JP5118593B2 - 表面処理Al系めっき鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献2には、表面濡れ性の向上機構は一切開示されていないが、一般に、コロナ放電による金属の表面処理においては、1)プラズマにより、鋼板表面の酸化皮膜をエッチングして除去する、2)プラズマにより、鋼板表面に吸着されている汚染物質(炭化水素等)を分解除去することが知られている。よって、特許文献2の技術も、鋼板の酸化皮膜がエッチングされるために、耐食性が低下したと推察された。特に、一般にコロナ放電は、減圧下で発生させることが多く、その際に生じたプラズマは、鋼板にかなりのエネルギーで衝突させられるため、酸化皮膜のエッチングが顕著になると推察された。
(2)前記プラズマ水蒸気をAl系めっき鋼板表面に接触させる工程、を含む表面処理Al系めっき鋼板の製造方法。
[2]前記(1)の工程は、前記雰囲気に、対向するように2つの電極を配置し、前記電極の間に電圧を印加してコロナ放電を生じさせて、前記電極間にプラズマ水蒸気を発生させる工程であり、
前記(2)の工程は、前記工程で得たプラズマ水蒸気を空気で押し出して、Al系めっき鋼板表面に接触させる工程である、[1]に記載の製造方法。
[3]前記(1)の工程は、前記雰囲気に、前記Al系めっき鋼板と対向するように絶縁体電極を配置し、前記Al系めっき鋼板と前記電極の間に電圧を印加してコロナ放電を生じさせて、プラズマ水蒸気を発生させる工程である、[1]に記載の製造方法。
[4]前記表面処理Al系めっき鋼板の酸化皮膜の厚みDtと、前記表面処理される前のAl系めっき鋼板の酸化皮膜の厚みDとの比Dt/Dは、1.0以上であり、
前記表面処理Al系めっき鋼板の表面から4nmの厚み領域における金属水酸化物のAl2pピーク強度POHと、金属酸化物のAl2pピーク強度POとの比POH/POは、1.6以上である、[1]〜[3]いずれかに記載の製造方法。
[5]前記表面処理Al系めっき鋼板の表面粗さRtと、前記表面処理される前のAl系めっき鋼板の表面粗さRとの比Rt/Rは、1.0〜1.1である、[1]〜[4]いずれかに記載の製造方法。
[6]前記[1]〜[5]いずれかに記載の方法で得られた表面処理Al系めっき鋼板の表面に、さらに無機系皮膜を有する、表面処理Al系めっき鋼板。
[7]無機系皮膜は、バルブメタルの酸化物、バルブメタルの酸素酸塩、バルブメタルの水酸化物、バルブメタルのリン酸塩、およびバルブメタルのフッ化物からなる群から選ばれる1種以上の化合物を含む、[6]に記載の表面処理Al系めっき鋼板。
[8]前記[1]〜[5]いずれかに記載の方法で得られた表面処理Al系めっき鋼板の表面に、さらに有機樹脂系皮膜を有する、表面処理Al系めっき鋼板。
[9]前記有機樹脂系皮膜は、潤滑剤を含む、[8]に記載の表面処理Al系めっき鋼板。
[10]前記有機樹脂系皮膜は、バルブメタルの酸化物、バルブメタルの酸素酸塩、バルブメタルの水酸化物、バルブメタルのリン酸塩およびバルブメタルのフッ化物からなる群から選ばれる1種以上の化合物を含む、[8]または[9]に記載の表面処理Al系めっき鋼板。
[11]前記バルブメタルは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Si、およびAlからなる群から選ばれる1種以上の金属である、[7]または[10]に記載の表面処理Al系めっき鋼板。
本発明の表面処理Al系めっき鋼板の製造方法は、
(1)水蒸気濃度が2.0g/m3以上であって大気圧にある雰囲気において、プラズマ水蒸気を発生させる工程、および
(2)前記プラズマ水蒸気をAl系めっき鋼板表面に接触させる工程、を含むことを特徴とする。
