JP3373114B2 - プラズマ表面処理装置及びプラズマ表面処理方法 - Google Patents

プラズマ表面処理装置及びプラズマ表面処理方法

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JP3373114B2 JP13359196A JP13359196A JP3373114B2 JP 3373114 B2 JP3373114 B2 JP 3373114B2 JP 13359196 A JP13359196 A JP 13359196A JP 13359196 A JP13359196 A JP 13359196A JP 3373114 B2 JP3373114 B2 JP 3373114B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマ表面処理
方法及びプラズマ表面処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】表面処理は、表面処理の対象となる基材
の表面に、官能基層、ラジカル層等を形成して表面エネ
ルギーを制御し、親水性、撥水性等を付与するものであ
る。表面処理により、基材の濡れ性、接着性等を改質す
ることが可能となり、また、電気特性、光学特性等に優
れた機能を有する膜を基材表面に形成することも可能で
ある。基材表面にラジカル層を形成する方法のひとつに
放電プラズマを使用する方法がある。
【0003】プラスチック等の固体の表面処理方法とし
ては、0.01〜100Torrの圧力でグロー放電プ
ラズマを発生させるドライプロセスによるものが広く知
られている。この方法では、圧力が100Torrを超
えると、放電が局所的になりアーク放電に移行し、耐熱
性の乏しいプラスチック基板への適用が困難になるの
で、0.01〜100Torrの低圧での処理が行われ
ている。
【0004】このような表面処理方法は、産業的にも広
く応用されているが、低圧での処理が必要とされるの
で、真空チャンバー、真空排気装置等が設置されなけれ
ばならず、表面処理装置は高価なものとなり、また、こ
の方法により大面積基板を処理する場合には、大容量の
真空容器、大出力の真空排気装置が必要になるために、
表面処理装置は、更に高価なものとなる。また、吸水性
の高いプラスチック基板の表面処理を行う場合には、真
空引きに長時間を要するので、処理品がコスト高になる
等の問題も有している。
【0005】特公平2−48626号公報には、細線型
電極を用いた薄膜形成方法が開示されている。この薄膜
形成方法は、ヘリウム等の不活性ガスと含ふっ素ガスと
モノマーガスとを混合し、複数の開孔を有する多孔管か
ら基板近傍のグロー放電プラズマ域に供給することによ
り、基板上に薄膜を形成するものである。
【0006】この薄膜製造方法は、大気圧でグロー放電
プラズマを発生させるので、装置や設備の低コスト化が
可能であり、大面積基板の処理も可能となる。しかし、
この薄膜製造方法では、処理容器内部に平板型電極又は
曲面状電極が併用されているので、この装置は、一層の
簡略化が可能である。しかしながら、現状では基材の大
きさや形状が制約されるので、任意の位置を表面処理す
ることは容易ではない。
【0007】特開平5−275193号公報には、固体
誘電体が配設された電極間に、希ガスと処理用ガスとか
らなる混合ガスを一方向への送流状態に保持し放電プラ
ズマを発生させる基材表面処理装置が開示されている。
しかし、この表面処理装置は、開放系の大気圧状態で放
電プラズマを発生させる装置であるので、外気の影響を
無くし、放電プラズマを基材表面に接触させて所望の表
面処理を行う場合には、高速で混合ガスを流す必要があ
り、大流量のガスを流し続けなければならず、満足のい
く表面処理装置とはいえない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、大気圧下、少量の処理用ガスを用いるプラズマ表面
処理装置及びプラズマ表面処理方法を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のプラズマ表面処
理装置はガス吹き出し口を備えた固体誘電体容器が配設
された一の電極、及び、当該ガス吹き出し口に対向して
設けられた他の電極を有し、当該ガス吹き出し口から処
理用ガスを連続的に排出させるようになされており、当
該一の電極と当該他の電極間に、kHz台の周波数の電
圧又はパルス化された電圧を印加することによって放電
プラズマを発生させるものであることを特徴とする。
【0010】また、本発明のプラズマ表面処理方法は、
上記プラズマ表面処理装置において、固体誘電体容器に
