JPH09216A - 発泡樹脂およびその製造方法 - Google Patents

発泡樹脂およびその製造方法

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JPH09216A
JPH09216A JP7181076A JP18107695A JPH09216A JP H09216 A JPH09216 A JP H09216A JP 7181076 A JP7181076 A JP 7181076A JP 18107695 A JP18107695 A JP 18107695A JP H09216 A JPH09216 A JP H09216A
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JP
Japan
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resin
styrene
water
weight
foamed resin
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JP7181076A
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English (en)
Inventor
Shigeyuki Takahashi
重之 高橋
Hiroshi Yokoo
寛 横尾
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NAGANO NOBAFUOOMU KK
Daicel Corp
Original Assignee
NAGANO NOBAFUOOMU KK
Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
Application filed by NAGANO NOBAFUOOMU KK, Daicel Chemical Industries Ltd filed Critical NAGANO NOBAFUOOMU KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い耐熱性と適度な柔軟性を有するととも
に、高い吸湿性及び放湿性を有するスチレン系発泡樹脂
を得る。 【構成】 スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、吸湿性
物質(水溶性又は水膨潤性高分子など)及び発泡剤を含
む樹脂組成物を発泡成形し、吸放湿性発泡樹脂を得る。
吸湿性物質は、セルロース又はその誘導体、カルボキシ
ル基含有水溶性高分子、吸水性ポリマーなどであっても
よい。スチレン系樹脂とオレフィン系樹脂との割合は、
前者/後者=99/1〜70/30(重量%)程度であ
り、吸湿性物質の割合は、スチレン系樹脂とオレフィン
系樹脂との総量100重量部に対して0.1〜30重量
部程度である。発泡成形においては、核剤を含む樹脂組
成物を用いてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吸湿性・放湿性を有す
る合成木材、例えば、蒲鉾板、御飯容器、結露防止の内
装材や敷物などとして有用な吸放湿性発泡樹脂およびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】適度な吸湿性及び強度を有する木材は、
種々の用途で使用されている。例えば、魚肉加工食品で
ある蒲鉾の多くは板付き蒲鉾として販売されている。こ
の板付き蒲鉾は、一般に、(i)蒲鉾原料であるすり身
肉を板の上に乗せて包装した後、座り工程を経て蒸し上
げる方法、(ii)板の上にすり身肉を乗せて、座り工程
の後、蒸し上げる方法で製造されている。製造された蒲
鉾は、印刷されたフィルムで包装され、商品として出荷
される。このような方法は、板の上に乗せたすり身肉を
加熱する工程を含んでおり、加熱に伴って、蒲鉾中の水
分は蒸発し、冷却過程で板やフィルムに凝縮して水滴と
なる。そのため、蒲鉾板が合成樹脂などのように吸湿性
に乏しい場合には、そのまま水滴が残存し、汗をかいた
製品となり商品価値を損なうとともに製品の傷みが早
い。
【0003】このようなことは木材の他の用途において
も同様である。例えば、炊きたての御飯を、吸湿性に乏
しい合成樹脂製容器に収容すると、温度低下に伴って、
容器内に結露が生じ、水滴が御飯と接触し、御飯の美味
しさなどが損なわれる。
【0004】さらに、部屋内部においては、柱、家具、
壁材などとして合成樹脂材料を用いると、木材のように
湿度調整機能に寄与できず、前記と同様に結露が生じ
る。
【0005】従って、蒲鉾板、御飯容器などには、水滴
を吸収する適度な吸湿性、加熱水蒸気などに接しても変
形又は変質しない耐熱性が必要である。また、天然木材
