JP4341149B2 - 表面処理方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジェット処理あるいはリモート処理といわれる処理に関するものであり、電界中を通過して、活性種を有している気体を被処理物に吹き当てて表面物性を変化せしめる処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
大気圧下で放電させ、それにより活性化されたガスを用いて基材等を表面処理する方法は従来から知られている。
【0003】
その中でも放電空間中に空気を導入し、空気中の窒素ガスや酸素ガスを活性化させ、それを被処理物(ワークともいう)に吹き当てる方法、いわゆるリモート方式、ジェット方式がある。
【0004】
近年、これらの表面処理技術は、電極となる材料、形状、冷却方式、放電を起こさせる電源(発振機)などの種々改善がなされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
さて、このような放電を用いて表面処理を行う場合、吐出口から噴出させる活性種が安定せず、すぐに電離状態が崩壊してしまって十分な表面改質効果が得られない、といった問題があった。
【0006】
また強力な活性種を噴出させることも十分でなく、期待通りの表面処理効果を得ることも出来ていなかった。
【0007】
そして工業的に広く採用されている、ベルトコンベア上を搬送される被処理物(ワークともいう)に対して間欠的に処理を行う方法に関しては、特に上記のような問題から、処理効果を向上させるために処理時間が一定以上必要となり、採用が難しいものとなっていた。
【0008】
これらの課題を解決するには、放電発生装置を大型化・高出力化する方法が考えられるが、装置が大型化してしまい、コストが大幅に上がってしまう。
【0009】
そこで本願発明は、コストを上げることなく、簡単な構成で確実にジェット処理の安定化・高率化を図る技術を実現することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1)大気圧近傍下で放電を生ぜしめている電界中に反応ガスを通過させ、被処理物に対して前記ガスを吐出させる表面処理方法において、
前記電界中を通過させる反応ガスに対して、前記電界中を通過させる前に0.005 [kg−水蒸気/kg−乾きガス]以上になるように加湿し、且つ電界中を通過させる反応ガスの平均流速(ガス導入量/放電部断面積)を2m/sec以上とする事を特徴とする表面処理方法。
(2)搬送経路上に被処理物を載置し、前記搬送経路上を移動する前記被処理物に処理を行う表面処理方法において、
大気圧近傍下で放電を生ぜしめている電界中に反応ガスを通過させ、前記処理物に対して前記ガスを吐出させ、
前記電界中を通過させる反応ガスに対して、前記電界中を通過させる前に0.005 [kg−水蒸気/kg−乾きガス]以上になるように加湿し、且つ電界中を通過させる反応ガスの平均流速(ガス導入量/放電部断面積)を2m/sec以上とする事を特徴とする表面処理方法
(3)大気圧近傍下で放電を生ぜしめている電界中に反応ガスを通過させ、被処理物に対して前記ガスを吐出させる表面処理方法において、
前記放電を生ぜしめている電界に対して電源を印している発振電源の交流波形がパルス波形である事を特徴とする表面処理方法。
)搬送経路上に被処理物を載置し、前記搬送経路上を移動する前記被処理物に処理を行う表面処理方法において、
大気圧近傍下で放電を生ぜしめている電界中に反応ガスを通過させ、前記処理物に対して前記ガスを吐出させて表面処理を行い、
前記放電を生ぜしめている電界に対して電源を印している発振電源の交流波形がパルス波形である事を特徴とする表面処理方法
(5)前記電界中を通過させる反応ガスが空気であることを特徴とする(1)ないし(4)のいずれか1つの表面処理方法。
)前記電界中を通過させる反応ガスが、空気と別のガスとの混合ガスであることを特徴とする(1)ないし(4)のいずれか1つの表面処理方法。
)前記別のガスは、酸化化合物、窒化化合物のうち少なくとも1つであることを特徴とする(6)の表面処理方法。
)前記別のガスは、炭化水素系のガスであることを特徴とする(6)の表面処理方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本願発明はこの形態に限られるものではない。
【0012】
空気を用いて放電処理することは、公知の不活性ガスを用いた大気圧プラズマに比べて、ガスのコストがかからず安価で設備の投資が少なくてすむ。
【0013】
