JP2010070809A - 表面処理Zn系めっき鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温多湿下において塗膜を十分に密着させるとともに、耐食性に優れた表面処理Zn系めっき鋼板を提供する。
【解決手段】(1)水蒸気濃度が2.0g/m3以上であって大気圧にある雰囲気において、プラズマ水蒸気を発生させる工程、および(2)前記プラズマ水蒸気をZn系めっき鋼板表面に接触させる工程を経て、表面処理Zn系めっき鋼板を製造する。
【選択図】なし
【解決手段】(1)水蒸気濃度が2.0g/m3以上であって大気圧にある雰囲気において、プラズマ水蒸気を発生させる工程、および(2)前記プラズマ水蒸気をZn系めっき鋼板表面に接触させる工程を経て、表面処理Zn系めっき鋼板を製造する。
【選択図】なし
Description
本発明は、表面処理Zn系めっき鋼板の製造方法に関する。
Zn系めっき鋼板は、機能性を付与するためや、外観を重視する用途向けには塗装が施されて使用されている。塗装には水性の塗料が使用されることが多い。しかし、Zn系めっき鋼板表面に存在する金属酸化物(酸化皮膜)により、塗料がはじかれるという、いわゆるハジキが発生し、塗料を均一に塗布できないという問題があった。塗料が均一に塗布されない塗装Zn系めっき鋼板は、塗膜の密着性が不十分となり、所期の性能が発揮されない。
このような問題を解決するために、鋼板表面の塗料に対する濡れ性を向上させる方法が知られている。例えば、特許文献1には、酸性水溶液を用いてステンレス鋼板表面の酸化皮膜をエッチングし、金属を一定比率で露出させて濡れ性を向上させる技術が提案されている。
また、アルミニウムを含む製品の表面の有機塗料に対する濡れ性を改善するために、コロナ放電で製品の表面を処理する技術が提案されている(特許文献2)。
特許第3666626号
特公昭62−10705号公報
発明者らは、予備的に、特許文献1、2に開示された方法を、Zn系めっき鋼板に適用する検討を行った。その結果、単に鋼板の濡れ性を向上させるのでは、高温多湿の過酷な環境下において塗膜を十分に密着させることは困難であることを見出した。
また、特許文献1、2に開示された技術では、鋼板自身の耐食性が低下することも明らかになった。この原因は、特許文献1に開示された技術では、鋼板の酸化皮膜がエッチングされるためと推察された。
特許文献2には、表面濡れ性の向上機構は一切開示されていないが、一般に、コロナ放電による金属の表面処理においては、1)プラズマにより、鋼板表面の酸化皮膜をエッチングして除去する、2)プラズマにより、鋼板表面に吸着されている汚染物質(炭化水素等)を分解除去することが知られている。よって、特許文献2の技術も、鋼板の酸化皮膜がエッチングされるために、耐食性が低下したと推察された。特に、一般にコロナ放電は、減圧下で発生させることが多く、その際に生じたプラズマは、鋼板にかなりのエネルギーで衝突させられるため、酸化皮膜のエッチングが顕著になると推察された。
特許文献2には、表面濡れ性の向上機構は一切開示されていないが、一般に、コロナ放電による金属の表面処理においては、1)プラズマにより、鋼板表面の酸化皮膜をエッチングして除去する、2)プラズマにより、鋼板表面に吸着されている汚染物質(炭化水素等)を分解除去することが知られている。よって、特許文献2の技術も、鋼板の酸化皮膜がエッチングされるために、耐食性が低下したと推察された。特に、一般にコロナ放電は、減圧下で発生させることが多く、その際に生じたプラズマは、鋼板にかなりのエネルギーで衝突させられるため、酸化皮膜のエッチングが顕著になると推察された。
すなわち、耐食性に優れ、かつ塗装鋼板とされたときに高温多湿の過酷な環境下において塗膜と十分に密着しうる表面処理Zn系めっき鋼板が望まれていたが、これまで満足の行くものは存在しなかった。本発明は、かかる事情に鑑み、耐食性に優れ、かつ塗装鋼板とされたときに高温多湿の過酷な環境下において塗膜と十分に密着しうる表面処理Zn系めっき鋼板を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の水蒸気濃度であって大気圧下にある雰囲気で、水蒸気プラズマを発生させ、この水蒸気プラズマをZn系めっき鋼板表面に接触させることにより、前記課題を解決できることを見出した。すなわち前記課題は、以下の本発明により解決される。
[1](1)水蒸気濃度が2.0g/m3以上であって大気圧にある雰囲気において、プラズマ水蒸気を発生させる工程、および
(2)前記プラズマ水蒸気をZn系めっき鋼板表面に接触させる工程、を含む表面処理Zn系めっき鋼板の製造方法。
[2]前記(1)の工程は、前記雰囲気に、対向するように2つの電極を配置し、前記電極の間に電圧を印加してコロナ放電を生じさせて、前記電極間にプラズマ水蒸気を発生させる工程であり、
前記(2)の工程は、前記工程で得たプラズマ水蒸気を空気で押し出して、Zn系めっき鋼板表面に接触させる工程である、[1]に記載の製造方法。
[3]前記(1)の工程は、前記雰囲気に、前記Zn系めっき鋼板と対向するように絶縁体電極を配置し、前記Zn系めっき鋼板と前記電極の間に電圧を印加してコロナ放電を生じさせて、プラズマ水蒸気を発生させる工程である、[1]に記載の製造方法。
[4]前記表面処理Zn系めっき鋼板の酸化皮膜の厚みDtと、前記表面処理される前のZn系めっき鋼板の酸化皮膜の厚みDとの比Dt/Dは、1.0以上であり、
前記表面処理Zn系めっき鋼板の表面から4nmの厚み領域における金属水酸化物のO1sピーク強度POHと、金属酸化物のO1sピーク強度POとの比POH/POは、1.2以上である、[1]〜[3]いずれかに記載の製造方法。
[5]前記表面処理Zn系めっき鋼板の表面粗さRtと、前記表面処理される前のZn系めっき鋼板の表面粗さRとの比Rt/Rは、1.0〜1.1である、[1]〜[4]いずれかに記載の製造方法。
[6]前記[1]〜[5]いずれかに記載の方法で得られた表面処理Zn系めっき鋼板の表面に、さらに無機系皮膜を有する、表面処理Zn系めっき鋼板。
[7]前記無機系皮膜は、バルブメタルの酸化物、バルブメタルの酸素酸塩、バルブメタルの水酸化物、バルブメタルのリン酸塩、およびバルブメタルのフッ化物からなる群から選ばれる1種以上の化合物を含む、[6]に記載の表面処理Zn系めっき鋼板。
[8]前記[1]〜[5]いずれかに記載の方法で得られた表面処理Zn系めっき鋼板の表面に、さらに有機樹脂系皮膜を有する、表面処理Zn系めっき鋼板。