に代わる材料としては、木材に類した適度な柔軟性を有
することも望まれる。
【0006】一方、木材資源が減少するにつれて、吸湿
性などに優れる木材を経済的に入手することが困難にな
りつつある。特に、蒲鉾板として木の香りを重視した杉
板や、白檜が好まれるものの、これらの木材は、経済的
に有利に入手することが困難である。そのため、木材保
護の観点からも、天然木材に代わる材料が求められてい
る。
【0007】木材に代わる材料として合成樹脂に吸湿及
び放湿機能を付与することが提案されている。例えば、
特公昭54−29580号公報には、ポリプロピレン樹
脂とスチレン樹脂との樹脂組成物を成形した板状物を、
濃硫酸と重クロム酸カリウムに浸漬処理し、水洗乾燥す
る方法が開示されている。しかし、この方法では、強酸
性の薬液に浸漬処理する工程、水洗工程及び乾燥工程を
必要とするため、経済性のみならず生産性が低下する。
特公昭56−35426号公報には、例えば、ポリオレ
フィン樹脂と無機充填剤と添加剤を含む組成物を成形
し、少くとも一軸方向に1.5倍以上延伸することによ
り、5%以上の吸水率を付与する方法が開示されてい
る。しかし、この方法も、成形工程の後、延伸処理工程
を必要とするため、経済性に乏しい。しかも、吸湿性及
び放湿性が十分でないため、合成木材としての機能が十
分でない。
【0008】特開平4−253740号公報には、魚肉
のドリップや結露水を効率よく吸収する吸水性発泡体と
して、高吸水性ポリマー及びフィラーをポリスチレン発
泡体中に含有する吸水性ポリスチレン発泡体とその製造
方法が開示されている。しかし、この発泡体は、圧縮強
度などの物理的強度が不十分となるため、例えば、蒲鉾
板などの木材に代る合成木材の用途としては問題があ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、吸湿性及び放湿性の高いスチレン系発泡樹脂および
その製造方法を提供することにある。本発明の他の目的
は、スチレン系樹脂を主成分とするにも拘らず、天然木
材としての感触を有し、高い耐熱性と木材に類した適度
な柔軟性を有するとともに、高い吸湿性及び放湿性を有
するスチレン系発泡樹脂およびその製造方法を提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討の結果、スチレン系樹脂とオレ
フィン系樹脂と吸湿性物質とを含む樹脂組成物を発泡さ
せると、スチレン系樹脂を含むにも拘らず、吸湿性およ
び放湿性の高い発泡体が得られることを見いだし、本発
明を完成した。
【0011】すなわち、本発明の吸放湿性発泡樹脂は、
スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂および吸湿性物質を
含んでいる。前記吸湿性物質は、水溶性高分子又は水膨
潤性高分子であってもよい。このような吸水性物質に
は、例えば、セルロース又はその誘導体、カルボキシル
基含有水溶性高分子、吸水性ポリマーなどが含まれる。
前記発泡樹脂の平均気孔径は0.05〜5mm程度であ
ってもよく、平均密度は0.01〜0.5g/cm3
度であってもよい。前記発泡樹脂は吸湿性及び放湿性に
優れている。そのため、前記発泡樹脂で形成された板材
は、蒲鉾板などとして有用である。
【0012】本発明の方法では、スチレン系樹脂とオレ
フィン系樹脂と吸湿性物質と発泡剤とを含む樹脂組成物
を発泡成形することにより、吸放湿性発泡樹脂を製造す
る。この方法において、発泡剤としては、分解型発泡
剤、揮発型発泡剤のいずれも使用でき、分解型発泡剤は
有機酸と組み合わせて使用してもよい。前記発泡成形に
際しては、さらに核剤を含む樹脂組成物を発泡成形して
もよい。なお、本明細書において、アクリル系単量体と
メタクリル系単量体とを「(メタ)アクリル」系単量体
として総称する。
【0013】以下に、本発明を詳細に説明する。前記ス
チレン系樹脂には、スチレン系モノマーを主成分とする
樹脂、例えば、スチレン含量が50重量%以上、好まし
くは70重量%以上のスチレン系樹脂が含まれる。スチ
レン系樹脂は、スチレン系モノマーの単独又は共重合
体、スチレン系モノマーと他の共重合性モノマーとの共
重合体であってもよい。
【0014】前記スチレン系モノマーには、例えば、ス
チレン、メチルスチレン、エチルスチレン、α−メチル
スチレン、ビニルトルエンなどのスチレン誘導体が含ま
れる。スチレン系モノマーに対して共重合可能な共重合
性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、無
水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのカルボキシ
ル基含有モノマー、(メタ)アクリル酸エステル[例え
ば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル
酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)ア
クリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、
(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−
エチルヘキシルなどのアルキル部分の炭素数が1〜18
程度の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル
酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリールエステ
ル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキ
シル基含有(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル
(メタ)アクリレートなどのグリシジル基含有(メタ)
アクリル酸エステル、アミノ基、置換アミノ基、メチロ
ール基、アミド基などの官能基を有する(メタ)アクリ
ル酸エステルなど]、ビニルエステル(例えば、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニルなど)、(メタ)アクリロニ
トリル、マレイン酸エステル又はフマル酸エステル(例
えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マ
レイン酸ジメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸
ジブチル、マレイン酸ジヘキシル、マレイン酸ジオクチ
ルなど)などが例示できる。このような共重合性モノマ
ーは一種又は二種以上混合して使用できる。好ましい共
重合性モノマーには、アクリル酸、無水マレイン酸、ア
クリル酸アルキルエステル(特に炭素数2〜10程度の
アルキル基を有するアクリル酸エステルや炭素数1〜4
程度のアルキル基を有するメタアクリル酸エステル)、
アクリロニトリルなどが含まれる。
【0015】さらに、スチレン系樹脂は、例えば、ポリ
ブタジエン、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴ
ム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレ
ンなどのゴム成分が混合されても、或いはゴム成分との
グラフト共重合体であってもよい。このようなスチレン
系樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合
体(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレ
ン共重合体(ABS)、アクリロニトリル−アクリルゴ
ム−スチレン共重合体(AAS)などが挙げられる。
【0016】好ましいスチレン系樹脂には、耐熱性およ
び発泡成形性の高いポリスチレン、スチレン−メタクリ
ル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共
重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン
−アクリロニトリル共重合体、ABS樹脂などが含まれ
る。
【0017】ASTM D−1288G法によるスチレ
ン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、例えば、
2〜32g/10分、好ましくは5〜25g/10分程
度である。
【0018】発泡体に適度な柔軟性を付与し、スチレン
系樹脂発泡体の脆さを改善するため、本発明では、前記
スチレン系樹脂とオレフィン系樹脂とを組み合わせる。
オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹
脂(例えば、低密度、中密度、高密度ポリエチレンな
ど)、ポリプロピレン系樹脂(アタクチック、アイソタ
クチックポリプロピレンなどの非結晶性又は結晶性ポリ
プロピレンなど)、ポリ(4−メチルペンテン−1)、
エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン
−イソブチレン共重合体、アイオノマー、エチレン−
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(例えば、エチレ
ン−アクリル酸エチル共重合体など)、エチレン−酢酸
ビニル共重合体などが含まれる。これらのオレフィン系
樹脂は一種又は二種以上混合して使用できる。好ましい
オレフィン系樹脂には、スチレン系樹脂単独の発泡体よ
りも耐熱性を向上させることが可能なポリオレフィン、
例えば、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−
