JP2007084744A - スチレン系樹脂発泡性粒子とその製造方法及びスチレン系樹脂発泡成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 常圧、常温下においても揮発性発泡剤の逸散が少なく、製造後の保管、輸送が容易で、高度に発泡させることができ、かつスチレン樹脂製発泡体よりも耐衝撃性や緩衝性に優れた発泡体を製造可能なスチレン系樹脂発泡性粒子と発泡成形体の提供。
【解決手段】 スチレン系樹脂(a)とスチレン系エラストマー(b)とオレフィン系樹脂(c)とを含む樹脂組成物(i)と、揮発性発泡剤とを含むスチレン系樹脂発泡性粒子であって、前記樹脂組成物(i)は、前記スチレン系樹脂(a)として2〜8質量%のゴム成分を含むスチレン系樹脂60〜80質量%、前記スチレン系エラストマー(b)としてスチレンと共役ジエンとの共重合体又はその水素添加物である樹脂10〜30質量%、及び前記オレフィン系樹脂(c)として密度0.880〜0.910g/cm3の範囲であるポリエチレン系樹脂5〜20質量%からなる混合樹脂であるスチレン系樹脂発泡性粒子。
【選択図】 図1
【解決手段】 スチレン系樹脂(a)とスチレン系エラストマー(b)とオレフィン系樹脂(c)とを含む樹脂組成物(i)と、揮発性発泡剤とを含むスチレン系樹脂発泡性粒子であって、前記樹脂組成物(i)は、前記スチレン系樹脂(a)として2〜8質量%のゴム成分を含むスチレン系樹脂60〜80質量%、前記スチレン系エラストマー(b)としてスチレンと共役ジエンとの共重合体又はその水素添加物である樹脂10〜30質量%、及び前記オレフィン系樹脂(c)として密度0.880〜0.910g/cm3の範囲であるポリエチレン系樹脂5〜20質量%からなる混合樹脂であるスチレン系樹脂発泡性粒子。
【選択図】 図1
Description
本発明は、スチレン系樹脂とスチレン系エラストマーとオレフィン系樹脂の混合樹脂からなるスチレン系樹脂発泡性粒子とその製造方法、及びそのスチレン系樹脂発泡性粒子を発泡成形して得られるスチレン系樹脂発泡成形体に関する。本発明により得られるスチレン系樹脂発泡成形体は、スチレン系樹脂の剛性とスチレン系エラストマーの柔軟性とオレフィン系樹脂の優れた弾性を兼ね備えた特性を有しており、例えば工業製品の緩衝包装材、あるいは自動車の構造部材、エネルギー吸収材(バンパーやティビアパッド等)、または住宅分野、レジャー分野等に広く用いることができる。
スチレン系樹脂の発泡成形体は、軽量でありかつ剛性も高く、また断熱性にも優れるため、住宅用断熱や包装用緩衝材などに広く使用されている。
スチレン系樹脂を発泡させて発泡成形体とするには幾つかの方法があるが、その中の一つに発泡性粒子(発泡性ビーズ)を用いる方法がある。この方法は、まずスチレン系樹脂の粒子を材料とし、この粒子に揮発性発泡剤を含浸させて発泡性粒子とし、次いでこの発泡性粒子に水蒸気を接触させて、粒子を加熱し発泡させて予備発泡粒子を作り、その後この予備発泡粒子を金型内に充填し、金型内へ水蒸気を吹き込んで、粒子をさらに発泡させるとともに互いに融着させて、発泡成形体とするものである。
スチレン系樹脂を発泡させて発泡成形体とするには幾つかの方法があるが、その中の一つに発泡性粒子(発泡性ビーズ)を用いる方法がある。この方法は、まずスチレン系樹脂の粒子を材料とし、この粒子に揮発性発泡剤を含浸させて発泡性粒子とし、次いでこの発泡性粒子に水蒸気を接触させて、粒子を加熱し発泡させて予備発泡粒子を作り、その後この予備発泡粒子を金型内に充填し、金型内へ水蒸気を吹き込んで、粒子をさらに発泡させるとともに互いに融着させて、発泡成形体とするものである。
しかし、スチレン系樹脂からなる発泡成形体は、樹脂の特徴から衝撃に対して脆く、また油、溶剤に対して弱いという欠点を有している。
そのようなスチレン系樹脂の欠点を克服するものとして、スチレンとエチレンの重合体からなる発泡体(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
しかし、この発泡体は、オレフィン系樹脂単独品に比べれば、発泡剤の保持は良いものの、やはり、常温、常圧にて放置すれば短時間で揮発性発泡剤は逸散してしまい、製造後短時間のうちに成形体を製造する必要があった。
そのようなスチレン系樹脂の欠点を克服するものとして、スチレンとエチレンの重合体からなる発泡体(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
しかし、この発泡体は、オレフィン系樹脂単独品に比べれば、発泡剤の保持は良いものの、やはり、常温、常圧にて放置すれば短時間で揮発性発泡剤は逸散してしまい、製造後短時間のうちに成形体を製造する必要があった。
