JP3148505B2 - 非還元末端6‐アジド化マルトペンタオースの製造方法 - Google Patents

非還元末端6‐アジド化マルトペンタオースの製造方法

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JP3148505B2 JP08142194A JP8142194A JP3148505B2 JP 3148505 B2 JP3148505 B2 JP 3148505B2 JP 08142194 A JP08142194 A JP 08142194A JP 8142194 A JP8142194 A JP 8142194A JP 3148505 B2 JP3148505 B2 JP 3148505B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は非還元末端6‐アジド化
マルトペンタオースの新規な製造方法に関するものであ
る。さらに詳しくいえば、本発明は、それ自体α‐アミ
ラーゼ活性測定用基質となるが、特に、α‐アミラーゼ
活性測定用基質として極めて有用な還元末端グルコース
の1位に配糖体として芳香族発色性基を導入した非還元
末端6‐アジド化マルトペンタオシド誘導体の中間体と
して用いられる非還元末端6‐アジド化マルトペンタオ
ースを効率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】非還元末端修飾オリゴサッカライドの製
造方法としては、修飾シクロデキストリンにアクセプタ
ーの存在下シクロマルトデキストリングルカノトランス
フェラーゼを作用させたのち、グルコアミラーゼ又はα
‐グルコシダーゼを作用させる方法が知られているが
(特開昭63−170393号公報)、この方法は、再
利用できない副生物の割合が比較的多くなるのを避けら
れないため、使用原料に基づく収率を高くすることがで
きず、工業的方法としては、必ずしも満足しうるもので
はなかった。
【0003】また、本発明者らは、先に6‐アジド化シ
クロデキストリンにシクロデキストリナーゼを作用させ
たのち、エキソ型糖化酵素類を作用させることにより非
還元末端6‐アジド化マルトペルースを製造する方法を
提案した(特開平5−262784号公報)。しかしな
がら、この方法もシクロデキストリナーゼによりシクロ
デキストリンを開裂する場合の開裂部位により事実上、
目的物の構造をとり得ない副生物の生成を抑制すること
ができず、収率的にはまだ満足しうるものとはいえな
い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特に、α‐
アミラーゼ活性測定用基質として極めて有用な還元末端
グルコースの1位に配糖体として芳香族発色性基を導入
した非還元末端6‐アジド化マルトペンタオシド誘導体
の中間体として用いられる非還元末端6‐アジド化マル
トペンタオースを効率よく大量に製造する方法を提供す
ることを目的としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために種々研究を重ねた結果、加水分解酵素
である特定の理化的性質を有するシクロデキストリナー
ゼがシクロデキストリンの開裂と糖鎖の加水分解活性の
みならず、グルコースの強い転移活性をも有しているこ
と、6‐アジド化シクロデキストリンにグルコースの存
在下で該シクロデキストリナーゼを作用させて得た各種
6‐アジド化マルトオリゴ糖に、マルトースの存在下で
糖の転移酵素であるシクロデキストリングルカノトラン
スフェラーゼを作用させると、マルトースが6‐アジド
化グルコース残基から還元末端方向の2番目と3番目の
グルコース残基の間に選択的に転移して、反応液におけ
る目的物質の非還元末端6‐アジド化マルトペンタオー
ス及びこれを分子内の還元末端側に有するマルトオリゴ
糖の含有率が高められること、そして後者の酵素作用の
後又は前にエキソ型糖化酵素類を作用させて非還元末端
側のグルコース残基を加水分解させて除去することによ
り、非還元末端6‐アジド化マルトペンタオースを効率
よく容易に製造しうることを見出し、これらの知見に基
づいて本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、一般式
【化4】 (式中のnは5又は6である)で表わされる6‐アジド
化シクロデキストリンに、グルコースの存在下、(イ)
シクロデキストリンを開裂し、シクロデキストリンのグ
ルコース重合度に由来するマルトオリゴ糖を生成させる
作用及び(ロ)シクロデキストリンに対する水解速度又
は親和性が多糖類あるいはシクロデキストリンと同じ重
合度の直鎖オリゴ糖よりも大きい基質特異性を有するシ
クロデキストリナーゼを作用させて、一般式
【化5】 (式中のnは前記と同じ意味をもち、mはnが5のとき
3〜6の整数、nが6のとき3〜7の整数である)で表
わされる6‐アジド化マルトオリゴ糖を生成させ、次い
で、マルトースの存在下でシクロデキストリングルカノ
トランスフェラーゼ及びエキソ型糖化酵素類を任意の順
序で作用させることを特徴とする、式
【化6】 で表わされる非還元末端6‐アジド化マルトペンタオー
スの製造方法を提供するものである。
【0007】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明における出発物質である前記一般式(I)で表わさ
れる6‐アジド化シクロデキストリンはいかなる方法で
製造してもよいが、例えば市販のα‐又はβ‐シクロデ
キストリン(グルコース重合度はそれぞれ6、7であ
る)、好ましくは、安価なことからβ‐シクロデキスト
リンから公知の方法により製造することができる。
【0008】この製造方法の好適な実施態様について説
明すると、まず、シクロデキストリンをピリジンなどの
溶媒に溶解し、このシクロデキストリンに対し、2〜7
倍モル量のトシルクロリドを添加し、通常15〜30℃
