JPH08214878A - 低温性プロテアーゼおよび低温性細菌 - Google Patents

低温性プロテアーゼおよび低温性細菌

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JPH08214878A
JPH08214878A JP7029904A JP2990495A JPH08214878A JP H08214878 A JPH08214878 A JP H08214878A JP 7029904 A JP7029904 A JP 7029904A JP 2990495 A JP2990495 A JP 2990495A JP H08214878 A JPH08214878 A JP H08214878A
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JP
Japan
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temperature
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balustinum
strain
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JP7029904A
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Eiichi Tamiya
谷 栄 一 民
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Procter and Gamble Co
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規な低温性プロテアーゼ、この低温性プロ
テアーゼ産生を有する新規微生物の提供。 【構成】 カゼイン、ジメチルカゼインに作用してそれ
を分解するが、リボヌクレアーゼには作用ぜず、至適作
用温度が約40℃であり、pH7、1時間保持の条件下
で、30℃までの温度ではほとんど失活せず、40℃で
約40%失活し、50℃で急速に失活し約15分で完全
に失活するプロテアーゼ、およびこのプロテアーゼ産生
能を有するFlavobacterium balustinum 。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】発明の分野 本発明は、低温域で高い活性を有するプロテアーゼおよ
びその利用ならびにこのプロテアーゼを産生する低温性
細菌に関する。
【0002】背景技術 低温性細菌はかなり古くから知られており、その存在は
広く低温環境に確認できる。たとえば土壌、魚介類、乳
製品に加え、人工的に作られた低温環境などからも分離
することができるとされている。従来より食品微生物学
上の必要性から低温性細菌の研究が行われてきたが、そ
れは主として微生物の系統学的研究に関するものにとど
まっていた。
【0003】一方で、低温性細菌から得られる酵素は、
低温に最適温度を持つ低温性酵素であることが期待でき
る。低温で効率よく作用する低温性酵素は、例えば衣料
用洗剤に添加されて、低水温でも利用可能な洗剤を実現
できると思われる。さらに、常温で揮発性である有機溶
媒の存在下での化学反応への利用、腐敗を起こさない温
度での食品の品質改善への利用などが考えられる。ま
た、低温性細菌由来の酵素を検討することで、低温性細
菌の生理学的機能および低温度への適用機構を解明する
上で意義深いものと思われる。
【0004】
【発明の概要】本発明者は、今般、新規な低温性プロテ
アーゼを産生する新規菌株を見いだした。本発明はかか
る知見に基づくものである。すなわち、本発明は新規な
低温性プロテアーゼの提供をその目的としている。また
本発明は、前記低温性プロテアーゼ産生を有する新規微
生物の提供をその目的としている。さらに本発明は、上
記新規微生物を用いた上記低温性プロテアーゼの製造法
の提供をその目的としている。
【0005】本発明による低温性プロテアーゼは、下記
の理化学的性質を有するもの、である。 ・作用および基質特異性:カゼイン、ジメチルカゼイン
に作用してそれを分解するが、リボヌクレアーゼには作
用しない。 ・至適温度:至適作用温度は約40℃である。 ・温度安定性:pH7、1時間保持の条件下で、30℃
までの温度ではほとんど失活せず、40℃で約40%失
活し、50℃で急速に失活し約15分で完全に失活す
る。
【0006】さらに本発明の好ましい態様によれば、本
発明による低温性プロテアーゼは、下記の理化学的性質
をさらに有するもの、である。 ・至適pH:至適作用pHは7.5 ・安定pH:20℃、1時間保持の条件下でpH6.0
〜10.0において安定である。 ・分子量:約38kDaである(SDS−PAGEおよ
びゲル濾過法による)。 ・等電点:約4.5である。
【0007】さらに、本発明による新規微生物は、上記
の低温性プロテアーゼ産生能を有するFlavobacterium b
alustinum である。
【0008】またさらに、本発明による低温性プロテア
ーゼの製造法は、上記Flavobacterium balustinum を培
養し、その培養物から上記低温性プロテアーゼを採取す
ることを含んでなるもの、である。
【0009】
【発明の具体的説明】新規プロテアーゼ産生菌 本発明による新規プロテアーゼは、微生物を用いて生産
される。その生産菌としては、Flavobacterium 属に属
し、上記性質を有するプロテアーゼを産生する能力を有
