤兼肥料、建材原料、樹脂用填料等に幅広く使用されている。
【0003】
しかし、硫酸カルシウムを粉体のままで取り扱う場合、取扱作業中に粉体が舞い上がり、作業環境が悪化するという問題が生じる。また、硫酸カルシウムを建材等の構造材に使用する場合、硫酸カルシウムを鋳型に流し込める形態とする必要がある。このため、従来より硫酸カルシウムを水に分散したスラリーとすることによって粉体の飛散を防止したり、鋳込み成形を可能としたりしている。
【0004】
例えば、特許文献1には、硫酸カルシウムにカルボキシメチルセルロース(CMC)を配合したスラリー組成物が記載されている。
【特許文献1】
特開昭55−62295号公報
【0005】
このスラリー組成物によれば、CMCの増粘作用により硫酸カルシウムを安定に分散させることができる。
【0006】
また、スラリーの減水性の改善を目的としたものとして、(1)フェノール、ホルムアルデヒド及びこれらと付加縮合可能なメラミン等からなる共縮合物を配合したスラリー組成物(特許文献2)、(2)ポリオキシフェノール、フェニルカルボン酸及びホルムアルデヒドの共縮合物を配合したスラリー組成物(特許文献3)、(3)アルキル硫酸エステル塩系界面活性剤と、リグニンスルホン酸塩系分散剤又はナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物系分散剤とを配合したスラリー組成物(特許文献4)が知られている。
【0007】
【特許文献2】
特開平4−254452号公報
【0008】
【特許文献3】
特開平8−217507号公報
【0009】
【特許文献4】
特開2002−68820号公報
【0010】
これら特許文献1〜4に記載された硫酸カルシウムスラリー組成物によれば、スラリーの流動性が増すため、高濃度の硫酸カルシウムスラリーを製造することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、発明者の試験結果によれば、上記特許文献記載の硫酸カルシウムスラリー組成物は、以下のような欠点を有することが分かった。
【0012】
すなわち、上記特許文献1に記載された硫酸カルシウムにカルボキシメチルセルロース(CMC)が配合された硫酸カルシウムスラリー組成物では、CMCが徐々に不溶性のカルシウム塩となって沈殿し、粘度が時間と共に徐々に低下し、硫酸カルシウムが沈降し、固化してしまう。
【0013】
また、特許文献2〜4に記載されたのアニオン系共縮合物を配合した硫酸カルシウムスラリー組成物では、スラリーを保存している間に硫酸カルシウムが短時間で沈降し、固化してしまう。そして、一旦、沈降した沈降・固化物は硬く、再分散が容易ではなく、廃棄せざるを得なく、大きな経済的損失となる。
【0014】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、粘度の経時変化が小さく、硫酸カルシウムの沈降が遅く、また、例え硫酸カルシウムが沈降したとしても、凝固することなく容易に再分散させることができる硫酸カルシウムスラリー組成物を提供することを解決すべき課題としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記課題を解決するため、多くの増粘剤について鋭意研究を行った結果、微生物由来の多糖類を硫酸カルシウムスラリーに添加すれば、粘度の経時変化が小さく、硫酸カルシウムの沈降が遅く、また、例え硫酸カルシウムが沈降したとしても、凝固することなく容易に再分散させることができる硫酸カルシウムスラリー組成物が得られることを発見し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明の硫酸カルシウムスラリー組成物は、水と硫酸カルシウムと微生物由来の多糖類とが含まれていることを特徴とする。
【0017】
本発明の硫酸カルシウムスラリー組成物に含まれている微生物由来の多糖類は、水に少量添加されることによって水の粘度が大きく上昇し、チクソトロピー性も大幅に上昇する。こうして上昇した硫酸カルシウムスラリー組成物に粘度やチクソトロピー性は経時変化し難く、共存する無機塩類等の物質や温度の変化に対する影響も小さい。このため、この微生物由来の多糖類を硫酸カルシウムスラリー組成物の水に含有させることにより、粘度が上昇して硫酸カルシウムが沈降し難くなり、共存する物質や温度が変化したりしても安定な分散状態が保つことができる。また、例え硫酸カルシウムが沈降したとしても、それが凝固することはなく、攪拌することによって容易に再分散し、もとの分散状態に戻すことができる。
【0018】
