JP2888506B2 - 非還元末端アジド化マルトオリゴ糖及びその製造方法 - Google Patents

非還元末端アジド化マルトオリゴ糖及びその製造方法

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JP2888506B2
JP2888506B2 JP9484392A JP9484392A JP2888506B2 JP 2888506 B2 JP2888506 B2 JP 2888506B2 JP 9484392 A JP9484392 A JP 9484392A JP 9484392 A JP9484392 A JP 9484392A JP 2888506 B2 JP2888506 B2 JP 2888506B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な非還元末端アジ
ド化マルトオリゴ糖及びその製造方法に関するものであ
る。さらに詳しくいえば、本発明は、それ自体α−アミ
ラーゼ活性測定用基質となるが、特に、α−アミラーゼ
活性測定用基質として極めて有用な還元末端グルコース
1位の水酸基のHを芳香族発色性基で置換して成る非還
元末端アジド化マルトオリゴシド誘導体の中間体として
用いられる新規な非還元末端アジド化マルトオリゴ糖、
及びこのものを効率よく製造する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】本発明者らは、先に、α−アミラーゼ活
性測定用基質として有効な還元末端グルコース1位の水
酸基のHを芳香族発色性基で置換した新規な非還元末端
アジド化マルトオリゴシド誘導体について、還元末端グ
ルコース1位の水酸基のHを芳香族発色性基で置換した
マルトオリゴシド誘導体を原料とし、これにテトラメト
キシメタンを作用させて非還元末端4,6−位OHをジ
メトキシメチリデン化したのち、アセチル化し、さらに
得られた生成物のジメトキシメチリデン基を酢酸−水を
作用させて除去して4,6−OH誘導体とし、次いでト
シルクロリドを作用させる選択的6−O−トシル化反
応、4−O−アセチル化反応、そしてヨウ化ナトリウム
を作用させるヨード化反応を行って非還元末端ヨード化
マルトオリゴ糖誘導体とし、続いてアジ化ナトリウムを
作用させるアジド化反応、最後に脱アセチル化反応を行
ってこれを製造する方法を見出した。
【0003】しかしながら、この方法は、反応工程が極
めて長く、かつ煩雑である上、出発原料のマルトオリゴ
シド誘導体が高価であることから、工業的に大量生産す
るには必ずしも満足しうる方法とはいえなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特に、α−
アミラーゼ活性測定用基質として極めて好適な還元末端
グルコース1位の水酸基のHを芳香族発色性基で置換し
た非還元末端アジド化マルトオリゴシド誘導体などの中
間体として有用な新規な化合物を提供するとともに、こ
の化合物を効率よく大量に製造する方法を提供すること
を目的としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記目的を
達成するために種々研究を重ねた結果、特定の新規マル
トオリゴ糖が非還元末端アジド化マルトオリゴシド誘導
体などの中間体として有用であり、そして該化合物は6
−アジド化シクロデキストリンに特定のシクロデキスト
リナーゼとエキソ型糖化酵素類を作用させることにより
容易に製造することができることを見出し、この知見に
基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、一般式
【化2】 (式中のnは1〜6の整数である)で表わされる非還元
末端アジド化マルトオリゴ糖を提供するものである。
【0007】本発明に従えば、前記非還元末端アジド化
マルトオリゴ糖は、6−アジド−6−デオキシシクロデ
キストリンに、(イ)シクロデキストリンを開裂し、シ
クロデキストリンのグルコース重合度に由来するマルト
オリゴ糖を生成させる作用及び(ロ)シクロデキストリ
ンに対する水解速度又は親和性が多糖類あるいはシクロ
デキストリンと同じ重合度の直鎖オリゴ糖よりも大きい
基質特異性を有するシクロデキストリナーゼを作用させ
ると同時に、又は作用させたのちに、エキソ型糖化酵素
類を作用させることにより製造することができる。
【0008】本発明の前記一般式(I)で表わされる非
還元末端アジド化マルトオリゴ糖は、新規な化合物であ
って、具体例としては、α又はβの63−アジド−63
デオキシマルトトリオース、6−アジド−6−デオ
キシマルトテトラオース、6−アジド−6−デオキ
シマルトペンタオース、6−アジド−6−デオキシ
マルトヘキサオース、6−アジド−6−デオキシマ
ルトヘプタオース、6−アジド−6−デオキシマル
トオクタオースなどを挙げることができる。なお、6
−、6−、6−などは、マルトオリゴ糖を構成する
グルコース単位の還元末端側から、3番目、4番目、5
番目のグルコース残基の6位の水酸基が置換されている
ことを示す。
【0009】これまで、マルトトリオースの非還元末端
の化学的修飾に関する研究において、その中間体として
1,6−アンヒドロ−6″−アジド−6″−デオキシ−
β−マルトースオクタアセテートが知られているが
[「カルボハイドレート・リサーチ(Carbohyd
rate Research)」第51巻、第73〜8
4ページ(1976年)]、この化合物は、OH基がア
セチル基で保護されていること、分子内エーテル構造を
有していることなどから、本発明の前記一般式(I)の
n=1に相当する化合物とは異なっている。
【0010】本発明の前記一般式(I)で表わされる非
