JPH09224663A - ε−ポリ−L−リシン分解酵素とそれを用いた低重合度ε−ポリ−L−リシンの製造法 - Google Patents
ε−ポリ−L−リシン分解酵素とそれを用いた低重合度ε−ポリ−L−リシンの製造法Info
- Publication number
- JPH09224663A JPH09224663A JP8061937A JP6193796A JPH09224663A JP H09224663 A JPH09224663 A JP H09224663A JP 8061937 A JP8061937 A JP 8061937A JP 6193796 A JP6193796 A JP 6193796A JP H09224663 A JPH09224663 A JP H09224663A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- lysine
- poly
- enzyme
- solution
- polymerization
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
Landscapes
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
Abstract
酵素を採取することを目的とし、その酵素を利用して低
重合度ε−ポリ−L−リシンを得ることを目的とした。 【解決手段】スフィンゴバクテリウム・マルチヴォラム
に属する微生物を培養して、培養液中よりε−ポリ−L
−リシン分解酵素を採取し、それを用いてε−ポリ−L
−リシンから重合度2〜19の低重合度ε−ポリ−L−
リシンを得る。
Description
ウム・マルチヴォラムに属する微生物、該微生物を培養
して、培養液中より得られるε−ポリ−L−リシン分解
酵素、この酵素の製造法、及びε−ポリ−L−リシン分
解酵素を利用した低重合度ε−ポリ−L−リシンの製造
法に関する。
グラム陽性菌、真菌等、各種の菌株に対し静菌作用があ
り食品保存料として様々の食品の日持ち向上に利用され
ている。食品は多種多様なので、食品マトリックスの置
かれている環境によっては、ε−ポリ−L−リシンの通
常量の添加では効果が出ないことがある。そのときは大
量に添加する必要があるが、それによって食品の風味が
損なわれることが多い。特開平4−287693号公報
によれば、アスペルギルス(Aspergillus)属の中性プロ
テアーゼでε−ポリ−L−リシンを処理するとε−ポリ
−L−リシンが加水分解され、その加水分解物を食品に
添加した場合、無処理のε−ポリ−L−リシンを添加し
た場合と比較して、えぐ味が改善されるとしている。し
かし、アスペルギルス属の中性プロテアーゼは基質特異
性が広く、食品に直接添加された場合は食品成分由来の
蛋白に作用し、風味、触感が著しく変化する恐れがあ
る。そこで、ε−ポリ−L−リシンに特異的に作用する
分解酵素が求められていた。
を測定するさいは、従来からメチルオレンジ法、高速液
体クロマトグラフィー法等が用いられているが、食品成
分の除去が困難で煩雑であった。ε−ポリ−L−リシン
に特異的に作用する酵素があればそれを用いて食品から
容易にε−ポリ−L−リシンを定量できる測定系が開発
できることが期待された。また、ε−ポリ−L−リシン
を蛋白水溶液に添加するとゲル化するなどの作用があ
る。そのさい添加するε−ポリ−L−リシンの分子量に
よって、生成するゲルの物性が異なることが知られてい
る。蛋白に作用せず、ε−ポリ−L−リシンにのみ作用
する分解酵素が望まれていた。その他、低重合度ε−ポ
リ−L−リシンは未知の生理活性を有し、多方面の利用
が期待できる。これらの理由から、ε−ポリ−L−リシ
ンに基質特異性の高い加水分解酵素が望まれ、本発明者
らが鋭意努力した結果、クリセオバクテリウム・グルー
プ〓bに属する菌株がε−ポリ−L−リシンを分解する
ことを見いだし、ε−ポリ−L−リシン分解酵素を同定
した。(特願平7−191184号)しかし、この酵素
の分解形式はエンド型で、ε−ポリ−L−リシンの鎖を
ランダムに切るので、得られる低重合度ε−ポリ−L−
リシンの重合度の制御が困難であった。そこで分解形式
の異なるε−ポリ−L−リシン分解酵素が求められた。
題を解決するために、広く自然界よりε−ポリ−L−リ
シン分解酵素生産能を有する微生物を探索した。その結
