JP5526589B2 - 表面処理鋼板、表面処理鋼板の製造方法、およびその鋼板から得られた筐体 - Google Patents

表面処理鋼板、表面処理鋼板の製造方法、およびその鋼板から得られた筐体 Download PDF

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Description

本発明は、家電製品、建材、自動車部品などの製造に有用な、導電性と耐食性とを高度に兼ね備えた表面処理鋼板、表面処理鋼板の製造方法、およびその鋼板から得られた筐体に関する。
詳しくは、基材をなす鋼板(以下、「基材鋼板」という。)、この鋼板上に形成された亜鉛系めっき層、およびこの亜鉛系めっき層上に形成された表面処理層からなる表面処理鋼板であって、導電性と耐食性とを高度に両立する表面処理鋼板、表面処理鋼板の製造方法、およびその鋼板から得られた、例えばプラズマテレビなどの電子・電気機器や家電製品の筐体に関する。
亜鉛または亜鉛を含む合金からなるめっき層(亜鉛系めっき層)が基材鋼板上に形成された亜鉛系めっき鋼板は、耐食性を向上させるために、表面に皮膜を形成させて表面処理鋼板とする場合が多い。また、耐食性のみならず、鋼板表面の導電性にも優れた表面処理鋼板が必要とされる用途が急増している。これは近年、特に精密な電子・電気機器類に要求されている電磁波シールド性を満たす必要があるからである。
電磁波シールド性が必要となる部材の例としてプラズマテレビのバックパネルが挙げられる。バックパネルは電子・電気機器の内部の発振回路、スイッチング回路等から発生する電磁波を外部に漏らさないこと、および、外部からの電磁波雑音を内部に侵入させないことが要求される。
従来は、無処理のめっき鋼板またはクロメート処理を施しためっき鋼板を利用していた。このため、製品形成時のカシメ、ビス止め等により内部フレームとバックパネルとの間の導電性を保つことができ、内部フレームをアースする事によって電磁波シールド性を確保することが容易に実現されていた。例えば特許文献1にはクロメート皮膜中の融点80℃〜160℃のポリオレフィン系ワックスを変性させる表面処理鋼板が開示されている。この鋼板を用いれば、導電性が得られる。
しかしながら、最近は環境問題に係わる規制により、クロメート処理製品は実用上ほとんど用いることができない。そのため、種々のクロムフリー処理製品も種々開発され(例えば特許文献2)、実用化されている
しかし、クロムフリー処理が施された表面処理鋼板(以下、単に「表面処理鋼板」という。)では、通常、耐食性を確保するため有機系、無機系を問わず皮膜はクロメート皮膜に比べると厚めとされる(典型的には1.0〜2.0μm程度。)このため、表面処理鋼板の表面における導電性(以下、「導電性」と略記する。)が低下し、電磁波シールド性の確保が困難となってしまう。一方、電磁波シールド性を確保しようとして薄めの皮膜とすれば、耐食性に悪影響がでる。このように耐食性および電磁波シールド性は通常トレードオフの関係にあるため、両性能を高度に両立させるのは難しかった。
特開平8-100272号公報 特開2008−274388号公報
本発明はこうした状況の下になされたものであって、その目的は、優れた導電性および耐食性を備えるクロムを含まない表面処理鋼板およびその製造のための手段、さらにこの表面処理鋼板から得られる筐体を提供しようとするものである。
本発明者らは、クロメート処理を施さない亜鉛系めっき鋼板上に形成された表面処理層における導電性発現について様々な角度から検討した。その結果、表面処理層の表面に露出するクラックの程度を適切に制御すれば、表面処理層が無機系の皮膜からなる場合であっても有機系の皮膜からなる場合であっても、優れた導電性を発揮しつつ実用的な耐食性を維持することができる表面処理鋼板が得られることを見出し、次の本発明を完成した。