還元末端アジド化マルトオリゴ糖は文献未載の新規な化
合物であって、次に示す本発明方法に従い効率よく製造
することができる。
【0011】本発明方法においては、該非還元末端アジ
ド化マルトオリゴ糖を製造するのにシクロデキストリナ
ーゼが用いられるが、この酵素については、(イ)シク
ロデキストリンを開裂し、シクロデキストリンのグルコ
ース重合度に由来するマルトオリゴ糖を生成させる作用
を有し、かつ(ロ)シクロデキストリンに対する水解速
度又は親和性が、多糖類あるいはシクロデキストリンと
同じ重合度の直鎖オリゴ糖よりも大きい基質特異性を有
するものであればどのようなものでもよく、特に制限さ
れず、またその起源についても特に制限はない。
【0012】このような酵素の中で好適なものとして
は、例えば次の理化学的性質を有する公知のシクロデキ
ストリナーゼを挙げることができる。
【0013】理化学的性質 (イ)作用:シクロデキストリンを開裂し、シクロデキ
ストリンのグルコース重合度に由来するマルトオリゴ糖
を生成させる作用を有する。 (ロ)基質特異性:シクロデキストリンに対する水解速
度又は親和性が、多糖類あるいはシクロデキストリンと
同じ重合度の直鎖オリゴ糖よりも大きい基質特異性を有
する。 (ハ)至適pH及び安定pH範囲:β−シクロデキスト
リンを基質とした場合、pH8.0近傍に至適pHを有
し、かつ安定pH範囲が5.5〜9.5である。 (ニ)作用適温:40℃近傍に作用適温を有する。 (ホ)失活性:50℃以上の温度で15分間の処理によ
り、ほぼ失活する性質を有する。 (ヘ)阻害及び活性化性:Hg2+、Cu2+、Zn
2+、Ni2+及びFe2+により90%以上阻害され、
Ca2+及びMg2+により10〜30%活性化される
性質を有する。 (ト)分子量:ゲルろ過法による分子量が144,00
0で、SDS PAGE法による分子量が72,000
である。すなわち、該酵素は分子量72,000のサブ
ユニットから成る二量体である。
【0014】なお、該酵素の力価は、2%(W/V)濃
度のβ−シクロデキストリン溶液500μl及び適当量
の該酵素を含有する100mM濃度のリン酸緩衝液(p
H7.5)500μlを混和し、温度40℃で適当時間
反応させたのち、10分間煮沸することにより反応を停
止し、高速液体クロマトグラフィーによって、生成した
マルトヘプタオースを定量することにより求めた。ま
た、酵素量が少量の場合には、グルコースを標準とした
ソモギーネルソン法により還元力を測定することにより
求めた。
【0015】該酵素の酵素単位については、1分間に1
マイクロモルのマルトヘプタオースを生成する酵素量を
1単位とした。
【0016】このような諸性質を有する酵素は、例えば
バチルス属に属し、該酵素を産生する微生物、例えばバ
チルス・スフェリカス(Bacillus sphae
ricus)E−244菌株[工業技術院微生物工業技
術研究所に微工研条寄第2458(FERM BP−2
458)として寄託されている]などを培地に培養し、
得た培養物より該酵素を採取することにより得られる。
【0017】なお、前記酵素の理化学的性質、その産生
菌バチルス・スフェリカスE−244菌株(FERM
BP−2458)の菌学的性質及び該酵素の製造法の詳
細については、特開平3−15384号公報及び特開平
3−86701号公報に記載されている。
【0018】前記一般式(I)で表わされる6−アジド
化マルトオリゴ糖は、次のようにして製造することがで
きる。
【0019】先ず、一般式
【化3】 (式中のmは4〜6である)で表わされる6−アジド−
6−デオキシシクロデキストリンに、前記した特定のシ
クロデキストリナーゼを作用させることにより、一般式
【化4】 (式中のXは1個がNで、残りのm+1個が水酸基で
あり、mは4〜6である)で表わされる、種々の位置に
6−アジド−6−デオキシグルコース残基を有する6−
アジド−6−デオキシマルトオリゴ糖の混合物を主成分
とする反応液を得る。
【0020】出発物質として、好適な前記一般式(I
I)で表わされる6−アジド−6−デオキシシクロデキ
ストリンは、例えば市販のα−、β−、γ−シクロデキ
ストリン(それぞれグルコース重合度は、6、7、8で
ある)などから、公知の方法により製造することができ
る。この製造法の好適な1例について説明すると、まず
シクロデキストリンをピリジンなどの溶媒に溶解し、こ
れに該シクロデキストリンに対し、2〜7モル倍量のト
シルクロリドを添加し、通常15〜30℃の範囲の温度
で4〜6時間程度反応させて6位OHのうちの1個のみ
をトシル化し、必要に応じ常法に従い精製して、6−O
−トシルシクロデキストリンを得る。次いで、これを水
性媒体中で6−O−トシルシクロデキストリンに対し、
10〜50モル倍量のアジ化ナトリウムを添加し、通常
70〜90℃の範囲の温度で3〜10時間程度反応させ
てトシルオキシ基をアジド基に置換する。該水性媒体と
しては、水や、水とアセトン、1,4−ジオキサン、ア
セトニトリル、DMFなどとの混合物が用いられる。そ
して必要に応じ、常法に従い精製して6−アジド−6−
デオキシシクロデキストリンを得ることができる[「カ
ルボハイドレート・リサーチ(Carbohydr.R
es.)」第18巻、第29〜37ページ(1971
年)参照]。
【0021】このようにして、出発物質として好適な、
例えば6−アジド−6−デオキシ−α−シクロデキスト
リン、6−アジド−6−デオキシ−β−シクロデキスト
リン、6−アジド−6−デオキシ−γ−シクロデキスト
リンを容易に製造することができるが、これらの中でも
酵素反応速度の点から6−アジド−6−デオキシ−β−
シクロデキストリンが特に好適である。
【0022】この酵素反応における6−アジド−6−デ
