JPH07322878A - 新規なα−アガラーゼ及びその製造方法 - Google Patents

新規なα−アガラーゼ及びその製造方法

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JPH07322878A
JPH07322878A JP12041994A JP12041994A JPH07322878A JP H07322878 A JPH07322878 A JP H07322878A JP 12041994 A JP12041994 A JP 12041994A JP 12041994 A JP12041994 A JP 12041994A JP H07322878 A JPH07322878 A JP H07322878A
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JP
Japan
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agarase
galactose
agarose
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alpha
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Application number
JP12041994A
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English (en)
Inventor
Yasushi Sugano
靖史 菅野
Ichiro Terada
一郎 寺田
Yoshinari Yamazaki
嘉也 山崎
Hisashi Kodama
久 児玉
Masakata Noma
正名 野間
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Japan Tobacco Inc
Original Assignee
Japan Tobacco Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 アガロース由来の6糖以下のオリゴ糖のD−
ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトース
との間のα−1,3結合を加水分解することを特徴とす
るα−アガラーゼ、及びビブリオ属微生物を用いた該酵
素の製法。 【効果】 新規なα−アガラーゼが提供され、該酵素を
用いることにより重合度の低いオリゴ糖を生産すること
が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、寒天及びアガロース由
来のオリゴ糖のα−1,3結合の分解活性を有する新規
なα−アガラーゼ並びにその製造方法に関するものであ
る。本酵素を用いることにより、従来法では得ることが
困難であった重合度の低いオリゴ糖を生産することがで
き、これらのオリゴ糖は、澱粉及び澱粉含有製品の老化
防止に効果を有している。
【0002】
【従来の技術】寒天の主要構成成分であるアガロース
は、D−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラ
クトースが交互にα−1,3結合、β−1,4結合を繰
り返してなる多糖である。寒天由来のオリゴ糖を製造す
るためには、このアガロースを分解し、低分子化しなけ
ればならないが、従来よりアガロースを化学的に分解す
る方法及び酵素的に分解する方法が知られている。化学
的に分解する方法では、酸を用いてアガロースを加水分
解することができ、この場合主としてα−1,3結合が
切断される。酵素的に分解する方法としては、シュード
モナス・アトランティカ、シュードモナス・エスピー N
-7(微工研菌寄9884号)等の生産するβ−アガラーゼを
利用してβ−1,4結合を切断する方法(L. M. Morric
e ら、European Journal ofBiochemistry, 137, 149-15
4 (1983) 等)と、アルテロモナス・アガーリティクス
の生産するα−アガラーゼを利用して、α−1,3結合
を切断する方法(P. Potinら、European Journal of Bi
ochemistry, 214, 599-607 (1993))が知られている。
【0003】β−1,4結合を切断して得られるオリゴ
糖は、ネオアガロオリゴ糖と呼ばれ、その非還元末端は
3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースであり、その重