(1)基材となる鋼板とその表面に設けられた亜鉛系めっき層とからなる亜鉛系めっき鋼板および当該亜鉛系めっき層上に形成されたクロムを含まない表面処理層を備える表面処理鋼板であって、前記表面処理層の付着量は0.3g/m以上1.0g/m以下であり、加速電圧を0.5kV以上1kV以下としたFE−SEMを用いて倍率1000倍で前記表面処理層の表面を観察することにより得られる画像が前記表面処理層の表面に露出するクラックである表面クラックを有するものであって、この表面クラックを有する画像上に20μm間隔で4本の平行な直線を引き、各直線と交差する表面クラックの直線100μmあたりの本数である単位交差クラック本数(単位:本/100μm)を求めたときに、得られた4直線分の単位交差クラック本数の平均値である平均交差クラック本数が本/100μm以上15本/100μm以下であり、JIS Z-2371規格に準拠した塩水噴霧装置を用いて、塩水濃度5質量%、槽内温度35℃、噴霧圧力1.38MPaの条件で塩水噴霧環境に72時間曝した後の前記表面処理鋼板の表面に確認される白錆の面積率が10面積%以下であることを特徴とする表面処理鋼板。
ここで、「JIS Z-2371規格に準拠した塩水噴霧装置」とは、JIS Z−2371に規定される塩水噴霧試験方法を実施することが可能な装置であって、具体的には当該規格の附属書(2)に記載される構造を有する装置を意味する。
(2)前記表面処理層が、多価金属リン酸塩化合物、ならびにヘキサフルオロチタン酸およびその塩からなる群から選ばれる一種または二種以上からなる皮膜形成成分を含んでなる酸性組成物を、前記亜鉛系めっき鋼板に接触させることで形成されるものである上記(1)記載の表面処理鋼板。
(3)基材となる鋼板とその表面に設けられた亜鉛系めっき層とからなる亜鉛系めっき鋼板および当該亜鉛系めっき層上に形成されたクロムを含まない表面処理層を備える上記(1)または(2)に記載される表面処理鋼板の製造方法であって、多価金属リン酸塩化合物ならびにヘキサフルオロチタン酸およびその塩からなる群から選ばれる一種または二種以上からなる皮膜形成成分を含む酸性組成物を、前記表面処理層の付着量が0.3g/m以上1.0g/m以下となるように前記亜鉛系めっき鋼板のめっき面に接触させる接液工程と、当該接液工程後の亜鉛系めっき鋼板を、5℃/s以上10℃/s以下の昇温速度で80℃以上150℃以下の基板到達温度まで昇温し、該基板到達温度で乾燥する乾燥工程とを備え、前記接液工程の開始から前記乾燥工程の開始までの時間が3秒間以上60秒間以下であることを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
なお、乾燥工程では、乾燥、すなわち亜鉛系めっき鋼板上の酸性組成物に含まれる溶媒の揮発だけでなく、酸性組成物に含有される皮膜形成成分の反応(具体的には3次元ネットワーク状の構造の形成)、酸性組成物が皮膜となる際の収縮、皮膜の内部に形成した水素の膨張なども同時に発生することで、皮膜中にクラックを有する表面処理層が形成される。
(4)前記酸性組成物がキレート剤をさらに含有する上記(3)記載の表面処理鋼板の製造方法。
(5)前記キレート剤がホスホン酸系キレート剤である上記(4)記載の表面処理鋼板の製造方法。
(6)前記皮膜形成成分の含有量が酸性組成物全体に対して10質量%以上17質量%以下であり、pHが1.5以上3.0以下である上記(3)から(5)のいずれかに記載の表面処理鋼板の製造方法。
(7)上記(1)または(2)に記載される表面処理鋼板を成型加工して得られた筐体。
なお、上記の筐体は導電性に優れる、すなわち導電性に優れた筐体であるため、電磁波シールド機能が必要とされる電子・電気機器または家電製品用の筐体であることが好ましい。
本発明に係る表面処理鋼板は、導電性と耐食性とを高度に両立させることができる。このため、プラズマテレビのバックパネルなどの電子・電気機器や家電製品の筐体、自動車部品、さらには建材などの用途に好適に使用することができる。
本発明に係る表面処理鋼板のFE−SEMによる観察像の一例を示す図である。 図1に示される観察像と同一の視野を、加速電圧などの測定条件を変更して観察した二次電子像を示す図である。 本実施例に係る無機系皮膜の付着量とSQメーターの接触抵抗値との関係を示すグラフである。
以下、本発明に係る表面処理鋼板、表面処理鋼板の製造方法、およびその鋼板から得られた筐体について説明する。
1.基材鋼板、亜鉛系めっき層、亜鉛系めっき鋼板
本発明の表面処理鋼板において基材となる鋼板(基材鋼板)は特に制限されず、基材鋼板上に形成される亜鉛系めっき層も特に限定されない。なお、亜鉛系めっき層とは、前述のように亜鉛または亜鉛を含む合金からなるめっき層をいい、電気めっき、溶融めっき、気相めっきのいずれで作製したものでもよい。また、その組成も亜鉛を含んでいれば特に限定されず、亜鉛の含有量(質量%)が50質量%未満であってもよい。