するものであればよい。
【0010】本発明によるプロテアーゼを産生する能力
を有する微生物の好ましい具体例としては、Flavobacte
rium balustinum P104株が挙げられる。この菌株
は、本発明者がサケの内蔵から分離した微生物であり、
工業技術院生命工学工業技術研究所に平成7年2月17
日付けで寄託番号FERM BP−5006のもと寄託
されている。
【0011】本発明によるFlavobacterium balustinum
P104株の菌学的性質を列挙すれば下記の通りであ
る。 (1) 形態的性質 形状は単桿菌であり、大きさは0.4〜0.5×1.7
〜1.9μmである。 (2) 培地上での性状 寒天培地上で生育し、黄色色素を生成した。 (3) 生育最適条件 pH:5〜9の範囲で生育し、最適生育pHは中性付近
であった。 温度:10〜30℃の範囲で生育し、最適生育温度は2
0℃付近であった。 (4) 好気性、嫌気性の区別:好気性 (5) グラム染色:陰性 (6) 生化学的性状 Flavobacterium balustinum P104株の主な生化学的性状
は、次の第1表に示されるとおりであった。
【0012】
【表1】
【0013】以上の性質から、本菌株は、Flavobacteri
um indologenesと判断されたが、後記する実施例3に記
載したような16SリボソームRNAをコードするDN
Aの塩基配列を既知の微生物と比較したところ、本菌株
はFlavobacterium balustinum に分類されるのが適切と
判断された。
【0014】本発明に使用される菌株の培養にあたって
は、培地は液体でも固体でもよいが通常は液体培地によ
る振とう培養、または通気攪拌培養が用いられる。
【0015】この微生物を培養する培地としては、生育
に適し、プロテアーゼを生産し得るものであればどのよ
うなものでもよい。すなわち炭素源としては、例えばグ
ルコース、トレハロース、フラクトース、マルトース、
シュークロース、澱粉、マルトオリゴ糖等が用いられ
る。窒素源としては例えばペプトン、酵母エキス、麦芽
エキス、肉エキス、大豆粉、綿実粉、コーンステイープ
リカー、各種アミノ酸類、及びその塩類、硝酸塩等が用
いられる。その他、燐酸マグネシウム、カルシウム、ナ
トリウム、カリウム、鉄、マンガン等の無機塩類、さら
に必要に応じてその他の栄養物を程よく含有する合成培
地または天然培地を使用する事ができる。
【0016】培地のpH、培養温度などの培養条件はプ
ロテアーゼを生産する範囲内で適宜変更し得るが、液体
振とう培養、または通気攪拌培養の場合は、pHは中性
付近、培養温度は20℃付近の培養が適当である。
【0017】本発明において利用されるトレハラーゼは
菌体の細胞壁、菌体内、培養上清に存在し、その使用形
態としては、菌体、菌体や培養上清等からの粗酵素、あ
るいは抽出精製酵素などいずれの形態でも良い。また公
知の方法により固定化したものも利用できる。
【0018】酵素の採取 上記培養液からの本発明によるプロテアーゼの採取、精
製には、既知の精製法が単独もしくは併用して利用でき
る。本発明によるプロテアーゼは、主として菌体外、す
なわち培養液中に分泌されるため、例えば瀘過または遠
心分離により菌体を除去することによって容易に粗酵素
液を得ることができる。この粗酵素は、さらに既知の精
製法によって精製することができる。好ましい精製法と
しては、硫安などによる塩析、有機溶媒(例えば、メタ
ノール、エタノール、アセトンなど)による沈殿法、生
デンプンによる吸着法、限外瀘過、ゲル瀘過クロマトグ
ラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、その他の各
種クロマトグラフィーなどが挙げられる。好ましい精製
法の具体例は後記する実施例において記載する。
【0019】酵素の性質 本発明によるプロテアーゼの性質を検討した。その結果
は次に示される通りである。
【0020】 作用および基質特異性 本酵素はカゼインやジメチルカゼインといった高分子タ
ンパク質や変性タンパク質をよく分解し、またコラーゲ
ン変性タンパク質のゼラチンもカゼインに比べ約50%
分解した。しかし、その他の天然タンパク質にはあまり
作用せず、特にリボヌクレアーゼは全く作用しなかっ
た。
【0021】工業的に使用されているサブチリシンにな
どは基質特異性がなく、ほとんどのタンパク質に作用す
るとされている。一方で、本酵素は比較的酵素タンパク
質が入り込みやすい高分子タンパク質や変性タンパク質
のみに作用すると考えられる。
【0022】この本酵素と類似している低温菌Pseudomo
nas fluorescens 由来のプロテアーゼもまた同様にカゼ
インやジメチルカゼインなどの高分子タンパク質や変性
タンパク質をよく分解した。しかしながら、本酵素と異
なり、これは天然球状タンパク質であるヘモグロビンや
ウシ血清アルブミンなどもジメチルカゼインとの比較に
おいて約40%程度分解する性質を有している。従っ
て、本酵素はこの公知の酵素よりも基質特異性が高いと
思われる。
【0023】 至適温度および安定温度 本酵素の作用温度は約40℃である。また、pH7、1
時間保持の条件下で、30℃までの温度ではほとんど失
活せず、40℃で約40%失活し、50℃で急速に失活
し約15分で完全に失活する。従って、本酵素は低温で
効率よく触媒作用を示す、いわゆる低温酵素である。
【0024】 至適pHおよび安定pH 本酵素の至適作用pHは7.5である。また、本酵素
は、20℃、1時間保持の条件下でpH6.0〜10.