1)などが含まれる。
【0019】スチレン系樹脂とオレフィン系樹脂との割
合は、発泡体の耐熱性および均一性を損なわない範囲で
選択でき、例えば、スチレン系樹脂/オレフィン系樹脂
=99/1〜70/30(重量%)、好ましくは98/
2〜85/15(重量%)程度であり、95/5〜80
/20(重量%)程度である場合が多い。
【0020】発泡樹脂の吸湿性を高めるため、本発明の
発泡体は吸湿性物質を含んでいる。吸湿性物質は、低分
子量化合物や無機化合物であってもよいが、有機高分
子、特に親水性高分子(水溶性高分子や水膨潤性高分
子)である場合が多い。吸湿性物質には、例えば、カル
ボキシル基含有水溶性高分子[例えば、カルボキシメチ
ルセルロース、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、
(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重
合体(例えば、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル
酸共重合体など)、スチレン−(メタ)アクリル酸共重
合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルエー
テル−無水マレイン酸共重合体(例えば、メチルビニル
エーテル−無水マレイン酸共重合体、エチルビニルエー
テル−無水マレイン酸共重合体、イソブチルビニルエー
テル−無水マレイン酸共重合体など)又はこれらの塩な
ど]、水溶性ビニルポリマー[例えば、ポリビニルアル
コール、ポリビニルエーテル(例えば、ポリビニルメチ
ルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイ
ソブチルエーテルなど)、ポリビニルピロリドン、ポリ
アミリルアミドなど]、水溶性ポリアルキレンオキサイ
ド(例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオ
キサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体
など)、セルロース(例えば、木粉、セルロース粉末な
ど)、水溶性セルロース誘導体(例えば、メチルセルロ
ース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース
など)、天然高分子(例えば、澱粉、グアーゴム、アラ
ビアゴム、トラガントゴム、アルギン酸ナトリウム、カ
ラギーナン、寒天など)、吸水性ポリマー(例えば、架
橋ポリアクリル酸、澱粉−アクリル酸グラフト共重合
体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の架橋物、
架橋ポリエチレンオキサイド又はこれらの塩など)など
が例示できる。前記塩としては、例えば、有機塩基(例
えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エタノー
ルアミン、モルホリンなどのアミン類)、無機塩基(例
えば、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、カル
シウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、アンモ
ニアなど)が挙げられる。これらの吸湿性物質は、一種
又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0021】なお、親水性高分子(水溶性高分子や水膨
潤性高分子)の重合度などに特に制限はなく、通常の市
販品が使用できる。カルボキシメチルセルロースやヒド
ロキシエチルセルロースなどのセルロースエーテル類の
エーテル化は、種類に応じて選択でき特に制限されな
い。例えば、カルボキシメチルセルロースのエーテル化
度は、0.5〜3.0、好ましくは0.6〜2程度であ
り、エーテル化度0.6〜1.5程度のカルボキシメチ
ルセルロースを用いる場合が多い。また、ヒドロキシエ
チルセルロースのエーテル化度は、例えば、1.0〜
3.0、好ましくは1〜2程度であり、エーテル化度
1.0〜1.3程度のヒドロキシエチルセルロースを用
いる場合が多い。
【0022】これらの吸湿性物質のうち、例えば、カル
ボキシル基含有水溶性高分子、水溶性ビニルポリマー、
水溶性ポリアルキレンオキサイド、セルロース又は水溶
性セルロース誘導体、吸水性ポリマーなどが好ましく、
特に、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ま
たはその塩などのカルボキシル基含有水溶性高分子、セ
ルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ースなどの水溶性セルロース誘導体、架橋ポリアクリル