果、新たに土壌より分離された菌(OJ−10株)が、ε
−ポリ−L−リシン分解酵素を培養液中に生産すること
を見いだし、また、この酵素を用いて、低重合度ε−ポ
リ−L−リシンが製造できることを見出し本発明を完成
させた。すなわち、本発明の目的は、ε−ポリ−L−リ
シン加水分解酵素生産能を有する微生物、ε−ポリ−L
−リシン加水分解酵素および、その酵素を用いて低重合
度ε−ポリ−L−リシンを製造する方法を提供すること
にある。
低重合度ε−ポリ−L−リシンを生成させるε−ポリ−
L−リシン分解酵素。 (2)スフィンゴバクテリウム・マルチヴォラム(Sphin
gobacterium multivorum)に属する微生物を培養し、該
微生物中より採取して得られる前記(1)項記載のε−
ポリ−L−リシン分解酵素。 (3)スフィンゴバクテリウム・マルチヴォラムに属す
る微生物がスフィンゴバクテリウム・マルチヴォラム
OJ−10株(FERM P−15398)である前記
(2)項記載のε−ポリ−L−リシン分解酵素。 (4)スフィンゴバクテリウム・マルチヴォラムに属す
る微生物を培養して、ε−ポリ−L−リシンを加水分解
し低重合度ε−ポリ−L−リシン及びL−リシを生成さ
せる酵素を培養液中より採取することを特徴としたε−
ポリ−L−リシン分解酵素の製造法。 (5)ε−ポリ−L−リシンを前記(1)〜(3)項の
いずれか1項記載の酵素で加水分解することを特徴とす
る低重合度ε−ポリ−L−リシンの製造法。 (6)重合度が20以上のε−ポリ−L−リシンを前記
(1)項または(2)項のいずれか1項記載の酵素で加
水分解することを特徴とする重合度2〜19であるε−
ポリ−L−リシンの製造法。 (7)ε−ポリ−L−リシン分解酵素生産能を有するス
フィンゴバクテリウム・マルチヴォラム OJ−10株
(FERM P−15398)。
−10株の菌学的性状は以下のとおりである。 (培養所見)肉汁寒天平板で24時間30℃で培養した
コロニーの形態は、直径1mm以下の円形、全縁で、低い
凸状、灰色がかった白色、半透明、なめらかで光沢があ
る。グラム陰性の短かん菌で芽胞形成はない。カタラー
ゼ及びチトクロームオキシダーゼ活性が陽性で、グルコ
ースOF試験の成績が酸化的で陰性である。また、本菌
株は37℃で生育を示し、41℃では生育が認められな
い。 (生化学的特徴)30℃で48時間生育した時、NO3
還元,インドール産生、グルコースからの酸の産生、ア
ルギニン・ジヒドロラーゼ活性及びゼラチン加水分解が
陰性、ウレアーゼ、エスクリン加水分解、β−ガラクト
シダーゼ及び硝酸の産生が陽性、グルコース、マンノー
ス、N−アセチルグルコサミン及びマルトースの資化性
が陽性、マンニトール、グルコン酸、カプリン酸、アジ
ピン酸、リンゴ酸、クエン酸及びフェニル酢酸の資化性
が陰性を示す。30℃で7日間生育した時、カゼイン、
スターチ、チロシン及びアラントイン加水分解が陰性、
運動性、シモンのクエン酸培地での生育、リジン脱炭酸
酵素活性、硝酸還元及び硫化水素発生が陰性、DNA分
解酵素、β−キシロシダーゼ及びフェニルアラニンデア
ミナーゼ活性が陽性、ゼラチン加水分解活性が弱い陽性
を示す。これらの性状から、本菌株をスフィンゴバクテ
リウム・マルチヴォラム(Sphingobacterium multivoru
m)と同定した。本菌株は工業技術院生命工学工業技術研
究所にFERM P−15398として寄託されてい
る。スフィンゴバクテリウム・マルチヴォラムが当該酵
素の活性を有していることは今までに明らかにされてい
ない。本菌株より生産されるε−ポリ−L−リシン分解
酵素の酵素学的および理化学的性質について記述する。
型に加水分解して、ε結合の低重合度ε−ポリ−L−リ
シン(重合度n=2〜19)及びL−リシンを生成す
る。 2,基質特異性:ε−ポリ−L−リシンを分解し、低重
合度ε−ポリ−L−リシンを遊離するが、α−ポリ−L
−リシンには作用しない。 3,分子量:高速液体クロマトグラフィー法、SDS−
ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動で測定した分子量は
それぞれ約154,000、約80,000でホモダイ
マー構造をとる。 4,温度の影響:至適反応温度は37℃である。pH
9,15分間の加熱では35℃まで安定である。 5,pHの影響:至適反応pHはpH9.0である。4
