JPH09224624A - ドリンク剤およびその製造方法 - Google Patents

ドリンク剤およびその製造方法

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JPH09224624A
JPH09224624A JP8073341A JP7334196A JPH09224624A JP H09224624 A JPH09224624 A JP H09224624A JP 8073341 A JP8073341 A JP 8073341A JP 7334196 A JP7334196 A JP 7334196A JP H09224624 A JPH09224624 A JP H09224624A
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yacon
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vegetable
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最昭 渡辺
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ヤーコンが本来有する大きな欠点である褐変
・黒化現象を防止した野菜ドリンク剤の提供。 【解決手段】 破砕しながら空気酸化して得られる75
3nmおよび690nm近くに吸収を有する緑色ヤーコ
ン破砕物とアスコルビン酸またはアスコルビン酸ナトリ
ウムとからなる黄色ないし橙色を有する野菜ドリンク剤
およびその製造方法に関する。本工程は次の3つの工程
から成る。 (1)、生鮮野菜を水洗し脱皮して一定時間加熱し、8
30nm近くに吸収ピークを有する色素を除去する工
程、(2)、(1)で得たヤーコンを破砕しながら空気
酸化して、753nmおよび690nm近くに吸収ピー
クを有する緑色ヤーコン破砕物を得る工程、(3)、
(2)で得た緑色ヤーコン破砕物とアスコルビン酸また
はアスコルビン酸ナトリウムを反応させて黄色ないし橙
色を有する野菜ドリンク剤とする工程、

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な健康ドリンク
剤に係り、特に健康自然食品として有用な根菜から製造
する栄養価に富んだ、おいしく自然の甘味を有する野菜
ドリンク剤とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、天然果汁は種類も多く市場にあふ
れている。一方、野菜ジユースも種類は少ないがトマト
ジュースを中心に葉野菜がミックスされた形で市販され
ている。葉野菜単独ではケールがあり、また、野菜の中
でも根菜類としてはニンジンのジュースが商品化されて
いる。しかしながら、健康維持に有効なフラクトオリゴ
糖を主成分とする野菜から作られたドリンク剤は未だ提
案されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】フラクトオリゴ糖を含
有する野菜としては、ゴボウ、アスパラガス、大豆およ
び玉葱などがある。しかしながら、これらの野菜はみず
みずしさに欠け、ドリンク剤として適さない。一般的に
合成フラクトオリゴ糖を添加して、フラクトオリゴ糖入
り健康ドリンク剤を作るに留まっている。
【0004】本発明は土を耕し大地から生産された野菜
を用い、フラクトオリゴ糖を最大限に含有する健康ドリ
ンク剤を提供することにある。フラクトオリゴ糖を含有
する野菜として、中南米原産のキク科の根菜であるヤー
コンを用いるが、野菜であり根菜であるが故に多くの課
題がある。中でも最大の課題はヤーコンが褐変すること
である。すなわち、ヤーコンを水洗脱皮して放置してお
くと、徐々に酸化されて褐変し黒緑化する。特に家庭用
のジユーサーまたはミキサーでヤーコンを破砕すると、
初めは無色であるが徐々に黒ずんでくる。これはO−フ
ェノールオキシダーゼという酵素によって引き起こされ
るといわれてきた。本酵素はアスコルビン酸またはアス
