JPH10248564A - ケラチン分解能を有するプロテアーゼEK3および細菌Xanthomonas maltophilia EK3株 - Google Patents

ケラチン分解能を有するプロテアーゼEK3および細菌Xanthomonas maltophilia EK3株

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JPH10248564A
JPH10248564A JP9059491A JP5949197A JPH10248564A JP H10248564 A JPH10248564 A JP H10248564A JP 9059491 A JP9059491 A JP 9059491A JP 5949197 A JP5949197 A JP 5949197A JP H10248564 A JPH10248564 A JP H10248564A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ケラチン分解能を有するプロテアーゼの提
供。 【解決手段】 下記の理化学的性質を有するプロテアー
ゼ。(a) 作用及び基質特異性:カゼイン並びにヒト及び
動物の毛髪由来のケラチンを分解する。カゼイン分解活
性よりもケラチン分解活性の方が高い。(b) 至適pH:
pH10.0のアルカリ条件で最大活性を示す。pH7
の中性付近で、約60%の活性を有する。(c) pH安定
性:温度30℃の条件下で1時間保持した場合、pH1
0ではほとんど失活せず、pH6〜9で約70%の活性
を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】発明の分野 本発明は、低温およびアルカリ条件下でケラチン分解能
を有するプロテアーゼ及びその用途ならびにプロテアー
ゼを産生する微生物に関する。
【0002】背景技術 ケラチンなどの不溶性タンパク質を分解するプロテアー
ゼとしては、従来からケラチナーゼが知られている。こ
れらはいずれもカゼインなどの水溶性タンパク質を分解
する活性が高く、ケラチンに特異的に作用するプロテア
ーゼは本発明者らが知る限り報告されていない。
【0003】一方、低温細菌は、古くから知られてお
り、その存在は低温の環境下で広く確認されている。土
壌、魚介類、乳製品に加え、人為的にコントロールされ
た低温環境などからも見いだされている。食品微生物学
によって低温性細菌の研究が進んでいたが、これは系統
学にもとづくものであり、生態や機能などに関したもの
ではなかった。
【0004】低温細菌から得られる酵素は、低温に最適
温度を持つ低温酵素であることが期待される。この低温
酵素はたとえば衣料用洗剤に添加されて、低温でも効率
良く作用する洗剤としての応用が期待されている。また
高温での処理が困難である食品工業において、食品の品
質改善への利用も期待されている。更に、低温細菌由来
の酵素を検討することは、低温細菌の生理学的機能並び
に低温およびアルカリ条件下での適用機構を解明する上
で意義深いと思われる。
【0005】
【発明の概要】今般、発明者らは、Xanthomonas maltop
hilia EK3株の培養上清からケラチン分解能を有する
プロテアーゼを単離、精製し、このプロテアーゼが低温
アルカリ条件下で酵素活性を有することを見いだした。
本発明は、かかる知見に基づくものである。
【0006】従って、本発明は、ケラチン分解能を有す
るプロテアーゼの提供をその目的とする。
【0007】また、本発明は、前記プロテアーゼを産生
する微生物の提供をその目的とする。
【0008】更に、本発明は、上記微生物を用いた上記
プロテアーゼの製造法の提供をその目的とする。
【0009】本発明によるケラチン分解能を有するプロ
テアーゼは、下記の理化学的性質を有することを特徴と
する。
【0010】(a) 作用及び基質特異性:カゼイン並びに
ヒト及び動物の毛髪由来のケラチンを特に分解する。カ
ゼイン分解活性よりもケラチン分解活性の方が高い。 (b) 至適pH:pH10.0のアルカリ条件で最大活性
を示す。pH7の中性付近で、約60%の活性を有す
る。 (c) pH安定性:温度30℃の条件下で1時間保持した
場合、pH10ではほとんど失活せず、pH6〜9で約
70%の活性を有する。 (d) 至適温度:pH10.5で50℃である。 (e) 温度安定性:pH10.5で1時間保持した場合、
10℃では活性の低下は見られず、30℃において約4
0%の失活が見られた。50℃以上では時間とともに急
速に失活し、1時間保持した場合には60%以上失活し