このような亜鉛系めっき層が基材鋼板の表面に設けられたものである亜鉛系めっき鋼板の例としては、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、溶融5%Al−Zn合金めっき鋼板、溶融55%Al−Zn合金めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気Zn−Ni合金めっき鋼板などが挙げられる。なお、本発明に係る表面処理鋼板が筐体として用いられる場合には、筐体部分からの熱放射率を高めるという観点から、亜鉛系めっき鋼板として合金化溶融亜鉛めっき鋼板とすることが好ましい。
亜鉛系めっき鋼板のめっき付着量も特に限定されず、一般的な範囲内でよい。好ましい上限を例示的に示せば片面あたり平均付着量で70g/m以下であり、30g/m以下であれば特に好ましい。下限も亜鉛の犠牲防食効果を考慮して適宜設定すればよい。
なお、後述する酸性の組成物を用いる場合にはエッチング反応による亜鉛の溶解量を考慮して3g/m以上とすることが好ましい。
鋼板の厚さは、用途によって決定されるものではあるが、過度に厚い場合は加工性が低下することが懸念される。
2.表面処理層
「表面処理層」とは、亜鉛系めっき鋼板の表面に形成された皮膜であって、亜鉛系めっき鋼板に耐食性などを付与するものをいう。また、以下の説明では、特に断りのない「表面処理層」は、クロムフリー表面処理により得られた皮膜を意味する。
表面処理層は、通常、例えば、シリカなどの無機酸化物、有機樹脂、これらの混合体などの絶縁性の材料を主成分とするため、表面処理層も絶縁性である場合が多い。このため、表面処理鋼板を導体で挟持したときの表面処理鋼板と導体との間の接触抵抗は通常高くなっている。
しかし、例えばプラズマテレビのバックパネルのような電子・電気機器の筐体の材料として表面処理鋼板を使用するためには、使用状態においてその筐体が接地可能であることが求められる。このため、ビスもしくはカシメまたはこれにより押圧される導電性部材(例えば金属ワッシャ)と表面処理鋼板とが加圧状態で接触するときには、表面処理層が絶縁性であってもこれらの加圧接触された部材と表面処理鋼板の基材鋼板とが電気的に導通するようになることが求められる。
本発明者らは、さまざまなクロムフリー処理により得られた表面処理層の皮膜状態を詳細に観察した結果、表面処理層が有機系皮膜からなる場合でも無機系皮膜からなる場合でも、表面処理層内にクラックを多数形成させることによって極めて優れた導電性が得られることを見出した。
ただし、単位体積あたりのクラックの発生数(以下、「クラック密度」ともいう。)が過度に多くなると、このクラックを通じて亜鉛系めっきを腐食させる成分、具体例を示せばヒロドニウムイオンを含む水、が表面処理層下の亜鉛系めっき層に到達し、表面処理鋼板としての耐食性が低下してしまう。
そこで、本発明では、この表面処理層をなす皮膜に形成されるクラック密度を適切に制御することにより、導電性と耐食性とを高度に兼ね備えた表面処理鋼板を提供している。
具体的には、本発明では表面処理層の付着量および表面性状の観点から表面処理層を規定している。以下にこれらについて詳説する。
(1)付着量
本発明に係る表面処理層の付着量は0.3g/m以上1.0g/m以下である。付着量がこの範囲にあれば、クラックを適度に発生させることによって、耐食性を損なうことなく導電性を高めることが実現される。付着量が0.3g/m未満の場合には耐食性の低下が顕著となり、1.0g/m超の場合にはクラックを発生させても導電性が向上しないことがある。導電性と耐食性とを特に高度に両立させる観点からは、付着量を0.5g/m以上0.9g/m以下とすることが好ましい。
(2)表面性状
本発明に係る表面処理層におけるクラック密度を規定するために、本発明では、表面処理層の表面に露出するクラック(以下、「表面クラック」という。)を観察し、この表面クラックの分布を定量的に規定することとしている。
具体的には、加速電圧を0.5kV以上1kV以下としたFE−SEMを用いて倍率1000倍で表面処理層の表面を観察することにより得られる画像が表面クラックを有するものであって、この表面クラックを有する画像上に20μm間隔で4本の平行な直線を引き、各直線と交差する表面クラックの直線100μmあたりの本数を求めたときに、得られた4直線分のクラック本数の平均値が2本/100μm以上15本/100μm以下となるように、表面クラックを表面処理層に発生させる。