の範囲の温度で4〜6時間程度反応させて6位ヒドロキ
シル基のうちの1個のみをトシル化し、必要に応じ常法
に従い精製して、6‐O‐トシルシクロデキストリンを
得る。次いで、これを極性溶媒中で6‐O‐トシルシク
ロデキストリンに対し、2〜50倍モル量のアジ化ナト
リウムを添加し、通常70〜90℃の範囲の温度で3〜
10時間程度反応させてトシルオキシ基をアジド基に置
換する。この際に用いる極性溶媒としては、例えば水、
アセトン、1,4‐ジオキサン、アセトニトリル、ジメ
チルホルムアミドなどが挙げられ、これらは単独で又は
2種以上を混合して用いてもよい。そして必要に応じ、
常法、例えばテトラクロロエタン包接体を水溶液からろ
別する方法、トルエン包接体のろ別法などに従い精製し
て6‐アジド化シクロデキストリンを得ることができる
[「カルボハイドレート・リサーチ(Carbohyd
r.Res.)」第18巻、第29〜37ページ(19
71年)参照]。
【0009】このようにして、前記一般式(I)で表わ
される出発物質としての6‐アジド化α‐シクロデキス
トリン(n=5)又は6‐アジド化β‐シクロデキスト
リン(n=6)を容易に製造することができるが、後続
の工程における酵素反応速度を考慮すると、原料として
は6‐アジド化β‐シクロデキストリンが好ましい。
【0010】図1は、出発物質として6‐アジド化β‐
シクロデキストリンを用いた場合を例として本発明の製
造方法における目的物質の生成過程を示す説明図であ
る。
【0011】なお、図1において、G及びGN3は、それ
ぞれグルコース残基、6位のヒドロキシル基がアジド基
で置換されたグルコース残基、CDase及びCGTa
seは、それぞれ後記のシクロデキストリナーゼ、シク
ロデキストリングルカノトランスフェラーゼを意味す
る。
【0012】次に、前記一般式(I)で表わされる6‐
アジド化シクロデキストリンに作用させるシクロデキス
トリナーゼについては、(イ)シクロデキストリンを開
裂し、シクロデキストリンのグルコース重合度に由来す
るマルトオリゴ糖を生成させる作用を有し、かつ(ロ)
シクロデキストリンに対する水解速度又は親和性が、多
糖類あるいはシクロデキストリンと同じ重合度の直鎖オ
リゴ糖よりも大きい基質特異性を有するものであればど
のようなものでもよく、特に制限されず、またその起源
についても特に制限はない。
【0013】このような酵素の中で好適なものとして
は、次の理化学的性質を有する公知のシクロデキストリ
ナーゼを挙げることができる。なお、このシクロデキス
トリナーゼ(cyclodextrinase、以下C
Daseという)は加水分解酵素であって、シクロマル
トデキストリナーゼ(cyclomaltodextr
inase)とも呼称され、EC 3.2.1.54に
属するものである[「Appl Microbiol
Biotechnol」第39巻、第714〜719ペ
ージ(1993年)参照]。
【0014】理化学的性質 (イ)作用:シクロデキストリンを開裂し、シクロデキ
ストリンのグルコース重合度に由来するマルトオリゴ糖
を生成させる作用を有する。
【0015】(ロ)基質特異性:シクロデキストリンに
対する水解速度又は親和性が、多糖類あるいはシクロデ
キストリンと同じ重合度の直鎖オリゴ糖よりも大きい基
質特異性を有する。
【0016】(ハ)至適pH及び安定pH範囲:β‐シ
クロデキストリンを基質とした場合、pH8.0近傍に
至適pHを有し、かつ安定pH範囲が5.5〜9.5で
ある。 (ニ)作用適温:40℃近傍に作用適温を有する。 (ホ)失活性:50℃以上の温度で15分間の処理によ
り、ほぼ失活する性質を有する。
【0017】(へ)阻害及び活性化:Hg2+、Cu2+
Zn2+、Ni2+及びFe2+により90%以上阻害され、
Ca2+及びMg2+により10〜30%活性化される性質
を有する。
【0018】(ト)分子量:ゲルろ過法による分子量が
144,000で、SDS PAGE法による分子量が
72,000である。すなわち、この酵素は分子量7
2,000のサブユニットから成る二量体である。
【0019】なお、この酵素の力価は、2%(w/v)
濃度のβ‐シクロデキストリン溶液500μl及び適当
量の酵素を含有する100mM濃度のリン酸緩衝液(p
H7.5)500μlを混和し、温度40℃で適当時間
反応させたのち、10分間煮沸することにより反応を停
止し、高速液体クロマトグラフィーによって、生成した
マルトヘプタオースを定量することにより求めた。ま
た、酵素量が少量の場合には、グルコースを標準とした
ソモギーネルソン法により還元力を測定することにより
求めた。
【0020】この酵素の酵素単位については、1分間に
1マイクロモルのマルトヘプタオースを生成する酵素量
を1単位とした。このような性質を有する酵素は、例え
ばバチルス属に属し、この酵素を産生する微生物、例え
ばバチルス・スフェリカス(Bacillus sph
aericus)E−244菌株[工業技術院微生物工
業技術研究所(現 工業技術院生命工学工業技術研究
所)に微工研条寄第2458(FERM BP−245
8)として寄託されている]などを培地に培養し、この
培養物より採取することにより得られる。
【0021】なお、前記酵素の理化学的性質や、その産
生菌バチルス・スフェリカスE−244菌株(FERM
BP−2458)の菌学的性質及びそれを用いて酵素
を製造する方法は公知である(特開平3−15384号
公報及び特開平3−86701号公報)。
【0022】前記一般式(I)で表わされる6‐アジド
化シクロデキストリンに、グルコースの存在下、前記C
Daseを作用させると、酵素の糖転移活性により環状
糖鎖の不特定の位置に1回のみグルコースの転移がおこ
り、前記一般式(II)で表わされる、種々の位置に6
位アジド化グルコース残基を有する6位アジド化マルト
オリゴ糖の混合物を主成分とする反応液が得られる。こ
の反応において、グルコースを存在させることによっ
