JPH09328885A - 畳 床 - Google Patents

畳 床

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Publication number
JPH09328885A
JPH09328885A JP17301796A JP17301796A JPH09328885A JP H09328885 A JPH09328885 A JP H09328885A JP 17301796 A JP17301796 A JP 17301796A JP 17301796 A JP17301796 A JP 17301796A JP H09328885 A JPH09328885 A JP H09328885A
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JP
Japan
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tatami
resin
moisture
board
foam board
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JP17301796A
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English (en)
Inventor
Shigeyuki Takahashi
重之 高橋
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量で断熱性及び吸放湿性を有する畳床によ
り、快適性を向上する。 【解決手段】 少くともスチレン系樹脂を含む樹脂組成
物と吸放湿性物質(セルロース又はその誘導体、水溶性
高分子、水膨潤性高分子など)とで構成された発泡性樹
脂組成物の発泡体で形成された吸放湿性樹脂発泡ボード
を用いて畳床を調製する。吸放湿性樹脂発泡ボードは、
スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、および吸放湿性物
質を含む樹脂組成物の発泡体で構成してもよい。スチレ
ン系樹脂とオレフィン系樹脂との割合は、前者/後者=
99/1〜70/30(重量比)程度であり、吸放湿性
物質の含有量は、スチレン系樹脂100重量部に対して
0.1〜30重量部程度である。畳床は、吸放湿性樹脂
発泡ボードと、スチレン系樹脂発泡ボード又はタタミボ
ードとで構成してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸放湿性および断
熱性に優れる合成樹脂発泡ボード層を少なくとも一層含
み、軽量で断熱性に優れ、より快適な畳床に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、畳はワラで作製されたワラ床畳が
主流であったものの、ワラの焼却処分などの理由によ
り、ワラの入手が困難になりつつある。従って、ワラ1
00%の畳床はかなり少なくなっており、タタミボード
(断熱ファイバーボード)或いはポリスチレンフォーム
ボード(スチレン系樹脂発泡ボード)を、ワラでサンド
イッチ状にしたサンドイッチ型畳床(タタミボードサン
ドイッチ畳床、ポリスチレンフォームサンドイッチ畳
床)などが開発されている。その後、さらにワラを使用
しない断熱畳床として、タタミボードだけの畳床、タタ
ミボードとポリスチレンフォームボードとで構成された
畳床、ポリスチレンフォームボードで構成されたポリス
チレンフォーム畳床などが開発されている。
【0003】しかし、タタミボードの比重はポリスチレ
ンフォームボードの約9倍である。そのため、タタミボ
ードで構成された畳床を用いた畳は、かなり重く、移
動、敷設などに際して大きな負担となる。また、ポリス
チレンフォームボード畳床を用いた畳は、軽量性、且断
熱性に優れるものの、ポリスチレンフォームボードが殆
ど吸放湿性能を有していないため、快適性に乏しい。特
に、梅雨などの高湿度環境下において、吸放湿性能のな
い畳床は、居住者に大きな不快感を与える。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、軽量でしかも吸放湿性を有し、快適性の高い畳床を