しかしながら、(1)親水化しかできない、(2)処理レベルは不活性ガスを用いた大気圧プラズマに比べてきわめて小さい、という欠点があった。元々、親水化というのは、例えばプラスチック基材で言えば、そのごく表層に、−OH、−COH、−COOH、−NH3などの極性官能基を付けることで達成されることがわかっている。
【0014】
その中で、例えば親水化では、−OHがもっとも寄与すると言われているし、液に対する濡れ性を向上させる場合、その液によって適した官能基組成が異なる。接着性にしても同様である。
【0015】
一方、空気は通常、窒素が約78%、酸素が約21%、その他が1%とかならなる。よってこれを放電下に存在させたところで、所望の電離効果が得られない。
【0016】
ところが大気圧下で反応ガスとして空気を用いても、湿度を高くするとH2Oの−OHが放電空間に多く導入され、結果的に塗れ性向上も大きくなる。また酸素や窒素ガス割合を微妙に増減させることで上記官能基の構成を変えることが可能である。
【0017】
そして、放電を行う場合、交流電源の電流波形を工夫することにより、より放電発生効果を向上させることがわかった。吐出口からガスを噴出させるリモート処理においては、活性種が早期に崩壊してしまう問題を抱えているが、そのような問題を解決する事が可能になる。
【0018】
さらに、噴出させるガスの流速をある範囲以上にすることにより、同様に放電によって発生した活性種をすみやかにワークに対して吹き付けることが可能になり、表面処理効果の向上を図ることが可能になる。
【0019】
これらの方法は全て導入するガスとして大部分は空気を使うため、別途添加するガスの量が少なくてすみ、高価な不活性ガスを使わないので、小規模な設備ですむし、ランニングコストも少ない。さらに放電空間で活性化したガスをそのまま被処理物に吹き付ける方法であるため、被処理物を放電空間に入れる必要はなく、被処理物にダメージがなく、最表層のみを改質できる。また、複雑な形状や、立体的な形状の被処理物も処理できる。
【0020】
以上の通り、付与する性質及びその程度(放電処理の寄与度)については、電界強度、放電処理ガス条件(反応ガス濃度、ガス封入条件、気圧等)、放電条件、後述する湿度条件などを変化させることにより、適宜コントロールすることができる。すなわち必要に応じて親水性・撥水性付与の度合を自由に変化させることができる。具体的には親水性・撥水性が向上する受像層の深さ、厚さ、親水性・撥水性向上の度合などをÅ〜サブμmの厚さ範囲で自由に制御できる。このため多種多様な市場需要に対応でき、品種切換・多品種少量生産に適している。
【0021】
次に具体的に活性種を発生させる技術について説明する。
【0022】
この技術に関する概要は、特開平9−59777号公報に記載されているが、要するに対向させた電極間に放電を生ぜしめつつ、その電極間に反応ガスを通過させ、活性種を生じたガスをワークに対して吹き付けるものである。
【0023】
そこでまず電極について説明する。
【0024】
放電を生じさせる対向した電極の形状としては特に限定されていないが、上述の特開平9−59777号公報に記載されているような平板状形状の他に、円筒型、球対型等の曲面型形状等が挙げられる。電極は、例えば、ステンレス、真鍮等の多成分系の金属からなるものであってもよく、銅、アルミニウム等の純金属からなるものであってもよい。
【0025】
また対向した一対の電極は金属電極と固体誘電体とで構成され、金属電極は銀、金、銅、ステンレス、アルミニウム、等の通電可能な材料を固体誘電体に貼り付けるのが一般的であるが、固体誘電体にメッキ、蒸着、コーティング、溶射等で付けることもできる。
【0026】
固体誘電体としては、気密性の高い高耐熱性のセラミックを焼結した焼結型セラミックスを用いることも好ましい。焼結型セラミックスの材質としては例えばアルミナ系、ジルコニア系、窒化珪素系、炭化珪素系のセラミックスである。アルミナセラミックスの厚みは1mm程度が好ましい。また、体積固有抵抗は108Ω・cm以上が好ましい。
【0027】
焼結型セラミックスとして、アルミナ系焼結型セラミックスを用いる場合、純度99.6%以上のアルミナ系焼結型セラミックスを用いることが、電極の耐久性を上げる点で好ましい。純度99.6%以上のアルミナ系焼結型セラミックスに関しては、本出願人が先に提案した発明(特願平9−367413号)を参考にできる。
【0028】
この焼結型セラミックスを用いた電極の製造方法は耐熱性の高いセラミックスを焼結させて焼結型セラミックスを作り、その焼結型セラミックスにメッキ、蒸着、溶射またはコーティング等して金属電極を付着させる。
【0029】
また固体誘電体としては、特願平10−300984号に記載の低温ガラスライニングを用いることもできる。