合度は偶数である。一方、α−1,3結合を切断して得
られるオリゴ糖は、アガロオリゴ糖と呼ばれ、その重合
度は偶数であり、その非還元末端はD−ガラクトースで
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】化学的に分解する方法
では、生産されるオリゴ糖の大きさを制御することが難
しく、特に重合度の低いオリゴ糖を選択的に作ることは
極めて難しい(徳永隆久ら、バイオサイエンスとインダ
ストリー、49巻7号 p.734 (1991) 等) 。一方、従来の
β−アガラーゼを用いる方法では、主に6糖以上のオリ
ゴ糖を選択的に生産することが可能であるが、β−1,
4結合のみの切断であるために重合度が偶数であるオリ
ゴ糖しか得られず、3糖や5糖のような重合度が奇数で
ある低分子のオリゴ糖を得ることができない。また、非
還元末端がD−ガラクトースであるオリゴ糖を製造する
ことも原理的に不可能である。一方、前述した従来のα
−アガラーゼは、非還元末端がD−ガラクトースである
オリゴ糖を製造することは可能であるが、重合度の高い
アガロースに対し作用するものであることから、6糖以
下のオリゴ糖の分解能はなく、更に重合度の低いオリゴ
糖を生産することができない。従って、従来法では、重
合度が低く、かつその非還元末端がD−ガラクトースで
あるアガロース由来のオリゴ糖を製造することができな
いという問題を抱えていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記事情
に鑑み、アガロース由来のオリゴ糖のα−1,3結合の
みを酵素的に切断することを目的として鋭意研究、探索
を行った結果、ビブリオ属に属する微生物が目的とする
酵素を生産することを見いだした。即ち、本発明は下記
の発明を包含する。 (1)アガロース由来の6糖以下のオリゴ糖のD−ガラ
クトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースとの
間のα−1,3結合を加水分解することを特徴とするα
−アガラーゼ。 (2)下記の理化学的性質を有することを特徴とするα
−アガラーゼ。 作用及び基質特異性 アガロース由来のオリゴ糖のD−ガラクトースと3,6
−アンヒドロ−L−ガラクトースとの間のα−1,3結
合を加水分解する。 至適 pH 7〜8.4 至適温度 30℃ pH安定性 6〜9 熱安定性 35℃で10分間加熱後の活性は、初期活性の約100 %を保
持する。
【0006】40℃で10分間加熱後の活性は、初期活性の
約50%を保持する。 分子量 約42,000(10% SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
による) アミノ末端アミノ酸配列 Ser →Gly →Thr →Gly →Ser →Lys →Leu →Ser →Le
u →Ala (3)ビブリオ属に属し、α−アガラーゼ生産能を有す
る微生物を培地に培養し、培養物中にα−アガラーゼを
生成蓄積させ、これを採取することを特徴とするα−ア
ガラーゼの製造方法。 (4)ビブリオ(Vibrio) sp. JT0107-L4であることを特
徴とする前記(3)に記載の製造方法。
【0007】なお、本明細書において、アガロース由来
のオリゴ糖とは、寒天等から得られるアガロースから得
られる構成単糖の数が2以上8以下の糖をいう。本発明
のα−アガラーゼは、前記特徴を有する酵素の部分精製
品と精製品の両者を含むものである。本発明のα−アガ
ラーゼの一例である後述の実施例1で得られた精製品
(α−NAOS hydrolase) の理化学的性質を以下に示す。 (1)活性測定法 本酵素の精製品又は部分精製品の活性測定は以下のよう
に行う。ネオアガロビオースを基質として酵素反応を行
った後、未分解のネオアガロビオースの量を定量するこ
とにより、分解されたネオアガロビオースの量を高速液
体クロマトグラフィーを用いて定量する。詳しくは、以
下の通りである。
【0008】20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.8) に溶解
した0.1%ネオアガロビオース溶液を調製し、この90μ
lを基質として、酵素溶液10μlと混合し、30℃にて、
5〜30分間、好ましくは10分間反応させた後、沸騰水中
で1分間加熱することによって反応を停止させる。この
反応溶液10μlを内径4.5mm 、長さ250mm のカプセルパ
ックC-18(資生堂製)なるカラムに供し、水を溶離液と
して1ml/minの流速で溶出させたとき約 4.5分の保持時
間を示す酵素反応によって分解されなかったネオアガロ
