JPH07322886A - オリゴ糖及び単糖の製造方法 - Google Patents

オリゴ糖及び単糖の製造方法

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JPH07322886A
JPH07322886A JP12042094A JP12042094A JPH07322886A JP H07322886 A JPH07322886 A JP H07322886A JP 12042094 A JP12042094 A JP 12042094A JP 12042094 A JP12042094 A JP 12042094A JP H07322886 A JPH07322886 A JP H07322886A
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agarose
oligosaccharide
agarase
derived
galactose
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JP12042094A
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Yasushi Sugano
靖史 菅野
Ichiro Terada
一郎 寺田
Yoshinari Yamazaki
嘉也 山崎
Hisashi Kodama
久 児玉
Masakata Noma
正名 野間
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Japan Tobacco Inc
Original Assignee
Japan Tobacco Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 アガロースを含む基質に対し、アガロース由
来の多糖及びオリゴ糖のいずれにも作用するβ−アガラ
ーゼと、アガロース由来のオリゴ糖に特異的に作用する
α−アガラーゼを作用させることを特徴とするオリゴ糖
及び/又は単糖の製造方法、アガロース由来のオリゴ糖
を含む基質に対し、アガロース由来の多糖及びオリゴ糖
のいずれにも作用するβ−アガラーゼと、アガロース由
来のオリゴ糖に特異的に作用するα−アガラーゼを作用
させることを特徴とするオリゴ糖及び/又は単糖の製造
方法、並びに寒天又はアガロースから派生するオリゴ糖
を基質として、アガロース由来の6糖以下のオリゴ糖の
D−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクト
ースとの間のα−1,3結合を加水分解するα−アガラ
ーゼを作用させることを特徴とするオリゴ糖及び/又は
単糖の製造方法。 【効果】 寒天又はアガロース由来の重合度が5以下の
オリゴ糖、及び単糖である3,6−アンヒドロ−L−ガ
ラクトース、D−ガラクトースを効果的に製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、澱粉及び澱粉含有製品
の老化を防止する効果を有する寒天又はアガロース由来
のオリゴ糖及び単糖の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】澱粉及び澱粉含有製品は、食用の他に接
着剤等の用途がある。しかし、それらの製品中に水分が
含まれている場合、澱粉と水分の相互作用により製品の
柔軟性が低下し、老化現象が生じる。これは、食品では
保湿性の低下による硬化、また接着剤等の非食用製品に
おいては乾燥によるひび割れ等の劣化現象の直接要因と
なっている。この老化現象を抑制するために従来多くの
試みがなされている。例えば、澱粉含有食品に対するデ
キストリン、ソルビット、脂肪酸モノグリセリド、レシ
チン等の添加、非食用製品に対するグリセリン、ホルム
アミド等の添加が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記添
加物による老化防止は完全でなく、またホルムアミド等
の使用は作業環境上の危険を伴う。このため、より効果
が大きく、安全性の高い老化防止物質の開発が待望され
てきた。これに対して、近年寒天由来のオリゴ糖の老化
防止効果が強力であるという報告がなされている(特開
昭62-210955 号公報) 。その製造方法の特徴は、従来の
アガラーゼ、例えば、シュードモナス・エスピー N-7
(微工研菌寄9884号)の生産するアガラーゼ、あるいは
シュードモナス・アトランティカの生産するアガラーゼ
(シグマ社)を用い、寒天を原料としてオリゴ糖等を製
造するものであり、この方法で生産されたオリゴ糖液の
60%以上が6糖以上のオリゴ糖と難分解物で占められる
というものである(特開平2-65788 号公報, 同2-65789
号公報)。
【0004】これらの寒天由来のアガロース分解物は、
その重合度により老化防止効果に顕著な差異が認められ
る。即ち、20糖以上のオリゴ糖では効果がなく、十分な
効果を得るためには6糖未満のオリゴ糖又は単糖とする
ことが必要である(特開昭62-210955 号公報, 同62-210
974 号公報, 特公平3-37897 号公報) 。このことから、
より強力な老化防止効果を期待するためには、重合度の
小さいオリゴ糖を選択的に得る必要がある。
【0005】しかしながら、前述のように従来の方法で
は、6糖未満、即ち5糖以下のオリゴ糖は40%以下の少
量であり、老化防止の効果を十分に得ているとは言い難
い。特に、より高い効果が期待できる5糖、3糖等の構
成単糖の数が奇数であるオリゴ糖及び単糖については、
従来のアガラーゼの作用では原理的に生産することがで
きないという問題点を有するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記事情
に鑑み鋭意研究を行った結果、以下の方法により前記課
題を解決することができることを見出した。 (第1の方法)アガロースを含む基質に対し、アガロー
ス由来の多糖及びオリゴ糖のいずれにも作用するβ−ア
ガラーゼと、アガロース由来のオリゴ糖に特異的に作用
するα−アガラーゼを作用させることを特徴とするオリ
ゴ糖及び/又は単糖の製造方法。
【0007】(第2の方法)アガロース由来のオリゴ糖
を含む基質に対し、アガロース由来の多糖及びオリゴ糖
のいずれにも作用するβ−アガラーゼと、アガロース由
来のオリゴ糖に特異的に作用するα−アガラーゼを作用
させることを特徴とするオリゴ糖及び/又は単糖の製造
方法。
【0008】(第3の方法)アガロース由来のオリゴ糖
を含む基質に対し、アガロース由来のオリゴ糖に特異的
に作用するα−アガラーゼを作用させることを特徴とす
るオリゴ糖及び/又は単糖の製造方法。
【0009】以下、本発明について詳しく説明する。本
発明の第1の方法は、アガロースを含む基質に対し、ア
ガロース由来の多糖及びオリゴ糖のいずれにも作用する
β−アガラーゼと、アガロース由来のオリゴ糖に特異的
に作用するα−アガラーゼを作用させることによりオリ
ゴ糖及び/又は単糖を製造する方法である。
【0010】この方法に用いられる「アガロース」は、
寒天の主要な多糖成分であり、D−ガラクトースと3,
6−アンヒドロ−L−ガラクトースとが交互にα−1,
3結合及びβ−1,4結合を繰り返してなるものであ
る。「アガロースを含む基質」とは、アガロースのみか
らなるものでも、アガロースにオリゴ糖を添加したもの
であってもよい。溶媒中のアガロース濃度は、 0.1〜1.