[9]前記有機樹脂系皮膜は、潤滑剤を含む、[8]に記載の表面処理Zn系めっき鋼板。
[10]前記有機樹脂系皮膜は、バルブメタルの酸化物、バルブメタルの酸素酸塩、バルブメタルの水酸化物、バルブメタルのリン酸塩およびバルブメタルのフッ化物からなる群から選ばれる1種以上の化合物を含む、[8]または[9]に記載の表面処理Zn系めっき鋼板。
[11]前記バルブメタルは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Si、およびAlからなる群から選ばれる1種以上の金属である、[7]または[10]に記載の表面処理Zn系めっき鋼板。
(2)前記プラズマ水蒸気をZn系めっき鋼板表面に接触させる工程、を含む表面処理Zn系めっき鋼板の製造方法。
[2]前記(1)の工程は、前記雰囲気に、対向するように2つの電極を配置し、前記電極の間に電圧を印加してコロナ放電を生じさせて、前記電極間にプラズマ水蒸気を発生させる工程であり、
前記(2)の工程は、前記工程で得たプラズマ水蒸気を空気で押し出して、Zn系めっき鋼板表面に接触させる工程である、[1]に記載の製造方法。
[3]前記(1)の工程は、前記雰囲気に、前記Zn系めっき鋼板と対向するように絶縁体電極を配置し、前記Zn系めっき鋼板と前記電極の間に電圧を印加してコロナ放電を生じさせて、プラズマ水蒸気を発生させる工程である、[1]に記載の製造方法。
[4]前記表面処理Zn系めっき鋼板の酸化皮膜の厚みDtと、前記表面処理される前のZn系めっき鋼板の酸化皮膜の厚みDとの比Dt/Dは、1.0以上であり、
前記表面処理Zn系めっき鋼板の表面から4nmの厚み領域における金属水酸化物のO1sピーク強度POHと、金属酸化物のO1sピーク強度POとの比POH/POは、1.2以上である、[1]〜[3]いずれかに記載の製造方法。
[5]前記表面処理Zn系めっき鋼板の表面粗さRtと、前記表面処理される前のZn系めっき鋼板の表面粗さRとの比Rt/Rは、1.0〜1.1である、[1]〜[4]いずれかに記載の製造方法。
[6]前記[1]〜[5]いずれかに記載の方法で得られた表面処理Zn系めっき鋼板の表面に、さらに無機系皮膜を有する、表面処理Zn系めっき鋼板。
[7]前記無機系皮膜は、バルブメタルの酸化物、バルブメタルの酸素酸塩、バルブメタルの水酸化物、バルブメタルのリン酸塩、およびバルブメタルのフッ化物からなる群から選ばれる1種以上の化合物を含む、[6]に記載の表面処理Zn系めっき鋼板。
[8]前記[1]〜[5]いずれかに記載の方法で得られた表面処理Zn系めっき鋼板の表面に、さらに有機樹脂系皮膜を有する、表面処理Zn系めっき鋼板。
[9]前記有機樹脂系皮膜は、潤滑剤を含む、[8]に記載の表面処理Zn系めっき鋼板。
[10]前記有機樹脂系皮膜は、バルブメタルの酸化物、バルブメタルの酸素酸塩、バルブメタルの水酸化物、バルブメタルのリン酸塩およびバルブメタルのフッ化物からなる群から選ばれる1種以上の化合物を含む、[8]または[9]に記載の表面処理Zn系めっき鋼板。
[11]前記バルブメタルは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Si、およびAlからなる群から選ばれる1種以上の金属である、[7]または[10]に記載の表面処理Zn系めっき鋼板。
本発明により、耐食性に優れ、かつ塗装鋼板とされたときに高温多湿の過酷な環境下において塗膜と十分に密着しうる表面処理Zn系めっき鋼板を提供できる。
1.表面処理Zn系めっき鋼板の製造方法
本発明の表面処理Zn系めっき鋼板の製造方法は、
(1)水蒸気濃度が2.0g/m3以上であって大気圧にある雰囲気において、プラズマ水蒸気を発生させる工程、および
(2)前記プラズマ水蒸気をZn系めっき鋼板表面に接触させる工程、を含むことを特徴とする。
本発明の表面処理Zn系めっき鋼板の製造方法は、
(1)水蒸気濃度が2.0g/m3以上であって大気圧にある雰囲気において、プラズマ水蒸気を発生させる工程、および
(2)前記プラズマ水蒸気をZn系めっき鋼板表面に接触させる工程、を含むことを特徴とする。
(1)の工程
この工程では、特定の雰囲気においてプラズマ水蒸気を発生させる。プラズマ水蒸気とは、プラズマの状態にある水蒸気であり、つまり、電離した状態にあるが全体としては中性の状態にある水蒸気をいう。
プラズマ水蒸気を発生させる手段は特に限定されない。しかしながら、以下の方法で発生させることが好ましい。
1)特定の雰囲気において2つの電極を準備して、その間に電圧を印加してプラズマ水蒸気を発生させる方法。
2)特定の雰囲気において、Zn系めっき鋼板と対向するように絶縁体電極を配置し、前記Zn系めっき鋼板と前記電極の間に電圧を印加して水蒸気プラズマを発生させる方法。
この工程では、特定の雰囲気においてプラズマ水蒸気を発生させる。プラズマ水蒸気とは、プラズマの状態にある水蒸気であり、つまり、電離した状態にあるが全体としては中性の状態にある水蒸気をいう。
プラズマ水蒸気を発生させる手段は特に限定されない。しかしながら、以下の方法で発生させることが好ましい。
1)特定の雰囲気において2つの電極を準備して、その間に電圧を印加してプラズマ水蒸気を発生させる方法。
2)特定の雰囲気において、Zn系めっき鋼板と対向するように絶縁体電極を配置し、前記Zn系めっき鋼板と前記電極の間に電圧を印加して水蒸気プラズマを発生させる方法。
1)の方法は電極間に、2)の方法は絶縁体電極とZn系めっき鋼板の間に、放電を生じさせて、水蒸気プラズマを得る方法である。ここで生じる放電は、コロナ放電やアーク放電が好ましい。コロナ放電とは、電極間の電場が平等でないときに、表面の電場の大きいところに部分的絶縁破壊が起こって生じる放電をいう。アーク放電とは、大気中の放電において、電極間電圧の上昇に伴い、コロナ放電から、火花放電という過渡的状況を経ておこる放電をいう。本発明においては、コロナ放電がより好ましい。
本発明のプラズマ水蒸気を発生させる特定の雰囲気とは、水蒸気濃度が2.0g/cm3以上であって、大気圧にある雰囲気である。水蒸気濃度が前記値未満であると、十分な水蒸気プラズマが得られない。水蒸気濃度は、鏡面冷却式露点計により測定できる。水蒸気濃度は、前記の範囲にあれば特に限定されないが、その上限値は、好ましくは50g/cm3である。また、水蒸気濃度は、23〜30g/cm3がより好ましい。
この雰囲気においてコロナ放電を生じさせるには、電極間、または絶縁電極とZn系めっき鋼板の距離が1〜50mm、電極電圧が1〜50kV、周波数1〜60kHzであることが好ましい。本発明において記号「〜」は、その両端の数値を含む。