ビオースの量を定量する。この値から分解されたネオア
ガロビオースの量に逆算し、1分間当り1マイクロモル
のネオアガロビオースを分解する酵素量を1単位(1
U)とする。 (2)基質特異性及び作用 20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.8) に、ネオアガロビオ
ース、ネオアガロテトラオース、ネオアガロヘキサオー
ス、アガロースの各基質を 0.3%濃度に調整し、30℃に
て酵素反応を行った。ネオアガロビオースの分解活性を
100 とするときのそれぞれの活性割合を表1に示す。
【0009】
【表1】
【0010】α−NAOS hydrolaseの作用様式の特定 0.3 %ネオアガロヘキサオース溶液90μlに該酵素溶液
10μl(50μg/ml) を加え、恒温水槽中30℃で3時間反
応した。反応生成物の10μlを高速液体クロマトグラフ
ィーで分取するために、内径4.5mm 、長さ250mm のカプ
セルパックC-18(資生堂製)なるカラムに供し、水を溶
離液として1ml/minの流速で溶出させた。主な反応生成
物は、約 6.5〜7.2 分の保持時間を示した。この画分を
分取し、ブタノール:エタノール:水=3:1:1の組
成からなる展開溶媒で薄層クロマトグラフィーに供した
ところ、Rf=0.21にスポットを持つ反応生成物を確認
した。該画分を凍結乾燥後、高速原子衝撃法質量分析装
置によって、質量測定を行ったところ 792と測定され
た。これにより、該画分に含まれる反応生成物は非還元
末端の3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースが切断さ
れて生じるアガロペンタオースなる5糖であることが解
った。一方、還元末端のD−ガラクトースが切断されて
生じる分子量 774に相当する5糖は得られなかった。更
に、0.2 %ネオアガロテトラオース溶液を基質溶液とし
て酵素反応を行ったとき、最も優先的に得られる反応生
成物の質量数は 486であった。これにより該質量数に相
当する反応生成物は、非還元末端の3,6−アンヒドロ
−L−ガラクトースが切断されて生じるアガロトリオー
スなる3糖であることが解った。一方、還元末端のD−
ガラクトースが切断されて生じる分子量 468に相当する
3糖は得られなかった。更に、0.2 %ネオアガロビオー
ス溶液を基質溶液として酵素反応を行ったときの反応生
成物は、 1H−NMRの測定によって、D−ガラクトー
スと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースであること
が明らかとなった。従って、α−NAOS hydrolaseは、非
還元末端の3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースを認
識し、α−1,3結合を加水分解する新規酵素であるこ
とが明らかとなった。 (3)至適 pH pHを5.5 から7.7 (リン酸緩衝液)、7.7 から8.9 (ビ
シン−水酸化ナトリウム緩衝液)、9.0 から9.4 (グリ
シン−水酸化ナトリウム緩衝液)に調整した0.1 %ネオ
アガロビオース溶液90μlに酵素溶液(40μg/ml) 10μ
lを加え、30℃にて10分間反応させた後、沸騰水中で1
分間加熱することによって反応を停止させた。この反応
溶液10μlを内径4.5mm 、長さ250mm のカプセルパック
C-18(資生堂製)なるカラムに供し、水を溶離液として
1ml/minの流速で溶出させたとき約4.5 分の保持時間を
示す酵素反応によって分解されなかったネオアガロビオ
ースの量を定量した。ネオアガロビオース分解能の最も
高かったpHの活性を 100として各pHの相対活性値を図1
に示した。これにより反応至適pHは、7〜8.4 の中性か
ら弱アルカリ性であることがわかった。 (4)至適温度 酵素の失活が最小限に抑制され、かつ酵素反応が速やか
に進む温度は、30℃であった。 (5)安定性 pH安定性 本酵素を、前述の至適pHを測定した場合の各緩衝液で酵
素溶液を調製し、これを30分間30℃で保温した後、活性
を測定し、それぞれ非加熱時の活性を100 %とした場
合、残存活性が80%を越える範囲として定めると、pH6
〜9で安定であった。
【0011】熱安定性 該酵素溶液(40μg/ml)10μlを30℃、35℃、40℃、50
℃、60℃の水浴中で5分間加熱した後、0.1 %ネオアガ
ロビオース溶液90μl(pH7.8)に加え、30℃にて10分
間反応させた後、沸騰水中で1分間加熱することによっ
て反応を停止させた。この反応溶液10μlの酵素活性を
測定し、非加熱時の酵素活性を100 %として、加熱後の