て、不存在のときに比べて、理論値として目的化合物と
なりうる物質の生成が約30%増加する。なお、グルコ
ースの代わりにマルトースを用いた場合には、この糖転
移反応はほとんどみられない。
【0023】この酵素反応における6‐アジド化シクロ
デキストリン(出発物質)の濃度は、特に制限されない
が、CDaseの基質に対するKm値以上の濃度になる
ように調整することが好ましい。共存させるグルコース
量についても特に制限はなく、通常6‐アジド化シクロ
デキストリンの3〜20倍モル量の範囲から選ばれる。
また、酵素量については特に制限はないが、反応時間内
に生成物量が最大となるように、適宜必要量を添加すれ
ばよく、通常出発物質1gに対して0.5〜10単位の
範囲で選ばれる。
【0024】酵素反応条件については、CDaseの作
用pH及び作用温度の範囲であればよく、特に制限はな
いが、通常pH6.5〜9.0、温度35〜45℃の条
件で反応が行われ、反応時間は30分〜48時間が適当
である。さらに、この反応において、必要に応じて1,
4‐ジオキサン、アセトン、ジメチルスルホキシド(D
MSO)、N,N‐ジメチルホルムアミド(DMF)な
どの水溶性有機溶媒を添加してもよい。
【0025】また、CDaseによる酵素反応の終了後
には、例えば塩酸、酢酸などを用いた酸処理、75〜1
00℃で30〜180分間の熱処理などによる酵素の失
活処理を行うのが好ましい。
【0026】このようにして、前記一般式(II)で表
わされる各種6‐アジド化マルトオリゴ糖の混合物を主
成分とする反応液が得られるが、この反応液としては、
例えば出発物質が6‐アジド化β‐シクロデキストリン
(n=6)の場合には、6p‐アジド化マルトオクタオ
ース(p=2〜8の整数)の混合物を主成分とするもの
が得られ、また6‐アジド化α‐シクロデキストリン
(n=5)の場合には、同様に6q‐アジド化マルトヘ
プタオース(q=2〜7の整数)の混合物を主成分とす
るものが得られる。
【0027】なお、例えば68‐、67‐などの記号は、
マルトオリゴ糖を構成するグルコースの還元末端側から
8番目、7番目のグルコース残基の6位の水酸基が置換
されていることを示す。
【0028】次に、このようにして得られた前記一般式
(II)で表わされる各種6‐アジド化マルトオリゴ糖
の混合物を主成分とする反応液に、マルトースの存在下
でシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ及び
エキソ型糖化酵素類を任意の順序で作用させることによ
り、すなわちマルトースの存在下でシクロデキストリン
グルカノトランスフェラーゼを作用させたのち、エキソ
型糖化酵素類を作用させるか、あるいはエキソ型糖化酵
素類を作用させたのち、マルトースの存在下でシクロデ
キストリングルカノトランスフェラーゼを作用させて、
目的物質の前記一般式(III)で表わされる非還元末
端6‐アジド化マルトペンタオースを得る。
【0029】すなわち、前記一般式(II)で表わされ
る各種6‐アジド化マルトオリゴ糖の混合物を主成分と
する反応液に、マルトースの存在下でシクロデキストリ
ングルカノトランスフェラーゼを作用させることによ
り、マルトースが6‐アジド化グルコース残基から還元
末端方向の2番目と3番目のグルコース残基の間に選択
的に転移し、6‐アジド化グルコース残基から還元末端
方向にグルコース残基が4個重合した構造を有するマル
トオリゴ糖を主成分とする、一般式
【化7】 (式中のn及びmは前記と同じ意味をもつ)で表わされ
る各種6‐アジド化マルトオリゴ糖の混合物を含有する
反応液が得られる。
【0030】マルトース存在下でのこの酵素反応は、前
記図1に示されるように、反応液における、非還元末端
6‐アジド化マルトペンタオース及び分子内の還元末端
側に65‐アジド化マルトペンタオース部を有する6‐
アジド化マルトオリゴ糖の含有率を高める意義を有して
いる。すなわち、酵素反応前の反応液における6‐アジ
ド化マルトペンタオース及び分子内の還元末端側に65
‐アジド化マルトペンタオース部を有する6‐アジド化
マルトオリゴ糖の理論的含有率は、出発物質が前記一般
式(I)で表わされる6‐アジド化α‐シクロデキスト
リン(n=5)のときは1/7、6‐アジド化‐β‐シ
クロデキストリン(n=6)のときは、1/6である
が、酵素反応により、反応液におけるそれらの理論的含
有率を、それぞれ5/7、4/6にと5倍又は4倍にも
高めることができ、その結果、次工程でのエキソ型糖化
酵素類を作用させることによって、目的物質の非還元末
端6‐アジド化マルトペンタオースを高収率で得ること
ができる。
【0031】なお、前工程の酵素反応により得られた反
応液をそのまま本工程の酵素反応に供してもよいが、本
工程では反応液に含有されるグルコース及び各種無置換
マルトオリゴ糖の糖転移が副反応として起こるので、反
応収率を向上させるためにあらかじめこれらを、例えば
オクタデシル化シリカゲル(ODS)、活性炭カラムク
ロマトグラフィーなどにより除去してから行うのが好ま
しい。
【0032】また、前記図1に示されるように、前工程
で得られた反応液の63、62‐アジド化マルトオクタオ
ース又は63、62‐アジド化マルトヘプタオースには、
本工程での糖転移は生起せず、そのまま反応液に存在す
るので、あらかじめこれらの6‐アジド化マルトオリゴ
糖を適宜の精製法、例えば活性炭カラムクロマトグラフ
ィー、ODSカラムクロマトグラフィーなどにより除去
してもよい。
【0033】本発明において用いられるシクロデキスト
リングルカノトランスフェラーゼ(cyclodext
rin glucanotransferase、以下
CGTaseという)は公知の転移酵素であって、シク
ロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(c
yclomaltodextrin gulucano
transferase)とも呼称され、EC 2.