提供することにある。本発明の他の目的は、ワラを使用
することなく、軽量で高い断熱性および高い吸放湿性を
有する畳床を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成するため鋭意検討の結果、吸放湿性物質を含む発泡
ボードを用いると、軽量で、断熱性および吸放湿性を大
きく改善できることを見いだし、本発明を完成した。す
なわち、本発明の畳床は、少くとも1つの吸放湿性樹脂
発泡ボードで構成されている。この畳床は、前記吸放湿
性樹脂発泡ボードと、スチレン系樹脂発泡ボード又はタ
タミボードとで構成してもよい。前記吸放湿性樹脂発泡
ボードは、少くともスチレン系樹脂を含む樹脂組成物と
吸放湿性物質とで構成された発泡性樹脂組成物の発泡体
で構成してもよく、前記樹脂組成物は、さらにオレフィ
ン系樹脂を含む樹脂組成物であってもよい。前記吸放湿
性物質には、セルロース又はその誘導体、水溶性高分
子、水膨潤性高分子などが含まれる。
【0006】
【発明の実施の形態】畳床は、吸放湿性を有する樹脂発
泡ボードを少なくとも1つ含んでいればよく、例えば、
吸放湿性合成樹脂発泡ボードだけで構成された畳床、吸
放湿性合成樹脂発泡ボードと、非吸放湿性ボード(例え
ば、非吸放湿性樹脂発泡ボード及び/又はタタミボード
など)とで構成された畳床であってもよい。非吸放湿性
樹脂発泡ボードには、例えば、スチレン系樹脂発泡ボー
ド、プロピレン系樹脂発泡ボード(ポリプロピレン発泡
ボードなど)、ポリウレタン樹脂発泡ボードなどの合成
樹脂発泡ボードが含まれる。非吸放湿性樹脂発泡ボード
のうち、スチレン系樹脂発泡ボード及びポリウレタン樹
脂発泡ボード、特にスチレン系樹脂発泡ボードを用いる
場合が多い。
【0007】好ましい畳床には、吸放湿性合成樹脂発
泡ボードだけで構成された畳床、吸放湿性合成樹脂発
泡ボードと、非吸放湿性スチレン系樹脂発泡ボードとを
組合わせた畳床、吸放湿性合成樹脂発泡ボードと、非
吸放湿性タタミボードとを組合わせた畳床、吸放湿性
合成樹脂発泡ボードと、非吸放湿性スチレン系樹脂発泡
ボードと、タタミボードとを組合わせた畳床などが含ま
れる。
【0008】図1は畳床の構造を示す縦断面図である。
この例において、畳床は、吸放湿性合成樹脂発泡ボード
1単独で構成され、他の畳床の構造を示す縦断面図であ
る図2の例では、上層としての吸放湿性合成樹脂発泡ボ
ード11と、下層としてのポリスチレン発泡ボード12
又はタタミボード13との積層体で構成されている。ま
た、さらに他の畳床の構造を示す縦断面図である図3の
例において、畳床は、中間層としてのポリスチレン発泡
ボード22と、この発泡ボードの上面に配された吸放湿
性合成樹脂発泡ボード21と、前記発泡ボード22の下
面に配されたタタミボード23との積層体で構成されて
いる。
【0009】畳床が複数のボード層で構成されている場
合、吸放湿性合成樹脂発泡ボードは、複数のボード層の
うち単一又は複数のボード層(例えば、中間層,上層や
下層など)を構成でき、非吸放湿性ボードも適当な層
(例えば、上層、下層や中間層など)を構成できる。複
数の吸放湿性合成樹脂発泡ボード層で畳床を構成する場
合、各ボード層における吸放湿性は異なっていてもよ
い。例えば、畳床の中間層を構成する吸放湿性合成樹脂
発泡ボード層に比べて、表層及び又は裏層(特に少くと
も表層)を構成する吸放湿性合成樹脂発泡ボード層の吸
放湿性を高めてもよい。吸放湿性の機能を充分発揮させ
るためには、吸放湿性樹脂発泡ボードは、少くとも畳床
の上部の層(表層など)に配置するのが好ましい。快適
性の高い畳床を得るためには、吸放湿性合成樹脂発泡ボ
ードが最上層に配設されているのが好ましい。
【0010】複数のボードを組み合わせて畳床を形成す
る場合、各ボードの厚みは制限はなく、ボードの吸放湿
能に応じて任意の厚みに選択できるが、吸放湿性樹脂発
泡ボードの厚みは、畳床全体の厚みの10〜100%、
好ましくは20〜100%、さらに好ましくは30〜1
00%(例えば、50〜100%)程度である。吸放湿
性樹脂発泡ボードの厚みは、例えば、5〜50mm、好
ましくは10〜40mm(例えば、10〜25mm)程
度であるのが好ましい。吸放湿性樹脂発泡ボードの厚み
が5mm未満では吸放湿性能が低下し、50mmを越え