残存活性を比較すると30℃、35℃では約100 %、40℃で
約50%の残存活性を示した。これを図2に示した。 (6)ミカエリス定数及び最大反応速度 3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースとD−ガラクト
ースがα−1,3結合してなるネオアガロビオースを基
質として、種々の濃度の基質溶液を作製し、これに該酵
素溶液(40μg/ml)10μlを加え、活性測定法に従い酵
素活性を測定した。基質濃度の逆数と、それに対応する
酵素活性の逆数を二次元座標上にプロットし、ラインウ
ェーバーバルクの式を求め、これよりミカエリス定数
は、4.28±5.0mM 、最大反応速度は、87 U/mg 蛋白質で
あることがわかった。 (7)分子量 分子量は SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法、及
びゲル濾過法で測定した。 SDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動法では、常法に従って、 SDSを含むポリアク
リルアミドゲルの濃度が10%のゲルで、分子量マーカー
(分子量 200,000のミオシン、 116,000のβ−ガラクト
シダーゼ、66,000の牛血清アルブミン、42,000のアルド
ラーゼ、30,000のカルボニックアンハイドラーゼ)とと
もに電気泳動を行い、移動度から分子量を求めたとこ
ろ、約42,000であった。ゲル濾過法では、ファルマシア
社製のSuperdex 200なるゲル濾過カラムを用いて、分子
量マーカー(分子量160,000 のイムノグロブリンG、6
7,000のヒト血清アルブミン、35,000のβ−ラクトグロ
ブリン、12,400のチトクロームC)のゲル濾過を行い、
各蛋白質の溶出量を測定した後、該酵素のゲル濾過を行
い、その溶出量とマーカー蛋白質の溶出量を比較計算し
分子量を計算したところ、約84,000(±16,000)であっ
た。 (8)アミノ末端アミノ酸配列 該酵素のアミノ末端アミノ酸配列をエドマン分解法によ
り決定した。該酵素溶液(1μg/μl)10μlを、10%
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を常法に従って
行った後、該酵素をウェスタンブロッティング法により
バイオダインA(日本ポール社製)なる膜に吸着させ、
これをアミノ酸配列分析装置477A及び120Aプロテインシ
ークエンサー(アプライドバイオシステム社製)によ
り、アミノ末端側10個のアミノ酸配列を決定した。その
結果、配列は Ser→Gly →Thr →Gly →Ser →Lys →Le
u →Ser →Leu →Ala であった。 (9)その他の特性 溶解性:水に可溶 紫外部吸収スペクトル:λmax=280nm 本発明のα−アガラーゼは、ビブリオ属に属し、α−ア
ガラーゼ生産能を有する微生物を培地に培養し、培養物
中にα−アガラーゼを生成蓄積させ、これを採取するこ
とにより得ることができる。
【0012】ここで用いる微生物としては、ビブリオ属
に属し、α−アガラーゼを生産する能力を有する微生物
であれば、いずれでも用いることができる。その例とし
ては、ビブリオ(Vibrio) sp. JT0107-L4が挙げられる。
ビブリオ(Vibrio) sp. JT0107-L4は、海水中から分離さ
れたものであって下記に示す菌学的性質を有するもので
ある。 菌学的性質: 1)形態 マリンブロス2216培地に生育した細胞について、 (イ)細胞の形態は桿菌で、大きさは0.25〜1.2 μm ×
0.5〜2.5 μm (ロ)運動性を有し、鞭毛を有す (ハ)グラム染色性は陰性 (ニ)胞子は形成しない 2)生育状態 マリンブロス2216平板培地での培養において、 (イ)18〜25℃で良好に生育する (ロ)淡黄色の色素沈着を有する (ハ)菌体の生育に従って寒天ゲルは液化される マリンブロス2216の液体培養において、 (ニ)pH7, 8, 9において旺盛に生育する 3)生理学的性質 (イ)O−Fテスト F (ロ)カタラーゼテスト 陽性 (ハ)オキシダーゼテスト 陽性 (ニ)グルコースからのガスの生成 無 (ホ)フォゲス−プロスカウエル反応 陰性 (ヘ)メチルレッド反応 陽性 (ト)ゼラチン分解能 有 (チ)エスクリン分解能 有 (リ)硝酸還元能 有 (ヌ)通性嫌気性 ビブリオ(Vibrio) sp. JT0107-L4は、平成3年3月6日
付で、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に
FERM BP-4541 として寄託されている。