た。 (f) ゲルクロマトグラフィーによる分子量が約30kD
aである。
【0011】本発明によるケラチン分解能を有するプロ
テアーゼの製造法は、このプロテアーゼを産生する微生
物を培養し、その培養物からこのプロテアーゼを採取す
ることを含んでなるものである。
【0012】さらに、本発明による微生物は上記のケラ
チン分解能を有するプロテアーゼを産生するXanthomona
s maltophilia EK3株である。
【0013】
【発明の具体的説明】微生物 本発明によるケラチン分解能を有するプロテアーゼは、
微生物を用いて生産できる。その生産菌としてはXantho
monas 属に属し、かつ上記の性質を有するプロテアーゼ
を産生するものであればよい。
【0014】本発明によるプロテアーゼを産生する能力
を有する微生物の好ましい具体例としては、Xanthomona
s maltophilia EK3株が挙げられる。この菌株は、本
発明者が動物園の土壌(ゾウ舎)から単離した微生物で
あり、工業技術院生命工学工業技術研究所に平成9年1
月31日付けで受託番号FERM BP−5806のも
と寄託された。
【0015】本発明によるXanthomonas maltophilia E
K3株の微生物学的性質は下記の通りである。 (1)形態的性質 運動性を持ち、球菌の形態を持つ。 (2)培地上での性状 寒天培地上および液体培地で生育し、白色を呈する。 (3)生育最適条件 生育温度は10℃〜30℃で生育し、20℃で良好に生
育する。 (4)菌体外に放出されるプロテアーゼ 20℃または30℃で生育された菌体からいずれもプロ
テアーゼが放出される。 (5)好気性または嫌気性の区別 生化学的試験から通性嫌気性と判断される。 (6)グラム染色 グラム染色による測定から陰性と認められる。 (7)生化学的性状 Xanthomonas maltophilia EK3株の主な生化学的性状
は下記に示される通りである。
【0016】 試験項目 結 果 オキンダーゼテスト − OF(Oxidation termentation)テスト − 硝酸塩 − トリプトファン − グルコース(オイルで覆われた) − アルギニンジヒドロラーゼ(オイルで覆われた) − ウレアーゼ(オイルで覆われた) − エスクリン + ゼラチン + p−ニトロ−フェニル−β−D−ガラクトピラノシド + グルコース + アラビノース − マンノース + マンニトール − N−アセチル−グルコサミン + マルトース + グルコン酸塩 − カプリン酸塩 − アジピン酸塩 − マレイン酸塩 + クエン酸塩 + フェニル酢酸塩 −
【0017】以上の性質から、単離された微生物は、Xa
nthomonas maltophilia (99.9%)と判断される。
結果は、アピ20NE(日本ビオメリュー・バイテック
株式会社)のプロファイルインデックスによる。
【0018】微生物の培養 本発明に使用される菌株の培養にあたっては、培地は液
体でも固体でも良いが、通常は、液体培地による振盪培
養、又は通気攪拌培養が用いられる。
【0019】この微生物を培養する培地としては、生育
に適しプロテアーゼを生産しうるものであればどのよう
なものでも良い。すなわち、炭素源としては、例えば、
グルコース、トレハース、フルクトース、マルトース、
シュクロース、デンプン、マルトオリゴ糖等が用いられ
る。窒素源としては、例えば、ペプトン、酵母エキス、
麦芽エキス、肉エキス、大豆粉、綿実粉、コーンスティ
ープリカー、各種アミノ酸類、及びその塩類、硝酸塩等
が用いられる。その他、リン酸マグネシウム、カルシウ
ム、ナトリウム、カリウム、鉄、マンガン等の無機塩
類、さらに、必要に応じてその他の栄養物をほど良く含
有する合成培地、又は天然培地を使用することができ
る。
【0020】培地のpH、培養温度などの培養条件は、
プロテアーゼを生産する範囲内で適宜変更し得るが、液
体振盪培養、又は通気攪拌培養の場合は、pH10、温
度は20℃の培養が適当である。
【0021】本発明において利用されるプロテアーゼは
培養液中をはじめ、菌体の細胞壁、菌体内にも存在す
る。またこのプロテアーゼは菌体内および菌体外に放出
された粗酵素、あるいは抽出精製酵素または直接菌体の
形態で使用することができる。あるいはこれらの酵素を
担体に固定化して使用することもできる。
【0022】酵素の採取 上記培養液からの本発明によるプロテアーゼの採取およ
び精製には、既知の精製法が単独でもしくは併用して利
用できる。
【0023】本発明によるプロテアーゼは、主として菌
体外、すなわち培養中に分泌されるため、例えば、ろ
過、又は遠心分離により菌体を除去することによって、