備えられているガス吹き出し口と、当該ガス吹き出し口
に対向して設けられた電極の間に基材を配置して放電プ
ラズマを発生させることを特徴とする。
【0011】図1は、本発明のプラズマ表面処理装置の
一例の断面を示す図である。図中、1は、電源を表す。
2は、上記一の電極を表す。3は、上記他の電極を表
す。4は、上記固体誘電体容器を表す。5は、基材を表
す。6は、固体誘電体容器に処理用ガスを導入するガス
導入口を表す。7は、上記ガス吹き出し口を表す。8
は、一の電極と他の電極を連結する治具を表す。
【0012】上記電源1としては、kHz台の周波数の
電圧を印加することができるものが好ましく、より好ま
しくは、1〜30kHzの低い周波数の電圧を印加する
ことができるものである。
【0013】大気圧下で安定した放電プラズマを発生さ
せるためには、パルス化された電圧を印加することが有
効である。図2にパルス電圧波形の例を示す。波形
(a)、(b)はインパルス型、波形(c)はパルス
型、波形(d)は変調型の波形である。図2には電圧印
加が正負の繰り返しであるものを挙げたが、正又は負の
いずれかの極性側に電圧を印加するタイプのパルスを用
いてもよい。図3に、このようなパルス電圧を印加する
際の電源のブロック図を示す。
【0014】本発明におけるパルス電圧波形は、ここで
挙げた波形に限定されないが、パルスの立ち上がり時間
が短いほどプラズマ発生の際のガスの電離が効率よく行
われる。好ましくは、立ち上がり時間が100μm以下
である。
【0015】さらに、パルス波形、立ち上がり時間、周
波数の異なるパルスを用いて変調を行ってもよい。この
ような変調は高速連続表面を行う上で有効である。ま
た、パルス周波数が高く、パルス幅は短い方が高速連続
表面に適している。
【0016】本発明においては、上記一の電極2と上記
他の電極3との間に電圧を印加して放電プラズマを発生
させる。印加電圧の大きさは、上記一の電極2の形状、
上記他の電極3の形状、上記一の電極2と上記他の電極
3との間の距離等により適宜決められるが、好ましく
は、電界強度0.1〜40kV/cmである。電界強度
が0.1kV/cm未満であると、放電プラズマが発生
し難くなり、40kV/cmを超えると、上記固体誘電
体容器4が絶縁破壊を起こし、アーク放電に移行する挙
動が現れる。上記電圧の印加において、直流を重畳して
もよい。直流電圧の大きさ、極性はパルス電圧、処理用
ガスの種類によって適宜決定される。
【0017】上記一の電極2、上記他の電極3の形状と
しては特に限定されず、図示の平板型形状の他に、円筒
型、球対型等の曲面型形状等が挙げられる。上記一の電
極2、上記他の電極3は、例えば、ステンレス、真鍮等
の多成分系の金属からなるものであってもよく、銅、ア
ルミニウム等の純金属からなるものであってもよい。
【0018】上記一の電極の中心部から上記固体誘電体
容器4の内部、上記ガス吹き出し口7の中心部を通り、
上記他の電極3に到る距離は、上記固体誘電体容器4の
肉厚や材質、上記基材6の肉厚や材質、印加電圧の大き
さ等により適宜決定されるが、好ましくは、0〜30m
mである。30mmを超えると、高電圧が必要になり、
放電プラズマがアーク放電に移行しやすくなり、表面処
理の均一性が損なわれる。
【0019】本発明で使用される固体誘電体容器4の形
状としては特に限定されず、例えば、方形、円筒状、球
状等が挙げられる。上記固体誘電体容器4に使用される
固体誘電体としては特に限定されず、例えば、ポリフル
オロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタ
クリレート、ポリエチレン等のプラスチック;二酸化け
い素、パイレックスガラス、酸化アルミニウム、二酸化
チタン等のガラス、セラミックス等が挙げられる。これ
らは、例えば、シート、フィルム等で成形されたもので
あってもよい。
【0020】上記固体誘電体容器4は、上記一の電極2
が配設されているものである。図4、5は、上記一の電
極2の配設の例を示す図である。上記固体誘電体容器4
が方形の場合には、上記ガス吹き出し口7が設けられて
いる面以外の面に上記一の電極2を配設してもよい。上
記一の電極2が配設される上記固体誘電体容器4の面の
肉厚としては、0.03〜30mmが好ましい。0.0
3mm未満であると、高電圧印加時に絶縁破壊が起こり
アーク放電が生じる。
【0021】上記固体誘電体容器4は、上記ガス導入口
6と上記ガス吹き出し口7とを備えるものである。図
6、7、8は、上記ガス吹き出し口7の例を示す図であ
る。上記ガス吹き出し口7の形状としては特に限定され
ず、例えば、スリット状のもの、多数の孔からなるも
の、上記固体誘電体容器が形成する突端状のもの等が挙