0 重量%の範囲が好ましい。
【0011】この方法に用いられる「アガロース由来の
多糖及びオリゴ糖のいずれにも作用するβ−アガラーゼ
(以下「β−アガラーゼA」という。)」とは、D−ガ
ラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースと
の間のβ−1,4結合を加水分解するβ−アガラーゼで
あって、アガロース由来の多糖及びオリゴ糖のいずれに
も作用するβ−アガラーゼであれば、特に限定されるも
のではない。
【0012】なお、本発明において「オリゴ糖」とは、
構成単糖が2個以上8個以下の糖を指し、「多糖」と
は、単糖及びオリゴ糖以外の糖を指す。但し、本発明に
おける基質としてのオリゴ糖としては、構成単糖が2個
以上6個以下のものが好ましい。前記β−アガラーゼA
としては、ビブリオ属に属する微生物が生産するものが
好ましく、具体的にはビブリオ(Vibrio) sp. JT0107-L4
由来のagarase0107 が挙げられる。
【0013】このβ−アガラーゼAの一例であるagaras
e0107 の理化学的性質を以下に示す。 (1)酵素活性測定法 酵素反応によって生じた還元糖の量をネルソン−ソモギ
法により測定する。詳しくは、以下の通りである。20mM
トリス塩酸緩衝液(pH8.0) に溶解した 0.2%の低温融解
性アガロース(シグマ製)のゲルを作製し、この90μl
を基質として、β−アガラーゼAを含む溶液10μlと混
合し、30℃にて、5〜15分間、好ましくは5分間反応さ
せる。反応終了後、銅試薬 100μlを加え、沸騰水中で
10分間加熱する。加熱後、水で急速冷却し、ネルソン試
薬 100μlを加え、蒸留水で全容積を2.5ml にする。60
分後に660nm の吸光度を測定し、測定値をガラクトース
量に換算し、1分間当り1マイクロモルのガラクトース
量に相当する還元糖を生成する酵素活性を1Uとする。 (2)基質特異性及び作用 少なくとも寒天及びアガロースをエンド型に分解し、低
分子化する反応を触媒する。
【0014】アガロース由来の多糖及びアガロース由来
のオリゴ糖を基質として、それらの、D−ガラクトース
と3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースとの間のβ−
1,4結合を加水分解する。これに対して、アルギン
酸、カラギーナン等の多糖を分解しなかった。 (3)至適 pH pHを4及び5(酢酸緩衝液)、6及び7(リン酸緩衝
液)、8(トリス−塩酸緩衝液)、9及び10(グリシン
−水酸化ナトリウム緩衝液)に調整した 0.2%の低温融
解性アガロース(シグマ製)のゲル90μlにβ−アガラ
ーゼAを含む溶液(0.2μg/μl)10μlを加え、30℃に
て5分間反応させた。反応終了後、銅試薬100μlを加
え、沸騰水中で10分間加熱した。加熱後、水で急速冷却
し、ネルソン試薬 100μlを加え、蒸留水で全容積を2.
5ml にした。60分後に660nm の吸光度を測定した。その
結果、図1に示したように至適 pH は、7〜 8.5の中性
から弱アルカリ性であった。 (4)至適温度 20mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0) に溶解した 0.2%の低
温融解性アガロース(シグマ製)のゲル90μlにβ−ア
ガラーゼAを含む溶液(0.08μg/μl)10μlを加え、
25℃で2, 5,10, 20, 30, 40, 50, 60 分間保温した
後、それぞれ生成した還元糖の量をネルソン−ソモギ法
により測定した。同様にして30, 35, 40℃での反応生成
物の還元糖の量を測定した。この結果、30℃での反応生
成物の量が最も多くなったので、オリゴ糖を得るための
至適温度は30℃と決定した。これを図2に示した。 (5)pH安定性 pHを 3.6〜5.6 (酢酸緩衝液)、 5.5〜7.6 (リン酸緩
衝液)、 7.5〜9(トリス−塩酸緩衝液)、9〜10(グ
リシン−水酸化ナトリウム緩衝液)に調整した酵素溶液
の活性を酵素活性測定法に従って測定し、各pHでの活性
値を100 %とし、これを初期値とした。更に各酵素溶液
を4℃で1週間保存した後、残存活性を測定し、初期値
の80%以上の活性を保持するpH領域を求めたところ、6
〜9であった。 (6)熱安定性 該酵素溶液(0.1μg/μl)10μlを30℃、40℃、50℃、
60℃の水浴中で15分間加熱した後、酵素活性測定法に従
って酵素活性を測定した。該酵素溶液の非加熱時の活性
を100 %として活性を比較したところ、図3に示したよ
うに、30℃、40℃では約100 %、50℃で約85%の残存活
性を示した。なお60℃ではほぼ完全に失活した。 (7)等電点 ファルマシア社製ファストゲルIEF4-6.5を用いて、同社
製ファストシステム等電点測定装置にて測定したところ
約6.3 であった。 (8)分子量 SDSを含むポリアクリルアミドゲルの濃度が10〜20%の
グラジエントゲルで、分子量マーカー(分子量94,000の
ホスホリラーゼ、67,000の牛血清アルブミン、43,000の
卵白アルブミン)とともに電気泳動した結果、該酵素の
分子量は約95,000と求められた。また、該酵素の遺伝子
の全塩基配列から推定されるアミノ酸配列から分子量を
計算すると約105,300 と求められた。該酵素の遺伝子の
全塩基配列は、特願平5-96549 号明細書に示されてい
る。これにより、本酵素は公知のアガラーゼと区別され
る。 (9)アミノ末端アミノ酸配列 該酵素のアミノ末端アミノ酸配列をエドマン分解法によ
り決定した。該酵素溶液(0.4μg/μl)100 μlを、
0.1% SDSを含む蒸留水を透析外液として透析し、その
酵素溶液をアミノ酸配列分析装置477Aプロテインシーク
エンサー(アプライドバイオシステムズ社製)により、
アミノ末端側7個のアミノ酸配列を決定した。その結
果、配列は、Ala →Thr →Leu →Val →Thr →Ser →Ph
e であった。 (10)その他の特性 溶解性:水に可溶 紫外部吸収:λmax=280nm 前記agarase0107 を生産する菌であるビブリオ(Vibrio)
sp. JT0107-L4は、海水中から分離されたものであり、
以下に示す菌学的性質を有する。 菌学的性質: 1)形態 マリンブロス2216培地に生育した細胞について、 (イ)細胞の形態は桿菌で、大きさは0.25〜1.2 μm ×
