JPH0748996B2 - 新規なアルカリプロテアーゼとその製造方法 - Google Patents

新規なアルカリプロテアーゼとその製造方法

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JPH0748996B2
JPH0748996B2 JP4090135A JP9013592A JPH0748996B2 JP H0748996 B2 JPH0748996 B2 JP H0748996B2 JP 4090135 A JP4090135 A JP 4090135A JP 9013592 A JP9013592 A JP 9013592A JP H0748996 B2 JPH0748996 B2 JP H0748996B2
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知彦 柴田
久男 松田
平 堤
英雄 鈴木
洋一 新村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、新規なアルカリプロ
テアーゼとその製造方法に関し、更に詳しくはキサント
モナス属の一菌株を培養することによって生産され、ア
ルカリ条件下、比較的低温度(室温〜約40℃)にても酵
素活性を有する細菌アルカリプロテアーゼとその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルカリプロテアーゼは、バチルス属、
ストレプトマイセス属、アスペルギルス属等の微生物を
利用して生産されるものが知られている。
【0003】このアルカリプロテアーゼは、食品加工、
洗浄剤、皮革工業等の分野に利用されているだけでな
く、フィルムからの銀回収、醸造工業等の分野でも広く
使用されている。
【0004】ところで、近年食肉の軟化剤、洗浄剤を始
めとして低温もしくは室温でアルカリプロテアーゼを使
用する分野が増大しており、これに伴って低温もしくは
室温で使用できるアルカリプロテアーゼと、低温もしく
は室温で有効に増殖するアルカリプロテアーゼ生産菌の
開発が期待されている。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】しかし、従来のアル
カリプロテアーゼは至適温度が高く、耐熱性に特徴があ
り、現在、より低温で活性を有するアルカリプロテアー
ゼとして市販されているアルカリプロテアーゼ(商品名
APJ-21:昭和電工製) についても、低温領域における活
性は必ずしも満足できるものでない。
【0006】この発明は、低温領域において充分な酵素
活性を有するアルカリプロテアーゼとその製造方法を提
供することを目的とする。
【0007】
【問題点を解決するための手段】本発明者らは、低温領
域で充分な洗浄効果を有するアルカリプロテアーゼの生
産、更に低温培養で効率よくアルカリプロテアーゼを生
産させる方法について鋭意研究を重ね、広く自然界より
アルカリプロテアーゼ生産菌を検索した結果、キサント
モナス属に属する一菌種が、前記性質において優れたア
ルカリプロテアーゼを培地中に生産することを見出し、
この発明を完成するに至ったものである。
【0008】即ち、従来の菌株では一般に酵素の生産は
30℃以上の培養温度が普通であるが、この発明のキサン
トモナス菌株は10〜25℃の温度領域で培養され、15℃の
培養温度でアルカリプロテアーゼの生産が最大となり、
低温領域で活性を有するアルカリプロテアーゼが得られ
る。
【0009】この発明のアルカリプロテアーゼを産生す
る分離菌株の菌学的性質について、以下に示す。 A.形態的性質 肉汁寒天培地上で30℃、2日間培養した時、以下の形態
的特徴が観察された。 1) 細胞の形 :桿菌 大きさ :− コロニーの大きさ :直径 0.5mm 2) 運動性 :有り 3) 胞子 :形成されない 4) グラム染色 :陰性
【0010】B.生理的性質 1) 硝酸塩の還元 :− 2) インドール生成 :− 3) アルギニンデハイドラーゼ:− 4) ウレアーゼ :− 5) β−ガラクトシダーゼ :+ 6) オキシダーゼ :− 7) カタラーゼ :+ 8) ゼラチンの加水分解 :+ 9) ツィーン80の加水分解 :− 10) OFテスト :− 11) 生育の温度範囲 :37℃以上 12) グルコースからの酸生成 :− 13) マルトースからの酸生成 :− 14) 糖類及び有機酸の消化性 グルコース :+ カプロン酸 :− アラビノース :− マレイン酸 :+ マンニット :− クエン酸 :+ マルトース :+ フェニル酢酸 :− マンノース :+ アジピン酸 :− グルコン酸 :−
【0011】以上の菌学的性質からこの菌株は、キサン
トモナス属に属するとみなされる。したがって、本菌株
をキサントモナス・エスピー(Xanthomonas sp.) S-1 と
命名し、工業技術院微生物工業技術研究所に寄託した。
寄託番号は微工研寄託 菌寄第12087 号である。
【0012】この発明に使用する微生物としては、上記
キサントモナス・エスピー(Xanthomonas sp.) S-1(微工
研寄託 菌寄第12087 号) が挙げられるが、この菌だけ
に限らずキサントモナス属に属し低温領域でアルカリプ
ロテアーゼを生産する菌は全てこの発明において使用す
ることができる。
【0013】この発明においてアルカリプロテアーゼを
生産する培地としては、通常の微生物の培養に用いられ
るもので、本菌株に利用可能なもので有れば良く、炭素
源としてはデンプン、デキストリン、糖蜜、グルコー
ス、無機塩としてはリン酸2ナトリウム、硫酸マグネシ
ウム等の塩類や炭酸塩を加えてアルカリ性培地が好まし
く、窒素源としては硝酸ナトリウム、尿素、有機窒素源
等が使用される。
【0014】培養温度は10〜25℃の範囲にあり、好まし
くは12〜17℃である。培養pH7.0〜9.0 の範囲にあ
り、好ましくはpH8.2 〜8.7 である。但し、この条件
に限定されるものではない。培養は通常48〜96時間培養
することにより、培養液中にアルカリプロテアーゼが蓄
積される。
【0015】培養終了後、培養液より遠心分離及び濾過
などの一般的な固液分離手段により菌体及び不溶物を除
いて粗酵素液を得る。このようにして得られた粗酵素液
を硫安塩析によりアルカリプロテアーゼを得る。このま
まで使用するか、更に透析、有機溶媒分別法、カラムク
ロマト等公知の精製法により精製しても良い。
【0016】この発明に係るアルカリプロテアーゼの単
離精製方法の一例を、図1に示す。これによれば先ず、
微生物培養液を遠心分離してその上清を硫安塩析にか
け、得られた沈殿物をリン酸緩衝液(pH6.0)に溶解
し、同緩衝液にて透析する。
【0017】次にこの溶液を疎水クロマトグラフィーに
かけ、硫安(14 〜0%) を含むリン酸緩衝液で溶出し、活
性画分を集め、得られた活性画分をリン酸緩衝液(pH
7.0)にて透析する。
【0018】この透析液をカチオン交換クロマトグラフ
ィーにかけ、リン酸緩衝液で洗浄後、塩化ナトリウム(0
〜0.3M) を含む同緩衝液で溶出し、活性画分を集め、更
にこの溶液をトリス−塩酸緩衝液( pH8.0)で透析後、
ゲル濾過クロマトグラフィーにかけ、同緩衝液で溶出さ
せ、活性画分を集める。
【0019】最後に、この溶液をSDS(ドデシル硫酸
ナトリウム)を用いないポリアクリルアミド電気泳動に
かけ、活性画分を切り出し核酸蛋白回収器マックスイー
ルド−NPにて抽出、精製されたアルカリプロテアーゼ
(以下、S酵素と称す)を得る。
【0020】得られたアルカリプロテアーゼの物理化学
的性質は次の通りである。 (1) 作用:高アルカリ条件下で各種の蛋白質を分解す
る。 (2) 基質特異性:難溶性蛋白質、特にツエインに対して
特異性を示す。 (3) 至適pH:pH10.5〜12である。 (4) 安定pH範囲:相対活性90% 以上としたときpH7
〜12である。 (5) 至適温度:温度45℃である。 (6) 耐熱性:pH10.5で30℃迄活性を維持する。 (7) 吸収スペクトル:pH8.0 の50mMトリス−塩酸緩衝
液中において紫外領域275 nmに極大吸収を示す。 (8) 金属イオンの影響:Caイオンで活性の熱安定性が増
す。 (9) 阻害剤の影響:イソプロピルフルオロン酸(DF
P)、フェニルメタンスルフォニルフルオリド(PMS
F)による活性の阻害が、エチレンジアミンテトラアセ
テート-2Na( EDTA−2Na)、P−クロロマーキュ
リー安息香酸(PCMB)による活性阻害に比べて高
い。 (10)分子量:36000(ゲル濾過法) (11)等電点:9.1 (エレクトロフォーカシング法)
【0021】以上で明らかなように、この発明によれば
比較的低温領域で活性なアルカリプロテアーゼをキサン
トモナス属の菌株より低温培養で効率よく生産すること
ができる。
【0022】
【実施例】以下、実施例によりこの発明を具体的に説明
する。 実施例1 (a)菌株の培養 カゼイン0.5%、グルコース0.5%、酵母エキス0.2%、リン
酸ナトリウム0.6%、塩化カリウム0.1%、硫酸マグネシウ
ム0.01% を120 ℃にて20分間滅菌した後、滅菌済の0.1M
炭酸ナトリウム緩衝液(pH10.5)を最終濃度0.25% となる
ように加え、初発pHを8.5 に合わせ培養液を調整し
た。 該培養液5ml を試験管( Φ18×180mm)に分注し、 キ
サントモナスエスピー(Xanthomonas sp.)S-1株を接種
し、 該培養液を15℃で20時間好気的に振盪培養し、 種培
養液を調整した。該種培養液を同じ組成の培地各100ml
の入った500ml コルベン10本に加え15℃で72時間好気的
に振盪培養した。 得られた培養液1000ml(270PU/ml)を遠
心分離により除菌し、 上清を得た。
【0023】(b)酵素の精製 このようにして得られた培養上清を冷却攪拌しながら70
% 飽和度になるように硫安を添加すると、アルカリプロ
テアーゼが析出した。該沈殿物を遠心分離により回収
し、該沈殿物を10mMリン酸緩衝液(pH6.0)50ml に溶解
し、該溶液を透析膜に入れ、同緩衝液にて透析した。こ
こに70mlの粗酵素液(270PU/ml,比活性490PU/mg−タンパ
ク)を得た。得られた透析液に硫安を14% 濃度になるよ
うに添加し、硫安14% を含む同緩衝液で平衡化したブチ
ルTOYOPEARL650( 東ソ−社製)を充填したカラムに該溶
液をかけ、疎水クロマトを行い、活性画分を集めたとこ
ろ全量は、310ml、活性は、500PU/ml, 比活性は、2270PU/
mg−タンパクであった。
【0024】ここまでの精製度は、10倍, 回収率は、60%
であった。次に、該活性画分を20mMリン酸緩衝液(pH7.
0) で透析を行い、同緩衝液で平衡させたCM−セファ
デックスC−50(ファルマシア社製)を充填したカラ
ムに該溶液を展開させ、同緩衝液で比吸着分を溶出させ
吸着分を塩化ナトリウム(0〜0.3M) を含む同緩衝液で溶
出させ、活性画分を集めたところ全量は70ml, 活性は15
00PU/ml,比活性は、2500PU/mg −タンパクであった。こ
こまでの精製度は、11倍、 回収率は、41%であった。
【0025】更に、該活性画分を濃縮し50mMトリス−塩
酸緩衝液(pH8.0) で透析を行い、該溶液をセファデック
スG−75(ファルマシア社製)のゲル濾過クロマトグ
ラフィーにかけ、同緩衝液で展開させた。得られた活性
画分をSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を用いないポ
リアクリルアミド電気泳動にかけ、活性画分を切り出し
核酸蛋白回収器マックスイールドーNPにて抽出し、活
性4400PU/ml,比活性3150PU/mg-タンパクの溶液4ml を得
た。 この精製過程を下記表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】次に、精製された酵素を試料としたゲル濾
過クロマトグラフィーの溶出曲線を図2に示す。ここ
で、充填剤としてはセファデックスG−75を用い、溶
出液には50mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0) を用いて展開
した。
【0028】また、精製された酵素を試料とした高速液
体クロマトグラフィーの溶出曲線を図3に示す。ここ
で、機種はショーデックスKB804 (昭和電工社製)カラ
ムを装着した島津LC−6Aを用い、溶出液は50ml塩化
ナトリウムを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.0) を用いた。
図2、図3より明らかなように、上記の精製によりこの
発明に係る酵素(S酵素)は完全に精製された。
【0029】(1)紫外線スペクトル 50mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0) で透析した上記試料の
紫外線吸収スペクトルを図4に示す。これより明らかな
ように、この発明に係る酵素は275nm の波長で極大吸収
を示す。
【0030】(2)分子量 精製した酵素について分子量をゲル濾過クロマトグラフ
ィーにより測定した。ここで、充填剤としてはセファデ
ックスG−75(ファルマシア社製)を用い、50mMトリ
ス−塩酸緩衝液(pH8.0) を溶出液とした。標準蛋白とし
て、オボアルブミン[ 分子量43000]、キモトリプシノー
ゲンA[ 分子量25000]、リボヌクレアーゼA[ 分子量13
700]の蛋白を用いて検量線を作成した。この検量線を図
5に示す。この方法によりこの発明に係る酵素の分子量
は36000 と決定した。
【0031】(3)等電点 この発明に係る酵素の等電点をエレクトロフォーカシン
グ法で調べた。ここで、キャリアアンフォライトにBio-
Lyte3/10アンフォライトを用いた。この方法によりこの
発明に係る酵素の等電点は9.1 と決定した。
【0032】(4)公知酵素との比較 この発明に係る酵素の各種性状を公知のアルカリプロテ
アーゼと比較して表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】実施例2 普通寒天培地にキサントモナス・エスピー(Xanthomonas
sp.) S-1(微工研寄託菌寄第12087 号) を接種し、15℃
で3 日間培養する。次にミルクカゼイン1%、塩化カリウ
ム0.2%、硫酸マグネシウム0.02% 、グルコース1%、酵母
エキス0.4%、リン酸2ナトリウム1.2%を含む液体培地を
120 ℃にて20分間滅菌した後、別途滅菌した0.1M炭酸ナ
トリウム緩衝液(pH10.5)を容量比0.25% 添加し、pH8.5の
培養液を調製した。この培養液を500ml 容振盪フラスコ
に100ml 分注し、 上記培養した種菌を1白金耳接種し、
10℃、15 ℃、23 ℃、30 ℃の各温度で72時間振盪培養し
た。24時間ごとにpH, 菌体濃度(OD860nmの吸光値),酵
素活性を測定し、各培養温度での最大菌体濃度値及び最
大酵素活性値を下記表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】なお、アルカリプロテアーゼの酵素活性測
定方法はアンソン−萩原変法を用いる次の方法で行なっ
た。30℃に保温した2%カゼイン溶液(pH10.5)1.0ml に適
宜希釈した酵素1.0ml を加え10分間反応させた後、トリ
クロロ酢酸混液4.0ml を加えて反応を停止させ、30℃20
分間放置し、東洋濾紙No.6で濾別後、濾液1.0ml に0.4M
- 炭酸ナトリウム溶液5.0ml を加え、これに5倍希釈し
たフォリン試薬1.0mlを加えて30℃で20分間放置し、660n
mでの吸光度を測定する。前記条件下で1分間にチロシ
ン1 μg 相当量を遊離させる酵素量を1単位(pu)とす
る。
【0037】以上表3に示した結果より明らかなよう
に、キサントモナス・エスピー(Xanthomonas sp.) S-1
(微工研寄託菌寄第12087 号) では培養温度10〜15℃程
度の比較的低温の培養温度でアルカリプロテアーゼの最
大活性値が得られた。
【0038】実施例3 培養温度を15℃に設定する以外は実施例2と同じ条件で
6本培養し、得られた培養液480ml を遠心分離により徐
菌し、上澄液460ml(350PU/ml) を得た。この上澄液に硫
安を加え70% 飽和とし、アルカリプロテアーゼを析出さ
せ、遠心分離により塩析物を回収した。この塩析物を50
mMトリスーHCl 緩衝液(pH8.0) 5ml に溶解し、該溶液を
透析膜に入れ、該緩衝液にて1夜透析し、15mlの粗酵素
液(8,050PU/ml)を得た。この粗酵素液を上記同様な精製
方法で精製し、この精製された酵素を使用して、以下ア
ルカリプロテアーゼの物理化学的性質を調べた。
【0039】(1)作用(アルカリ条件下における各種
蛋白質の分解率) 測定条件 pH :10.5(10mM ホウ砂-NaOH 緩衝液) 温度 :30℃ 反応条件:30分間 基質濃度:1% 酵素量 :30PU/ml 蛋白質分解率の測定は、アンソン−萩原変法に従い、各
基質と所定の条件で反応させた後、直ちにBio-Rad のPr
otein Assay Kit を用い蛋白質量を測定し、未反応分と
の比により分解率を求めた。その結果を下記表4に示す
が、この表よりこの発明に係る酵素は、難溶性蛋白であ
るツエインをよく加水分解することが明らかである。
【0040】
【表4】
【0041】(2)至適pH及び安定pH範囲 至適pHは、カゼイン1%を含む各pHの緩衝液に酵素を
30PU/ml となるように加え、30℃で10分間反応させ、 各
pHにおける活性を測定することにより求めた。図6に
至適pHでの活性を100 とした時の各pHでの相対活性
として示す。
【0042】また、安定pH範囲は各pHの緩衝液に酵
素を210PU/mlとなるように加え、15℃で24時間インキュ
ベートした後、30℃,pH10.5 で活性を測定することによ
り求めた。図7にインキュベート前のpH10.5における活
性を100 とした時の相対活性として示す。なお、使用し
た緩衝液及びそのpH範囲は以下の通りである。
【0043】 pH範囲 緩衝液 pH 3〜7 McIlvaine pH 7〜9 トリス−HCl pH 9 ホウ砂−HCl pH 10 〜12 ホウ砂−NaOH
【0044】図6、図7から明らかなように、至適pH
は10.5〜12である。また、安定pH範囲は相対活性90%
以上としたときpH7 〜12である。
【0045】(3)至適温度及び耐熱性 至適温度は、基質として1%カゼインを含むpH10.5の緩衝
液に酵素を加え、10分間各温度で反応させ、活性を測定
することにより求め、至適温度での活性を100とした時
の各温度との相対活性を図8に示す。
【0046】耐熱性は、50mMトリス−HCl 緩衝液(pH8.
0) に210PU/mlの酵素を加え、各温度で3時間熱処理
し、氷冷した後、30℃,pH10.5 で活性を測定することに
より求め、熱処理前のpH10.5における活性を100 とした
時の相対活性として図9に示す。
【0047】Ca2+塩添加( Ca2+塩添加量:5mM) による耐
熱性の向上を下記表5に示す。
【0048】
【表5】
【0049】図8、図9から明らかなように至適温度は
45℃であり、30℃の温度まで活性が維持される。更
に、表5に示すごとくCa2+5mM添加により、耐熱
性は約10℃向上した。
【0050】(4)金属イオンの影響 下記測定条件の下で各緩衝液に一定量の本酵素液を加
え、各種金属塩を1mM 添加25℃恒温槽で1 時間保温後、
酵素の残存活性を測定し、金属塩無添加の活性を100 と
したときの相対活性を下記の表6に示す。
【0051】測定条件 pH :7.0(20mMトリス−HCl 緩衝液) pH :10.5(10mM ホウ砂-NaOH 緩衝液) 温度 :30℃ 反応時間:10分間 基質 : 1% カゼイン溶液(各緩衝液で調整)
【0052】
【表6】
【0053】表6より明らかなように、この発明に係る
酵素液はpH7.0 の条件で3価の鉄イオンに、pH10.5の条
件で水銀イオンに強く活性を阻害される他は、他の金属
イオンには活性を殆ど阻害されることはなかった。
【0054】(5)阻害剤の影響 下記測定条件の下で20mMトリス-HCl緩衝液(pH7.0) にこ
の発明で得られた酵素液を加え、各阻害剤を所定濃度添
加して25℃で30分間処理した後、酵素の残存活性を測定
し、阻害剤無添加の活性を100 としたときの相対活性を
下記表7に示す。
【0055】測定条件 pH :7.0(20mMトリス−HCl 緩衝液) 温度 :30℃ 反応時間:10分間 基質 : 1% カゼイン溶液(上記緩衝液で調整)
【0056】
【表7】
【0057】表7から明らかなように、この発明に係る
酵素はセリンプロテアーゼ阻害剤のジイソプロピルフル
オロリン酸(DFP)やフェニルメタンスルフォニルフ
ルオリド(PMSF)による活性の阻害が、金属プロテ
アーゼ阻害剤のエチレンジアミンテトラアセテート-2Na
(EDTA−2Na)やSHプロテアーゼ阻害剤のパラ
クロロマーキュリー安息香酸(PCMB)による活性の
阻害に比べ高いため、この発明に係る酵素は活性中心に
セリン残基を持つセリンプロテアーゼであると推定され
る。
【0058】また動物起源のセリンプロテアーゼである
キモトリプシンの阻害剤、トシルフェニルアラニンクロ
ロメチルケトン(TPCK)或はトリプシンの阻害剤、
トシルリシンクロロメチルケトン(TLCK)によって
殆ど活性は阻害されないことが明かとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る酵素の精製過程を示すフローシ
ート
【図2】ゲル濾過クロマトグラフィーの溶出曲線を示す
グラフ
【図3】高速液体クロマトグラフィーの溶出曲線を示す
グラフ
【図4】紫外線領域吸収スペクトルを示すグラフ
【図5】分子量決定の際の検量線を示すグラフ
【図6】実施例3で得られた酵素液の至適pHを示す図
【図7】実施例3で得られた酵素液の安定pH範囲を示
す図
【図8】実施例3で得られた酵素液の至適温度を示す図
【図9】実施例3で得られた酵素液の耐熱性を示す図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山屋 陽子 北海道網走市南5条西4丁目 (56)参考文献 CUR.MICROBIOL.22 (1991)P.85−90

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の理化学的性質を有するアルカリプ
    ロテアーゼ (1)作用:高アルカリ条件下で各種の蛋白質を分解す
    る。 (2)基質特異性:難溶性蛋白質のツェインを加水分解
    する。 (3)至適pH:pH10.5〜12である。 (4)安定pH範囲:相対活性90%以上としたときp
    H7〜12である。 (5)至適温度:温度45℃である。 (6)耐熱性:pH10.5で30℃活性を維持する。 (7)吸収スペクトル:pH8.0の50mMトリス−
    塩酸緩衝液中において紫外領域275nmに極大吸収を
    示す。 (8)金属イオンの影響:Caイオンで活性の熱安定性
    が増す。 (9)阻害剤の影響:エチレンジアミンテトラアセテー
    ト−2Na(EDTA−2Na)、P−クロロマーキュ
    リー安息香酸(PCMB)による活性阻害が低い。 (10)分子量:36000(ゲル濾過法) (11)等電点:9.1(エレクトロフォーカシング
    法)
  2. 【請求項2】 キサントモナス・エスピー(Xanth
    monas SP.)S−1(微工研寄託 菌寄120
    87号)の菌株を培養温度10〜25℃、培養pH7.
    0〜9.0の範囲で栄養培地にて培養し、培養物から特
    許請求の範囲第1項記載のアルカリプロテアーゼを採取
    することを特徴とするアルカリプロテアーゼの製造方
    法。
JP4090135A 1991-03-26 1992-03-17 新規なアルカリプロテアーゼとその製造方法 Expired - Lifetime JPH0748996B2 (ja)

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