また、エチレン系樹脂からなる発泡体やプロピレン系樹脂からなる発泡体、またはエチレンとスチレンの重合体からなる発泡体(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。しかし、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂からなる樹脂粒子は、含浸せしめた揮発性発泡剤が逸散しやすく、発泡性樹脂粒子を製造した後、速やかに予備発泡して予備発泡粒子とする必要があり、または発泡性樹脂粒子を加圧容器内に保存する必要があった。それに比較し、スチレン系樹脂は揮発性発泡剤の保持性が良いので、揮発性発泡剤を含浸せしめて発泡性樹脂粒子を製造した後、該発泡性樹脂粒子を長期間放置した後でも十分な発泡性が保持される。従って、オレフィン系樹脂からなる発泡性粒子は、スチレン系樹脂からなる発泡性粒子に比べ、保管及び輸送に際して不利な面があった。
また、発泡性を維持する方法として、スチレン系樹脂とオレフィン系樹脂の混合樹脂にスチレン系エラストマーを添加したスチレン−オレフィン混合樹脂発泡性粒子が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。この方法で得られた発泡性樹脂粒子は、それまでのスチレン系樹脂とオレフィン系樹脂の混合樹脂に比べて発泡剤の保持性や耐衝撃性は優れているものの、より汎用的に用いるためには、更なる発泡剤の保存性が求められていた。また、得られた発泡成形品についても、エネルギー吸収材等のより高物性が求められている用途で使用するには、更なる物性改善が求められていた。
特開昭57−111330号公報
特開昭48−101457号公報
特開2004−238433号公報
従来のスチレン−オレフィン混合樹脂からなる発泡性粒子は、冷凍保管もしくは密閉容器中での加圧保管等をしない限りは、粒子中からの揮発性発泡剤の逸散を防止することができなかった。一般に、良好な発泡成形体を得るには、発泡性粒子中には少なくとも2質量%以上の揮発性発泡剤を含有していることが必要であるが、従来のスチレン−オレフィン混合樹脂からなる発泡性粒子は、常温、常圧下で1〜2日間放置すると、大部分の揮発性発泡剤が粒子中から逸散してしまい、その後に発泡成形しても良好な発泡成形体は得られなかった。また、発泡成形体の機械的物性強度も満足するものが得られなかった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、常圧、常温下においても揮発性発泡剤の逸散が少なく、製造後の保管、輸送が容易で、高度に発泡させることができ、かつスチレン樹脂製発泡体よりも耐衝撃性や緩衝性に優れた発泡体を製造可能なスチレン系樹脂発泡性粒子とその製造方法及びスチレン系樹脂発泡成形体の提供を目的とする。
本発明は、前記目的を達成するために、スチレン系樹脂(a)とスチレン系エラストマー(b)とオレフィン系樹脂(c)とを含む樹脂組成物(i)と、揮発性発泡剤とを含むスチレン系樹脂発泡性粒子であって、前記樹脂組成物(i)は、前記スチレン系樹脂(a)として2〜8質量%のゴム成分を含むスチレン系樹脂60〜80質量%、前記スチレン系エラストマー(b)としてスチレンと共役ジエンとの共重合体又はその水素添加物である樹脂10〜30質量%、及び前記オレフィン系樹脂(c)として密度0.880〜0.910g/cm3の範囲であるポリエチレン系樹脂5〜20質量%からなる混合樹脂であることを特徴とするスチレン系樹脂発泡性粒子を提供する。
また本発明は、60〜80質量%のスチレン系樹脂と、10〜30質量%のスチレン系エラストマーと、5〜20質量%のオレフィン系樹脂とを押出機に供給し加熱溶融混練して樹脂組成物とし、該押出機途中より沸点が20〜60℃の範囲である揮発性発泡剤を樹脂組成物100質量部に対して3〜15質量部圧入した後、発泡剤含有樹脂組成物を多孔ダイから液体中に押出し、押出と同時に液体中で樹脂を切断し、スチレン系樹脂発泡性粒子を得ることを特徴とするスチレン系樹脂発泡性粒子の製造方法を提供する。
本発明のスチレン系樹脂発泡性粒子の製造方法において、発泡剤含有樹脂組成物を多孔ダイから押出し、切断する部位に存在する液体が、15〜60℃の範囲で且つダイ流入時の樹脂温度より100〜200℃低く調温された水であることが好ましい。
また本発明は、前記本発明に係るスチレン系樹脂発泡性粒子を発泡成形してなる密度0.0125〜0.2g/cm3の範囲であるスチレン系樹脂発泡成形体を提供する。
本発明によれば、スチレン系樹脂の剛性とスチレン系エラストマーの柔軟性とオレフィン系樹脂の優れた弾性を兼ね備えた、産業上有用な発泡成形体を提供することができる。
本発明のスチレン系樹脂発泡性粒子は、揮発性発泡剤の保持性が良好であり、長期に渡って発泡性能を維持することができるので、従来の冷凍保存、密閉容器中での加圧保管等の必要がなく、冬季であれば大気温度下で、夏季においても一般的な保冷倉庫内に保管することが可能となり、保管及び輸送において経済的に有利である。
本発明のスチレン系樹脂発泡性粒子は、揮発性発泡剤の保持性が良好であり、長期に渡って発泡性能を維持することができるので、従来の冷凍保存、密閉容器中での加圧保管等の必要がなく、冬季であれば大気温度下で、夏季においても一般的な保冷倉庫内に保管することが可能となり、保管及び輸送において経済的に有利である。
