JP3119523B2 - 新規なイソアミラーゼ、その製造法及びそれを用いた糖類の製造法 - Google Patents
新規なイソアミラーゼ、その製造法及びそれを用いた糖類の製造法Info
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- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
Description
オドラタムKU株(Flavobacterium odoratumKU)を培養
して得られる新規なイソアミラーゼ、その製造法及びそ
れを用いた糖類の製造法に関する。
クチン、グリコーゲン、及びそれらの部分加水分解物中
のα−1,6−グルコピラノシド結合を加水分解する酵
素である。イソアミラーゼ生産菌としては、シュードモ
ナス・アミロデラモサ(Pseudomonas amyloderamosa)(Bi
ochim. Biophys. Acta., 212巻、458 頁、1970年)、サ
イトファ−ガ属(Cytophaga)(FEBS LETTERS、 12 巻、 96
項、 1970年) 、フラボバクテリウム属(Flavobacteriu
m)、(Starch/Starke、32巻、132 項、 1980年) などが報
告されている。また、これらのイソアミラーゼを各種起
源のβ−アミラーゼと併用して高純度マルトースを生産
する方法も報告されている。例えばシュ−ドモナス・ア
ミロデラモサ(Pseudomonas amyloderamosa)が生産する
イソアミラーゼを用いる方法(J. Jpn. Soc. Starch Sc
i.、 31 巻、 38項、 1984年) や、フラボバクテリウム(Fl
avobacterium)属が生産するイソアミラーゼを用いる方
法(Starch/starke、32巻、352 項、 1980年) などであ
る。
は、それらの至適pHや至適温度などが、併用される各
種アミラーゼと合致せず、必ずしも有利なものではなか
った。すなわち、一般にデンプン糖の生産は、50℃以
上の高温でpH5.0〜6.0の弱酸性条件下で行われ
ているが、シュ−ドモナス・アミロデラモサ(Pseudomon
as amyloderamosa) が生産するイソアミラーゼは、至適
pHが3.0〜4.0と酸性領域に片寄っており、耐酸
性の大豆β−アミラーゼとは併用可能であるが、麦芽β
−アミラーゼや細菌β−アミラーゼ及び耐酸性の弱いα
−アミラーゼとは併用が困難であった。また、フラボバ
クテリウム(Flavobacterium)属やサイトファーガ(Cytop
haga) 属が生産する従来のイソアミラーゼにおいては、
至適温度が40℃と低く、耐熱性の点で工業的使用が困
難であった。
ン及びそれらの部分加水分解物中のα−1,6−グルコ
ピラノシド結合を加水分解する酵素として、クレブシエ
ラ・ニューモニアエ(Klebsiella pneumoniae)(Biochem.
Z. 、334巻、79頁、1961年) などが生産する
プルラナーゼが知られているが、この酵素は、工業的な
マルトース生産に用いられているような20%(w/
v)以上という高濃度基質存在下では、イソアミラーゼ
とは違って反応が可逆的であり、マルトースを重合して
4糖を生成し、また、マルトースをアミロースに転移さ
せ、イソアミラーゼの場合のような高い純度のマルトー
スを製造できない。
のイソアミラーゼは、その至適pHや至適温度などが、
各種アミラーゼと合致しないので、アミラーゼと併用し
て高純度のマルトースなどの糖類を工業的に生産する上
で不利であった。このため、50℃以上で、しかも弱酸
性〜中性領域で、工業的に使用可能な新規イソアミラー
ゼの開発が強く求められていた。このような酵素を開発
することによって、デンプンからのマルトースなどのマ
ルトオリゴ糖や分岐CDなどの製造を安価かつ高い生産