0.5〜2.5 μm (ロ)運動性を有し、鞭毛を有す (ハ)グラム染色性は陰性 (ニ)胞子は形成しない 2)生育状態 マリンブロス2216平板培地での培養において、 (イ)18〜25℃で良好に生育する (ロ)淡黄色の色素沈着を有する (ハ)菌体の生育に従って寒天ゲルは液化される マリンブロス2216の液体培養において、 (ニ)pH7, 8, 9において旺盛に生育する 3)生理学的性質 (イ)O−Fテスト F (ロ)カタラーゼテスト 陽性 (ハ)オキシダーゼテスト 陽性 (ニ)グルコースからのガスの生成 無 (ホ)フォゲス−プロスカウエル反応 陰性 (ヘ)メチルレッド反応 陽性 (ト)ゼラチン分解能 有 (チ)エスクリン分解能 有 (リ)硝酸還元能 有 (ヌ)通性嫌気性 ビブリオ(Vibrio) sp. JT0107-L4は、平成3年3月6日
付で、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に
FERM BP-4541 として寄託されている。
【0015】このビブリオ(Vibrio) sp. JT0107-L4を用
いて、前記agarase0107 を生産するためには、まず、寒
天又はアガロースを炭素源として該微生物の液体培養を
行う。培養温度は、前記酵素を生産する範囲内で変更し
得るが、通常18〜25℃程度の回転振とう培養、好ましく
は20℃、毎分 150回転の振とう培養で、培養時間は3〜
8日間程度、好ましくは5〜7日間程度とする。培養終
了後、培養液から遠心分離により固形物を除去して、培
養上清を回収する。培養上清に、80〜90%飽和になるよ
うに硫酸アンモニウムを加え、分泌生産された蛋白質を
塩析させる。塩析物は遠心分離により集め、20mMトリス
−塩酸緩衝液(pH8.0) を透析外液として透析を行い、透
析サンプルをQAE-Toyopearl 及びMono-Qなる強陰イオン
交換カラムに供し、塩化ナトリウムを用いた直線濃度勾
配法により蛋白質を順次溶出させ、agarase0107 のみを
分離する。
【0016】本発明に用いられる「アガロース由来のオ
リゴ糖に特異的に作用するα−アガラーゼ」とは、D−
ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトース
との間のα−1,3結合を加水分解し、アガロース由来
のオリゴ糖に特異的に作用する酵素であれば、特に限定
されるものではないが、ビブリオ属に属する微生物由来
で、アガロース由来の6糖以下のオリゴ糖のD−ガラク
トースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースとの間
のα−1,3結合を加水分解するα−アガラーゼが好ま
しく、具体的には、前記ビブリオ(Vibrio) sp. JT0107-
L4由来のα−NAOS hydrolase等が挙げられる。
【0017】本発明に用いられるα−アガラーゼの一例
であるビブリオ(Vibrio) sp. JT0107-L4由来のα−NAOS
hydrolaseの理化学的性質を以下に示す。 (1)酵素活性測定法 本酵素の精製品又は部分精製品の活性測定は以下のよう
に行う。ネオアガロビオースを基質として酵素反応を行
った後、未分解のネオアガロビオースの量を定量するこ
とにより、分解されたネオアガロビオースの量を高速液
体クロマトグラフィーを用いて定量する。詳しくは、以
下の通りである。
【0018】20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.8) に溶解
した0.1%ネオアガロビオース溶液を調製し、この90μ
lを基質として、酵素溶液10μlと混合し、30℃にて、
5〜30分間、好ましくは10分間反応させた後、沸騰水中
で1分間加熱することによって反応を停止させる。この
反応溶液10μlを内径4.5mm 、長さ250mm のカプセルパ
ックC-18(資生堂製)なるカラムに供し、水を溶離液と
して1ml/minの流速で溶出させたとき約 4.5分の保持時
間を示す酵素反応によって分解されなかったネオアガロ
ビオースの量を定量する。この値から分解されたネオア
ガロビオースの量に逆算し、1分間当り1マイクロモル
のネオアガロビオースを分解する酵素量を1Uとする。 (2)基質特異性及び作用 20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.8) に、ネオアガロビオ
ース、ネオアガロテトラオース、ネオアガロヘキサオー
ス、アガロースの各基質を 0.3%濃度に調整し、30℃に
て酵素反応を行った。ネオアガロビオースの分解活性を
100 とするときのそれぞれの活性割合を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】α−NAOS hydrolaseの作用様式の特定 0.3 %ネオアガロヘキサオース溶液90μlに該酵素溶液
10μl(50μg/ml) を加え、恒温水槽中30℃で3時間反
応した。反応生成物の10μlを高速液体クロマトグラフ
ィーで分取するために、内径4.5mm 、長さ250mm のカプ
セルパックC-18(資生堂製)なるカラムに供し、水を溶
離液として1ml/minの流速で溶出させた。主な反応生成
物は、約 6.5〜7.2 分の保持時間を示した。この画分を
分取し、ブタノール:エタノール:水=3:1:1の組
成からなる展開溶媒で薄層クロマトグラフィーに供した
ところ、Rf=0.21にスポットを持つ反応生成物を確認
した。該画分を凍結乾燥後、高速原子衝撃法質量分析装
置によって、質量測定を行ったところ 792と測定され
た。これにより、該画分に含まれる反応生成物は非還元
末端の3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースが切断さ
れて生じるアガロペンタオースなる5糖であることが解
った。一方、還元末端のD−ガラクトースが切断されて
生じる分子量 774に相当する5糖は得られなかった。更
に、0.2 %ネオアガロテトラオース溶液を基質溶液とし
て酵素反応を行ったとき、最も優先的に得られる反応生
成物の質量数は 486であった。これにより該質量数に相
当する反応生成物は、非還元末端の3,6−アンヒドロ
−L−ガラクトースが切断されて生じるアガロトリオー
スなる3糖であることが解った。一方、還元末端のD−
ガラクトースが切断されて生じる分子量 468に相当する
3糖は得られなかった。更に、0.2 %ネオアガロビオー
ス溶液を基質溶液として酵素反応を行ったときの反応生
成物は、 1H−NMRの測定結果からD−ガラクトース
及び3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースであること
が明らかとなった。以上のことから、α−NAOS hydrola
seは、非還元末端の3,6−アンヒドロ−L−ガラクト
ースを認識し、α−1,3結合を加水分解するエキソ型
の新規酵素であることが明らかとなった。3,6−アン
ヒドロ−L−ガラクトースの 1H−NMRスペクトルを
図4に示した。 (3)至適 pH pHを5.5 から7.7 (リン酸緩衝液)、7.7 から8.9 (ビ
シン−水酸化ナトリウム緩衝液)、9.0 から9.4 (グリ