ても支障はないものの、規格(JIS−A−5901)
から外れた特別な畳床となる。前記吸放湿性樹脂発泡ボ
ードは、畳床がおかれた環境下で吸放湿性を有する発泡
体で形成されている限り特に制限されず、ポリプロピレ
ン系樹脂発泡体、ウレタン樹脂発泡体(硬質ウレタンフ
ォームや軟質ウレタンフォームなど)などであってもよ
いが、少くともスチレン系樹脂を含む樹脂組成物の発泡
体で形成する場合が多い。
【0011】スチレン系樹脂には、例えば、スチレン系
モノマーの単独又は共重合体、スチレン系モノマーと他
の共重合性モノマーとの共重合体やゴム変性スチレン系
樹脂も含まれ、スチレン系モノマー含量は50重量%以
上、好ましくは70重量%以上である場合が多い。前記
スチレン系モノマーには、例えば、スチレンの他、メチ
ルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなど
のスチレン誘導体が含まれる。スチレン系モノマーと共
重合可能な共重合性モノマーには、例えば、(メタ)ア
クリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸など
のカルボキシル基含有モノマー、(メタ)アクリル酸エ
ステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メ
タ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチ
ル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル
酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)ア
クリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸
−C1-18アルキルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプ
ロピルなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エ
ステル、グリシジル(メタ)アクリレートなどのグリシ
ジル基含有(メタ)アクリル酸エステル、その他の(メ
タ)アクリル酸エステルなど]、ビニルエステル(例え
ば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、(メタ)
アクリロニトリル、マレイン酸エステル又はフマル酸エ
ステル(例えば、マレイン酸ジC1-10アルキルエステル
など)などが例示できる。このような共重合性モノマー
は一種又は二種以上混合して使用できる。好ましい共重
合性モノマーには、アクリル酸、無水マレイン酸、(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル(特にアクリル酸−C
1-10アルキルエステルやメタアクリル酸−C1-4 アルキ
ルエステル)、アクリロニトリルなどが含まれる。ゴム
変性スチレン系樹脂のゴム成分には、例えば、ポリブタ
ジエン、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレンなど
が含まれる。
【0012】好ましいスチレン系樹脂には、ポリスチレ
ン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン
−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイ
ン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、
ゴム変性スチレン系樹脂(例えば、スチレン−ブタジエ
ン共重合体(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン
−スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル−ア
クリルゴム−スチレン共重合体(AAS)など、特にA
BS樹脂)などが含まれる。これらのスチレン系樹脂は
単独で又は二種以上混合して使用できる。
【0013】前記吸放湿性樹脂発泡ボードを形成するた
