JPH05262784A - 非還元末端アジド化マルトオリゴ糖及びその製造方法 - Google Patents
非還元末端アジド化マルトオリゴ糖及びその製造方法Info
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Abstract
マルトオリゴ糖、及び6−アジド−デオキシシクロデキ
ストリンに、特定の性質を有するシクロデキストリナー
ゼを作用させると同時に、又は作用させたのちに、エキ
ソ型糖化酵素類を作用させて、前記非還元末端アジド化
マルトオリゴ糖を製造する方法である。 【効果】 前記非還元末端アジド化マルトオリゴ糖はそ
れ自体α−アミラーゼ活性測定用基質として有用である
とともに、特に該基質として好適な芳香族発色性基を有
する非還元末端アジド化マルトオリゴ誘導体などの中間
体として有用である。該非還元末端アジド化マルトオリ
ゴ糖は安価なシクロデキストリンを原料として用い、簡
単な操作で効率よく大量に製造することができる。
Description
ド化マルトオリゴ糖及びその製造方法に関するものであ
る。さらに詳しくいえば、本発明は、それ自体α−アミ
ラーゼ活性測定用基質となるが、特に、α−アミラーゼ
活性測定用基質として極めて有用な還元末端グルコース
1位の水酸基のHを芳香族発色性基で置換して成る非還
元末端アジド化マルトオリゴシド誘導体の中間体として
用いられる新規な非還元末端アジド化マルトオリゴ糖、
及びこのものを効率よく製造する方法に関するものであ
る。
性測定用基質として有効な還元末端グルコース1位の水
酸基のHを芳香族発色性基で置換した新規な非還元末端
アジド化マルトオリゴシド誘導体について、還元末端グ
ルコース1位の水酸基のHを芳香族発色性基で置換した
マルトオリゴシド誘導体を原料とし、これにテトラメト
キシメタンを作用させて非還元末端4,6−位OHをジ
メトキシメチリデン化したのち、アセチル化し、さらに
得られた生成物のジメトキシメチリデン基を酢酸−水を
作用させて除去して4,6−OH誘導体とし、次いでト
シルクロリドを作用させる選択的6−O−トシル化反
応、4−O−アセチル化反応、そしてヨウ化ナトリウム
を作用させるヨード化反応を行って非還元末端ヨード化
マルトオリゴ糖誘導体とし、続いてアジ化ナトリウムを
作用させるアジド化反応、最後に脱アセチル化反応を行
ってこれを製造する方法を見出した。
めて長く、かつ煩雑である上、出発原料のマルトオリゴ
シド誘導体が高価であることから、工業的に大量生産す
るには必ずしも満足しうる方法とはいえなかった。
アミラーゼ活性測定用基質として極めて好適な還元末端
グルコース1位の水酸基のHを芳香族発色性基で置換し
た非還元末端アジド化マルトオリゴシド誘導体などの中
間体として有用な新規な化合物を提供するとともに、こ
の化合物を効率よく大量に製造する方法を提供すること
を目的としてなされたものである。
達成するために種々研究を重ねた結果、特定の新規マル
トオリゴ糖が非還元末端アジド化マルトオリゴシド誘導
体などの中間体として有用であり、そして該化合物は6
−アジド化シクロデキストリンに特定のシクロデキスト
リナーゼとエキソ型糖化酵素類を作用させることにより
容易に製造することができることを見出し、この知見に
基づいて本発明を完成するに至った。
末端アジド化マルトオリゴ糖を提供するものである。
マルトオリゴ糖は、6−アジド−6−デオキシシクロデ
キストリンに、(イ)シクロデキストリンを開裂し、シ
クロデキストリンのグルコース重合度に由来するマルト
オリゴ糖を生成させる作用及び(ロ)シクロデキストリ
ンに対する水解速度又は親和性が多糖類あるいはシクロ
デキストリンと同じ重合度の直鎖オリゴ糖よりも大きい
基質特異性を有するシクロデキストリナーゼを作用させ
ると同時に、又は作用させたのちに、エキソ型糖化酵素
類を作用させることにより製造することができる。
還元末端アジド化マルトオリゴ糖は、新規な化合物であ
って、具体例としては、α又はβの63−アジド−63−
デオキシマルトトリオース、64−アジド−64−デオ
キシマルトテトラオース、65−アジド−65−デオキ
シマルトペンタオース、66−アジド−66−デオキシ
マルトヘキサオース、67−アジド−67−デオキシマ
ルトヘプタオース、68−アジド−68−デオキシマル
トオクタオースなどを挙げることができる。なお、63
−、64−、65−などは、マルトオリゴ糖を構成する
グルコース単位の還元末端側から、3番目、4番目、5
番目のグルコース残基の6位の水酸基が置換されている
ことを示す。
の化学的修飾に関する研究において、その中間体として
1,6−アンヒドロ−6″−アジド−6″−デオキシ−
β−マルトースオクタアセテートが知られているが
[「カルボハイドレート・リサーチ(Carbohyd
rate Research)」第51巻、第73〜8
4ページ(1976年)]、この化合物は、OH基がア
セチル基で保護されていること、分子内エーテル構造を
有していることなどから、本発明の前記一般式(I)の
n=1に相当する化合物とは異なっている。