コルビン酸ナトリウムを用いて還元することで褐変を防
止できるとの報告もある。しかしながら、本発明者らの
研究の結果、アスコルビン酸などによる褐変防止効果は
一時的であり本質的な解決策にならないことが明らかに
なった。従って、根本的に褐変を防止する方法を見いだ
し、長期にわたり保存安定性にすぐれた健康ドリンク剤
を提供することが本発明の最大の課題である。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では生鮮ヤーコンを一定時間加熱処理した
後、破砕しながら空気酸化して得られる753nmおよ
び690nm近くに吸収を有する緑色ヤーコン破砕物と
アスコルビン酸またはアスコルビン酸ナトリウムとから
なる黄色ないし橙色を有する野菜ドリンク剤としたもの
である。また、この際、 アスコルビン酸またはアスコ
ルビン酸ナトリウムは、緑色ヤーコン破砕物に対して
0.1〜2.0重量%含有するものである。また、本発
明では、次の(1)〜(3)の工程を順次行う野菜ドリ
ンク剤の製造方法としたものである。 (1)、生鮮野菜を水洗し脱皮して一定時間加熱し、8
30nm近くに吸収ピークを有する色素を除去する工
程、(2)、(1)で得たヤーコンを破砕しながら空気
酸化して、753nmおよび690nm近くに吸収ピー
クを有する緑色ヤーコン破砕物を得る工程、(3)、
(2)で得た緑色ヤーコン破砕物とアスコルビン酸また
はアスコルビン酸ナトリウムを反応させて黄色ないし橙
色を有する野菜ドリンク剤とする工程、前記工程(1)
の加熱方法は熱水処理による方法が熱伝導の点からすぐ
れており、処理温度が60℃以上、好ましくは80℃以
上で効果的に野菜ドリンク剤を製造することができる。
また、前記工程(3)において、緑色ヤーコン破砕物と
アスコルビン酸またはアスコルビン酸ナトリウムとを反
応させる工程において、クエン酸、リンゴ酸などの有機
酸、又は、リン酸などの無機酸を共存させると、多くの
優位性をもって保存安定性にすぐれた野菜ドリンク剤を
製造することができる。また、場合によっては前記工程
(2)で得られる緑色ヤーコン破砕物をあらかじめ固液
分離し、固形物を除去した液部にアスコルビン酸または
アスコルビン酸ナトリウムを加えて反応させると、固形
分を含まない野菜ドリンク剤を製造することができる。
ここで除去して得られる固形分は生のまま若しくは別途
熱風乾燥してドリンク剤に添加すると、固形分を含むピ
ューレ状野菜ドリンク剤が得られる。
【0006】
【発明の実施の形態】次に本発明を詳細に説明する。フ
ラクトオリゴ糖を含有する野菜として、中南米原産のキ
ク科の根菜であるヤーコンがある。ヤーコンの主成分は
フラクトオリゴ糖であり、野菜の中で最もフラクトオリ
ゴ糖を多く含むものである。大豆、ゴボウ、玉葱などに
比べて2〜4倍含有することが本発明者らの検討で明ら
かになった。また、食物繊維も多く、根菜に共通するミ
ネラル分、特にカリウム、カルシウム、およびマグネシ
ウムなどが多く含まれており、さらにビタミン類、特に
ビタミンA,B,BおよびCなども含まれており、
ヤーコンからドリンク剤が製造できれば、飽食時代の成
人予防の野菜ドリンク剤として有望になると思われる。
このようにヤーコンは腸内環境を整える上で好適な根菜
であり、且つ果実のようにみずみずしいのでドリンク剤
としての適性を有しているが、一方でヤーコン独特の褐
変現象が見られ、品質上からも保存上からもこれを完全
に防止できる技術を開発できなければドリンク剤への利
用は困難である。本発明者らはこのような観点に立って
本褐変問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明
を完成させた。
【0007】本発明者らの詳細な検討の結果によれば、
ヤーコンを水洗し脱皮した状態ではほとんど褐変は起こ
らない。しかしながら、ミキサーやジユーサーなどでヤ
ーコンを破砕すると数分で褐変してくる。ある場合には
青色であったり、緑色であったり、そしてさらに数十分
も置くと黒緑色に至る。このときの可視部の吸収スペク
トルを図1に示す。図1から分かるように、ヤーコンが