めの樹脂組成物は、前記スチレン系樹脂単独で構成して
もよいが、適度な柔軟性を付与するだけでなく、両者の
非相溶性に起因するミクロ相分離により吸放湿性を高め
るため、スチレン系樹脂とオレフィン系樹脂とで構成し
てもよい。このような樹脂の組合わせにより、発泡構造
により増加した比表面積と、樹脂界面に生成する多数の
ミクロクラックの微細構造とにより、吸湿性及び放湿性
を大きく改善できる。オレフィン系樹脂としては、例え
ば、ポリエチレン系樹脂(例えば、低密度、中密度、高
密度ポリエチレンなど)、ポリプロピレン系樹脂(アタ
クチック、アイソタクチックポリプロピレンなどの非結
晶性又は結晶性ポリプロピレンなど)、ポリ(4−メチ
ルペンテン−1)、エチレン−プロピレン共重合体、エ
チレン−プロピレン−イソブチレン共重合体、エチレン
−酢酸ビニル共重合体などが含まれる。これらのオレフ
ィン系樹脂は一種又は二種以上混合して使用できる。好
ましいオレフィン系樹脂には、例えば、ポリプロピレン
系樹脂、ポリ(4−メチルペンテン−1)などが含まれ
る。スチレン系樹脂とオレフィン系樹脂との割合は、例
えば、スチレン系樹脂/オレフィン系樹脂=99/1〜
70/30(重量比)、好ましくは98/2〜85/1
5(重量比)程度であり、95/5〜80/20(重量
比)程度である場合が多い。
【0014】吸放湿性を高めるため、樹脂発泡ボードを
形成するための樹脂組成物は吸湿性物質(吸放湿剤)を
含んでいる。吸湿性物質(吸放湿剤)には、例えば、セ
ルロース(例えば、木粉、セルロース粉末など)、水溶
性セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、エチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど)、天
然高分子(例えば、澱粉、グアーゴム、アラビアゴム、
トラガントゴム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナ
ン、寒天など)、カルボキシル基含有水溶性高分子[例
えば、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、
ポリメタクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル−(メ
タ)アクリル酸共重合体(例えば、メタクリル酸メチル
−(メタ)アクリル酸共重合体など)、スチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共
重合体、ビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体(例
えば、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合
体、エチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、
イソブチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体な
ど)又はこれらの塩など]、水溶性ビニルポリマー[例
えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル(例
えば、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエ
ーテル、ポリビニルイソブチルエーテルなど)、ポリビ
ニルピロリドン、ポリアクリルアミドなど]、水溶性ポ
リアルキレンオキサイド(例えば、ポリエチレングリコ
ール、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサ
イドブロック共重合体など)、高吸水性ポリマーや水膨
潤性ポリマー(例えば、架橋ポリアクリル酸、澱粉−ア
クリル酸グラフト共重合体、イソブチレン−無水マレイ
ン酸共重合体の架橋物、架橋ポリエチレンオキサイド又
はこれらの塩など)などが例示できる。前記塩を形成可
能な塩基としては、例えば、有機塩基(例えば、トリメ
チルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、モ
ルホリンなどの第1級ないし第3級アミン類)、無機塩