性で実施することが可能となる。
要件を満足する新規なイソアミラーゼを提供することで
ある。
ラーゼを簡単且つ高い収率で製造する方法を提供するこ
とである。
る新規なイソアミラーゼを使用し、デンプンもしくはそ
の分解生成物から収率よく糖類を得る方法を提供するこ
とである。
用において、50℃以上で、かつ、弱酸性側で糖化可能
なイソアミラーゼを生産する微生物を得るべく鋭意検索
した結果、鹿児島県内の土壌から採取された細菌が上記
目的を達成する上で極めて有用であり、これを好気的に
培養することにより、培養物中に上記要件を満足する新
規イソアミラーゼが高収率で生成蓄積することを見いだ
し、本発明を完成したものである。
は、以下の理化学的性質を有することを特徴とする。 (イ)作用 アミロペクチン、デンプン、グリコーゲン、及びそれら
の部分加水分解物中のα−1,6−グルコピラノシド結
合を特異的に加水分解する。 (ロ)基質特異性 アミロペクチン、デンプン、グリコーゲン中のα−1,
6−グルコピラノシド結合を加水分解し、プルランを加
水分解しない。 (ハ)至適pH 5.5〜6.0 (ニ)安定pH 30℃、24時間の条件下でpH4.5〜8.0で安定
である。 (ホ)作用適温 45℃ (ヘ)失活温度、pH 45℃、10分間の条件下では、pH4及びpH8で完
全に失活し、pH6.0、15分間の条件下では、50
℃で完全に失活する。 (ト)温度安定性 pH6、15分間の条件下では、40℃まで安定であ
る。 (チ)阻害、活性化及び安定化 本酵素は、銅、水銀、亜鉛で阻害され、カルシウムで安
定化される。 (リ)分子量(SDS-PAGE法) 88,000 (ヌ)等電点(Isoelectric Focusing法) 8.7
であることが好ましい。
は、フラボバクテリウム・オドラタム(Flavobacterium
odoratum)に属するイソアミラーゼ生産菌を培養し、培
養物から上記イソアミラーゼを採取することを特徴とす
る。
明者らにより、新たに自然界から検索、単離されたフラ
ボバクテリウム・オドラタムKU株(Flavobacterium odo
ratum KU、微工研菌寄第12711号) が好ましく使用
される。この微生物の菌学的性質は、以下に示す通りで
ある。
で胞子を形成せず運動性はない。
る。
・マニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロ
ジー(Bergy's Mannual of Systematic Bacteriology)
第1巻を参照し、本菌をフラボバクテリウム・オドラタ
ムKU株(Fravobacterium odoratum KU)と命名した。な
お、本菌は、工業技術院微生物工業技術研究所に平成4
年1月18日に寄託され、その受託番号は、微工研菌寄
第12711号(FERM P−12711)である。
て、更に詳しく説明すると、上記のようなフラボバクテ
リウム・オドラタム(Flavobacterium odoratum)に属す
るイソアミラーゼ生産菌を適当な培地に摂取し、その生
育温度、好ましくは25〜40℃、更に好ましくは30
〜37℃にて、好ましくは24〜96時間好気的に培養
することにより、培養液中に菌体外分泌型酵素として、
前記イソアミラーゼが生成蓄積される。
得る公知の各種材料を使用することができる。例えば、
窒素源としては、コーン・スティープ・リカー、ポリペ
プトン、大豆粕、フスマ、肉エキス、酵母エキス、アミ
ノ酸液などが用いられ、炭素源としては、水飴、マルト
ース、各種デンプン、可溶性デンプン、デンプン液化
液、デキストリン、サイクロデキストリンなどが用いら
れる。また、これらの窒素源や炭素源の他に、各種の
塩、例えば、マグネシウム塩、カリウム塩、リン酸塩等
の無機塩や、各種ビタミン類を必要により添加する。好
ましい培地の例としては、例えば0.5%可溶性デンプ
ン、0.1%ポリペプトン、0.1%酵母エキス、0.