前記電極の形状は特に限定されないが、1)の方法の場合、電極形状は特に限定されないが、電極の材質はステンレスやアルミなどの金属性が好ましい。2)の方法の場合は、電極形状はナイフエッジ電極、プレート電極、ロール電極、ワイヤー電極などが好ましい。
また、1)、2)の場合において、電極の材質が非導電性のセラミックス、クオーツなどの場合は誘電体を被覆する必要はないが、ステンレスやアルミなどの金属製電極の場合は、誘電体を電極に被覆すると、コロナがアーク状になるのを防止できるので好ましい。被覆される誘電体の材質は、耐熱性、耐高電圧性、耐オゾン性、高誘電率を考慮すると、セラミック、シリコンゴム、EPTゴム、ハイパロンゴムなどが好ましい。
また、1)、2)の場合において、電極の材質が非導電性のセラミックス、クオーツなどの場合は誘電体を被覆する必要はないが、ステンレスやアルミなどの金属製電極の場合は、誘電体を電極に被覆すると、コロナがアーク状になるのを防止できるので好ましい。被覆される誘電体の材質は、耐熱性、耐高電圧性、耐オゾン性、高誘電率を考慮すると、セラミック、シリコンゴム、EPTゴム、ハイパロンゴムなどが好ましい。
(2)の工程
この工程は、前記工程で得たプラズマ水蒸気をZn系めっき鋼板表面に接触させる。
Zn系めっき鋼板とは、Znを主成分とするめっき層を有する鋼板である。本発明においては、下地鋼が、低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼、または合金鋼等であるものが使用される。なかでも、良好なプレス成形性が必要とされる用途では、低炭素Ti添加鋼、低炭素Nb添加鋼等を下地鋼とする深絞り用鋼板が好ましい。
めっき層は電気めっき法、溶融めっき法、蒸着めっき法のいずれで形成されていてもよい。Zn系めっき鋼板の具体例には、Zn−Mg、Zn−Al、Zn−Ni、Zn−Al−Mgめっき層を有する鋼板が含まれる。また、Zn系めっき鋼板として、溶融めっきした後で合金化処理を施した合金化Znめっき鋼板も使用できる。
この工程は、前記工程で得たプラズマ水蒸気をZn系めっき鋼板表面に接触させる。
Zn系めっき鋼板とは、Znを主成分とするめっき層を有する鋼板である。本発明においては、下地鋼が、低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼、または合金鋼等であるものが使用される。なかでも、良好なプレス成形性が必要とされる用途では、低炭素Ti添加鋼、低炭素Nb添加鋼等を下地鋼とする深絞り用鋼板が好ましい。
めっき層は電気めっき法、溶融めっき法、蒸着めっき法のいずれで形成されていてもよい。Zn系めっき鋼板の具体例には、Zn−Mg、Zn−Al、Zn−Ni、Zn−Al−Mgめっき層を有する鋼板が含まれる。また、Zn系めっき鋼板として、溶融めっきした後で合金化処理を施した合金化Znめっき鋼板も使用できる。
溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板は、Al:2.5〜15質量%、Mg:2.0〜4.0質量%含み残部が実質的にZnの合金めっき浴を用いた溶融めっき法で製造される。また、外観および耐食性に悪影響を与えるZn11Mg2相の生成・成長を抑制するためにTi、B、Ti−B合金またはTi、B含有化合物をめっき浴に添加することが好ましい。Ti等のめっき浴に対する添加量は、Ti:0.001〜0.1質量%、B:0.001〜0.045質量%の範囲で定めることが好ましい。過剰なTi、Bの添加はめっき層に析出物を成長させる原因となる。さらに、加工時の素地鋼とめっき層との密着性を向上させるため、めっき層と素地鋼との界面におけるAl−Fe合金層の成長を抑制する作用のあるSiを0.005〜0.5質量%の範囲で添加してもよい。
Zn系めっき鋼板は、以下単に「鋼板」とも呼ばれる。
Zn系めっき鋼板は、以下単に「鋼板」とも呼ばれる。
鋼板に水蒸気プラズマを接触させる方法は特に限定されない。例えば、前記1)の方法で水蒸気プラズマを発生させた場合は、空気等のガスで水蒸気プラズマを押し出して、Zn系めっき鋼板に接触させることができる。また、前記2)の方法で水蒸気プラズマを発生させた場合は、特にガス等で押し出さなくても水蒸気プラズマを鋼板に接触させることができる。
この工程により、鋼板表面の酸化皮膜はほとんどエッチングされることなく鋼板表面に金属水酸化物が形成される。鋼板表面の酸化皮膜がほとんどエッチングされないのは、大気圧で水蒸気プラズマを鋼板表面へ接触できるので、水蒸気プラズマが高いエネルギーを持って、鋼板表面へ衝突することを抑制できるためと考えられる。
酸化皮膜は、表面処理される前のZn系めっき鋼板の酸化皮膜の厚みをDとし、表面処理されたZn系めっき鋼板の酸化皮膜の厚みをDtとしたときに、その比Dt/Dが、1.0以上であることが好ましい。すなわち、表面処理Zn系めっき鋼板の酸化皮膜厚みは、原料とするZn系めっき鋼板の酸化皮膜厚みに比べて減少しないことが好ましい。酸化皮膜がエッチングされて前記比が1.0未満となる表面処理Zn系めっき鋼板は、高温多湿環境下での耐食性が十分でない場合がある。前記比の上限値は特に限定されないが、1.5が好ましい。酸化皮膜の厚みはAESにより測定できる。
通常、表面処理される前のZn系めっき鋼板の酸化皮膜の厚みDは、5〜50nmであるので、本発明により製造される表面処理Zn系めっき鋼板の酸化皮膜の厚みDtは、5〜75nmである。
酸化皮膜は、表面処理される前のZn系めっき鋼板の酸化皮膜の厚みをDとし、表面処理されたZn系めっき鋼板の酸化皮膜の厚みをDtとしたときに、その比Dt/Dが、1.0以上であることが好ましい。すなわち、表面処理Zn系めっき鋼板の酸化皮膜厚みは、原料とするZn系めっき鋼板の酸化皮膜厚みに比べて減少しないことが好ましい。酸化皮膜がエッチングされて前記比が1.0未満となる表面処理Zn系めっき鋼板は、高温多湿環境下での耐食性が十分でない場合がある。前記比の上限値は特に限定されないが、1.5が好ましい。酸化皮膜の厚みはAESにより測定できる。
通常、表面処理される前のZn系めっき鋼板の酸化皮膜の厚みDは、5〜50nmであるので、本発明により製造される表面処理Zn系めっき鋼板の酸化皮膜の厚みDtは、5〜75nmである。
前記(1)、(2)の工程における雰囲気の温度は特に限定されないが、10〜50℃が好ましく、室温程度(20〜30℃)がより好ましい。