容易に粗酵素液を得ることができる。好ましい精製法と
しては、硫安などによる塩析、有機溶媒(例えば、メタ
ノール、エタノール、アセトンなど)による沈殿法、生
デンプンによる吸着法、限外ろ過、ゲルクロマトグラフ
ィー、イオン交換クロマトグラフィー、その他、各種ク
ロマトグラフィーなどが挙げられる。好ましい精製法の
具体例は、後記する実施例において記載する。
【0024】酵素の性質 本発明によるプロテアーゼの性質は、次に示される通り
である。 (a) 作用及び基質特異性:カゼイン並びにヒト及び動物
の毛髪由来のケラチンを特に分解する。カゼイン分解活
性よりもケラチン分解活性の方が高い。すなわち、本発
明によるプロテアーゼはケラチンは特異的に分解する。 (b) 至適pH:pH9.5〜10.5のアルカリ条件で
活性が最大となる。pH7の中性付近でも、約60%を
保持する。至適pHは10.0である。 (c) pH安定性:温度30℃の条件下で1時間保持した
場合、pH10ではほとんど失活せず、pH6〜9で約
70%の活性を有する。 (d) 至適温度:pH10.5の条件下、50℃で最大活
性を示す。40℃では最大活性の約40%、20℃およ
び30℃でも約30%の活性を保持する。 (e) 温度安定性:pH10.5の条件下で1時間保持し
た場合、10℃では活性の低下は見られず、30℃にお
いて約40%の失活が見られた。50℃以上では時間と
ともに急速に失活し、1時間保持した場合には60%以
上失活した。 (f) 分子量:ゲルクロマトグラフィーによって測定した
分子量は約30kDaである。
【0025】酵素の用途 本発明によるプロテアーゼは低温およびアルカリ条件下
で、ケラチン分解能を示す。従って、本発明によるプロ
テアーゼを用いることによって、不溶性タンパク質であ
るケラチンの分解反応を低温において行うことが可能と
なる。例えば、衣料用洗剤組成物に添加することで、ケ
ラチンのような不溶性タンパク質を分解可能な洗剤を提
供することができる。この洗剤組成物は、本発明による
プロテアーゼが添加された以外は、常法に従って構成す
ることができる。すなわち、洗剤用界面活性剤、漂白
剤、ビルダーなど、通常の洗剤組成物と組み合わせて構
成することができる。
【0026】
【実施例】以下に、具体的な実施例を示し、本発明をよ
り詳細に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定さ
れないことは言うまでもない。
【0027】なお、特に断らない限り、以下においてタ
ンパク質量の測定は、色素結合法であるバイオラッドプ
ロテインアッセイ(バイオラッド社)を用いて行った。
また、クロマトグラフィーのタンパク質の検出は、28
0nmの紫外部の吸収を測定することにより行った。
【0028】また、プロテアーゼの活性の測定は、下記
の方法に従って行った。 (a)フェノール試薬法 1%(W/V)基質溶液(ケラチンなど)を含む50m
Mグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH10.5)
0.3mlに対して、試料酵素液0.2ml加え、60
分間30℃で保温した。その後、トリクロロ酢酸溶液
(0.11Mトリクロロ酢酸、0.22M酢酸ナトリウ
ム、0.33M酢酸)を1ml加え反応を止めた。30
分間室温で放置後、遠心(10000rpm、室温、1
0分)し、上清50μlに2%炭酸ナトリウム溶液
(0.001%硫酸銅)0.5mlを加え、30分放置
した。これに蒸留水で2倍希釈したフェノール試薬溶液
を50μl加え、室温で1時間放置後、660nmの吸
収を測定した。
【0029】(b)アゾカゼインによるタンパク質の分
解活性 1%(W/V)アゾカゼインを含む50mMグリシン−
水酸化ナトリウム緩衝液(pH10.5)0.3mlに
対して、試料酵素液0.2ml加え、60分間30℃で
保温した。その後、6%トリクロロ酢酸1mlを加える
ことによって反応を止め、室温で約30分間放置した
後、遠心分離(15000rpm、室温、10分)し
た。その上清を分光光度計を用いて、340nmの吸光
度を測定した。
【0030】実施例1 新規微生物のスクリーニング 新規微生物の分離は、寒天平板培地上で行った。石川県
立動物園のゾウ舎付近で採取した土壌を0.1g生理的
食塩水に懸濁し、その上清を原液とし、この原液の10
2 希釈液を調整した。原液および102 希釈液をスクリ
ーニング用寒天平板培地上(ケラチン 25g/リット
ル、K2 HPO4 0.1g/リットル、NH4 NO3
0.1g/リットル、MgSO4 0.1g/リット
ル、NaCl 0.1g/リットル、CaCl2 0.