空気に触れると、主として2つの色調が現れる。1つ
は、830nm近くにピークを有する青色系の色素であ
り、今一つは、690nmおよび753nm近くにピー
クを有する緑色系の色素である。これらのピークはピー
クが現れた後に空気を遮断すると消失する。また初めか
ら空気を絶つと当然の事ながらこれらのピークは現れな
い。従ってこれらのピークは酸化によって発現するもの
と考えられる。
【0008】本発明者らはこれら色素の除去方法につい
て検討した結果、一定時間加熱する方法が最も有効であ
り現実的であることが明らかになった。加熱の方法とし
て乾燥機などによる熱風加熱およびウオーターバスなど
による熱水加熱などがあるが、後者の方法が特に効果的
であった。おそらくヤーコン原料の内部組織まで均一に
熱が伝わるためと考えられる。2つの色素の内830n
m近くに有する吸収は沸騰水中で1ないし5分間処理す
ると、吸収ピークは消失する。熱水温度が下がるほど吸
収ピークの消失に要する時間は長くなる。温度が70℃
以下、例えば65℃の場合、吸収ピークの消失に30分
以上を要する。一方、690nmおよび753nm近く
にピークを有する緑色系の色素は830nmの近くに吸
収ピークを有する色素に比べて熱に強く、80℃以上の
熱水処理によっても30分ないし1時間以上加熱をしな
いと、吸収ピークは消失しない。加熱の方法として乾燥
機などによる熱風加熱でも、830nm近くに有する吸
収ピークを除去できるが、熱水による加熱のように厳密
なコントロールができない欠点を有する。これら2つの
グループの色素の内、830nm近くにピークを有する
青色系の色素を除去することは本発明を完成する上で大
変重要なことである。その理由の一つは、この色素を除
去せずに次の工程に進むならば、アスコルビン酸または
アスコルビン酸ナトリウムと反応させた後も、すなわち
最終ドリンク剤とした後も、空気に触れて酸化され黒ず
んでくる。逆に、本色素を除去することで、長期に安定
した黒ずまないジュースを提供することができる。今一
つの理由は、本色素を除去せずに次の工程に進むと、鮮
やかな緑色を呈さず暗い緑色となり、アスコルビン酸ま
たはアスコルビン酸ナトリウムと反応させた後も、鮮や
かなオレンジ色とならず暗い冴えないオレンジ色のジュ
ースまたはピューレになってしまう。これら2つのグル
ープの色素の内、 690nmおよび753nm近くに
ピークを有する緑色系の色素に関しては,例えば90℃
以上で30分または1時間以上熱水処理を続けると、緑
系の色素も消失する。同時にアスコルビン酸またはアス
コルビン酸ナトリウムを加えても、発色を示さず無色に
近いものとなる。すなわち、アスコルビン酸またはアス
コルビン酸ナトリウムと反応させてオレンジ色を呈する
のは、緑色系の色素の存在が必要不可欠である。従っ
て、鮮やかな緑色系色素を発現させることは本発明の重
要な要件の一つである。
【0009】本発明の重要な要件である鮮やかな緑色系
の色素を発現させることに関して (1)830nm近くに吸収ピークを有する色素を除去
すること。 (2)690nmおよび753nm近くにピークを有す
る緑色系の色素を可能な限り強く発現させること。 (3)熱水処理などにより栄養成分を分解させたり溶出
させたりしないこと。これらの条件を満足させるために
は、加熱処理の温度と時間を厳密にコントロールする必
要がある。例えば、熱水温度を80℃から95℃の間
で、1〜20分、好ましくは2〜10分で行うことが求
められる。本条件の下では、(1)は満たされ、(2)
も必要条件は満たしている。また、(3)も糖類の分析
結果を見る限りでは問題はない。本条件下では、フラク
トオリゴ糖などの溶出は極めてわずかであった。残され
た課題は、例えばビタミン類として含まれているビタミ
ンA、ビタミンBおよびビタミンB、ビタミンCな
どが分解または溶出していないことを確認することであ
る。上記(1)および(2)に関する詳細な検討結果、
(1)に関する色素はヤーコンの表皮近くに多く存在し
ており、また、(2)に関する色素はヤーコンの内部に
亘って全体的に存在しており、このことは上記(1)お