本発明により、鋼板表面に金属水酸化物が形成されるのは、水蒸気プラズマに含まれるOH−によると考えられる。金属水酸化物の量は、表面処理Zn系めっき鋼板の表面から4nmの厚み領域(以下「表層」ともいう)における金属水酸化物のO1sピーク強度をPOH、金属酸化物のO1sピーク強度をPOとするとき、その比POH/POにおいて1.2以上であることが好ましい。この比が1.2未満である表面処理Zn系めっき鋼板は、高温多湿環境下において塗膜密着性が十分でない場合がある。前記比の上限は特に限定されないが、5.0が好ましい。
O1sピーク強度比はXPS分析を行い、O1sピークにおいて各金属成分の酸化物および水酸化物をピーク分離することで算出できる。XPS分析は、X線源をMg Kα線、分解能をAg3d:0.8eVとして行うことが好ましい。
前記表層は、XPS分析の際に、光電子が基材から放出される深さが0〜4nmであることから決定される。
O1sピーク強度比はXPS分析を行い、O1sピークにおいて各金属成分の酸化物および水酸化物をピーク分離することで算出できる。XPS分析は、X線源をMg Kα線、分解能をAg3d:0.8eVとして行うことが好ましい。
前記表層は、XPS分析の際に、光電子が基材から放出される深さが0〜4nmであることから決定される。
また、本発明においては表面処理する前のZn系めっき鋼板の表面粗さと、表面処理後のZn系めっき鋼板の表面粗さはあまり変化しないことが好ましい。具体的には、表面処理される前のZn系めっき鋼板の表面粗さをR、表面処理Zn系めっき鋼板の表面粗さをRtとしたときに、その比Rt/Rは、1.0〜1.1であることが好ましい。
Zn系めっき鋼板の表面粗さは、Rは0.5〜8.0μm、Rtは0.5〜8.8μmである。本発明の平均粗さは、JIS B0601−1944に準じて測定された算術平均粗さRaであり、三次元粗度計により測定できる。
Zn系めっき鋼板の表面粗さは、Rは0.5〜8.0μm、Rtは0.5〜8.8μmである。本発明の平均粗さは、JIS B0601−1944に準じて測定された算術平均粗さRaであり、三次元粗度計により測定できる。
このようにOH基リッチとなった鋼板表面に塗膜を形成させると、鋼板表面のOH基と、塗膜中のOH基やCOOH基等の極性基との間で水素結合や、脱水縮合反応が生じる。この結果、高温多湿環境下でも塗膜密着性に優れた、塗装Zn系めっき鋼板が得られると考えられる。さらに、鋼板表面には、酸化皮膜がエッチングされずに残っているので、良好な耐食性も保持される。
よって、(2)の工程における、プラズマ照射時間や、電極と鋼板の距離等の諸条件は、鋼板表面に所望の量のOH基が存在するように適宜選択される。
よって、(2)の工程における、プラズマ照射時間や、電極と鋼板の距離等の諸条件は、鋼板表面に所望の量のOH基が存在するように適宜選択される。
2.表面処理Zn系めっき鋼板
本発明の表面処理Zn系めっき鋼板は、前記の方法により得られる。本発明の表面処理Zn系めっき鋼板は、表面の上に無機系皮膜または有機樹脂系皮膜を有していてもよい。このように、鋼板の表面に皮膜(「塗膜」ともいう)を有している表面処理Zn系めっき鋼板は、単に「塗装鋼板」とも呼ばれる。無機系皮膜とは、無機系の高分子化合物を主成分とする皮膜である。無機系の高分子化合物は、分子内にOH基を有することが好ましい。このような無機系の高分子化合物の例には、酸化ケイ素が含まれる。無機系皮膜は、バルブメタルの酸化物、バルブメタルの酸素酸塩、バルブメタルの水酸化物、バルブメタルのリン酸塩およびバルブメタルのフッ化物からなる群より選ばれる1種以上の化合物(以下「バルブメタル化合物」ともいう)を含むことが好ましい。環境適合性を有しつつ塗装鋼板の耐食性を向上できるからである。
バルブメタルとは、その酸化物が高い絶縁抵抗を示す金属をいう。バルブメタル元素としては、Ti、Zr、Hf、V、Mo、W、Al、Siから選ばれる1種以上の元素が好ましい。具体的に、バルブメタル化合物としては公知のものを用いてよい。
この際、バルブメタルのリン酸塩として、可溶性の金属リン酸塩または複合リン酸塩を用いると、これらは皮膜欠陥部に溶出し、めっき成分のZn等と反応して不溶性リン酸塩を形成し、耐食性を向上できるので好ましい。
本発明の表面処理Zn系めっき鋼板は、前記の方法により得られる。本発明の表面処理Zn系めっき鋼板は、表面の上に無機系皮膜または有機樹脂系皮膜を有していてもよい。このように、鋼板の表面に皮膜(「塗膜」ともいう)を有している表面処理Zn系めっき鋼板は、単に「塗装鋼板」とも呼ばれる。無機系皮膜とは、無機系の高分子化合物を主成分とする皮膜である。無機系の高分子化合物は、分子内にOH基を有することが好ましい。このような無機系の高分子化合物の例には、酸化ケイ素が含まれる。無機系皮膜は、バルブメタルの酸化物、バルブメタルの酸素酸塩、バルブメタルの水酸化物、バルブメタルのリン酸塩およびバルブメタルのフッ化物からなる群より選ばれる1種以上の化合物(以下「バルブメタル化合物」ともいう)を含むことが好ましい。環境適合性を有しつつ塗装鋼板の耐食性を向上できるからである。
バルブメタルとは、その酸化物が高い絶縁抵抗を示す金属をいう。バルブメタル元素としては、Ti、Zr、Hf、V、Mo、W、Al、Siから選ばれる1種以上の元素が好ましい。具体的に、バルブメタル化合物としては公知のものを用いてよい。
この際、バルブメタルのリン酸塩として、可溶性の金属リン酸塩または複合リン酸塩を用いると、これらは皮膜欠陥部に溶出し、めっき成分のZn等と反応して不溶性リン酸塩を形成し、耐食性を向上できるので好ましい。
有機樹脂系皮膜とは、有機系の高分子化合物を主成分とする皮膜である。有機系の高分子化合物は特に限定されないが、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリエステル、またはこれらの共重合物もしくは変性物が好ましい。中でも、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等の、分子内にOH基やCOOH基を有する樹脂が好ましい。
有機樹脂系皮膜は、前記バルブメタル化合物を含むことが好ましい。塗装鋼板の耐食性を向上できるからである。バルブメタル化合物には、既に述べた物を使用できる。
有機樹脂系皮膜は、前記バルブメタル化合物を含むことが好ましい。塗装鋼板の耐食性を向上できるからである。バルブメタル化合物には、既に述べた物を使用できる。