1g/リットル、FeCl2 0.1g/リットル、E
DTA 0.1g/リットル、寒天15g/リットル)
に散布し、5、10、または20℃で7日間培養した。
上記の寒天培地上に生育したコロニーのなかで、生育の
良いものを選びこれを継代培養、および保存培地に植菌
した。
【0031】菌体外にプロテアーゼを放出しているかど
うかの確認は寒天培地上で行った。上記のスクリーニン
グ用寒天培地に分離し、20℃、72時間培養した。そ
の後、菌の生育したケラチンの代わりにカゼイン(1
%)を含むレプリカプレート上に10%トリクロロ酢酸
溶液を散布し、コロニーのまわりの透明斑の有無の存在
によりプロテアーゼを菌体外に放出するものかを確認し
た。
【0032】菌の生育活性を安定化させるために、菌株
を下記の培養培地150ml(100ml三角フラスコ
6本に分注)に接種し、20℃、72時間、トリプルシ
ェイカーNR−80(タイテック社)を用いて、140
rpmで回転振盪培養した。本培養は、ラボラトリーフ
ァーメンターLS−5(オリエンタル酵母工業株式会
社)を用いて、下記の培養培地3リットルに前培養液1
50ml接種し、10℃、96時間、140rpmで回
転培養した。
【0033】培養培地の組成 ケラチン 2.5% (W/V) K2 HPO4 0.01% NH4 NO3 0.01% MgSO4 0.01% NaCl 0.01% CaCl2 0.01% FeCl2 0.01% EDTA 0.01% pH10.5 培地等は、主としてオートクレーブで1.2kgf/c
2 gauge(121℃)、15分間、高圧蒸気殺菌
した。
【0034】実施例2 酵素の精製 すべてのプロテアーゼの精製操作は、4℃において行っ
た。 (a)イオン交換クロマトグラフィー 上記実施例1で得られた培養液を、遠心分離(8,00
0×g、4℃、15分)を行い菌体と粗酵素に分けた。
その粗酵素液をイオン交換クロマトグラフィーで精製を
行った。カラムは、DEAE Sepharose Fast Flow陰イオン
交換体(ファルマシアバイオテク社)を2リットル充填
したINdEX100カラム(ファルマシアバイオテク
社)を用いた。上記のカラムに20mM Tris−塩
酸緩衝液(pH9.0)を用いて、線速度(150cm
/h)でゲル体積の5倍以上(10リットル)の緩衝液
をもちいて平衡化した。
【0035】粗酵素液を線速度100cm/hで添加し
た。溶出は、20mM Tris−塩酸緩衝液(pH
9.0)に0.2M、0.4M、および0.6M Na
Clを加えたものをそれぞれ3リットルづつ用いて、線
速度100cm/hで溶出し、UV計でタンパク質が検
出された部分だけを分取した。
【0036】(b)硫安塩析 上記で得られた分画に対し、氷冷下で硫安を80%飽和
になるように加えた。低温室で4℃に保ち一晩ゆっくり
と攪拌した後、遠心分離(18,000×g、4℃、3
0分)して酵素を沈殿させ、飽和分画を得た。硫安の添
加量は、25℃での飽和濃度添加量を用いた。
【0037】(c)ゲル濾過 次に、HiLoad 16/60 Superdex 200 prep gradeカラム
(ファルマシアバイオテク社)を用いてゲル濾過を行っ
た。装置はHiLoad System 50(ファルマシアバイオテク
社)を用いた。HiLoad 16/60 Superdex 200 prep grade
カラムに線速度約60cm/hでゲル体積の3倍以上
(400ml)のTris−塩酸緩衝液(pH9.0)
を流し平衡化した。硫安塩析後の試料酵素液をカラムに
Superloop を用いて5ml添加した。溶出液はTris
−塩酸緩衝液(pH9.0)を用いて、線速度60cm
/hで溶出し、5mlづつ分取した。ゲルクロマトグラ
フィーによる分子量測定の結果は、図1に示される通り
であった。
【0038】実施例3 酵素反応へのpHの影響 実施例2で精製した酵素を用いて、アゾカゼインの分解