オキシシクロデキストリンの基質濃度は、該シクロデキ
ストリナーゼの基質に対するKm値以上の濃度になるよ
うに調整することが好ましい。また、酵素反応条件につ
いては、該シクロデキストリナーゼの作用pH及び作用
温度の範囲であればよく、特に制限はないが、通常pH
7.5〜9.0、温度35〜45℃の条件で反応が行わ
れる。
【0023】さらに、この反応において、必要に応じ、
エタノール、アセトン、DMSOなどの有機溶媒を添加
してもよい。反応時間は通常30分ないし48時間であ
る。また、酵素量については特に制限はないが、反応時
間内に生成物量が最大となるように、適宜必要量を添加
すればよく、通常0.5〜50単位/gの範囲で選ばれ
る。
【0024】このようにして、前記一般式(III)で
表わされる各種6−アジド−6−デオキシマルトオリゴ
糖の混合物を主成分とする反応液が得られる。この反応
液としては、例えば出発物質が6−アジド−6−デオキ
シ−β−シクロデキストリンの場合には、6−アジド
−6−デオキシマルトヘプタオース、6−アジド−
−デオキシマルトヘプタオース、6−アジド−6
−デオキシマルトヘプタオ−ス、6−アジド−6
−デオキシマルトヘプタオース、6−アジド−6
デオキシマルトヘプタオース、6−アジド−6−デ
オキシマルトヘプタオース、6−アジド−6−デオ
キシマルトヘプタオースの混合物を主成分とするものが
得られ、6−アジド−6−デオキシ−α−シクロデキス
トリンの場合には、同様に6、6、6、6、6
、6−アジド−6、6、6、6、6、6
−デオキシマルトヘキサオースの混合物を主成分とす
るものが得られる。
【0025】次に、このようにして得られた反応液に、
エキソ型糖化酵素類を作用させて、6−アジド−6−デ
オキシグルコースの残基が非還元末端となるように、非
還元末端側のグルコース残基を加水分解させる。この際
に用いられるエキソ型糖化酵素類としては、例えば公知
のα−グルコシダーゼやグルコアミラーゼなどが挙げら
れるが、これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、組み
合わせて用いてもよく、また所望に応じβ−アミラーゼ
を併用してもよい。
【0026】この酵素反応によって、6−アジド−6
−デオキシマルトオクタオース、6−アジド−6
−デオキシマルトヘプタオース、6−アジド−6
デオキシマルトヘキサオース、6−アジド−6−デ
オキシマルトペンタオース、6−アジド−6−デオ
キシマルトテトラオース、6−アジド−6−デオキ
シマルトトリオースなどの前記一般式(I)で表わされ
る各種非還元末端アジド化マルトオリゴ糖、6−アジ
ド−6−デオキシマルトース、6−アジド−6
デオキシグルコースなどとの混合物として得られる。な
お、β−アミラーゼを併用した場合は、前記化合物の他
に6−アジド−6−デオキシマルトースも混在す
る。
【0027】該エキソ型糖化酵素類は、前記のシクロデ
キストリナーゼと共存させて、酵素反応を同時的に行わ
せてもよいし、6−アジド−6−デオキシシクロデキス
トリンにシクロデキストリナーゼを作用させたのち、さ
らに該エキソ型糖化酵素類を作用させて酵素反応を行わ
せてもよいが、後者の方が好ましい。特に好適な態様に
おいては、例えば6−アジド−6−デオキシシクロデキ
ストリンに該シクロデキストリナーゼを作用させて、生
成物が最大になった時点で、酸処理や熱処理などによ
り、いったん反応を停止させたのち、例えば反応液をオ
クタデシル化シリカゲル(ODS)カラムクロマトグラ
フィーなどに付し、未反応の6−アジド−6−デオキシ
シクロデキストリンを吸着除去するなどの精製処理を施
し、次いでこれにエキソ型糖化酵素類を作用させる。
【0028】該シクロデキストリナーゼとエキソ型糖化
酵素類とを共存作用させる場合の反応条件としては、も
ちろん両酵素の共通の作用pH及び作用温度範囲で適宜
選択すればよいが、通常pH7.0〜9.0、温度35
〜45℃において、0.5〜48時間程度反応が行われ
る。
【0029】また、シクロデキストリナーゼを作用させ
たのち、エキソ型糖化酵素類を作用させる場合の反応条
件としては、用いる酵素の作用pH及び作用温度範囲で
適宜選べばよいが、通常pH4.0〜7.5、温度35
〜45℃において、0.5〜48時間程度反応が行われ
る。
【0030】さらに、エキソ型糖化酵素類の使用量につ
いては特に制限はないが、通常6−アジド−6−デオキ
シシクロデキストリンに対し、10〜100単位/gの
範囲で選ばれる。また、この酵素反応は酸処理や熱処理
などにより反応を停止させることができる。
【0031】次に、このようにして得られた非還元末端
アジド化マルトオリゴ糖含有反応液から、所望の前記一
般式(I)で表わされる非還元末端アジド化マルトオリ
ゴ糖を分離精製するが、この分離精製方法については特
に制限はなく、従来オリゴ糖の分離精製に慣用されてい
る方法を用いることができる。例えば反応液から未反応
の6−アジド−6−デオキシシクロデキストリンを除去
したのち、活性炭カラムクロマトグラフィー、ODSカ
ラムクロマトグラフィー、シリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー、薄層クロマトグラフィーなどを用いて分画採
取する方法などを採用することができる。また、未反応
の6−アジド−6−デオキシシクロデキストリンの除去
法としては、例えば冷却処理、有機溶媒添加処理などに
よる析出−ろ別法、カラム吸着法などの公知の方法が挙
げられる。
【0032】このようにして得られた前記一般式(I)
で表わされる非還元末端アジド化マルトオリゴ糖は、こ
れ自体α−アミラーゼ活性測定用基質としても使用でき
るが、特に、α−アミラーゼ活性測定用基質として極め