シン−水酸化ナトリウム緩衝液)に調整した0.1 %ネオ
アガロビオース溶液90μlに酵素溶液(40μg/ml) 10μ
lを加え、30℃にて10分間反応させた後、沸騰水中で1
分間加熱することによって反応を停止させた。この反応
溶液10μlを内径4.5mm 、長さ250mm のカプセルパック
C-18(資生堂製)なるカラムに供し、水を溶離液として
1ml/minの流速で溶出させたとき約4.5 分の保持時間を
示す酵素反応によって分解されなかったネオアガロビオ
ースの量を定量した。ネオアガロビオース分解能の最も
高かったpHの活性を100%として各pHの相対活性値を図
5に示した。これにより反応至適pHは、7〜8.4 の中性
から弱アルカリ性であることがわかった。 (4)至適温度 酵素の失活が最小限に抑制され、かつ酵素反応が速やか
に進む温度は、30℃であった。 (5)安定性 pH安定性 本酵素を、前述の至適pHを測定した場合の各緩衝液で酵
素溶液を調製し、これを30分間30℃で保温した後、活性
を測定し、それぞれ非加熱時の活性を100 %とした場
合、残存活性が80%を越える範囲として定めると、pH6
〜9で安定であった。
【0021】熱安定性 該酵素溶液(40μg/ml)10μlを30℃、35℃、40℃、50
℃、60℃の水浴中で5分間加熱した後、0.1 %ネオアガ
ロビオース溶液90μl(pH7.8)に加え、30℃にて10分
間反応させた後、沸騰水中で1分間加熱することによっ
て反応を停止させた。この反応溶液10μlの酵素活性を
測定し、非加熱時の酵素活性を100 %として、加熱後の
残存活性を比較すると30℃、35℃では約100 %、40℃で
約50%の残存活性を示した。なお、60℃ではほぼ完全に
失活した。この結果を図6に示した。 (6)ミカエリス定数及び最大反応速度 3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースとD−ガラクト
ースがα−1,3結合してなるネオアガロビオースを基
質として、種々の濃度の基質溶液を作製し、これに該酵
素溶液(40μg/ml)10μlを加え、酵素活性測定法に従
い酵素活性を測定した。基質濃度の逆数と、それに対応
する酵素活性の逆数を二次元座標上にプロットし、ライ
ンウェーバーバルクの式を求め、これよりミカエリス定
数は、4.28±5.0mM 、最大反応速度は、87 U/mg 蛋白質
であることがわかった。 (7)分子量 分子量は SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法、及
びゲル濾過法で測定した。 SDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動法では、常法に従って、 SDSを含むポリアク
リルアミドゲルの濃度が10%のゲルで、分子量マーカー
(分子量 200,000のミオシン、 116,000のβ−ガラクト
シダーゼ、66,000の牛血清アルブミン、42,000のアルド
ラーゼ、30,000のカルボニックアンハイドラーゼ)とと
もに電気泳動を行い、移動度から分子量を求めたとこ
ろ、約42,000であった。ゲル濾過法では、ファルマシア
社製のSuperdex 200なるゲル濾過カラムを用いて、分子
量マーカー(分子量160,000 のイムノグロブリンG、6
7,000のヒト血清アルブミン、35,000のβ−ラクトグロ
ブリン、12,400のチトクロームC)のゲル濾過を行い、
各蛋白質の溶出量を測定した後、該酵素のゲル濾過を行
い、その溶出量とマーカー蛋白質の溶出量を比較計算し
分子量を測定したところ、約84,000(±16,000)であっ
た。 (8)アミノ末端アミノ酸配列 該酵素のアミノ末端アミノ酸配列をエドマン分解法によ
り決定した。該酵素溶液(1μg/μl)10μlを、10%
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を常法に従って
行った後、該酵素をウェスタンブロッティング法により
バイオダインA(日本ポール社製)なる膜に吸着させ、
これをアミノ酸配列分析装置477A及び120Aプロテインシ
ークエンサー(アプライドバイオシステムズ社製)によ
り、アミノ末端側10個のアミノ酸配列を決定した。その
結果、配列は Ser→Gly →Thr →Gly →Ser →Lys →Le
u →Ser →Leu →Ala であった。 (9)その他の特性 溶解性:水に可溶 紫外部吸収スペクトル:λmax=280nm 本発明に用いられるα−アガラーゼは、ビブリオ属に属
し、α−アガラーゼ生産能を有する微生物を培地に培養
し、培養物中にα−アガラーゼを生成蓄積させ、これを
採取することにより得ることができる。
【0022】ここで用いる微生物としては、ビブリオ属
に属し、α−アガラーゼを生産する能力を有する微生物
であれば、いずれでも用いることができる。その例とし
ては、前述したビブリオ(Vibrio) sp. JT0107-L4が挙げ
られる。培養に用いる培地は、前記微生物が利用し得る
窒素源、無機物等を含み、寒天又はアガロース等を炭素
源として含むものを用いる。
【0023】寒天、アガロースは、市販のものを用いる
ことができる。寒天、アガロース以外の炭素源として
は、肉エキス、カゼイン分解物、トリプトン、ペプトン
等が挙げられ、好ましくはペプトンを用いる。窒素源と
しては、酵母エキスを用いる。更に、塩類としては、塩
化ナトリウム、クエン酸鉄、塩化マグネシウム、硫酸ナ
トリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、炭酸ナトリ
ウム、重炭酸ナトリウム、臭化カリウム、塩化ストロン
チウム、ホウ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、フッ化
ナトリウム、硝酸アンモニウム、リン酸水素二ナトリウ
ム等を組み合わせて用いる。
【0024】寒天、アガロース以外の前記成分をすべて
含んだマリンブロス2216なる培地(ディフコ社製)に、
寒天又はアガロースを加えて用いることもできる。ま
た、前記塩類を適度に含む人工海水、例えばシーライフ
(マリンテック社製)を用い、これにペプトン、酵母エ
キス、寒天等を加えた培地を用いることもできる。寒天
又はアガロースの濃度は、 0.1〜1.5 %が好ましく、こ
の際、寒天又はアガロースの濃度を任意に変えることに
より固体培地、液体培地を作り分けることが可能である
が、酵素生産を目的とする場合は、濃度 0.1〜0.4 %の
液体培養が好ましく、菌体の保存を目的とするときは、
濃度 1.2〜1.5 %の固体培養が好ましい。
【0025】培養条件は、培地の組成によって多少異な
るが、培養温度は、15〜30℃、好ましくは20〜25℃、pH
は、 7.0〜8.5 、好ましくは 7.8〜8.2 、培養時間は、