4.1.19に属するものである。CGTaseの由来
には特に制限はなく、例えばバチルス属[例えばバチル
ス・マセランス(Bacillus maceran
s)、バチルス・メガテリウム(Bacillus m
egatherium)など]由来のもの、クレブシェ
ラ属[例えばクレブシェラ・ニューモニエ(Klebs
iellapneumoniae)など]由来のものな
どが用いられる。
【0034】このCGTaseを作用させる際の反応条
件は、通常の酵素反応と同様の条件が用いられ、特に制
限されないが、pHは5.5〜8.0、温度は35〜5
0℃、反応時間は0.5〜48時間程度が好ましい。C
GTaseの使用量も通常の酵素反応の場合に用いられ
る範囲内で特に制限はないが、前記一般式(II)で表
わされる各種6‐アジド化マルトオリゴ糖の混合物の合
計重量1gに対し、50〜1000単位の範囲で選ぶの
がよい。また、共存させるマルトース量についても特に
制限はなく、前工程で得られた各種6‐アジド化マルト
オリゴ糖の混合物の3〜20倍モル量の範囲から選ばれ
る。
【0035】この反応において、必要に応じて1,4‐
ジオキサン、アセトン、DMSO、DMF、イソプロパ
ノールなどの水溶性有機溶媒を添加してもよい。また反
応系内に副生してくるグルコースを除去する目的で、マ
ルトースやマルトオリゴ糖とは反応せず、グルコースの
みと反応する酵素類、例えばグルコースオキシダーゼ、
グルコースデヒドロゲナーゼなどを添加することもでき
る。
【0036】また、CGTaseによる酵素反応の終了
後には、例えば塩酸、酢酸などを用いる酸処理、75〜
100℃で30〜180分間の熱処理などによる酵素の
失活処理を行う。
【0037】このようにして前記一般式(IV)で表わ
される各種6‐アジド化マルトオリゴ糖の混合物を主成
分とする反応液が得られるが、この反応液としては、例
えば出発物質が6‐アジド化β‐シクロデキストリン
(n=6)の場合には、65‐アジド化マルトノナオー
ス〜65‐アジド化マルトペンタース(グルコースの重
合度が9、8、7、6及び5のもの)、また、6‐アジ
ド化α‐シクロデキストリン(n=5)の場合には、6
5‐アジド化マルトオクタオース〜65‐アジド化マルト
ペンタース(グルコースの重合度が8、7、6及び5の
もの)の混合物を主成分とするものが挙げられる。
【0038】そして、この反応液中には副成分として前
記した未反応の63、62‐アジド化マルトオクタオース
又は63、62‐アジド化マルトヘプタオースの他に、C
GTaseの作用により共存させたマルトースから生じ
たグルコース、マルトトリオース、マルトテトラオース
などがさらに糖転移して生じた64‐アジド化マルトオ
クタオース〜64‐アジド化マルトテトラオース(グル
コースの重合度が8、7、6、5及び4のもの)、66
‐アジド化マルトデカノース〜66‐アジド化マルトヘ
キサオース(グルコースの重合度が10、9、8、7及
び6のもの)、6 7‐アジド化マルトウンデカノース〜
7‐アジド化マルトヘプタオース(グルコースの重合
度が11、10、9、8及び7のもの)などが含まれ
る。
【0039】なお、出発物質である6‐アジド化シクロ
デキストリンに対して、本発明方法のようにグルコース
の存在下でのCDaseによる酵素反応を行うことな
く、直接マルトースの存在下でのCGTaseによる酵
素反応を行っても65‐アジド化マルトペンタオース及
び分子内の還元末端側に65‐アジド化マルトペンタオ
ース部を有する6‐アジドマルトオリゴ糖を含有する反
応液は得られるが、この場合には、反応収率が極めて低
く、本発明の目的を達成することができない。この原因
としては、CGTaseがマルトースの転移反応以外
に、切断反応や再配列反応を起こしやすいことなどが考
えられる。
【0040】次に、このようにして得られた反応液にエ
キソ型糖化酵素類を作用させて、6‐アジド化グルコー
ス残基が非還元末端となるように、非還元末端側に存在
する無置換グルコース残基を加水分解させると前記一般
式(III)で表わされる非還元末端6‐アジド化マル
トペンタオース(65‐アジド化マルトペンタオース)
を主成分とするものが得られる。なお、一般式(II
I)における〜OHは、OH基がα‐アノマー、β‐ア
ノマー又は両者の混合物であることを示している。
【0041】また、この反応液には副成分としては62
‐アジド化マルトース、63‐アジド化マルトトリオー
ス、64‐アジド化マルトテトラオース、66‐アジド化
マルトヘキサオース、67‐アジド化マルトヘプタオー
スなどが含有される。
【0042】この際に用いられるエキソ型糖化酵素類と
しては、例えば公知のグルコアミラーゼ、α‐グルコシ
ダーゼなどが挙げられるが、これらは単独で用いてもよ
いし、組み合わせて用いてもよい。また、その由来につ
いては特に制限されないが、グルコアミラーゼはリゾプ
ス属由来のもの、α‐グルコシダーゼは酵母由来のもの
などがその例として挙げられる。
【0043】エキソ型糖化酵素類を作用させる場合の反
応条件としては、用いる酵素の作用pH及び作用温度範
囲で適宜選べばよいが、通常pH4.0〜8.0、温度
35〜50℃において、0.5〜48時間程度反応が行
われる。
【0044】さらに、エキソ型糖化酵素類の使用量につ
いては通常の酵素反応に使用される範囲内で特に制限は
ないが、通常、前記一般式(IV)で表わされる各種6
‐アジド化マルトオリゴ糖の混合物の合計重量1gに対
し50〜1000単位の範囲で選ばれる。また、この酵
素反応は前記CDaseやCGTaseの場合と同様に
酸処理や熱処理などにより停止させることができる。
【0045】次に、前記一般式(II)で表わされる各
種6‐アジド化マルトオリゴ糖を主成分とする反応液に
エキソ型糖化酵素類を作用させたのち、CGTaseを
作用させる場合について説明する。
【0046】すなわち、この場合においては、エキソ型
糖化酵素類を作用させることにより、非還元末端側のグ
ルコース残基が加水分解されて除去され、出発物質が6
‐アジド化β‐シクロデキストリンの場合には、非還元
末端6‐アジド化マルトオクタオース〜非還元末端6‐
アジド化マルトース(グルコースの重合度が8、7、
6、5、4、3及び2のもの)が、また、出発物質が6
‐アジド化α‐シクロデキストリンの場合には、非還元
末端6‐アジド化マルトヘプタオース〜非還元末端6‐
アジド化マルトース(グルコースの重合度が7、6、