基(例えば、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金
属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金
属、アンモニアなど)が挙げられる。これらの吸湿性物
質は、一種又は二種以上組み合わせて使用できる。吸湿
性物質は、有機高分子、特に親水性高分子(水溶性高分
子や水膨潤性高分子)である場合が多い。なお、親水性
高分子(水溶性高分子や水膨潤性高分子)の重合度など
は特に制限されず、通常の市販品が使用できる。また、
セルロースエーテル類のエーテル化度は、0.5〜3.
0、好ましくは1〜3程度の範囲から適当に選択でき
る。
【0015】これらの吸放湿性物質のうち、例えば、セ
ルロース又は水溶性セルロース誘導体(セルロース、エ
チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどの水
溶性セルロース誘導体など)、水溶性高分子(カルボキ
シメチルセルロース、ポリアクリル酸またはその塩など
のカルボキシル基含有水溶性高分子、水溶性ビニルポリ
マー、水溶性ポリアルキレンオキサイドなど)、高吸水
性ポリマー(架橋ポリアクリル酸またはその塩などの水
膨潤性ポリマー)などが好ましい。
【0016】吸放湿性物質の使用量は、少くともスチレ
ン系樹脂で構成された樹脂組成物(スチレン系樹脂を主
成分とする樹脂組成物や、スチレン系樹脂とオレフィン
系樹脂とを主成分とする樹脂組成物など)100重量部
に対して0.1〜30重量部(例えば、0.2〜30重
量部)、好ましくは0.3〜25重量部、さらに好まし
くは0.5〜20重量部程度である。0.1重量部未満
では吸放湿性能が低下し、30重量部を越えると吸放湿
性樹脂発泡ボードの曲げ強度などの物理的強度が低下し
やすい。吸湿性物質は、液状で使用してもよいが、通
常、粉粒状で使用される。吸湿性物質は、前記スチレン
系樹脂などとの親和性を改善するため、界面活性剤や樹
脂などで表面処理してもよい。
【0017】吸放湿性樹脂発泡ボードの密度は、所望す
る圧縮強度や断熱性などに応じて選択でき、例えば、1
0〜200kg/m3 で、好ましくは25〜100kg
/m3 程度である。密度が10kg/m3 未満では圧縮
強度などの物理的強度が低下し、200kg/m3 を越
えると断熱性が低下しやすい。吸放湿性樹脂発泡ボード
の発泡倍率は、発泡体の機械的強度、吸放湿性などに応
じて、例えば、2〜100倍、好ましくは3〜70倍、
さらに好ましくは5〜50倍程度の範囲から選択でき
る。
【0018】さらに、吸放湿性樹脂発泡ボードの気泡
は、連続気泡と独立気泡が混在していてもよいが、50
%以上(例えば、60〜100%)が独立気泡であるの
が有利である。発泡ボードの平均気孔径は、所望する吸
湿性などに応じて、例えば、0.05〜5mm、好まし
くは0.1〜3mm、さらに好ましくは0.2〜3mm
程度の範囲から選択できる。吸放湿性樹脂発泡ボード
は、前記樹脂組成物と吸放湿性物質と発泡剤とで構成さ
れた発泡性樹脂組成物を発泡成形(発泡射出成形、押出
し発泡成形など)することにより得ることができる。好
ましい吸放湿性樹脂発泡ボードは、少くともスチレン系
樹脂を含む樹脂組成物(例えば、スチレン系樹脂を主成
分とする樹脂組成物、スチレン系樹脂とプロピレン系樹
脂などのオレフィン系樹脂とを主成分とする樹脂組成
物)と、吸放湿性物質と発泡剤とを含む樹脂組成物を、
押出機で溶融・混練した後、リップ状ダイより押出発泡
することにより製造できる。
【0019】発泡剤としては、揮発型発泡剤、分解型発
泡剤のいづれも使用可能である。揮発型発泡剤として
は、例えば、プロパン、ブタン、ペンタンなどの炭化水
素類、1,1,1,2−テトラフルオロエタンなどのハ
ロゲン化炭化水素類、メチルエーテル、エチルエーテル
などのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなど
のケトン類などが挙げられる。分解型発泡剤としては、
例えば、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウムなどのアルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素アンモニウ