15〜48時間、好ましくは18〜24時間である。目的とする
酵素は、菌体内に存在するので、公知の菌体破砕法、例
えば超音波破砕法、フレンチプレス法、ガラスビーズ破
砕法、ダイノミル破砕法等を行えばよく、その菌体破砕
物から目的とする酵素が分離精製される。好ましい菌体
破砕法としては、ダイノミル破砕法が挙げられる。例え
ば、菌体破砕物から遠心分離又は濾過により固形物を除
去した後、上清に30〜90%飽和、好ましくは40〜70%飽
和の硫酸アンモニウム等の塩を加えて、目的酵素を塩析
させる。この塩析物を適当な緩衝液(pH 7.0〜8.5)、好
ましくはリン酸カリウム緩衝液(pH 7.8) に懸濁し、こ
の懸濁液の容積の50〜200 倍の同緩衝液を外液として透
析を数回繰り返し、脱塩し、再溶解させる。これを市販
の陰イオン交換性カラム、ゲル濾過カラム、ハイドロキ
シアパタイトカラム等のカラムクロマトグラフィーを組
み合わせて電気泳動的に単一バンドになるまで精製する
ことができる。次に、本発明の第1の方法の好ましい態
様について具体的に説明する。
【0026】まず、寒天等から得られるアガロースを
0.1〜1.0 重量%、好ましくは 0.1〜0.5 重量%含むも
のを基質とし、これにβ−アガラーゼAを基質1g当り
1〜300U、好ましくは5〜50U の範囲で添加する。反応
は、温度30〜45℃、好ましくは30〜40℃、pH7〜8.5 、
好ましくは 7.7〜8.3 の条件下で行う。反応時間は、基
質量、pH、温度、攪拌速度、目的とする反応生成物のオ
リゴ糖の重合度等によって大きく異なるが、通常3〜24
時間である。
【0027】次に、α−アガラーゼを基質1g当り 0.3
〜300U、好ましくは3〜150Uの範囲で添加する。反応
は、温度25〜35℃、好ましくは25〜30℃、pH 7.5〜8.5
、好ましくは 7.8〜8.2 の条件下で行う。反応時間
は、基質量、pH、温度、攪拌速度等によって大きく異な
るが、通常1〜20時間である。このようにして得られた
反応物中には、5糖以下のオリゴ糖及び単糖が70〜100
重量%の範囲で含まれている。この場合、反応物中の単
糖の比率を上げるためには、基質1g当りのβ−アガラ
ーゼAの量を増やし反応時間を長くすることにより、生
成するネオアガロビオースの量を増やせばよく、5糖及
び/又は3糖の比率を高めるためには、β−アガラーゼ
Aの量を減らし反応時間を短くし5糖及び/又は3糖を
選択的に得ればよい。
【0028】前記混合物から分離精製することにより、
5糖であるアガロペンタオース(D−ガラクトース(β
−1,4)3,6−アンヒドロ−L−ガラクトース(α
−1,3)D−ガラクトース(β−1,4)3,6−ア
ンヒドロ−L−ガラクトース(α−1,3)D−ガラク
トース、分子量:792)、3糖であるアガロトリオース
(D−ガラクトース(β−1,4)3,6−アンヒドロ
−L−ガラクトース(α−1,3)D−ガラクトース、
分子量:486)、及び単糖である3,6−アンヒドロ−L
−ガラクトースを得ることができる。
【0029】この場合の分離精製法としては、例えば、
シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー、又は活
性炭を用いたカラムクロマトグラフィーが挙げられる。
本発明の第1の方法において、β−アガラーゼA及びα
−アガラーゼが同一の微生物から得られたものである場
合は、この二種類の酵素の反応におけるpH、温度等を変
える必要はなく、同一条件で反応することができ、更
に、β−アガラーゼA及びα−アガラーゼを同時にアガ
ロースに作用させることも可能である。これにより、反
応工程の簡略化が可能である。具体的には、前述したビ
ブリオ(Vibrio) sp. JT0107-L4から得られるα−アガラ
ーゼ(α-NAOS hydrolase)及びβ−アガラーゼA(agar
ase0107)を用いた場合である。
【0030】また、β−アガラーゼAの反応条件をコン
トロールすることにより、6糖よりも大きい偶数のオリ
ゴ糖を選択的に生成させ、これを基質としてα−アガラ
ーゼを作用させれば、選択的に生成されたオリゴ糖より
重合度が1少ない奇数のオリゴ糖を得ることができる。
次に、本発明の第2の方法について説明する。
【0031】本発明の第2の方法は、アガロース由来の
オリゴ糖を含む基質に対し、β−アガラーゼAと、アガ
ロース由来のオリゴ糖に特異的に作用するα−アガラー
ゼを作用させることによりオリゴ糖及び/又は単糖を製
造する方法である。ここで、「アガロース由来のオリゴ
糖を含む基質」とは、オリゴ糖のみからなる場合、及び
他に添加剤等を含む場合の両方を含むものである。な
お、前述したように、オリゴ糖とは、2糖以上8糖以下
の糖をいうが、2糖以上6糖以下の糖が好ましい。
【0032】このアガロース由来のオリゴ糖としては、
ネオアガロヘキサオース、ネオアガロテトラオース、ネ
オアガロビオース等が挙げられる。このようなオリゴ糖
は市販品(シグマ社製)を用いることもできる。また、
このようなオリゴ糖を合成により得る方法としては、前
述したβ−アガラーゼAをアガロースに作用させること
により得る方法、及び従来より用いられているアガロー
ス由来の多糖には作用するが、6糖以下のオリゴ糖には
作用しないβ−アガラーゼ(以下「アガラーゼB」とい
う。)をアガロースに作用させる方法が挙げられる。
【0033】このアガラーゼBの具体例としては、シュ
ードモナス・エスピー N-7(微工研菌寄9884号)の生産
するアガラーゼ、又はシュードモナス・アトランティカ
の生産するアガラーゼ(シグマ社)等が挙げられる。こ
れらのアガラーゼBの理化学的性質、生産菌の菌学的性
質、及び酵素の生産方法等については、文献に詳しく記
載されている(特開平1-228465号公報、L. M. Morrice
ら、European Journalof Biochemistry, 135, 553-558
(1983)等)。
【0034】なお、α−アガラーゼ及びβ−アガラーゼ
Aについては、本発明の第1の方法と同様である。次
に、本発明の第2の方法の好ましい態様について具体的
に説明する。まず、アガロース由来のオリゴ糖を 0.1〜
2.0 重量%、好ましくは 0.3〜1.0重量%含むものを基
質とし、これにβ−アガラーゼAを基質1g当り 0.5〜
20U、好ましくは1〜10U の範囲で添加する。反応は、
温度30〜45℃、好ましくは30〜40℃、pH7〜8.5 、好ま
しくは 7.7〜8.3 の条件下で行う。反応時間は、基質
量、pH、温度、攪拌速度等によって大きく異なるが、通
常3〜24時間である。
【0035】次に、α−アガラーゼを基質1g当り0.5
〜50U 、好ましくは1.5〜15U の範囲で添加する。反応
は、温度25〜35℃、好ましくは25〜30℃、pH 7.5〜8.5