FE−SEM(Field Emission Scanning Electron Microscope、電界放射型走査電子顕微鏡)は、従来型のSEMが高温加熱したフィラメントから発生する熱電子からなる電子線をプローブとして試料に照射しているのに対し、針状のタングステンまたはこれに酸化ジルコニウムなどが被覆されてなる陰極に電圧(引き出し電圧)を加えて電子を強制的に放出させる電解放出によりプローブとなる電子線を試料に照射して、二次的に発生する電子線を検出・増幅して試料の表面形態を画像などとして表示する装置である。
FE-SEMは低加速電圧においても優れた分解能を有しているため、表面処理層の最表面の詳細形態の観察が可能となり、これによって表面クラックの適正な態様を認識することができる。したがって、FE-SEMを用いることで、高次の導電性と耐食性とが両立したクロムフリー表面処理鋼板をもたらす表面クラックの分布を定量的に規定することが実現される。
現在製品化されているFE−SEMは、拡大倍率1000倍の場合の視野は一辺が70〜120μmである。この視野において観察される表面クラックの分布を次の方法によって定量化すると、視野内の表面クラックの分布に関する情報を効率的かつ定量的に得ることができ、好ましい。
i)加速電圧が0.5kV以上1kV以下であるFE−SEMを用いて倍率を1000倍としたときの視野で観察される二次電子画像(以下、「視野画像」という。)上に20μmおきに4本の平行な直線を引く。この直線群における両端の直線間の距離は60μmとなり、一般的なFE−SEMの1000倍画像であれば、この直線群が視野画像の短辺を横切るように配置することが可能である。
ii)各直線について100μmあたりに交差する表面クラック本数(単位:本/100μm、以下、「単位交差クラック本数」という。)を求める。各直線と交差する表面クラックの本数を求め、これを各直線における視野画像の両端間の長さ(単位:μm)で除して100μmを乗ずればよい。この長さは長ければ長いほど一本あたりに含まれる情報が増え、結果が平準化される。このため、この直線は視野画像の短辺を横切るように、つまり視野画像の長辺に並ぶように引くことが好ましい。
iii)得られた単位交差クラック本数の平均値(単位:本/100μm、以下、「平均交差クラック本数」という。)を求める。
こうして求めた平均交差クラック本数が2本/100μm以上であれば、表面処理層の付着量が前述の範囲である限り、表面処理層の強度が適度に低下する。このため、ビスもしくはカシメまたはこれにより押圧される導電性部材(例えば金属ワッシャ)と表面処理層とを加圧状態で接触させる固定作業を行うと、クラックを基点として表面処理層は破壊され、表面処理層下の亜鉛系めっき鋼板と固定された部材との間での電気的導通が実現される。一方、平均交差クラック本数が15本/100μm以下であれば、そのような固定作業がなされていない部分におけるクラックが存在することに起因する耐食性の低下は限定的であるため、表面処理鋼板としての耐食性を維持することが実現される。平均交差クラック本数を5本/100μm以上10本/100μm以下とすれば、電気的導通と耐食性とを特に高次に両立させることが実現される。
なお、上記の定量化方法は導電性と耐食性とを兼ね備える表面処理鋼板の評価方法と位置づけることもできる。すなわち、かかる評価方法により平均交差クラック本数を2本/100μm以上15本/100μm以下に管理することで、導電性と耐食性とを兼ね備える表面処理鋼板を安定的に得ることが実現される。
上記の表面性状を満たす表面処理層を有する表面処理鋼板のFE−SEMによる観察像の一例を図1に示す。
使用したFE−SEMはカール ツァイス株式会社製SUPRA55VPであり、当該画像の観察条件は、WD:3.3mm、加速電圧:0.5kV、測定モード:SE2(二次電子像)である。
加速電圧を0.5kVとしていることで、表面処理層への電子の侵入深さは極めて少なくなり、得られた二次電子像は実質的にトポグラフィー像となっている。この画像から表面処理層の表面にクラックが多数露出していることが確認される。
