JPH09208726A - プラズマを利用した基材の表面処理方法 - Google Patents

プラズマを利用した基材の表面処理方法

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JPH09208726A
JPH09208726A JP8017549A JP1754996A JPH09208726A JP H09208726 A JPH09208726 A JP H09208726A JP 8017549 A JP8017549 A JP 8017549A JP 1754996 A JP1754996 A JP 1754996A JP H09208726 A JPH09208726 A JP H09208726A
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JP
Japan
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gas
solid dielectric
electrode
electrodes
substrate
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JP8017549A
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English (en)
Inventor
Motokazu Yuasa
基和 湯浅
Shigemasa Kawai
重征 河合
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大気圧条件下で、基材に耐久性に優れた疎水
性能を与える表面処理方法を提供する。 【解決手段】 一対の電極の少なくとも一方に固体誘電
体を設置し、他方の電極と該固体誘電体又は該固体誘電
体同志が対向して設けられ、当該他方の電極と該固体誘
電体又は該固体誘電体同志の間に基材を配置し、処理用
ガスと不活性ガスの混合気体の大気圧近傍の圧力下で、
該電極間に直流が重畳された交流電界を印加することに
よって放電プラズマを発生させる。一対の電極の一方
に、処理用ガスと不活性ガスの混合気体の導入口および
吹き出し口を備えた固体誘電体容器を配設し、他方の電
極と当該ガス吹き出し口を対向して設けた装置の、当該
他方の電極と当該ガス吹き出し口の間に基材を配置して
処理を行ってもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材の表面処理方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、大気圧条件下での放電処理に
よる基材の表面改質方法が提案されている。例えば、コ
ロナ放電処理を行い、プラスチック基材表面にカルボキ
シル基、水酸基等を形成させ親水化する方法が実用化さ
れているが、基材に耐熱性が要求される上に、凹凸を有
する表面に処理を行うことは困難であった。また、グロ
ー放電プラズマを利用して基材に撥水性表面を与える方
法も開示されている(特開平2−15171号公報、特
開平1−306569号公報)が、処理表面の性能が経
時変化するという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決し、基材に耐久性に優れた各種機能を与える表面
処理方法を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、大気圧近傍の
圧力下で放電プラズマ処理を行う方法において、電極間
に直流が重畳された交流電界を印加することによって発
生した放電プラズマを用いることにより、上記課題を解
決する。すなわち、本発明の基材の表面処理方法は、一
対の電極の少なくとも一方に固体誘電体を設置し、他方
の電極と該固体誘電体又は該固体誘電体同志が対向して
設けられ、当該他方の電極と該固体誘電体又は該固体誘
電体同志の間に基材を配置し、処理用ガスと不活性ガス
の混合気体の大気圧近傍の圧力下で、該電極間に直流が
重畳された交流電界を印加することによって放電プラズ
マを発生させるものである。
【0005】本発明の表面処理を施される基材として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポ
リカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリテ
トラフルオロエチレン、アクリル樹脂等のプラスチッ
ク、ガラス、セラミック、金属等が挙げられる。基材の
形状としては、板状、フィルム状等のものが挙げられる