還元末端アジド化マルトオリゴ糖は文献未載の新規な化
合物であって、次に示す本発明方法に従い効率よく製造
することができる。
ド化マルトオリゴ糖を製造するのにシクロデキストリナ
ーゼが用いられるが、この酵素については、(イ)シク
ロデキストリンを開裂し、シクロデキストリンのグルコ
ース重合度に由来するマルトオリゴ糖を生成させる作用
を有し、かつ(ロ)シクロデキストリンに対する水解速
度又は親和性が、多糖類あるいはシクロデキストリンと
同じ重合度の直鎖オリゴ糖よりも大きい基質特異性を有
するものであればどのようなものでもよく、特に制限さ
れず、またその起源についても特に制限はない。
は、例えば次の理化学的性質を有する公知のシクロデキ
ストリナーゼを挙げることができる。
ストリンのグルコース重合度に由来するマルトオリゴ糖
を生成させる作用を有する。 (ロ)基質特異性:シクロデキストリンに対する水解速
度又は親和性が、多糖類あるいはシクロデキストリンと
同じ重合度の直鎖オリゴ糖よりも大きい基質特異性を有
する。 (ハ)至適pH及び安定pH範囲:β−シクロデキスト
リンを基質とした場合、pH8.0近傍に至適pHを有
し、かつ安定pH範囲が5.5〜9.5である。 (ニ)作用適温:40℃近傍に作用適温を有する。 (ホ)失活性:50℃以上の温度で15分間の処理によ
り、ほぼ失活する性質を有する。 (ヘ)阻害及び活性化性:Hg2+、Cu2+、Zn
2+、Ni2+及びFe2+により90%以上阻害され、
Ca2+及びMg2+により10〜30%活性化される
性質を有する。 (ト)分子量:ゲルろ過法による分子量が144,00
0で、SDS PAGE法による分子量が72,000
である。すなわち、該酵素は分子量72,000のサブ
ユニットから成る二量体である。
度のβ−シクロデキストリン溶液500μl及び適当量
の該酵素を含有する100mM濃度のリン酸緩衝液(p
H7.5)500μlを混和し、温度40℃で適当時間
反応させたのち、10分間煮沸することにより反応を停
止し、高速液体クロマトグラフィーによって、生成した
マルトヘプタオースを定量することにより求めた。ま
た、酵素量が少量の場合には、グルコースを標準とした
ソモギーネルソン法により還元力を測定することにより
求めた。
マイクロモルのマルトヘプタオースを生成する酵素量を
1単位とした。
バチルス属に属し、該酵素を産生する微生物、例えばバ
チルス・スフェリカス(Bacillus sphae
ricus)E−244菌株[工業技術院微生物工業技
術研究所に微工研条寄第2458(FERM BP−2
458)として寄託されている]などを培地に培養し、
得た培養物より該酵素を採取することにより得られる。
菌バチルス・スフェリカスE−244菌株(FERM
BP−2458)の菌学的性質及び該酵素の製造法の詳
細については、特開平3−15384号公報及び特開平
3−86701号公報に記載されている。
化マルトオリゴ糖は、次のようにして製造することがで
きる。
6−デオキシシクロデキストリンに、前記した特定のシ
クロデキストリナーゼを作用させることにより、一般式
あり、mは4〜6である)で表わされる、種々の位置に
6−アジド−6−デオキシグルコース残基を有する6−
アジド−6−デオキシマルトオリゴ糖の混合物を主成分
とする反応液を得る。
I)で表わされる6−アジド−6−デオキシシクロデキ
ストリンは、例えば市販のα−、β−、γ−シクロデキ
ストリン(それぞれグルコース重合度は、6、7、8で
ある)などから、公知の方法により製造することができ
る。この製造法の好適な1例について説明すると、まず
シクロデキストリンをピリジンなどの溶媒に溶解し、こ
れに該シクロデキストリンに対し、2〜7モル倍量のト
シルクロリドを添加し、通常15〜30℃の範囲の温度
で4〜6時間程度反応させて6位OHのうちの1個のみ
をトシル化し、必要に応じ常法に従い精製して、6−O
−トシルシクロデキストリンを得る。次いで、これを水
性媒体中で6−O−トシルシクロデキストリンに対し、
10〜50モル倍量のアジ化ナトリウムを添加し、通常
70〜90℃の範囲の温度で3〜10時間程度反応させ
てトシルオキシ基をアジド基に置換する。該水性媒体と
しては、水や、水とアセトン、1,4−ジオキサン、ア
セトニトリル、DMFなどとの混合物が用いられる。そ
して必要に応じ、常法に従い精製して6−アジド−6−
デオキシシクロデキストリンを得ることができる[「カ
ルボハイドレート・リサーチ(Carbohydr.R
es.)」第18巻、第29〜37ページ(1971
年)参照]。
例えば6−アジド−6−デオキシ−α−シクロデキスト
リン、6−アジド−6−デオキシ−β−シクロデキスト
リン、6−アジド−6−デオキシ−γ−シクロデキスト
リンを容易に製造することができるが、これらの中でも
酵素反応速度の点から6−アジド−6−デオキシ−β−
シクロデキストリンが特に好適である。
オキシシクロデキストリンの基質濃度は、該シクロデキ
ストリナーゼの基質に対するKm値以上の濃度になるよ
うに調整することが好ましい。また、酵素反応条件につ
いては、該シクロデキストリナーゼの作用pH及び作用
温度の範囲であればよく、特に制限はないが、通常pH
7.5〜9.0、温度35〜45℃の条件で反応が行わ
れる。
エタノール、アセトン、DMSOなどの有機溶媒を添加
してもよい。反応時間は通常30分ないし48時間であ
る。また、酵素量については特に制限はないが、反応時
間内に生成物量が最大となるように、適宜必要量を添加
すればよく、通常0.5〜50単位/gの範囲で選ばれ
る。
表わされる各種6−アジド−6−デオキシマルトオリゴ
糖の混合物を主成分とする反応液が得られる。この反応
液としては、例えば出発物質が6−アジド−6−デオキ
シ−β−シクロデキストリンの場合には、67−アジド
−67−デオキシマルトヘプタオース、66−アジド−
66−デオキシマルトヘプタオース、65−アジド−6
5−デオキシマルトヘプタオ−ス、64−アジド−64
−デオキシマルトヘプタオース、63−アジド−63−
デオキシマルトヘプタオース、62−アジド−62−デ
オキシマルトヘプタオース、61−アジド−61−デオ
キシマルトヘプタオースの混合物を主成分とするものが
得られ、6−アジド−6−デオキシ−α−シクロデキス
トリンの場合には、同様に66、65、64、63、6
2、61−アジド−66、65、64、63、62、6
1−デオキシマルトヘキサオースの混合物を主成分とす
るものが得られる。
エキソ型糖化酵素類を作用させて、6−アジド−6−デ
オキシグルコースの残基が非還元末端となるように、非
還元末端側のグルコース残基を加水分解させる。この際
に用いられるエキソ型糖化酵素類としては、例えば公知
のα−グルコシダーゼやグルコアミラーゼなどが挙げら
れるが、これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、組み
合わせて用いてもよく、また所望に応じβ−アミラーゼ
を併用してもよい。
8−デオキシマルトオクタオース、67−アジド−67
−デオキシマルトヘプタオース、66−アジド−66−
デオキシマルトヘキサオース、65−アジド−65−デ
オキシマルトペンタオース、64−アジド−64−デオ
キシマルトテトラオース、63−アジド−63−デオキ
シマルトトリオースなどの前記一般式(I)で表わされ
る各種非還元末端アジド化マルトオリゴ糖、62−アジ
ド−62−デオキシマルトース、61−アジド−61−
デオキシグルコースなどとの混合物として得られる。な
お、β−アミラーゼを併用した場合は、前記化合物の他
に61−アジド−61−デオキシマルトースも混在す
る。
キストリナーゼと共存させて、酵素反応を同時的に行わ
せてもよいし、6−アジド−6−デオキシシクロデキス
トリンにシクロデキストリナーゼを作用させたのち、さ
らに該エキソ型糖化酵素類を作用させて酵素反応を行わ
せてもよいが、後者の方が好ましい。特に好適な態様に
おいては、例えば6−アジド−6−デオキシシクロデキ
ストリンに該シクロデキストリナーゼを作用させて、生
成物が最大になった時点で、酸処理や熱処理などによ
り、いったん反応を停止させたのち、例えば反応液をオ
クタデシル化シリカゲル(ODS)カラムクロマトグラ
フィーなどに付し、未反応の6−アジド−6−デオキシ
シクロデキストリンを吸着除去するなどの精製処理を施
し、次いでこれにエキソ型糖化酵素類を作用させる。
酵素類とを共存作用させる場合の反応条件としては、も
ちろん両酵素の共通の作用pH及び作用温度範囲で適宜
選択すればよいが、通常pH7.0〜9.0、温度35
〜45℃において、0.5〜48時間程度反応が行われ
る。
たのち、エキソ型糖化酵素類を作用させる場合の反応条
件としては、用いる酵素の作用pH及び作用温度範囲で
適宜選べばよいが、通常pH4.0〜7.5、温度35
〜45℃において、0.5〜48時間程度反応が行われ
る。
いては特に制限はないが、通常6−アジド−6−デオキ
シシクロデキストリンに対し、10〜100単位/gの
範囲で選ばれる。また、この酵素反応は酸処理や熱処理
などにより反応を停止させることができる。
アジド化マルトオリゴ糖含有反応液から、所望の前記一
般式(I)で表わされる非還元末端アジド化マルトオリ
ゴ糖を分離精製するが、この分離精製方法については特
に制限はなく、従来オリゴ糖の分離精製に慣用されてい
る方法を用いることができる。例えば反応液から未反応
の6−アジド−6−デオキシシクロデキストリンを除去
したのち、活性炭カラムクロマトグラフィー、ODSカ
ラムクロマトグラフィー、シリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー、薄層クロマトグラフィーなどを用いて分画採
取する方法などを採用することができる。また、未反応
の6−アジド−6−デオキシシクロデキストリンの除去
法としては、例えば冷却処理、有機溶媒添加処理などに
よる析出−ろ別法、カラム吸着法などの公知の方法が挙
げられる。
で表わされる非還元末端アジド化マルトオリゴ糖は、こ
れ自体α−アミラーゼ活性測定用基質としても使用でき
るが、特に、α−アミラーゼ活性測定用基質として極め
て好適に用いることのできる、例えば該化合物の還元末
端グルコース1位の水酸基のHを芳香族発色性基で置換
した非還元末端アジド化マルトオリゴシド誘導体などの
中間体として有用である。
アジド化マルトオリゴ糖自体をα−アミラーゼ活性測定
用基質としても使用する場合には、次のようなα−アミ
ラーゼ活性測定用試薬、α−アミラーゼ活性の測定方法
が挙げられる。
な系としては、例えば前記一般式(I)で表わされる非
還元末端アジド化マルトオリゴ糖1〜20mM及び緩衝
剤2〜100mMを含有し、かつ共役酵素として、α−
グルコシダーゼ又はグルコアミラーゼ若しくはその両方
を、それぞれ15〜150単位/ml含有するpH4〜
10の系が挙げられる。該測定系には、必要に応じ溶解
補助剤、安定化剤、α−アミラーゼ活性剤などを添加す
ることもできる。さらに、酵素反応によって生成するグ
ルコースやマルトースを吸光度測定法によって定量する
場合には、通常用いられるグルコース−6−リン酸デヒ
ドロゲナーゼ、マルトースホスホリラーゼ、へキソキナ
ーゼ、β−ホスホグルコムターゼ、NADPとATPな
どを加えればよい。
適な1例について説明すると、まず、α−アミラーゼ活
性を含む試料に、共役酵素としてのα−グルコシダーゼ
又はグルコアミラーゼ若しくはその両方を、それぞれ1
5〜150単位/ml、好ましくは30〜70単位/m
lになるように加え、同時に、又は順次に前記一般式
(I)で表わされる非還元末端アジド化マルトオリゴ糖
1〜20mM及び緩衝剤を添加したのち、温度25〜5
0℃、pH4〜10の条件にて1分間以上酵素反応させ
る。次いで生成するグルコースやマルトースを、常法に
よりそのまま、例えばソモジ・ネルソン法、グルコスタ
ット法などを用いて定量するか、又は前記したような吸
光度測定法によって定量し、あらかじめ同方法で定量し
て作成したα−アミラーゼ標品の検量線を用いて、試料
中のα−アミラーゼ活性を算出する。
は、α−アミラーゼ活性を含有するものであればよく、
特に制限はないが、具体的には微生物の培養液、植物の
抽出液、あるいは動物の体液や組織及びそれらの抽出液
などを用いることができる。α−アミアラーゼ含有試料
が固体の場合には、いったん精製水又は緩衝液に溶解又
は懸濁させるのがよい。また、必要により、不溶物をろ
過などの操作で除去してもよい。
元末端アジド化マルトオリゴ糖を中間体として得られ
る、一般式
である)で表わされる非還元末端アジド化マルトオリゴ
シド誘導体について説明する。
還元末端アジド化マルトオリゴシド誘導体において、還
元末端グルコース1位の水酸基のHに置換される芳香族
発色性基としては、分光学的に検出できればどのような
ものを用いてもよいが、例えば一般式
基、アルキル基、アリール基、アリル基、アミノ基、ス
ルホン酸基、又はカルボキシル基であり、それぞれ同一
であってもよいし、また異なっていてもよく、またR1
とR2、R2とR3とがそれぞれたがいに結合して、縮
合芳香環を形成してもよい)
ロ基、アルキル基、アリール基、アリル基、アミノ基、
スルホン酸基、又はカルボキシル基であり、それぞれ同
一であってもよいし、異なっていてもよく、またR8と
R9、R10とR11とがそれぞれたがいに結合して、
縮合芳香環を形成してもよく、さらにR9とR10及び
/又はR13とR14が共通の酸素原子となって縮合エ
ーテル環を形成してもよく、Zは窒素原子又はN→Oで
ある)で表わされる基などである。
非還元末端アジド化マルトオリゴシド誘導体はα−アノ
マー(α−配糖体)又はβ−アノマー(配糖体)のいず
れであってもよい。
る化合物としては2−クロロ−4−ニトロフェニル=6
5−アジド−65−デオキシ−β−D−マルトペンタオ
シド、4−ニトロフェニル=65−アジド−65−デオ
キシ−β−D−マルトペンタオシド、2−クロロ−4−
ニトロフェニル=67−アジド−67−デオキシ−β−
D−マルトヘプタオシド、2−クロロ−4−ニトロフェ
ニル=65−アジド−65−デオキシ−α−D−マルト
ペンタオシド、4−ニトロフェニル=65−アジド−6
5−デオキシ−α−D−マルトペンタオシド、2,4−
ジクロロフェニル=67−アジド−67−デオキシ−α
−D−マルトヘプタオシド、フェノールインド−3′−
クロロフェニル=65−アジド−65−デオキシ−β−
D−マルトペンタオシド、4−メチルウンベリフェロニ
ル=66−アジド−66−デオキシ−α−D−マルトヘ
キサオシド、レザズリニル=64−アジド−64−デオ
キシ−α−D−マルトテトラオシド、ルシフェリニル=
63−アジド−63−デオキシ−β−D−マルトトリオ
シドなどが挙げられる。
還元末端アジド化マルトオリゴシド誘導体において、α
−アミラーゼ活性測定用基質として用いる場合の酵素反
応速度の観点からは、n=3〜5の化合物が特に好適で
ある。
アジド化マルトオリゴ糖を中間体とし、該化合物より前
記一般式(IV)で表わされる非還元末端アジド化マル
トオリゴシド誘導体を製造するためには、有機合成法、
酵素反応法など、どのような方法を用いてもよいが、例
えば次のような製法が挙げられる。
アジド化マルトオリゴ糖に無水酢酸及び過塩素酸を酢酸
エチルの存在下で作用させてアセチル化反応を行い、こ
の反応と同時に又は反応後に、水及び三臭化リンをジク
ロルメタンの存在下で作用させて還元末端グルコース1
位のブロム化反応を行い、得られる非還元末端アジド化
アセチルマルトオリゴシルブロミドに前記芳香族発色性
化合物を酸化銀及びアセトニトリルの存在下で作用させ
て非還元末端アジド化アセチルマルトオリゴシド誘導体
とし、さらにこれにアミンを水及びメタノールの存在下
で作用させて脱アセチル化反応を行うことにより、目的
化合物を製造することができる(特開昭62−2839
89号公報参照)。
れる非還元末端アジド化マルトオリゴシド誘導体にはα
−アノマーとβ−アノマーが存在するが、α−アミラー
ゼ活性の測定に際して、α−アノマーのみを用いる場合
には共役酵素として、α−グルコシダーゼ又はグルコア
ミラーゼあるいはその両方を用いることが必要であり、
β−アノマーのみあるいはα−アノマーとβ−アノマー
の混合物を用いる場合にはα−グルコシダーゼ又はグル
コアミラーゼあるいはその両方に加えてさらにβ−グル
コシダーゼを併用することが必要である。なお、必要に
応じてβ−アミラーゼを用いることもできる。
定するための有利な系としては、例えば一般式(IV)
で表わされる非還元末端アジド化マルトオリゴシド誘導
体0.1〜10mM及び緩衝液2〜300mMを含有
し、かつ共役酵素としてα−グルコシダーゼ及び/又は
グルコアミラーゼをそれぞれ5〜1000単位/ml、
さらに、β−グルコシダーゼを用いるときには0.5〜
30単位/mlを含有するpH4〜10の系が挙げられ
る。
非還元末端アジド化マルトオリゴシド誘導体を有効成分
とする試薬の場合には、乾燥物あるいは溶解した形で用
いてもよいし、薄膜状の担体、例えばシート、含浸性の
紙などに含浸させて用いてもよい。
端アジド化マルトオリゴシド誘導体を用いた場合の好適
な実施態様を説明すると、まず、α−アミラーゼを含む
試料に、共役酵素としてのα−グルコシダーゼ又はグル
コアミラーゼあるいはその両方をそれぞれ5〜1000
単位/ml、好ましくは10〜500単位/ml加え、
一般式(IV)で表わされる非還元末端アジド化マルト
オリゴシド誘導体がβ−アノマーを含むときは、さらに
β−グルコシダーゼを0.5〜30単位/ml、好まし
くは1〜15単位/ml加え、これと同時又はこれらの
後に、該マルトオリゴシド誘導体0.1〜10mM、好
ましくは0.3〜5mMを緩衝剤とともに添加したの
ち、温度25〜45℃、好ましくは35〜40℃、pH
4〜10、好ましくは6〜8の条件下で少なくとも1分
間、好ましくは2〜10分間酵素反応させ、生成した芳
香族発色性化合物を、常法に従いそのままであるいは必
要に応じpHを調整したのち、又は縮合反応を行ったの
ちに、適当な吸光波長で連続的に又は断続的に吸光度変
化量を測定し、あらかじめ測定したα−アミラーゼ標品
の吸光度変化量と対比させて試料中のα−アミラーゼ活
性を算出する。また、芳香族発色性化合物の分子吸光係
数から算出することもできる。
非還元末端アジド化マルトオリゴ糖は、これ自体α−ア
ミラーゼ活性測定用基質としても使用できるが、特に、
α−アミラーゼ活性測定用基質として極めて好適に用い
ることのできる例えば該化合物の還元末端グルコーズ1
位の水酸基のHを芳香族発色性基で置換した非還元末端
アジド化マルトオリゴシド誘導体などの中間体として有
用である。そして、本発明の製法によれば、前記一般式
(I)で表わされる非還元末端アジド化マルトオリゴ糖
を、安価なシクロデキストリンを原料として用い、短い
反応工程でかつ簡便な操作により効率よく大量に製造す
ることができる。
度は25℃においてナトリウムのD線で測定した値であ
る。
スの製造 (1)6−アジド−6−デオキシ−β−シクロデキスト
リンの製造 (a) 市販のβ−シクロデキストリン[和光純薬工業
(株)製]50.0g(44.1mmol)をピリジン
500mlに溶解し、トシルクロリド33.3g(17
5mmol)を加え、室温下で4時間、かきまぜながら
反応させた。次いでこの反応液に水250ml及びn−
ブタノール1000mlを加え、混合液を減圧下1/2
量まで留去し、濃縮液をアセトン500ml中へかきま
ぜながら投入すると析出物が出現した。この析出物をグ
ラスフィルターでろ別し、アセトン200mlで2回洗
浄したのち、ろ取物をODSカラムクロマトグラフィー
により精製し、エタノール−水混液(容量比1:9)で
溶出した目的区分を濃縮し、水から再結晶すると、6−
O−トシル−β−シクロデキストリンが25.3g(1
9.6mmol,収率44.4%)得られた。
解) 赤外吸収スペクトル(cm−1):3400,293
0,1642,1632,1600,1424,136
0,1300,1178,1156,1078,102
8
pm:(DMSO−d6)2.44(3H,s),3.
15〜4.45(m),4.76(2H,br.s),
4.85(5H,br.s),7.44(1H,d,J
=8.8Hz),7.75(1H,d,J=8.8H
z)
製TSKgel Amide−80カラム(4.6mm
ID×250mm),RI検出,溶離液:アセトニトリ
ル/水=3:2(v/v),流速:1.0ml/mi
n]:Rt=5.5min
−β−シクロデキストリン16.9g(13.1mmo
l)を水500ml及び1,4−ジオキサン250ml
の混液に溶解し、アジ化ナトリウム34.1g(525
mmol)を加え、85℃で4時間反応させた。次いで
反応液を減圧下1/2量まで留去し、得られた濃縮液を
ODSカラムクロマトグラフィーに供して精製し、エタ
ノール−水混液(容量比1:9)で溶出した目的区分を
濃縮し水から再結晶すると、6−アジド−6−デオキシ
−β−シクロデキストリンが14.3g(12.3mm
ol,収率93.9%)得られた。
解) 赤外吸収スペクトル(cm−1):3390,292
0,2120,1642,1414,1370,134
0,1304,1156,1080,1030
製TSKgel Amide−80カラム(4.6mm
ID×250mm),RI検出,溶離液:アセトニトリ
ル/水=3:2(v/v),流速:1.0ml/mi
n]:Rt=6.6min
4−ジオキサン/H2O=1:1(v/v);+145
° 元素分析値:C42H69N3O34として C H N 理論値(%) 43.49 6.00 3.62 実測値(%) 43.28 6.11 3.53
v)ペプトン、0.5%(w/v)NaCl及び0.1
%(w/v)イーストエキスから成る液体培地(水道水
使用、pH7.0)100mlを500ml容坂口フラ
スコに入れ、120℃で20分間、殺菌処理を行った。
これに、バチルス・スフェリカスE−244(FERM
BP−2458)の保存スラントより1白金耳接種
し、30℃で1日間振とう培養した。この培養液50m
lを、前記と同様の培地組成と殺菌条件により調製した
2000mlの培地を含有する3000ml容ミニジャ
ーに接種して30℃、1vvm、350rpmの条件で
2日間通気かくはん培養を行い、培養終了後、この培養
液から8000rpm、20分間の遠心分離処理により
菌体を分離し、2%(w/v)トリトンX−100を含
有する10mMリン酸緩衝液(pH7.0)500ml
に菌体を懸濁して25℃で1日間かきまぜた。該懸濁液
から12000rpmで20分間の遠心分離処理により
菌体残渣を除去したのち、上清液を10mMリン酸緩衝
液(pH7.0)に対して16時間透析した。得られた
透析物を12000rpmで20分間遠心分離処理して
不溶物を除去し、上清を粗酵素液(1)とした。
(総活性200単位、タンパク量2083mg、比活性
0.1、pH7.0)を10mMリン酸緩衝液(pH
7.0)で平衡化したDEAEセファロース充填カラム
(φ34×170mm)に供し、酵素を吸着させたの
ち、0〜1.5MNaClのグラジェント勾配により溶
出を行った。このようにして得られた活性フラクション
を集めて粗酵素液(2)105ml(総活性145単
位、比活性0.58、収率72.5%)を得た。
活性31単位、タンパク量29mg)を1M硫酸ナトリ
ウム含有100mMリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡
化したエーテル5PW充填カラム(φ21.5×150
mm)に供し、酵素を吸着させたのち、1M〜0硫酸ナ
トリウムのグラジェント勾配により溶出を行った。この
ようにして得られた活性フラクションを集めて粗酵素液
(3)50ml(総活性72単位、比活性2.93、収
率36%)を得た。
(p=1〜7)の製造 (1)で得た6−アジド−6−デオキシ−β−シクロデ
キストリン25g(21.6mmol)を、あらかじめ
40℃に加温しておいた10mMリン酸緩衝液(pH=
7.8)1.0l中にかきまぜながら投入し、完全に溶
解した。そこへ前記(2)と同様にして得たシクロデキ
ストリナーゼの粗酵素液(3)(490単位)を加え、
40℃で2時間かきまぜながら反応を行った。反応終了
後、反応液を80℃で10分間かきまぜながら加熱し
た。続いて反応液を室温まで冷却し、ラジオライト(#
100)、さらにメンブランフィルター(0.45μ
m)でろ過を行ったのち、115mlまで減圧下濃縮し
た。得られた濃縮液をODSカラムクロマトグラフィー
に供して精製し、エタノール−水混液(容量比0%→3
5%グラジェント)で溶出し、濃縮乾固して6p−アジ
ド−6p−デオキシマルトヘプタオース(p=1〜7)
を11.6g(9.86mmol,収率45.6%)得
た。
製TSKgel Amide−80カラム(4.6mm
ID×250mm),RI検出,溶離液:アセトニトリ
ル/水=3:2(v/v),流速:1.0ml/mi
n]:Rt=9.4及び10.3min
−マルトペンタオースの製造 (3)で得た6p−アジド化マルトヘプタオース(p=
1〜7)11.6g(9.86mmol)を、20mM
酢酸緩衝液(pH=4.5)250ml中にかきまぜな
がら溶解し、そこへグルコアミラーゼ8mg(250
u、生化学工業(株)製)を加え、40℃で4時間かき
まぜながら反応を行った。反応終了後、反応液を90℃
で20分間かきまぜながら加熱した。続いて反応液を室
温まで冷却し、メンブランフィルター(0.45μm)
でろ過を行ったのち、55mlまで減圧下濃縮した。得
られた濃縮液を活性炭カラムクロマトグラフィーに供し
て精製し、エタノール−水混液(容量比5%→45%グ
ラジェント)で溶出し、約30%エタノールの溶出画分
を凍結乾燥して65−アジド−65−デオキシ−D−マ
ルトペンタオース1.79g(2.10mmol,収率
21.3%)を得た。
0,2110,1628,1406,1360,127
8,1240,1144,1076,1022
pm(D2O):2.80〜4.00(m),4.64
(0.5H,d,J=8.0Hz),5.23(0.5
H,d,J=3.5Hz),5.35(4H,d,J=
3.5Hz)
製TSKgel Amide−80カラム(4.6mm
ID×250mm),RI検出,溶離液:アセトニトリ
ル/水=3:2(v/v),流速:1.0ml/mi
n]:Rt=6.9min 比旋光度[α]:(c 0.544,H2O);+16
9° 元素分析値:C30H51N3O25として C H N 理論値(%) 42.21 6.02 4.92 実測値(%) 42.03 6.13 4.69
の製造 実施例1(4)においてエタノールグラジェントによる
約23%の溶出画分を採取した以外は実施例1と同様の
操作を行い、63−アジド−63−デオキシ−D−マル
トトリオース740mg(1.40mmol,収率1
4.2%)を得た
0,2110,1628,1406,1358,128
4,1236,1144,1070,1030
pm(D2O):2.80〜4.00(m),4.65
(0.5H,d,J=7.8Hz),5.23(0.5
H,d,J=3.9Hz),5.36(2H,d,J=
3.9Hz)
製TSKgel Amide−80カラム(4.6mm
ID×250mm),RI検出,溶離液:アセトニトリ
ル/水=3:2(v/v),流速:1.0ml/mi
n]:Rt=4.8min 比旋光度[α]:(c 0.544,H2O);+14
3° 元素分析値:C18H31N3O15として C H N 理論値(%) 40.83 5.90 7.94 実測値(%) 40.64 6.07 7.73
スの製造 実施例1(4)においてエタノールグラジェントによる
約27%の溶出画分を採取した以外は実施例1と同様の
操作を行い、64−アジド−64−デオキシ−D−マル
トテトラオース1.22g(1.77mmol,収率1
8.0%)を得た。
0,2120,1634,1400,1360,128
6,1146,1110,1072,1030
pm(D2O):2.82〜4.03(m),4.64
(0.5H,d,J=8.2Hz),5.28(0.5
H,d,J=3.7Hz),5.35(3H,d,J=
3.7Hz)
製TSKgel Amide−80カラム(4.6mm
ID×250mm),RI検出,溶離液:アセトニトリ
ル/水=3:2(v/v),流速:1.0ml/mi
n]:Rt=5.7min 比旋光度[α]:(c 0.532,H2O);+16
1° 元素分析値:C24H41N3O20として C H N 理論値(%) 41.68 5.98 6.08 実測値(%) 41.50 6.08 5.99
スの製造 実施例1(4)においてエタノールグラジェントによる
約33%の溶出画分を採取した以外は実施例1と同様の
操作を行い、66−アジド−66−デオキシ−D−マル
トヘキサオース840mg(0.828mmol,収率
8.4%)を得た。
解) 赤外吸収スペクトル(cm-1):3360,293
0,2120,1630,1410,1360,129
6,1236,1148,1080,1022
製TSKgel Amide−80カラム(4.6mm
ID×250mm),RI検出,溶離液:アセトニトリ
ル/水=3:2(v/v),流速:1.0ml/mi
n]:Rt=7.8min 比旋光度[α]:(c 0.522,H2O);+17
0° 元素分析値:C36H61N3O30として C H N 理論値(%) 42.56 6.05 4.14 実測値(%) 42.31 6.19 4.16
スの製造 実施例1(4)においてエタノールグラジェントによる
約37%の溶出画分を採取した以外は実施例1と同様の
操作を行い、67−アジド−67−デオキシマルトヘプ
タオース2.42g(2.06mmol,収率20.9
%)を得た。
0,2120,1634,1406,1360,130
0,1236,1146,1074,1020
製TSKgel Amide−80カラム(4.6mm
ID×250mm),RI検出,溶離液:アセトニトリ
ル/水=3:2(v/v),流速:1.0ml/mi
n]:Rt=9.4min 比旋光度[α]:(c 0.566,H2O);+17
8° 元素分析値:C42H71N3O35として C H N 理論値(%) 42.82 6.07 3.57 実測値(%) 42.72 6.11 3.48
−デオキシ−β−D−マルトペンタオシドの製造 実施例1の(4)で得た65−アジド−65−デオキシ
マルトペンタオース5.0g(5.86mmol)をピ
リジン100mlに溶解し、無水酢酸50ml(529
mmol)を加え、室温で2日間反応させた。次いで反
応液のピリジン、無水酢酸、酢酸を留去したのち、精製
することなくこの残渣をジクロロメタン30mlに溶解
し、三臭化リン556μl(5.86mmol)、及び
水211μl(11.7mmol)を加え、室温で20
時間かきまぜながら反応させた。次いで反応液に無水炭
酸カリウム18.6g(135mmol)を加え、室温
で15分間かきまぜながら反応させた。不溶物をグラス
フィルターでろ別し、これをジクロロメタン200ml
で3回洗った。ろ液と洗液を合わせてここに含まれるジ
クロロメタンを留去した。精製することなくこの残渣を
アセトニトリル100mlに溶解し、2−クロロ−4−
ニトロフェノール5.09g(29.3mmol)を加
えたのち、さらに酸化銀(Ag2O)6.80g(2
9.3mmol)を加え、35℃で17時間かきまぜな
がら反応させた。次いで反応液をグラスフィルターでろ
別し、これをジクロロメタン50mlで3回洗った。ろ
液と洗液を合わせて減圧下濃縮し、このろ液に含まれる
アセトニトリルとジクロロメタンを留去した。その残渣
にジクロロメタン300mlを加え、綿栓ろ過したの
ち、0.5N水酸化ナトリウム水溶液200mlで1
回、飽和食塩水でそれぞれ200mlで3回洗浄し、次
いで無水硫酸ナトリウム10gを加えて乾燥し、綿栓ろ
過したのち減圧下濃縮し、ここに含まれるジクロロメタ
ンを留去した。精製することなくその残渣をメタノール
60ml、28%アンモニア水30ml、水15mlの
混液に懸濁し、35℃で20時間かきまぜながら反応さ
せた。次いで反応液を減圧下濃縮し、ここに含まれる
水、及びメタノールを留去した。得られた残渣をODS
ゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、エタノー
ル−水混液(容量比1:4)で溶出した目的区分を濃縮
し、水から再結晶して目的の2−クロロ−4−ニトロフ
ェニル=65−アジド−65−デオキシ−β−D−マル
トペンタオシドを2.47g(2.45mmol,収率
41.8%)得た。
(分解) 紫外部・可視部吸収スペクトル:吸収極大波長[λma
x(MeOH中) ](nm)=290(logε=
3.98),227(logε=3.99),209
(logε=4.20)
0,2930,2110,1584,1520,148
4,1274,1150,1078,1024
pm(DMSO−d6):3.05〜3.90(m),
4.20〜4.55(m),4.74(1H,br.
d,J=4.8Hz),4.96(1H,br.d,J
=5.4Hz),5.05(2H,d,J=3.7H
z),5.10(2H,d,J=3.7Hz),5.2
5(1H,d,J=7.6Hz),5.25〜5.60
(m),7.47(1H,d,J=9.3Hz),8.
19(1H,dd,J=9.3Hz,2.7Hz),
8.29(1H,d,J=2.7Hz)
製TSKgel Amide−80カラム(4.6mm
ID×250mm),RI検出,溶離液:アセトニトリ
ル/水=3:1(v/v),流速:1.0ml/mi
n]:Rt=6.7min 比旋光度[α]:(c 0.516,H2O);+9
2.4° 元素分析:C36H53ClN4O27として C H N 理論値(%) 42.84 5.29 5.55 実測値(%) 42.88 5.31 5.59
−デオキシ−β−D−マルトペンタオシドを用いるα−
アミラーゼ活性の測定 (1) 基質液の調製 参考例1で得た2−クロロ−4−ニトロフェニル=65
−アジド−65−デオキシ−β−D−マルトペンタオシ
ド(Mw1009)を2.28mMの濃度になるよう
に、40mM−NaCl及び2mM−MgCl2を含有
する50mMリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解した。
の市販β−グルコシダーゼをそれぞれ117u/ml、
13u/mlの濃度になるように40mM−NaCl及
び2mM−MgCl2を含有する50mMリン酸緩衝液
(pH7.0)に混合して溶解した。なお、これら市販
のα−及びβ−グルコシダーゼは東洋紡績(株)製を使
用した。
を加え、0,148,284,401,525IU/l
の濃度に溶解して標品α−アミラーゼ液とした。なお、
この市販のヒトα−アミラーゼは国際試薬(株)製キャ
リブザイム・AMYを使用した。また、α−アミラーゼ
の活性は、37℃、1分間に1μmolの2−クロロ−
4−ニトロフェニル=β−D−マルトペンタオシド(市
販品)を分解する酵素量を1国際単位(IU)として定
義した。
試料液とする。固体の場合は通常、試料500mgを正
確に秤量し、精製水を加えて全量を5mlとして試料液
とした。必要に応じて、不溶物をろ過などの操作で除去
してから用いた。
lを加えてかきまぜ、37℃で1分間加温したのち、基
質液2.0mlを加えてかきまぜ、37℃で2分間加温
したのち、2分間の400nmにおける吸光度の変化量
を測定した。各標品α−アミラーゼ液の活性と、吸光度
の変化量の関係より検量線を作成した。その結果検量線
の式は U=8.66・△A×103−6.7 [U;酵素活性(IU/l)、△A;吸光度の変化量] となった。そのグラフを図1に示す。
測定 試料液250μlに共役酵素液1.0mlを加えてかき
まぜ、37℃で1分間加温したのち、基質液2.0ml
を加えてかきまぜ、37℃で2分間加温したのち、2分
間の400nmにおける吸光度の変化量を測定した。こ
の測定値と(5)で作成した検量線から算出して試料中
のα−アミラーゼ活性の測定を行うことができる。な
お、試料液中の酵素活性の値が検量線の適用範囲(0〜
525IU/l)を越えた場合は精製水を用いて相当す
る倍数の希釈を行ったのち、再測定を行う。
共役酵素と反応することなく、測定系内で安定に存在す
ることが確認されている。
に用いる検量線のグラフ。
Claims (2)
- 【請求項1】 一般式 【化1】 (式中のnは1〜6の整数である)で表わされる非還元
末端アジド化マルトオリゴ糖。 - 【請求項2】 6−アジド−6−デオキシシクロデキス
トリンに、(イ)シクロデキストリンを開裂し、シクロ
デキストリンのグルコース重合度に由来するマルトオリ
ゴ糖を生成させる作用及び(ロ)シクロデキストリンに
対する水解速度又は親和性が多糖類あるいはシクロデキ
ストリンと同じ重合度の直鎖オリゴ糖よりも大きい基質
特異性を有するシクロデキストリナーゼを作用させると
同時に、又は作用させたのちに、エキソ型糖化酵素類を
作用させることを特徴とする請求項1記載の非還元末端
アジド化マルトオリゴ糖の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9484392A JP2888506B2 (ja) | 1992-03-23 | 1992-03-23 | 非還元末端アジド化マルトオリゴ糖及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9484392A JP2888506B2 (ja) | 1992-03-23 | 1992-03-23 | 非還元末端アジド化マルトオリゴ糖及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05262784A true JPH05262784A (ja) | 1993-10-12 |
JP2888506B2 JP2888506B2 (ja) | 1999-05-10 |
Family
ID=14121324
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9484392A Expired - Lifetime JP2888506B2 (ja) | 1992-03-23 | 1992-03-23 | 非還元末端アジド化マルトオリゴ糖及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2888506B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010119320A (ja) * | 2008-11-18 | 2010-06-03 | Hokkaido Univ | 糖鎖提示担体の製造方法 |
-
1992
- 1992-03-23 JP JP9484392A patent/JP2888506B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010119320A (ja) * | 2008-11-18 | 2010-06-03 | Hokkaido Univ | 糖鎖提示担体の製造方法 |
Also Published As
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JP2888506B2 (ja) | 1999-05-10 |
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OHYAMA et al. | Studies on amylase inhibitor (S-AI) from Streptomyces diastaticus subsp. amylostaticus No. 2476. II. Purification and some properties of amylase inhibitor (S-AI). |
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