℃、3日間の放置でpH8〜10で安定である。 6,酵素活性測定法:1モル濃度のリン酸カリウム緩衝
液(pH7.5)を0.1mL、2.5mg/mLのε−ポリ
−L−リシン水溶液を0.4mL、生理食塩水0.4mL及
び酵素溶液を0.1mLを入れた試験管を30℃で保温す
る。30分後、高速液体クロマトグラフィーの展開溶媒
を1mL添加することで反応を停止する。遠心分離で沈
澱を除き、上清液の10μLを逆相高速液体クロマトグ
ラフィーに供する。展開溶媒はリン酸2水素1ナトリウ
ム10ミリモル濃度 + 過塩素酸ナトリウム 0.1
モル濃度 + オクチルスルホン酸ナトリウム10ミリ
モル濃度 + アセトニトリル 37.5%(v/v)
の組成のものを用い、毎分1mLの流速で展開する。カ
ラムはM&Sパック C−18(4.6 x 150mm)を用い
る。215nmの波長の紫外線でε−ポリ−L−リシン
の減少を測定する。 本条件下で酵素溶液1mL当たり1分間で1mgのε−ポ
リ−L−リシンを分解する酵素量を1Uとする。
製造される。スフィンゴバクテリウム・マルチヴォラム
OJ−10株(FERM P−15398)を培養液で
好気的に培養する。この培養液は本菌が生育するに充分
な炭素源、窒素源、ビタミン類、ミネラル分が含まれて
いればいかなるものでも良いが、好ましくは肉エキス
1.5%(w/v),酵母エキス0.1%(w/v),
ショ糖1.0%(w/v),リン酸1水素2カリウム
0.3%(w/v),塩化ナトリウム0.2%(w/
v),硫酸マグネシウム7水塩0.02%(w/v),
pH7.0の組成を持つ培養液を用いる。25℃から3
3℃の温度で2日から5日間の期間培養し、遠心分離機
またはフィルターでろ集して菌体を採取する。採取した
菌体を生理食塩水で洗浄し、pHが7付近の緩衝液に懸
濁し、菌体懸濁液を超音波破砕機または菌体破砕機にか
けて菌体を破砕する。緩衝液としては当該酵素を失活さ
せないものであればいずれのものでも良いが、好ましく
はリン酸カリウム緩衝液pH7.5が用いられる。菌体
破砕液をさらに遠心分離機にかけ細胞壁成分を取り除
く。得られた上清液に当該酵素が沈澱し始めない蛋白沈
澱剤の濃度まで蛋白沈澱剤を培養液に加える。生成した
沈澱を遠心分離機またはフィルターで除去する。沈澱を
除去した液にさらに蛋白沈澱剤を加え、当該酵素の大部
分が沈澱し終わるまで続ける。生成した沈澱を遠心分離
してまたはフィルターでろ過して取り出す。これが粗製
の当該酵素である。蛋白沈澱剤として、当該酵素を失活
しないものであればいかなるものでも用いられるが、好
ましくは硫酸アンモニウムを用い30〜60%飽和濃度
の画分を得る。粗製の当該酵素は、必要に応じて、さら
にカラムクロマトグラフィー等の手段で精製する。
ンの重合度は特に制限がなく、いかなるものでも使用可
能であり、例えば和光純薬〓製のε−ポリ−L−リシン
塩酸塩、チッソ〓製の50%(w/w)デキストリン粉
末、低級脂肪酸グリセライド製剤(商品名:ガードキー
プ)またはグリシン製剤(商品名:ガードロング)が用
いられる。低重合度ε−ポリ−L−リシンはたとえば以
下のようにして製造される。原料のε−ポリ−L−リシ
ン塩酸塩をpH7.0〜8.0の緩衝液に溶かす。この
溶液に当該酵素の水溶液を加えて混合し、25℃〜40
℃で2〜12時間保温する。低い重合度のものを得たい
ときは保温時間を長くして調節する。反応液を加熱する
か、有機溶媒または高速液体クロマトグラフィーの溶媒
を加えるかして反応を停止し、変性した当該酵素蛋白を
遠心分離機もしくはフィルターでろ過して取り除く。そ
の反応液を逆相液体クロマトグラフィーに供し、重合度
2〜19のε−ポリ−L−リシンの画分を集める。カラ
ムはODS逆相カラムを用いる。展開溶媒は低重合度ε
−ポリ−L−リシンが分離できるものであればいかなる
ものでも良いが、好ましくは A液:リン酸2水素1ナトリウム10ミリモル濃度+過
塩素酸ナトリウム0.1モル濃度+オクチルスルホン酸
ナトリウム10ミリモル濃度の水溶液、B液:2倍濃度
のA液とアセトニトリルを液量で1対1に混合した液を
使用する。展開はA液とB液の混合液中において、展開
1分後にB液の濃度が50%(V/V)から55%(V
/V)まで、25分後に55%(V/V)から70%
(v/v)、35分後に70%(V/V)から75%
(V/V)に直線的に増加する濃度勾配に毎分1mLの流