5、4、3及び2のもの)の混合物を主成分とする反応
液が得られる。
【0047】この際のエキソ型糖化酵素類による反応条
件としては、用いる酵素の作用pH及び作用温度範囲で
適宜選べばよいが、通常pH4.0〜8.0、温度35
〜50℃において、0.5〜48時間程度反応が行われ
る。さらに、エキソ型糖化酵素類の使用量については特
に制限はないが、通常、前記一般式(II)で表わされ
る各種6‐アジド化マルトオリゴ糖の混合物の合計重量
1gに対し50〜1000単位の範囲で選ばれる。
【0048】次いで、この酵素反応を前記と同様にして
酸処理や熱処理などにより停止させたのち、前記のよう
にしてマルトースの存在下でCGTaseを作用させる
ことにより、前記一般式(IV)で表わされる6‐アジ
ド化マルトオリゴ糖における非還元末端側のグルコース
残基のないものが得られる。この際マルトースの存在下
でCGTaseを作用させる反応条件などについては、
前記と同様のものが採用される。
【0049】本発明において特に好適な態様としては、
例えば前記一般式(I)で表わされる6‐アジド化シク
ロデキストリンに、グルコースの存在下でCDaseを
作用させて、生成物が最大になった時点で、酸処理や熱
処理などにより、一旦反応を停止させたのち、例えば反
応液をODSカラムクロマトグラフィーなどに付してグ
ルコース及び各種無置換マルトオリゴ糖を除去し、次い
でこれにマルトースの存在下でCGTaseを作用さ
せ、生成物が最大になった時点で、酸処理や熱処理など
によりCGTaseを失活させる。次いで適正なpHに
液性を調整したのち、エキソ型糖化酵素類を作用させ、
生成物が最大になった時点で、酸処理や熱処理などによ
り反応を停止させる方法が挙げられる。
【0050】次に、このようにして得られた非還元末端
6‐アジド化マルトオリゴ糖含有反応液から、所望の前
記一般式(III)で表わされる非還元末端6‐アジド
化マルトペンタオースを分離精製するが、この分離精製
方法については特に制限はなく、従来オリゴ糖の分離精
製に慣用されている方法を用いることができる。例えば
活性炭カラムクロマトグラフィー、ODSカラムクロマ
トグラフィー、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、
薄層クロマトグラフィーなどを用いて分画採取する方法
などを採用することができる。
【0051】こうして得られた前記一般式(III)で
表わされる非還元末端6‐アジド化マルトペンタオース
は、これ自体α‐アミラーゼ活性測定用基質としても使
用できるが、特に、α‐アミラーゼ活性測定用基質とし
て極めて好適に用いることのできる、例えば該化合物の
還元末端グルコースの1位に配糖体として芳香族発色性
基を導入した、一般式
【化8】 (式中のXは芳香族発色性基である)で表わされる非還
元末端6‐アジド化マルトペンタオシド誘導体などの中
間体として有用である。
【0052】なお、前記一般式(V)で表わされる非還
元末端6‐アジド化マルトペンタオシド誘導体におい
て、Xの芳香族発色性基としては、分光学的に検出でき
ればどのようなものでもよく、また、該誘導体はα‐ア
ノマー(α‐配糖体)又はβ‐アノマー(β‐配糖体)
のいずれであってもよい。
【0053】このような前記一般式(V)で表わされる
化合物としては、例えば2‐クロロ‐4‐ニトロフェニ
ル=65‐アジド‐65‐デオキシ‐β‐マルトペンタオ
シド、2‐フルオロ‐4‐ニトロフェニル=65‐アジ
ド‐65‐デオキシ‐α‐マルトペンタオシド、4‐ニ
トロフェニル=65‐アジド‐65‐デオキシ‐β‐マル
トペンタオシド、フェノールインド‐3′‐クロロフェ
ニル=65‐アジド‐65‐デオキシ‐β‐マルトペンタ
オシド、レザズリニル=65‐アジド‐65‐デオキシ‐
β‐マルトペンタオシド、4‐アミノフェニル=65
アジド‐65‐デオキシ‐β‐マルトペンタオシド、4
‐メチルウンベリフェロニル=65‐アジド‐65‐デオ
キシ‐α‐マルトペンタオシド、2‐クロロ‐4‐ニト
ロフェニル=65‐アジド‐65‐デオキシ‐α‐マルト
ペンタオシド、ルシフェリニル=6 5‐アジド‐65‐デ
オキシ‐β‐マルトペンタオシドなどが挙げられる。
【0054】なお、前記一般式(III)で表わされる
非還元末端6‐アジド化マルトペンタオース自体をα‐
アミラーゼ活性測定用基質として使用する場合のα‐ア
ミラーゼ活性測定用試薬、α‐アミラーゼ活性の測定方
法、さらには、前記一般式(V)で表わされる非還元末
端6‐アジド化マルトペンタオシド誘導体についての製
法、誘導体をα‐アミラーゼ活性測定用基質として使用
する場合のα‐アミラーゼ活性測定用試薬、α‐アミラ
ーゼ活性の測定方法は、既に知られている(例えば特開
平5−262784号公報)。
【0055】
【発明の効果】本発明方法によれば、前記一般式(II
I)で表わされる非還元末端6‐アジド化マルトペンタ
オースを、安価なシクロデキストリンを出発物質として
用い、短い反応工程でかつ簡便な操作により従来になく
効率よく大量に製造することができる。
【0056】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。なお、各例中の比旋光度は25℃においてナト
リウムのD線で測定した値である。
【0057】実施例1 65‐アジド‐65‐デオキシマルトペンタオース(非還
元末端6‐アジド化マルトペンタオース)の製造 (1)6‐アジド‐6‐デオキシ‐β‐シクロデキスト
リン(6‐アジド化β‐シクロデキストリン)の製造 (a)6‐O‐トシル‐β‐シクロデキストリンの製造 市販のβ‐シクロデキストリン[塩水港精糖(株)製]
100g(88.2mmol)をピリジン200mlに
溶解し、30分間隔でトシルクロリド22g、22g、
23g(合計67g、350mmol)を加え、最後の
トシルクロリドを加えてから室温下で1.5時間、かき
まぜながら反応させた。次いでこの反応液に水10ml
を加えたのち、減圧下で溶媒を留去し、得られた濃縮液
に水100mlを加え、再度減圧下で溶媒を留去した。
得られた残渣に水1000mlを加えてかきまぜたの
ち、結晶種を少量加えて室温下に放置し、結晶化を行っ
た。この結晶をグラスフィルターでろ別し、水200m
l、300ml及びメチルエチルケトン300mlで洗
浄したのち、乾燥して6‐O‐トシル‐β‐シクロデキ
ストリンを37.2g(28.9mmol、収率32.