本発明のスチレン系樹脂発泡性粒子(以下、発泡性粒子と略記する)は、スチレン系樹脂(a)とスチレン系エラストマー(b)とオレフィン系樹脂(c)とを含む樹脂組成物(i)と、揮発性発泡剤とを含むスチレン系樹脂発泡性粒子であって、前記樹脂組成物(i)は、前記スチレン系樹脂(a)として2〜8質量%のゴム成分を含むスチレン系樹脂60〜80質量%、前記スチレン系エラストマー(b)としてスチレンと共役ジエンとの共重合体又はその水素添加物である樹脂10〜30質量%、及び前記オレフィン系樹脂(c)として密度0.880〜0.910g/cm3の範囲であるポリエチレン系樹脂5〜20質量%からなる混合樹脂であることを特徴としている。
本発明の発泡性粒子の必須成分であるスチレン系樹脂(a)としては、スチレンの単独重合体(ホモポリマー)の他、スチレンとアクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸などとの共重合体やポリスチレンにジエン系ゴムエラストマーを混合したりジエン系ゴムエラストマーにスチレン系モノマーをグラフト重合することなどにより得られる耐衝撃性ポリスチレンなどが使用でき、本発明では、2〜8質量%のゴム成分を含むスチレン系樹脂を用いている。
このスチレン系樹脂(a)のゴム成分含有量が前記範囲未満であると、発泡成形体とした際に、十分な耐衝撃性の効果が得られない。一方、ゴム成分含有量が前記範囲を超えると、発泡性が低下し良好な発泡成形体を得ることが困難となる。より好ましくは、2.5〜6質量%の範囲である。
このスチレン系樹脂(a)のゴム成分含有量が前記範囲未満であると、発泡成形体とした際に、十分な耐衝撃性の効果が得られない。一方、ゴム成分含有量が前記範囲を超えると、発泡性が低下し良好な発泡成形体を得ることが困難となる。より好ましくは、2.5〜6質量%の範囲である。
本発明の発泡性粒子の必須成分であるスチレン系エラストマー(b)としては、スチレン系モノマーと共役ジエンとのランダム共重合体、ブロック共重合体またはこれらの水素添加共重合体等が挙げられ、それらの中でも、水素添加共重合体が特に好ましい。水素添加されたスチレン系モノマー−共役ジエン共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体(SBBS)、スチレン−エチレン・ブチレン共重合体(SEB)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン共重合体(SEP)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−ビニルイソプレン−スチレン共重合体(S−VIS)等が挙げられる。
本発明の発泡性粒子の必須成分であるオレフィン系樹脂(c)としては、密度0.880〜0.910g/cm3の範囲であるポリエチレン系樹脂が用いられ、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−エチレンとα−オレフィンとのコポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、アイオノマーなどエチレンと極性モノマーとのコポリマー、プロピレン単独重合体、プロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレン単独重合体のマトリックス中に約20%までのエチレン−プロピレンゴム(EPR)を含むインパクト共重合体(ブロック共重合体ともいう)、ポリブテン−1などが挙げられる。これらのオレフィン系樹脂は1種または2種以上混合して使用できる。この中でもポリエチレン系樹脂が好ましい。オレフィン系樹脂(c)の密度が前記範囲未満であると樹脂の耐熱性が低くなり、発泡成形体とした際に十分な耐熱性が得られない。一方、密度が前記範囲を超えると樹脂の耐熱性が高くなるために、加熱発泡時の発泡性が低下し、十分な倍数の発泡成形体が得られない。より好ましくは、0.890〜0.910g/cm3の範囲である。
本発明の発泡性粒子を構成する樹脂組成物(i)は、2〜8質量%のゴム成分を含むスチレン系樹脂(a)が60〜80質量%、スチレンと共役ジエンとの共重合体又はその水素添加物であるスチレン系エラストマー(b)が10〜30質量%、及び密度0.880〜0.910g/cm3の範囲であるポリエチレン系樹脂(c)が5〜20質量%の組成範囲になっている。
前記スチレン系樹脂(a)の配合比率が前記範囲未満であると、発泡剤の保持性が低下し長期間の保存ができなくなるため好ましくなく、前記範囲を超えると、物性強度、柔軟性、耐衝撃性が低下するため好ましくない。より好ましくは、65〜75質量%の範囲である。