0において安定である。従って、本酵素は中性プロテア
ーゼであり、極端な酸性、アルカリ性では作用しなくな
る。また、極端な酸性またはアルカリ性下で保存すると
失活する。
【0025】 分子量 本酵素の分子量は、SDS−PAGEおよびゲル濾過法
によって測定したところ、約38kDaであった。
【0026】 等電点 本酵素の等電点を等電点電気泳動法で測定したところ、
等電点は約4.5であった。
【0027】 活性の阻害 本酵素は、フェニルメチルスルフォニルフルオライド、
ヨードアセトアミドによってそのプロテアーゼ活性を阻
害されることはなく、エチレンジアミン四酢酸、2,2
−ビピリジル、クエン酸、シュウ酸によって顕著に阻害
された。このことから、プロテアーゼ活性は金属イオン
に依存することが分かり、本酵素は金属プロテアーゼで
あることが示唆された。またクエン酸およびシュウ酸で
阻害さることから、カルシウムにプロテアーゼ活性が依
存していると考えられる。
【0028】また本酵素は、Ag+ 、Cu2+、Zn2+
Co2+およびFe2+により顕著にそのプロテアーゼ活性
が阻害された。とりわけ、Ag+ による阻害が強かっ
た。また、Mg2+およびCa2+によっては全く阻害され
なかった。
【0029】 酵素反応速度論 本酵素は基質(例えばカゼイン)濃度に対してMichaeli
s-Menten型の反応速度を示す。温度の上昇とともにKm
値が減少し、Vmax 値が上昇しする。さらに、本酵素の
Kcat 値は10〜40℃の範囲で著しく高い値を示す。
一般的には酵素は基質過剰になると阻害されていく傾向
が見られる。しかし、本酵素の場合、至適作用温度に近
づくことで、Kcat 値が増加していくことにから、消化
物による阻害があまり見られなくなる点で有利である。
また、本酵素のLineweaver-Burkプロットから、温度に
よる阻害形式は混合型であると思われる。すなわち、温
度による影響が非競争型阻害か不競争型阻害であり、消
化物による影響が競争型阻害であると思われる。
【0030】酵素の利用 本発明による低温性プロテアーゼは、低温に最適温度を
持つ。そこで、本発明による低温性プロテアーゼによれ
ば、低温環境においてタンパク質の分解反応を行うこと
が可能となる。例えば、衣類用洗剤組成物に添加するこ
とで、低水温でも利用可能な洗剤を実現できる。この洗
剤組成物は、本発明による低温性プロテアーゼが添加さ
れた以外は、常法に従って構成することができる。すな
わち、洗剤用界面活性剤、漂白剤、ビルダーなど通常の
洗剤組成物成分と組み合わせて構成することができる。
【0031】さらに、本発明による低温性プロテアーゼ
は、低温で反応を進行させることができる。従って、反
応系に常温で揮発性である有機溶媒が存在する場合であ
っても、その有機溶媒成分を揮発させることのない低温
下で反応を行うことができる。またさらに、本発明によ
るプロテアーゼを用いて食品の品質改善を行う場合、低
温で反応が進むことから、食品の腐敗を有効に防止でき
る点でも有利である。また、本発明によるプロテアーゼ
が提供されたことで、低温性細菌の生理学的機能および
低温度への適用機構を解明が進むことが期待される。
【0032】
【実施例】以下に、具体的な実施例を示し本発明をより
詳細に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定され
ないことは言うまでもない。
【0033】なお、特に断らない限り以下において、タ
ンパク質量の定量は色素結合法であるバイオラッドプロ
テインアッセイを用いて行った。また、クロマトグラム
のタンパク質の溶出は280nm紫外部の吸収を測定し
た。
【0034】また、プロテアーゼ活性の測定は次のよう
に行った。 (a)アゾカゼインによるタンパク質の分解活性 1%(W/V)アゾカゼインを含む0.067Mリン酸
緩衝液(pH7.0)0.3mLに対して、試料酵素液
0.05mL加え、30分間、30℃で保温した。その
後、6%トリクロロ酢酸溶液で反応を止め、約15分後
遠心分離(14000rpm、室温、5分)した。その
上清を分光光度計にて340nmの吸光度を測定した。
この酵素活性の算出は1分間に340nmの吸光度が
0.001増加したとき1ACU(azocasein digestio
n unit)とした。
【0035】(b)改良Anson法によるタンパク質
の分解活性 1%(W/V)のタンパク質を含む0.067Mリン酸
緩衝液(pH7.0)0.3mLに対して、試料酵素液
0.05mL加え、30分間、30℃で保温した。その
後、7.5%トリクロロ酢酸溶液で反応を止め、約30
分後遠心分離(14000rpm、室温、5分)した。
その上清を分光光度計にて280nmの吸光度を測定し
た。この酵素活性の算出は1分間にチロシンが1μmo
l生成したときを1AU(modified Anson unit )とし
た。
【0036】実施例1 (1)新規菌株のスクリーニング 新規菌株の分離は、寒天平板培地上で行った。分離試料
(サケの内臓)を1%(W/V)になるよう生理的食塩
水に懸濁し、その上清を原液とした。この原液の102
希釈液を調整した。原液および102 希釈液をスクリー
ニング用寒天平板培地上(ポリペプトン 3g/L、酵
母エキス 10g/L カゼインナトリウム 10g/
L、MgSO4 ・7H2 O 0.2g/L、寒天 2.