【0013】培養に用いる培地は、前記微生物が利用し
得る窒素源、無機物等を含み、寒天又はアガロース等を
炭素源として含むものを用いる。寒天、アガロースは、
市販のものを用いることができる。寒天、アガロース以
外の炭素源としては、肉エキス、カゼイン分解物、トリ
プトン、ペプトン等が挙げられ、好ましくはペプトンを
用いる。
【0014】窒素源としては、酵母エキスを用いる。更
に、塩類としては、塩化ナトリウム、クエン酸鉄、塩化
マグネシウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化
カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、臭化カ
リウム、塩化ストロンチウム、ホウ酸ナトリウム、ケイ
酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、硝酸アンモニウム、
リン酸水素二ナトリウム等を組み合わせて用いる。
【0015】寒天、アガロース以外の前記成分をすべて
含んだマリンブロス2216なる培地(ディフコ社製)に、
寒天又はアガロースを加えて用いることもできる。ま
た、前記塩類を適度に含む人工海水を用い、これにペプ
トン、酵母エキス、寒天等を加えた培地を用いることも
できる。寒天又はアガロースの濃度は、 0.1〜1.5 %が
好ましく、この際、寒天又はアガロースの濃度を任意に
変えることにより固体培地、液体培地を作り分けること
が可能であるが、酵素生産を目的とする場合は、濃度
0.1〜0.4 %の液体培養が好ましく、菌体の保存を目的
とするときは、濃度1.2〜1.5 %の固体培養が好まし
い。
【0016】培養条件は、培地の組成によって多少異な
るが、培養温度は、15〜30℃、好ましくは20〜25℃、pH
は、 7.0〜8.5 、好ましくは 7.8〜8.2 、培養時間は、
15〜48時間、好ましくは18〜24時間である。目的とする
酵素は、菌体内に存在するので、公知の菌体破砕法、例
えば超音波破砕法、フレンチプレス法、ガラスビーズ破
砕法、ダイノミル破砕法等のいずれかを行えばよく、そ
の菌体破砕物から目的とする酵素が分離精製される。本
発明において好ましい菌体破砕法は、ダイノミル破砕法
である。例えば、菌体破砕物から遠心分離又は濾過によ
り固形物を除去した後、上清に30〜90%飽和、好ましく
は40〜70%飽和の硫酸アンモニウム等の塩を加えて、目
的酵素を塩析させる。この塩析物を適当な緩衝液(pH
7.0〜8.5)、好ましくはリン酸カリウム緩衝液(pH 7.8)
に懸濁し、この懸濁液の容積の50〜200 倍の同緩衝液
を外液として透析を数回繰り返し、脱塩し、再溶解させ
る。これを市販の陰イオン交換性カラム、ゲル濾過カラ
ム、ハイドロキシアパタイトカラム等のカラムクロマト
グラフィーを組み合わせて電気泳動的に単一バンドにな
るまで精製することができる。
【0017】本発明のα−アガラーゼを用いることによ
って、5糖以下の重合度の低いオリゴ糖を生産すること
ができる。即ち、まず、寒天又はアガロース由来の、ア
ガロオクタオース、アガロヘキサオース、アガロテトラ
オース、ネオアガロオクタオース、ネオアガロヘキサオ
ース、ネオアガロテトラオース等のオリゴ糖、好ましく
はこれらのうち2糖〜6糖を、それぞれ単独で又は任意
の割合の混合物として原料とし、前述したα−アガラー
ゼ、例えばα−NAOS hydrolaseを作用させることによ
り、更に重合度の低いオリゴ糖を生産することができ
る。ここで用いる原料は、必ずしも精製されたものを使
う必要はなく、市販品を用いてもよく、また寒天の酸分
解、又は市販のアガラーゼによって得たものを用いても
よい。これらの原料をリン酸緩衝液等の溶媒に溶解し、
濃度を 0.1〜1.0 %、好ましくは 0.2〜0.6 %に調整す
る。これに該α−アガラーゼを加え、25〜35℃で反応を
行う。反応時間は、2〜24時間で任意に調整し、酵素量
を適当に増減することにより、重合度の異なるオリゴ糖
を作ることができる。反応液中のオリゴ糖は、活性炭又
はシリカゲルを充填剤としたカラムクロマトグラフィー
を用いて、重合度毎に分離精製することができる。ま
た、この酵素反応に使用する場合のα−アガラーゼは、
完全精製する必要はなく、部分精製品で十分な効果を得
ることができる。
【0018】以上のようにして得られるオリゴ糖は、ア
ガロビオース、アガロトリオース、アガロペンタオース
等である。
【0019】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるも
のではない。 [実施例1] α−NAOS hydrolaseの製造 500ml の人工海水(商品名シーライフ、マリンテック社