1%NH4 NO3 、0.14%KH2 PO4 、0.02
%MgSO4・7H2 O、0.01%L−グルタミン酸
ナトリウムを含有する液体培地が挙げられる。
ーゼを菌体外に産生するため、培養を行った後、培養上
清から遠心分離により菌体を除去することにより、本発
明のイソアミラーゼの粗酵素液を得ることができる。工
業的には、この粗酵素液をそのまま用いることができ、
経済的で有利である。しかし、これを更に精製して使用
することもできる。精製方法としては、例えば、硫安等
による塩析、エタノール、アセトン、イソプロパノール
等による溶媒沈殿法、デンプン吸着法、限外濾過法、イ
オン交換樹脂等による一般的な酵素精製法を採用するこ
とができる。
い具体例を挙げると、次の通りである。フラボバクテリ
ウム・オドラタムKU株(Flavobacterium odoratum KU、
微工研菌寄第12711号) を、2%可溶性デンプン、
1%大豆タンパク(商品名「ソルピーK」、日清製油株
式会社製)、0.1%NH4 NO3 、0.14%KH2
PO4 、0.1%CaCl2 ・2H2 O、0.02%M
gSO4 ・7H2 O、0.01%L−グルタミン酸ナト
リウムを含む培地に植菌し、30℃にて96時間好気的
に培養する。こうして得られた培養液を10,000×
g、4℃にて遠心して菌体を除去し、約1.3L(リッ
トル)の上澄液(粗酵素液)を得る。次いで、この上澄
液に13gのコーンスターチを添加し、4℃で2時間放
置し、イソアミラーゼをデンプンに吸着させる。そし
て、イソアミラーゼを吸着させたデンプンを10,00
0×g、4℃にて遠心して集める。このデンプンを10
0mL(ミリリットル)の1%(w/v)マルトテトラ
オース溶液(pH6.0)に溶解し、室温にて攪拌しな
がら2時間放置し、イソアミラーゼをデンプンより溶出
させる。この溶出液を10,000×g、室温にて遠心
してデンプンを除き、得られた上澄液を、0.2MNa
Clを含む10mMトリス・塩酸緩衝液(pH8.0)
に対して、一夜4℃で透析する。この酵素液を分画分子
量10,000の限外濾過膜を用いて濃縮した後、上記
トリス・塩酸緩衝液で平衡化したセファクリルS−30
0HRカラムを用いてゲル濾過を行い、活性画分を集め
る。こうして得られた精製酵素は、ポリアクリルアミド
ゲルディスク電気泳動法において単一のバンドを有する
ことが確認され、活性収率は約23%であった。
ラーゼは、前述したような理化学的性質を有している。
法並びに活性表示法は、以下の通りである。すなわち、
0.5%もち米デンプン溶液0.35mLに、0.5M
の酢酸緩衝液(pH6.0)0.1mLを混合し、適時
希釈した酵素液を0.1mL加え、45℃で15分間反
応させる。その後、0.1N HClにて5倍希釈した
ヨード液(0.05Mヨウ素を含む0.5Mヨウ化カリ
ウム溶液)0.5mLを加えて酵素反応を止め、10m
Lの水を加えて十分に攪拌した後、分光光度計を用いて
610nmで測定する。酵素活性の単位は、上記条件下
で1分間に0.01吸光度を増加する酵素量を1単位と
した。
新規なイソアミラーゼと、α−アミラーゼ、β−アミラ
ーゼ及びグルコアミラーゼからなる群より選ばれた少な
くとも一種の酵素とを併用して、デンプンもしくはその
加水分解物に作用させることを特徴とする。
ば、細菌液化型耐熱性α−アミラーゼ(商品名「クライ
スターゼT−5」、大和化成株式会社製)、バチルス属
(Bacillus) 起源のマルトトリオース生成酵素、シュー
ドモナス・スツュツェリ(Pseudomonas stutzeri)起源
のマルトテトラオース生成酵素などを用いることができ
る。また、β−アミラーゼとしては、例えば、大豆由来
のβ−アミラーゼ(長瀬生化学株式会社製)、麦芽由来
のβ−アミラーゼ(商品名「ウルトラザイム」、Enzyme
Biosystems 社製)などを用いることができる。更に、
グルコアミラーゼとしては、例えば、リゾプス属(Rhiz