て好適に用いることのできる、例えば該化合物の還元末
端グルコース1位の水酸基のHを芳香族発色性基で置換
した非還元末端アジド化マルトオリゴシド誘導体などの
中間体として有用である。
【0033】前記一般式(I)で表わされる非還元末端
アジド化マルトオリゴ糖自体をα−アミラーゼ活性測定
用基質としても使用する場合には、次のようなα−アミ
ラーゼ活性測定用試薬、α−アミラーゼ活性の測定方法
が挙げられる。
【0034】α−アミラーゼ活性を測定するための有利
な系としては、例えば前記一般式(I)で表わされる非
還元末端アジド化マルトオリゴ糖1〜20mM及び緩衝
剤2〜100mMを含有し、かつ共役酵素として、α−
グルコシダーゼ又はグルコアミラーゼ若しくはその両方
を、それぞれ15〜150単位/ml含有するpH4〜
10の系が挙げられる。該測定系には、必要に応じ溶解
補助剤、安定化剤、α−アミラーゼ活性剤などを添加す
ることもできる。さらに、酵素反応によって生成するグ
ルコースやマルトースを吸光度測定法によって定量する
場合には、通常用いられるグルコース−6−リン酸デヒ
ドロゲナーゼ、マルトースホスホリラーゼ、へキソキナ
ーゼ、β−ホスホグルコムターゼ、NADPとATPな
どを加えればよい。
【0035】また、α−アミラーゼ活性の測定方法の好
適な1例について説明すると、まず、α−アミラーゼ活
性を含む試料に、共役酵素としてのα−グルコシダーゼ
又はグルコアミラーゼ若しくはその両方を、それぞれ1
5〜150単位/ml、好ましくは30〜70単位/m
lになるように加え、同時に、又は順次に前記一般式
(I)で表わされる非還元末端アジド化マルトオリゴ糖
1〜20mM及び緩衝剤を添加したのち、温度25〜5
0℃、pH4〜10の条件にて1分間以上酵素反応させ
る。次いで生成するグルコースやマルトースを、常法に
よりそのまま、例えばソモジ・ネルソン法、グルコスタ
ット法などを用いて定量するか、又は前記したような吸
光度測定法によって定量し、あらかじめ同方法で定量し
て作成したα−アミラーゼ標品の検量線を用いて、試料
中のα−アミラーゼ活性を算出する。
【0036】なお、α−アミラーゼ含有試料について
は、α−アミラーゼ活性を含有するものであればよく、
特に制限はないが、具体的には微生物の培養液、植物の
抽出液、あるいは動物の体液や組織及びそれらの抽出液
などを用いることができる。α−アミアラーゼ含有試料
が固体の場合には、いったん精製水又は緩衝液に溶解又
は懸濁させるのがよい。また、必要により、不溶物をろ
過などの操作で除去してもよい。
【0037】次に、前記一般式(I)で表わされる非還
元末端アジド化マルトオリゴ糖を中間体として得られ
る、一般式
【化5】 (式中のnは1〜6の整数であり、Rは芳香族発色性基
である)で表わされる非還元末端アジド化マルトオリゴ
シド誘導体について説明する。
【0038】先ず、前記一般式(IV)で表わされる非
還元末端アジド化マルトオリゴシド誘導体において、還
元末端グルコース1位の水酸基のHに置換される芳香族
発色性基としては、分光学的に検出できればどのような
ものを用いてもよいが、例えば一般式
【化6】 (式中のR〜Rは水素原子、ハロゲン原子、ニトロ
基、アルキル基、アリール基、アリル基、アミノ基、ス
ルホン酸基、又はカルボキシル基であり、それぞれ同一
であってもよいし、また異なっていてもよく、またR
とR、RとRとがそれぞれたがいに結合して、縮
合芳香環を形成してもよい)
【化7】 (式中のRは水素原子又はアルキル基である)
【化8】 (式中のRは水素原子又はハロゲン原子である)
【化9】 (式中のR〜R15は水素原子、ハロゲン原子、ニト
ロ基、アルキル基、アリール基、アリル基、アミノ基、
スルホン酸基、又はカルボキシル基であり、それぞれ同
一であってもよいし、異なっていてもよく、またR
、R10とR11とがそれぞれたがいに結合して、
縮合芳香環を形成してもよく、さらにRとR10及び
/又はR13とR14が共通の酸素原子となって縮合エ
ーテル環を形成してもよく、Zは窒素原子又はN→Oで
ある)で表わされる基などである。
【0039】そして、前記一般式(IV)で表わされる
非還元末端アジド化マルトオリゴシド誘導体はα−アノ
マー(α−配糖体)又はβ−アノマー(配糖体)のいず
れであってもよい。
【0040】このような前記一般式(IV)で表わされ
る化合物としては2−クロロ−4−ニトロフェニル=6
−アジド−6−デオキシ−β−D−マルトペンタオ
シド、4−ニトロフェニル=6−アジド−6−デオ
キシ−β−D−マルトペンタオシド、2−クロロ−4−
ニトロフェニル=6−アジド−6−デオキシ−β−
D−マルトヘプタオシド、2−クロロ−4−ニトロフェ
ニル=6−アジド−6−デオキシ−α−D−マルト
ペンタオシド、4−ニトロフェニル=6−アジド−6
−デオキシ−α−D−マルトペンタオシド、2,4−
ジクロロフェニル=6−アジド−6−デオキシ−α
−D−マルトヘプタオシド、フェノールインド−3′−
クロロフェニル=6−アジド−6−デオキシ−β−
D−マルトペンタオシド、4−メチルウンベリフェロニ
ル=6−アジド−6−デオキシ−α−D−マルトヘ
キサオシド、レザズリニル=6−アジド−6−デオ
キシ−α−D−マルトテトラオシド、ルシフェリニル=
−アジド−6−デオキシ−β−D−マルトトリオ
シドなどが挙げられる。
【0041】なお、前記一般式(IV)で表わされる非
還元末端アジド化マルトオリゴシド誘導体において、α
−アミラーゼ活性測定用基質として用いる場合の酵素反
応速度の観点からは、n=3〜5の化合物が特に好適で
ある。
【0042】前記一般式(I)で表わされる非還元末端
アジド化マルトオリゴ糖を中間体とし、該化合物より前
記一般式(IV)で表わされる非還元末端アジド化マル