速で溶出させる。215nmの波長の紫外線でピークを
検出し、目的の重合度のε−ポリ−L−リシンが含まれ
た溶出液を得る。この溶出液を陽イオン交換樹脂にかけ
濃縮し、得られた濃縮液を凍結乾燥、真空乾燥あるいは
デキストリン等の多糖類を混ぜて噴霧乾燥する等の手段
で粉末状の低重合度のε−ポリ−L−リシンを得る。重
合度のいかんを問わないときは酵素反応停止後の液を液
体クロマトグラフィーをせず直接、イオン交換樹脂にか
けても良い。
は実施例にのみ限定するものではない。
を用いた。1モル濃度のリン酸カリウム緩衝液(pH
7.5)を0.1mL、2.5mg/mLのε−ポリ−L−リ
シン水溶液を0.4mL、生理食塩水0.4mL及び酵素溶
液を0.1mLを入れた試験管を30℃で保温した。30
分後、高速液体クロマトグラフィーの展開溶媒を1mL
添加することで反応を停止した。遠心分離で沈澱を除
き、上清液の10μLを逆相高速液体クロマトグラフィ
ーに供した。展開溶媒はリン酸2水素1ナトリウム10
ミリモル濃度 + 過塩素酸ナトリウム 0.1モル濃
度 + オクチルスルホン酸ナトリウム10ミリモル濃
度 + アセトニトリル 37.5%(v/v)の組成
の水溶液を用い、毎分1mLの流速で展開した。カラム
はM&Sパック C−18(4.6 x 150mm)を用いた。溶
出液を215nmの波長の紫外線で測定し、標準のε−
ポリ−L−リシンのピークと比較してε−ポリ−L−リ
シンの減少を測定した。本条件下で酵素溶液1mL当た
り1分間で1mgのε−ポリ−L−リシンを分解する酵素
量を1Uとした。
/v),ショ糖1.0%(w/v),リン酸1水素2カ
リウム0.3%(w/v),塩化ナトリウム0.2%
(w/v),硫酸マグネシウム7水塩0.01%(w/
v),pH7.0の組成を持つ培養液12Lにスフィン
ゴバクテリウム・マルチヴォラム OJ−10株(FER
M P−15398)を28℃で2日間振とう培養し
た。得られた培養液から菌体を遠心分離にて採取し、得
られた菌体を生理食塩水で洗浄した。その菌体を0.0
1モル濃度のりん酸カリウム緩衝液(pH7.0)30
0mLに懸濁し、超音波破砕機で10分間、19kHzの
処理をした。得られた菌体破砕液を遠心分離機で20分
間10,000rpmの処理をし、得られた上清250mL
中に33U(2.33g)の当該酵素活性を認めた。こ
の上清液に硫酸アンモニウムを加え、30〜60%硫酸
アンモニウム飽和濃度の粗製の当該酵素の画分18u
(604mg)を得た。
ン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に溶かし同じ緩衝液
に平衡化したCMトヨパール(東ソー製)のカラム(5
0mL)に吸着させ、0.05モル濃度のリン酸カリウム
緩衝液(pH7.0)で溶出した活性画分を0.01モ
ル濃度のリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)で透析し
た。その画分13.3U(44.3mg)を0.01モル
濃度の同じ緩衝液に20%(W/V)硫酸アンモニウム
を加えた緩衝液で平衡化したフェニルセファローズ(フ
ァルマシア製)のカラム(10mL)に吸着させ、これを
0.01モル濃度の同じ組成の緩衝液に硫酸アンモニウ
ム5%(W/V)となるよう硫酸アンモニウムを添加し
た溶出液で溶出して活性画分10.6U(7.85mg)
を得た。この画分に硫酸アンモニウムを20%(W/
V)になるように加え、同じ緩衝液に平衡化したブチル
トヨパール(東ソ−製)のカラム(3mL)に吸着させ、
0.01モル濃度のリン酸カリウム緩衝液(pH7.
0)に7.5%(W/V)硫酸アンモニウムで溶出した
活性画分を集めた。この画分を0.1モル濃度のリン酸カ
リウム緩衝液(pH7.0)+50%(v/v)グリセ
ロールで透析し、当該酵素の精製標品を得た。この精製
標品は8.3Uでたんぱく量1.14mg、比活性が7.
3U/mg proteinであった。
4000、重合度20〜35)10mg/mL水溶液を1.0m
L、0.1モル濃度のリン酸カリウム緩衝液(pH7.
5)0.2mL、イオン交換水0.6mLからなる反応液に
実施例1で作製した酵素4.0U/mLの水溶液0.2mL
を加えて混合し反応させた。その直後にこの反応液50
μLを取り出し、この反応液にA液25%(V/V)、
B液75%(V/V)からなる展開溶媒50μLを加え