0g/L、9cmペトリ皿)に0.2mLずつ散布し、
10℃で、3日間培養した。上記の寒天平板上に生育し
たコロニーの中で、よく生育したものを選び継体培養
し、同時に保存寒天平板にも植菌した。
【0037】菌体外酵素活性検定は寒天平板培地上で行
った。上記スクリーニング用寒天平板培地に分離した菌
株を画線で植菌し、10℃で、3日間培養した。その
後、菌の生育した寒天平板培地に10%トリクロロ酢酸
溶液を散布し、コロニー周辺の透明斑の有無によりプロ
テアーゼ生成菌であるか検定した。
【0038】(2)分離菌株の培養および酵素の生成 菌の生育活性を安定させるために、前培養培地25mL
(ポリペプトン 10g/L、内エキス 10g/L、
MgSO4 ・7H2 O 0.2g/L、pH7.0、1
00mL三角フラスコ)に分離菌を保存培地より接種
し、10℃、48時間、150rpmで回転浸盪培養
(TAITECNR-80)した。本培養は酵素生成用培地25mL
(ポリペプトン 5g/L、酵母エキス 2.5g/
L、カゼインナトリウム 5g/L、MgSO4 ・7H
2 O 0.2g/L、pH7.0、100mL三角フラ
スコ)に前培養液0.25mLを接種し、10℃、72
時間、150rpmで回転浸盪培養した。なお、培地は
主としてオートクレーブで1.2kgf/cm2gau
ge(121℃)、15分間、高圧蒸気殺菌した。分離
した菌株は保存用寒天平板培地を用いて、10℃で保存
した。なお2週間〜1ケ月で継体培養した。
【0039】(3)プロテアーゼ活性の測定 上記(2)で得られた培養液を、遠心分離(17000
×g、4℃、15分)により清澄した。その上清を粗酵
素液とした。プロテアーゼ活性はアゾカゼインの分解に
より測定した。1%(W/V)アゾカゼインを含む00
67Mリン酸緩衝液(pH7.0)を0.3mLに対し
て、粗酵素液0.05mL加え30分間、20℃で保温
した。その後6%トリクロロ酢酸溶液で反応を止め、約
15分後遠心分離(14000rpm、室温、5分)し
た。その上清を分光光度計(ベックマンDU640)に
て340nmの吸光度を測定した。この酵素活性は、1
分間に340nmの吸光度が0.001増加したとき1
ACU(azocasein digestion unit )とした。
【0040】以上の(1)〜(3)の結果、プロテアー
ゼ活性を有する菌株P104が分離された。この菌株の
プロテアーゼ活性は次の表に示される通りであった。な
お、生育度は分譲株であるCytophaga xantha IFO 14972
の生育の様子を++として比較したものである。 プロテアーゼ活性を有する菌株 菌 株 生育度 プロテアーゼ活性 ( ×103 ACU/mL) P104 +++ 0.982
【0041】実施例2:P104のプロテアーゼ活性 プロテアーゼ生成菌株P104株の培養液を用い、反応
温度を0〜60℃まで変化させた酵素活性の影響を調べ
た。なお、市販酵素のBacillus licheniformis由来のプ
ロテアーゼであるサブチリシン・カールスベルグ(Subt
ilisin Carlsberg Sigma)についても同様に温度特性を
調べた。
【0042】その結果は、図1に示される通りであっ
た。図中で、□はP104株、そして△はサブチリシン
・カールスベルグを表す。
【0043】それぞれのプロテアーゼの最適温度は、P
104株の菌体外プロテアーゼが40℃、サブチリシン
・カールスベルグが60℃以上であった。P104株の
菌体外プロテアーゼの菌体外プロテアーゼは20℃付近
で最適温度の40%以上のプロテアーゼ活性を保持して
いたのに対し、サブチリシン・カールスベルグは最適温
度の約10%のプロテアーゼ活性しか保持していなかっ
た。
【0044】またさらに、それぞれの菌体外プロテアー
ゼの酵素反応の10〜40℃までの活性化エネルギーを
求めた。その結果は次の表に示される通りであった。
【0045】 菌体 活性化エネルギー (kJ/mol) P104 39.8 Bacillus subtillis 58.3
【0046】実施例3:16SリボソームRNAをコー
ドするDNA塩基配列によるP104株の同定 実施例2で得られた培養液を、1.5mLマイクロチュ
ーブに取り遠心分離により集菌した。ゲノムDNAを抽
出し、PCR(polymerase chain reaction )により1
6SリボソームRNAをコードするDNA塩基配列を増
幅した。その後、サンガー法を用いたDNAシークエン
スにより塩基配列を決定し、GenBankのデータベ
ースと比較し、同定した。使用したプライマーは下記の
通りであり、PCRには1F−Linkおよび5R−Linkを
用いた。
【0047】プライマー 1F−Link:5′−TGTAAAACGACGGCCA
GTAGTTTGATCATGGCTCAG−3′ 3R−Link:5′−CAGGAAACAGCTATGA
CCCGTCAATTCATTTGAGTT−3′ 3F−Link:5′−TGTTAAAACGACGGCC
AGTGTAGCGGTGAAATGCGTA−3′ 5R−Link:5′−TGTAAAACGACGGCCA
GTAAGTCCCGCAACGAGCGCAA−3′
【0048】Genbank のデータベースと比較した結果は
次の表に示される通りであった。表中、Query はP10
4株由来の16S リボゾームRNA遺伝子であり、Subjec