トオリゴシド誘導体を製造するためには、有機合成法、
酵素反応法など、どのような方法を用いてもよいが、例
えば次のような製法が挙げられる。
【0043】前記一般式(I)で表わされる非還元末端
アジド化マルトオリゴ糖に無水酢酸及び過塩素酸を酢酸
エチルの存在下で作用させてアセチル化反応を行い、こ
の反応と同時に又は反応後に、水及び三臭化リンをジク
ロルメタンの存在下で作用させて還元末端グルコース1
位のブロム化反応を行い、得られる非還元末端アジド化
アセチルマルトオリゴシルブロミドに前記芳香族発色性
化合物を酸化銀及びアセトニトリルの存在下で作用させ
て非還元末端アジド化アセチルマルトオリゴシド誘導体
とし、さらにこれにアミンを水及びメタノールの存在下
で作用させて脱アセチル化反応を行うことにより、目的
化合物を製造することができる(特開昭62−2839
89号公報参照)。
【0044】前記したように、一般式(IV)で表わさ
れる非還元末端アジド化マルトオリゴシド誘導体にはα
−アノマーとβ−アノマーが存在するが、α−アミラー
ゼ活性の測定に際して、α−アノマーのみを用いる場合
には共役酵素として、α−グルコシダーゼ又はグルコア
ミラーゼあるいはその両方を用いることが必要であり、
β−アノマーのみあるいはα−アノマーとβ−アノマー
の混合物を用いる場合にはα−グルコシダーゼ又はグル
コアミラーゼあるいはその両方に加えてさらにβ−グル
コシダーゼを併用することが必要である。なお、必要に
応じてβ−アミラーゼを用いることもできる。
【0045】また、このときのα−アミラーゼ活性を測
定するための有利な系としては、例えば一般式(IV)
で表わされる非還元末端アジド化マルトオリゴシド誘導
体0.1〜10mM及び緩衝液2〜300mMを含有
し、かつ共役酵素としてα−グルコシダーゼ及び/又は
グルコアミラーゼをそれぞれ5〜1000単位/ml、
さらに、β−グルコシダーゼを用いるときには0.5〜
30単位/mlを含有するpH4〜10の系が挙げられ
る。
【0046】さらにまた、一般式(IV)で表わされる
非還元末端アジド化マルトオリゴシド誘導体を有効成分
とする試薬の場合には、乾燥物あるいは溶解した形で用
いてもよいし、薄膜状の担体、例えばシート、含浸性の
紙などに含浸させて用いてもよい。
【0047】次に一般式(IV)で表わされる非還元末
端アジド化マルトオリゴシド誘導体を用いた場合の好適
な実施態様を説明すると、まず、α−アミラーゼを含む
試料に、共役酵素としてのα−グルコシダーゼ又はグル
コアミラーゼあるいはその両方をそれぞれ5〜1000
単位/ml、好ましくは10〜500単位/ml加え、
一般式(IV)で表わされる非還元末端アジド化マルト
オリゴシド誘導体がβ−アノマーを含むときは、さらに
β−グルコシダーゼを0.5〜30単位/ml、好まし
くは1〜15単位/ml加え、これと同時又はこれらの
後に、該マルトオリゴシド誘導体0.1〜10mM、好
ましくは0.3〜5mMを緩衝剤とともに添加したの
ち、温度25〜45℃、好ましくは35〜40℃、pH
4〜10、好ましくは6〜8の条件下で少なくとも1分
間、好ましくは2〜10分間酵素反応させ、生成した芳
香族発色性化合物を、常法に従いそのままであるいは必
要に応じpHを調整したのち、又は縮合反応を行ったの
ちに、適当な吸光波長で連続的に又は断続的に吸光度変
化量を測定し、あらかじめ測定したα−アミラーゼ標品
の吸光度変化量と対比させて試料中のα−アミラーゼ活
性を算出する。また、芳香族発色性化合物の分子吸光係
数から算出することもできる。
【0048】
【発明の効果】本発明の前記一般式(I)で表わされる
非還元末端アジド化マルトオリゴ糖は、これ自体α−ア
ミラーゼ活性測定用基質としても使用できるが、特に、
α−アミラーゼ活性測定用基質として極めて好適に用い
ることのできる例えば該化合物の還元末端グルコーズ1
位の水酸基のHを芳香族発色性基で置換した非還元末端
アジド化マルトオリゴシド誘導体などの中間体として有
用である。そして、本発明の製法によれば、前記一般式
(I)で表わされる非還元末端アジド化マルトオリゴ糖
を、安価なシクロデキストリンを原料として用い、短い
反応工程でかつ簡便な操作により効率よく大量に製造す
ることができる。
【0049】
【実施例】以下に実施例を示す。なお、各例中の比旋光
度は25℃においてナトリウムのD線で測定した値であ
る。
【0050】実施例1 6−アジド−6−デオキシ−D−マルトペンタオー
スの製造 (1)6−アジド−6−デオキシ−β−シクロデキスト
リンの製造 (a) 市販のβ−シクロデキストリン[和光純薬工業
(株)製]50.0g(44.1mmol)をピリジン
500mlに溶解し、トシルクロリド33.3g(17
5mmol)を加え、室温下で4時間、かきまぜながら
反応させた。次いでこの反応液に水250ml及びn−
ブタノール1000mlを加え、混合液を減圧下1/2
量まで留去し、濃縮液をアセトン500ml中へかきま
ぜながら投入すると析出物が出現した。この析出物をグ
ラスフィルターでろ別し、アセトン200mlで2回洗
浄したのち、ろ取物をODSカラムクロマトグラフィー
により精製し、エタノール−水混液(容量比1:9)で
溶出した目的区分を濃縮し、水から再結晶すると、6−
O−トシル−β−シクロデキストリンが25.3g(1
9.6mmol,収率44.4%)得られた。
【0051】融点(℃):172.0〜174.0(分
解) 赤外吸収スペクトル(cm−1):3400,293
0,1642,1632,1600,1424,136
0,1300,1178,1156,1078,102
【0052】核磁気共鳴スペクトル(200MHz)p
pm:(DMSO−d)2.44(3H,s),3.