製)を調製し、これにペプトン5g(日本製薬社製)、
酵母エキス1g(ディフコ社製)を加え、pH8.0 に調整
後、3,000ml 容の三角フラスコに移し、寒天1g(極東
社製)を加え、オートクレーブを用いて滅菌操作を行っ
た。これに−80℃で40%グリセロール中に保存したビブ
リオ(Vibrio) sp. JT0107-L4を室温で融解後、その1ml
を接種し、25℃、毎分 150回転で24時間培養した。得ら
れた培養液を前培養液とした。
【0020】本培養は、以下の手順で実施した。5,000m
l 容のジャーファーメンター容器を用いて人工海水(商
品名シーライフ、マリンテック社製)3,000ml を調製
し、これにペプトン60g(日本製薬社製)、酵母エキス
12g(ディフコ社製)を加え、pHを8.0 に調整後、寒天
(極東社製)12gを加え、オートクレーブを用いて滅菌
操作を行った。これに前培養で得られた培養液の30mlを
接種し、25℃、毎分600回転で20時間培養し、得られた
菌体をシャープレス遠心分離装置で回収し、湿重量で約
50gを得た。これを20mMリン酸緩衝液(pH7.8) に懸濁し
総容量を100ml とし、直径0.2mm のガラスビーズ150ml
と混合し、ダイノミル破砕装置を用いて毎分3,000 回転
で15分間菌体破砕を行った。
【0021】菌体破砕懸濁液は、20,000×g、60分間の
遠心分離によりガラスビーズ、菌体デブリスを除去し、
得られた上清100ml に40%飽和となるように硫酸アンモ
ニウムを加え、生じた沈澱を 6,000×g、30分間で除去
し、上清に更に70%飽和となるように硫酸アンモニウム
を加え、生じた沈澱を 6,000×g、30分間の遠心により
回収し、30mlの20mMリン酸緩衝液(pH7.8) に懸濁し、同
緩衝液5,000ml で計3回透析を行い脱塩、再溶解を施し
た。
【0022】この透析液を予め20mMリン酸緩衝液で平衡
化した QAE-Toyopearl(東ソー製)なる強陰イオン交換
樹脂34mlを充填したカラム(2.2cm ×9cm)に吸着さ
せ、20mMリン酸緩衝液(pH7.8) から0.5Mの塩化ナトリウ
ムを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.8) への直線濃度勾配法
(総溶出量300ml)で溶出させ、塩化ナトリウム濃度が0.
3Mと0.4Mの間に溶出してくる画分50mlを回収した。
【0023】この画分を同緩衝液で200 mlに希釈し、 1
00mlずつ2本の画分に分け、それぞれを、予め20mMリン
酸緩衝液で平衡化したMono-Q(ファルマシア社製)なる
強陰イオン交換樹脂を担体としたカラム(1.0cm×10cm)
に吸着させ、前述の直線濃度勾配法(総溶出量 120ml)
により溶出させ、0.3Mから0.4Mの塩化ナトリウム濃度で
溶出する画分16mlを得た。これを再度、同緩衝液で4倍
に希釈し、Mono-Qでのクロマトグラフィーを繰り返し、
0.3Mから0.35M で溶出される画分8mlを得た。これを2
mlずつ4本に分別し、それぞれグレースジャパン社製遠
心限外濾過膜セントリコン50を用いて0.5ml に濃縮し
た。これを Superdex200(ファルマシア社製)なるゲル
濾過担体を用いたカラム(1.0cm×30cm)に供し、0.1Mの
塩化ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.8) で溶出
させ、溶出量13.6mlから14.4mlの画分を得た。
【0024】これを超純水を用いて4mlにし、HCA-8010
G (三井東圧化学社製)なるハイドロキシアパタイトを
充填したカラムを用いて10mMリン酸緩衝液(pH6.8)から
175mM リン酸緩衝液(pH6.8)への直線濃度勾配(溶出総
量15ml)にて溶出させ、7.5ml から8.5ml に溶出してく
る画分を得た。この画分をドデシル硫酸ナトリウム(S
DS)を含むポリアクリルアミドゲルで電気泳動したと
ころ、目的酵素は約42,000の分子量を示した。この画分
の比活性は、菌体破砕時の比活性に比べて350 倍に上昇
し、全活性は 4.4U、活性収率は 2.5%であった。
【0025】[実施例2] アガロペンタオースの製造 ネオアガロヘキサオース20mgを9mlのリン酸緩衝液(pH
7.8) に溶解した溶液に、ビブリオ(Vibrio) sp. JT0107
-L4から単離精製した 1.5Uのα−NAOS hydrolaseを1m
lのリン酸緩衝液(pH7.8) に溶解した溶液を加え、30℃
で5時間反応させ、ネオアガロヘキサオースを分解し