【0030】
金属電極は固体誘電体によって全部が被覆されていてもよいし、一部が被覆されるだけでもよい。
【0031】
上記の対向した電極間の距離は、上記固体誘電体の肉厚、材質、印加電圧の大きさ等により適宜決定されるが、好ましくは、0〜30mmである。30mmを超えると、高電圧が必要になり、放電がアーク放電に移行しやすくなり、処理の均一性が損なわれる。
【0032】
上記の電極は、上記固体誘電体の外面に配設されるものである。上記の電極が配設される固体誘電体の面の肉厚としては、0.03〜30mmが好ましい。0.03mm未満であると、高電圧印加時に絶縁破壊が起こりアーク放電が生じて好ましくない。
【0033】
次に雰囲気の湿度をコントロールして、放電の発生度合・処理強度を変化させる技術について説明する。
【0034】
上述の通り、放電処理は空気中の水分(H2O)が反応ガスとして寄与するが、この割合が多いと従来の電源では出力低下したり、又は放電不安定化(放電処理の不均一化)を生じていた。
【0035】
これに対して後に詳述するパルス化電界を用いて放電を発生させることにより、H2Oが豊富にある雰囲気下における放電(均一な放電発生)が可能となり、上記の様な問題点を解決できる。
【0036】
特にH2OはO2やCO2に比べて、活性種発生時の副産物であるオゾンの発生が少ない上、表面改質効果もあることから非常に有効である。
【0037】
雰囲気に存在する水分の割合は絶対湿度で0.005[kg−水蒸気/kg−乾きガス]以上が好ましいが、より好ましくは0.009[kg−水蒸気/kg−乾きガス]以上、更に好ましくは0.012 [kg−水蒸気/kg−乾きガス]以上である。
【0038】
絶対湿度は定温度湿度図表(湿り線図ともいわれる)を参照して求めることができる。
【0039】
また「0.005[kg−水蒸気/kg−乾きガス]以上」とは、例えば(1)温度20℃の時は、相対湿度35%以上、(2)温度25℃の時は、相対湿度25%以上、(3)温度30℃の時は、相対湿度19%以上を示すものである。
【0040】
次にパルス化された電界で発生させた放電を用いた処理について説明する。
【0041】
放電処理は、主に反応ガス中で電界を生ぜしめることによって活性種を発生させるものであるが、この電界をパルス式の電界にさせることにより、とくに放電強度が強く、均一になるので、処理物に対する改質効果が大きい。
【0042】
処理室内に配置された電極にパルス化された電界を印加することにより、放電を発生させるが、パルス波形は例えば図2に示す例が挙げられるが、これに限定されず、特開平10−130851号公報の図1(a)〜(d)のパルス波形であってもよい。図2において、縦軸はパルス電圧、横軸は時間である。また特開平9−59777号公報の図2に記載されているような波形でも良い。
【0043】
かかるパルス化された電界を印加することにより発生した活性種を表面処理に用いると、空気中であっても十分表面処理機能がある。
【0044】
本発明におけるパルス電圧波形は、ここで挙げた波形に限定されないが、パルスの立ち上がり時間が短いほど放電発生の際のガスの電離が効率よく行われる。好ましくは、立ち上がり時間が100μs以下である。
【0045】
さらに、パルス波形、立ち上がり時間、周波数の異なるパルスを用いて変調を行ってもよい。このような変調は高速連続表面を行う上で有効である。また、パルス周波数が高く、パルス幅は短い方が高速連続表面に適している。
【0046】
一つのパルス電界が印加される時間は1μs〜1000μsであることが好ましい。一つのパルス電界が印加される時間というのは、図2における一つのパルス波形のパルスが印加される時間である。
【0047】
対向電極に印加する電圧の大きさは、特に限定されないが、電極に印加した時の電界強度が1〜100kV/cmとなる範囲になるようにすることが好ましい。
【0048】
そして発振電源の電圧は2〜10kVであることが好ましい。
【0049】
周波数については、大気圧下で放電できる範囲であるならばどの周波数帯でもよく、その中で大きい周波数ほど効率よく表面処理が可能であるが、一方で大きすぎる周波数帯は放電できる電極間間隙の範囲が狭くなり、マッチング調整も必要となるため弊害が出る。
【0050】
一般的に、3kHz〜150kHzが放電しやすく好ましく、さらに好ましくは3kHz〜20kHz、さらに好ましくは5kHz〜100kHzである。
【0051】
次にガスの流速について説明する。
【0052】