図1では、得られた二次電子像の長辺方向に平行な直線が画像の短辺を横切るように20μmおきに4本配置されている。そして、各直線の左端にその直線が表面クラックと交差する本数が表示されている(上から、6本、8本、11本、および5本。)これらのクラック本数および長辺の長さ(113.6μm)から平均交差クラック本数を求めると7.26本/100μmとなる。
なお、表面処理層を構成する材料やFE−SEMの装置仕様などにより電子線の侵入深さや検出・増幅される二次電子量が変動する。このため、表面クラックを観察するために適した加速電圧の範囲を厳密に規定することは本質的に不可能である。しかしながら、上記のように加速電圧を0.5kV以上1kV以下とすれば、表面処理層の材質や装置の仕様に変動があっても、表面クラックを安定的に観察することが可能である。
3.耐食性
本発明に係る表面処理鋼板は、JIS Z-2371規格に準拠した塩水噴霧装置、すなわちJIS Z−2371に規定される塩水噴霧試験方法を実施することが可能な装置であって、具体的には当該規格の附属書(2)に記載される構造を有する装置を用いて、塩水濃度5質量%、槽内温度35℃、噴霧圧力200psi、すなわち1.38MPa=14.1kgf/cmの条件で塩水噴霧環境に72時間曝し、その後速やかに表面処理鋼板を乾燥させた後の表面に確認される白錆の面積率が10面積%以下である。
この程度の耐食性を有することで、筐体、特に家電製品の筐体として安定的に使用することが実現される。
なお、上記の耐食性は、亜鉛系めっき層を腐食させる物質(例えばヒドロニウムイオンを含む水)の透過させにくさ、および表面処理層と亜鉛系めっき層との界面の密着性などに依存する。そして、これらの特性は表面処理層の構成および製造方法に影響される。
4.表面処理層形成用組成物
以下に、このような表面処理層を形成する手段の一例として、多価金属リン酸塩化合物ならびにヘキサフルオロチタン酸およびその塩からなる群から選ばれる一種または二種以上からなる皮膜形成成分を含んでなる酸性組成物(以下、「本組成物」と略記する。)およびこれを用いた表面処理工程について説明する。
(1)多価金属リン酸塩化合物
本組成物は、皮膜形成成分の一つとして多価金属リン酸塩化合物を含んでもよい。多価金属リン酸塩化合物はリン酸基同士に金属を介在させた結合(リン酸基−金属−リン酸基)を形成し、この結合が3次元ネットワーク状の構造をなす。このため、多価金属リン酸塩化合物を皮膜形成成分の一つとして含有させることにより、表面処理層を非晶質で絶縁性の皮膜とすることができる。
なお、この金属はリン酸イオンのカウンターイオンとして供給されたものでも、本組成物の他の含有成分として含有されるものでもよい。また、この本組成物は酸性であるから、基板となる亜鉛系めっき層から亜鉛イオンが溶解し、これがリン酸基と結合する金属となる場合もある。
多価金属リン酸塩化合物としては、第一リン酸アルミニウムおよび第一リン酸マグネシウムのうちの少なくとも一方であることが好ましい。第一リン酸アルミニウムおよび第一リン酸マグネシウムは、工業的に製造されているものでよい。また、第一リン酸アルミニウムは、Al/Pのモル比が0.7/3〜1.2/3のものが好ましく、第一リン酸マグネシウムは、Mg/Pのモル比が0.7/2〜1.2/2のものが好ましい。
本組成物中の多価金属リン酸塩化合物の濃度は、組成物全体に対して1質量%以上50質量%以下であることが好ましい。1質量%未満では、加水分解を起こし沈殿を生じることがあり、50質量%を超えると、多価金属リン酸塩化合物の溶解度を超えて多価金属リン酸塩化合物が沈殿し、組成物としての安定性に問題を生じることが懸念される。生産性と得られた表面処理層の特性とを高度に両立させる観点からは、10質量%以上17質量%以下とすることが好ましく、12質量%以上15質量%以下であれば、特に好ましい。
(2)ヘキサフルオロチタン酸類
本組成物は、皮膜形成成分の一つとしてヘキサフルオロチタン酸類を含んでいてもよい。ここで、「ヘキサフルオロチタン酸類」とは、組成物中においてヘキサフルオロチタン酸イオンを形成することが可能な物質の総称であり、ヘキサフルオロチタン酸(チタンフッ化水素酸)およびヘキサフルオロチタン酸塩(チタンフッ化水素酸の塩)が例示される。ヘキサフルオロチタン酸類はチタンを核として多価金属リン酸塩化合物と同様に3次元ネットワーク状の構造を作り、非晶質で絶縁性の皮膜を形成することが可能である。