本発明の硫酸カルシウムスラリー組成物を構成する硫酸カルシウムは、その由来が特に限定されることはなく、天然産のものや合成品のものを用いることができる。また、硫酸カルシウムの結晶水の水和数についても限定はないが、水の中で安定に存在する硫酸カルシウム・2水塩は、本発明の効果を特に発揮することができ、好適である。
【0019】
また、本発明の硫酸カルシウムスラリー組成物を構成する水も特に限定されることはなく、例えば、工業用水、水道水、イオン交換樹脂や濾過膜等で処理した水等を使用することができる。水の配合量は、他の配合成分等を考慮して決定されるもので一概に決められるものではないが、通常、10〜60質量%である。
【0020】
微生物由来の多糖類は、フコース、グルコース、グルクロン酸及びラムノースを構成単糖として含む多糖類、キサンタンガム、ウェランガム及びラムザンガムの少なくとも1種類を含むことが好ましい。発明者らの試験結果によれば、これらの多糖類は、硫酸カルシウムの沈降や凝固を防止する効果が大きく、長期間安定した分散状態を確実に保つことができる。
【0021】
微生物由来の多糖類は、フコース、グルコース、グルクロン酸及びラムノースを構成単糖として含み、モル比換算でフルコース:グルコース:グルクロン酸:ラムノース=1〜2:1〜4:1〜2:1〜2の範囲にあることが好ましい。この範囲にある多糖類は、微生物の培養及び抽出によって容易に製造することができ、硫酸カルシウムの沈降や凝固を防止する効果が大きく、長期間安定した分散状態を確実に保つことができる。
【0022】
微生物由来の多糖類は、アルカリゲネス レータス(Alcaligeneslatus)B−16株細菌(FERM BP−2015号)が産生する多糖類であることが好ましい。発明者の試験結果によれば、アルカリゲネス レータスB−16株細菌の生産する多糖類(以下「B−16多糖類」と略す)には、フコース、グルコース、グルクロン酸及びラムノースを構成単糖として含む微生物由来の多糖類が含まれている。さらに詳しく言えば、この多糖類には少なくとも2種の多糖類が含まれていることが確かめられている。その一つは、一般式(1)に示すグルコース、フコース、グルクロン酸、ラムノースの順で繰り返し構造を有する主鎖と、主鎖を構成するグルコースに結合するフコース側鎖とからなる多糖類である。(1998年度日本農芸化学会大会要旨集、371頁)。
【0023】
【化1】
Figure 0004190877
【0024】
他の一つは、一般式(2)で示されるフコースとマンノースを構成単糖とする構造の繰り返しの多糖類であり、分子量が103〜107の低分子成分である(Y.Nohata、J.Azuma、R.Kurane、Carbohydrate Research 293、(1996)213〜222頁)。
【0025】
【化2】
Figure 0004190877
【0026】
これらの多糖類のうち一般式(1)の多糖類は、本発明の硫酸カルシウムスラリー組成物において、硫酸カルシウムの沈降を遅くし、例え硫酸カルシウムが沈降したとしても、凝固することなく容易に再分散可能とすることに対して、特に効果的な役割を果たす。ただし、一般式(2)で示される多糖類が、一般式(1)の多糖類中に含まれていても、そうした効果を発揮することは可能である。このため、一般式(2)で示される多糖類を除去することなく、一般式(1)の多糖類と一般式(2)の多糖類を混合状態で使用することもできる。こうであれば、一般式(1)の多糖類と一般式(2)の多糖類を分離することが不要となり、製造コストを低廉化することができる。
【0027】
硫酸カルシウムスラリー組成物の水には微生物由来の多糖類以外の増粘剤を共存させることもできる。このような増粘剤は一般に安価であるため、硫酸カルシウムの粒子の沈降を遅くすることもできる。このため、この増粘剤を微生物由来の多糖類と併用することにより、硫酸カルシウムスラリー組成物を安価に製造することが可能となる。こうした増粘剤の例として、例えば、ペクチン、デンプン、カチオンデンプン、デキストリン等の多糖類やデンプングリコール酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム誘導体、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース等)、ゼラチン、カゼイン等のたんぱく質、合成水溶性高分子(例えばポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、マレイン酸−アクリル酸共重合体等)等がある。
【0028】
硫酸カルシウムの粒子のメジアン径は1〜300μmの範囲であることが好ましい。硫酸カルシウムの粒子のメジアン径が300μmより大きい場合、その粒子の沈降速度が速くなり、安定な分散状態を保ち難くなる。また、硫酸カルシウムの粒子のメジアン径が1μmより小さい場合、硫酸カルシウム組成物の粘度が上昇し、ポンプによる輸送が困難となる等、取り扱い上の困難が生じる。特に好ましいメジアン径は3〜100μmの範囲であり、さらに好ましくは5〜50μmの範囲である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施例1〜18及び比較例1〜9を説明する。