8%)得た。
【0058】 融点(℃):172.0〜174.0(分解) 赤外吸収スペクトル(cm‐1):3400,293
0,1642,1632,1600,1424,136
0,1300,1178,1156,1078,102
8 核磁気共鳴スペクトル(200MHz)ppm:(DM
SO‐d6 )2.44(3H,s),3.15〜4.4
5(m),4.76(2H,br.s),4.85(5
H,br.s),7.44(1H,d,J=8.8H
z),7.75(1H,d,J=8.8Hz)
【0059】高速液体クロマトグラフィー[東ソー
(株)製TSKgel Amide‐80カラム(4.
6mmID×250mm),RI検出,溶離液:アセト
ニトリル/水=3:2(v/v),流速:1.0ml/
min]:tR=5.5min
【0060】(b)6‐アジド‐6‐デオキシ‐β‐シ
クロデキストリンの製造 (a)で得られた6‐O‐トシル‐β‐シクロデキスト
リン35g(27mmol)をDMF100mlに溶解
し、アジ化ナトリウム5.3g(81mmol)を加
え、95℃で1.5時間反応させた。次いで反応液を減
圧下で濃縮乾固し、得られた残渣に水30mlを加えて
溶解し、結晶種を少量加えて5℃に冷却放置し、結晶化
を行った。この結晶をグラスフィルターでろ別し、冷水
5ml及び冷エタノール50mlで洗浄したのち、乾燥
して6‐アジド‐6‐デオキシ‐β‐シクロデキストリ
ン27g(23mmol、収率86%)を得た。
【0061】 融点(℃):215.0〜218.0(分解) 赤外吸収スペクトル(cm-1):3390,2920,
2120,1642,1414,1370,1340,
1304,1156,1080,1030 高速液体クロマトグラフィー[東ソー(株)製TSKg
el Amide‐80カラム(4.6mmID×25
0mm),RI検出,溶離液:アセトニトリル/水=
3:2(v/v),流速:1.0ml/min]:tR
=6.6min 比旋光度[α]:(c 0.510,1,4‐ジオキサ
ン/H2O=1:1(v/v);+145°
【0062】 元素分析値:C4269334として C H N 理論値(%) 43.49 6.00 3.62 実測値(%) 43.28 6.11 3.53
【0063】(2)CDaseの調製 1%(w/v)β‐シクロデキストリン、1%(w/
v)ペプトン、0.5%(w/v)NaCl及び0.1
%(w/v)イーストエキスから成る液体培地(水道水
使用、pH7.0)100mlを500ml容坂口フラ
スコに入れ、120℃で20分間、殺菌処理を行った。
これに、バチルス・スフェリカスE‐244(FERM
BP‐2458)の保存スラントより1白金耳接種
し、30℃で1日間振とう培養した。この培養液50m
lを、前記と同様の培地組成と殺菌条件により調製した
2000mlの培地を含有する3000ml容ミニジャ
ーに接種して30℃、1vvm、350rpmの条件で
2日間通気かくはん培養を行い、培養終了後、この培養
液から8000rpm、20分間の遠心分離処理により
菌体を分離し、2%(w/v)トリトンX‐100を含
有する10mMリン酸緩衝液(pH7.0)500ml
に菌体を懸濁して25℃で1日間かきまぜた。該懸濁液
から12000rpmで20分間の遠心分離処理により
菌体残渣を除去したのち、上澄液を10mMリン酸緩衝
液(pH7.0)に対して16時間透析した。得られた
透析物を12000rpmで20分間遠心分離処理して
不溶物を除去し、上澄を粗酵素液(1)とした。
【0064】次いで、この粗酵素液(1)約500ml
(総活性200単位、タンパク量2083mg、比活性
0.1、pH7.0)を10mMリン酸緩衝液(pH
7.0)で平衡化したDEAEセファロース充填カラム
(φ34×170mm)に供し、酵素を吸着させたの
ち、0〜1.5MNaClのグラジェント勾配により溶
出を行った。このようにして得られた活性フラクション
を集めて粗酵素液(2)105ml(総活性145単
位、比活性0.58、収率72.5%)を得た。続い
て、この粗酵素液(2)20ml(総活性31単位、タ
ンパク量29mg)を1M硫酸ナトリウム含有100m
Mリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化したエーテル5
PW充填カラム(φ21.5×150mm)に供し、酵
素を吸着させたのち、1M〜0硫酸ナトリウムのグラジ
ェント勾配により溶出を行った。このようにして得られ
た活性フラクションを集めて粗酵素液(3)50ml
(総活性72単位、比活性2.93、収率36%)を得
た。
【0065】(3)6p‐アジド化マルトオクタオース
(p=2〜8の整数)の製造 (1)で得た6‐アジド‐6‐デオキシ‐β‐シクロデ
キストリン5.0g(4.31mmol)を、あらかじ
め40℃に加温しておいた10mMリン酸緩衝液(pH
=7.5)200ml中にかきまぜながら投入して完全
に溶解した。そこへ前記(2)で得たCDaseの粗酵
素液(3)23単位及びグルコース10.0g(55.
5mmol)を加え、40℃で7時間かきまぜながら反
応を行った。反応終了後、反応液を90℃で15分間か
きまぜながら加熱した。続いて反応液を室温まで冷却
し、スタンダードスーパーセル(セライト社製)でろ過
を行ったのち、水洗し、ろ液と洗液を合わせてODSカ
ラムクロマトグラフィーに供して精製し、アセトニトリ
ル‐水混液(容量比0%→5%グラジェント)で溶出
し、濃縮乾固して6p‐アジド化マルトオクタオース
(p=2〜8の整数)2.6g(1.94mmol、4
5.0%)を得た。
【0066】高速液体クロマトグラフィー[東ソー
(株)製TSKgel Amide−80カラム(4.