げられる。なお、本発明の固体誘電体容器は、図1に示
すガス導入口を備えた形態以外に、固体誘電体容器自身
がガス貯蔵部を有するものであってもよい。
【0022】図1の治具8は、上記他の電極3と上記ガ
ス吹き出し口7との間隔を自在に変更することができる
ものである。上記治具8により、例えば、上記基材5が
大面積シート状物である場合、上記他の電極3と上記ガ
ス吹き出し口7との間隔を一定に保持しながら連続的に
移動して表面処理することができ、上記基材5が成形体
である場合、上記他の電極3と上記ガス吹き出し口7と
の間隔を自在に変更して連続的な表面処理、部分的な表
面処理等をすることができる。
【0023】本発明の表面処理においては、上記放電プ
ラズマ発生空間に供給する処理用ガスの選択により任意
の処理が可能である。
【0024】上記処理用ガスとしてフッ素含有化合物ガ
スを用いることによって、基材表面にフッ素含有基を形
成させて表面エネルギーを低くし、撥水性表面を得るこ
とが出来る。
【0025】上記フッ素元素含有化合物としては、4フ
ッ化炭素(CF4 )、6フッ化炭素(C2 6 )、6フ
ッ化プロピレン(CF3 CFCF2 )、8フッ化シクロ
ブタン(C4 8 )等のフッ素−炭素化合物、1塩化3
フッ化炭素(CClF3 )等のハロゲン−炭素化合物、
6フッ化硫黄(SF6 )等のフッ素−硫黄化合物等が挙
げられる。安全上の観点から、有害ガスであるフッ化水
素を生成しない4フッ化炭素、6フッ化炭素、6フッ化
プロピレン、8フッ化シクロブタンを用いることが好ま
しい。
【0026】また、処理用ガスとして以下のような酸素
元素含有化合物、窒素元素含有化合物、硫黄元素含有化
合物を用いて、基材表面にカルボニル基、水酸基、アミ
ノ基等の親水性官能基を形成させて表面エネルギーを高
くし、親水性表面を得ることが出来る。
【0027】上記酸素元素含有化合物としては、酸素、
オゾン、水、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化窒素、二
酸化窒素の他、メタノール、エタノール等のアルコール
類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタ
ナール、エタナール等のアルデヒド類等の酸素元素を含
有する有機化合物等が挙げられる。これらは単独でも2
種以上を混合して用いてもよい。さらに、上記酸素元素
含有化合物と、メタン、エタン等の炭化水素化合物のガ
スを混合して用いてもよい。また、上記酸素元素含有化
合物に50体積%以下でフッ素元素含有化合物を添加す
ることにより親水化が促進される。フッ素元素含有化合
物としては上記例示と同様のものを用いればよい。
【0028】上記窒素元素含有化合物としては、窒素、
アンモニア等が挙げられる。上記窒素元素含有化合物と
水素を混合して用いてもよい。
【0029】上記硫黄元素含有化合物としては、二酸化
硫黄、三酸化硫黄等が挙げられる。また、硫酸を気化さ
せて用いることも出来る。これらは単独でも2種以上を
混合して用いてもよい。
【0030】また、分子内に親水性基と重合性不飽和結
合を有するモノマーの雰囲気下で処理を行うことによ
り、親水性の重合膜を堆積させることも出来る。上記親
水性基としては、水酸基、スルホン酸基、スルホン酸塩
基、1級若しくは2級又は3級アミノ基、アミド基、4
級アンモニウム塩基、カルボン酸基、カルボン酸塩基等
の親水性基等が挙げられる。また、ポリエチレングリコ
ール鎖を有するモノマーを用いても同様に親水性重合膜
を堆積が可能である。
【0031】上記モノマーとしては、アクリル酸、メタ
クリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N
−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸ナトリウム、メ
タクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリ
ル酸カリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリル
アルコール、アリルアミン、ポリエチレングリコールジ
メタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジアク
リル酸エステル等が挙げられる。これらのモノマーは、
単独または混合して用いられる。
【0032】上記親水性モノマーは一般に固体であるの
で、溶媒に溶解させたものを減圧等の手段により気化さ
せて用いる。上記溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、アセトン等の有機溶媒、水、及び、これらの混合物