よび(2)を同時に満たす上で好都合であった。上記の
処理によって(1)の色素を除去し、(2)の色素の元
を極力残した上で、690nmおよび753nm近くに
ピークを有する緑色系の色素を可能な限り強く発現させ
るために次のような処理を行う。熱水処理を施したヤー
コンを引き続き破砕機にて破砕する。この際ヤーコンを
急冷する必要は特になく、未だ加熱された状態のままで
破砕機にかけて十分である。使用する破砕機はできるだ
け空気を巻き込む形のものが望ましい。必要に応じて空
気を送り込むことも、連続的に破砕する場合は好まし
い。本発明で使用する破砕機は特に限定されるものでは
ない。家庭用のミキサーのようなバッチ式のものも使用
できるし、スクリュウ式押し出し式で連続的に破砕でき
るものも使用できる。家庭用ミキサーと同じ原理の高速
度ミキサーで、空気を巻き込むように激しく破砕する場
合は3〜10分で本目的を達成できる。1乃至2分の破
砕により緑色の色素は発現し始め、次第に色合いを増す
ことができる。30分以上の破砕は必要ではなく、極端
に破砕を続けると緑色の色素が変質し、次の工程でアス
コルビン酸またはアスコルビン酸ナトリウムと反応でき
ない部分が多く発生するので好ましくない。この場合は
黒ずんだ黄橙になるか、または極端な場合には黒ずんだ
ままで、アスコルビン酸の添加効果が認められない事態
も起こる。
【0010】本発明の重要な要件である第三の工程は上
記の緑色系色素とアスコルビン酸またはアスコルビン酸
ナトリウムと反応させる工程である。本工程で重要なこ
とは (1)830nm近くに吸収ピークを有する色素を除去
する際に、熱水処理をやりすぎないこと。やりすぎると
緑系色素まで消失してしまう。 (2)690nmおよび753nm近くにピークを有す
る緑色系の色素が発現する前に、アスコルビン酸または
アスコルビン酸ナトリウムを添加しないこと。 (3)緑色系の色素が発現してから、長時間放置しない
こと。例えば、数十分ないし数時間以上放置しないこ
と。 などである。上記の点に配慮すれば、アスコルビン酸ま
たはアスコルビン酸ナトリウムを添加と同時に、瞬時に
本発明のドリンク剤はオレンジ色に変化する。この時の
可視部の吸収スペクトルを図2に示す。図2は上記の要
件をすべて満たしていることを示している。このように
本反応は瞬時に、しかも100%起こるので、恐らく本
反応は酸塩基反応であろうと推定される。本発明に於い
て添加するアスコルビン酸またはアスコルビン酸ナトリ
ウム量はヤーコンに対して重量で0.2〜0.3%が最
も好ましい。この場合のドリンク剤のpHは4.3〜
4.5である。0.2%より添加量が少ない場合は未反
応部分が発生し、0.3%より添加量が多い場合は反応
上で特別問題は起こらないが、特別多く添加する理由も
見あたらない。2%以上の添加は酸っぱさを加味する上
では有効であろう。本発明に於いて添加するアスコルビ
ン酸またはアスコルビン酸ナトリウム量は他の酸を共存
させることにより減らすことができる。その他の酸とし
てはリンゴ酸、クエン酸などの有機酸を、また、リン酸
などの無機酸を用いることができる。これらの酸を共存
させることで、0.2%以下に、例えば0.1%または
それ以下にも添加量を減らすことができる。クエン酸な
どの酸を添加する利点はアスコルビン酸またはアスコル
ビン酸ナトリウムの添加量を減らせるだけの利点に留ま
らない。本発明のドリンク剤のpHを下げ、殺菌工程の
条件を穏和にすることができ(例えば、pH4.0〜
4.6の場合には85℃、30分の殺菌でよく、pH4
以下の場合には65℃、20分の殺菌でよい)殺菌温度
を低減できる。同時に酸性条件下での糖類、例えばフラ
クトオリゴ糖の分解を少なくできるなどの利点もでてく
る。
【0011】本発明で用いるヤーコン原料は、本発明の
目的からフラクトオリゴ糖を多く含有することが好まし
い。ヤーコンは収穫時期が11月である。収穫直後は甘
みも少なく魅力に欠ける野菜のように思われるが、1ヶ
月すると甘みが増し、1ヶ月半から2ヶ月すると、とて
もおいしい食べ頃となる。糖度も14〜15度になる
(但し、有機栽培による場合は収穫時に、既に糖度は1