酸またはその塩などの高吸水性ポリマーなどを用いる場
合が多い。
【0023】吸湿性物質は、通常、粉粒状で使用され
る。吸湿性物質は、そのまま使用してもよいが、前記ス
チレン系樹脂及び/又はオレフィン系樹脂と吸湿性物質
との親和性を改善し、均一な吸湿性を付与するため、表
面処理してもよい。表面処理は親和性を付与できる種々
の材料、例えば、界面活性剤、オレフィン系樹脂(例え
ば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ス
チレン−ブタジエン共重合体など)などを用いて、コー
ティング、含浸、浸漬、噴霧などの慣用の方法により行
なうことができる。
【0024】吸湿性物質の使用量は、吸湿性物質の種類
などに応じて選択でき、例えば、前記スチレン系樹脂お
よびオレフィン系樹脂の合計量100重量部に対して
0.1〜30重量部、好ましくは0.3〜25重量部、
さらに好ましくは0.5〜20重量部程度である。吸湿
性物質の量が少い場合には吸湿性が低下し、多過ぎる場
合には発泡体の機械的強度や均一性が低下しやすい。
【0025】本発明の発泡樹脂の気泡は、連続気泡と独
立気泡が混在していてもよいが、物理的強度の観点から
50%以上が独立気泡であるのが有利である。発泡体の
平均気孔径は、所望する吸湿性などに応じて選択でき、
例えば、0.05〜5mm、好ましくは0.1〜3m
m、さらに好ましくは0.5〜3mm程度である。
【0026】さらに、発泡樹脂の発泡倍率は、発泡体の
機械的強度、吸湿性および合成木材の用途などに応じて
選択でき、例えば、1.5〜100倍、好ましくは2〜
70倍、さらに好ましくは2.5〜50倍程度であり、
合成木材として使用する場合には、発泡倍率1.5〜3
0倍(例えば、1.5〜15倍)、好ましくは4〜25
倍(例えば、4〜12倍)程度である場合が多い。発泡
樹脂の平均密度は、例えば、0.01〜0.5g/cm
3 、好ましくは0.05〜0.3g/cm3 程度であ
り、平均密度0.05〜0.2g/cm3 程度である場
合が多い。
【0027】本発明の吸放湿性発泡樹脂は、前記スチレ
ン系樹脂、オレフィン系樹脂および吸湿性物質に加え
て、発泡剤を含む樹脂組成物を発泡成形することにより
製造できる。前記発泡剤としては、揮発型発泡剤、分解
型発泡剤のいずれも使用できる。揮発型発泡剤として
は、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、
シクロヘキサンなどの炭化水素類、HFC−134a、
HCFC−142b、HCFC−22、1,1,1,2
−テトラフルオロエタン、ジクロロメタンなどのハロゲ
ン化炭化水素、メチルエーテル、エチルエーテルなどの
エーテル類、アセトンなどのケトン類などが例示でき
る。これらの揮発型発泡剤は一種または二種以上混合し
て使用できる。発泡樹脂の吸湿性を高める上で有用な気
泡を形成するためには、好ましい揮発型発泡剤には、沸
点−50℃〜70℃、好ましくは−45℃〜50℃程度
の炭化水素類やハロゲン化炭化水素類(例えば、プロパ
ン、ブタン、ペンタン、1,1,1,2−テトラフルオ
ロエタンなど)が含まれる。
【0028】分解性発泡剤としては、例えば、炭酸アン
モニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカ
リ金属炭酸塩、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリ
ウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素
塩、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、アゾヘキ
サヒドロベンゾニトリル、アゾジカルボンアミド、ジア
ゾアミノベンゼンなどのアゾ化合物、ベンゼンスルホニ
ルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジドなど
のスルホニルヒドラジド化合物、p−トルイレンスルホ
ニルセミカルバジドなどのセミカルバジド化合物、N,
N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどのニト
ロソ化合物、テレフタルアジドなどのアジド化合物など
が挙げられる。これらの発泡剤は一種または二種以上使
用できる。
【0029】分解型発泡剤は、その種類に応じて、発泡
助剤と組み合わせて使用してもよい。例えば、前記炭酸
塩や炭酸水素塩は、有機酸(例えば、クエン酸、シュウ
酸などのように、前記炭酸塩や炭酸水素塩よりも酸性度
が大きな有機酸)と組み合わせて使用してもよく、ニト
ロソ化合物は、前記有機酸や尿素などと組み合わせて使
用してもよい。前記有機酸は、無水物であってもよく水
和物であってもよい。発泡助剤の使用量は、例えば、前