ヘキサフルオロチタン酸類の中でも、ヘキサフルオロチタン酸塩を含有させることが調製の容易さの観点から好ましい。ヘキサフルオロチタン酸塩を形成するものとしては、ナトリウム、カリウム、リチウムおよびアンモニウムなどを挙げることができ、具体的な化合物として、ヘキサフルオロチタン酸ナトリウム(チタンフッ化ナトリウム)、ヘキサフルオロチタン酸カリウム(チタンフッ化カリウム)、ヘキサフルオロチタン酸リチウム(チタンフッ化リチウム)およびヘキサフルオロチタン酸アンモニウム(チタンフッ化アンモニウム)などを挙げることができる。これらのうち、ヘキサフルオロチタン酸塩としては、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウムが好ましい。また、ヘキサフルオロチタン酸とヘキサフルオロチタン酸アンモニウムとの混合物を用いるのがさらに好ましい。
本組成物中のヘキサフルオロチタン酸類の濃度は、組成物全体に対して1質量%以上50質量%以下であることが好ましい。1質量%未満ではチタン分を添加した効果が表れないことが懸念され、50質量%を超えると、結合に関与しないチタンが多くなり皮膜特性の低下が懸念される。生産性と得られた表面処理層の特性とを高度に両立させる観点からは、10質量%以上17質量%以下とすることが好ましく、12質量%以上15質量%以下であれば、特に好ましい。
本組成物は、上記の二種類の化合物、すなわち多価金属リン酸塩化合物およびヘキサフルオロチタン酸類をともに含有していることが好ましい。
多価金属リン酸塩化合物とヘキサフルオロチタン酸類とを含有することにより、多価金属リン酸塩化合物のリン酸基同士の間にチタンを介在させた結合(リン酸基−チタン−リン酸基)が生成する。この結合が3次元ネットワーク状の構造をなすことにより、非晶質の皮膜が形成される。この結合形成は脱水縮合反応を伴わないため、低い焼付け温度で、皮膜を形成することができる。しかも、チタンを介在させた結合が形成されることによって、耐アルカリ性が高くなり、さらに、機械的強度が高くなる。したがって、本組成物は、低い焼付け温度で、脱脂後においても優れた耐食性を有する皮膜を亜鉛系めっき鋼板の表面に表面処理層として形成することができ、さらに、優れた耐食性、耐アルカリ性、および耐型かじり性を有する表面処理鋼板とすることができる。
両者を含有させる場合には、生産性と得られた表面処理層の特性とを高度に両立させる観点から、皮膜形成成分の合計含有量が組成物全体に対して10質量%以上17質量%以下とすることが好ましく、12質量%以上15質量%以下であれば、特に好ましい。また、ヘキサフルオロチタン酸類の含有量は、多価金属リン酸塩化合物100質量部に対して、10質量部以上1000質量部以下とすることが好ましい。10質量部未満では、アルカリ脱脂後においても優れた耐食性を有する均一で緻密な皮膜を形成することが困難となる傾向が見られる。また、形成された皮膜は機械的強度が低くなってしまい、優れた耐型かじり性を発揮しにくくなる。一方、1000質量部を超えても、結合に関与しないチタンが増えすぎて、アルカリ脱脂後においても優れた耐食性を有する均一で緻密な皮膜を形成することが困難となる。この場合には形成された皮膜の機械的強度が低くなることが懸念される。
(3)その他の成分
本組成物は上記の二成分の少なくとも一方、好ましくは双方を含有するほか、表面処理鋼板の耐食性、耐アルカリ性、潤滑性、耐疵付き性、成型性、溶接性、耐溶剤性、耐指紋性等の品質を向上させるために、次の成分を含有してもよい。
A)キレート剤
本組成物は、キレート剤を含有してもよい。多価金属リン酸塩化合物やヘキサフルオロチタン酸類とキレート剤とのキレート生成反応により、3次元ネットワーク状の構造をもつ皮膜が形成される。この皮膜形成には、脱水縮合反応を伴わないため、低い焼付け温度で、均一で緻密な皮膜を形成することができる。したがって、本組成物は、低い焼付け温度で、優れた耐食性を有する皮膜を亜鉛系めっき鋼板上に形成することができる。
本組成物に含有されるキレート剤は、ホスホン酸系キレート剤およびオキシカルボン酸系キレート剤が好ましく、特に、ホスホン酸系キレート剤が好ましい。
ホスホン酸系キレート剤の具体例としては、アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシアリキリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、またはそれらの塩を挙げることができる。特に、組成物を調製する際、リン酸塩化合物の水溶液への溶解性の観点から、1−ヒドロキシアリキリデン−1,1−ジホスホン酸が好ましい。さらに好ましくは、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸である。