6mmID×250mm),RI検出,溶離液:アセト
ニトリル/水=3:2(v/v),流速:1.0ml/
min]:tR=12.4min
【0067】(4)65‐アジド‐65‐デオキシマルト
ペンタオースの製造 (3)で得た6p‐アジド化マルトオクタオース600
mg(0.448mmol)を、5mMPIPES緩衝
液(pH=6.0)30ml中にかきまぜながら溶解
し、そこへCGTase300単位相当のコンチザイム
[天野製薬(株)製酵素液]及びマルトース1.8g
(5.26mmol)を加え、40℃で4.5時間かき
まぜながら反応を行った。反応終了後、反応液を90℃
で15分間かきまぜながら加熱した。続いて反応液を室
温まで冷却し、メンブランフィルター(0.45μm)
でろ過を行ったのち、グルコアミラーゼ[東洋紡績
(株)製]1500単位を加え、40℃で12時間かき
まぜながら反応を行った。反応終了後、反応液を90℃
で15分間かきまぜながら加熱した。続いて反応液を室
温まで冷却し、メンブランフィルター(0.45μm)
でろ過を行い、得られたろ液をODSカラムクロマトグ
ラフィーに供して精製し、アセトニトリル‐水混液(容
量比0%→5%グラジェント)で溶出し、1.5%アセ
トニトリルの溶出画分を凍結乾燥して65‐アジド‐65
‐デオキシ‐マルトペンタオース220mg(0.25
8mmol、57.6%)を得た。
【0068】融点(℃):176.0〜179.0 赤外吸収スペクトル(cm-1):3400,2920,
2110,1628,1406,1360,1278,
1240,1144,1076,1022 核磁気共鳴スペクトル(200MHz)ppm(D
2O):2.80〜4.00(m),4.64(0.5
H,d,J=8.0Hz),5.23(0.5H,d,
J=3.5Hz),5.35(4H,d,J=3.5H
z) 高速液体クロマトグラフィー[東ソー(株)製TSKg
el Amide−80カラム(4.6mmID×25
0mm),RI検出,溶離液:アセトニトリル/水=
3:2(v/v),流速:1.0ml/min]:tR
=6.9min 比旋光度[α]:(c 0.544,H2O);+16
9° 元素分析値:C3051325として C H N 理論値(%) 42.21 6.02 4.92 実測値(%) 42.03 6.13 4.69
【0069】実施例2 65‐アジド‐65‐デオキシマルトペンタオースの製造
(CGTase作用前にエキソ型糖化酵素類を作用させ
る方法) (1)非還元末端6s‐アジド化マルトオリゴ糖(s=
2〜8の整数)の製造 実施例1の(1)と同様にして得た6‐アジド‐6‐デ
オキシ‐β‐シクロデキストリン5.0g(4.31m
mol)を、あらかじめ40℃に加温しておいた10m
Mリン酸緩衝液(pH=7.5)200ml中にかきま
ぜながら投入し、完全に溶解した。これに実施例1の
(2)と同様にして得たCDase23単位及びグルコ
ース10.0g(55.5mmol)を加え、40℃で
7時間かきまぜながら反応を行った。反応終了後、反応
液を90℃で15分間かきまぜながら加熱した。次いで
反応液を室温まで冷却し、メンブランフィルター(0.
45μm)でろ過を行ったのち、1N塩酸を加えて反応
液をpH=6.0に調整した。これにグルコアミラーゼ
[東洋紡績(株)製]1500単位を加え、40℃で1
2時間かきまぜながら反応を行った。反応終了後、反応
液を90℃で15分間かきまぜながら加熱した。得られ
た反応液を室温まで冷却し、メンブランフィルター
(0.45μm)でろ過を行い、ろ液をODSカラムク
ロマトグラフィーに供して精製し、アセトニトリル‐水
混液(容量比0%→5%グラジェント)で溶出し、濃縮
乾固して非還元末端6s‐アジド化マルトオリゴ糖(s
=2〜8の整数)の混合物約3gを得た。
【0070】(2)65‐アジド‐65‐デオキシマルト
ペンタオースの製造 (1)で得た6s‐アジド化マルトオリゴ糖(s=2〜
8の整数)の混合物の1/5量(約600mg)を出発
原料に用いた以外は実施例1(4)と同様の操作を行
い、65‐アジド‐65‐デオキシマルトペンタオース1
84mg(0.216mmol、2工程通算収率25.
1%)を得た。このものの理化学的性質は実施例1の
(4)で得たものと完全に一致した。
【0071】実施例3 65‐アジド‐65‐デオキシマルトペンタオースの製造 (1)6‐アジド‐6‐デオキシ‐α‐シクロデキスト
リンの製造 (a)6‐O‐トシル‐α‐シクロデキストリンの製造 市販のα‐シクロデキストリン[塩水港精糖(株)製]
100g(103mmol)を出発原料に用いた以外は
実施例1(1)(a)と同様の操作を行い、6‐O‐ト
シル‐α‐シクロデキストリンを34.2g(30.4
mmol、収率30%)を得た。
【0072】 融点(℃):160.0〜162.0(分解) 赤外吸収スペクトル(cm-1):3450,2930,
1644,1632,1600,1422,1358,
1300,1176,1154,1078,1030
【0073】核磁気共鳴スペクトル(200MHz)p
pm:(DMSO‐d6 )2.43(3H,s),3.
20〜4.44(m),4.76(2H,br.s),
4.84(5H,br.s),7.44(1H,d,J
=8.8Hz),7.75(1H,d,J=8.8H
z)
【0074】高速液体クロマトグラフィー[東ソー
(株)製TSKgel Amide‐80カラム(4.