【0030】
(実施例1)
プロペラ型撹拌機が備えられた2000mL容器を用意し、水:499.9g入れて撹拌下、B−16多糖類を0.1gを加えて均一に分散させた。ここで用いたB−16多糖類は、一般式(1)と一般式(2)とが混合された多糖類であり、特開平2−291292号公報に記載された方法に準じ、アルカリゲネスレータスB−16株(FERM BP−2015号)を培養した後、培養物に約3倍容量のイソプロピルアルコールを加えて攪拌混合し、析出した凝集物を濾過したものを減圧下で乾燥したものである。次いで、硫酸カルシウム・2水塩(吉野石膏株式会社製 メジアン径17μm 天然産)500gを徐々に入れながら、ホモミキサ−〔特殊機化工業(株)製「TKオートホモミキサー M型」〕を用いて約5000〜6000rpmで60分間の撹拌を行なう。その後、この混合溶液を100メッシュのラインストレーナーに通すことにより、実施例1の硫酸カルシウムスラリー組成物を得た。
【0031】
(実施例2)
実施例2の硫酸カルシウムスラリー組成物は、水を499.5gとし、実施例1で用いたB−16多糖類を0.5gとした。他の製造条件は実施例1と同様とした。
【0032】
(実施例3)
実施例3の硫酸カルシウムスラリー組成物は、水を499.0gとし、実施例1で用いたB−16多糖類を1.0gとした。他の製造条件は実施例1と同様とした。
【0033】
(実施例4)
実施例3の硫酸カルシウムスラリー組成物は、水を497.0gとし、実施例1で用いたB−16多糖類を3.0gとした。他の製造条件は実施例1と同様とした。
【0034】
(実施例5)
実施例5の硫酸カルシウムスラリー組成物は、水を495.0gとし、実施例1で用いたB−16多糖類を5.0gとした。他の製造条件は実施例1と同様とした。
【0035】
(実施例6)
実施例6では、多糖類として一般式(1)で示されるB−16多糖類を用いた。この多糖類は、特開平5−301904号公報に記載された方法に準じて製造されたものであり、まずアルカリゲネスレータスB−16株(FERM BP−2015号)を培養した後、培養物1,000mlに対してイオン交換水4,000ml加え、NaOHによりpH12に調製した。次いでイオン交換樹脂(ダイヤイオンHPA−75(OH)(日本錬水社製))1,000mlのカラムに8レジン容量以下にて処理を行ない、一般式が(1)で示されるB−16多糖類を得た。この一般式(1)で示されるB−16多糖類を0.5gとし、水を499.5gとした。他の製造条件は実施例1と同様とした。
【0036】
(実施例7)
実施例7では、水を499.5gとし、多糖類としてB−16多糖類の一種である「INCINAME:Alcaligenes Polysaccharides」(伯東株式会社製)を0.5gとした。他の製造条件は実施例1と同様とした。
【0037】
(実施例8)
実施例8では、硫酸カルシウム・2水塩(吉野石膏株式会社製 メジアン径30μm 合成品)500gを用いた。他の製造条件は実施例2と同様とした。
【0038】
(実施例9)
実施例9では、硫酸カルシウム・2水塩(吉野石膏株式会社製 メジアン径17μm 天然産)を100gとし、水を899.95gとし、実施例1で使用したものと同じB−16多糖類を0.05gとした。他の製造条件は実施例1と同様とした。
【0039】
(実施例10)
実施例10では、硫酸カルシウム・2水塩(吉野石膏株式会社製 メジアン径17μm 天然産)を600gとし、水を399.5gとし、多糖類として実施例1で使用したものと同じB−16多糖類を0.5g用いた。他の製造条件は実施例1と同様とした。
【0040】
(実施例11)
実施例11では、多糖類としてキサンタンガム(商品名:ケルザンASX 三晶(株)製)を1g用いた。他の製造条件は実施例3と同様とした。
【0041】
(実施例12)
実施例12では、多糖類としてウェランガム(三晶(株)製)を1g用いた。他の製造条件は実施例3と同様とした。
【0042】
(実施例13)
実施例13では、多糖類としてラムザンガム(三晶(株)製)を1g用いた。他の製造条件は実施例3と同様とした。
【0043】
(実施例14)
実施例14では、多糖類として実施例1で用いたB−16多糖類0.5gと、キサンタンガム(商品名:ケルザンASX 三晶(株)製)0.5gとを混合して用いた。他の製造条件は実施例3と同様とした。
【0044】
(実施例15)