opus) 起源のグルコアミラーゼ(商品名「スミチー
ム」、新日本化学株式会社製)、アスペルギルス属(As
pergillus)起源のグルコアミラーゼ(商品名「アミログ
ルコシダーゼ」、ノボ社製)などを用いることができ
る。なお、本発明においては、上記酵素の他に、必要に
応じてプルラナーゼなどを併用してもよい。
解物とは、デンプンを液化型α−アミラーゼで液化した
デンプン液化液や、マルトースをはじめとする各種のマ
ルトオリゴ糖、サイクロデキストリン、これらの混合物
等を意味する。イソアミラーゼと併用する酵素の種類
や、基質の種類は、目的とする加水分解物に応じて定め
られる。
チン、デンプン、グリコーゲン中のα−1,6−グルコ
ピラノシド結合を加水分解する。デンプン糖の生成反応
は、低温かつ弱酸性条件下で実施された場合、微生物汚
染に起因する様々な悪影響を受けることが知られてい
る。そこで、このデンプンの酵素加水分解反応をできる
だけ高温条件下で行い、また、弱酸性〜中性側のpH条
件で実施することが望ましいとされている。
アミラーゼは熱安定性に劣り、殆どが40℃以下の至適
温度を示すにすぎなかった。また、シュードモナス・ア
ミロデラモサ(Pseudomonas amyloderamosa)が生産する
イソアミラーゼは、約50℃という高い至適温度を有し
ているが、前述したように至適pHが3.0〜4.0と
低いため、併用できる酵素が限られているという問題が
あった。
ーゼは、至適pHが5.5〜6.0であり、作用適温が
45℃と高いため、工業的に使用されている殆どのα−
アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼと併用
することができ、デンプンの加水分解反応を55℃以上
で、しかも弱酸性領域近傍で実施することが可能とな
る。このことは、微生物汚染を確実に防止することを保
証し、また汚染に基づくpH低下を補償する目的でアル
カリ試薬を添加する必要もなくなり、大幅な製造コスト
低減が期待できることを意味する。更に、高温での反応
が可能なことから反応速度の改善が期待され、分解生成
物の生産性を高めることができる。
ゼと併用して、デンプンもしくはその加水分解物に作用
させれば、マルトースを高収率で生産することができ
る。また、本発明のイソアミラーゼを、マルトリオース
生成酵素、マルトテトラオース生成酵素などと併用し
て、デンプンもしくはその加水分解物に作用させれば、
マルトトリオース、マルトテトラオースなどのマルトオ
リゴ糖を高収率で生産することができる。更に、本発明
のイソアミラーゼを、マルトトリオースなどのマルトオ
リゴ糖と、サイクロデキストリンとを含む糖液に作用さ
せると、イソアミラーゼの逆合成反応により、分岐サイ
クロデキストリンを得ることもできる。
odoratum KU、微工研菌寄第12711号) を、2%マ
ルトース、1%大豆タンパク(商品名「ソルピーK」、
日清製油株式会社製)、0.1%NH4 NO3 、0.1
4%KH2 PO4 、0.1%CaCl2 ・2H2 O、
0.02%MgSO4 ・7H2 O、0.01%L−グル
タミン酸ナトリウムを含む培地(pH6.0)を100
mLずつ分注したフラスコ15本に植菌し、30℃で9
6時間、180rpmで回転振とう培養した。培養終了
後、培養液を10,000×g、4℃で30分間遠心分
離して菌体を除き、8.3単位/mLの粗酵素液1,3
00mLを得た。
添加し、4℃で2時間放置し、イソアミラーゼをデンプ
ンに吸着させた。そして、イソアミラーゼを吸着させた
デンプンを10,000×g、4℃にて遠心して集め
た。このデンプンを1%(w/v)マルトテトラオース
溶液(pH6.0)100mLに懸濁し、室温にて攪拌
しながら2時間放置し、イソアミラーゼをデンプンより
溶出させた。この溶出液を10,000×g、室温にて
遠心してデンプンを除き、得られた上澄液を0.2MN
aClを含む10mMトリス・塩酸緩衝液(pH8.