この工程では、特定の雰囲気においてプラズマ水蒸気を発生させる。プラズマ水蒸気とは、プラズマの状態にある水蒸気であり、つまり、電離した状態にあるが全体としては中性の状態にある水蒸気をいう。
プラズマ水蒸気を発生させる手段は特に限定されない。しかしながら、以下の方法で発生させることが好ましい。
1)特定の雰囲気において2つの電極を準備して、その間に電圧を印加してプラズマ水蒸気を発生させる方法。
2)特定の雰囲気において、Al系めっき鋼板と対向するように絶縁体電極を配置し、前記Al系めっき鋼板と前記電極の間に電圧を印加して水蒸気プラズマを発生させる方法。
また、1)、2)の場合において、電極の材質が非導電性のセラミックス、クオーツなどの場合は誘電体を被覆する必要はないが、ステンレスやアルミなどの金属製電極の場合は、誘電体を電極に被覆すると、コロナがアーク状になるのを防止できるので好ましい。被覆される誘電体の材質は、耐熱性、耐高電圧性、耐オゾン性、高誘電率を考慮すると、セラミック、シリコンゴム、EPTゴム、ハイパロンゴムなどが好ましい。
この工程は、前記工程で得たプラズマ水蒸気をAl系めっき鋼板表面に接触させる。
Al系めっき鋼板とは、Alを主成分とするめっき層を有する鋼板である。本発明においては、下地鋼が、低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼、または合金鋼等であるものが使用される。なかでも、良好なプレス成形性が必要とされる用途では、低炭素Ti添加鋼、低炭素Nb添加鋼等を下地鋼とする深絞り用鋼板が好ましい。
めっき層は電気めっき法、溶融めっき法、蒸着めっき法のいずれで形成されていてもよい。Al系めっき鋼板の具体例には、めっき層全体でのSi含有量が5〜13質重%、表層のSi含有量が7〜80質重%のAl−Si合金めっき層が形成されたAl−Si合金めっき鋼板、およびZn−50〜60%Al合金めっき鋼板が含まれる。Al系めっき鋼板は、以下単に「鋼板」とも呼ばれる。
酸化皮膜は、表面処理される前のAl系めっき鋼板の酸化皮膜の厚みをDとし、表面処理されたAl系めっき鋼板の酸化皮膜の厚みをDtとしたときに、その比Dt/Dが、1.0以上であることが好ましい。すなわち、表面処理Al系めっき鋼板の酸化皮膜厚みは、原料とするAl系めっき鋼板の酸化皮膜厚みに比べて減少しないことが好ましい。酸化皮膜がエッチングされて前記比が1.0未満となる表面処理Al系めっき鋼板は、高温多湿環境下での耐食性が十分でない場合がある。前記比の上限値は特に限定されないが、1.5が好ましい。酸化皮膜の厚みはAESにより測定できる。
通常、表面処理される前のAl系めっき鋼板の酸化皮膜の厚みDは、5〜50nmであるので、本発明により製造される表面処理Al系めっき鋼板の酸化皮膜の厚みDtは、5〜75nmである。
Al2pピーク強度比はXPS分析を行い、Al2pピークにおいて各金属成分の酸化物および水酸化物をピーク分離することで算出できる。XPS分析は、X線源をMg Kα線、分解能をAg3d:0.8eVとして行うことが好ましい。
前記表層は、XPS分析の際に、光電子が基材から放出される深さが0〜4nmであることから決定される。
Al系めっき鋼板の表面粗さは、Rは0.5〜6.0μm、Rtは0.5〜6.6μmである。本発明の平均粗さは、JIS B0601−1944に準じて測定された算術平均粗さRaであり、三次元粗度計により測定できる。
よって、(2)の工程における、プラズマ照射時間や、電極と鋼板の距離等の諸条件は、鋼板表面に所望の量のOH基が存在するように適宜選択される。
本発明の表面処理Al系めっき鋼板は、前記の方法により得られる。本発明の表面処理Al系めっき鋼板は、表面の上に無機系皮膜または有機樹脂系皮膜を有していてもよい。このように、鋼板の表面に皮膜(「塗膜」ともいう)を有している表面処理Al系めっき鋼板は、単に「塗装鋼板」とも呼ばれる。無機系皮膜とは、無機系の高分子化合物を主成分とする皮膜である。無機系の高分子化合物は、分子内にOH基を有することが好ましい。このような無機系の高分子化合物の例には、酸化ケイ素が含まれる。無機系皮膜は、バルブメタルの酸化物、バルブメタルの酸素酸塩、バルブメタルの水酸化物、バルブメタルのリン酸塩およびバルブメタルのフッ化物からなる群より選ばれる1種以上の化合物(以下「バルブメタル化合物」ともいう)を含むことが好ましい。環境適合性を有しつつ塗装鋼板の耐食性を向上できるからである。
バルブメタルとは、その酸化物が高い絶縁抵抗を示す金属をいう。バルブメタル元素としては、Ti、Zr、Hf、V、Mo、W、Al、Siから選ばれる1種以上の元素が好ましい。具体的に、バルブメタル化合物としては公知のものを用いてよい。
この際、バルブメタルのリン酸塩として、可溶性の金属リン酸塩または複合リン酸塩を用いると、これらは皮膜欠陥部に溶出し、めっき成分のAl等と反応して不溶性リン酸塩を形成し、耐食性を向上できるので好ましい。
有機樹脂系皮膜は、前記バルブメタル化合物を含むことが好ましい。塗装鋼板の耐食性を向上できるからである。バルブメタル化合物には、既に述べた物を使用できる。
無機系皮膜および有機樹脂系皮膜におけるバルブメタル化合物または潤滑剤の添加量は、公知の量としてよい。
溶融Al−9%Siめっき鋼板(板厚:0.5mm、片面めっき付着量:60g/m2)を準備し、大気圧、水蒸気濃度20.0g/m3の雰囲気に静置した。
次に、前記雰囲気において、前記鋼板と対向するように絶縁体電極を配置し、前記鋼板と前記電極の間に電圧を印加した。その結果、コロナ放電が発生し、プラズマ水蒸気が発生した。そのまま、発生した水蒸気プラズマを鋼板表面に接触させた。このとき、絶縁体電極と鋼板の距離(「照射距離」ともいう)は8mmとし、水蒸気プラズマを鋼板表面に接触させた時間(「照射時間」ともいう)は7秒とした。また、電圧は25kV、周波数40kHzとした。この方法(「方法A」ともいう)により得られた表面処理Al系めっき鋼板は、以下のように評価された。
試験片の端面にシールを施し、JISZ2371に準拠して35℃のNaCl水溶液を試験片に噴霧した。前記水溶液を8h噴霧した後の試験片表面を観察し、白錆の発生面積率により、裸耐食性を評価した。この際、前記面積率が、10面積%未満である場合を◎、10以上20面積%未満である場合を○、20以上50面積%未満である場合を△、50面積%以上である場合を×と評価した。
試験片表面に、メラミンアルキド塗料を塗装して、膜厚20μmの塗膜を形成し、塗装鋼板を得た。この塗装鋼板を沸騰水に4h浸せきした後、JIS K 5400に準じ、碁盤目試験を行い、塗膜残存率を観察した。この際、塗膜残存率が90%以上である場合を◎、80以上〜90%未満である場合を○、60以上〜80%未満である場合を△、60%未満である場合を×として塗膜密着性を評価した。
X線源をMg Kα線、分解能をAg3d:0.8eVとして、定法に従い、表面処理Al系めっき鋼板のXPS分析((株)クレイトスアナリティカル製、型式:AXIS−Ultra)行った。この測定により、表面処理Al系めっき鋼板の表層における金属水酸化物/金属酸化物のAl2pピークの比(表中「POH/PO」と表記した)が求められた。
また、定法により、表面処理Al系めっき鋼板のAES分析(日本電子(株)製、型式:JAMP−9500F)を行った。これにより、表面処理Al系めっき鋼板と表面未処理の酸化皮膜厚みの比(表中「Dt/D」と表記した)を求めた。なお、測定箇所は一つの試験片当たり10箇所とした。
三次元粗度計を用いて、JIS B0601−1944に準じて算術平均粗さRaを求めた。求めた値から、表面処理Al系めっき鋼板と表面未処理Al系めっき鋼板の表面粗さの比(表中「Rt/R」と表記した)を算出した。なお、測定箇所は一つの試験片当たり10箇所とした。
これらの結果を表1、2に示す。
Al系めっき鋼板として溶融Zn−55%Alめっき鋼板(板厚:0.8mm、片面めっき付着量:60g/m2)を準備し、大気圧、水蒸気濃度12.0g/m3の雰囲気に静置した。
次に、前記雰囲気中に、対向するように2つの電極を配置し、前記電極の間に電圧を印加した。その結果、コロナ放電が発生し、プラズマ水蒸気が発生した。続いて、前記工程で得たプラズマ水蒸気を送風により電極間から押し出して、Al系めっき鋼板表面に接触させた。このとき、電極間の距離(「照射距離」ともいう)は5mmとし、水蒸気プラズマを鋼板表面に接触させた時間(「照射時間」ともいう)は20秒とした。また、電極の先端部と鋼板表面の距離は、5.0mmとした。電圧は25kV、周波数40kHzとした。この方法(「方法B」ともいう)により得られた表面処理Al系めっき鋼板は、前述のとおりに評価された。
Al系めっき鋼板、照射距離、および照射時間を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、表面処理Al系めっき鋼板を得て、評価した。
Al系めっき鋼板、照射距離、および照射時間を表1に示すように変更した以外は、実施例2と同様にして、表面処理Al系めっき鋼板を得て、評価した。
水蒸気濃度、照射距離、および照射時間を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、比較用表面処理Al系めっき鋼板を得て、評価した。
水蒸気濃度、照射距離、および照射時間を表1に示すように変更した以外は、実施例2と同様にして、比較用表面処理Al系めっき鋼板を得て、評価した。
Al系めっき鋼板を準備し、プラズマ処理を行わないまま、実施例1と同様にして評価した。
表1に示すAl系めっき鋼板を準備し、プラズマ処理を行わないまま、実施例1と同様にして評価した。ただし、Al系めっき鋼板は、酸洗処理を施した物を使用した。酸洗処理は、3質量%HClを用い、液温30℃、処理時間5秒で行った。
表1に示すAl系めっき鋼板を準備し、プラズマ処理を行わないまま、実施例1と同様にして評価した。ただし、Al系めっき鋼板は、アルカリ脱脂処理を施した物を使用した。アルカリ脱脂処理は、pH12の液を用い、液温70℃、処理時間30秒で行った。
Al系めっき鋼板として溶融Al−9%Siめっき鋼板(板厚:0.5mm、片面めっき付着量:60g/m2)を準備し、大気圧、水蒸気濃度20g/m3の雰囲気に静置した。
次に、実施例1と同様に、方法Aによりプラズマ処理を行った。ただし、絶縁体電極と鋼板の距離は3mm、水蒸気プラズマを鋼板表面に接触させた時間は2秒、電圧は15kV、周波数は25kHzとした。
得られた鋼板は、実施例1と同様に評価された。
Al系めっき鋼板として溶融Al−9%Siめっき鋼板(板厚:0.5mm、片面めっき付着量:60g/m2)を準備し、大気圧、水蒸気濃度20g/m3の雰囲気に静置した。
次に、実施例2と同様に、方法Bによりプラズマ処理を行った。ただし、電極間の距離は3mm、水蒸気プラズマを鋼板表面に接触させた時間は2秒、電極の先端部と鋼板表面の距離は20mm、電圧は15kV、周波数は25kHzとした。