実施例15では、多糖類として実施例1で用いたB−16多糖類0.5gと、ウェランガム(三晶(株)製)0.5gとを混合して用いた。他の製造条件は実施例3と同様とした。
【0045】
(実施例16)
実施例16では、多糖類として実施例1で用いたB−16多糖類0.5gと、ラムザンガム(三晶(株)製)0.5gとを混合して用いた。他の製造条件は実施例3と同様とした。
【0046】
(実施例17)
実施例17では、多糖類としてキサンタンガム(商品名:ケルザンASX 三晶(株)製)0.5gと、ラムザンガム(三晶(株)製)0.5gとを混合して用い、硫酸カルシウム・2水塩(吉野石膏株式会社製 メジアン径17μm 天然産)250gと、硫酸カルシウム・2水塩(吉野石膏株式会社製 メジアン径30μm 合成品)250gとを混合して用いた。他の製造条件は実施例3と同様とした。
【0047】
(実施例18)
実施例18では、多糖類としてウェランガム(三晶(株)製)0.5gと、ラムザンガム(三晶(株)製)0.5gとを混合して用い、硫酸カルシウム・2水塩(吉野石膏株式会社製 メジアン径17μm 天然産)250gと、硫酸カルシウム・2水塩(吉野石膏株式会社製 メジアン径30μm 合成品)250gとを混合して用いた。他の製造条件は実施例3と同様とした。
した。
【0048】
(比較例1)
比較例1では、多糖類の替わりに、次のように合成したホルムアルデヒド共縮合体溶液を10g用いた。すなわち、撹拌機が備えられた反応容器にポリオキシエチレン(120モル付加)フェニルエーテル110g、o−ヒドロキシ安息香酸(関東化学(株)製試薬)6g、フェノールスルホン酸(関東化学(株)製試薬)5g及び水8g入れる。そして、攪拌下80℃に加温し、37重量%ホルムアルデヒド8gを約3時間かけて滴下する。更に105℃に昇温して12時間反応させた後、冷却し、50重量%の水酸化ナトリウムによってpHを8に調整する。更に水を加えることにより、固形分20重量%のホルムアルデヒド共縮合体溶液を得た。このホルムアルデヒド共縮合体の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフ/ポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算法により求めたところ、分子量は約31,000であった。他の製造条件は実施例3と同様とした。
【0049】
(比較例2)
比較例2では、多糖類の替わりに、ポリオキシエチレン(3モル付加)アルキル硫酸エステルナトリウム(商品名:エマノール20C 花王(株)製)2gと、ナフタレンスルホン酸−ホルムアルデヒド縮合物系分散剤(商品名:マイティー150 花王(株)製)3gとを混合して用いた。他の製造条件は実施例3と同様とした。
【0050】
(比較例3)
比較例3では、多糖類の替わりに、ナフタレンスルホン酸−ホルムアルデヒド縮合物系分散剤(商品名:マイティー150 花王(株)製)3gと、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(商品名:ペレックスOTP 花王(株)製)2gとを混合して用いた。他の製造条件は実施例3と同様とした。
【0051】
(比較例4)
比較例4では、多糖類の替わりに、メチルヒドロキシプロピルセルロース(商品名:メトローズ90SH−8000 信越化学工業(株)製)を5g用いた。他の製造条件は実施例3と同様とした。
【0052】
(比較例5)
比較例5では、多糖類の替わりに、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量100万)(住友化学(株)製)を5g用いた。他の製造条件は実施例3と同様とした。
【0053】
(比較例6)
比較例6では、多糖類の替わりに、非イオン性増粘性ポリマーとして部分ケン化ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセノールKH−17 重合度1700、ケン化度80モル%、日本合成化学工業(株)製)〕を5g用いた。他の製造条件は実施例3と同様とした。
【0054】
(比較例7)
比較例7では、多糖類としてデンプン(関東化学(株)を5g用いた。他の製造条件は実施例3と同様とした。
【0055】
(比較例8)
比較例7では、多糖類の替わりに、カルボキシメチルセルロース(商品名:ダイセルCMC2260 ダイセル(株)製)を5g用いた。他の製造条件は実施例3と同様とした。
【0056】
(比較例9)
比較例7では、多糖類の替わりになる増粘剤は何も用いなかった。他の製造条件は実施例1と同様とした。
【0057】
<評価>