記炭酸塩または炭酸水素塩に対して0.8〜0.2当量
程度である。吸湿性を高めるためには、好ましい分解型
発泡剤として、炭酸アンモニウム、アルカリ金属炭酸
塩、炭酸水素アンモニウム、アルカリ金属炭酸水素塩
と、発泡助剤としての有機酸とを組み合わせた発泡剤を
用いる場合が多い。
【0030】分解型発泡剤は、前記スチレン系樹脂及び
/又はオレフィン系樹脂との混和性を改善するととも
に、発泡体の吸湿部位を均一化するため、表面処理され
ていてもよい。表面処理は、前記樹脂との親和性を付与
できる種々の材料、例えば、界面活性剤、オレフィン系
樹脂(例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共
重合体、スチレン−ブタジエン共重合体など)などを用
いて、前記の表面処理と同様の方法で行なうことができ
る。
【0031】前記発泡剤の使用量は、発泡倍率、吸湿性
などに応じて選択でき、例えば、スチレン系樹脂とオレ
フィン系樹脂との合計量100重量部に対して1〜30
重量部(例えば、5〜30重量部)、好ましくは2〜2
0重量部程度であり、2〜10重量部程度である場合が
多い。
【0032】前記発泡樹脂の気泡を均一化するとともに
微細化するためには、核剤を併用することが有用であ
る。核剤としては、例えば、種々の微粒子、例えば、炭
酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウ
ム、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸
バリウム、シリカ、アルミナ、タルクなどの無機微粉末
が例示できる。これらの核剤は単独でまたは二種以上組
み合わせて使用できる。核剤の平均粒子径は、例えば、
0.01〜10μm、好ましくは0.5〜5μm程度で
ある。核剤の使用量は、スチレン系樹脂とオレフィン系
樹脂との合計量100重量部に対して0.1〜5重量
部、好ましくは0.2〜4重量部程度であり、0.5〜
5重量部程度である場合が多い。
【0033】前記スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、
発泡剤を含む樹脂組成物は、必要に応じて、さらに種々
の添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定
剤などの老化防止剤、界面活性剤、難燃剤、充填剤、着
色剤、香料などを含んでいてもよい。
【0034】前記樹脂組成物の発泡成形は、成形体の用
途及び形状などに応じて種々の成形法、例えば、発泡射
出成形法、押出発泡成形法などが採用できる。好ましい
発泡成形法には、合成木材を効率よく成形できる押出発
泡成形法が含まれる。発泡成形は、慣用の方法で行なう
ことができ、通常、スチレン系樹脂及びオレフィン系樹
脂が溶融可能な高温高圧下で樹脂組成物を混合し、この
混合物を冷却しながら適当な温度圧力条件で、大気中に
押出し発泡する場合が多い。なお、溶融温度、押出し温
度や圧力は、スチレン系樹脂及びオレフィン系樹脂の種
類や組成割合などに応じて、例えば、溶融温度130〜
300℃程度、溶融混練時の圧力100〜300kg/
cm2 程度、押出し温度90〜150℃程度の範囲から
適当に選択できる。
【0035】発泡成形により得られる発泡体の形状は、
特に制限されず、用途に応じて選択でき、例えば、シー
ト状、ボード状、ネット状、円柱状、各柱状、ブロック
状などであってもよい。なお、ボード状、各柱状、ブロ
ック状などの発泡体は、熱ニクロム線などを用いて溶融
切断によりスライスしてシート状に加工することもでき
る。
【0036】さらに得られた発泡体の表面には、必要に
応じて、木目調の模様を印刷したり、木目調の模様が印
刷された紙や通気性フィルムを貼り合わせることも可能
である。本発明の発泡樹脂は、適度な吸湿性と放湿性と
を備えているため、天然木材として種々の用途、例え
ば、蒲鉾板、御飯容器、内装材、床や壁などの下貼り材
などとして利用できる。
【0037】
【発明の効果】本発明の発泡樹脂は、スチレン系樹脂及
び吸湿性物質に加えて、オレフィン系樹脂を含むので、
スチレン系樹脂発泡体の脆さを改善し、木材に類する適
度な柔軟性を有し、かつ高い耐熱性を備えており、吸湿
性及び放湿性が高い。そのため、天然木材に代わる合成
木材として使用可能である。本発明の方法では、前記の
如き優れた特性を有するスチレン系発泡樹脂を製造でき
る。
【0038】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定さ
れるものではない。 実施例1 スチレン系樹脂(住友化学工業(株)製、商品名スミブ
ライト、メルトフローレート=11)92重量部、ポリ
プロピレン(住友化学工業(株)製、商品名ノーブレ
ン、メルトフローレート=6)8重量部、吸湿性物質と
してのカルボキシメチルセルロース(エーテル化度0.