15〜4.45(m),4.76(2H,br.s),
4.85(5H,br.s),7.44(1H,d,J
=8.8Hz),7.75(1H,d,J=8.8H
z)
【0053】高速液体クロマトグラフィ[東ソー(株)
製TSKgel Amide−80カラム(4.6mm
ID×250mm),RI検出,溶離液:アセトニトリ
ル/水=3:2(v/v),流速:1.0ml/mi
n]:R=5.5min
【0054】(b) (a)で得られた6−O−トシル
−β−シクロデキストリン16.9g(13.1mmo
l)を水500ml及び1,4−ジオキサン250ml
の混液に溶解し、アジ化ナトリウム34.1g(525
mmol)を加え、85℃で4時間反応させた。次いで
反応液を減圧下1/2量まで留去し、得られた濃縮液を
ODSカラムクロマトグラフィーに供して精製し、エタ
ノール−水混液(容量比1:9)で溶出した目的区分を
濃縮し水から再結晶すると、6−アジド−6−デオキシ
−β−シクロデキストリンが14.3g(12.3mm
ol,収率93.9%)得られた。
【0055】融点(℃):215.0〜218.0(分
解) 赤外吸収スペクトル(cm−1):3390,292
0,2120,1642,1414,1370,134
0,1304,1156,1080,1030
【0056】高速液体クロマトグラフィ[東ソー(株)
製TSKgel Amide−80カラム(4.6mm
ID×250mm),RI検出,溶離液:アセトニトリ
ル/水=3:2(v/v),流速:1.0ml/mi
n]:R=6.6min
【0057】比旋光度[α]:(c 0.510,1,
4−ジオキサン/HO=1:1(v/v);+145
° 元素分析値:C426934として C H N 理論値(%) 43.49 6.00 3.62 実測値(%) 43.28 6.11 3.53
【0058】(2)シクロデキストリナーゼの調製 1%(w/v)β−シクロデキストリン、1%(w/
v)ペプトン、0.5%(w/v)NaCl及び0.1
%(w/v)イーストエキスから成る液体培地(水道水
使用、pH7.0)100mlを500ml容坂口フラ
スコに入れ、120℃で20分間、殺菌処理を行った。
これに、バチルス・スフェリカスE−244(FERM
BP−2458)の保存スラントより1白金耳接種
し、30℃で1日間振とう培養した。この培養液50m
lを、前記と同様の培地組成と殺菌条件により調製した
2000mlの培地を含有する3000ml容ミニジャ
ーに接種して30℃、1vvm、350rpmの条件で
2日間通気かくはん培養を行い、培養終了後、この培養
液から8000rpm、20分間の遠心分離処理により
菌体を分離し、2%(w/v)トリトンX−100を含
有する10mMリン酸緩衝液(pH7.0)500ml
に菌体を懸濁して25℃で1日間かきまぜた。該懸濁液
から12000rpmで20分間の遠心分離処理により
菌体残渣を除去したのち、上清液を10mMリン酸緩衝
液(pH7.0)に対して16時間透析した。得られた
透析物を12000rpmで20分間遠心分離処理して
不溶物を除去し、上清を粗酵素液(1)とした。
【0059】次いで、この粗酵素液(1)約500ml
(総活性200単位、タンパク量2083mg、比活性
0.1、pH7.0)を10mMリン酸緩衝液(pH
7.0)で平衡化したDEAEセファロース充填カラム
(φ34×170mm)に供し、酵素を吸着させたの
ち、0〜1.5MNaClのグラジェント勾配により溶
出を行った。このようにして得られた活性フラクション
を集めて粗酵素液(2)105ml(総活性145単
位、比活性0.58、収率72.5%)を得た。
【0060】続いて、この粗酵素液(2)20ml(総
活性31単位、タンパク量29mg)を1M硫酸ナトリ
ウム含有100mMリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡
化したエーテル5PW充填カラム(φ21.5×150
mm)に供し、酵素を吸着させたのち、1M〜0硫酸ナ
トリウムのグラジェント勾配により溶出を行った。この
ようにして得られた活性フラクションを集めて粗酵素液
(3)50ml(総活性72単位、比活性2.93、収
率36%)を得た。
【0061】(3)6−アジド化マルトヘプタオース
(p=1〜7)の製造 (1)で得た6−アジド−6−デオキシ−β−シクロデ
キストリン25g(21.6mmol)を、あらかじめ
40℃に加温しておいた10mMリン酸緩衝液(pH=
7.8)1.0l中にかきまぜながら投入し、完全に溶
解した。そこへ前記(2)と同様にして得たシクロデキ
ストリナーゼの粗酵素液(3)(490単位)を加え、
40℃で2時間かきまぜながら反応を行った。反応終了
後、反応液を80℃で10分間かきまぜながら加熱し
た。続いて反応液を室温まで冷却し、ラジオライト(#
100)、さらにメンブランフィルター(0.45μ
m)でろ過を行ったのち、115mlまで減圧下濃縮し
た。得られた濃縮液をODSカラムクロマトグラフィー
に供して精製し、エタノール−水混液(容量比0%→3
5%グラジェント)で溶出し、濃縮乾固して6−アジ
ド−6−デオキシマルトヘプタオース(p=1〜7)
を11.6g(9.86mmol,収率45.6%)得
た。
【0062】高速液体クロマトグラフィ[東ソー(株)
製TSKgel Amide−80カラム(4.6mm
ID×250mm),RI検出,溶離液:アセトニトリ
ル/水=3:2(v/v),流速:1.0ml/mi
n]:R=9.4及び10.3min
【0063】(4)6−アジド−6−デオキシ−D
−マルトペンタオースの製造 (3)で得た6−アジド化マルトヘプタオース(p=
1〜7)11.6g(9.86mmol)を、20mM
酢酸緩衝液(pH=4.5)250ml中にかきまぜな
がら溶解し、そこへグルコアミラーゼ8mg(250
u、生化学工業(株)製)を加え、40℃で4時間かき
まぜながら反応を行った。反応終了後、反応液を90℃
で20分間かきまぜながら加熱した。続いて反応液を室
温まで冷却し、メンブランフィルター(0.45μm)
でろ過を行ったのち、55mlまで減圧下濃縮した。得
られた濃縮液を活性炭カラムクロマトグラフィーに供し
て精製し、エタノール−水混液(容量比5%→45%グ
ラジェント)で溶出し、約30%エタノールの溶出画分
を凍結乾燥して6−アジド−6−デオキシ−D−マ
ルトペンタオース1.79g(2.10mmol,収率
21.3%)を得た。
【0064】融点(℃):176.0〜179.0 赤外吸収スペクトル(cm−1):3400,292
0,2110,1628,1406,1360,127
8,1240,1144,1076,1022
【0065】核磁気共鳴スペクトル(200MHz)p
pm(DO):2.80〜4.00(m),4.64
(0.5H,d,J=8.0Hz),5.23(0.5
H,d,J=3.5Hz),5.35(4H,d,J=
3.5Hz)
【0066】高速液体クロマトグラフィ[東ソー(株)
製TSKgel Amide−80カラム(4.6mm
ID×250mm),RI検出,溶離液:アセトニトリ
ル/水=3:2(v/v),流速:1.0ml/mi
n]:R=6.9min 比旋光度[α]:(c 0.544,HO);+16
9° 元素分析値:C305125として C H N 理論値(%) 42.21 6.02 4.92 実測値(%) 42.03 6.13 4.69
【0067】実施例2 6−アジド−6−デオキシ−D−マルトトリオース
の製造 実施例1(4)においてエタノールグラジェントによる