4〜15度もある)。2月に入ると腐敗が始まり、保存
できるのも自然の状態ではせいぜい3月いっぱいであ
る。このようにヤーコンの成分組成が経時的に変化する
ことは品質管理上大きな問題である。本発明者らはヤー
コンの成分組成を経時的に追跡した結果、収穫直後のヤ
ーコンが最もフラクトオリゴ糖を多く含み、時間の経過
とともにフラクトオリゴ糖は分解して分子量の低い他の
糖類に変化することが判明した。甘みが増す理由の一つ
に甘味度の高い果糖やブドウ糖などの増加があげられ
る。従って、糖度は低いが収穫直後に加工して本発明の
ドリンク剤を生産することが望ましい。収穫直後はヤー
コンの水洗脱皮も容易であり加工上からも好ましいこと
である。
【0012】本発明における殺菌方法については特に限
定されるものではないが、ヤーコンが根菜類であるが故
に芽胞菌のような耐熱性の土壌菌の除去は重要である。
この点についても鋭意検討したが化学薬品による殺菌や
高温での熱風殺菌をするまでもなく、本発明の要件であ
る熱水処理の工程で無菌状態にできることが判明した。
【0013】本発明を完成させる上で特に重要で、且つ
必須の製造工程は以下の3工程である。 (1)、生鮮野菜を水洗し脱皮して一定時間加熱し、8
30nm近くに吸収ピークを有する色素を除去する工
程、(2)、(1)で得たヤーコンを破砕しながら空気
酸化して、753nmおよび690nm近くに吸収ピー
クを有する緑色系色素を発現させる工程 (3)、
(2)で得た緑色系色素を発現させたヤーコン破砕物と
アスコルビン酸またはアスコルビン酸ナトリウムを反応
させる工程、上記の3工程については既に詳述した。そ
の他の製造工程として必要不可欠な工程は殺菌工程であ
る。本工程に関してはドリンク剤の最終のpHによって
異なるが、好ましい一つの形態を示すと、pH4近くに
調整し包装容器に充填した後に、65℃で20分間、加
熱殺菌することで殺菌できた。本発明で使用する包装容
器については特に限定するものではない。すなわち、
缶、瓶、紙容器およびポリ袋などがあげられる。好まし
い一つの形態を示すならば、ポリ袋に充填し、ついで6
5℃で20分間、加熱殺菌する。その後、急速冷凍して
冷凍庫で保存する。急速冷凍の優位性、有効性は品質上
で鮮明に現れ、内部まで均質に冷凍できる結果、水分が
凍った感じがなく柔らかさを保持できる利点がある。ま
た、驚くべきことにヤーコンの固形分を有するピューレ
の状態のドリンク剤の場合には、冷凍することにより肉
質部の組織細胞が壊れ、結果として舌触りの柔らかい好
ましいピューレを製造できることが判明した。逆に冷凍
しない場合には、ヤーコンの肉質部のザラザラが目立つ
ので、口内での違和感があり、ヤーコンをミキサーで破
砕した後、さらに石臼タイプの粉砕機を用いてヤーコン
をすりつぶすことが求められる。本発明のピューレ状の
ドリンク剤の場合には、固形物として3〜6%含む状態
が食感および流動性などの点から好まれる。
【0014】
【実施例】以下に本発明を具体的に示すために実施例を
示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。 実施例1 有機栽培による収穫直後の生鮮ヤーコン(驚くべきこと
に糖度は15.1度であった)を良く水洗し脱皮する。
脱皮したヤーコン2Kgを計り取り、約90℃の温水中
にて5分間熱処理を施す。熱処理をしたヤーコンのごく
一部を取り出し、吸光光度計にて可視部の吸収スペクト
ルを測定する。その結果、830nm近くに吸収ピーク
を有する色素が消滅しており、本色素の大部分は除去で
きたことを確認できた。ついで日本調理機製の高速度ミ
キサーに移し、水2Kgを加え4分間破砕する。徐々に
緑色を呈し、一部の液を取り出して可視部の吸収スペク
トルを測定する。その結果、753nmおよび690n
m近くに吸収ピークを有する緑色系色素の発現を確認で
きた。引き続きアスコルビン酸10gを添加し、さらに
2分間かき混ぜた。鮮やかなオレンジ色を呈した。この
時の溶液のpHは4.4であった。固形分の含有量は
6.8重量%であり、糖度は7.9であった。得られた