有機樹脂系皮膜は、さらに潤滑剤を含むことが好ましい。鋼板の耐カジリ性等を向上させて、加工性に優れた塗装鋼板を得られるからである。潤滑剤には公知のものを用いてよい。その例には、フッ素系、ポリエチレン系、スチレン系などの有機ワックス、および二硫化モリブデン、タルクなどの無機潤滑剤が含まれる。この際、低融点の有機ワックスを用いると、皮膜を乾燥する際に皮膜の表面にブリードするので潤滑性を発現できる。また、高融点ワックスや無機潤滑剤を用いると、皮膜最表層において島状に分布して存在し、かつ塗膜表面に露出して存在するため、潤滑性が付与される。
無機系皮膜および有機樹脂系皮膜におけるバルブメタル化合物または潤滑剤の添加量は、公知の量としてよい。
無機系皮膜および有機樹脂系皮膜におけるバルブメタル化合物または潤滑剤の添加量は、公知の量としてよい。
無機系皮膜および有機樹脂系皮膜は、公知の方法で形成してよい。例えば、無機系塗料または有機系塗料を調製して、公知の方法で鋼板表面に塗装すればよい。この塗料は、バルブメタル化合物を含むことが好ましい。この際、塗料中にバルブメタル化合物が安定して存在できるように、キレート作用のある有機酸を添加することが好ましい。有機酸の例には、タンニン酸、酒石酸、およびクエン酸が含まれる。その添加量は、有機酸/金属イオンのモル比で0.02以上であることが好ましい。
[実施例1]
電気Znめっき鋼板(板厚:0.5mm、片面めっき付着量:10g/m2、以下「鋼板A」ともいう)を準備し、大気圧、水蒸気濃度20.0g/m3の雰囲気に静置した。
次に、前記雰囲気において、前記鋼板と対向するように絶縁体電極を配置し、前記鋼板と前記電極の間に電圧を印加した。その結果、コロナ放電が発生し、プラズマ水蒸気が発生した。そのまま、発生した水蒸気プラズマを鋼板表面に接触させた。このとき、絶縁体電極と鋼板の距離(「照射距離」ともいう)は8mmとし、水蒸気プラズマを鋼板表面に接触させた時間(「照射時間」ともいう)は7秒とした。また、電圧は25kV、周波数40kHzとした。この方法(「方法A」ともいう)により得られた表面処理Zn系めっき鋼板は、以下のように評価された。
電気Znめっき鋼板(板厚:0.5mm、片面めっき付着量:10g/m2、以下「鋼板A」ともいう)を準備し、大気圧、水蒸気濃度20.0g/m3の雰囲気に静置した。
次に、前記雰囲気において、前記鋼板と対向するように絶縁体電極を配置し、前記鋼板と前記電極の間に電圧を印加した。その結果、コロナ放電が発生し、プラズマ水蒸気が発生した。そのまま、発生した水蒸気プラズマを鋼板表面に接触させた。このとき、絶縁体電極と鋼板の距離(「照射距離」ともいう)は8mmとし、水蒸気プラズマを鋼板表面に接触させた時間(「照射時間」ともいう)は7秒とした。また、電圧は25kV、周波数40kHzとした。この方法(「方法A」ともいう)により得られた表面処理Zn系めっき鋼板は、以下のように評価された。
i)裸耐食性試験
試験片の端面にシールを施し、JISZ2371に準拠して35℃のNaCl水溶液を試験片に噴霧した。前記水溶液を8h噴霧した後の試験片表面を観察し、白錆の発生面積率により、裸耐食性を評価した。この際、前記面積率が、10面積%未満である場合を◎、10以上20面積%未満である場合を○、20以上50面積%未満である場合を△、50面積%以上である場合を×と評価した。
試験片の端面にシールを施し、JISZ2371に準拠して35℃のNaCl水溶液を試験片に噴霧した。前記水溶液を8h噴霧した後の試験片表面を観察し、白錆の発生面積率により、裸耐食性を評価した。この際、前記面積率が、10面積%未満である場合を◎、10以上20面積%未満である場合を○、20以上50面積%未満である場合を△、50面積%以上である場合を×と評価した。
ii)塗膜密着性試験
試験片表面に、メラミンアルキド塗料を塗装して、膜厚20μmの塗膜を形成し、塗装鋼板を得た。この塗装鋼板を沸騰水に4h浸せきした後、JIS K 5400に準じ、碁盤目試験を行い、塗膜残存率を観察した。この際、塗膜残存率が90%以上である場合を◎、80以上〜90%未満である場合を○、60以上〜80%未満である場合を△、60%未満である場合を×として塗膜密着性を評価した。
試験片表面に、メラミンアルキド塗料を塗装して、膜厚20μmの塗膜を形成し、塗装鋼板を得た。この塗装鋼板を沸騰水に4h浸せきした後、JIS K 5400に準じ、碁盤目試験を行い、塗膜残存率を観察した。この際、塗膜残存率が90%以上である場合を◎、80以上〜90%未満である場合を○、60以上〜80%未満である場合を△、60%未満である場合を×として塗膜密着性を評価した。
iii)表面分析
X線源をMg Kα線、分解能をAg3d:0.8eVとして、定法に従い、表面処理Zn系めっき鋼板のXPS分析((株)クレイトスアナリティカル製、型式:AXIS−Ultra)行った。この測定により、表面処理Zn系めっき鋼板の表層における金属水酸化物/金属酸化物のO1sピークの比(表中「POH/PO」と表記した)が求められた。
また、定法により、表面処理Zn系めっき鋼板のAES分析(日本電子(株)製、型式:JAMP−9500F)を行った。これにより、表面処理Zn系めっき鋼板と表面未処理の酸化皮膜厚みの比(表中「Dt/D」と表記した)を求めた。なお、測定箇所は一つの試験片当たり10箇所とした。
X線源をMg Kα線、分解能をAg3d:0.8eVとして、定法に従い、表面処理Zn系めっき鋼板のXPS分析((株)クレイトスアナリティカル製、型式:AXIS−Ultra)行った。この測定により、表面処理Zn系めっき鋼板の表層における金属水酸化物/金属酸化物のO1sピークの比(表中「POH/PO」と表記した)が求められた。
また、定法により、表面処理Zn系めっき鋼板のAES分析(日本電子(株)製、型式:JAMP−9500F)を行った。これにより、表面処理Zn系めっき鋼板と表面未処理の酸化皮膜厚みの比(表中「Dt/D」と表記した)を求めた。なお、測定箇所は一つの試験片当たり10箇所とした。
iv)表面粗さ
三次元粗度計を用いて、JIS B0601−1944に準じて算術平均粗さRaを求めた。求めた値から、表面処理Zn系めっき鋼板と表面未処理Zn系めっき鋼板の表面粗さの比(表中「Rt/R」と表記した)を算出した。測定箇所は一つの試験片当たり10箇所とした。
これらの結果を表1、2に示す。
三次元粗度計を用いて、JIS B0601−1944に準じて算術平均粗さRaを求めた。求めた値から、表面処理Zn系めっき鋼板と表面未処理Zn系めっき鋼板の表面粗さの比(表中「Rt/R」と表記した)を算出した。測定箇所は一つの試験片当たり10箇所とした。
これらの結果を表1、2に示す。
[実施例2]