約23%の溶出画分を採取した以外は実施例1と同様の
操作を行い、6−アジド−6−デオキシ−D−マル
トトリオース740mg(1.40mmol,収率1
4.2%)を得た
【0068】融点(℃):137.0〜140.0 赤外吸収スペクトル(cm−1):3400,291
0,2110,1628,1406,1358,128
4,1236,1144,1070,1030
【0069】核磁気共鳴スペクトル(200MHz)p
pm(DO):2.80〜4.00(m),4.65
(0.5H,d,J=7.8Hz),5.23(0.5
H,d,J=3.9Hz),5.36(2H,d,J=
3.9Hz)
【0070】高速液体クロマトグラフィ[東ソー(株)
製TSKgel Amide−80カラム(4.6mm
ID×250mm),RI検出,溶離液:アセトニトリ
ル/水=3:2(v/v),流速:1.0ml/mi
n]:R=4.8min 比旋光度[α]:(c 0.544,HO);+14
3° 元素分析値:C183115として C H N 理論値(%) 40.83 5.90 7.94 実測値(%) 40.64 6.07 7.73
【0071】実施例3 6−アジド−6−デオキシ−D−マルトテトラオー
スの製造 実施例1(4)においてエタノールグラジェントによる
約27%の溶出画分を採取した以外は実施例1と同様の
操作を行い、6−アジド−6−デオキシ−D−マル
トテトラオース1.22g(1.77mmol,収率1
8.0%)を得た。
【0072】融点(℃):163.0〜166.0 赤外吸収スペクトル(cm-1):3400,291
0,2120,1634,1400,1360,128
6,1146,1110,1072,1030
【0073】核磁気共鳴スペクトル(200MHz)p
pm(DO):2.82〜4.03(m),4.64
(0.5H,d,J=8.2Hz),5.28(0.5
H,d,J=3.7Hz),5.35(3H,d,J=
3.7Hz)
【0074】高速液体クロマトグラフィ[東ソー(株)
製TSKgel Amide−80カラム(4.6mm
ID×250mm),RI検出,溶離液:アセトニトリ
ル/水=3:2(v/v),流速:1.0ml/mi
n]:R=5.7min 比旋光度[α]:(c 0.532,HO);+16
1° 元素分析値:C244120として C H N 理論値(%) 41.68 5.98 6.08 実測値(%) 41.50 6.08 5.99
【0075】実施例4 6−アジド−6−デオキシ−D−マルトヘキサオー
スの製造 実施例1(4)においてエタノールグラジェントによる
約33%の溶出画分を採取した以外は実施例1と同様の
操作を行い、6−アジド−6−デオキシ−D−マル
トヘキサオース840mg(0.828mmol,収率
8.4%)を得た。
【0076】融点(℃):196.0〜199.0(分
解) 赤外吸収スペクトル(cm-1):3360,293
0,2120,1630,1410,1360,129
6,1236,1148,1080,1022
【0077】高速液体クロマトグラフィ[東ソー(株)
製TSKgel Amide−80カラム(4.6mm
ID×250mm),RI検出,溶離液:アセトニトリ
ル/水=3:2(v/v),流速:1.0ml/mi
n]:R=7.8min 比旋光度[α]:(c 0.522,HO);+17
0° 元素分析値:C366130として C H N 理論値(%) 42.56 6.05 4.14 実測値(%) 42.31 6.19 4.16
【0078】実施例5 6−アジド−6−デオキシ−D−マルトヘプタオー
スの製造 実施例1(4)においてエタノールグラジェントによる
約37%の溶出画分を採取した以外は実施例1と同様の
操作を行い、6−アジド−6−デオキシマルトヘプ
タオース2.42g(2.06mmol,収率20.9
%)を得た。
【0079】融点(℃):205.0〜208.0 赤外吸収スペクトル(cm-1):3390,292
0,2120,1634,1406,1360,130
0,1236,1146,1074,1020
【0080】高速液体クロマトグラフィ[東ソー(株)
製TSKgel Amide−80カラム(4.6mm
ID×250mm),RI検出,溶離液:アセトニトリ
ル/水=3:2(v/v),流速:1.0ml/mi
n]:R=9.4min 比旋光度[α]:(c 0.566,HO);+17
8° 元素分析値:C427135として C H N 理論値(%) 42.82 6.07 3.57 実測値(%) 42.72 6.11 3.48
【0081】参考例1 2−クロロ−4−ニトロフェニル=6−アジド−6
−デオキシ−β−D−マルトペンタオシドの製造 実施例1の(4)で得た6−アジド−6−デオキシ
マルトペンタオース5.0g(5.86mmol)をピ
リジン100mlに溶解し、無水酢酸50ml(529
mmol)を加え、室温で2日間反応させた。次いで反
応液のピリジン、無水酢酸、酢酸を留去したのち、精製
することなくこの残渣をジクロロメタン30mlに溶解
し、三臭化リン556μl(5.86mmol)、及び
水211μl(11.7mmol)を加え、室温で20
時間かきまぜながら反応させた。次いで反応液に無水炭
酸カリウム18.6g(135mmol)を加え、室温
で15分間かきまぜながら反応させた。不溶物をグラス
フィルターでろ別し、これをジクロロメタン200ml
で3回洗った。ろ液と洗液を合わせてここに含まれるジ
クロロメタンを留去した。精製することなくこの残渣を
アセトニトリル100mlに溶解し、2−クロロ−4−
ニトロフェノール5.09g(29.3mmol)を加
えたのち、さらに酸化銀(AgO)6.80g(2
9.3mmol)を加え、35℃で17時間かきまぜな
がら反応させた。次いで反応液をグラスフィルターでろ
別し、これをジクロロメタン50mlで3回洗った。ろ
液と洗液を合わせて減圧下濃縮し、このろ液に含まれる
アセトニトリルとジクロロメタンを留去した。その残渣
にジクロロメタン300mlを加え、綿栓ろ過したの
ち、0.5N水酸化ナトリウム水溶液200mlで1
回、飽和食塩水でそれぞれ200mlで3回洗浄し、次
いで無水硫酸ナトリウム10gを加えて乾燥し、綿栓ろ
過したのち減圧下濃縮し、ここに含まれるジクロロメタ
ンを留去した。精製することなくその残渣をメタノール
60ml、28%アンモニア水30ml、水15mlの
混液に懸濁し、35℃で20時間かきまぜながら反応さ
せた。次いで反応液を減圧下濃縮し、ここに含まれる
水、及びメタノールを留去した。得られた残渣をODS
ゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、エタノー
ル−水混液(容量比1:4)で溶出した目的区分を濃縮
し、水から再結晶して目的の2−クロロ−4−ニトロフ
ェニル=6−アジド−6−デオキシ−β−D−マル
トペンタオシドを2.47g(2.45mmol,収率
41.8%)得た。
【0082】融点(℃):130.0〜135.0
(分解) 紫外部・可視部吸収スペクトル:吸収極大波長[λma
x(MeOH中) ](nm)=290(logε=
3.98),227(logε=3.99),209
(logε=4.20)
【0083】赤外吸収スペクトル(cm-1):341
0,2930,2110,1584,1520,148
4,1274,1150,1078,1024
【0084】核磁気共鳴スペクトル(200MHz)p
pm(DMSO−d):3.05〜3.90(m),
4.20〜4.55(m),4.74(1H,br.