得られた鋼板は、実施例2と同様に評価された。
Al系めっき鋼板として溶融Zn−55%Alめっき鋼板(板厚:0.8mm、片面めっき付着量:60g/m2)を用いた以外は、実施例9と同様に表面処理Al系めっき鋼板を得て、評価した。
Al系めっき鋼板として溶融Zn−55%Alめっき鋼板(板厚:0.8mm、片面めっき付着量:60g/m2)を用いた以外は、実施例10と同様に表面処理Al系めっき鋼板を得て、評価した。
Al系めっき鋼板として溶融Al−9%Siめっき鋼板(板厚:0.5mm、片面めっき付着量:60g/m2)を用い、雰囲気の水蒸気濃度を0.5g/m3とした以外は、実施例9と同様にして、表面処理Al系めっき鋼板を得て、評価した。
溶融Zn−55%Alめっき鋼板(板厚:0.8mm、片面めっき付着量:60g/m2)を用い、雰囲気の水蒸気濃度を0.5g/m3とした以外は、実施例9と同様にして、表面処理Al系めっき鋼板を得て、評価した。
これらの鋼板の評価結果を表3に示す。
バルブメタル化合物、有機酸、リン酸塩を準備し、表4に示す組成の化成処理液を、定法により調製した。各成分の添加量は、処理液に対する濃度で表した。また、バルブメタル化合物の添加量は、処理液に対するバルブメタル元素の濃度として表した。
実施例9〜12で得た表面処理Al系めっき鋼板に、各種化成処理液を塗布し、水洗すること無く電気オーブンに装入し、到達板温が100℃となる条件で加熱乾燥して、表面処理を施した。このように処理された鋼板は、実施例1と同様に評価された。
比較例6、7で得た表面処理Al系めっき鋼板に、表4に示す化成処理液1をそれぞれ塗布し、実施例13と同様にして、表面処理を施した。このように処理された鋼板は、実施例1と同様に評価された。
これらの結果を表5に示す。表5中、例えば実施例13の表面処理Al系めっき鋼板は、表3に示す実施例9で得た表面処理Al系めっき鋼板を意味する。
溶融Al−9%Siめっき鋼板を準備し、大気圧、水蒸気濃度15g/m3の雰囲気に静置した。
次に、実施例1と同様に、方法Aによりプラズマ処理を行った。ただし、絶縁体電極と鋼板の距離は2mm、水蒸気プラズマを鋼板表面に接触させた時間は1秒、電圧は20kV、周波数は30kHzとした。
得られた鋼板は、実施例1と同様に評価された。
溶融Al−9%Siめっき鋼板を準備し、大気圧、水蒸気濃度15g/m3の雰囲気に静置した。
次に、実施例2と同様に、方法Bによりプラズマ処理を行った。ただし、電極間の距離は2mm、水蒸気プラズマを鋼板表面に接触させた時間は1秒、電極の先端部と鋼板表面の距離は20mm、電圧は20kV、周波数は30kHzとした。
得られた鋼板は、実施例2と同様に評価された。
Al系めっき鋼板として溶融Zn−55%Alめっき鋼板を用いた以外は、実施例27と同様に表面Al系めっき鋼板を得て、評価した。
Al系めっき鋼板として溶融Zn−55%Alめっき鋼板を用いた以外は、実施例28と同様に表面処理Al系めっき鋼板を得て、評価した。
溶融Al−9%Siめっき鋼板を用い、雰囲気の水蒸気濃度を0.5g/m3とした以外は、実施例27と同様にして、表面処理Al系めっき鋼板を得て、評価した。
溶融Zn−55%Alめっき鋼板を用い、雰囲気の水蒸気濃度を0.5g/m3とした以外は、実施例27と同様にして、表面処理Al系めっき鋼板を得て、評価した。
これらの鋼板の評価結果を表6に示す。
有機樹脂、バルブメタル化合物、有機酸、リン酸塩を準備し、表7に示す組成の化成処理液を、定法により調製した。各成分の添加量は、処理液に対する濃度で表した。また、バルブメタル化合物の添加量は、処理液に対するバルブメタル元素の濃度として表した。
実施例27〜30で得た表面処理Al系めっき鋼板に、各種化成処理液を塗布し、水洗すること無く電気オーブンに装入し、到達板温が160℃となる条件で加熱乾燥して、表面処理を施した。このように処理された鋼板は、実施例1と同様に評価された。
比較例10、11で得た表面処理Al系めっき鋼板に、表7に示す化成処理液1をそれぞれ塗布し、実施例31と同様にして、表面処理を施した。このように処理された鋼板は、実施例1と同様に評価された。
これらの結果を表8に示す。表8中、例えば実施例31の表面処理Al系めっき鋼板は、表6に示す実施例27で得た表面処理Al系めっき鋼板を意味する。
Claims (11)
- (1)水蒸気濃度が20〜30g/m 3 であって大気圧にある雰囲気において、プラズマ水蒸気を発生させる工程、および
(2)前記プラズマ水蒸気をAl系めっき鋼板表面に接触させる工程、
を含む表面処理Al系めっき鋼板の製造方法。 - 前記(1)の工程は、前記雰囲気に、対向するように2つの電極を配置し、前記電極の間に電圧を印加してコロナ放電を生じさせて、前記電極間にプラズマ水蒸気を発生させる工程であり、
前記(2)の工程は、前記工程で得たプラズマ水蒸気を空気で押し出して、Al系めっき鋼板表面に接触させる工程である、
請求項1に記載の製造方法。 - 前記(1)の工程は、前記雰囲気に、前記Al系めっき鋼板と対向するように絶縁体電極を配置し、前記Al系めっき鋼板と前記電極の間に電圧を印加してコロナ放電を生じさせて、プラズマ水蒸気を発生させる工程である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記表面処理Al系めっき鋼板の酸化皮膜の厚みDtと、前記表面処理される前のAl系めっき鋼板の酸化皮膜の厚みDとの比Dt/Dは、1.0以上であり、
前記表面処理Al系めっき鋼板の表面から4nmの厚み領域における金属水酸化物のAl2pピーク強度POHと、金属酸化物のAl2pピーク強度POとの比POH/POは、1.6以上である、
請求項1に記載の製造方法。 - 前記表面処理Al系めっき鋼板の表面粗さRtと、前記表面処理される前のAl系めっき鋼板の表面粗さRとの比Rt/Rは、1.0〜1.1である、請求項1に記載の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法で得られた表面処理Al系めっき鋼板の表面に、さらに無機系皮膜を有する、表面処理Al系めっき鋼板。
- 前記無機系皮膜は、バルブメタルの酸化物、バルブメタルの酸素酸塩、バルブメタルの水酸化物、バルブメタルのリン酸塩、およびバルブメタルのフッ化物からなる群から選ばれる1種以上の化合物を含む、請求項6に記載の表面処理Al系めっき鋼板。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法で得られた表面処理Al系めっき鋼板の表面に、さらに有機樹脂系皮膜を有する、表面処理Al系めっき鋼板。
- 前記有機樹脂系皮膜は、潤滑剤を含む、請求項8に記載の表面処理Al系めっき鋼板。
- 前記有機樹脂系皮膜は、バルブメタルの酸化物、バルブメタルの酸素酸塩、バルブメタルの水酸化物、バルブメタルのリン酸塩およびバルブメタルのフッ化物からなる群から選ばれる1種以上の化合物を含む、請求項8に記載の表面処理Al系めっき鋼板。
- 前記バルブメタルは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Si、およびAlからなる群から選ばれる1種以上の金属である、請求項7または10に記載の表面処理Al系めっき鋼板。
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