tはGenbank nucleic acid sequence database Release
85.0 のFlavacterium balustinum 16S リボゾームRN
A(FVBRR16SH) である。その結果、同菌株はFlavobacte
rium balustinum と同定された。よってP104株をFl
avobacterium balustinum P104と表記することとし
た。
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】実施例4:Flavobacterium balustinum P
104の培養 (1)菌体濃度の測定 実施例2で得られた培養液をバクテリアカウンターの1
セル中に0〜5細胞になるように生理的食塩水で希釈し
た。その試料を光学顕微鏡を用いて、細胞の数を数え
た。その希釈培養液をそれぞれ分光光度計を用いて66
0nmにて懸濁を測定し、細胞の数と懸濁の相関を得
た。
【0055】Flavobacterium balustinum P104株に
対する懸濁と菌体濃度の関係は次式で与えられた。 (cell/mL)=1.13×109×Abs.660n
m 1.13×109 :検量線から得られるファクターで
ある。
【0056】(2)pHの影響 Flav.balustinum P104株培養時に、初発pHが菌体
外プロテアーゼ活性および増殖に与える影響を調べるた
め、プロテアーゼ生産培地の初発pHを5〜9まで変化
させ菌株を培養した。その結果は図2に示される通りで
あった。アルカリpHではかなり増殖が低下し、プロテ
アーゼ活性も低かった。また酸性pHでは増殖およびプ
ロテアーゼ活性にはあまり大差はなかったが、中性pH
で最もよく増殖し、プロテアーゼ活性も最も高かった。
【0057】(3)培養温度の影響 Flav.balustinum P104株の培養温度を10〜30℃
まで変化させ、培養経過における菌株体外プロテアーゼ
活性の変化およびその増殖を調べた。その結果は図3に
示される通りであった。10℃および20℃では良好に
生育した。しかし、30℃では10℃、20℃の定常期
に比べ、約半数しか増殖しなかった。増殖速度は20℃
が最も速く、培養最適温度は20℃付近であると思われ
る。
【0058】実施例5:Flav. balustinumP104株
由来プロテアーゼの精製 (1)菌株の培養 菌の生育活性を安定させるために、分離菌株を下記の保
存培地より、下記の前培養培地25mL(100mL三
角フラスコ)に接種し、10℃、48時間、150rp
mで回転振盪培養(TAITEC NR-80)した。本培養は、下
記の本培養培地25mL(10mL三角フラスコ)に前
培養液0.25mL接種し、10℃、72時間、150
rpmで回転振盪培養した。
【0059】保存培地: ポリペプトン 3g/L 酵母エキス 2.5g/L カゼインナトリウム 20g/L MgSO4 7H2 O 0.2g/L 寒天 20g/L pH 7.0
【0060】前培養培地: ポリペプトン 3g/L 酵母エキス 2.5g/L カゼインナトリウム 1g/L MgSO4 7H2 O 0.2g/L pH 7.0
【0061】本培養培地: ポリペプトン 3g/L 酵母エキス 2.5g/L カゼインナトリウム 5g/L KH2 PO4 7H2 O 3g/L MgSO4 7H2 O 0.2g/L pH 7.0
【0062】培地等は主としてオートクレープで1.2
kgf/cm2 gauge (121℃)、15分間、高圧蒸気殺菌
した。Flav. balustinumP104株は保存用寒天平板培
地を用いて、10℃で保存したなお、2週間〜1ヶ月で
継体培養した。
【0063】(2)プロテアーゼの精製 (a)硫安塩析 上記(1)で得られた培養液を、遠心分離(17000
×g、4℃、15分)により清澄にした。その上清を粗
酵素液とした。その粗酵素液に対し、氷冷下で、硫安を
50%飽和になるように加えた。0℃に保ち、1時間ゆ
っくりと攪拌したのち遠心分離(17000×g、4
℃、15分)して沈殿させ、0〜50%飽和画分を得
た。硫安の添加量は、25℃での飽和濃度添加量を用い
た。
【0064】(b)ゲル濾過 次に、HiLoad 16/60 Superdex 200 prep gradeカラムに
よるゲル濾過を行った。すべてのカラムクロマトグラフ
ィーの操作は4℃で行い、装置はHiLoad System 50(フ
ァルマシアバイオテク社製)を用いた。HiLoad 16/60 S
uperdex 200 prep gradeカラムに、線速度約60cm/
hでゲル体積の3倍以上(400mL)の20mM B
is−Tris緩衝液(pH6.0)を流し平衡化し
た。硫安塩析後の試料酵素液をカラムにSuperloop を用
いて5mL添加した。溶出液20mM Bis−Tri
s緩衝液(pH6.0)を用いて線速度約60cm/h
で溶出し、5mLずつ分取した。
【0065】溶出曲線は図4に示されるとおりであっ
た。排除限界には培養液に含まれていた高分子量の黄色
透明色のタンパク質が溶出した。その後の280nmの
紫外部吸収のピークは無色透明のタンパク質が溶出し
た。この画分プロテアーゼ活性を含んでおり、プロテア
ーゼに付着しているフラグメントを除くことができたと
思われる。
【0066】(c)カラムクロマトグラフィー 次に、Q Sepharose HPカラムによるイオン交換クロマト