Zn系めっき鋼板として溶融Zn−6質量%Al−3質量%Mg合金めっき鋼板(板厚:0.8mm、片面めっき付着量:60g/m2、以下「鋼板B」ともいう)を準備し、大気圧、水蒸気濃度12.0g/m3の雰囲気に静置した。
次に、前記雰囲気中に、対向するように2つの電極を配置し、前記電極の間に電圧を印加した。その結果、コロナ放電が発生し、プラズマ水蒸気が発生した。続いて、前記工程で得たプラズマ水蒸気を送風により電極間から押し出して、Zn系めっき鋼板表面に接触させた。このとき、電極間の距離(「照射距離」ともいう)は5mmとし、水蒸気プラズマを鋼板表面に接触させた時間(「照射時間」ともいう)は20秒とした。また、電極の先端部と鋼板表面の距離は、5.0mmとした。電圧は25kV、周波数40kHzとした。この方法(「方法B」ともいう)により得られた表面処理Zn系めっき鋼板は、前述のとおりに評価された。
Zn系めっき鋼板として溶融Zn−6質量%Al−3質量%Mg合金めっき鋼板(板厚:0.8mm、片面めっき付着量:60g/m2、以下「鋼板B」ともいう)を準備し、大気圧、水蒸気濃度12.0g/m3の雰囲気に静置した。
次に、前記雰囲気中に、対向するように2つの電極を配置し、前記電極の間に電圧を印加した。その結果、コロナ放電が発生し、プラズマ水蒸気が発生した。続いて、前記工程で得たプラズマ水蒸気を送風により電極間から押し出して、Zn系めっき鋼板表面に接触させた。このとき、電極間の距離(「照射距離」ともいう)は5mmとし、水蒸気プラズマを鋼板表面に接触させた時間(「照射時間」ともいう)は20秒とした。また、電極の先端部と鋼板表面の距離は、5.0mmとした。電圧は25kV、周波数40kHzとした。この方法(「方法B」ともいう)により得られた表面処理Zn系めっき鋼板は、前述のとおりに評価された。
[実施例3、4、7]
Zn系めっき鋼板、照射距離、および照射時間を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、表面処理Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
Zn系めっき鋼板、照射距離、および照射時間を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、表面処理Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
[実施例5、6、8]
Zn系めっき鋼板、照射距離、および照射時間を表1に示すように変更した以外は、実施例2と同様にして、表面処理Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
Zn系めっき鋼板、照射距離、および照射時間を表1に示すように変更した以外は、実施例2と同様にして、表面処理Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
[比較例1]
水蒸気濃度、照射距離、および照射時間を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、比較用表面処理Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
水蒸気濃度、照射距離、および照射時間を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、比較用表面処理Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
[比較例2]
水蒸気濃度、照射距離、および照射時間を表1に示すように変更した以外は、実施例2と同様にして、比較用表面処理Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
水蒸気濃度、照射距離、および照射時間を表1に示すように変更した以外は、実施例2と同様にして、比較用表面処理Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
[比較例3]
Zn系めっき鋼板を準備し、プラズマ処理を行わないまま、実施例1と同様にして評価した。
Zn系めっき鋼板を準備し、プラズマ処理を行わないまま、実施例1と同様にして評価した。
[比較例4]
表1に示すZn系めっき鋼板を準備し、プラズマ処理を行わないまま、実施例1と同様にして評価した。ただし、Zn系めっき鋼板は、酸洗処理を施した物を使用した。酸洗処理は、3質量%HClを用い、液温30℃、処理時間5秒で行った。
表1に示すZn系めっき鋼板を準備し、プラズマ処理を行わないまま、実施例1と同様にして評価した。ただし、Zn系めっき鋼板は、酸洗処理を施した物を使用した。酸洗処理は、3質量%HClを用い、液温30℃、処理時間5秒で行った。
[比較例5]
表1に示すZn系めっき鋼板を準備し、プラズマ処理を行わないまま、実施例1と同様にして評価した。ただし、Zn系めっき鋼板は、アルカリ脱脂処理を施した物を使用した。アルカリ脱脂処理は、pH12の液を用い、液温70℃、処理時間30秒で行った。
表1に示すZn系めっき鋼板を準備し、プラズマ処理を行わないまま、実施例1と同様にして評価した。ただし、Zn系めっき鋼板は、アルカリ脱脂処理を施した物を使用した。アルカリ脱脂処理は、pH12の液を用い、液温70℃、処理時間30秒で行った。
表1、2から、本発明のZn系めっき鋼板は良好な裸耐食性および塗膜密着性を有することが明らかである。これに対して、比較例1〜5の鋼板は、金属水酸化物/金属酸化物のO1sピークの比(POH/PO)が、1.2未満であるため塗膜密着性が不十分であった。また、比較例4および5はZn系めっき鋼板表面の酸化皮膜がエッチングされたため裸耐食性が低下した。
[実施例9]
鋼板Aを準備し、大気圧、水蒸気濃度20g/m3の雰囲気に静置した。
次に、実施例1と同様に、方法Aによりプラズマ処理を行った。ただし、絶縁体電極と鋼板の距離は3mm、水蒸気プラズマを鋼板表面に接触させた時間は2秒、電圧は15kV、周波数は25kHzとした。
得られた鋼板は、実施例1と同様に評価された。
鋼板Aを準備し、大気圧、水蒸気濃度20g/m3の雰囲気に静置した。
次に、実施例1と同様に、方法Aによりプラズマ処理を行った。ただし、絶縁体電極と鋼板の距離は3mm、水蒸気プラズマを鋼板表面に接触させた時間は2秒、電圧は15kV、周波数は25kHzとした。
得られた鋼板は、実施例1と同様に評価された。
[実施例10]
鋼板Aを準備し、大気圧、水蒸気濃度20g/m3の雰囲気に静置した。
次に、実施例2と同様に、方法Bによりプラズマ処理を行った。ただし、電極間の距離は3mm、水蒸気プラズマを鋼板表面に接触させた時間は2秒、電極の先端部と鋼板表面の距離は20mm、電圧は15kV、周波数は25kHzとした。
得られた鋼板は、実施例2と同様に評価された。
鋼板Aを準備し、大気圧、水蒸気濃度20g/m3の雰囲気に静置した。
次に、実施例2と同様に、方法Bによりプラズマ処理を行った。ただし、電極間の距離は3mm、水蒸気プラズマを鋼板表面に接触させた時間は2秒、電極の先端部と鋼板表面の距離は20mm、電圧は15kV、周波数は25kHzとした。
得られた鋼板は、実施例2と同様に評価された。
[実施例11]
鋼板Aの代わりに鋼板Bを用いた以外は、実施例9と同様に表面処理Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
鋼板Aの代わりに鋼板Bを用いた以外は、実施例9と同様に表面処理Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
[実施例12]
鋼板Aの代わりに鋼板Bを用いた以外は、実施例10と同様に表面処理Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
鋼板Aの代わりに鋼板Bを用いた以外は、実施例10と同様に表面処理Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
[比較例6]
鋼板Aを用い、雰囲気の水蒸気濃度を0.5g/m3とした以外は、実施例9と同様にして、表面処理Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
鋼板Aを用い、雰囲気の水蒸気濃度を0.5g/m3とした以外は、実施例9と同様にして、表面処理Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
[比較例7]
鋼板Bを用い、雰囲気の水蒸気濃度を0.5g/m3とした以外は、実施例9と同様にして、表面処理Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
これらの鋼板の評価結果を表3に示す。
鋼板Bを用い、雰囲気の水蒸気濃度を0.5g/m3とした以外は、実施例9と同様にして、表面処理Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
これらの鋼板の評価結果を表3に示す。
[実施例13〜26]
バルブメタル化合物、有機酸、リン酸塩を準備し、表4に示す組成の化成処理液を、定法により調製した。各成分の添加量は、処理液に対する濃度で表した。また、バルブメタル化合物の添加量は、処理液に対するバルブメタル元素の濃度として表した。
実施例9〜12で得た表面処理Zn系めっき鋼板に、各種化成処理液を塗布し、水洗すること無く電気オーブンに装入し、到達板温が100℃となる条件で加熱乾燥して、表面処理を施した。このように処理された鋼板は、実施例1と同様に評価された。
バルブメタル化合物、有機酸、リン酸塩を準備し、表4に示す組成の化成処理液を、定法により調製した。各成分の添加量は、処理液に対する濃度で表した。また、バルブメタル化合物の添加量は、処理液に対するバルブメタル元素の濃度として表した。
実施例9〜12で得た表面処理Zn系めっき鋼板に、各種化成処理液を塗布し、水洗すること無く電気オーブンに装入し、到達板温が100℃となる条件で加熱乾燥して、表面処理を施した。このように処理された鋼板は、実施例1と同様に評価された。
[比較例8、9]
比較例6、7で得た表面処理Zn系めっき鋼板に、表4に示す化成処理液1をそれぞれ塗布し、実施例13と同様にして、表面処理を施した。このように処理された鋼板は、実施例1と同様に評価された。
これらの結果を表5に示す。表5中、例えば実施例13の表面処理Zn系めっき鋼板は、表3に示す実施例9で得た表面処理Zn系めっき鋼板を意味する。
比較例6、7で得た表面処理Zn系めっき鋼板に、表4に示す化成処理液1をそれぞれ塗布し、実施例13と同様にして、表面処理を施した。このように処理された鋼板は、実施例1と同様に評価された。
これらの結果を表5に示す。表5中、例えば実施例13の表面処理Zn系めっき鋼板は、表3に示す実施例9で得た表面処理Zn系めっき鋼板を意味する。
本発明のZn系めっき鋼板は良好な裸耐食性および塗膜密着性を有する。これに対して、比較例8、9のZn系めっき鋼板は、POH/PO(O1sピークの比)が1.2未満であるため塗膜密着性が不十分である。
[実施例27]
鋼板Aを準備し、大気圧、水蒸気濃度15g/m3の雰囲気に静置した。
次に、実施例1と同様に、方法Aによりプラズマ処理を行った。ただし、絶縁体電極と鋼板の距離は2mm、水蒸気プラズマを鋼板表面に接触させた時間は1秒、電圧は20kV、周波数は30kHzとした。
得られた鋼板は、実施例1と同様に評価された。
鋼板Aを準備し、大気圧、水蒸気濃度15g/m3の雰囲気に静置した。
次に、実施例1と同様に、方法Aによりプラズマ処理を行った。ただし、絶縁体電極と鋼板の距離は2mm、水蒸気プラズマを鋼板表面に接触させた時間は1秒、電圧は20kV、周波数は30kHzとした。
得られた鋼板は、実施例1と同様に評価された。
[実施例28]
鋼板Aを準備し、大気圧、水蒸気濃度15g/m3の雰囲気に静置した。
次に、実施例2と同様に、方法Bによりプラズマ処理を行った。ただし、電極間の距離は2mm、水蒸気プラズマを鋼板表面に接触させた時間は1秒、電極の先端部と鋼板表面の距離は20mm、電圧は20kV、周波数は30kHzとした。
得られた鋼板は、実施例2と同様に評価された。
鋼板Aを準備し、大気圧、水蒸気濃度15g/m3の雰囲気に静置した。
次に、実施例2と同様に、方法Bによりプラズマ処理を行った。ただし、電極間の距離は2mm、水蒸気プラズマを鋼板表面に接触させた時間は1秒、電極の先端部と鋼板表面の距離は20mm、電圧は20kV、周波数は30kHzとした。
得られた鋼板は、実施例2と同様に評価された。
[実施例29]
鋼板Aの代わりに鋼板Bを用いた以外は、実施例27と同様に表面Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
鋼板Aの代わりに鋼板Bを用いた以外は、実施例27と同様に表面Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
[実施例30]