が、特にこれらに限定されない。本発明の表面処理方法
によれば、様々な形状を有する基材の処理に容易に対応
することが出来る。
【0006】本発明においては、処理用ガスと不活性ガ
スの混合気体中でプラスマを発生させる。処理用ガスの
選択によって、基材表面に各種機能を発現する特性基、
薄膜等が形成される。
【0007】上記処理用ガスとしてフッ素含有化合物ガ
スを用いることによって、基材表面にフッ素含有基を形
成させて表面エネルギーを低くし、撥水性表面を得るこ
とが出来る。
【0008】上記フッ素含有化合物としては、4フッ化
炭素(CF4 )、6フッ化炭素(C 2 6 )、6フッ化
プロピレン(CF3 CFCF2 )、8フッ化シクロブタ
ン(C4 8 )等のフッ素−炭素化合物、1塩化3フッ
化炭素(CClF3 )等のハロゲン−炭素化合物、6フ
ッ化硫黄(SF6 )等のフッ素−硫黄化合物等が挙げら
れる。安全上の観点から、有害ガスであるフッ化水素を
生成しない4フッ化炭素、6フッ化炭素、6フッ化プロ
ピレン、8フッ化シクロブタンを用いることが好まし
い。
【0009】また、処理用ガスとして以下のような有機
化合物気体、酸素気体、酸素気体と水素気体、水蒸気、
窒素気体と水素気体、アンモニア気体を使用し、基材表
面にカルボニル基、水酸基、アミノ基等の親水性官能基
を形成させて表面エネルギーを高くし、親水性表面を得
ることが出来る。
【0010】上記有機化合物としては、メタン、エタ
ン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロプ
ロパン、シクロヘキサン等のアルカン系炭化水素、エチ
レン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ブタジエン、ペ
ンタジエン、シクロペンテン、シクロヘキセン等のアル
ケン系炭化水素、アセチレン、メチルアセチレン等のア
ルキン系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、イ
ンデン、ナフタレン、フェナントレン等の芳香族炭化水
素、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセト
ン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタナール、エ
タナール等のアルデヒド類等が挙げられる。これらは単
独でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0011】さらに、Si、Ti、Sn等の金属の金属
−水素化合物、金属−ハロゲン化合物、金属アルコラー
ト等の処理用ガスを用いて、SiO2 、TiO2 、Sn
2等の金属酸化物薄膜を形成させ、基材表面に電気
的、光学的機能を与えることが出来る。
【0012】上記不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオ
ン、アルゴン、キセノン等の希ガス、窒素気体等が挙げ
られる。これらは単独でも2種以上を混合して用いても
よい。ヘリウムは準安定状態の寿命が長いため、後述の
処理用ガスを励起するのに有利である。ヘリウム以外の
不活性ガスを用いる場合は、放電プラズマ処理を安定し
て行うために、アセトン、メタノール、メタン、エタン
等の有機化合物気体を混合して用いることが好ましい。
有機化合物気体は、多く加えすぎると基材表面の化学的
変化を起こすはたらきをするため、親水性表面を得る場
合以外は、不活性ガスの2体積%以下になるようにすべ
きである。
【0013】上記処理用ガスと不活性ガスの混合割合は
使用するガスの種類によって決定されるが、処理用ガス
の濃度が10体積%を越えると、電圧を印加しても均一
な放電プラズマが発生し難くなるので0.01〜10体
積%が好ましく、より好ましくは0.01〜5体積%で
ある。
【0014】上記大気圧近傍の圧力下とは、100〜8
00Torrの圧力下を指す。圧力調整が容易で、装置
が簡便になる700〜780Torrの範囲が好まし
い。
【0015】上記プラズマ処理は、一対の電極、該電極
の少なくとも一方に設置された固体誘電体、他方の電極
と該固体誘電体又は該固体誘電体同志の空間である表面
処理部、電極間に電圧を印加させる電源部、上記処理用
ガスと不活性ガスの混合気体を該表面処理部に供給する
管から構成される装置中で行われる。
【0016】本発明においては、電極間に直流が重畳さ
れた交流電界を印加することによって放電プラズマを発
生させる。よって、上記印加が行えるように、上記電極
と、直流電源部および交流電源部が接続される。
【0017】図1に、上記直流が重畳された交流電界の
例として、ピーク−ピーク電圧(V P-P )が4kVであ
る交流に、−1.0kV、+1.0kVの直流を重畳し
た場合の電圧波形を示す。重畳する直流電圧の大きさ、
極性は、電極間距離、交流電圧の大きさ、処理用ガスの
種類および混合気体中に占める割合等を考慮して決めら
れるが、±0.1〜±5kVの範囲であることが好まし
い。例えば、6フッ化プロピレンを処理用ガスとして使
用する場合は、−0.3〜−1.5kVの負極性の直流
が好ましい。
【0018】交流電圧の大きさは適宜決められるが、電
極に印加した際に電界強度が1〜40kV/cmとなる
範囲にすることが好ましい。1kV/cm未満であると
処理に時間がかかりすぎ、40kV/cmを超えるとア
ーク放電が発生するためである。耐熱性の低い基材に処
理を施す場合は、上記交流電源部は、5〜30kHzの
周波数が実現出来るものを用いることが好ましい。
【0019】直流が重畳された交流電界によって発生さ
せられたプラズマ活性種は、直流の重畳されていないも
のと比較してより加速された状態にあると推測される。
本発明者は、大気圧条件下における直流が重畳された交
流電界によって発生したプラズマ活性種が、処理表面の
耐久性に有利な効果を与えることを実証した。
【0020】上記電極としては、銅、アルミニウム等の
金属単体、ステンレス、真鍮等の合金、金属間化合物等
からなるものが挙げられる。上記電極の構造は、平行平
板型、円筒対向平板型、球対向平板型、双曲面対向平板
型、同軸円筒型、複数の細線と平板からなる構造等が挙
げられる。
【0021】上記固体誘電体は、一対の電極の少なくと
も一方に接するように、固体誘電体を設置していない電
極又は該固体誘電体同志が対向するように設置される。
固体誘電体によって覆われずに電極同志が直接対向する
部位があると、そこからアーク放電が生じ、好ましくな
い結果を与える。上記固体誘電体としては、ポリテトラ
フルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプ
ラスチック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、
二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、チ
タン酸バリウム等の複酸化物等が挙げられる。
【0022】上記固体誘電体の形状は、シート状でもフ
ィルム状でもよいが、厚みが0.05〜4mmであるこ
とが好ましい。厚すぎると放電プラズマを発生するのに
高電圧を要し、薄すぎると電圧印加時に絶縁破壊が起こ
りアーク放電が発生するためである。
【0023】上記基材は、固体誘電体の設置されていな
い電極と固体誘電体の間又は該固体誘電体同志の空間で
ある表面処理部に配置される。本発明においては、発生
した放電プラズマを基材表面に接触させることによって
目的を達成するため、基材の両面に処理を施したい場合
は表面処理部に該基材を浮かせて設置する必要がある。
【0024】上記電極間の距離は、固体誘電体の厚さ、
基材の厚さ、印加電圧の大きさ、混合気体の流量等によ
って適宜決定されるが、1〜30mmであることが好ま
しい。1mm未満では、基材を間隔を置いて電極間に設
置するのに充分でない。30mmを超えると、均一な放
電プラズマを発生させることが困難である。
【0025】上記放電プラズマ処理は、処理用ガスと不
活性ガスの混合気体中で行わる。上記混合気体は表面処
理部に均一に供給されなければならない。不活性ガスは
処理用ガスに比較して軽いので、特に面積の大きな基材
を処理する場合は、供給時に不均一になることを避ける
ような装置の工夫がされていることが好ましい。図2の
放電プラズマ処理装置に示した例では、処理用ガスは多
孔構造をもつ電極4に連結されたガス導入管8を通って
基材上方から表面処理部に供給される。不活性ガスは、
これと別に不活性ガス導入管9を通って供給される。気
体を均一に供給可能であれば、このような構造に限定さ
れず、気体を攪拌又は高速で吹き付ける等の手段を用い
てもよい。
【0026】図2の放電プラズマ処理が行われる装置
は、処理用ガスおよび不活性ガスの導入管、過剰な気体
の排出口を備えた容器中にある。上記容器の材質は、樹
脂、ガラス等が挙げられるが、特に限定されない。電極
と絶縁のとれた構造になっていれば、ステンレス、アル
ミニウム等の金属を用いることも出来る。
【0027】また、一対の電極の一方に、処理用ガスと
不活性ガスの混合気体の導入口および吹き出し口を備え
た固体誘電体容器を配設し、他方の電極と当該吹き出し