等が挙げられる。
【0033】さらに、Si、Ti、Sn等の金属の金属
−水素化合物、金属−ハロゲン化合物、金属アルコラー
ト等の処理用ガスを用いて、SiO2 、TiO2 、Sn
2等の金属酸化物薄膜を形成させ、基材表面に電気
的、光学的機能を与えることが出来る。
【0034】経済性及び安全性の観点から、上記処理用
ガスが不活性ガスによって希釈された雰囲気中で処理を
行うことが好ましい。不活性ガスとしては、ヘリウム、
ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガス、窒素気体等が
挙げられる。これらは単独でも2種以上を混合して用い
てもよい。ヘリウムは準安定状態の寿命が長いため、上
記処理用ガスを励起するのに有利である。
【0035】一方、工業生産プロセスにおいてはヘリウ
ムより安価なアルゴン、窒素等を用いる方が好ましい。
そこで、上述したように、パルス化された電界を印加す
る方法で処理を行うと良い。パルス化された電界によれ
ば、アルゴン、窒素等の雰囲気下においても、高いレベ
ルで安定した処理を実現できる。
【0036】従来、大気圧近傍の圧力下においては、ヘ
リウムの存在下の処理が行われてきたが、上記パルス化
された電界を印加する方法によれば、ヘリウムに比較し
て安価なアルゴン、窒素雰囲気中における安定した処理
が可能であり、工業上大きな優位性を有する。
【0037】上記のように、処理用ガスを不活性ガスに
よって希釈して用いる場合、処理用ガスと不活性ガスと
の混合比は、使用するガスの種類により適宜決定され
る。パルス化された電界を印加する場合は、任意の混合
比の雰囲気下で処理が可能であるので、経済性及び安全
性の観点から混合比を決定すればよい。パルス化された
電界によらない場合は、処理用ガスの濃度が高すぎると
放電プラズマが発生し難くなるため、上記処理用ガスの
濃度が、上記処理用ガスと不活性ガスの混合ガス中の
0.01〜10体積%であることが好ましく、より好ま
しくは0.1〜5体積%である。
【0038】本発明においては、上記処理用ガスを、上
記固体誘電体容器4に備えられたガス吹き出し口7から
連続的に排出させる。図1の装置の場合は、処理用ガス
と不活性ガスがそれぞれ、図中に示していない一般のガ
ス流量制御器を介して混合され、ガス導入口6から上記
固体誘電体容器4内に供給され、これらの混合ガスがガ
ス吹き出し口7から排出されるようになされている。
【0039】上記処理用ガス(不活性ガスで希釈して用
いる場合は、処理用ガスと不活性ガスの混合ガスを指
す。以下同じ。)の供給量及び吹き出し流速は、上記ガ
ス吹き出し口7の断面積、上記基材5と上記ガス吹き出
し口7との間の距離等により適宜決定される。例えば、
上記ガス吹き出し口7の断面積が100mm2 である場
合には、上記処理用ガスの供給量としては、流量5SL
Mが好ましく、上記処理用ガスの吹き出し流速として
は、流速830mm/secが好ましい。上記処理用ガ
スの供給量を増加させる場合には、それに比例して上記
処理用ガスの吹き出し流速が増加し、表面処理に要する
時間が短縮される。
【0040】本発明2のプラズマ表面処理方法は、本発
明1のプラズマ表面処理装置のガス吹き出し口7と他の
電極3との間に基材を位置させて、上記基材5の上記ガ
ス吹き出し口7に対向する面を表面処理するプラズマ表
面処理方法である。上記基材5と上記ガス吹き出し口7
との間の距離は特に限定されないが、長すぎる場合に
は、空気と接触する確率が高くなるので、より短いこと
が好ましい。
【0041】本発明2のプラズマ表面処理方法を行う圧
力条件としては特に限定されず、大気圧近傍の圧力下に
おける処理が可能である。上記大気圧近傍の圧力下と
は、100〜800Torrの圧力下を指す。圧力調整
が容易で、装置が簡便になる700〜780Torrの
範囲が好ましい。
【0042】本発明2のプラズマ表面処理方法が適用さ
れる基材としては特に限定されず、例えば、プラスチッ
ク、金属、紙、木材、不飾布、ガラス、セラミック、建
築材料等が挙げられる。これらはシート状でもよく、成
形品でもよい。
【0043】上記プラスチックとしては特に限定され
ず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリ
プロピレン等のポリオレフィン;ポリスチレン、ポリア
ミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアクリ
ロニトリル等が挙げられる。これらがフィルム状である
場合、これらは延伸されていてもよく、未延伸であって
もよい。
【0044】上記金属としては特に限定されず、例え
ば、ステンレス系鋼、炭素鋼、超鋼等の汎用合金;アル
ミニウム、銅、ニッケル等の単成分からなる金属等が挙
げられる。
【0045】上記基材の厚みは、用途に応じて適宜決定
されるが、非導電性材料の場合は30mm以下が好まし
い。30mmを超えると、放電プラズマが発生し難くな
る。上記基材としては、公知の処理を施し、表面洗浄、
表面活性化等がなされているものであってもよい。上記
基材の形状は、用途に応じて適宜決定される。
【0046】本発明2のプラズマ表面処理方法において
は、必要に応じて上記基材を加熱してもよく、上記基材
を冷却してもよい。上記基材の表面に撥水性、親水性等
を付与する場合には、室温条件下で充分である。
【0047】本発明2のプラズマ表面処理方法に要する
時間は、上記基材、上記処理用ガス流速、印加電圧の大
きさ等により適宜決定されるが、例えば、上記処理用ガ
スとしてフッ化炭素ガスを使用してプラスチック表面を
撥水処理する場合、印加電圧の電界強度が0.1〜40
kV/cmであれば、約1秒で撥水化することができ、
更に時間をかけて表面処理を行っても効果の著しい向上
を得ることはできない。
【0048】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0049】実施例1 図4に示したガス吹き出し口を備えた図1のプラズマ表
面処理装置において、110mm(W)×5mm(D)
×50mm(H)の固体誘電体容器4は、2mm肉厚の
ポリメタクリレート製でガス導入口6、横100mm×
縦1mmのスリット状のガス吹き出し口7が設けられ、
ガス吹き出し口7近傍に100×30×1mmの銅製の
電極が配設されている。また、もう一方の100×30
×1mmの銅製電極が基材5の裏面に10mmの距離を
維持し配設されている。
【0050】厚み50μmのポリエチレンテレフタレー
トフィルム(東レ社製、ルミラーT50)基材5に以下
の条件で表面処理を行った。 不活性ガス:ヘリウム、流量4.95SLM 処理用ガス:6フッ化プロピレン、流量50SCCM 印加電圧:15kHz、5kV 処理時間:5秒
【0051】処理後の基材表面の静的接触角を2μLの
水滴を液滴し、半自動接触角計(協和界面科学社製、C
A−X150)で測定した。その結果、放電プラズマが
接触した横110mm×縦5mmの長方形領域で接触角
100〜105度(処理前の基材接触角72度)を示
し、撥水化されていることがわかった。
【0052】実施例2 処理用ガスとして25%4フッ化炭素+75%酸素混合
ガス流量75SCCMを用いたこと以外は実施例1と同
様にして行った。処理後の基材表面の静的接触角を測定
した。その結果、放電プラズマが接触した横110mm
×縦5mmの長方形領域で接触角30〜55度(処理前
の基材の接触角72度)を示し、親水化されていること
がわかった。
【0053】実施例3 一の電極2とガス導入口6、ガス吹き出し口7が配設さ
れた固体誘電体容器4と他の電極3及び基材5との位置
関係(電極間距離10mm、他の電極3と基材5との距
離2mm)が保持できるようコンピューター制御可能な
冶具8に連結された実施例1のプラズマ表面処理装置
に、2mm厚の塩化ビニル板により製した外寸100×
100×100mmの角筒体基材5を装着し、プラズマ
表面処理装置を移動しながら実施例2の条件で角筒体基
材5の外面の表面処理を行った。角筒体基材5の外面の
接触角を5cm間隔で測定した結果、接触角95〜10
5度(処理前の基材接触角81度)を示し、撥水処理さ
れていることがわかった。
【0054】実施例4 以下に示す処理条件の通り、処理用ガスと印加電圧を代
えたこと以外は実施例1と同様にして、パルス化された
電界を印加する方法により、表面処理を行った。 不活性ガス:アルゴン、流量4900SCCM 処理用ガス:6フッ化プロピレン、流量50SCCM 印加電圧:パルス波形(a) 周波数6.8kHz、波高値7.2kV、パルス幅21
0μs 処理時間:5秒
【0055】処理後の基材表面の静的接触角を測定した
結果、放電プラズマが接触した横110mm×縦5mm
の長方形領域で接触角110〜115度(処理前の基材
接触角72度)を示し、撥水化されていることがわかっ
た。
【0056】実施例5 以下に示す処理条件の通り、処理用ガスと印加電圧を代
えたこと以外は実施例1と同様にして、パルス化された
電界を印加する方法により、表面処理を行った。 不活性ガス:アルゴン、流量4994SCCM 処理用ガス:窒素、流量6SCCM 印加電圧:パルス波形(d) 周波数1.0kHz、波高値7.1kV、パルス幅80
0μs 処理時間:5秒
【0057】処理後の基材表面の静的接触角を測定した
結果、放電プラズマが接触した横110mm×縦5mm
の長方形領域で接触角20〜30度(処理前の基材接触
角72度)を示し、親水化されていることがわかった。
【0058】実施例6 処理用ガスとして25%4フッ化炭素+75%酸素混合
ガス流量100SCCMを用いたこと以外は実施例4と
同様にして、パルス化された電界を印加する方法によ
り、表面処理を行った。処理後の基材表面の静的接触角
を測定した。その結果、放電プラズマが接触した横11
0mm×縦5mmの長方形領域で接触角20〜35度
(処理前の基材接触角72度)を示し、親水化されてい
ることがわかった。
【0059】実施例7 一の電極2とガス導入口6、ガス吹き出し口7が配設さ
れた固体誘電体容器4と他の電極3及び基材5との位置
関係(電極間距離10mm、他の電極3と基材5との距
離2mm)が保持できるようコンピューター制御可能な
冶具8に連結された実施例1のプラズマ表面処理装置
に、2mmの塩化ビニル製の外寸100×100×10
0mmの角筒体基材5を装着し、プラズマ表面処理装置
を移動しながら実施例4の条件で角筒体基材5の外面の
表面処理を行った。角筒体基材5の外面の接触角を5c
m間隔で測定した結果、接触角110〜115度(処理
前の基材接触角81度)を示し、撥水処理されているこ
とがわかった。
【0060】比較例1 実施例1の容器で基材裏面側に配設した他の電極3を、
一の電極2に対向する容器面に配設したこと以外は、実
施例1と同様にして行った。処理後の基材表面の静的接
触角を測定した結果、横80mm×縦3mmの長方形領
域で表面濡れ性が変化していることがわかった。しか
し、接触角は50〜60度で親水化されており、撥水処
理するには、流速が足りないことが予想された。そこ
で、不活性ガスと処理用ガスの総流量を徐々に増加さ
せ、横110mm×縦5mmの長方形領域で接触角10
0度以上の撥水性に改良可能なガス総流量を調べたとこ
ろ、20SLM(ヘリウム19.8SLM、6フッ化プ
ロピレン200SCCM)必要であった。
【0061】
【発明の効果】本発明のプラズマ表面処理装置は上述の
構成よりなるので、大気圧下、例えば、シート状物、成
形体等の連続的な表面処理、部分的な表面処理等を少量
の処理用ガスを用いて均一に行うことができ、また、表
面処理工程が容易にインライン化できるので、シート状
物表面や成形体表面の接着性、印刷性を容易に改質する
ことができ、防汚性、導電性を付与して高機能化するこ
とも可能である。さらに、パルス化された電界を印加し
て放電プラズマを発生させる方法によれば、高度なレベ
ルで安定した処理を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のプラズマ表面処理装置の一例の断面
【図2】 パルス化された電界の例を示す電圧波形図
【図3】 パルス化された電界を発生させる電源のブロ
ック図
【図4】 本発明のプラズマ表面処理装置の固体誘電体
と一の電極の配設図1
【図5】 本発明のプラズマ表面処理装置の固体誘電体
と一の電極の配設図2
【図6】 本発明のプラズマ表面処理装置のガス吹き出
し口の図1
【図7】 本発明のプラズマ表面処理装置のガス吹き出
し口の図2
【図8】 本発明のプラズマ表面処理装置のガス吹き出
し口の図3
【符号の説明】
1 電源 2 一の電極 3 他の電極 4 固体誘電体容器 5 基材 6 ガス導入口 7 ガス吹き出し口 8 冶具
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 16/00 - 16/56 C08J 7/00 306 C01L 21/205 H05H 1/46

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガス吹き出し口を備えた固体誘電体容器が
    配設された一の電極、及び、当該ガス吹き出し口に対向
    して設けられた他の電極を有し、当該ガス吹き出し口か
    ら処理用ガスを連続的に排出させるようになされてお
    り、当該一の電極と当該他の電極間に、kHz台の周波
    数の電圧又はパルス化された電圧を印加することによっ
    て放電プラズマを発生させるものであることを特徴とす
    るプラズマ表面処理装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の装置において、固体誘電
    体容器に備えられているガス吹き出し口と、当該ガス吹
    き出し口に対向して設けられた電極の間に基材を配置し
    て放電プラズマを発生させることを特徴とする、プラズ
    マ表面処理方法。
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