オキシカルボン酸系キレート剤の具体例としては、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、マロン酸などを挙げることができる。
これらのキレート剤は、1種単独で、または2種以上混合して用いてもよい。
本組成物におけるキレート剤の含有量は表面処理層に求められる特性に応じて適宜設定すればよい。一例として多価金属リン酸塩化合物を含有する場合の好適範囲について示せば、多価金属リン酸塩化合物100質量部に対して、10質量部以上1000質量部以下含有することが好ましい。10質量部未満では、充分な耐食性を得ることが困難となる場合がある。一方、1000質量部を超えると、形成された皮膜にべとつきを生じ、作業性の低下をもたらす場合がある。
B)バナジウム化合物
本組成物はバナジウム化合物を含有してもよい。本組成物から得られた皮膜がアルカリ脱脂などの皮膜が腐食される環境に置かれた場合には、バナジウム化合物が皮膜から溶出し、皮膜の腐食を抑制する。すなわち、バナジウム化合物を含有することによって皮膜の耐アルカリ性が高くなる。
本組成物に含有されるバナジウム化合物は、水溶性のバナジウム化合物が好ましく、無機化合物であっても有機化合物であってもよい。具体的には、メタバナジン酸(トリオキソバナジン酸)などのバナジン酸およびこの塩などのバナジン酸化合物、五酸化バナジウムなどの酸化バナジウム、五塩化バナジウムおよび五フッ化バナジウムなどのハロゲン化バナジウム、硫酸バナジル、硫酸バナジウム、硝酸バナジウム、燐酸バナジウム、重燐酸バナジウム、酢酸バナジウム、バナジウムアセチルアセトネートおよびバナジルアセチルアセトネートなどの有機バナジウム化合物を挙げることができる。メタバナジン酸およびバナジン酸の塩を形成するものとしては、ナトリウム、カリウムおよびアンモニウムなどを挙げることができる。この中でも、バナジン酸化合物が好ましく、さらに、メタバナジン酸アンモニウムおよびバナジン酸カリウムが好ましく、特にメタバナジン酸アンモニウムが好ましい。
本組成物中のバナジウム化合物の含有量が過度に少ない場合にはバナジウム化合物を含有させたことによる効果が得られなくなり、逆に過度に多い場合にはバナジウム化合物が沈殿するため組成物としての安定性や得られる皮膜の特性が低下する。本組成物中のバナジウム化合物の含有量は、以上の傾向を考慮しつつ、皮膜に求められる特性に応じて適宜設定される。典型的には、皮膜形成成分100質量部に対して、バナジウム化合物を1質量部以上50質量部以下含有することが好ましい。
C)その他
このほか、ワックスなどの固体潤滑剤、シランカップリング剤、コロイダルシリカなどの酸化物粒子、イミダゾリウム化合物などの腐食抑制剤、防錆剤、消泡剤、界面活性剤などを皮膜に求められる特性に応じて適宜添加してもよい。
(4)本組成物のpH
本組成物は酸性であるから、そのpHは7未満である。酸性とすることで、亜鉛系めっき層の表面における亜鉛をイオンとして溶解させることが可能となる。溶解した亜鉛イオンは上記のように多価金属リン酸化合物やヘキサフルオロチタン酸類と結合し、表面処理層を構成する成分の一つとなりうる。また、亜鉛が溶解することによって亜鉛系めっき層の表面はエッチングされ、凹凸の大きな表面となる。これがアンカー効果をもたらし、表面処理層と亜鉛系めっき層との密着性が向上する。
さらに、亜鉛系めっき層における亜鉛が本組成物との接触によって溶解する反応の対反応として水素が亜鉛系めっき層の表面に発生する。この水素は気泡となって本組成物の内部に取り込まれ、後述するように乾燥工程において皮膜となったときも残留し、これが膨張してクラックを有する表面処理層をもたらす。
以上の作用を安定的に発生させる観点から、pHは1以上6未満とすることが好ましい。pHが1未満の場合にはエッチングが過剰となって表面処理層の形成が困難となる傾向がみられるようになる。また、pHが6以上の場合には亜鉛系めっき層からの亜鉛イオンの発生および水素の発生が少なすぎ、所望の表面処理層を得ることが困難となることが懸念される。表面処理層の特性を特に高める観点からは、pHを1.5から3.0の範囲とすることが好ましい。