反応を種々のpHにおいて実施した。反応液の緩衝液の
組成は、それぞれ100mMの、MES(2−モルホリ
ノエタンスルホン酸一水和物)緩衝液(pH5.5−
6.5)、MOPS(3−モルホリノプロパンスルホン
酸)緩衝液(pH6.5−8.0)、TAPS(N−ト
リス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパン
スルホン酸)緩衝液(pH8.0−9.0)、CHES
(N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸)
緩衝液(pH9.0−10.0)、CAPS(N−シク
ロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸)緩衝液
(pH10.0−11.0)、およびグリシン−塩化ナ
トリウム−水酸化ナトリウム緩衝液(pH11.0−1
3.0)であった。結果は、図2に示される通りであっ
た。
【0039】至適pHはpH9.5〜10.5の間であ
った。また、最大活性の約60%の活性がpH7で維持
された。よって、本発明による酵素は、アルカリ性pH
を至適としてかなり広範囲に作用することが分かった。
【0040】実施例4 酵素のpH安定性 実施例2で精製した酵素を下記の緩衝液を用いて30℃
で1時間保温し、残存プロテアーゼ活性を調べた。反応
液の緩衝液の組成は、それぞれ20mMの、クエン酸ナ
トリウム(sodium citrate)(pH5−7)、トリス−
塩酸緩衝液(pH7−9)、およびグリシン−NaOH
(pH9−11)であった。
【0041】結果は、図3に示されるとおりであった。
【0042】本発明による酵素は、30℃、1時間の条
件で、pH10でほとんど失活せず、pH6〜9の範囲
およびpH11で約70%の残存活性があった。残存活
性(%)はpH10、30℃における活性(100%)
に基いている。
【0043】実施例5 酵素反応への温度の影響 実施例2で精製した酵素を用いてアゾカゼインの分解反
応を50mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH
10.5)中、種々の温度下において実施した。反応温
度は10から70℃まで変化させた。結果を図4に示し
た。
【0044】本発明による酵素の至適温度は、pH1
0.5において50℃であった。30℃においては、5
0℃における活性のほぼ30%以上の活性を、40℃で
は約40%の活性を有していた。
【0045】実施例6 酵素の温度安定性 実施例2で精製した酵素を1時間保持の条件下におい
て、10℃〜60℃で保温した。その活性の経時変化は
図5に示されるとおりであった。図中で□は10℃、◇
は20℃、○は30℃、△は50℃、●は60℃であ
る。
【0046】本発明による酵素は、pH10.5の条件
下で1時間保持した場合、10℃では活性の低下は見ら
れなかった。一方、30℃において約40%の失活が見
られた。60℃では時間とともに急速に失活し、20分
保持した場合には60%以上失活した。
【0047】実施例7 プロテアーゼの基質特異性 水可溶性基質タンパク質として、カゼイン、ヘモグロビ
ン、アルブミンを用いた。水に対して難溶あるいは不溶
な基質タンパク質としてケラチン(人および動物の毛髪
由来)、コラーゲン、エラスチンを用いた。フェノール
試薬を用いてこれらのタンパク質の分解活性を測定し
た。その結果は、表2に示される通りであった。
【0048】 表2 プロテアーゼEK3の基質特異性 基 質 相対活性 カゼイン*1 100 ケラチン(人の毛髪由来)*2 190 ケラチン(動物の毛髪由来)*3 275 ヘモグロビン 87 アルブミン 52 コラーゲン 30 エラスチン 29 注)*1:Hammarsten氏による方法により精製 *2:和光純薬 コード K0001 *3:半井化学 コード 198−44
【0049】反応温度:30℃、反応pH:pH10.
5、反応時間:60分であった。基質はいずれも1%で
あった。
【0050】本発明による酵素は、ケラチンを特異的に
分解する。特に、動物の毛髪由来のケラチンに対しては
カゼインの2.75倍もの活性を示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2において実施したゲルクロマトグラフ
ィーの結果を示した図である。
【図2】本発明による酵素の酵素活性へのpHの影響を
示したものである。□:MES、◇:MOPS、○:T
APS、△:CHES、●:CAPS。
【図3】本発明による酵素のpH安定性を示した図であ
る。□:クエン酸ナトリウム(pH5−7)、◇:Tr
is−HCl(pH7−9)、○:グリシン−NaOH
(pH9−11)。
【図4】本発明による酵素の酵素活性への温度の影響を
示した図である。
【図5】本発明による酵素の温度安定性を示した図であ
る。□:10℃、◇:20℃、○:30℃、△:50
℃、●:60℃。
【図6】Xanthomonas maltophilia EK3株の生育温度
並びに生産されたプロテアーゼの活性を示した図であ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:64) (71)出願人 592043805 ONE PROCTER & GANBL E PLAZA,CINCINNATI, OHIO,UNITED STATES OF AMERICA

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の理化学的性質を有するプロテアー
    ゼ。 (a) 作用及び基質特異性:カゼイン並びにヒト及び動物
    の毛髪由来のケラチンを特に分解する。カゼイン分解活
    性よりもケラチン分解活性の方が高い。 (b) 至適pH:pH10.0のアルカリ条件で最大活性
    を示す。pH7の中性付近で、約60%の活性を有す
    る。 (c) pH安定性:温度30℃の条件下で1時間保持した
    場合、pH10ではほとんど失活せず、pH6〜9で約
    70%の活性を有する。
  2. 【請求項2】下記の理化学的性質をさらに有する、請求
    項1に記載のプロテアーゼ。 (d) 至適温度:pH10.5で50℃である。 (e) 温度安定性:pH10.5で1時間保持した場合、
    10℃では活性の低下は見られず、30℃において約4
    0%の失活が見られた。50℃以上では時間とともに急
    速に失活し、1時間保持した場合には60%以上失活し
    た。
  3. 【請求項3】ゲルクロマトグラフィーによる分子量が約
    30kDaである、請求項1に記載のプロテアーゼ。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロ
    テアーゼを産生する、Xanthomonas属に属する微生物。
  5. 【請求項5】10℃から30℃で良好に生育できる、請
    求項4に記載の微生物。
  6. 【請求項6】Xanthomonas maltophilia EK3株であ
    る、請求項4に記載の微生物。
  7. 【請求項7】FERM BP−5806の受託番号のも
    と寄託された微生物。
  8. 【請求項8】請求項4〜7のいずれか一項に記載の微生
    物を培養し、その培養物から請求項1〜3のいずれか一
    項に記載のプロテアーゼを採取することを含む、請求項
    1〜3のいずれか一項に記載のプロテアーゼの製造法。
  9. 【請求項9】請求項4〜7のいずれか一項に記載の微生
    物により産生される、以下の理化学的性質を有するプロ
    テアーゼ。 (a) 作用及び基質特異性:カゼイン並びにヒト及び動物
    の毛髪由来のケラチンを分解する。カゼイン分解活性よ
    りもケラチン分解活性の方が高い。 (b) 至適pH:pH10.0のアルカリ条件で最大活性
    を示す。pH7の中性付近で、約60%の活性を有す
    る。 (c) pH安定性:温度30℃の条件下で1時間保持した
    場合、pH10ではほとんど失活せず、pH6〜9で約
    70%の活性を有する。
JP9059491A 1997-03-13 1997-03-13 ケラチン分解能を有するプロテアーゼEK3および細菌Xanthomonas maltophilia EK3株 Withdrawn JPH10248564A (ja)

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