、好ましくは 7.8〜8.2 の条件下で行う。反応時間
は、基質量、pH、温度、攪拌速度等によって大きく異な
るが、通常1〜20時間である。なお、本発明の第2の方
法では、本発明の第1の方法と同様β−アガラーゼA及
びα−アガラーゼを同時にアガロース由来のオリゴ糖に
作用させることも可能である。この場合、本発明の第1
の方法と同様に、両酵素が同じ微生物由来のものであれ
ば、反応工程の簡略化が可能である。具体的には、前述
したビブリオ(Vibrio) sp. JT0107-L4から得られるα−
アガラーゼ(α-NAOS hydrolase)及びβ−アガラーゼA
(agarase0107)を用いた場合である。
【0036】このようにして得られた反応物中には、5
糖以下のオリゴ糖及び単糖が70〜100 重量%の範囲で含
まれている。この場合、反応物中の単糖の比率を上げる
ためには、ネオアガロテトラオースを基質とし、β−ア
ガラーゼA(agarase0107)の反応条件を前記範囲内で調
節し、ネオアガロテトラオースをネオアガロビオースに
完全分解すればよい。反応物中の5糖の割合を増やすた
めには、ネオアガロオクタオースを基質とし、β−アガ
ラーゼA(agarase0107) の反応条件を前記範囲内で調節
し、ネオアガロオクタオースをネオアガロヘキサオース
に部分分解すればよい。また、反応物中の3糖の割合を
増やすためには、ネオアガロヘキサオースを基質とし、
β−アガラーゼA(agarase0107)の反応条件を前記範囲
内で調節し、ネオアガロヘキサオースをネオアガロテト
ラオースに部分分解すればよい。
【0037】前記混合物から分離精製することにより、
アガロペンタオース、アガロトリオース、及び単糖であ
るD−ガラクトース、3,6−アンヒドロ−L−ガラク
トースを得ることができる。次に、本発明の第3の方法
について説明する。本発明の第3の方法は、アガロース
由来のオリゴ糖を含む基質に対し、アガロース由来のオ
リゴ糖に特異的に作用するα−アガラーゼを作用させる
ことによりオリゴ糖及び/又は単糖を製造する方法であ
る。ここで、「アガロース由来のオリゴ糖を含む基質」
とは、本発明の第2の方法で説明したものと同様であ
り、「α−アガラーゼ」については、本発明の第1の方
法と同様である。
【0038】本発明の第3の方法によって、重合度が低
く、かつ非還元末端がD−ガラクトースであるオリゴ
糖、及び/又は単糖を生産することができる。即ち、ま
ず、寒天又はアガロース由来の、アガロオクタオース、
アガロヘキサオース、アガロテトラオース、ネオアガロ
オクタオース、ネオアガロヘキサオース、ネオアガロテ
トラオース等のオリゴ糖、好ましくはこれらのうち2糖
〜6糖を、それぞれ単独で又は任意の割合の混合物とし
て原料とし、前述したα−アガラーゼ、例えばα−NAOS
hydrolaseを作用させることにより、更に重合度の低い
オリゴ糖及び/又は単糖を生産することができる。ここ
で用いる原料は、必ずしも精製されたものを使う必要は
なく、市販品を用いてもよく、また寒天の酸分解、又は
市販のアガラーゼによって得たものを用いてもよい。こ
れらの原料をリン酸緩衝液等の溶媒に溶解し、濃度を
0.1〜1.0 %、好ましくは 0.2〜0.6 %に調整する。こ
れに該α−アガラーゼを加え、25〜35℃で反応を行う。
反応時間は、2〜24時間で任意に調整し、酵素量を適当
に増減することにより、重合度の異なるオリゴ糖を作る
ことができる。反応液中のオリゴ糖及び/又は単糖は、
活性炭又はシリカゲルを充填剤としたカラムクロマトグ
ラフィーを用いて、重合度毎に分離精製することができ
る。また、この酵素反応に使用する場合のα−アガラー
ゼは、完全精製する必要はなく、部分精製品で十分な効
果を得ることができる。
【0039】以上のようにして得られるオリゴ糖は、ア
ガロビオース、アガロトリオース、アガロペンタオース
等であり、単糖は、3,6−アンヒドロ−L−ガラクト
ース、D−ガラクトースである。なお、本発明に用いら
れるβ−アガラーゼA及びα−アガラーゼは、完全精製
する必要はなく、部分精製品で十分な効果を得ることが
できる。
【0040】
【実施例】以下、製造例及び実施例によって本発明を具
体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定される
ものではない。 [製造例1] α−NAOS hydrolaseの製造 500ml の人工海水(商品名シーライフ、マリンテック社
製)を調製し、これにペプトン5g(日本製薬社製)、
酵母エキス1g(ディフコ社製)を加え、pH8.0 に調整
後、3,000ml 容の三角フラスコに移し、寒天1g(極東
社製)を加え、オートクレーブを用いて滅菌操作を行っ
た。これに−80℃で40%グリセロール中に保存したビブ
リオ(Vibrio) sp. JT0107-L4を室温で融解後、その1ml
を接種し、25℃、毎分 150回転で24時間培養した。得ら
れた培養液を前培養液とした。
【0041】本培養は、以下の手順で実施した。5,000m
l 容のジャーファーメンター容器を用いて人工海水(商
品名シーライフ、マリンテック社製)3,000ml を調製
し、これにペプトン60g(日本製薬社製)、酵母エキス
12g(ディフコ社製)を加え、pHを8.0 に調整後、寒天
(極東社製)12gを加え、オートクレーブを用いて滅菌
操作を行った。これに前培養で得られた培養液の30mlを
接種し、25℃、毎分600回転で20時間培養し、得られた
菌体をシャープレス遠心分離装置で回収し、湿重量で約
50gを得た。これを20mMリン酸緩衝液(pH7.8) に懸濁し
総容量を100ml とし、直径0.2mm のガラスビーズ150ml
と混合し、ダイノミル破砕装置を用いて毎分3,000 回転
で15分間菌体破砕を行った。
【0042】菌体破砕懸濁液は、20,000×g、60分間の
遠心分離によりガラスビーズ、菌体デブリスを除去し、
得られた上清100ml に40%飽和となるように硫酸アンモ
ニウムを加え、生じた沈澱を 6,000×g、30分間で除去
し、上清に更に70%飽和となるように硫酸アンモニウム
を加え、生じた沈澱を 6,000×g、30分間の遠心により
回収し、30mlの20mMリン酸緩衝液(pH7.8) に懸濁し、同
緩衝液5,000ml で計3回透析を行い脱塩し、再溶解を施
した。
【0043】この透析液を予め20mMリン酸緩衝液で平衡
化した QAE-Toyopearl(東ソー製)なる強陰イオン交換
樹脂34mlを充填したカラム(2.2cm ×9cm)に吸着さ
せ、20mMリン酸緩衝液(pH7.8) から0.5Mの塩化ナトリウ
ムを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.8) への直線濃度勾配法
(総溶出量300ml)で溶出させ、塩化ナトリウム濃度が0.