グラフィーを行った。カラムは、HiTrapQ(1mL)を5
個直列に連結し、φ0.7×12.5cmのカラムを用
いた。上記のカラムに20mM Bis−Tris緩衝
液(pH6.0)を用いて、線速度約35cm/hでゲ
ル体積の5倍以上(25mL)平衡化した。
【0067】上記のゲル濾過で溶出したプロテアーゼ活
性画分の試料酵素液を、カラムにSuperloop を用いて線
速度約17.5cm/hで添加した。溶出は20mM
Bis−Tris緩衝液に1M NaClを加えたもの
を用いて、直線型イオン強度増加勾配(0〜150m
M)により線速度約35cm/h、80mLで溶出し、
2mLずつ分取した。溶出曲線は図5に示されるとおり
であった。なお、以上の精製の概要は次の表に示される
とおりであった。
【0068】
【表7】
【0069】実施例6:プロテアーゼの精製純度および
分子量の測定 (1)電気泳動 (a)SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SD
S−PAGE) 支持体として1mm厚の10%ポリアクリルアミドゲル
を用いた。電気泳動は20mA通電し、ブロモフェノー
ルブルー(BPB)が下端まで泳動するまで行った。染
色方法は30%メタノール、10%酢酸水溶液に0.0
2%クーマシーブリリアントブルーR250を溶解した
ものに1時間染色し、脱色液(30%メタノール、10
%酢酸)で一晩脱色した。SDS−PAGEによる分子
量の測定は、ホスホリラーゼ、アルブミン、オブアルブ
ミン、カルボニックアンヒドラーゼ、トリプシンインヒ
ビター、α−ラクタブミンをマーカとして行った。SD
S−PAGEの結果および検量線はそれぞれ図6および
7に示されるとおりであった。本酵素は単一バンドであ
ったため、サブユニット構造ではない単一タンパク質で
あると思われる。
【0070】(b)ゲル濾過法 Hiprep 16/60 Sephacryl S-100 HR を用いてゲル濾過法
により分子量を測定した。平衡化は線速度約30cm/
hでゲル体積の3倍以上(400mL)の50mMリン
酸緩衝液に0.15M NaClを加えたもの(pH
7.0)を用いて行った。その後、試料酵素液を1mL
添加し、線速度約30cm/hで同様の緩衝液を用いて
溶出し、2mLずつ分取した。排除体積の測定はブルー
デキストラン2000、標準タンパク質はアルブミン
(67kDa)、オブアルブミン(43kDa)、キモ
トリプシノーゲンA(25kDa)、リボヌクレアーゼ
A(13.7kDa)を用いた。
【0071】結果は、図8に示されるとおりであった。
なお、タンパク質による280nmの紫外部吸収と酵素
活性が一致した。また、本酵素の紫外部吸収曲線は吸収
極大が278nmであり、可視部の吸収はなかった。こ
れらにより、本酵素の性質を調べるには十分な精製度で
あると考えられた。
【0072】実施例7:等電点電気泳動 等電点電気泳動(IEF isoelectric focusing)をPhast
system(ファルマシアバイオテク社製)を用いて行っ
た。ゲルとしてIEF3−9を用い、試料は陽極より3
cm離れたゲル上に添加した。電気泳動は2000V、
2.5mA、15℃、410Vhで行った。染色方法
は、20%TCA溶液により、20℃で5分固定し、洗
浄・脱色液(30%メタノール、10%酢酸)にて2分
洗浄した。次に洗浄・脱色液に0.02%クーマシーブ
リリアントブルーR250を溶解したものにより、50
℃で10分脱色した。pIマーカーはBroad pI Calibra
tionkit(ファルマシアバイオテク社製)を用いた。等
電点電気泳動の結果及び検量線は図9および10に示さ
れるとおりであった。本酵素はほとんど単一バンドとし
て染色され、その等電点はpH4.5であった。
【0073】実施例8:酵素反応へのpHによる影響 本酵素を用いてアゾカゼインの分解反応を種々のpHに
おいて実施した。反応液の緩衝液の組成はそれぞれ67
mMで、酢酸緩衝液(pH4−5.5)、KH2 PO4
−Na2 HPO4 (pH6.0−8.0)、Na2
4 7−HCl(pH8.0−9.0)、Na2 4
7 −NaOH(pH9.5−10.0)、Na2
PO4 −NaOH(pH10.5−12.0)とし
た。その結果は、図11に示されるとおりであった。
【0074】至適pHであるpH7.5の相対活性がp
H6.0〜pH10.0まで約80%以上で維持され
た。よって、本酵素は中性pHを中心としてかなり広範
囲に作用することが分かった。しかし、pH5.5以下
の酸性pHやpH10.5以上のアルカリpHではあま
り作用せず、pH12ではプロテアーゼ活性は失活して
しまった。
【0075】実施例9:プロテアーゼのpH安定性 本酵素をEcono−Pac(バイオラッド社製)を用
いてそれぞれのpHの緩衝液に交換した。用いた緩衝液
はそれぞれ67mMで、酢酸緩衝液(pH4−5)、K
2 PO4 −Na2 HPO4 (pH6−8)、グリ
シン−NaOH(pH9−10)、Na2 HPO4
NaOH(pH11−12)を用いた。緩衝液を交換し
た後、20℃で1時間保温し、残存プロテアーゼ活性を
調べた。その結果は、図12に示される通りであった。
【0076】本酵素は、20℃、1時間の条件下で、p
H6.0〜pH10.0の範囲で安定であり、pH4.