口が対向して設けられた装置中において、当該他方の電
極と当該吹き出し口の間に基材を配置して放電プラズマ
処理を行うことも出来る。
【0028】上記気体の導入口および吹き出し口を備え
た固体誘電体容器を用いることによって、例えば、シー
ト状物、成形体等の連続的な表面処理、部分的な表面処
理等を少量の処理用ガスを用いて均一に行うことができ
る。また、表面処理工程のライン化にも適している。以
下、詳述する。
【0029】図3に上記のような放電プラズマ処理装置
の例を示す。この場合、処理用ガスと不活性ガスの混合
気体は、固体誘電体容器12にガス導入口13から連続
的に供給され、さらに、ガス吹き出し口14から電極5
とガス吹き出し口14の間の空間である表面処理部(プ
ラズマ発生部)に連続的に供給されることによって、処
理用ガスと不活性ガスの混合気体の大気圧近傍の圧力下
における放電プラズマ処理がなされる。
【0030】図3の治具15は、電極5とガス吹き出し
口14との間隔を自在に変更することができるものであ
る。上記治具15により、例えば、基材7が大面積シー
ト状物である場合、電極5と上記ガス吹き出し口14と
の間隔を一定に保持しながら連続的に移動して表面処理
することができ、基材7が成形体である場合、電極5と
ガス吹き出し口14との間隔を自在に変更して連続的な
表面処理、部分的な表面処理等をすることができる。
【0031】電極の一方に、固体誘電体容器が配設され
る。図4、5に、電極に固体誘電体容器を配設する例を
示す。固体誘電体容器12の吹き出し口14が、電極5
に対向し、かつ、電極4と電極5が直接対向することの
ないように配置されている。
【0032】なお、固体誘電体容器の電極が配設される
面の肉厚は、0.03〜30mmであることが好まし
い。0.03mm未満であると、高電圧印加時に絶縁破
壊が起こりアーク放電が生じる。
【0033】また、図6に、ガス吹き出し口の例を示
す。ガス吹き出し口の形状としては特に限定されず、例
えば、スリット状のもの、多数の孔からなるもの、上記
固体誘電体容器が形成する突端状のもの等が挙げられ
る。
【0034】図中に示していないが、上記処理用ガスと
上記不活性ガスとは、一般のガス流量制御器を介して混
合され、上記固体誘電体容器12内に供給される。
【0035】上記混合ガスの供給量及び上記混合ガスの
吹き出し流速は、ガス吹き出し口の断面積、基材とガス
吹き出し口との間の距離等により適宜決定される。断面
積が100mm2 である図6の形状のガス吹き出し口の
場合を例を挙げると、混合気体の供給量として流量50
00sccm、混合気体の吹き出し流速として830m
m/secが好ましい。上記混合ガスの供給量を増加さ
せる場合には、それに比例して混合気体の吹き出し流速
が増加し、表面処理に要する時間が短縮される。
【0036】本発明の放電プラズマ処理は、基材を加熱
または冷却して行ってもよいが、室温下で充分可能であ
る。上記放電プラズマ処理に要する時間は、印加電圧、
処理用ガスの種類および混合気体中の割合等を考慮して
適宜決定される。
【0037】
【実施例】
実施例1 図2の装置(パイレックスガラス製、容量:5L)にお
いて、上部電極4(ステンレス(SUS304)製、大
きさ:100×100mm、φ1mmの孔が10mm間
隔で配設)と下部電極5(アルミニウム製、大きさ:1
00×100mm)の電極間距離4mmの空間中の下部
電極上に、固体誘電体としてZrO2 膜(厚み:500
μm)を下部電極を完全に覆うように設置し、この上に
ポリエチレンテレフタレート基材(東レ社製、ルミラー
T50、大きさ:100×100mm、厚み:50μ
m)を配置した。油回転ポンプで装置内が1Torrに
なるまで排気を行った。次に4フッ化炭素(CF4 )を
流量15sccmでガス導入管8から、ヘリウムを流量
485sccmで不活性ガス導入管9から、装置内が7
57Torrになるまで導入した。電極に−0.5kV
の直流が重畳された15kHz、4.0kVの交流電圧
を30秒間印加してプラズマを発生させ、これをポリエ
チレンテレフタレート基材に接触させて処理品を得た。
【0038】比較例1 直流電流を重畳していない交流電圧を印加してプラズマ
を発生させたこと以外は、実施例1と同様にして処理品
を得た。
【0039】<疎水性能評価>実施例1および比較例1
の処理品の被処理面に水滴2μlを滴下し、接触角測定
装置(協和界面科学社製、商品名:CA−X150)を
用いて静的接触角を測定したところ、実施例1は105
度、比較例1は104度であった。60℃の温水中に3
0日間浸漬した後の被処理面の静的接触角を同様に測定
したところ、実施例1は94度、比較例1は73度であ
った。なお、処理前のポリエチレンテレフタレート基材
の接触角は72度である。直流を重畳していない比較例
1の接触角が基材と同程度まで変化しているのに比較
し、実施例1の処理品は撥水性表面を温水浸漬後も維持
していることが認められる。
【0040】実施例2 図2の装置において、上部電極4と下部電極5の電極間
距離4mmの空間中の下部電極上に、固体誘電体として
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、大きさ:12
0×120mm、厚み:2mm)を設置し、この上に基
材として、片面に低密度ポリエチレン層(厚み:20μ
m)が形成されているクルパック加工クラフト紙(大き
さ:100×100mm、秤量:75g/m2 )を、ポ
リエチレン層を上にして配置した。油回転ポンプで装置
内が1Torrになるまで排気を行った。次に6フッ化
プロピレン(CF3 CFCF2 )を流量10sccmで
ガス導入管8から、ヘリウムを流量990sccmで不
活性ガス導入管9から、装置内が757Torrになる
まで導入した。電極に−1.0kVの直流が重畳された
15kHz、6.1kVの交流電圧を3分間印加してプ
ラズマを発生させ、これをクラフト紙上に積層されてい
るポリエチレン層に接触させて処理品を得た。
【0041】実施例3〜5 処理用ガスとして実施例3、4は6フッ化プロピレン、
実施例5は8フッ化シクロブタンを用い、印加電圧、ガ
ス流量を表1に示したように変えたこと以外は、実施例
2と同様にして処理品を得た。なお、6フッ化プロピレ
ンの流量を150sccm、ヘリウムの流量を850s
ccmに変えて、フッ素含有化合物濃度15体積%の混
合気体中で処理を行ったところ、アーク放電に近い不均
一な放電状態が観察され、一部基材の損傷があった。
【0042】比較例2 直流電流を重畳していない交流電圧を印加してプラズマ
を発生させたこと以外は、実施例2と同様にして処理品
を得た。
【0043】<膜強度評価>実施例2〜5および比較例
2の処理品の静的接触角を測定した。表1に示したよう
に、105〜108度の高い接触角を示して処理品の表
面が撥水化されていることから、フッ化炭素の重合によ
る膜が形成されていることを確認した。クラフト紙の片
面にスチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SI
S)100重量部、C5系石油樹脂100重量部、ナフ
テン系オイル20重量部からなる合成ゴム系粘着剤を厚
み40μmになるよう塗工し、当該塗工面と実施例2〜
5および比較例2の処理品の被処理面を張り合わせて手
動式圧着装置を用いて圧着し、25mm×100mmの
試験片を得た。この試験片について、JIS−B−77
21に準拠した引張試験機を用いて引張速度300mm
/minで180度引張試験を行い、自背面接着力(展
開力)を測定した。上記引張試験後のクラフト紙の粘着
剤塗工面をSUS304鋼板に張り合わせて手動式圧着
装置を用いて圧着して得た試験片について、上記と同様
に180度引張試験を行い、SP粘着力を測定した。
【0044】結果を表1に示す。プラズマ処理によって
形成された膜の強度が弱い場合は、接着剤塗工面と被処
理面を一旦張り合わせて剥離した際に、当該膜が粘着剤
側に付着するためSP粘着力が小さいという結果を与え
るが、実施例の処理品は自背面接着力が小さく、SP粘
着力が大きいことが認められる。実施例の被処理面に形
成されている膜が強固であることを間接的に示してお
り、当該膜の存在する被処理面の耐久性が優秀であるこ
とを表していると考えられる。
【0045】
【表1】
【0046】実施例6 図3のプラズマ処理装置において、固体誘電体容器12
(ポリメタクリレート製、110×5×50mm、肉
厚:2mm)は図6に示したスリット状のガス吹き出し
口14(100×1mm)とガス導入口13を備え、ガ
ス吹き出し口14近傍に一方の電極4(銅製、100×
30×1mm)が配設されている。また、他方の電極5
(銅製、100×30×1mm)は基材7の裏面に10
mmの距離を維持し配設されている。基材7としてポリ
エチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、ルミラー
T50、厚み:50μm)を用いて以下の条件で表面処
理を行った。 不活性ガス:ヘリウム、流量4950sccm 処理用ガス:6フッ化プロピレン、流量50sccm 印加電圧:交流15kHz、6.0kV、直流−1.0
kV 処理時間:10秒 処理後の基材表面に2μLの水滴を滴下し、半自動接触
角計(協和界面科学社製、CA−X150)を用いて静
的接触角を測定した。その結果、放電プラズマが接触し
た横110mm×縦5mmの長方形領域で、基材の初期
接触角(72度)以上の値である103〜108度を示
し、撥水化されていることがわかった。なお、直流を重
畳せずに同様の処理を行ったところ、接触角は100〜
105度の範囲を示した。
【0047】実施例7 CF4 25体積%と酸素75体積%の混合気体を処理用
ガスとして、流量75sccmで用いたこと以外は実施
例6と同様に処理を行った。処理後の基材表面の静的接
触角を測定した。その結果、放電プラズマが接触した横
110mm×縦5mmの長方形領域で接触角は20〜3
5度を示し、親水化されていることがわかった。なお、
直流を重畳せずに同様の処理を行ったところ、接触角は
30〜55度の範囲を示した。
【0048】実施例8 電極4とガス導入口13、ガス吹き出し口14が配設さ
れた固体誘電体容器12と電極5及び基材7との位置関
係(電極間距離10mm、電極5と基材7との距離2m
m)が保持できるようコンピューター制御可能な冶具1
5に連結された実施例6のプラズマ表面処理装置に、基
材7として塩化ビニル製方形管(外寸:100×100
×100mm、厚み:2mm)を装着し、プラズマ表面
処理装置を移動させながら、実施例6と同様の条件で方
形管基材7の外面の表面処理を行った。処理後の方形管
基材7の外面の接触角を5cm間隔で測定した結果、基
材の初期接触角(81度)以上の値である99〜106
度を示し、撥水化されていることがわかった。なお、直
流を重畳せずに同様の処理を行ったところ、接触角は9
5〜105度の範囲を示した。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、大気圧近傍の圧力下で
放電プラズマ処理を行う方法において、直流が重畳され
た交流電界を印加することによって発生させた放電プラ
ズマを用いることにより、有利な大気圧近傍の圧力条件
下で、耐久性に優れた撥水性、親水性等の機能を有する
表面を得ることが出来る。また、一対の電極の一方に、
処理用ガスと不活性ガスの混合気体の導入口および吹き
出し口を備えた固体誘電体容器を配設し、他方の電極と
当該ガス吹き出し口が対向して設けられ、当該他方の電
極と当該ガス吹き出し口の間に基材を配置して放電プラ
ズマ処理を行うことによって、例えば、シート状物、成
形体等の連続的な表面処理、部分的な表面処理等を少量
の処理用ガスを用いて均一に行うことができる。さら
に、表面処理工程のインライン化が容易であるため、シ
ート状物表面や成形体表面の接着性、印刷性の改質、防
汚性、導電性の付与に適している。
【0050】
【図面の簡単な説明】
【図1】 直流が重畳された交流電界の例を示す電圧波
形図
【図2】 本発明の放電プラズマ処理装置の一例
【図3】 本発明の放電プラズマ処理装置の他の例
【図4】 固体誘電体に電極を配設する一例
【図5】 固体誘電体に電極を配設する他の例
【図6】 吹き出し口の例
【符号の説明】
1−1 直流電源 1−2 交流電源 2 パイレックスガラス製容器 3 表面処理部(放電プラズマ発生部) 4 電極(一方の電極) 5 電極(他方の電極) 6 固体誘電体 7 基材 8 ガス導入管 9 不活性ガス導入管 10 ガス排出口 11 排気口 12 固体誘電体容器 13 ガス導入口 14 ガス吹き出し口 15 治具

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対の電極の少なくとも一方に固体誘電体
    を設置し、他方の電極と該固体誘電体又は該固体誘電体
    同志が対向して設けられ、当該他方の電極と該固体誘電
    体又は該固体誘電体同志の間に基材を配置し、処理用ガ
    スと不活性ガスの混合気体の大気圧近傍の圧力下で、該
    一対の電極間に直流が重畳された交流電界を印加するこ
    とによって放電プラズマを発生させることを特徴とする
    基材の表面処理方法。
  2. 【請求項2】一対の電極の一方に、処理用ガスと不活性
    ガスの混合気体の導入口および吹き出し口を備えた固体
    誘電体容器を配設し、他方の電極と当該吹き出し口が対
    向して設けられ、当該他方の電極と当該吹き出し口の間
    に基材を配置し、処理用ガスと不活性ガスの混合気体の
    大気圧近傍の圧力下で、該一対の電極間に直流が重畳さ
    れた交流電界を印加することによって放電プラズマを発
    生させることを特徴とする基材の表面処理方法。
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