8)0.5重量部及び架橋ポリアクリル酸ナトリウム
0.2重量部、核剤としての炭酸カルシウム1重量部、
発泡剤としての重炭酸水素ナトリウム5重量部、発泡助
剤としてのクエン酸3重量部を含む樹脂組成物を、スク
リュー型押出し機(内径50mmφ)に供給し、温度2
50℃、圧力220kg/cm2 で溶融混練した。押出
し機から大気中に押出す直前の温度を110℃に設定
し、目開き間隔1.2mmのスリットから押出し発泡
し、厚さ15mmの板状発泡体を得た。
【0039】得られた発泡体の密度を、下記計算式から
求めたところ、90kg/m3 であった。 発泡体の密度=発泡体の重量÷発泡体の体積 また、顕微鏡により発泡体の厚み方向において気泡径を
測定し、発泡体の平均気泡径を算出したところ、1.8
mmであった。さらに、所定の温度の水に所定時間発泡
体を浸漬し、浸漬前後における発泡体の重量を測定する
ことにより、下記式により算出される吸湿量に基づいて
吸湿性を評価した。 吸湿量(%)=[(W1−W0)/W0]×100 式中、W1 は浸漬後の発泡体の重量、W0 は浸漬前の発
泡体の重量を示す。そして、24℃の水中へ一昼夜浸漬
したとき、発泡体の吸湿量(%)は23重量%であり、
95℃の温水に52分間浸漬したとき、発泡体の吸湿量
(%)は78重量%であった。さらに、目視により発泡
体の外観を観察したところ、発泡体は均一に発泡してお
り、異状は認められなかった。
【0040】上記で得られた発泡体を加工して試験片
(幅53mm×長さ125mm×厚さ14mm)を作製
し、95℃の温水に52分間浸漬した後、常温,相対湿
度60%の雰囲気中に放置し、経時的に前記と同様にし
て吸湿量を測定することにより、放湿性を調べた。対照
として、上記と同様な大きさに加工した杉板を用いた。
結果を表1に示す。なお、表中、測定当初の吸湿量を1
00%として放湿量を相対値で示す。
【0041】
【表1】 表1より、前記発泡体は杉板に近い放湿性を有してい
る。
【0042】蒲鉾板としての評価 得られた発泡体を蒲鉾板の大きさ(53mm×125mm×14m
m)に加工して蒲鉾用板を作製し、板付き蒸し蒲鉾の製
造に供した。対照として、蒲鉾板として繁用されている
杉板を用いた。
【0043】すなわち、発泡体の蒲鉾板と杉板に、それ
ぞれ、魚肉すり身を乗せ、フィルム(ダイセル化学工業
(株)、商品名KICフィルム)ですり身と板全体を包
装した。包装物を冷蔵庫内で一昼夜放置して座り工程を
経た後、蒸気により約60分間蒸した。蒸気により蒸し
た後の板を観察したところ、発泡体の板は杉板と同じく
変形していなかった。また、魚肉と発泡体の板との密着
性も杉板と同様であった。さらに、蒸した後、冷蔵庫に
約5日間放置し、すり身と発泡体の板との肉付きの程度
を観察したところ、杉板を用いた板付き蒲鉾と同程度で
あり、杉板を用いた板付き蒲鉾と同じく「ネト(汁)」
の発生も認められなかった。さらに、室温(15〜20
℃)の部屋に放置して腐敗するまでの期間を調べたとこ
ろ、発泡板と杉板を用いた蒲鉾では、差が認められなか
った。
【0044】御飯容器としての評価 得られた板状発泡体を1.5mmの厚さの板状に加工
し、得られた板を用いて、蓋付御飯容器(15cm×20cm×
深さ3cm)を作製し、炊きたての御飯をいれて放置し
た。御飯をいれた後、持ち運びにおいて容器は変形する
ことがなかった。室温に冷却した容器の蓋を開けたとこ
ろ、蓋に水滴は付着していなかった。
【0045】比較例1 実施例1の樹脂組成物において吸湿性物質、発泡剤及び
発泡助剤を用いることなく、実施例1と同様にして、目
開き間隔15mmのスリットから押出し、厚さ15mm
の板状非発泡体を得た。すなわち、実施例1のスチレン
系樹脂92重量部、実施例1のポリプロピレン8重量
部、核剤としての炭酸カルシウム1重量部を含む樹脂組
成物を、スクリュー型押出し機(内径50mmφ)に供
給し、温度250℃、圧力220kg/cm2 で溶融混
練した。押出し機から大気中に押出す直前の温度を11
0℃に設定し、目開き間隔15mmのスリットから押出
し、厚さ15mmの板状体を得た。
【0046】そして、得られた板状体の吸湿性を調べた
ところ、24℃の水中へ一昼夜浸漬したとき、非発泡板
状体の吸湿量(%)は殆ど0重量%であり、95℃の温
水に52分間浸漬しても、非発泡板状体の吸湿量(%)