上記のように調製した実施例1〜18及び比較例1〜9の硫酸カルシウムスラリー組成物について、粘度の経時変化の測定、分離度の経時変化試験及び再分散性試験を行った。粘度の経時変化の測定は、調製直後の硫酸カルシウムスラリー組成物の粘度をB型回転粘度計(東京計器(株)製)を用いて測定した後、500mLの広口ビンに入れて栓をし、室温(20〜26℃)で30日静置した後、再び粘度を測定し、粘度の変化によって評価した。また、分離度の経時変化の測定は、調製直後の硫酸カルシウムスラリー組成物を500mLの目盛り付きメスシリンダーに500mL入れ、栓をして室温(20〜26℃)で静置し、10日後及び30日後における、上部の清澄部の体積:V(mL)を測定する。そして、分離度=V/5(%)として評価した。この値が小さいほど良好な安定性を示すこととなり、V/5の値が40以上では硫酸カルシウムスラリー組成物は分離・沈降した状態と判断した。また、再分散性試験は、分離度の経時変化試験において30日静置した500mLメスシリンダー内で沈殿した硫酸カルシウム・2水塩をガラス棒(径8mm、長さ40cm)でゆっくり5回撹拌して評価した。再分散性の評価は次のように3段階で行った。
【0058】
○: 沈降物は柔らかく、ガラス棒で撹拌すると簡単に再分散する。
×: 沈降物は柔らかく、ガラス棒で撹拌すると再分散するが、凝固物あるいは固化物が残存する。
××:沈降物は硬くガラス棒が貫入せず、撹拌・再分散できない。
【0059】
結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
Figure 0004190877
【0061】
表1から分かるように、実施例の硫酸カルシウムスラリー組成物は、調整直後の粘度と30日後の粘度とはそれほど変化しておらず、また、分離度も30日を経過しても最大21%で硫酸カルシウム・2水塩が長期間良好に分散していることが分かる。さらに、再分散性についても沈降物は柔らかく、ガラス棒で撹拌すると簡単に再分散することができた。これに対して、比較例の硫酸カルシウムスラリー組成物は粘度の経時変化試験において、比較例4を除いて30日静置後には沈殿が凝固して粘度測定不能となっている。また、分離度においても、30日後にはすべて30%を超えており、短期間で硫酸カルシウム・2水塩が沈殿することが分かる。さらに、再分散性についても比較例1〜3、比較例5及び比較例7〜9については、ガラス棒で沈殿物が撹拌・再分散できないほど硬く凝固していた。また、比較例4及び比較例6についても、沈降物はある程度柔らかく、ガラス棒で撹拌すると再分散するものの、凝固物あるは固化物が残存した。
【0062】
以上の結果から、実施例1〜18の硫酸カルシウムスラリー組成物は、硫酸カルシウムの沈降や凝固がし難く、長期間安定した分散状態を保つことが分かる。
【0063】
なお、上記実施例1〜18では、まず多糖類の水分散液を調製し、この水分散液を撹拌しながら粉体の硫酸カルシウム2水塩を加えることによって、硫酸カルシウムスラリー組成物を調製しているが、水を撹拌しながら粉体の硫酸カルシウム2水塩を加えた後、多糖類を加えて攪拌して調製してもよい。また、こうした調製に用いられる攪拌の方法としては、プロペラ型撹拌機の他、ホモジナイザー、ラインミキサー、ターボミキサー、ヘンシェルミキサー等を適宜、単独あるいは組み合わせて使用することができる。また、攪拌の途中で時々攪拌混合物をサンプリングし、粒子径を粒度分布計(例えば、レーザー回折式粒度分布計LP−500 堀場製作所(株)製)で測定することも好ましい。粒子径は攪拌時間が長くなるほど小さくなるため、こうして、粒子径を測定すれば、所望する粒子径の硫酸カルシウムスラリー組成物を容易に得ることができる。

Claims (3)

  1. 水と硫酸カルシウムと微生物由来の多糖類とが含まれており、該微生物由来の多糖類は、フコース、グルコース、グルクロン酸及びラムノースを構成単糖として含む多糖類、キサンタンガム、ウェランガム及びラムザンガムの少なくとも1種類を含み、硫酸カルシウムの粒子のメジアン径は1〜300μmの範囲であり、水の配合量は10〜60質量%であり、該微生物由来の多糖類の配合量は0.01〜0.5質量%であることを特徴とする硫酸カルシウムスラリー組成物。
  2. 微生物由来の多糖類は、フコース、グルコース、グルクロン酸及びラムノースを構成単糖として含み、モル比換算でフルコース:グルコース:グルクロン酸:ラムノース=1〜2:1〜4:1〜2:1〜2の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の硫酸カルシウムスラリー組成物。
  3. 微生物はアルカリゲネス レータス(Alcaligenes latus)B−16株細菌(FERM BP−2015号)であることを特徴とする請求項1又は2記載の硫酸カルシウムスラリー組成物。
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