3Mと0.4Mの間に溶出してくる画分50mlを回収した。
【0044】この画分を同緩衝液で200 mlに希釈し、 1
00mlずつ2本の画分に分け、それぞれを、予め20mMリン
酸緩衝液で平衡化したMono-Q(ファルマシア社製)なる
強陰イオン交換樹脂を担体としたカラム(1.0cm×10cm)
に吸着させ、前述の直線濃度勾配法(総溶出量 120ml)
により溶出させ、0.3Mから0.4Mの塩化ナトリウム濃度で
溶出する画分16mlを得た。これを再度、同緩衝液で4倍
に希釈し、Mono-Qでのクロマトグラフィーを繰り返し、
0.3Mから0.35M で溶出される画分8mlを得た。これを2
mlずつ4本に分別し、それぞれグレースジャパン社製遠
心限外濾過膜セントリコン50を用いて0.5ml に濃縮し
た。これを Superdex200(ファルマシア社製)なるゲル
濾過担体を用いたカラム(1.0cm×30cm)に供し、0.1Mの
塩化ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.8) で溶出
させ、溶出量13.6mlから14.4mlの画分を得た。
【0045】これを超純水を用いて4mlにし、HCA-8010
G (三井東圧化学社製)なるハイドロキシアパタイトを
充填したカラムを用いて10mMリン酸緩衝液(pH6.8)から
175mM リン酸緩衝液(pH6.8)への直線濃度勾配(溶出総
量15ml)にて溶出させ、7.5ml から8.5ml に溶出してく
る画分を得た。この画分をドデシル硫酸ナトリウム(S
DS)を含むポリアクリルアミドゲルで電気泳動したと
ころ、目的酵素は約42,000の分子量を示した。この画分
の比活性は、菌体破砕時の比活性に比べて350 倍に上昇
し、全活性は 4.4U、活性収率は 2.5%であった。
【0046】[製造例2] agarase0107 の製造 ビブリオ(Vibrio) sp. JT0107-L4の培養液1,000ml を遠
心分離し、約900ml の培養上清と固形物とに分離した。
蛋白質を塩析するために、この培養上清に硫酸アンモニ
ウムを90%飽和になるように攪拌しながら徐々に添加
し、5℃で一晩放置した。生じた塩析物を遠心分離によ
り回収し、セロハンチューブを透析膜として、20mMトリ
ス−塩酸緩衝液(pH8.0) 3,000ml に対して透析した。透
析は5℃で18時間行い、その間透析外液を2回交換し
た。得られたサンプルを、予め20mMトリス−塩酸緩衝液
(pH8.0) で平衡化したQAEトヨパール(東ソー社製の
強陰イオン交換樹脂)を担体としたカラム(1cm×2.5c
m )に吸着させた。このサンプルを、20mMトリス−塩酸
緩衝液(pH8.0) から0.5M塩化ナトリウムを含有する20mM
トリス−塩酸緩衝液(pH8.0) への直線濃度勾配法(総溶
出量4ml)により溶出させ、塩化ナトリウム濃度0.5M以
降に溶出してくる画分6mlを回収した。得られた画分に
20mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0) を加えて24mlとし、前
述の緩衝液で予め平衡化したMONO−Q(ファルマシ
ア社製の強陰イオン交換樹脂)を担体としたカラム(0.5
cm×5cm)に吸着させて前述の直線濃度勾配法(総溶出
量15ml)により溶出させた。
【0047】agarase0107 は、0.5Mの塩化ナトリウム濃
度で溶出し、分離することができた。波長280nm におけ
る紫外吸収の吸光度からagarase0107 の収量を求めたと
ころ、培養液1,000ml 当り0.91mgであった。また、酵素
活性を測定した結果、酵素1mg当り約6.3 Uの力価を示
した。ここで、ガラクトース量に換算して、1分間当り
1マイクロモルのガラクトース量に相当する還元糖を得
る酵素活性を1Uとした。この結果より、agarase0107
の単位重量当りの活性は、培養上清と比較して約48倍に
上昇したことがわかる。
【0048】更に、得られたagarase0107 を、SDSを
含有するポリアクリルアミドゲルの濃度が10〜20%のグ
ラジエントゲルを用いて、分子量マーカー(分子量94,0
00のホスホリラーゼ、分子量67,000のウシ血清アルブミ
ン及び分子量43,000の卵白アルブミン)と共に電気泳動
してagarase0107 の分子量を求めたところ、約95,000で
あった。また、agarase0107 の等電点をファルマシア社
製のファストゲルシステムによって測定したところ、約
6.3 であった。
【0049】[実施例1] 3,6−アンヒドロ−L−
ガラクトースの製造 アガロース100mg を20mlの水に溶解した溶液に、ビブリ
オ(Vibrio) sp. JT0107-L4から単離精製した2Uのagaras
e0107 を0.2ml のトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)に溶解し
た溶液を加え、恒温水槽中30℃で18時間反応させた。こ
の後、ビブリオ(Vibrio) sp. JT0107-L4から単離精製し
た3.8Uのα−NAOS hydrolaseを1mlのリン酸カリウム緩
衝液(pH7.8) に溶解した溶液を加え、更に同温度で4時
間反応を行った。反応溶液を凍結乾燥した後、5mlのメ
タノールを加え、可溶分をイアトロビーズ(ヤトロン社
製)なるシリカゲル担体を用いたカラム(15mmφ×840m
m)に添加し、クロロホルム:メタノール:水=70:28:
2の組成からなる溶液からクロロホルム:メタノール:
水=53:45:2の組成からなる溶液への直線濃度勾配法
(総溶出量960ml)にて溶出を行ったところ、クロロホル
ム:メタノール:水=68.5:29.5:2から66.7:31.3:
2の溶媒組成の時に、薄層クロマトグラフィーでRf=
0.7〜0.8 (展開溶媒;ブタノール:エタノール:水=
3:1:1)に反応生成物を確認した。この溶出液の溶
媒をエバポレーターで留去し、20mgを得た。この50μg
を高速原子衝撃法質量分析装置にて質量測定を行ったと
ころ、該物質の質量数は、 162であった。更に、後述す
る実施例4に示した分析結果から該物質は、3,6−ア
ンヒドロ−L−ガラクトースであることが明らかとなっ
た。但し、3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースは、
ピラノース型閉環構造をとらずに1位の炭素に水酸基が
2個付加しているジオール型で存在する場合もあり、そ
の場合の分子量は 180となる。3,6−アンヒドロ−L
−ガラクトースの構造を以下に示す。
【0050】
【化1】
【0051】[実施例2] アガロトリオースの製造 ネオアガロヘキサオース30mgを10mlのリン酸緩衝液(pH
7.8) に溶解した溶液に、ビブリオ(Vibrio) sp. JT0107
-L4から単離精製した0.1Uのagarase0107 を0.1ml のリ
ン酸カリウム緩衝液(pH7.8) に溶解した溶液を加え、30
℃で3時間反応後、ビブリオ(Vibrio) sp. JT0107-L4か
ら単離精製した1.5Uのα−NAOS hydrolaseを0.1ml のリ
ン酸緩衝液(pH7.8) に溶解した溶液を加え、30℃で5時
間反応させた。反応溶液を活性炭カラム(5mmφ×50m
m)に吸着せしめ、1mlの水、1mlの10%エタノールで
洗浄した後、3mlの24%エタノールで溶出した。この24
%エタノール画分の溶媒をロータリーエバポレーターを
用いて留去し、更に凍結乾燥を行い重量を測定したとこ
ろ、11.4mgであった。この反応生成物を薄層クロマトグ
ラフィーによって分析したところ、Rf=0.3 (展開溶
媒;ブタノール:エタノール:水=3:1:1)である
物質を確認した。更にこの反応生成物の質量数を高速原
子衝撃法質量分析装置を用いて求めたところ、486 であ
った。これにより該物質は、アガロトリオースであるこ
とが明らかとなり、得られたアガロトリオースの収率は
76%と計算された。アガロトリオースの構造を以下に示
す。
【0052】
【化2】
【0053】[実施例3] アガロペンタオースの製造 ネオアガロヘキサオース30mgを10mlのリン酸緩衝液(pH
7.8) に溶解した溶液に、ビブリオ(Vibrio) sp. JT0107
-L4から単離精製した1.5Uのα−NAOS hydrolaseを0.1ml
のリン酸緩衝液(pH7.8) に溶解した溶液を加え、30℃
で5時間反応させ、ネオアガロヘキサオースを分解し
た。反応溶液を活性炭カラム(5mmφ×50mm)に吸着せ
しめ、1mlの水、1mlの10%エタノールで洗浄した後、
3mlの30%エタノールで溶出した。この30%エタノール
画分の溶媒をロータリーエバポレーターを用いて留去
し、更に凍結乾燥を行い重量を測定したところ、13.5mg