は殆ど0重量%であった。
【0047】蒲鉾板としての評価 実施例1と同様にして蒸気により蒸した後の板を観察し
たところ、変形は認められなかったものの、魚肉と板状
体との密着性は全くなかった。さらに、蒸した後、冷蔵
庫に約5日間放置したところ、「ネト(汁)」の発生が
認められ、蒲鉾板として適さなかった。
【0048】御飯容器としての評価 厚さ1.5mmの非発泡板状体を用いて、蓋付御飯容器
(15cm×20cm×深さ3cm)を作製し、炊きたての御飯を
いれて放置した。御飯をいれた後、持ち運びにおいて容
器は変形することがなかったものの、室温に冷却した容
器の蓋を開けたところ、蓋に水滴が付着しているととも
に、御飯の上に水滴が落下したと思われる跡が認められ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 25:00

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系樹脂とオレフィン系樹脂と吸
    湿性物質とを含む発泡樹脂。
  2. 【請求項2】 吸湿性物質が、水溶性又は水膨潤性高分
    子である請求項1記載の発泡樹脂。
  3. 【請求項3】 吸湿性物質が、セルロース又はその誘導
    体、カルボキシル基含有水溶性高分子、または吸水性ポ
    リマーである請求項1又は2記載の発泡樹脂。
  4. 【請求項4】 スチレン系樹脂とオレフィン系樹脂との
    割合が、前者/後者=99/1〜70/30(重量%)
    である請求項1記載の発泡樹脂。
  5. 【請求項5】 吸湿性物質の割合が、スチレン系樹脂お
    よびオレフィン系樹脂の総量100重量部に対して0.
    1〜30重量部である請求項1記載の発泡樹脂。
  6. 【請求項6】 平均気孔径が0.05〜5mmである請
    求項1記載の発泡樹脂。
  7. 【請求項7】 平均密度が0.01〜0.5g/cm3
    である請求項1記載の発泡樹脂。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の発泡樹脂で形成された蒲
    鉾板。
  9. 【請求項9】 スチレン系樹脂とオレフィン系樹脂と吸
    湿性物質と発泡剤とを含む樹脂組成物を発泡成形させる
    発泡樹脂の製造方法。
  10. 【請求項10】 発泡剤が、炭酸アンモニウム、アルカ
    リ金属炭酸塩、炭酸水素アンモニウム、アルカリ金属炭
    酸水素塩から選択された分解型発泡剤と、有機酸とを含
    む請求項9記載の発泡樹脂の製造方法。
  11. 【請求項11】 発泡剤が、沸点−50℃〜70℃の揮
    発型発泡剤である請求項9記載の発泡樹脂の製造方法。
  12. 【請求項12】 発泡剤の使用量が、スチレン系樹脂お
    よびオレフィン系樹脂の総量100重量部に対して1〜
    30重量部である請求項9記載の発泡樹脂の製造方法。
  13. 【請求項13】 スチレン系樹脂およびオレフィン系樹
    脂の総量100重量部に対してさらに核剤0.1〜5重
    量部を含む樹脂組成物を発泡成形する請求項9記載の発
    泡樹脂の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000149922A (ja) * 1998-11-05 2000-05-30 Samsung Sdi Co Ltd リチウムイオンポリマ―電池用電極活物質組成物、高分子電解質マトリックス組成物及びこれを用いたリチウムイオンポリマ―電池の製造方法
JP2017179139A (ja) * 2016-03-30 2017-10-05 積水化成品工業株式会社 ポリスチレン系樹脂発泡シート、積層シート、容器及び蓋体

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JP2000149922A (ja) * 1998-11-05 2000-05-30 Samsung Sdi Co Ltd リチウムイオンポリマ―電池用電極活物質組成物、高分子電解質マトリックス組成物及びこれを用いたリチウムイオンポリマ―電池の製造方法
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