前記スチレン系エラストマー(b)の配合比率が前記範囲未満であると、スチレン系樹脂とオレフィン系樹脂の相溶性が低下し良好な発泡成形体が得られなくなるため好ましくなく、前記範囲を超えると、押出中の樹脂粘度が低下し、押出直後の粒子の発泡を抑制するのが難しくなるため好ましくない。より好ましくは15〜25質量%の範囲である。
前記オレフィン系樹脂(c)の配合比率が前記範囲未満であると、耐衝撃性、耐油性、耐溶剤性が低下するため好ましくなく、前記範囲を超えると、発泡剤の保持性が低下するため好ましくない。
前記スチレン系樹脂(a)の配合比率が前記範囲未満であると、発泡剤の保持性が低下し長期間の保存ができなくなるため好ましくなく、前記範囲を超えると、物性強度、柔軟性、耐衝撃性が低下するため好ましくない。より好ましくは、65〜75質量%の範囲である。
前記スチレン系エラストマー(b)の配合比率が前記範囲未満であると、スチレン系樹脂とオレフィン系樹脂の相溶性が低下し良好な発泡成形体が得られなくなるため好ましくなく、前記範囲を超えると、押出中の樹脂粘度が低下し、押出直後の粒子の発泡を抑制するのが難しくなるため好ましくない。より好ましくは15〜25質量%の範囲である。
前記オレフィン系樹脂(c)の配合比率が前記範囲未満であると、耐衝撃性、耐油性、耐溶剤性が低下するため好ましくなく、前記範囲を超えると、発泡剤の保持性が低下するため好ましくない。
本発明において用いられる発泡剤としては、発泡性粒子を押出す段階では発泡を抑えやすく、また常温下では発泡性粒子中から逸散しにくく、粒子を発泡させる段階では高度に発泡し易いものが好ましい。従って、発泡剤としては、常温、常圧下では気化せず、蒸気加熱で容易に気化する特性を有する発泡剤が好適であり、沸点が20〜60℃の範囲にあるものが好ましい。沸点が20℃未満では、押出中に発泡剤の気化が始まりやすく粒子の発泡を抑制することが困難であり、沸点が60℃を越えると、発泡性粒子を蒸気加熱して発泡粒子とする際の発泡性が悪くなり好ましくない。
発泡剤としては、例えばノルマルペンタン(沸点36℃)、イソペンタン(沸点28℃)、シクロペンタン(沸点49℃)、シクロペンタジエン(沸点41℃)等を単独もしくは2種以上混合して使用することができる。また、上記ペンタン類を主成分として、ノルマルブタン、イソブタン、プロパン等の沸点が20℃以下の発泡剤を共沸点が20℃以上になる範囲で混合して使用することもできる。これらの内、特に好ましい発泡剤はノルマルペンタンとイソペンタンの混合発泡剤であり、発泡剤成分中に10〜50質量%以上のイソペンタンを含むものが好適である。ノルマルペンタンにイソペンタンを混合することで、ノルマルペンタン単独で用いるよりも発泡性粒子中に発泡剤が保持され易く、発泡時により高度に発泡できる。これは、イソペンタンの分子立体構造が作用しているものと推定される。発泡剤成分中のイソペンタンが10質量%を下回ると、混合した効果が得られず発泡性粒子中での発泡剤の保持性が不十分となるので好ましくない。またイソペンタンが50質量%を上回っても、それ以上の発泡剤の保持性や発泡性の向上の効果が得られず経済的に好ましくない。更に好ましいイソペンタンの割合は20〜30質量%である。
また、発泡剤の圧入量としては、樹脂組成物100質量部に対して3〜15質量部が適正である。発泡剤の圧入量が3質量部を下回ると、発泡性粒子の発泡性が不十分となり、有用な発泡成形体が得られない。一方、発泡剤の圧入量が15質量部を超えても、発泡性の更なる上昇は見込めず、かえって押出しが不安定となり好ましくない。特に好ましい範囲としては、4〜10質量部である。
また、本発明の発泡性粒子には、例えばタルク、炭酸カルシウム、マイカ、あるいはクエン酸と重炭酸ナトリウムなどの、発泡の際に気泡の大きさを調整するための気泡調整剤や、顔料、安定剤、充填剤、難燃剤、帯電防止剤等の種々の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜、添加することができる。
本発明の発泡性粒子の製造方法は、60〜80質量%のスチレン系樹脂(a)と、10〜30質量%のスチレン系エラストマー(b)と、5〜20質量%のオレフィン系樹脂(c)とを押出機に供給し加熱溶融混練して樹脂組成物とし、該押出機途中より沸点が20〜60℃の範囲である揮発性発泡剤を樹脂組成物100質量部に対して3〜15質量部圧入した後、発泡剤含有樹脂組成物を多孔ダイから液体中に押出し、押出と同時に液体中で樹脂を切断し、スチレン系樹脂発泡性粒子を得ることを特徴としている。
本発明のスチレン系樹脂発泡性粒子の製造方法において、発泡剤含有樹脂組成物を多孔ダイから押出し、切断する部位に存在する液体が、15〜60℃の範囲で且つダイ流入時の樹脂温度より100〜200℃低く調温された水であることが好ましい。