た。反応溶液を活性炭カラム(5mm×50mm)に吸着せし
め、1mlの水、1mlの10%エタノールで洗浄した後、3
mlの30%エタノールで溶出した。この30%エタノール画
分の溶媒をロータリーエバポレーターを用いて留去し、
更に凍結乾燥を行い重量を測定したところ、13.5mgであ
った。この反応生成物を薄層クロマトグラフィーによっ
て分析したところ、Rf=0.21(展開溶媒;ブタノー
ル:エタノール:水=3:1:1)に物質を確認した。
更にこの反応生成物の質量数を高速原子衝撃法質量分析
装置を用いて求めたところ、792 であった。これにより
該物質は、アガロペンタオースであることが明らかとな
り、得られたアガロペンタオースの収率は80%と計算さ
れた。
【0026】
【発明の効果】本発明により、新規なα−アガラーゼが
提供され、該酵素を用いることにより重合度の低いオリ
ゴ糖を生産することが可能となり、更に、従来得ること
のできなかったアガロース由来の奇数オリゴ糖を得るこ
とが可能となった。本発明により得られたオリゴ糖は、
澱粉含有製品の老化防止に効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のα−アガラーゼの至適pHを示す図であ
る。
【符号の説明】 ○ リン酸緩衝液 ● ビシン−水酸化ナトリウム緩衝液 □ グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液
【図2】本発明のα−アガラーゼの熱安定性を示す図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 児玉 久 神奈川県横浜市緑区梅が丘6−2 日本た ばこ産業株式会社生命科学研究所内 (72)発明者 野間 正名 神奈川県横浜市緑区梅が丘6−2 日本た ばこ産業株式会社生命科学研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アガロース由来の6糖以下のオリゴ糖の
    D−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクト
    ースとの間のα−1,3結合を加水分解することを特徴
    とするα−アガラーゼ。
  2. 【請求項2】 下記の理化学的性質を有することを特徴
    とするα−アガラーゼ。 作用及び基質特異性 アガロース由来のオリゴ糖のD−ガラクトースと3,6
    −アンヒドロ−L−ガラクトースとの間のα−1,3結
    合を加水分解する。 至適 pH 7〜8.4 至適温度 30℃ pH安定性 6〜9 熱安定性 35℃で5分間加熱後の活性は、初期活性の約100 %を保
    持する。40℃で5分間加熱後の活性は、初期活性の約50
    %を保持する。 分子量 約42,000(10% SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
    による) アミノ末端アミノ酸配列 Ser →Gly →Thr →Gly →Ser →Lys →Leu →Ser →Le
    u →Ala
  3. 【請求項3】 ビブリオ属に属し、α−アガラーゼ生産
    能を有する微生物を培地に培養し、培養物中にα−アガ
    ラーゼを生成蓄積させ、これを採取することを特徴とす
    るα−アガラーゼの製造方法。
  4. 【請求項4】 微生物が、ビブリオ(Vibrio) sp. JT010
    7-L4であることを特徴とする請求項3記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000050578A1 (fr) * 1999-02-23 2000-08-31 Takara Shuzo Co., Ltd. α-AGARASE ET PROCEDE DE PRODUCTION DE CELLE-CI
US7329524B2 (en) 2001-02-27 2008-02-12 Takara Bio Inc. Agarase and gene thereof

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US7329524B2 (en) 2001-02-27 2008-02-12 Takara Bio Inc. Agarase and gene thereof
US7622291B2 (en) 2001-02-27 2009-11-24 Takara Bio Inc. Agarase and gene thereof

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