0)に対して、一夜4℃で透析した。この酵素液を分画
分子量10,000の限外濾過膜を用いて濃縮した後、
上記トリス・塩酸緩衝液で平衡化したセファクリルS−
300HRカラムにかけてゲル濾過を行い、活性画分を
集めた。こうして得られた精製酵素は、ポリアクリルア
ミドゲルディスク電気泳動法において単一のバンドを有
することが確認され、活性収率は約23%であった。
ラーゼの理化学的性質を調べた。
液5mLに、基質1gに対して300単位の上記精製イ
ソアミラーゼを添加し、45℃で24時間反応させた。
反応生成物をHPLC法で測定したところ、アミロペク
チン、及びグリコーゲンは、明らかに分解されていた
が、プルランは分解されていなかった。
6.0)、0.2Mリン酸緩衝液(pH6.5、7.
0、7.5、8.0)、又は0.2Mグリシン緩衝液
(pH9.0)に溶解させた0.5%(w/v)もち米
デンプン溶液0.45mLに、上記精製イソアミラーゼ
を予め1mM EDTAを含む水で一夜透析したイソア
ミラーゼ含有溶液0.1mLを混合し、先に述べた方法
でイソアミラーゼ活性を測定した。この結果を図1の
(A)に示す。イソアミラーゼの至適pHは、pH6.
0における酵素活性を100とする相対活性で示した。
を、pH4〜9.5の範囲で、30℃で24時間及び4
5℃で10分間処理し、pH6.0で処理した時の残存
酵素活性を100とする相対活性を求めた。この結果を
図2の(A)に示す。図中、○−○は、30℃、24時
間処理した結果、●−●は、45℃、10分処理した結
果を示す。なお、使用した緩衝液は、酢酸緩衝液(pH
4〜6)、リン酸緩衝液(pH6.5〜8.0)及びグ
リシン−NaOH−NaCl緩衝液(pH8.5〜9.
5)である。
活性を、各温度で測定し、45℃で測定した時の酵素活
性を100とする相対活性を求めた。この結果を図1の
(B)に示す。
した後、10mM CaCl2 ・2H2 Oの存在下、及
び不存在下で、35℃、40℃、45℃、50℃及び5
5℃で15分間処理し、残存する活性をした。その結果
を図2の(B)に示す。図中、○−○は、CaCl2 ・
2H2 Oを添加しないときの結果、●−●は、CaCl
2 ・2H2 Oを添加したときの結果を示す。このよう
に、Ca2+イオンを添加することにより、温度安定性が
向上し、50℃以上の温度条件下でも活性が維持される
ことがわかる。
濃度1mM(ただし、水銀は0.1mMと1mMの両
方)となるように、各種金属の塩酸塩又は化学試薬を添
加し、活性を測定した。そして、無添加の活性を100
とする相対活性を求めた結果を表2に示す。
求めた本発明のイソアミラーゼの分子量は、88,00
0であった。図3は、上記電気泳動法の実験結果を示
す。
ラーゼの等電点は、8.7であった。図4は、上記等電
点の測定結果を示す。
ピーK」、日清製油株式会社製)、0.1%NH4 NO
3 、0.14%KH2 PO4 、0.1%CaCl2 ・2
H2 O、0.02%MgSO4 ・7H2 O、0.01%
L−グルタミン酸ナトリウムを含む培地(pH6.0)
を、500mL容の三角フラスコ20本に100mLず
つ入れ、フラボバクテリウム・オドラタムKU株(Flavob
acteriumodoratum KU、微工研菌寄第12711号) を
それぞれ植菌し、30℃で96時間、180rpmで回
転振とう培養した。この培養液を10,000×g、4
℃で20分間遠心分離して菌体を除去し、10.5単位
/mLの粗酵素液を1850mL得た。
チを添加し、4℃で2時間放置し、イソアミラーゼをデ
ンプンに吸着させた。そして、10,000×g、4℃
にて遠心してイソアミラーゼを吸着させたデンプンを集
めた。このデンプンを100mL(ミリリットル)の1
%(w/v)マルトテトラオース溶液(pH6.0)に
懸濁し、室温にて攪拌しながら2時間放置し、イソアミ
ラーゼをデンプンより溶出させた。この溶出液を10,