鋼板Aの代わりに鋼板Bを用いた以外は、実施例28と同様に表面処理Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
鋼板Aの代わりに鋼板Bを用いた以外は、実施例28と同様に表面処理Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
[比較例10]
鋼板Aを用い、雰囲気の水蒸気濃度を0.5g/m3とした以外は、実施例27と同様にして、表面処理Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
鋼板Aを用い、雰囲気の水蒸気濃度を0.5g/m3とした以外は、実施例27と同様にして、表面処理Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
[比較例11]
鋼板Bを用い、雰囲気の水蒸気濃度を0.5g/m3とした以外は、実施例27と同様にして、表面処理Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
これらの鋼板の評価結果を表6に示す。
鋼板Bを用い、雰囲気の水蒸気濃度を0.5g/m3とした以外は、実施例27と同様にして、表面処理Zn系めっき鋼板を得て、評価した。
これらの鋼板の評価結果を表6に示す。
[実施例31〜44]
有機樹脂、バルブメタル化合物、有機酸、リン酸塩を準備し、表7に示す組成の化成処理液を、定法により調製した。各成分の添加量は、処理液に対する濃度で表した。また、バルブメタル化合物の添加量は、処理液に対するバルブメタル元素の濃度として表した。
実施例27〜30で得た表面処理Zn系めっき鋼板に、各種化成処理液を塗布し、水洗すること無く電気オーブンに装入し、到達板温が160℃となる条件で加熱乾燥して、表面処理を施した。このように処理された鋼板は、実施例1と同様に評価された。
有機樹脂、バルブメタル化合物、有機酸、リン酸塩を準備し、表7に示す組成の化成処理液を、定法により調製した。各成分の添加量は、処理液に対する濃度で表した。また、バルブメタル化合物の添加量は、処理液に対するバルブメタル元素の濃度として表した。
実施例27〜30で得た表面処理Zn系めっき鋼板に、各種化成処理液を塗布し、水洗すること無く電気オーブンに装入し、到達板温が160℃となる条件で加熱乾燥して、表面処理を施した。このように処理された鋼板は、実施例1と同様に評価された。
[比較例12、13]
比較例10、11で得た表面処理Zn系めっき鋼板に、表7に示す化成処理液1をそれぞれ塗布し、実施例31と同様にして、表面処理を施した。このように処理された鋼板は、実施例1と同様に評価された。
これらの結果を表8に示す。
表8中、例えば実施例31の表面処理Zn系めっき鋼板は、表6に示す実施例27で得た表面処理Zn系めっき鋼板を意味する。
比較例10、11で得た表面処理Zn系めっき鋼板に、表7に示す化成処理液1をそれぞれ塗布し、実施例31と同様にして、表面処理を施した。このように処理された鋼板は、実施例1と同様に評価された。
これらの結果を表8に示す。
表8中、例えば実施例31の表面処理Zn系めっき鋼板は、表6に示す実施例27で得た表面処理Zn系めっき鋼板を意味する。
本発明のZn系めっき鋼板は良好な裸耐食性および塗膜密着性を有する。これに対して、比較例12、13のZn系めっき鋼板は、POH/PO(O1sピークの比)が1.2未満であるため塗膜密着性が不十分である。
本発明の表面処理Zn系めっき鋼板は、高温多湿下において塗膜と十分に密着するとともに、耐食性に優れる。よって、本発明の表面処理Zn系めっき鋼板は、高温高湿環境下で使用される外装用材料等として好適である。
Claims (11)
- (1)水蒸気濃度が2.0g/m3以上であって大気圧にある雰囲気において、プラズマ水蒸気を発生させる工程、および
(2)前記プラズマ水蒸気をZn系めっき鋼板表面に接触させる工程、を含む表面処理Zn系めっき鋼板の製造方法。 - 前記(1)の工程は、前記雰囲気に、対向するように2つの電極を配置し、前記電極の間に電圧を印加してコロナ放電を生じさせて、前記電極間にプラズマ水蒸気を発生させる工程であり、
前記(2)の工程は、前記工程で得たプラズマ水蒸気を空気で押し出して、Zn系めっき鋼板表面に接触させる工程である、請求項1に記載の製造方法。 - 前記(1)の工程は、前記雰囲気に、前記Zn系めっき鋼板と対向するように絶縁体電極を配置し、前記Zn系めっき鋼板と前記電極の間に電圧を印加してコロナ放電を生じさせて、プラズマ水蒸気を発生させる工程である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記表面処理Zn系めっき鋼板の酸化皮膜の厚みDtと、前記表面処理される前のZn系めっき鋼板の酸化皮膜の厚みDとの比Dt/Dは、1.0以上であり、
前記表面処理Zn系めっき鋼板の表面から4nmの厚み領域における金属水酸化物のO1sピーク強度POHと、金属酸化物のO1sピーク強度POとの比POH/POは、1.2以上である、請求項1に記載の製造方法。 - 前記表面処理Zn系めっき鋼板の表面粗さRtと、前記表面処理される前のZn系めっき鋼板の表面粗さRとの比Rt/Rは、1.0〜1.1である、請求項1に記載の製造方法。
- 請求項1〜5いずれかに記載の方法で得られた表面処理Zn系めっき鋼板の表面に、さらに無機系皮膜を有する、表面処理Zn系めっき鋼板。
- 前記無機系皮膜は、バルブメタルの酸化物、バルブメタルの酸素酸塩、バルブメタルの水酸化物、バルブメタルのリン酸塩、およびバルブメタルのフッ化物からなる群から選ばれる1種以上の化合物を含む、請求項6に記載の表面処理Zn系めっき鋼板。
- 請求項1〜5いずれかに記載の方法で得られた表面処理Zn系めっき鋼板の表面に、さらに有機樹脂系皮膜を有する、表面処理Zn系めっき鋼板。
- 前記有機樹脂系皮膜は、潤滑剤を含む、請求項8に記載の表面処理Zn系めっき鋼板。
- 前記有機樹脂系皮膜は、バルブメタルの酸化物、バルブメタルの酸素酸塩、バルブメタルの水酸化物、バルブメタルのリン酸塩およびバルブメタルのフッ化物からなる群から選ばれる1種以上の化合物を含む、請求項8に記載の表面処理Zn系めっき鋼板。
- 前記バルブメタルは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Si、およびAlからなる群から選ばれる1種以上の金属である、請求項7または10に記載の表面処理Zn系めっき鋼板。
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