この発明の発泡性粒子を製造するのに適した装置の一例を図1に示す。この製造装置は、樹脂流れ方向(図1において左から右への方向)上流側に樹脂組成物原料を投入する原料供給ホッパー11と、それよりも樹脂流れ方向下流側に高圧ポンプ13を有する発泡剤供給口12と、樹脂流れ方向末端に多孔ダイ2とがそれぞれ設けられた押出機1と、多孔ダイ2の出口を覆うように設けられ、内部にカッター31を回転駆動可能に配置すると共に、内部に水を循環するように構成されたカッティング室3と、カッティング室3に水を供給するための水槽6及び送水ポンプ4と、カッティング室3内でカットした発泡性粒子を水とともに導入し、水と発泡性粒子とを分離する脱水乾燥機5と、脱水乾燥機5で分離した発泡性粒子を貯留する容器7とを備えて構成されている。押出機1としては、樹脂の押出成形において用いられる公知の押出機、例えば単軸押出機、二軸押出機、タンデム式押出機等の中から適宜選択して使用し得る。押出機1は、原料供給ホッパー11から樹脂組成物原料を投入し、押出機1内で加熱混練して樹脂組成物とし、それを樹脂流れ方向下流に向けて移送する。樹脂組成物が発泡剤供給口12に達すると、高圧ポンプ13で圧送された発泡剤が樹脂組成物中に混合される。
その後、発泡剤含有溶融樹脂は多孔ダイ2からカッティング室3内に押出され、水と接触するとともに、水中でカッター31によって切断される。切断された樹脂は、ほぼ均一な粒径の球状粒子となり、循環水流によりカッティング室3から脱水乾燥機5に搬送される。脱水乾燥機5で水と分離、乾燥された発泡性粒子は、容器7に貯留される一方、水は水槽6に送られる。
本発明の発泡成形体は、前記本発明に係る発泡性粒子を発泡成形して得られる。発泡性粒子を発泡成形する方法は特に限定されないが、例えば、発泡性粒子に水蒸気を接触させて、粒子を加熱し発泡させて予備発泡粒子を作り、その後この予備発泡粒子を金型内に充填し、金型内へ水蒸気を吹き込んで、粒子をさらに発泡させるとともに互いに融着させて発泡成形体を製造する方法が好ましい。
本発明の発泡成形体は、スチレン系樹脂の剛性とスチレン系エラストマーの柔軟性とオレフィン系樹脂の優れた弾性を兼ね備えた特性を有し、密度が0.0125〜0.2g/cm3の範囲であることを特徴としている。
本発明の発泡成形体において、発泡成形体の密度が上記範囲未満であると、発泡成形品の強度が不十分となる。一方、発泡成形体の密度が上記範囲を超えると、成形性、柔軟性が悪くなり、好ましくない。本発明の発泡成形体の密度は、成形性と柔軟性、そして成形品の強度の点で、0.03〜0.1g/cm3の範囲とすることがより好ましい。
本発明の発泡成形体において、発泡成形体の密度が上記範囲未満であると、発泡成形品の強度が不十分となる。一方、発泡成形体の密度が上記範囲を超えると、成形性、柔軟性が悪くなり、好ましくない。本発明の発泡成形体の密度は、成形性と柔軟性、そして成形品の強度の点で、0.03〜0.1g/cm3の範囲とすることがより好ましい。
以下に実施例1〜6と比較例1〜10を挙げて、本発明の効果を明確にする。以下の実施例と比較例において、ポリオレフィン系樹脂の樹脂密度、スチレン系樹脂中のゴム分、発泡性粒子中の発泡剤量、発泡性、発泡成形体密度及び落球値を測定しているが、これらはそれぞれ以下の方法にて測定した値である。
<ポリオレフィン系樹脂の樹脂密度>
JIS K7112:1999「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」A法(水中置換法)記載の方法に準じて測定した。すなわち試験体を電子天秤にて秤量する。次に試験体を専用容器(内径76mm×高さ30mmの透明アクリル円筒の開口部に16メッシュステンレス金網と天秤に吊すフックを取付けたもの。浮く場合はおもりを加える)に入れ、23℃の浸せき液中に、試験体付着の気泡を取り除いて浸せきさせ、電子天秤にて試験体(専用容器を含む)の質量を測定した。試験体の密度ρは次式で算出した。
密度ρ(g/cm3)=m1×ρ1/(m1−(m2−Δm))
(式中、m1は試験体の質量(g)、m2は浸積液中で測定した試験体の未補正質量(g)、Δmは液中浸せきした専用容器とおもりの見掛けの質量減少(g)、ρ1は23℃における浸せき液の密度(g/cm3)をそれぞれ表す。)
JIS K7112:1999「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」A法(水中置換法)記載の方法に準じて測定した。すなわち試験体を電子天秤にて秤量する。次に試験体を専用容器(内径76mm×高さ30mmの透明アクリル円筒の開口部に16メッシュステンレス金網と天秤に吊すフックを取付けたもの。浮く場合はおもりを加える)に入れ、23℃の浸せき液中に、試験体付着の気泡を取り除いて浸せきさせ、電子天秤にて試験体(専用容器を含む)の質量を測定した。試験体の密度ρは次式で算出した。
密度ρ(g/cm3)=m1×ρ1/(m1−(m2−Δm))
(式中、m1は試験体の質量(g)、m2は浸積液中で測定した試験体の未補正質量(g)、Δmは液中浸せきした専用容器とおもりの見掛けの質量減少(g)、ρ1は23℃における浸せき液の密度(g/cm3)をそれぞれ表す。)
<スチレン系樹脂中のゴム分>