000×g、室温にて遠心して、デンプンを除いた上澄
液を得た。この上澄液を分画分子量10,000の限外
濾過膜を用いて濃縮し、2,500単位/mLの濃縮粗
酵素液を約5mL得た。
ンプン懸濁液を、細菌液化型耐熱性α−アミラーゼ(商
品名「クライスターゼT−5」、大和化成株式会社製)
を用いて105℃で液化した後、直ちに125℃で30
分間オートクレーブし、DE(Dextrose Equivalent :直
接還元糖に対する全固形物の割合)2.7のデンプン液
化液を得た。この液化液5mLに、デンプン重量に対し
て、0.25%の大豆由来のβ−アミラーゼ(長瀬生化
学株式会社製、10,000U/g)と、0.001%
の上記と同じ細菌液化型耐熱性α−アミラーゼと、45
0単位の上記イソアミラーゼ濃縮粗酵素液を添加し、p
H6.0、55℃で、72時間反応させた。
/v)の活性炭を添加し、沸騰水浴中で5分間加熱した
後、0.45μmポアサイズのメンブランフィルターで
濾別した。こうして得られた糖液中の糖組成を、ウルト
ロン(ULTRON)PS−80N(商品名、親和化工
株式会社製)カラムを用いた高速液体クロマトグラフ法
で測定した結果、G1 :0.4%、G2 :89.3%、
G3 :7.5%、オリゴ糖:2.8%であった。
86号に記載されているサーモモノスポラ・ビリディス
TF−35(Thermomonospora viridis TF−35)由
来の酵素を、デンプン1gに対して150単位添加し、
更に48時間反応させた。
脱色して濾過した後、その糖組成を実施例3と同様な高
速液体クロマトグラフ法で測定した結果、G1 :3.0
%、G2 :94.0%、G3 :2.5%、オリゴ糖:
0.5%であった。
濁液を、細菌液化型耐熱性α−アミラーゼ(商品名「ク
ライスターゼT−5」、大和化成株式会社製)を用いて
90℃で液化した後、直ちに120℃で30分間オート
クレーブし、DE5.5のデンプン液化液を得た。
プン1g当たり0.2%の麦芽由来のβ−アミラーゼ
(商品名「ウルトラザイム」、Enzyme Biosystems 社
製)と、100単位の実施例3で調製したイソアアミラ
ーゼ濃縮粗酵素液とを添加し、pH6.0、55℃で、
72時間反応させた。
脱色して濾過した後、その糖組成を実施例3と同様な高
速液体クロマトグラフ法で測定した結果、G1 :3.2
%、G2 :76.5%、G3 :14.7%、オリゴ糖:
5.6%であった。
ン)を3:1の割合、マルトースとβ−CDを5:1の
割合、マルトースとγ−CDを3:1の割合で含む、約
70%(w/v)濃度のそれぞれの糖液に対して、実施
例3で調製したイソアミラーゼ濃縮粗酵素液を、基質1
g当たり7,500単位ずつ添加し、pH6.0、55
℃で、72時間反応させた。
ak GS-320 (商品名、旭化成工業株式会社製)を用いて
糖組成を調べたところ、分岐α−CD14.1%、分岐
β−CD7.9%、分岐γ−CD15.2%がそれぞれ
生成していた。
至適pHが弱酸性〜中性領域にあり、作用適温が高い新
規なイソアミラーゼを提供することができ、このイソア
ミラーゼを用いることにより、例えば55℃程度の高温
域で糖化反応を行うことが可能となる。そして、このイ
ソアミラーゼと、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グ
ルコアミラーゼなどとを併用して用いることにより、プ
ルラナーゼでは得られなかった高純度のマルトース、あ
るいはそれ以上の重合度のマルトオリゴ糖、分岐CDな
どを工業的に製造することが可能となる。
性及び温度依存性を測定した結果を示す図表である。
温度との関係を測定した結果を示す図表である。
法により、本発明のイソアミラーゼを含むタンパク質の
分子量を測定した結果を示す図表である。
ミラーゼの等電点を測定した結果を示す図表である。
Claims (5)