本発明のドリンク剤をポリ袋に充填し、密封後冷凍保存
した。保存安定性は良好であり、開封して空気に触れさ
せても黒ずまなかった。また、肉質部の繊維も柔らか
く、甘みもあり口触りも良好であった。日本ダイオネク
ス社製の液体クロマトグラフィーにより、フラクトオリ
ゴ糖の含有率を測定した結果、100g中に4.1g含
まれていた。 実施例2〜実施例10 熱処理の温度と時間を変えた以外は実施例1と同様に行
った。結果を表1に示す。表1からも分かるように、高
温ほど短時間に830nmの吸収ピークを消すことがで
きた。なお、55℃では色素の消滅に効果的でなかっ
た。 実施例11 実施例1に於いて熱処理の方法を熱水処理から熱風処理
に変えた以外は実施例1と同様に行った。電気乾燥機中
で120℃、1時間熱処理を行った。この結果、830
nmの吸収ピークは完全に消滅していた。しかし、75
3nmおよび690nmの吸収ピークの大半も消滅し
た。熱風による色素の除去はできたが、選択性に乏しく
熱水処理には及ばなかった。 実施例12 有機栽培による収穫直後の生鮮ヤーコン(糖度は15.
1度であった)を良く水洗し脱皮する。脱皮したヤーコ
ン2Kgを計り取り、約90℃の温水中にて5分間熱処
理を施す。ついで日本調理機製の高速度ミキサーに移
し、水2Kgを加え破砕時間を1分、2分、3分、5
分、10分、20分、40分および60分と変えて行っ
た。その結果、2分以下では緑系色素は十分発現せず、
2分以上5分乃至10分までは緑色系色素が濃く発現し
たが、その後はむしろ黒化が始まった。黒化の原因は明
らかでなかったが、一般に長く放置しても同じような現
象が現れた。60〜100℃の熱水処理条件下では3〜
10分で十分であることが分かった。 実施例13 有機栽培による収穫直後の生鮮ヤーコン(糖度は15.
1度であった)を良く水洗し脱皮する。脱皮したヤーコ
ンを約85℃の温水中にて6分間熱処理を施す。熱処理
をしたヤーコンのごく一部を取り出し、吸光光度計にて
可視部の吸収スペクトルを測定する。その結果、830
nm近くに吸収ピークを有する色素が消滅しており、本
色素の大部分を除去できたことが確認できた。ついで平
賀工作所製のNO42E型チョッパーを使用し、プレー
ト目サイズは三里目(1.2mm)を用いて、連続的に
ヤーコン20Kgを細かく破砕した。日本調理機製の高
速度ミキサーで破砕したものとほぼ同等の破砕物が得ら
れた。破砕中に濃い緑色を呈し、一部の液を取り出して
可視部の吸収スペクトルを測定する。その結果、753
nmおよび690nm近くに吸収ピークを有する緑色系
色素の発現を確認できた。このものを加圧下に濾過し固
液分離を行った。ついで液体部10Kgをポリ容器に移
し、これにアスコルビン酸50gを添加し、さらに2分
間かき混ぜた。鮮やかなオレンジ色を呈した。この時の
溶液のpHは4.3であった。また、糖度は14.8で
あった。得られた本発明のジュース状のドリンク剤をポ
リ袋に充填し、密封後冷凍保存した。保存安定性は良好
であり、甘みも非常に強く、酸っぱさは感じられなかっ
た。日本ダイオネクス社製の液体クロマトグラフィーに
より、フラクトオリゴ糖の含有率を測定した結果、10
0g中に8.2g含まれていた。 実施例14 実施例13で得たドリンク剤1Kgに、同じく実施例1
3で得た固形物を乾燥したものを50g加えた。このも
のはピューレ状のドリンク剤として、ジュース状のもの
とはひと味違った、より自然に近い飲み物となった。固
形物の含有量は3〜5%が飲みやすさ、特に流動性の点
で好適であった。 実施例15 収穫後2ヶ月を経過した、化学肥料により栽培したヤー
コン(糖度13.9)を水洗し脱皮する。このものは自
然乾燥が進み脱皮後じきに褐変した。少し褐変したヤー
コン3Kgを計り取り、約90℃の温水中で熱処理を施
した。ついでこれを高速度ミキサーに入れ、水3Kgを
加えて3分間破砕した。この時点で緑系色素は濃く発現
した。ついでアスコルビン酸15gとクエン酸10gを
添加し2分間攪拌した。溶液のpHは3.9であり、鮮
やかな黄色ドリンク剤が得られた。これをポリ袋に充填
して密封し、65℃で20分間加熱殺菌し、冷却後冷凍