6mmID×250mm),RI検出,溶離液:アセト
ニトリル/水=3:2(v/v),流速:1.0ml/
min]:tR=4.8min
【0075】(b)6‐アジド‐6‐デオキシ‐α‐シ
クロデキストリンの製造 (a)で得られた6‐O‐トシル‐α‐シクロデキスト
リン34.2g(30.4mmol)を出発原料に用い
た以外は実施例1(1)(b)と同様の操作を行い、6
‐アジド‐6‐デオキシ‐α‐シクロデキストリン2
7.8g(27.8mmol、収率92%)を得た。
【0076】 融点(℃):216.0〜217.0(分解) 赤外吸収スペクトル(cm-1):3390,2930,
2120,1644,1416,1368,1342,
1304,1158,1082,1032 高速液体クロマトグラフィー[東ソー(株)製TSKg
el Amide‐80カラム(4.6mmID×25
0mm),RI検出,溶離液:アセトニトリル/水=
3:2(v/v),流速:1.0ml/min]:tR
=5.8min 比旋光度[α]:(c 0.400,H2O);+12
9° 元素分析値:C3665329として C H N 理論値(%) 43.33 5.96 4.21 実測値(%) 43.13 5.88 4.12
【0077】(2)65‐アジド‐65‐デオキシマルト
ペンタオースの製造 (1)で得た6‐アジド‐6‐デオキシ‐α‐シクロデ
キストリン5.0g(5.02mmol)を出発原料に
用いた以外は実施例1(3)及び(4)と同様の操作を
行い、65‐アジド‐65‐デオキシ‐マルトペンタオー
ス1.04g(1.22mmol、2工程通算収率24
%)を得た。このものの理化学的性質は、実施例1の
(4)で得たものと完全に一致した。
【0078】比較例 本発明方法と公知の方法との収率の比較を行った。その
結果を比較例として以下に示す。 (1)本発明方法 実施例(1)と同様にして得た6‐アジド‐6‐デオキ
シ‐β‐シクロデキストリン5.0g(4.31mmo
l)を出発物質とし、ODSカラムクロマトグラフィー
の代わりに活性炭処理(活性炭に吸着されない未反応の
グルコースの除去)を行った以外は実施例1(3)と同
様に操作し、次いで実施例1(4)と同様にして65
アジド‐65‐デオキシマルトペンタオース1.41g
(1.65mmol)を得た。このときの収率は38%
であった。
【0079】(2)公知の方法1[6‐アジド‐6‐デ
オキシ‐β‐シクロデキストリンにCDaseを作用さ
せたのち、エキソ型糖化酵素類を作用させる方法(特開
平5−262784号公報)] 実施例(1)と同様にして得た6‐アジド‐6‐デオキ
シ‐β‐シクロデキストリン5g(4.31mmol)
を10mMリン酸緩衝液(pH=7.8)1.0リット
ルに溶解し、実施例1(2)と同様にして得たCDas
e490単位を加え、40℃で2時間かきまぜながら反
応させた。次いでODSカラムクロマトグラフィーによ
る精製を行わなかった以外は実施例1(3)と同様の操
作を行って濃縮乾固物[6r‐アジド化マルトヘプタオ
ース(r=1〜7の整数)を含有]を得、続いてこれを
20mM酢酸緩衝液(pH4.5)250mlに溶解
し、グルコアミラーゼ[東洋紡績(株)製]2500単
位を加え、40℃で40時間かきまぜながら反応させ
た。反応終了後、反応液を90℃で15分間かきまぜな
がら加熱し、これを室温まで冷却後、メンブランフィル
ター(0.45μm)でろ過を行い、得られたろ液をO
DSカラムクロマトグラフィーに供して精製し、アセト
ニトリル‐水混液(容量比0%→5%グラジェント)で
溶出し、1.5%アセトニトリルの溶出画分を凍結乾燥
して65‐アジド‐65‐デオキシマルトペンタオース
0.48g(0.563mmol)を得た。このときの
2工程通算収率は13%であった。
【0080】(3)公知の方法2[6‐アジド‐6‐デ
オキシ‐β‐シクロデキストリンに、マルトースの存在
下でCGTaseを作用させたのち、エキソ型糖化酵素
類を作用させる方法(特開昭63−170393号公
報)] 実施例(1)と同様にして得た6‐アジド‐6‐デオキ
シ‐β‐シクロデキストリン519mg(0.448m
mol)を出発物質とした以外は実施例1(4)と同様
の操作を行い、65‐アジド‐65‐デオキシマルトペン
タオース107mg(0.125mmol)を得た。こ
のときの収率は28%であった。前記(1)〜(3)の
収率の比較から、本発明方法が顕著に優れていることが
分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 出発物質として6‐アジド‐6‐デオキシ‐
β‐シクロデキストリンを用いた本発明製造方法の説明
図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−262784(JP,A) 特開 昭63−170393(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 19/00 - 19/64

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 (式中のnは5又は6である)で表わされる6‐アジド
    化シクロデキストリンに、グルコースの存在下、(イ)
    シクロデキストリンを開裂し、シクロデキストリンのグ
    ルコース重合度に由来するマルトオリゴ糖を生成させる
    作用及び(ロ)シクロデキストリンに対する水解速度又
    は親和性が多糖類あるいはシクロデキストリンと同じ重
    合度の直鎖オリゴ糖よりも大きい基質特異性を有するシ
    クロデキストリナーゼを作用させて、一般式 【化2】 (式中のnは前記と同じ意味をもち、mはnが5のとき
    3〜6の整数、nが6のとき3〜7の整数である)で表
    わされる6‐アジド化マルトオリゴ糖を生成させ、次い
    で、マルトースの存在下でシクロデキストリングルカノ
    トランスフェラーゼ及びエキソ型糖化酵素類を任意の順
    序で作用させることを特徴とする、式 【化3】 で表わされる非還元末端6‐アジド化マルトペンタオー
    スの製造方法。
  2. 【請求項2】 6‐アジド化シクロデキストリンが、α
    ‐シクロデキストリン又はβ‐シクロデキストリンから
    得られたものである請求項1記載の製造方法。
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