電極間を通過させる反応ガスの流速が遅いと、吐出口から活性種が吹き出しても、ワークに到達する前に電離効果が無くなってしまうし、吐出口から噴出したあとに拡散してしまい、十分な量の活性種をワークに吹き付けることもできない。そこで反応ガスの流速を2m/sec以上とすることにより、それらの問題を解決できる。
【0053】
つぎに、ワークの移動について説明する。
【0054】
いわゆる公知のベルトコンベア上にテーブルを設け、その上にワークを載置し、連続的に搬送し、作業ステーションで間欠的に停止し、所定の作業を行う技術が広く採用されている。そして本願発明にかかわる放電を用いた表面処理についてもこのような形態が採用できる。
【0055】
そこで効率的に活性種をワークに吹き付けるために、活性種の吐出口近傍を移動してワークが活性種に曝されるようにベルトコンベア・テーブル・作業ステーションなどの被処理体移動装置が配置されていることが好ましい。
【0056】
次に吐出口とワークとの間隙について説明する。
【0057】
ワークと活性種の吐出口との間の距離は、吐出口から噴射される活性種の流速により適宜決められるが、空気と接触する確率が高くなり、大流速が必要となるので、好ましくは0.01〜10cm、より好ましくは、0.1〜3cmである。
【0058】
次に反応ガスについて説明する。
【0059】
本発明の表面処理においては、対向した電極間である放電発生空間に供給する処理用ガスを例えば窒素(N2)ガス、水素(H2)ガス、アンモニア(NH3)ガス、フッ素ガス、水蒸気等から選択することにより、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、カルボニル基等の極性官能基ないし化学的活性基を付与する処理が任意に選択可能である。
【0060】
また、処理用ガスとして以下のような酸素元素含有化合物、窒素元素含有化合物を用いて、基材表面にカルボニル基、水酸基、アミノ基等の親水性官能基を形成させて表面エネルギーを高くし、親水性表面を得ることが出来る。特に親水化処理を行う場合には、OH基、COOH基を入れることがより好ましいため、アルコール、H2O、O2、CO2等を主に用いることが好ましい。
【0061】
逆に撥水化処理を行う場合にはフッ素含有化合物(フッ素、有機フルオロ化合物など)等を用いることが好ましい。また反応ガスとしては、酸素元素含有化合物、窒素元素含有化合物等を用いることもできる。
【0062】
上記酸素元素含有化合物としては、酸素、オゾン、水、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化窒素、二酸化窒素の他、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタナール、エタナール等のアルデヒド類等の酸素元素を含有する有機化合物等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。さらに、上記酸素元素含有化合物と、メタン、エタン等の炭化水素化合物のガスを混合して用いてもよい。また、上記酸素元素含有化合物に50体積%以下でフッ素元素含有化合物を添加することにより親水化が促進される。フッ素元素含有化合物としては上記例示と同様のものを用いればよい。
【0063】
上記窒素元素含有化合物としては、窒素、アンモニア、一酸化窒素、二酸化窒素等の窒素含有無機物、アミン系化合物、その他窒素含有有機物等が挙げられる。上記窒素元素含有化合物と水素とを混合して用いてもよい。
【0064】
炭化水素化合物としては、メタンガス、エタンガス、ブタンガス、プロパンガス、ペンタン、ヘキサンなどがあげられる。またエチレン系化合物や、アセチレンなどのアルキンなどもあげられる。
【0065】
また、反応ガス中の放電を生じる以外のガスとして、不活性ガスを用いることができる。不活性ガスとしては、アルゴン(Ar)ガス、ネオン(Ne)ガス、ヘリウム (He)ガス、クリプトン(Kr)ガス、キセノン(Xe)ガスなどがある。
【0066】
次に大気圧条件について説明する。
【0067】
本発明の表面処理方法を行う圧力条件としては特に限定されず、大気圧近傍の圧力下における処理が可能である。上記大気圧近傍の圧力下とは、100〜800Torrの圧力下を指す。圧力調整が容易で、装置が簡便になる700〜780Torrの範囲が好ましい。
【0068】
次に処理時間について説明する。
【0069】
本発明の放電処理方法に要する時間は、印加電圧の大きさ、上記被処理体の材質、処理ガスの種類、流量等により適宜決定されるが、例えば、上記処理ガスとして酸素ガスを使用してプラスチック表面を親水処理する場合、印加電圧の電界強度が0.1〜40kV/cmであれば、約1秒で親水化することができ、更に時間をかけて処理を行っても効果の著しい向上を得ることはできない。
【0070】
次にワークについて説明する。
【0071】
本発明の表面処理方法が適用される被処理体(ワーク)としては特に限定されず、例えば、プラスチック、金属、紙、木材、不飾布、ガラス、セラミック、建築材料等が挙げられる。これらはシート状でもよく、成形品でもよい。
【0072】
上記プラスチックとしては特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリスチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。これらがフィルム状である場合、これらが延伸されたものであってもよい。
【0073】
上記金属としては特に限定されず、例えば、ステンレス系鋼、炭素鋼、超鋼等の汎用合金;アルミニウム、銅、ニッケル等の単成分からなる金属等が挙げられる。
【0074】
またワークは、必要に応じて加熱されていてもよく、冷却されていてもよい。上記ワークの表面に疎水性、親水性等を付与する場合には、室温条件下で充分である。
【0075】
ワークは、公知の処理を施し、表面洗浄、表面活性化等がなされていてもよい。表面処理前に、予めワーク表面の除電処理を行い、更にゴミ除去を行うことは、表面処理の均一性が更に向上するので好ましい。除電手段としては、通常のブロアー式、接触式以外に、複数の正負イオン生成用除電電極と支持体を挟むようにイオン吸引電極を対向させた除電装置と、その後正負の直流式除電装置を設けた高密度除電システム(特開平7−263173号)を用いることも好ましい。またこのときの支持体帯電量は±500V以下が好ましい。また除電処理後のゴミ除去手段としては、非接触式のジェット風式減圧型ゴミ除去装置(特開平7−60211号)等が好ましいが、これに限定される訳ではない。
【0076】
以上説明してきた本発明の表面処理の際の活性種の発生は、Optical Emission Spectroscopy法(略してOES)、あるいはPhotoelectoron Spectroscopy法(光電子分光法)(略してPES)の測定により知ることが出来る。
【0077】
本発明の放電処理によりプラスティック支持体表面に発現する活性基については光電子分光法(ESCA)により知ることが出来る。例えばVG社製ESCALAB−200Rが使用できる。
【0078】
【実施例】
以下に述べる条件の装置を用いて実験を行った。
【0079】
10cm角1mm厚の一対のセラミック平板1、1’を間隙2mmで並行に設置、その外側に9cm角の金属の平板2、2’をセラミックの平板面の中央になるように張り付けた。さらに間隙内の両側を規制し、ガスが間隙内を並行流として通過できるようにした。前記の一対の金属板に電源5及びアース6によって電圧を印可することにより、この誘電体であるセラミックを介して間隙内に電界を生ぜしめることが可能になる。
【0080】
開口部の片側は図示しないガスの供給装置からガスが外部に漏れないようにガス供給管3を接続し、間隙空間内部にガスが導入でき、開口部のもう一方から排出できるようにした。この「開口部のもう一方」が吐出口4に相当する。
【0081】
この吐出口4から2mm離れた場所にワーク7としてコニカ社製PETフィルム(接触角76°)を設置し、所定の速度で走査できるようにした。
【0082】
この装置を用いて、ガスの供給装置により間隙内部に反応ガスが導入されるが、前記一対の金属板に電界をかけて放電を生ぜしめることにより、活性化されたガス(活性種)が吐出口から噴射してワークを処理する。
【0083】
処理時間は3秒、印加電圧は10kVで統一した。電源は、正弦波出力の場合は春日電機社製のコロナ放電用電源(MG50J2YS11)、パルス波出力の場合はハイデン研究所社製PHF−6Kを用いた。
【0084】
処理されたワークの接触角をFIBRO社製接触角測定器で測定して評価した。
【0085】
結果は以下の表1に示すとおりである。
【0086】
【表1】
Figure 0004341149
【0087】
表から判るとおり、比較例1では接触角が減少するものの、顕著な減少はしていない。
【0088】
参考例1、2は、加湿した空気を反応ガスとして用いて活性種を吐出させてワークに対して吹き付けたことにより、顕著な表面改質効果を示している。
【0089】
参考例3は、放電を生じさせる電源がパルス状の交流波形を有することにより、これまた顕著な表面改質効果を示している。
【0090】
比較例2、実施例4、5の関係は、吐出させてワークに吹き付ける活性種の流速を向上させることにより、表面改質効果が向上することを示している。
【0091】
参考例6ないし10はそれ以外の請求項に関する発明の効果を示している。すなわち、反応ガスとして空気以外にガスを添加することにより、接触角の変化をコントロールすることができる。特に参考例8に示されるように、接触角を増大させるといった表面処理も行うことが出来る。
【0092】
また、比較例1、および参考例7で得られたサンプルについてGEL溶液(10%)をワイヤーバーにて10μm塗布し、接着性をピール試験によって評価した。
【0093】
その結果、比較例1のサンプルは剥離したが、参考例7のサンプルは剥離せず、良好な接着性が得られた。
【0094】
【発明の効果】
以上本発明によれば、次のような効果を得ることが出来る。
【0095】
請求項1の発明によれば、表面処理効果を更に顕著に効率向上させることができる。また請求項2の発明ではこれに加えて連続的に搬送される個別のワークに対して、連続的に処理を施すことが可能になる。
【0096】
請求項の発明によれば、放電効果を強化することによって、放電発生効率を高めるので、処理のさらなる効率化が可能である。また請求項の発明ではこれに加えて連続的に搬送される個別のワークに対して、連続的に処理を施すことが可能になる。
【0097】
発明では、吐出させて吹き付ける活性種が高速であるため、ワークが電離状態の崩壊していないラジカルにさらされることとなるため、処理のさらなる高率化が可能となる。また請求項の発明ではこれに加えて連続的に搬送される個別のワークに対して、連続的に処理を施すことが可能になる。
【0098】
請求項の発明によれば、空気を反応ガスとして用いるため、低コストで親水化表面処理が可能となる。
【0099】
請求項の発明によれば、混合ガスを反応ガスとして用いるので、様々な表面処理に対応できる。
【0100】
請求項の発明によれば、接着性を向上できる。
【0101】
請求項の発明によれば、ワーク表面の疎水化処理が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の一形態を示す概略構成図
【図2】パルス波の例を示す図
【符号の説明】
1’ セラミック平板
2’ 金属の平板
3 ガス供給管
4 吐出口

Claims (8)

  1. 大気圧近傍下で放電を生ぜしめている電界中に反応ガスを通過させ、被処理物に対して前記ガスを吐出させる表面処理方法において、前記電界中を通過させる反応ガスに対して、前記電界中を通過させる前に0.005 [kg−水蒸気/kg−乾きガス]以上になるように加湿し、且つ電界中を通過させる反応ガスの平均流速(ガス導入量/放電部断面積)を2m/sec以上とする事を特徴とする表面処理方法。
  2. 搬送経路上に被処理物を載置し、前記搬送経路上を移動する前記被処理物に処理を行う表面処理方法において、大気圧近傍下で放電を生ぜしめている電界中に反応ガスを通過させ、前記処理物に対して前記ガスを吐出させ、前記電界中を通過させる反応ガスに対して、前記電界中を通過させる前に0.005 [kg−水蒸気/kg−乾きガス]以上になるように加湿し、且つ電界中を通過させる反応ガスの平均流速(ガス導入量/放電部断面積)を2m/sec以上とする事を特徴とする表面処理方法。
  3. 大気圧近傍下で放電を生ぜしめている電界中に反応ガスを通過させ、被処理物に対して前記ガスを吐出させる表面処理方法において、前記放電を生ぜしめている電界に対して電源を印加している発振電源の交流波形がパルス波形である事を特徴とする表面処理方法。
  4. 搬送経路上に被処理物を載置し、前記搬送経路上を移動する前記被処理物に処理を行う表面処理方法において、大気圧近傍下で放電を生ぜしめている電界中に反応ガスを通過させ、前記処理物に対して前記ガスを吐出させて表面処理を行い、前記放電を生ぜしめている電界に対して電源を印加している発振電源の交流波形がパルス波形である事を特徴とする表面処理方法。
  5. 前記電界中を通過させる反応ガスが空気であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項の表面処理方法。
  6. 前記電界中を通過させる反応ガスが、空気と別のガスとの混合ガスであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項の表面処理方法。
  7. 前記別のガスは、酸化化合物、窒化化合物のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項6の表面処理方法。
  8. 前記別のガスは、飽和又は不飽和炭化水素系のガスであることを特徴とする請求項6の表面処理方法。
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