0およびpH12.0では上記の条件で失活することが
分かった。
【0077】実施例10:酵素反応への温度の影響 本酵素を用いてアゾカゼインの分解反応を種々の温度下
において実施した。反応温度は0〜70℃までせ変化さ
せた。
【0078】また、市販酵素のサブチリシン・カールス
ベルグ、Staphylococcus aurcub V8由来のプロテアー
ゼであるV8プロテアーゼ、サビナーゼ(ノボノルディ
スク)およびアルカラーゼ(ノボノルディスク)につい
ても同様の反応を行った。基質過剰量で、酵素すべてが
酵素基質複合体として存在していると考えた場合のKca
t で表した結果を図13に示す。図中で、□は本酵素、
◇はV8プロテアーゼ、○はサブチリシン・カールスベ
ルグ、△はサビナーゼ、そして▽はアルカラーゼであ
る。
【0079】本酵素の至適作用温度は40℃であった。
至適作用温度以上の酵素反応温度では急速に失活してい
ことが分かった。そして市販のプロテアーゼはどの酵素
も至適作用温度が50℃以上であった。また、Kcat 値
は本酵素が比較したどのプロテアーゼより10〜40℃
の範囲で著しく高い値を示した。
【0080】実施例11:プロテアーゼの温度安定性 本酵素を20〜50℃で保温した。その活性の経時的変
化は図14に示されるとおりであった。図中で、□は2
0℃、◇は30℃、○は40℃、そして△は50℃であ
る。
【0081】本酵素は1時間の20℃、30℃での保温
ではあまり失活はしなかった。しかし、40℃での保温
では徐々に失活していき、1時間後には約60%しか残
存プロテアーゼ活性がなかった。そして、50℃での保
温では急速に失活していき15分後に完全に失活してし
まった。前実験で比較した他のプロテアーゼではまだ至
適温度より低い温度であるので本酵素は熱に対して不安
定であると考えられる。
【0082】実施例12:阻害剤による影響 阻害剤としては、セリンプロテアーゼに作用するフェニ
ルメチルスルフォニルフルオライド(phenylmethlsulfo
ny flouride PMSF)、システインプロテアーゼに作用す
るヨードアセトアミド(iodoacetamide IAA )、金属プ
ロテアーゼに作用するエチレンジアミン四酢酸(ethyle
nediaminetetraacetic acid EDTA)、o−フェナントロ
リン(o−phenanthroline)、2,2−ビピリジル
(2,2−bipyridyl )、およびカルシウムに特異的に
作用するクエン酸(citrate )、シュウ酸(oxalate )
を用いた。種々の終濃度になるように阻害剤を加えた
後、20℃で1時間保温し、残存プロテアーゼ活性を調
べた。
【0083】その結果は、次の表に示されるとおりであ
った。 阻害剤による影響 阻害剤 濃 度 残存活性(%) なし 100 PMSF 10mM 99 ヨードアセトアミド 10mM 94 EDTA 10mM 8 O−フェナントロリン 10mM 91 2,2′−ビピリジル 10mM 39 クエン酸 10mM 41 100mM 0 シュウ酸 10mM 45 100mM 0 本酵素はPMSF、IAAによりプロテアーゼ活性を阻
害されることはなく、EDTA、2,2−ビピリジル、
クエン酸、シュウ酸により顕著に阻害された。このこと
から、プロテアーゼ活性は金属イオンに依存することが
分かり、本酵素は金属プロテアーゼであることが示唆さ
れた。またクエン酸およびシュウ酸で阻害さることか
ら、カルシウムにプロテアーゼ活性が依存していると考
えられる。
【0084】実施例13:タンパク質変性剤による影響 タンパク質変性剤としてSDSおよび尿素を用いた。そ
れぞれの濃度になるようにタンパク質変性剤を加えた
後、20℃で1時間保温し、残存プロテアーゼ活性を調
べた。
【0085】それらの結果は、SDSおよび尿素につい
て、それぞれ図15および図16に示されるとおりであ
った。
【0086】SDS濃度による影響はかなりの低濃度か
らプロテアーゼ活性を阻害することが分かり0.25%
の濃度で完全に失活した。尿素濃度による影響は2Mま
で全くプロテアーゼ活性を阻害することがなかったが3
Mで約40%の阻害がみられ、4Mで完全に失活した。
【0087】実施例14:金属イオンによる影響 金属イオン源として、AgNO3 、CuSO4 、ZnS
4 、CoSO4 、FeSO4 、MnSO4 、CaCl
2 、およびMgSO4 を用いて添加した。それぞれ1m
Mの終濃度になるように金属塩を加えた後、20℃で1
時間保温し、残存プロテアーゼ活性を調べた。その結果
は、次の表に示されるとおりであった。
【0088】金属イオンによる影響 金属イオン 残存活性(%) なし 100 Ag 11 Cu2+ 44 Zn2+ 61 Co2+ 63 Fe2+ 76 Mn2+ 95 Ca2+ 100Mg2+ 100
【0089】本酵素は、Ag+ 、Cu2+、Zn2+、Co
2+およびFe2+により顕著にプロテアーゼ活性を阻害さ
れた。とりわけ、Ag+ による阻害の結果約10%のプ
ロテアーゼ活性しか残存しなかった。また、Mg2+およ
びCa2+によっては全く阻害されなかった。
【0090】実施例15:基質特異性 基質タンパク質として、カゼイン(Hammarsten)、ジメ
チルカゼイン(dimethylcasein)、ゼラチン(gelatin
e)、ヘモグロビン(hemoglobin)、ウシ血清アルブミ
ン(bovine serum albumin)、およびリボヌクレアーゼ
(ribonuclease)を用い、改良Anson 法によってタンパ
ク質分解活性を測定した。また、アゾ化合物修飾タンパ
ク質としてアゾカゼインおよびアゾブルブミンを用い
た。その結果は、次の表に示されるとおりであった。
【0091】基質特異性 基質(1%) 加水分解率(%) カゼイン(Hammarsten) 100 ジメチルカゼイン 93 ゼラチン 53 ヘモグロビン 18 ウシ血清アルブミン 17リボヌクレアーゼ 0 アゾカゼイン 100アゾアルブミン 20
【0092】本酵素は、カゼイン、ジメチルカゼインな
どの高分子タンパク質および変性タンパク質をよく分解
し、またコラーゲン変性タンパク質のゼラチンについて