保存した。クエン酸を添加したことで、褐変を完全に防
止できた。
【0015】
【発明の効果】本発明のドリンク剤は自然の恵みを10
0%生かした、おいしくて健康によいドリンク剤であ
る。根菜であるヤーコンの果実のようなみずみずしさを
生かした上に、ヤーコンのもつフラクトオリゴ糖が通じ
をよくし、総コレステロールを低減させ、高脂血症を改
善させるなどの効果を示す。さらにヤーコン中の食物繊
維、ミネラル類(カルシウム、マグネシウム、カリウ
ム、鉄など)、ビタミン類(ビタミンA,B1,B2,
およびCなど)を摂取する目的でも大変有用なドリン
ク剤である。 これようなヤーコンのもつ特性も、ヤー
コンが本来もつ欠点である褐変現象を解決してはじめて
実用化できる。本発明はこのような要望に完全に応えた
ものである。
【手続補正書】
【提出日】平成8年6月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡準な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】 空気酸化されたヤーコン根塊破砕物の可視
吸収スペクトル。すなわち、ヤーコン根塊を破砕し、酸
化して得られる可視吸収スペクトル
【図2】 ヤーコン根塊破砕物のビタミンCによる還
元後の可視吸収スペクトル。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生鮮ヤーコンを一定時間加熱処理した
    後、破砕しながら空気酸化して得られる753nmおよ
    び690nm近くに吸収を有する緑色ヤーコン破砕物と
    アスコルビン酸またはアスコルビン酸ナトリウムとから
    なる黄色ないし橙色を有する野菜ドリンク剤。
  2. 【請求項2】 前記アスコルビン酸またはアスコルビン
    酸ナトリウムは、緑色ヤーコン破砕物に対して0.1〜
    2.0重量%含有することを特徴とする請求項1記載の
    野菜ドリンク剤。
  3. 【請求項3】 次の(1)〜(3)の工程を順次行う野
    菜ドリンク剤の製造方法。 (1)、生鮮野菜を水洗し脱皮して一定時間加熱し、8
    30nm近くに吸収ピークを有する色素を除去する工
    程、 (2)、(1)で得たヤーコンを破砕しながら空気酸化
    して、753nmおよび690nm近くに吸収ピークを
    有する緑色ヤーコン破砕物を得る工程、 (3)、(2)で得た緑色ヤーコン破砕物とアスコルビ
    ン酸またはアスコルビン酸ナトリウムを反応させて黄色
    ないし橙色を有する野菜ドリンク剤とする工程、
  4. 【請求項4】 前記工程(1)の加熱方法が熱水処理
    による方法で、処理温度が60℃以上である請求項3記
    載の野菜ドリンク剤の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記工程(3)の緑色ヤーコン破砕物
    とアスコルビン酸またはアスコルビン酸ナトリウムとの
    反応は、(クエン酸、リンゴ酸、リン酸などの)有機酸
    又は、無機酸の存在下に行うことを特徴とする請求項3
    記載の野菜ドリンク剤の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記工程(2)で得られる緑色ヤーコン
    破砕物は、固液分離した後、液部を工程(3)のアスコ
    ルビン酸またはアスコルビン酸ナトリウムと接触又は反
    応させることを特徴とする請求項3記載の野菜ドリンク
    剤の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記固液分離後の固形物は、生のまま又
    は熱風乾燥して、これを前記固液分離後の液部に加え、
    工程(3)のアスコルビン酸またはアスコルビン酸ナト
    リウムと接触又は反応させることを特徴とする請求項6
    記載の野菜ドリンク剤の製造方法。
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