であった。この反応生成物を薄層クロマトグラフィーに
よって分析したところ、Rf=0.21(展開溶媒;ブタノ
ール:エタノール:水=3:1:1)である物質を確認
した。更にこの反応生成物の質量数を高速原子衝撃法質
量分析装置を用いて求めたところ、792 であった。これ
により該物質は、アガロペンタオースであることが明ら
かとなり、得られたアガロペンタオースの収率は80%と
計算された。アガロペンタオースの構造を以下に示す。
【0054】
【化3】
【0055】[実施例4] 3,6−アンヒドロ−L−
ガラクトースの製造及び構造決定 ネオアガロビオース100mg を9.5ml の水に溶解した溶液
に、ビブリオ(Vibrio)sp. JT0107-L4から単離精製した
1.9Uのα−NAOS hydrolaseを0.5ml のリン酸緩衝液(pH
7.8) に溶解した溶液を加え、30℃で3時間反応を行っ
た。反応溶液を凍結乾燥した後、クロロホルム:メタノ
ール:水=35:14:11なる組成の溶媒2.5ml を加え試料
を懸濁させ、これをイアトロビーズ(ヤトロン社製)な
るシリカゲル担体を用いたカラム(20mmφ×240mm)に添
加し、クロロホルム:メタノール:水=70:28:2の組
成からなる溶液からクロロホルム:メタノール:水=5
3:45:2の組成からなる溶液への直線濃度勾配法(総
溶出量960ml)にて溶出を行ったところ、クロロホルム:
メタノール:水=68.1:29.9:2から65.5:32.5:2の
溶媒組成の時に、薄層クロマトグラフィーでRf= 0.7
〜0.8 (展開溶媒;ブタノール:エタノール:水=3:
1:1)に3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースを確
認した。この溶出液の溶媒をエバポレーターで留去し、
49mgを得た。この溶出物の 1H−核磁気共鳴装置による
分析結果、及び該物質のアセチル体の 1H−核磁気共鳴
装置による分析結果によって、該物質は3,6−アンヒ
ドロ−L−ガラクトースであると決定された。収率は98
%であった。該物質のアセチル化は、該物質49mgを1ml
のピリジン溶媒中で1mlの無水酢酸と室温で18時間反応
させることによって行った。得られたアセチル体は、シ
リカゲル担体を用いたカラム(20mmφ×240mm)に添加
し、ヘキサン:酢酸エチル=80:20の組成からなる溶液
からヘキサン:酢酸エチル=10:90の組成からなる溶液
への直線濃度勾配法(総溶出量320ml)にて溶出を行った
ところ、ヘキサン:酢酸エチル=30:70の溶媒組成の時
に、薄層クロマトグラフィーでRf=0.5(展開溶媒;
ベンゼン:酢酸エチル=7:3)の反応生成物を確認し
た。これを 1H−核磁気共鳴装置にて解析した。
【0056】
【発明の効果】本発明により、寒天又はアガロース由来
の重合度が5以下のオリゴ糖、及び単糖である3,6−
アンヒドロ−L−ガラクトース、D−ガラクトースを効
果的に製造することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】agarase0107 の至適pHを示す図である。
【図2】agarase0107 の至適温度を示す図である。
【符号の説明】
○ 25℃での酵素反応 ● 30℃での酵素反応 □ 35℃での酵素反応 ■ 40℃での酵素反応
【図3】agarase0107 の熱安定性を示す図である。
【図4】3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースの 1
−NMRスペクトルを示す図である。
【図5】α−NAOS hydrolaseの至適pHを示す図である。
【符号の説明】
○ リン酸緩衝液 ● ビシン−水酸化ナトリウム緩衝液 □ グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液
【図6】α−NAOS hydrolaseの熱安定性を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 児玉 久 神奈川県横浜市緑区梅が丘6−2 日本た ばこ産業株式会社生命科学研究所内 (72)発明者 野間 正名 神奈川県横浜市緑区梅が丘6−2 日本た ばこ産業株式会社生命科学研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アガロースを含む基質に対し、アガロー
    ス由来の多糖及びオリゴ糖のいずれにも作用するβ−ア
    ガラーゼと、アガロース由来のオリゴ糖に特異的に作用
    するα−アガラーゼを作用させることを特徴とするオリ
    ゴ糖及び/又は単糖の製造方法。
  2. 【請求項2】 アガロース由来のオリゴ糖を含む基質に
    対し、アガロース由来の多糖及びオリゴ糖のいずれにも
    作用するβ−アガラーゼと、アガロース由来のオリゴ糖
    に特異的に作用するα−アガラーゼを作用させることを
    特徴とするオリゴ糖及び/又は単糖の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記アガロース由来の多糖及びオリゴ糖
    のいずれにも作用するβ−アガラーゼが下記の理化学的
    性質を有するβ−アガラーゼであることを特徴とする請
    求項1又は2記載の製造方法。 作用 少なくとも寒天及びアガロースをエンド型に分解し、低
    分子化する反応を触媒する。 基質特異性 寒天及びアガロースを加水分解するが、カラギーナン及
    びアルギン酸には作用しない。 至適 pH 7〜8.5 (30℃) 至適温度 30℃ pH安定性 6〜9 熱安定性 50℃で15分間の加熱で最大活性の約85%を保持する。 等電点 約6.3 分子量 約95,000(10−20% SDS−ポリアクリルアミドゲル電気
    泳動による) アミノ末端アミノ酸配列 Ala →Thr →Leu →Val →Thr →Ser →Phe
  4. 【請求項4】 アガロース由来のオリゴ糖を含む基質に
    対し、アガロース由来のオリゴ糖に特異的に作用するα
    −アガラーゼを作用させることを特徴とするオリゴ糖及
    び/又は単糖の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記アガロース由来のオリゴ糖を含む基
    質がネオアガロヘキサオースを含む基質であることを特
    徴とする請求項2又は4記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 得られるオリゴ糖がアガロペンタオース
    であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に
    記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 得られるオリゴ糖がアガロトリオースで
    あることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記
    載の製造方法。
  8. 【請求項8】 得られる単糖が3,6−アンヒドロ−L
    −ガラクトースであることを特徴とする請求項1〜5の
    いずれか1項に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記α−アガラーゼがアガロース由来の
    6糖以下のオリゴ糖のD−ガラクトースと3,6−アン
    ヒドロ−L−ガラクトースとの間のα−1,3結合を加
    水分解するα−アガラーゼであることを特徴とする請求
    項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記α−アガラーゼが下記の理化学的
    性質を有するα−アガラーゼであることを特徴とする請
    求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。 作用及び基質特異性 アガロース由来のオリゴ糖のD−ガラクトースと3,6
    −アンヒドロ−L−ガラクトースとの間のα−1,3結
    合を加水分解する。 至適 pH 7〜8.4 至適温度 30℃ pH安定性 6〜9 熱安定性 35℃で5分間加熱後の活性は、初期活性の約100 %を保
    持する。40℃で5分間加熱後の活性は、初期活性の約50
    %を保持する。 分子量 約42,000(10% SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
    による) アミノ末端アミノ酸配列 Ser →Gly →Thr →Gly →Ser →Lys →Leu →Ser →Le
    u →Ala
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