遠心分離し、上清10μLを逆相高速液体クロマトグラ
フィーに供した。カラムは化学品検査協会製L−カラム
(ODS)(4.6 x 250mm)を用いた。展開はA液:リン
酸2水素1ナトリウム10ミリモル濃度+過塩素酸ナト
リウム0.1モル濃度+オクチルスルホン酸ナトリウム
10ミリモル濃度の水溶液、B液:2倍濃度のA液とア
セトニトリルを液量で1対1に混合した液を使用して、
A液とB液の混合液中において、展開1分後にB液の濃
度が50%(V/V)から55%(V/V)まで、25
分後に55%(V/V)から70%(V/V)、35分
後に70%(V/V)から75%(V/V)に直線的に
増加する濃度勾配で最終的に75%(V/V)で毎分1
mLの流速で溶出させた。溶出液を215nmの波長の
紫外線で検出したところ、図1のクロマトグラムを得
た。次に、反応液の残りを37℃で4時間反応させ、反
応液50μLに同じ展開溶媒50μLを加えて同様に遠心
分離し、上清10μLを同様に逆相高速液体クロマトグ
ラフィーに供し、図2のクロマトグラムを得た。重合度
2から20以下の低重合度ε−ポリ−L−リシンとL−
リシンのピークが認められ、ε−ポリ−L−リシンの低
分子化が明らかにみられた。この反応液から凍結乾燥に
て0.25mgの低重合度ε−ポリ−L−リシンが得られ
た。さらに、反応液を20時間反応させ、反応液50μ
Lを取り出し同様に逆相液体クロマトグラフィーに供し
たところ、図3のクロマトグラムを得た。この反応液5
0μLから凍結乾燥にて0.23mgの重合度2〜19の
ε−ポリ−L−リシンが得られた。低重合度のε−ポリ
−L−リシンの重合度は標準の低重合度ε−ポリ−L−
リシンのピークと比較して測定した。
マ社製α−ポリ−L−リシン臭酸塩(分子量4000〜15,0
00、重合度35〜130)を用いて、実施例2に準拠し
て反応をおこない、反応0時間後と24時間後との反応
産物を分析した。反応0時間後のクロマトグラムを図
4、24時間後のクロマトグラムを図5で表した。反応
24時間後でもクロマトグラムにほとんど変化がみられ
なかった。これは、この酵素がα−ポリ−L−リシンに
作用しないことを示す。
せ、反応直後及び30分毎に50μLサンプリングし、
直ちに実施例2に記載の展開溶媒を加えて反応を停止し
遠心分離した。上清50μLをジャーナル・オブ・バイ
オケミストリー255巻976頁記載の方法でリシン・
オキシダーゼの反応液に入れて反応させ、本願酵素反応
によって遊離されたL−リシンを定量した。その結果、
図6に示すようにLーリジンの量が一定の割合で増加し
た。これは本願酵素の反応形式がエキソ型で、L−リシ
ンがε−ポリ−L−リシンの末端から遊離していること
を示す。
株から得られたε−ポリ−L−リシン分解酵素を実施例
3と同量の0.8Uを実施例3に準拠して反応させ、リ
シン・オキシダーゼを用いて遊離したL−リシンを定量
した。その結果、実施例3と同量の酵素を入れているに
も関わらず図6に示すようにL−リシンの量はほとんど
増加しなかった。これは先願酵素の反応形式がエンド型
であることを示す。
分解酵素はε−ポリ−L−リシンに基質特異性が高く、
ε−ポリ−L−リシンを加水分解し低重合度ε−ポリ−
L−リシン及びL−リシンを生成する。この酵素は、蛋
白の共存下で蛋白を分解することなくε−ポリ−L−リ
シンを分解することができる。この性質によって、低重
合度ε−ポリ−L−リシンの食品工業を中心として多方
面の用途が開ける。
質とした反応での反応直後(0時間)の反応液の逆相ク
ロマトグラムである。
質とした反応での反応4時間後の反応液の逆相クロマト
グラムである。
質とした反応での反応24時間後の反応液の逆相クロマ
トグラムである。
質とした反応での反応直後(0時間)の反応液の逆相ク
ロマトグラムである。
とした反応での反応24時間後の反応液の逆相クロマト
グラムである。
シンの量の変化
Claims (7)
- 【請求項1】ε−ポリ−L−リシンをエキソ型に加水分
解し、低重合度ε−ポリ−L−リシンを生成させるε−
ポリ−L−リシン分解酵素。 - 【請求項2】スフィンゴバクテリウム・マルチヴォラム
(Sphingobacterium multivorum)に属する微生物を培養
し、該微生物中より採取して得られる請求項1記載のε
−ポリ−L−リシン分解酵素。 - 【請求項3】スフィンゴバクテリウム・マルチヴォラム