d,J=4.8Hz),4.96(1H,br.d,J
=5.4Hz),5.05(2H,d,J=3.7H
z),5.10(2H,d,J=3.7Hz),5.2
5(1H,d,J=7.6Hz),5.25〜5.60
(m),7.47(1H,d,J=9.3Hz),8.
19(1H,dd,J=9.3Hz,2.7Hz),
8.29(1H,d,J=2.7Hz)
【0085】高速液体クロマトグラフィ[東ソー(株)
製TSKgel Amide−80カラム(4.6mm
ID×250mm),RI検出,溶離液:アセトニトリ
ル/水=3:1(v/v),流速:1.0ml/mi
n]:R=6.7min 比旋光度[α]:(c 0.516,HO);+9
2.4° 元素分析:C3653ClN27として C H N 理論値(%) 42.84 5.29 5.55 実測値(%) 42.88 5.31 5.59
【0086】参考例2 2−クロロ−4−ニトロフェニル=6−アジド−6
−デオキシ−β−D−マルトペンタオシドを用いるα−
アミラーゼ活性の測定 (1) 基質液の調製 参考例1で得た2−クロロ−4−ニトロフェニル=6
−アジド−6−デオキシ−β−D−マルトペンタオシ
ド(Mw1009)を2.28mMの濃度になるよう
に、40mM−NaCl及び2mM−MgClを含有
する50mMリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解した。
【0087】(2) 共役酵素液の調製 酵母由来の市販α−グルコシダーゼ及びアーモンド由来
の市販β−グルコシダーゼをそれぞれ117u/ml、
13u/mlの濃度になるように40mM−NaCl及
び2mM−MgClを含有する50mMリン酸緩衝液
(pH7.0)に混合して溶解した。なお、これら市販
のα−及びβ−グルコシダーゼは東洋紡績(株)製を使
用した。
【0088】(3) 標品α−アミラーゼ液の調製 市販のヒトα−アミラーゼ(P:S=1:1)に精製水
を加え、0,148,284,401,525IU/l
の濃度に溶解して標品α−アミラーゼ液とした。なお、
この市販のヒトα−アミラーゼは国際試薬(株)製キャ
リブザイム・AMYを使用した。また、α−アミラーゼ
の活性は、37℃、1分間に1μmolの2−クロロ−
4−ニトロフェニル=β−D−マルトペンタオシド(市
販品)を分解する酵素量を1国際単位(IU)として定
義した。
【0089】(4) 試料液の調製 α−アミラーゼ活性測定用試料が液体の場合はそのまま
試料液とする。固体の場合は通常、試料500mgを正
確に秤量し、精製水を加えて全量を5mlとして試料液
とした。必要に応じて、不溶物をろ過などの操作で除去
してから用いた。
【0090】(5) 検量線の作成 標品α−アミラーゼ液250μlに共役酵素液1.0m
lを加えてかきまぜ、37℃で1分間加温したのち、基
質液2.0mlを加えてかきまぜ、37℃で2分間加温
したのち、2分間の400nmにおける吸光度の変化量
を測定した。各標品α−アミラーゼ液の活性と、吸光度
の変化量の関係より検量線を作成した。その結果検量線
の式は U=8.66・△A×10−6.7 [U;酵素活性(IU/l)、△A;吸光度の変化量] となった。そのグラフを図1に示す。
【0091】(6) 試料液中のα−アミラーゼ活性の
測定 試料液250μlに共役酵素液1.0mlを加えてかき
まぜ、37℃で1分間加温したのち、基質液2.0ml
を加えてかきまぜ、37℃で2分間加温したのち、2分
間の400nmにおける吸光度の変化量を測定した。こ
の測定値と(5)で作成した検量線から算出して試料中
のα−アミラーゼ活性の測定を行うことができる。な
お、試料液中の酵素活性の値が検量線の適用範囲(0〜
525IU/l)を越えた場合は精製水を用いて相当す
る倍数の希釈を行ったのち、再測定を行う。
【0092】なお、前記(1)の基質は、前記(2)の
共役酵素と反応することなく、測定系内で安定に存在す
ることが確認されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例2におけるα−アミラーゼ活性の測定
に用いる検量線のグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小谷 一夫 東京都墨田区業平5丁目5番12号 第一 化学薬品株式会社東京技術センター内 (72)発明者 戸辺 光一朗 千葉県野田市野田339番地 盛進製薬株 式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07H 5/04 C12P 19/26 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 (式中のnは1〜6の整数である)で表わされる非還元
    末端アジド化マルトオリゴ糖。
  2. 【請求項2】 6−アジド−6−デオキシシクロデキス
    トリンに、(イ)シクロデキストリンを開裂し、シクロ
    デキストリンのグルコース重合度に由来するマルトオリ
    ゴ糖を生成させる作用及び(ロ)シクロデキストリンに
    対する水解速度又は親和性が多糖類あるいはシクロデキ
    ストリンと同じ重合度の直鎖オリゴ糖よりも大きい基質
    特異性を有するシクロデキストリナーゼを作用させると
    同時に、又は作用させたのちに、エキソ型糖化酵素類を
    作用させることを特徴とする請求項1記載の非還元末端
    アジド化マルトオリゴ糖の製造方法。
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