ム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアル
カリ金属の炭酸水素塩、2,2′−アゾビスイソブチロ
ニトリル、アゾヘキサヒドロベンゾニトリルなどのアゾ
化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルイレ
ンスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド化
合物、N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン
などのニトロソ化合物などが挙げられる。これれの発泡
剤は1種または2種以上組合わせて使用可能である。
【0020】分解型発泡剤はその種類に応じて発泡助剤
と組合わせて使用してもよい。例えば、前記炭酸塩や炭
酸水素塩はクエン酸、シュウ酸などの有機酸又はそのモ
ノ−又はジ−ナトリウム塩と組合わせて使用可能であ
る。また、有機酸は無水物であっても水和物であっても
よい。ニトロソ化合物は前記有機酸や尿素などと組合わ
せて使用可能である。発泡助剤の使用量は、例えば、前
記炭酸塩又は炭酸水素塩などの発泡剤に対して0.8〜
0.2当量程度が好ましい。発泡剤の使用量は、前記樹
脂組成物100重量部に対して1〜30重量部(5〜3
0重量部)、好ましくは2〜20重量部程度の範囲から
選択できる。
【0021】吸放湿性樹脂発泡ボードの製造において、
前記樹脂組成物は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定
剤などの安定剤、界面活性剤、帯電防止剤、難燃剤、充
填剤、着色剤、核剤などの添加剤を含んでいてもよい。
核剤を含む発泡性樹脂組成物を用いると、気泡を均一化
又は微細化できる場合がある。
【0022】前記吸放湿性樹脂発泡ボードと組合わせて
使用できる非吸放湿性樹脂発泡ボード(例えば、ポリス
チレン発泡ボードなどのスチレン系樹脂発泡ボード、ポ
リウレタン樹脂発泡ボードなどの合成樹脂発泡ボード)
は、発泡体の種類に応じた慣用の方法で製造できる。例
えば、スチレン系樹脂発泡ボードとしては、JIS−A
−9511に規定されているビーズ発泡法による発泡ボ
ード、押出発泡法による発泡ボードのいずれも使用可能
である。スチレン系樹脂発泡ボードの密度は、例えば、
15kg/m3 〜50kg/m3 、好ましくは25kg
/m3 〜40kg/m3 程度である。なお、スチレン系
樹脂発泡ボードの熱伝導率は、例えば、0.039kcal
/m・hr・℃程度である。
【0023】非吸放湿性樹脂発泡ボードの気泡も、連続
気泡と独立気泡が混在していてもよいが、50%以上
(例えば、60〜100%)が独立気泡である場合が多
い。発泡ボードの平均気孔径は、前記吸放湿性樹脂発泡
ボードと同様に、例えば、0.05〜5mm、好ましく
は0.1〜3mm、さらに好ましくは0.2〜3mm程
度の範囲から選択できる。さらに、非吸放湿性樹脂発泡
ボードの発泡倍率は、発泡体の種類などに応じて、前記
吸放湿性樹脂発泡ボードと同様に、例えば、2〜100
倍、好ましくは3〜70倍、さらに好ましくは5〜50
倍程度の範囲から選択できる。
【0024】非吸放湿性ボードとしては、JIS−A−
5905に規定されているタタミボード(繊維板)が含
まれる。前記タタミボードは、木材などの植物繊維を主
成分とする成形板であり、パルプ状植物繊維質(木材を
主成分とし、タケ、ササ、ワラ、パルプカスや廃材など
を含んでいてもよい)と結合剤とを含むスラリーを抄造
し、脱水乾燥し、必要に応じて加熱加圧することにより
得ることができる。タタミボードは、JIS A 59
05に規定する繊維板、例えば、密度0.8g/cm3
以上の硬質繊維板(ハードファイバーボード,HB)、密
度0.35〜0.8g/cm3 の半硬質繊維板(ミディ
アムデンシティファイバーボード,BDF)などであって
もよいが、密度およびコストの点から、密度0.35g
/cm3 以下(例えば、0.2〜0.35g/cm3
の軟質繊維板(インシュレーションファイバーボード,
IB)が好ましい。軟質繊維板(IB)は、さらにA級イン