に属する微生物がスフィンゴバクテリウム・マルチヴォ
ラム OJ−10株(FERM P−15398)である
請求項2記載のε−ポリ−L−リシン分解酵素。 - 【請求項4】スフィンゴバクテリウム・マルチヴォラム
に属する微生物を培養して、ε−ポリ−L−リシンを加
水分解し低重合度ε−ポリ−L−リシン及びL−リシを
生成させる酵素を培養液中より採取することを特徴とし
たε−ポリ−L−リシン分解酵素の製造法。 - 【請求項5】ε−ポリ−L−リシンを請求項1〜3項の
いずれか1項記載の酵素で加水分解することを特徴とす
る低重合度ε−ポリ−L−リシンの製造法。 - 【請求項6】重合度が20以上のε−ポリ−L−リシン
を請求項1または2項のいずれか1項記載の酵素で加水
分解することを特徴とする重合度2〜19であるε−ポ
リ−L−リシンの製造法。 - 【請求項7】ε−ポリ−L−リシン分解酵素生産能を有
するスフィンゴバクテリウム・マルチヴォラム OJ−
10株(FERM P−15398)。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06193796A JP3820617B2 (ja) | 1996-02-23 | 1996-02-23 | ε−ポリ−L−リシン分解酵素とそれを用いた低重合度ε−ポリ−L−リシンの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06193796A JP3820617B2 (ja) | 1996-02-23 | 1996-02-23 | ε−ポリ−L−リシン分解酵素とそれを用いた低重合度ε−ポリ−L−リシンの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09224663A true JPH09224663A (ja) | 1997-09-02 |
JP3820617B2 JP3820617B2 (ja) | 2006-09-13 |
Family
ID=13185603
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP06193796A Expired - Fee Related JP3820617B2 (ja) | 1996-02-23 | 1996-02-23 | ε−ポリ−L−リシン分解酵素とそれを用いた低重合度ε−ポリ−L−リシンの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3820617B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114034793A (zh) * | 2021-11-10 | 2022-02-11 | 石金娥 | 一种生湿面制品中ε-聚赖氨酸盐酸盐的测定方法 |
-
1996
- 1996-02-23 JP JP06193796A patent/JP3820617B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114034793A (zh) * | 2021-11-10 | 2022-02-11 | 石金娥 | 一种生湿面制品中ε-聚赖氨酸盐酸盐的测定方法 |
CN114034793B (zh) * | 2021-11-10 | 2023-08-25 | 梧州学院 | 一种生湿面制品中ε-聚赖氨酸盐酸盐的测定方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3820617B2 (ja) | 2006-09-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Shirakura et al. | An extracellular D (−)-3-hydroxybutyrate oligomer hydrolase from Alcaligenes faecalis | |
AU615661B2 (en) | Acid urease and production thereof | |
US5281527A (en) | Process for producing pullalanase | |
JP3820617B2 (ja) | ε−ポリ−L−リシン分解酵素とそれを用いた低重合度ε−ポリ−L−リシンの製造法 | |