も、カゼインと比較し、べ約50%分解した。しかし、
その他の天然タンパク質にはあまり作用せず、特にリボ
ヌクレアーゼは全く作用しなかった。
【0093】実施例16:カゼインによる酵素反応速度
論 基質としてカゼインを0.05〜1%まで濃度を変化さ
せた溶液を用い、5〜40℃まで変化させたLineweaver
-Burk プロットを作成した。それは図17に示されると
おりであった。図中で、上のグラフ(A)は1/vが0
〜2.0の範囲についてであり、また下のグラフ(B)
は1/vが0〜0.2の範囲についてである。また、□
は5℃、◇は10℃、○は20℃、△は30℃、そして
▽は40℃の場合を表す。また、このLineweaver-Burk
プロットから酵素反応速度定数を求めた。それらは次の
表に示されるとおりであった。
【0094】基質特異性 基質(1%) 加水分解率(%) カゼイン(Hammarsten) 100 ジメチルカゼイン 93 ゼラチン 53 ヘモグロビン 18 ウシ血清アルブミン 17リボヌクレアーゼ 0 アゾカゼイン 100アゾアルブミン 20
【0095】上記表から明らかなように、本酵素はカゼ
インの濃度に対してMichaelis-Menten型の反応速度を示
した。温度の上昇とともにKm 値が減少していき、Vma
x 値が上昇していった。5℃および10℃では高濃度の
カゼインで酵素活性が阻害されていた。一般的には酵素
は基質過剰になると阻害されていく傾向が見られる。し
かし、反応温度を上昇させていくと1%のカゼインでは
阻害されなくなった。これは、至適作用温度に近づくこ
とで、Kcat 値が増加していくことにより、カゼインの
消化物による阻害があまり見られなくなるためと考えら
れる。また、Lineweaver-Burk プロットから、温度によ
る阻害形式は混合型であると思われる。すなわち、温度
による影響が非競争型阻害か不競争型阻害であり、カゼ
イン消化物による影響が競争型阻害であると思われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2の結果を表すグラフである。すなわ
ち、P104株由来およびサブチリシン・カールスベル
グ由来のプロテアーゼと温度の関係を示す。
【図2】実施例4(2)の結果を表すグラフである。す
なわち、初発pHが、Flav.balustinum P104株の菌
体外プロテアーゼ活性および増殖に与える影響を示す。
【図3】実施例4(3)の結果を表すグラフである。す
なわち、Flav.balustinum P104株の培養温度が、菌
体外プロテアーゼ活性および増殖に与える影響を示す。
【図4】実施例5(2)(b)のゲル濾過の溶出結果を
表すグラフである。
【図5】実施例5(2)(c)のクロマトグラフの溶出
結果を表すグラフである。
【図6】実施例6の分子量測定のためのSDS−PAG
Eの結果を表す。
【図7】実施例6の分子量測定のための検量線である。
【図8】実施例6の分子量測定のためのゲル濾過の検量
線である。
【図9】実施例7の等電点電気泳動の結果を表す。
【図10】実施例7の等電点電気泳動の検量線である。
【図11】実施例8の結果を表すグラフである。すなわ
ち、本酵素の酵素反応へのpHの影響を示す。
【図12】実施例9の結果を表すグラフである。すなわ
ち、本酵素のpH安定性を示す。
【図13】実施例10の結果を表すグラフである。すな
わち、本酵素の酵素反応への温度の影響を示す。
【図14】実施例11の結果を表すグラフである。すな
わち、本酵素の温度安定性を示す。
【図15】実施例13の結果を表すグラフである。すな
わち、本酵素へのタンパク質変性剤SDSの影響を示す
グラフである。
【図16】実施例13の結果を表すグラフである。すな
わち、本酵素へのタンパク質変性剤尿素の影響を示すグ
ラフである。
【図17】実施例16において検討した、本酵素Linewe
aver-Burk プロットである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 1/20 C12R 1:20)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の理化学的性質を有する低温性プロテ
    アーゼ。 (a)作用および基質特異性:カゼイン、ジメチルカゼ
    インに作用してそれを分解するが、リボヌクレアーゼに
    は作用しない。 (b)至適温度:至適作用温度は約40℃である。 (c)温度安定性:pH7、1時間保持の条件下で、3
    0℃までの温度ではほとんど失活せず、40℃で約40
    %失活し、50℃で急速に失活し約15分で完全に失活
    する。
  2. 【請求項2】下記の理化学的性質をさらに有する、請求
    項1記載の低温性プロテアーゼ。 (d)至適pH:至適作用pHは7.5 (e)安定pH:20℃、1時間保持の条件下でpH
    6.0〜10.0において安定である。
  3. 【請求項3】SDS−PAGEおよびゲル濾過法による
    分子量が約38kDaである、請求項1記載の低温性プ
    ロテアーゼ。
  4. 【請求項4】等電点電気泳動法による等電点が約4.5
    である、請求項1記載の低温性プロテアーゼ。
  5. 【請求項5】請求項1〜4いずれか一項記載の低温性プ
    ロテアーゼ産生能を有する、Flavobacterium balustinu
    m 。
  6. 【請求項6】10〜20℃で良好に生育可能な、請求項
    5記載のFlavobacterium balustinum 。
  7. 【請求項7】Flavobacterium balustinum P104株
    (FERM BP−5006)である、請求項5記載の
    Flavobacterium balustinum 。
  8. 【請求項8】請求項5〜7のいずれか一項記載のFlavob
    acterium balustinum を培養し、その培養物から請求項
    1記載の低温性プロテアーゼを採取することを含んでな
    る、低温性プロテアーゼの製造法。
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