- 【請求項1】 以下の理化学的性質を有するイソアミラ
ーゼ。 (イ)作用 アミロペクチン、デンプン、グリコーゲン、及びそれら
の部分加水分解物中のα−1,6−グルコピラノシド結
合を特異的に加水分解する。 (ロ)基質特異性 アミロペクチン、デンプン、グリコーゲン中のα−1,
6−グルコピラノシド結合を加水分解し、プルランを加
水分解しない。 (ハ)至適pH 5.5〜6.0 (ニ)安定pH 30℃、24時間の条件下でpH4.5〜8.0で安定
である。 (ホ)作用適温 45℃ (ヘ)失活温度 45℃、10分間の条件下では、pH4及びpH8で完
全に失活し、pH6.0、15分間の条件下では、50
℃で完全に失活する。 (ト)温度安定性 pH6、15分間の条件下では、40℃まで安定であ
る。 (チ)阻害、活性化及び安定化 本酵素は、銅、水銀、亜鉛で阻害され、カルシウムで安
定化される。 (リ)分子量(SDS-PAGE法) 88,000 (ヌ)等電点(Isoelectric Focusing法) 8.7 - 【請求項2】 菌体外分泌型酵素である特許請求の範囲
第1項記載のイソアミラーゼ。 - 【請求項3】 フラボバクテリウム・オドラタム(Flav
obacterium odoratum)に属するイソアミラーゼ生産菌を
培養し、培養物から請求項1記載のイソアミラーゼを採
取することを特徴とするイソアミラーゼの製造法。 - 【請求項4】 前記フラボバクテリウム・オドラタム
(Flavobacterium odoratum)に属するイソアミラーゼ生
産菌として、フラボバクテリウム・オドラタムKU株(Fl
avobacterium odoratum KU、微工研菌寄第12711
号) を用いる請求項3記載のイソアミラーゼの製造法。 - 【請求項5】 請求項1記載のイソアミラーゼと、α−
アミラーゼ、β−アミラーゼ及びグルコアミラーゼから
なる群より選ばれた少なくとも一種の酵素とを併用し
て、デンプンもしくはその加水分解物に作用させること
を特徴とする糖類の製造法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04069170A JP3119523B2 (ja) | 1992-02-18 | 1992-02-18 | 新規なイソアミラーゼ、その製造法及びそれを用いた糖類の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP04069170A JP3119523B2 (ja) | 1992-02-18 | 1992-02-18 | 新規なイソアミラーゼ、その製造法及びそれを用いた糖類の製造法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05227959A JPH05227959A (ja) | 1993-09-07 |
JP3119523B2 true JP3119523B2 (ja) | 2000-12-25 |
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ID=13394977
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---|---|---|---|---|
JP6053406B2 (ja) * | 2012-09-13 | 2016-12-27 | 株式会社林原 | 新規α−グルカン転移酵素とそれらの製造方法並びに用途 |
-
1992
- 1992-02-18 JP JP04069170A patent/JP3119523B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH05227959A (ja) | 1993-09-07 |
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