シュレーションボード(A-IB)、シードングボード(S-
IB)であってもよいが、特にT級タタミボード(繊維
板)(T-IB)であるのが好ましい。畳用のT級タタミボ
ードの密度は、JIS規格に規定されているように、
0.27g/cm3未満(例えば、0.05〜0.27
g/cm3 、好ましくは0.1〜0.27g/cm3
度)の範囲から選択できる。なお、T級タタミボードの
熱伝導率は、例えば、0.039kcal/m・hr・℃程度で
ある。タタミボードの厚みは、例えば、2.5〜30m
m(例えば、3〜25mm)、好ましくは7〜20mm
程度の範囲から選択できる。なお、タタミボードの厚み
は、JIS A 5905に規定されており、例えば、
T級タタミボード(T-IB)の厚みは10mm,15m
m,および20mmである。なお、タタミボードの厚み
は、2枚以上の繊維板を組合わせて厚みを調整可能であ
る。非吸放湿性樹脂発泡ボード及び非吸放湿性タタミボ
ードの合計厚みは、畳床全体の厚みの0〜90%、好ま
しくは0〜80%、さらに好ましくは0〜70%(例え
ば、0〜50%)程度の範囲から選択でき、非吸放湿性
樹脂発泡ボード及び非吸放湿性タタミボードの厚みは、
それぞれ、例えば、0〜45mm、好ましくは10〜4
0mm(例えば、10〜25mm)程度の範囲から選択
できる。
【0025】本発明の畳床は、少くとも前記吸放湿性樹
脂発泡ボードを1つの層として含んでいればよく、複数
の層(複数の吸放湿性樹脂発泡ボード層や、吸放湿性樹
脂発泡ボードと非吸放湿性樹脂発泡ボード及び/又は非
吸放湿性タタミボードとの組合わせからなる複数の層)
で構成することもできる。複数の層で構成された畳床に
おいて、各層は種々の接合手段、例えば、接着剤による
接合、縫合などの機械的手段などにより一体化すること
ができる。畳床のサイズは適当に選択でき、長さ1,8
40mm×幅920mm、長さ2,000mm×幅1,
000mm、長さ1,900mm×幅950mmなどで
ある場合が多い。
【0026】
【発明の効果】本発明の畳床は、前記樹脂発泡ボードを
備えているため、軽量で高い断熱性および高い吸放湿性
を有し、快適性が高い。
【0027】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。 実施例1 厚み50mm,幅910mmの吸放湿性合成樹脂発泡ボ
ード(発泡倍率20倍,平均気泡径2.1mm)で畳床
(長さ1,840mm×幅920mm)を形成した。こ
の吸放湿性合成樹脂発泡ボードは、ポリスチレン(ダイ
セル化学工業(株)製,商品名ダイセルスチロールGP
PS−31)92重量部、ポリプロピレン(宇部興産
(株)製,商品名UBEポリプロ J703H)8重量
部、吸放湿剤としてのカルボキシメチルセルロース(エ
ーテル化度1.3)1.2重量部及び架橋ポリアクリル
酸ナトリウム0.6重量部、核剤(炭酸カルシウム,平
均粒径5μm)1.0重量部、難燃剤(ヘキサブロモシ
クロドデカン)2.0重量部、発泡剤としての炭酸水素
ナトリウム5.0重量部及びクエン酸3.0重量部を混
合し混合樹脂組成物を、押出機を用いて温度220℃,
200kg/cm2 で溶融混練するとともに、温度11
0℃のTダイ(ダイのクリアランス1.8mm)から押
出し発泡させ、耳部及びスキン層を除去することにより
調製した。そして、畳床製造機で、得られた発泡ボード
を縫合することにより畳床を調製した。この畳床から切
り出した試料(30cm角)を40℃のオーブン中に一
昼夜放置した後、吸湿性及び放湿性を評価した。その結
果、40℃,90%RHの雰囲気中に1時間放置した
後の吸湿量は30.6g、40℃,90%RHの雰囲
気中に4時間放置した後の吸湿量は58.6gであり、
40℃,90%RHの雰囲気中に4時間放置した後、
30℃,40%RHの雰囲気中に4時間放置した後の吸
湿量は23.3gであった。
【0028】実施例2 実施例1で調製した発泡ボードを厚み25mmにスライ
スした。この発泡ボード(厚み25mm)を上層に配
し、下層に厚み15mmのT級断熱タタミボード(トー
ヨーテックス(株)製、商品名タタミボード)と厚み1
0mmのT級断熱タタミボード(トーヨーテックス
(株)製、商品名タタミボード)とを順次配して、実施
例1と同様にして縫着し、畳床を調製した。そして、実
施例1と同様にして吸湿性及び放湿性を評価したとこ
ろ、40℃,90%RHの雰囲気中に1時間放置した
後の吸湿量は27.0g、40℃,90%RHの雰囲
気中に4時間放置した後の吸湿量は51.9gであり、
40℃,90%RHの雰囲気中に4時間放置した後、
30℃,40%RHの雰囲気中に4時間放置した後の吸
湿量は21.8gであった。
【0029】実施例3 実施例1で調製した発泡ボードを厚み25mmにスライ
スした。この発泡ボード(厚み25mm)を上層に配
し、中間層に厚み15mmのポリスチレン発泡ボード
(ダイセル化学工業(株)製,ダイセルフォーム「B
1」)、下層に厚み10mmのT級断熱タタミボード
(トーヨーテックス(株)製、商品名タタミボード)を
配し、実施例1と同様にして縫着し、畳床を調製した。
そして、実施例1と同様にして吸湿性及び放湿性を評価
したところ、40℃,90%RHの雰囲気中に1時間
放置した後の吸湿量は24.3g、40℃,90%R
Hの雰囲気中に4時間放置した後の吸湿量は47.1g
であり、40℃,90%RHの雰囲気中に4時間放置
した後、30℃,40%RHの雰囲気中に4時間放置し
た後の吸湿量は19.8gであった。
【0030】比較例1 吸放湿剤を用いることなく製造されたポリスチレン発泡
ボード(ダイセル化学工業(株)製,ダイセルフォーム
「B1」,厚み25mm)を中間層とし、この中間層の
上面に厚み15mmのT級断熱タタミボード(トーヨー
テックス(株)製、商品名タタミボード)を配するとと
もに、前記中間層の下面に厚み10mmのT級断熱タタ
ミボード(トーヨーテックス(株)製、商品名タタミボ
ード)を配し、実施例1と同様にして縫着し、畳床を調
製した。そして、吸湿性及び放湿性を評価したところ、
40℃,90%RHの雰囲気中に1時間放置した後の
吸湿量は21.9g、40℃,90%RHの雰囲気中
に4時間放置した後の吸湿量は40.0gであり、4
0℃,90%RHの雰囲気中に4時間放置した後、30
℃,40%RHの雰囲気中に4時間放置した後の吸湿量
は19.4gであった。
【0031】実験例 実施例1で得られた畳床を用いた畳を作製し、6畳の間
に敷いた。また、ワラ床による畳を隣接する6畳の間に
敷いた(比較例2)。そして、ランニングシャツを着用
した5人の人間が各畳の間に仰向けになったところ、5
人とも殆ど感触的に差がないとの結果を得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は畳床の構造を示す縦断面図である。
【図2】図2は他の畳床の構造を示す縦断面図である。
【図3】図3はさらに他の畳床の構造を示す縦断面図で
ある。
【符号の説明】
1,11,21…吸放湿性合成樹脂発泡ボード 12,22…ポリスチレン発泡ボード 13,23…タタミボード

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1つの吸放湿性樹脂発泡体ボ
    ードで構成された畳床。
  2. 【請求項2】 吸放湿性樹脂発泡ボードと、スチレン系
    樹脂発泡ボード又はタタミボードとで構成されている請
    求項1記載の畳床。
  3. 【請求項3】 吸放湿性樹脂発泡ボードが、少くともス
    チレン系樹脂を含む樹脂組成物と吸放湿性物質とで構成
    された発泡性樹脂組成物の発泡体で構成されている請求
    項1記載の畳床。
  4. 【請求項4】 吸放湿性樹脂発泡ボードが、スチレン系
    樹脂、オレフィン系樹脂、および吸放湿性物質で構成さ
    れた発泡性樹脂組成物の発泡体で構成されている請求項
    1記載の畳床。
  5. 【請求項5】 スチレン系樹脂とオレフィン系樹脂との
    割合が、前者/後者=99/1〜70/30(重量比)
    である請求項4記載の畳床。
  6. 【請求項6】 吸放湿性物質が、セルロース又はその誘
    導体、水溶性高分子および水膨潤性高分子から選択され
    た少くとも一種である請求項3又は4記載の畳床。
  7. 【請求項7】 吸放湿性物質の含有量が、樹脂100重
    量部に対して0.1〜30重量部である請求項3記載の
    畳床。
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