JP3603396B2 (ja) | εーポリーLーリシン分解酵素およびそれを用いた低重合度εーポリーLーリシンの製造法 | |
JP3076856B2 (ja) | 細菌によるアルギン酸の分解法 | |
JP3093039B2 (ja) | 新規エステル分解酵素aおよびその製造方法 | |
JP2001069975A (ja) | キトサナーゼ | |
JPH02234678A (ja) | アミノ酸アミド加水分解酵素及びその使用 | |
JP2676453B2 (ja) | アルカリイソアミラーゼ及びそれを生産する微生物並びに該アルカリイソアミラーゼの製造方法 | |
JP3055041B2 (ja) | α−1,2−マンノシダーゼ、その製造方法およびその生産菌 | |
JP3272416B2 (ja) | 新規サイクロデキストリン・グルカノトランスフェラーゼ、その製造法及び該酵素を用いるサイクロデキストリンの製造法 | |
JP2885434B2 (ja) | 蛋白質分解酵素及びその製造方法 | |
JPH0391478A (ja) | コラーゲン分解酵素の製造方法 | |
JPS6248380A (ja) | セフアロスポリンcアシラ−ゼの製造法 | |
JPS61173789A (ja) | 4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸の製造法 | |
JP2812481B2 (ja) | 新規なエステラーゼおよびその製造方法 | |
JPS61280269A (ja) | 新規微生物 | |
JPH07322878A (ja) | 新規なα−アガラーゼ及びその製造方法 | |
JPS60241888A (ja) | 新規ヒダントイナ−ゼ | |
JPH0748996B2 (ja) | 新規なアルカリプロテアーゼとその製造方法 | |
JPH02299596A (ja) | l―メントールの生化学的分離法 | |
JPH0458885A (ja) | アミラーゼ及びその製造法 | |
JPS6151879B2 (ja) | ||
JPH0195778A (ja) | 耐熱性プロテアーゼ及びその製法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060329 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060421 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20060424 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060530 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060612 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100630 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100630 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110630 Year of fee payment: 5 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110630 Year of fee payment: 5 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110630 Year of fee payment: 5 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110630 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120630 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120630 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130630 Year of fee payment: 7 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |