JP2959777B2 - 新規エンドデキストラナーゼ、その製造方法及び本酵素を用いたイソマルトオリゴ糖の製造方法 - Google Patents

新規エンドデキストラナーゼ、その製造方法及び本酵素を用いたイソマルトオリゴ糖の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は新規エンドデキストラナーゼ、その製造方法
及び本酵素を用いたイソマルトオリゴ糖の製造方法に関
する。
[従来の技術] 近年、各種オリゴ糖が食品工業界等で機能性食品素材
として注目されている。これらのオリゴ糖の一種である
イソマルトトリオースは、難う蝕性甘味剤、腸内のビフ
ィズス菌増殖因子、あるいは研究用試験、また、保湿性
が極めて高いので有効な保湿剤などとしての用途が期待
出来、その効率的な製造法の開発が望まれている。
イソマルトトリオースを製造する方法としては、従来
よりデキストランを鉱酸で部分加水分解する方法が知ら
れているが、この方法ではイソマルトトリオースが選択
的に取得できず、その収率も極めて低い。また、精製工
程も煩雑であり、工業的方法としては適していなかっ
た。
他の方法として、デキストランを加水分解し、主とし
てイソマルトトリオースを生成するデキストラナーゼを
利用した、酵素法によるイソマルトトリオースの製造も
検討されている。
デキストランを加水分解し、主としてイソマルトトリ
オースを生成するデキストラナーゼとしては、ブレビバ
クテリウム・フスクム(Brevibacterium fuscum var.d
extranlyticum)が生産する細菌性エキソ型酵素[Bioch
imBiophysActa350、61〜70(1974)]が知られて
いる。しかしながら、ブレビバクテリウム起源のデキス
トラナーゼは、精製工程の煩雑さに加えて、酵素の回収
率ならびに精製酵素の示す比活性も低く、工業的生産に
は適していなかった。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、ブレビバクテリウム起源でない
新たなエンドデキストラナーゼ生産菌を利用することに
より高力価の新規なエンドデキストラナーゼを提供する
こと、上記エンドデキストラナーゼ生産菌を用いてエン
ドデキストラナーゼを高収率で工業的に製造する方法を
提供すること、更に、上記エンドデキストラナーゼを用
いてイソマルトトリオースを主体としたイソマルトオリ
ゴ糖を効率的に製造する方法を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、デキストランに作用し、主としてイソ
マルトトリオースを生成する酵素を生産する微生物の検
索を行った結果、糸状菌フザリウム(Fusarium)属に属
する1菌株が、デキストランに作用して主としてイソマ
ルトトリオースを生成する酵素を、効率よる菌体外に大
量生産することを認め、本発明を完成するに至った。
本菌株の菌学的性質を以下に述べる。
(1)各種培養培地における生育状態 麦芽寒天培地 本菌の麦芽寒天培地上での生育速度は、25℃、3日間
ではコロニーの直径が0.5〜1.5cmに達し、7日間では2.
0〜3.0cmに達する。性状は白色・ビロード状であり、分
生子の形成は良好である。
ポテト・スクロース寒天培地 本菌のポテト・スクロース寒天培地上での生育速度
は、25℃、3日間ではコロニーの直径が1.0〜2.0cmに達
し、7日間では3.0〜5.0cmに達する。性状は白色・ビロ
ード状であり、分生子の形成は良好である。
オートミール寒天培地 本菌のオートミール寒天培地上での生育速度は、25
℃、3日間ではコロニーの直径が0.5〜1cmに達し、7日
間では1.5〜2.0cmに達する。性状は白色・ビロード状で
あり、分生子の形成は少ない。
(2)生理的性質 生育pH pH4.5〜8.0のpH領域で生育できるが、生育に至適なpH
は5.0〜6.5である。
15〜45℃の温度域で生育できるが、生育に至適な温
度は20〜30℃である。
その他の顕著な特徴 デキストラン含有培地での培養により、エンドデキス
トラナーゼを菌体外に誘導生産する。
(3)形態的特徴 分生子柄 分生子は側生である。
フィアライド モノフィアライドである。
分生子 大型分生子と小型分生子を有する。大型分生子は25〜
32×4〜5μmで、腕曲しており、ショルダーを有す
る。小型分生子は5〜7×2〜3μmである。大型分生
子と小型分生子は0〜3個の隔壁を有する。
以上の所見をもとに、「菌類図鑑上・下」、宇田川俊
一、椿啓介ほか著、講談社、1877年刊行などにより分類
し、本菌株をFusarium sp.と同定した。
なお、上記菌株は、工業技術院微生物工業技術研究所
に、微工研菌寄第10976号(FERMP−10976)として寄託
されている。
本発明におけるエンドデキストラナーゼの製造方法の
骨子とするところは、上記のような糸状菌フザリウム
Fusarium)属に属するエンドデキストラナーゼ生産菌
またはその突然変異体を培養培地に接種し、所定の培養
条件下で培養した後、当該培養物から菌体を除去し、簡
便な分離・精製法により高力価のデキストラナーゼを高
収率で採取するようにしたことにある。
以下に、本発明で得られた新規エンドデキストラナー
ゼの諸性質について記載する。
(1)作用 本酵素はデキストランに作用し、主としてα−イソマ
ルトトリオースを生成する。
(2)基質特異性 本酵素は主として細菌性多糖デキストランを加水分解
する。一方、可溶性デンプン、アミロペクチン、プルラ
ン、カードラン、ラミナリン、キシランなどには作用を
示さない。
(3)至適pH及び安定pH範囲 本酵素はpH4.0〜11.5の広範囲で作用し、至適pHは6.4
付近にある(0.25%ファルマシア社製デキストランT200
0に30℃,7分間作用させた)。5mM KCl−NaOH緩衝液中
で、本酵素はpH11.0においても約40%の相対活性発現を
示した。したがって、本酵素が高アルカリ領域において
も高活性を発現することが確認された。また、本酵素は
pH4.5〜10.0の広範囲で安定である(各種pHの25mM McIl
vaine緩衝液中で4℃,24時間放置後、それぞれの残存活
性を測定した)。
(4)作用温度範囲及び至適作用温度 本酵素はほぼ20〜55℃の範囲で作用し、至適作用温度
は35℃付近である(0.25%デキストランT2000、pH6.4、
5分間反応)。
(5)温度安定性 本酵素をpH6.4で、10分間各種温度で加熱処理後、そ
れぞれの残存活性を測定した。その結果、45℃までは10
0%、50℃で約25%の残存活性を示し、55℃でほぼ完全
に失活した。
(6)酵素力価の測定法 エンドデキストラナーゼ活性測定における反応組成は
1%デキストランT2000溶液0.5ml、25mM McIlvaine緩衝
液(pH6.4)1.0mlおよび酵素溶液0.5mlからなり、30℃
で一定時間反応させる。反応混液1.0mlにつき、酵素反
応により生成された還元糖をSomogyi−Nelson法を用い
て定量する。この条件下で1分間に1μmolのグルコー
スに相当する還元力を生成せしめる酵素量を1単位と定
義する。
(7)エンドデキストラナーゼの精製方法 Fusarium sp.を液体培地にて25℃,5日間ジャーファメ
ンターを用いて培養し、その培養液3を高速冷却遠心
(8,000×)にかけ、除菌する。4℃で、上清液に冷
エタノールを加え、30〜60%濃度で沈澱する画分を高速
冷却遠心(8,000×)にかけて集めた。次いで、この
エタノール沈澱物を直ちに、25mM McIlvaine緩衝液(pH
6.4)に溶解し、同上緩衝液で充分に平衝化したDEAE−
トヨパール650Sを充填したカラム(4.4×55cm)にのせ
た。100mM McIlvaine緩衝液(pH6.1)にて溶出される活
性画分を集めた。この画分を濃縮・透析後、25mM McIlv
aine緩衝液(pH6.4)で充分に平衝化したバイオゲルP
−100を充填したカラム(1.8×120cm)にかけ、ゲル濾
過を行った。得られた単一の活性画分を集め、濃縮し、
高度に精製されたエンドデキストラナーゼを得た。
(8)分子量 SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)
法により推定されたエンドデキストラナーゼの分子量は
約88,000である。
(9)等電点(p) LKB社製等電点電気泳動装置(110ml用カラム)により
測定された精製エンドデキストラナーゼの等電点は4.50
である。
(10)阻害及び活性化 5mMの水銀、銀、鉄、銅などの重金属イオンにより、
またこれと同一濃度の−プロモスクシンイミドなどに
より該酵素の活性が阻害される。
一方、5mMのカルシウムイオンにより該酵素の活性が
賦活される。
(11)アミノ酸組成(モル比%) アルギニン4.24、リジン4.31、ヒスチジン2.15、フェ
ニルアラニン4.04、チロシン3.73、ロイシン6.82、イソ
ロイシン5.87、メチオニン0.47、バリン7.56、アラニン
9.16、グリシン8.69、プロリン6.34、グルタミン酸8.0
8、セリン6.51、スレオニン7.31、アスパラギン酸12.2
6、トリプトファン1.94、シスチン0.52 次に、当該エンドデキストラナーゼを生産せしめる為
の培養方法について述べる。
デキストラナーゼを製造するためには、前記した糸状
Fusarium sp.などの糸状菌フザリウム(Fusarium)属
に属するエンドデキストラナーゼ生産菌またはその突然
変異株を、培養培地に接種して培養する。本菌の培養方
法については、液体培養および固形培養のいずれにおい
ても可能であるが、工業的生産には好気的に液体培養す
るのが好ましい。
当該菌の培地の栄養源は、一般に微生物培養に用いら
れものを使用することが可能である。また、細菌性多糖
デキストランを唯一の炭素源に用いると、当該エンドデ
キストラナーゼを誘導生成せしめることができる。
窒素源としては、有機窒素含有物として各種アミノ
酸、肉エキス、ペプトン、マルトエキス、尿素などが、
また、無機窒素化合物としては塩化アンモニウム、リン
酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム
などが単独または組合わせて用いることができる。その
他、無機塩類、ビタミン類などを適時添加するとよい。
培養温度は20〜30℃が適しており、より好ましくは24
〜27℃がよい。培養開始時のpHは4.5〜8.0が適している
が、より好ましくはpH5.0〜6.5がよい。培養日数は5〜
7日間が好ましい。
上記のような培養条件下で、充分にデキストラナーゼ
を生産せしめた培養物から、遠心分離により細体を除去
すれば、粗酵素液が得られる。
このようにして得られた粗酵素液は、そのままでも製
品として充分に使用可能であるが、さらに粗酵素液を公
知の分離・精製方法、例えば限外濾過膜濃縮法、エタノ
ールなどによる有機溶媒沈澱法、硫酸アンモニウムなど
による塩析法、カラムクロマト分画法、アフィニティー
クロマト分画法、等電点電気泳動法などを、単独あるい
は適宜組合わせることによって、当該エンドデキストラ
ナーゼの精製酵素液を採取することが可能である。次に
その一例を示す。
まず、培養液中の菌体等を遠心分離で除去し、無細胞
上清液を得る。この上清液を粗酵素として利用すること
も可能である。この上清液に冷エタノールを加え、30〜
60%濃度で沈澱する画分を25mM McIlvaine緩衝液(pH6.
4)に溶解し、DEAE−トヨパール650Sカラムにのせる。1
0mM McIlvaine緩衝液(pH6.1)で溶出される活性画分を
バイオゲルP−100カラムでゲル濾過を行い、精製エン
ドデキストラナーゼを得る。
本発明のイソマルトオリゴ糖の製造方法は、こうして
得られたエンドデキストラナーゼを、デキストランに作
用させて、イソマルトトリオースを主体とするイソマル
トトオリゴ糖を生成させることを特徴としている。この
場合、エンドデキストラナーゼは、前記のようにして培
養された培養物として、または培養物から調製された粗
酵素液として、さらには精製された酵素として、デキス
トランに作用させることができる。
このようにして生成されたエンドデキストラナーゼを
用い、イソマルトトリオースを製造するための酵素反応
は、好ましくは30〜50℃、pH5.0〜8.0、反応時間は4〜
18時間、デキストラン濃度は2〜8%で行うとよい。反
応液中の生成糖組成はイソマルトテトラオース以上のも
の約30%、イソマルトトリオース約60%、イソマルトー
ス約7%、グルコース約3%であった。
また、予めデキストランT2000を希塩酸などで部分加
水分解したものに、本精製エンドデキストラナーゼを作
用させると、短時間内にイソマルトトリオースを主体と
したイソマルトオリゴ糖を効率よく生成・取得できるこ
とが判明した。
[実施例] 次に、以下の実施例により、本発明を具体的に説明す
る。
実施例1 粗酵素液の調製1 1.0% デキストラン(名糖70)、0.2%NH4NO3、0.1
%KH2PO4、0.05%MgSO4・7H2O、0.04%CaCl2・2H2O、0.
3% ポリペプトン、0.3% イーストエクストラクトか
らなる培養培地(pH5.5)3を、5のジャーファー
メンターに仕込み、糸状菌Fusarium sp.を1.1vvm、110r
pmにて25℃、5日間培養した。培養後、培養液を高速冷
却連続遠心分離にかけて菌体を除去し、無細胞上清液を
得た。この上清液は5.2単位/mlのデキストラナーゼを含
有していた。本活性は前述したブレビバクテリウム属の
生産するデキストラナーゼ(4.2単位/ml)と比較して明
らかに高い。
実施例2 粗酵素液の調製2 実施例1で得られた除菌液を30〜60%濃度の冷エタノ
ールで処理し、生じた沈澱を25mM McIlvaine緩衝液(pH
6.4)に溶解せしめ、粗酵素液50mlを得た。この酵素液
は58.1単位/mlのエンドデキストラナーゼ活性を含有し
ていた。
実施例3 酵素の精製 実施例2で得られた粗酵素液のうち、48.4mlを25mM M
cIlvaine緩衝液(pH6.4)で充分に平衝化したDEAE−ト
ヨパール650Sを充填したカラム(4.4×55cm)にのせ、
本酵素を吸着せしめた後、100mM McIlvaine緩衝液(pH
6.1)にて溶出される活性画分を集めた。この活性画分
を濃縮・透析後、25mM McIlvaine緩衝液(pH6.4)で充
分に平衡化したバイオゲルP−100を充填したカラム
(1.8×120cm)にのせ、ゲル濾過を行った。得られた単
一の活性画分を集め、コロジオンバッグで濃縮し、精製
エンドデキストラナーゼを得た。本精製酵素について、
ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)およびSDS−
ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)を行っ
たところ、それぞれ単一のタンパク質染色バンドのみが
認められた。これらの精製操作によって、本エンドキデ
キストラナーゼが電気泳動的に均一な標品にまで精製さ
れたことが明らかとなった。
以上の酵素精製過程に伴う総タンパク質量、酵素の総
活性量、活性回収率、比活性等の変化を第1表に示す。
この表に示されるように、3の培養上清液より、本酵
素の精製標品16.5mgを活性回収率86.7%で得た。本精製
酵素標品の力価(比活性)は152単位/mgタンパク質であ
った。また、本精製酵素は前記の性質を有していた。
実施例4 10gのデキストランT2000(ファルマシア社製)を12.5
mM McIlvaine緩衝液(pH6.4)250mlに溶解し、Fusarium
sp.起源のエンドデキストラナーゼを基質1mg当り0.085
単位添加し、35℃で30分間、1、3、6、18、27時間そ
れぞれ反応を行った。反応液中の生成糖組成の経時的な
変化を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果
を第1図に示す。反応時間30分における生成糖組成は、
イソマルトテトラオース以上のもの約47.8%、イソマル
トトリオース約51%、イソマルトース約1%、グルコー
ス約0.2%であった。さらに、反応時間6時間における
生成糖組成は、イソマルトテトラオース以上のもの約33
%、イソマルトトリオース約61%、イソマルトース約4
%、グルコース約2%の分布を示した。これ以後、反応
時間が経過するにつれてイソマルトトリオースの収率は
若干低下する傾向がみられた。なお、高速液体クロマト
グラフィーの条件は以下の如くである。
カラム:Aminex HPX−42A(7.8mmφ×300mm) 移動相:脱イオン水 流速:0.6ml/min カラム圧:30kg/cm2 カラム温度:70℃ 検出器:示差屈折計、(株)島津製作所製、商品名
「RID−6A」 分析オリゴ糖はデキストランの酸による部分加水分解
物を標準物質として、ペーパークロマトグラフィーおよ
び高速液体クロマトグラフィーにより構造確認を行った
ところ、すべてα−1,6−グルコシド結合からなるイソ
マトルオリゴ糖であった。
実施例5 デキストランT2000(ファルマシア社製)5.0gを0.2
塩酸80mlに溶解し、95℃で4時間加水分解した後に2
水酸化ナトリウムを添加して、pH6.1に調整した。次い
で、脱イオン水を加えて、全量を125mlとした。上記し
たデキストランの部分加水分解物1mg当り精製エンドデ
キストラナーゼ0.085単位を添加し、35℃で30分間、
1、3、6、18時間それぞれ反応を行った。反応液中の
生成糖組成の経時的な変化を高速液体クロマトグラフィ
ーにより分析した。反応時間30分における生成糖組成
は、イソマルトテトラオース以上のもの約19%、イソマ
ルトトリオース約51%、イソマルトース約15%、グルコ
ース約15%であった。さらに、反応時間3時間における
生成糖組成は,イソマルトテトラオース以上のもの約8
%、イソマルトトリオース約60%、イソマルトース約15
%、グルコース約17%の分布を示した。
なお、高速液体クロマトグラフィーの実施条件は実施
例4の場合と同一である。
実施例6 10%ショ糖、0.05% MgSO4・7H2O、0.2% K2HPO4、1
%ポリペプトンからなる溶液培地(pH7.0、1l)に、う
蝕原性連鎖球菌(Streptococcus mutans)を接種し、3
7℃にて5日間静置培養する。培養液中に生成された不
溶性物質を濾別し、脱イオン水にて充分洗浄した。残渣
の懸濁液(約80ml)をロータリーエバポレーターを用い
て減圧濃縮し(60℃)、凍結乾燥を施した。これら一連
の操作を経て、1の培養液より不溶性グルカンの凍結
乾燥標品約1.2gを得た。
上記不溶性グルカンを0.2%含有する25mM McIlvaine
緩衝液(pH6.4)2.4mlに、Fusarium sp.起源の精製エン
ドデキストラナーゼ溶液(2.5単位)を100μl加え、37
℃で反応させた。この反応条件下で経時的に生成される
還元糖をSomogyi−Nelson法を用いて定量した。また、
不溶性グルカン中の全糖をフェノール硫酸法で定量し、
不溶性グルカンの分解率を算出した。
得られた結果を総合すると、Fusarium sp.起源のエン
ドデキストラナーゼは、Streptococcus matansの産生
する不溶性グルカンを約25%分解することが確認され
た。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明の一つによれば、糸状菌
Fusarium sp.の産生する高力価の新規エンドデキストラ
ナーゼを提供することができる。
また、本発明のもう一つによれば、糸状菌フザリウム
Fusarum)属に属する上記エンドデキストラナーゼ生
産菌またはその突然変異株を培養して、培養物中からエ
ンドデキストラナーゼを高収率で工業的に得ることがで
きる。
更に、本発明のもう一つによれば、上記エンドデキス
トラナーゼをデキストランに作用させて、イソマルトト
リオースを主体とするイソマルトオリゴ糖を効率的に生
成させることができる。
そのイソマルトオリゴ糖は、難う蝕性甘味料、保湿
剤、または腸内のビフィズス菌を活性化する因子などと
して、食品工業、化粧品工業等で有効に利用し得るもの
である。
更に、本発明のエンドデキストラナーゼは、Streptoc
occus mutansの産生する不溶性グルカン分解能力をも
有するので、歯磨き剤、義歯洗浄剤、口臭除去剤などの
口腔衛生関連商品への利用も可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は2%デキストランT2000溶液を基質として、精
製エンドデキストラナーゼを作用させた場合の生成糖組
成の経時変化を示す図である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 9/00 - 9/99 C12P 19/16 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の理化学的特性を有することを特徴と
    する新規エンドデキストラナーゼ。 (1)作用 本酵素はデキストランをエンド様式で加水分解し、主と
    してα−イソマルトトリオースを生成する。 (2)基質特異性 本酵素は主として細菌性多糖デキストランを加水分解す
    る。 (3)至適pH及び安定pH範囲 本酵素はpH4.0〜11.5の広範囲で作用し、至適pHは6.4付
    近にある。また、pH4.5〜10.0の範囲で安定である。 (4)作用温度範囲及び至適作用温度 本酵素は温度20〜55℃の範囲で作用し、至適作用温度は
    35℃付近である。 (5)温度安定性 本酵素をpH6.4で、10分間各種温度で加熱処理すると、4
    5℃までは100%、50℃で約25%の残在活性を示し、55℃
    でほぼ完全に失活する。 (6)分子量 本酵素の分子量は約88,000である。 (7)等電点(pI) 本酵素の等電点は4.50である。 (8)アミノ酸組成(モル比%) アルギニン4.24、リジン4.31、ヒスチジン2.15、フェニ
    ルアラニン4.04、チロシン3.73、ロイシン6.82、イソロ
    イシン5.87、メチオニン0.47、バリン7.56、アラニン9.
    16、グリシン8.69、プロリン6.34、グルタミン酸8.08、
    セリン6.51、スレオニン7.31、アスパラギン酸12.26、
    トリプトファン1.94、シスチン0.52
  2. 【請求項2】糸状菌フザリウム(Fusarium)属に属する
    請求項1記載のエンドデキストラナーゼ生産菌またはそ
    の突然変異株を培養培地に接種して、所定の培養条件下
    で培養し、該培養物からエンドデキストラナーゼを採取
    することを特徴とするエンドデキストラナーゼの製造方
    法。
  3. 【請求項3】請求項1記載のエンドデキストラナーゼ
    を、デキストランに作用させて、イソマルトトリオース
    を主体とするイソマルトオリゴ等を生成させることを特
    徴とするイソマルトオリゴ糖の製造方法。
  4. 【請求項4】前記エンドデキストラナーゼを、この酵素
    を含む培養物、この培養物から調製された粗酵素液、ま
    たは精製酵素として作用させる請求項3記載のイソマル
    トオリゴ糖の製造方法。
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