試料を500μg精秤し、キューリー点が590℃の強磁性金属体(パイロホイル:日本分析工業社製)に圧着するように包み、キューリーポイントパイロライザーJHP−3型(日本分析工業社製)にて分解生成したブタジエンモノマーと4−ビニルシクロヘキセンをガスクロマトグラフ Auto System(パーキンエルマー社製)(検出器:FID)を用いて定量した。その測定条件は、加熱(590℃−5秒)、オーブン温度(280℃)、ニードル温度(300℃)でカラムはDB−5(φ0.25mm×30m(膜厚0.25μm):J&W社製)を用いた。カラム温度条件は、50℃で1分保持後100℃まで10℃/分で昇温し、更に320℃まで40℃/分で昇温し320℃にて510秒保持して分析を行った。キャリアーガス(He)、キャリアー流量(1cc/分)、カラム入口圧力(12psi)、注入口温度(300℃)、検出器温度(300℃)とした。標準試料(POLYSCIENCES.INC製、St/BD=85/15(CAT#07073))による絶対検量線法にて測定を行った。
試料を500μg精秤し、キューリー点が590℃の強磁性金属体(パイロホイル:日本分析工業社製)に圧着するように包み、キューリーポイントパイロライザーJHP−3型(日本分析工業社製)にて分解生成したブタジエンモノマーと4−ビニルシクロヘキセンをガスクロマトグラフ Auto System(パーキンエルマー社製)(検出器:FID)を用いて定量した。その測定条件は、加熱(590℃−5秒)、オーブン温度(280℃)、ニードル温度(300℃)でカラムはDB−5(φ0.25mm×30m(膜厚0.25μm):J&W社製)を用いた。カラム温度条件は、50℃で1分保持後100℃まで10℃/分で昇温し、更に320℃まで40℃/分で昇温し320℃にて510秒保持して分析を行った。キャリアーガス(He)、キャリアー流量(1cc/分)、カラム入口圧力(12psi)、注入口温度(300℃)、検出器温度(300℃)とした。標準試料(POLYSCIENCES.INC製、St/BD=85/15(CAT#07073))による絶対検量線法にて測定を行った。
<発泡性粒子中に含まれる発泡剤量>
0.5cm3程度の発泡性粒子を精秤しサンプルとして準備し、島津製作所社製の熱分解炉PTR−1Aの分解炉入口にセットし、15秒間ヘリウムでパージしてサンプルセット時の混入気体を排出する。次に、密閉後サンプルを200℃の炉心に挿入し60秒間加熱して気体を放出させ、この放出気体を島津製作所社製のガスクロマトグラフGC−14B(検出器:TCD)を用いて定量する。その測定条件は、カラムがジーエルサイエンス社製ポラパックQ(80/100)3mmφ×1.5mを用い、カラム温度(100℃)、キャリアガス(ヘリウム)、キャリアガス流量(1cc/分)、注入口温度(100℃)、検出器温度(120℃)とした。
0.5cm3程度の発泡性粒子を精秤しサンプルとして準備し、島津製作所社製の熱分解炉PTR−1Aの分解炉入口にセットし、15秒間ヘリウムでパージしてサンプルセット時の混入気体を排出する。次に、密閉後サンプルを200℃の炉心に挿入し60秒間加熱して気体を放出させ、この放出気体を島津製作所社製のガスクロマトグラフGC−14B(検出器:TCD)を用いて定量する。その測定条件は、カラムがジーエルサイエンス社製ポラパックQ(80/100)3mmφ×1.5mを用い、カラム温度(100℃)、キャリアガス(ヘリウム)、キャリアガス流量(1cc/分)、注入口温度(100℃)、検出器温度(120℃)とした。
<発泡性>
発泡性は予備発泡機で発泡した際の目標倍数(嵩密度0.033g/cm3)までの到達時間で判定を行った。
○:加熱時間180秒以内で目標倍数に到達。
△:加熱時間180秒を超え300秒以内で目標倍数に到達。
×:目標倍数に到達しない。
発泡性は予備発泡機で発泡した際の目標倍数(嵩密度0.033g/cm3)までの到達時間で判定を行った。
○:加熱時間180秒以内で目標倍数に到達。
△:加熱時間180秒を超え300秒以内で目標倍数に到達。
×:目標倍数に到達しない。
<発泡成形体の密度>
実施例あるいは比較例にて得られた発泡成形体の体積と質量を測定し、次式にて算出した。
発泡成形体密度(g/cm3)=発泡成形体質量(g)/発泡成形体体積(cm3)
実施例あるいは比較例にて得られた発泡成形体の体積と質量を測定し、次式にて算出した。
発泡成形体密度(g/cm3)=発泡成形体質量(g)/発泡成形体体積(cm3)
<発泡成形体の落球衝撃値>
JIS K7211:1976「硬質プラスチックの落錘衝撃試験方法通則」記載の方法に準じて測定した。すなわち、実施例あるいは比較例にて得られた発泡成形体寄り切り出した、片面のみ表皮を残した215mm×40mm×厚み20mmの試験片を、表皮側を上にして150mmスパンになるように両端をクランプにて固定し、重さ321gの鋼球を試験片の中央部に落下させ破壊の有無を観察した。試験は試験片5個が全数破壊する最低の高さから全数破壊しない最高の高さまで5cm間隔で高さを変えて行い、JIS K7211記載の計算式より落球衝撃値を算出した。合格基準値は密度0.030g/cm3の発泡成形体で30cm以上とした。
JIS K7211:1976「硬質プラスチックの落錘衝撃試験方法通則」記載の方法に準じて測定した。すなわち、実施例あるいは比較例にて得られた発泡成形体寄り切り出した、片面のみ表皮を残した215mm×40mm×厚み20mmの試験片を、表皮側を上にして150mmスパンになるように両端をクランプにて固定し、重さ321gの鋼球を試験片の中央部に落下させ破壊の有無を観察した。試験は試験片5個が全数破壊する最低の高さから全数破壊しない最高の高さまで5cm間隔で高さを変えて行い、JIS K7211記載の計算式より落球衝撃値を算出した。合格基準値は密度0.030g/cm3の発泡成形体で30cm以上とした。
[実施例1]
本実施例では、図1に示した装置を用いて発泡性粒子を製造した。
ポリスチレン(東洋スチレン株式会社製 HRM10N)40質量%と耐衝撃性ポリスチレン(日本ポリスチレン株式会社製 HH758K)30質量%との混合樹脂と、ポリエチレン(三井住友ポリオレフィン株式会社製 VL100;密度0.900g/cm3)10質量%と、水素添加されたスチレンとブタジエンの共重合体(旭化成工業株式会社製 SS9000)20質量%を混合し、気泡調整剤として微粉末タルク0.2質量部とともにφ90mmの単軸押出機に供給し、加熱溶融した後、発泡剤として樹脂組成物100質量部に対し7質量部の工業用ペンタンを圧入し、溶融混合した。
本実施例では、図1に示した装置を用いて発泡性粒子を製造した。
ポリスチレン(東洋スチレン株式会社製 HRM10N)40質量%と耐衝撃性ポリスチレン(日本ポリスチレン株式会社製 HH758K)30質量%との混合樹脂と、ポリエチレン(三井住友ポリオレフィン株式会社製 VL100;密度0.900g/cm3)10質量%と、水素添加されたスチレンとブタジエンの共重合体(旭化成工業株式会社製 SS9000)20質量%を混合し、気泡調整剤として微粉末タルク0.2質量部とともにφ90mmの単軸押出機に供給し、加熱溶融した後、発泡剤として樹脂組成物100質量部に対し7質量部の工業用ペンタンを圧入し、溶融混合した。
次いで、押出機中で溶融樹脂を混練冷却して、樹脂温度179℃にて押出孔φ0.5mm×200個の多孔ダイを通して30℃の水で満たされたカッティング室の中に100kg/hrの押出量で押出し、直ちに水中でカットし、遠心脱水機を通して脱水し、直径約1.2mmの発泡性粒子を得た。
得られた発泡性粒子を製造後1時間大気中に放置後、含まれる発泡剤量を測定したところ5.8質量%の工業用ペンタンが含まれていた。この発泡性粒子を常圧(約1気圧)、18℃温度条件下で3日間放置し、再度発泡性粒子中に含まれる発泡剤量を測定したところ5.4質量%であった。
この3日間放置した発泡性粒子を、予備発泡機に入れて水蒸気にて加熱発泡させ予備発泡粒子とし、24時間放置したのち、発泡ポリスチレン用成形機(積水工機社製 ACE−3SP)で成形し、外観の美麗な300mm×400mm×30mm(厚み)のサイズの板状発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は0.030g/cm3の密度で表面平滑性、発泡粒子の融着性の良い良好なものであった。実施例1の結果を表1に示す。
[実施例2〜6]
実施例1と同様の設備を用い、表1に示すように原料組成又は押出条件を変更した以外は、実施例1と同様にして発泡性粒子と成形体を製造した。結果を表1にまとめて記す。
実施例1と同様の設備を用い、表1に示すように原料組成又は押出条件を変更した以外は、実施例1と同様にして発泡性粒子と成形体を製造した。結果を表1にまとめて記す。
[比較例1,2]
スチレン系樹脂に含まれるゴム分を変更した以外は、実施例1と同様にして発泡性粒子を得た。結果を表2に示す。
比較例1ではスチレン系樹脂に含まれるゴム分を1質量%とし、比較例2ではゴム分を9質量%とした。
比較例1の発泡性粒子は、発泡成形が可能であるものの、得られた発泡成形体は衝撃に脆く実用には不適であった。
また、比較例2の発泡性粒子は、発泡性が大きく低下し、発泡成形ができなかった。
スチレン系樹脂に含まれるゴム分を変更した以外は、実施例1と同様にして発泡性粒子を得た。結果を表2に示す。
比較例1ではスチレン系樹脂に含まれるゴム分を1質量%とし、比較例2ではゴム分を9質量%とした。
比較例1の発泡性粒子は、発泡成形が可能であるものの、得られた発泡成形体は衝撃に脆く実用には不適であった。
また、比較例2の発泡性粒子は、発泡性が大きく低下し、発泡成形ができなかった。
[比較例3,4]
オレフィン系樹脂の密度を変えた以外は、実施例1と同様にして発泡性粒子を得た。結果を表2に示す。
比較例3では密度が0.860g/cm3のオレフィン系樹脂(デュポンダウエラストマージャパン社製:ENR7467)を用い、比較例4では密度が0.920g/cm3のオレフィン系樹脂(日本ユニカー社製:TUF2032)を用いた。
比較例3の発泡性粒子は、発泡可能であったものの、耐熱性が低く成形ができなかった。
比較例4の発泡性粒子は、樹脂の耐熱性が上がったために、発泡性が大きく低下し、発泡成形ができなかった。
オレフィン系樹脂の密度を変えた以外は、実施例1と同様にして発泡性粒子を得た。結果を表2に示す。
比較例3では密度が0.860g/cm3のオレフィン系樹脂(デュポンダウエラストマージャパン社製:ENR7467)を用い、比較例4では密度が0.920g/cm3のオレフィン系樹脂(日本ユニカー社製:TUF2032)を用いた。
比較例3の発泡性粒子は、発泡可能であったものの、耐熱性が低く成形ができなかった。
比較例4の発泡性粒子は、樹脂の耐熱性が上がったために、発泡性が大きく低下し、発泡成形ができなかった。
[比較例5〜9]
スチレン系樹脂、スチレン系エラストマー、オレフィン系樹脂の組成比率を変更した以外は、実施例1と同様にして発泡性粒子を得た。結果を表2に示す。
スチレン系樹脂、スチレン系エラストマー、オレフィン系樹脂の組成比率を変更した以外は、実施例1と同様にして発泡性粒子を得た。結果を表2に示す。
[比較例10]
この比較例10では、実施例1と同様の樹脂組成であるが、発泡剤を圧入せずに樹脂ペレットを作製した。得られた樹脂ペレットを圧力容器に入れ、分散剤、可塑剤を加えた水性媒体中に、発泡剤として樹脂組成物100質量部に対し10質量部の工業用ペンタンを加え、100℃で4時間発泡剤含浸処理を行い、室温まで冷却後脱水し発泡性粒子を得た。得られた発泡性粒子を発泡したところ、発泡性が低く良好な発泡粒が得られなかった。
この発泡性粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)にかけ、樹脂の状態を確認したところ、スチレン系樹脂とオレフィン系樹脂の相溶状態が崩れ、それぞれの樹脂成分が分離していた。結果を表2に記す。
この比較例10では、実施例1と同様の樹脂組成であるが、発泡剤を圧入せずに樹脂ペレットを作製した。得られた樹脂ペレットを圧力容器に入れ、分散剤、可塑剤を加えた水性媒体中に、発泡剤として樹脂組成物100質量部に対し10質量部の工業用ペンタンを加え、100℃で4時間発泡剤含浸処理を行い、室温まで冷却後脱水し発泡性粒子を得た。得られた発泡性粒子を発泡したところ、発泡性が低く良好な発泡粒が得られなかった。
この発泡性粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)にかけ、樹脂の状態を確認したところ、スチレン系樹脂とオレフィン系樹脂の相溶状態が崩れ、それぞれの樹脂成分が分離していた。結果を表2に記す。
表1、表2の結果より、本発明によれば、常圧、常温下においても揮発性発泡剤の逸散が少なく、製造後の保管、輸送が容易で、高度に発泡させることができ、かつスチレン樹脂製発泡体よりも耐衝撃性や緩衝性に優れた発泡体を製造可能なスチレン系樹脂発泡性粒子とその製造方法及びスチレン系樹脂発泡成形体を提供できることがわかる。
1…押出機、2…多孔ダイ、3…カッティング室、4…送水ポンプ、5…脱水乾燥機、6…水槽、7…容器、11…原料供給ホッパー、12…発泡剤供給口、13…高圧ポンプ、31…カッター。
Claims (4)
- スチレン系樹脂(a)とスチレン系エラストマー(b)とオレフィン系樹脂(c)とを含む樹脂組成物(i)と、揮発性発泡剤とを含むスチレン系樹脂発泡性粒子であって、
前記樹脂組成物(i)は、前記スチレン系樹脂(a)として2〜8質量%のゴム成分を含むスチレン系樹脂60〜80質量%、前記スチレン系エラストマー(b)としてスチレンと共役ジエンとの共重合体又はその水素添加物である樹脂10〜30質量%、及び前記オレフィン系樹脂(c)として密度0.880〜0.910g/cm3の範囲であるポリエチレン系樹脂5〜20質量%からなる混合樹脂であることを特徴とするスチレン系樹脂発泡性粒子。 - 60〜80質量%のスチレン系樹脂と、10〜30質量%のスチレン系エラストマーと、5〜20質量%のオレフィン系樹脂とを押出機に供給し加熱溶融混練して樹脂組成物とし、該押出機途中より沸点が20〜60℃の範囲である揮発性発泡剤を樹脂組成物100質量部に対して3〜15質量部圧入した後、発泡剤含有樹脂組成物を多孔ダイから液体中に押出し、押出と同時に液体中で樹脂を切断し、スチレン系樹脂発泡性粒子を得ることを特徴とするスチレン系樹脂発泡性粒子の製造方法。
- 発泡剤含有樹脂組成物を多孔ダイから押出し、切断する部位に存在する液体が、15〜60℃の範囲で且つダイ流入時の樹脂温度より100〜200℃低く調温された水であることを特徴とする請求項2に記載のスチレン系樹脂発泡性粒子の製造方法。
- 請求項1に記載されたスチレン系樹脂発泡性粒子を発泡成形してなる密度0.0125〜0.2g/cm3の範囲であるスチレン系樹脂発泡成形体。
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