5.表面処理鋼板の製造方法
続いて、上記の本組成物を用いた表面処理層の形成方法について説明する。
本発明に係る方法は次の工程を備える:
(i)本組成物を、表面処理層の付着量が0.3g/m以上1.0g/m以下となるように亜鉛系めっき鋼板のめっき面に接触させる接液工程、
(ii)接液工程後の亜鉛系めっき鋼板を、基板到達温度を80℃以上150℃以下で乾燥する乾燥工程。
ただし、接液工程の開始から乾燥工程の開始までの時間が3秒間以上60秒間以下とする。
(1)接液工程
接液工程では、本組成物を、表面処理層の付着量が0.3g/m以上1.0g/m以下となるように亜鉛系めっき鋼板のめっき面に接触させる。
亜鉛系めっき鋼板は清浄であることが好ましく、公知の洗浄方法、例えばアルカリ性の洗浄液を用いた洗浄(汚れの程度に応じて電解洗浄としてもよい。)および引き続いての水洗が施されていることが好ましい。
付着量は、導電性、耐食性、および成型性等の性能バランス、さらに経済性も考慮すると、上記の範囲とすることが好ましく、0.5g/m以上0.9g/m以下であれば特に好ましい。
亜鉛系めっき鋼板への本組成物の接触手段は特に限定されない。浸漬(ディッピング)、スピンコート、ロールコート、スプレーなど公知の手段を用いて、亜鉛系めっき鋼板の表面に本組成物を接触させればよい。ただし、本組成物は酸性であるから、本組成物によって接触手段が腐食されたり作業者が負傷したりしないように設備上の対策を適宜行っておくべきである。
接液条件、すなわち接液工程において本組成物を亜鉛系めっき鋼板の表面と接触させているときの本組成物の温度および接触時間は、本組成物の組成およびpHを考慮しつつ、次の乾燥工程を経て得られる表面処理層の特性、特にクラックの発生の程度に応じて適宜設定すればよい。一例として多価金属リン酸塩化合物を12質量%含有する場合の接液条件の好適範囲について示せば、本組成物の温度は15℃以上45℃以下、本組成物と亜鉛系めっき鋼板との接触時間は3秒間から60秒間以下である。
ただし、接液工程の開始から次の乾燥工程の開始までの時間(以下、この時間を「接液時間」という。)は、表面処理層の内部に適度に水素を発生させる観点から3秒間以上60秒間以下とする。接液時間が3秒間未満の場合には、亜鉛系めっき鋼板のめっき層と本組成物との反応時間が短すぎ、水素の発生が不十分となって、表面処理層に所望の密度でクラックを発生させることが困難となる。一方、接液時間が60秒間超の場合には、逆に反応時間が長すぎ、表面処理層が亜鉛を含む結晶質の物質になってしまい、乾燥工程中にクラックがむしろ発生しにくくなってしまう。導電性と耐食性とを高度に両立するような密度でクラックを表面処理層に発生させる観点では、3秒間以上60秒間以下とすることが好ましく、3秒間以上30秒間以下とすれば特に好ましい。
なお、接液工程の終了後乾燥工程の開始までに所定の時間を置く場合には、亜鉛系めっき鋼板のめっき層とこれに接触する本組成物とが適切に反応できるように、接液工程終了時の亜鉛系めっき鋼板の温度を乾燥工程の開始まで維持することが好ましい。
(2)乾燥工程
乾燥工程では、上記の接液工程を経た亜鉛系めっき鋼板を、水洗などの洗浄処理を行うことなくそのまま、基板到達温度を80℃以上150℃以下で乾燥する。
この工程により、溶媒である水が揮発するとともに、皮膜形成成分(多価金属リン酸塩化合物および/またはヘキサフルオロチタン酸類)が他の含有成分およびめっき層からの亜鉛を取り込みながら3次元ネットワーク状の構造を形成するように反応し、非晶質で絶縁性の皮膜を形成する。このとき、亜鉛溶解の対反応として形成された水素が皮膜に閉じ込められて気泡を形成し、さらに、この気泡が乾燥のために加えられた熱によって膨張して皮膜を適度に破壊する。こうして、皮膜中に所望の密度でクラックを有する表面処理層が形成される。
ここで、乾燥温度を高めることは、クラック発生の直接的な原因となりうる水素ガスの発生を促進するため、好ましい。また、乾燥工程開始直前の亜鉛系めっき鋼板の温度と乾燥温度との温度差を大きくすることも好ましい。この場合には、亜鉛系めっき鋼板上の本組成物が急激に乾燥するため、得られた皮膜に大きな圧縮応力が加えられる。その後の冷却過程で、その応力が一部開放されることによって、クラックが発生しやすくなる。
基板到達温度が80℃未満の場合には、皮膜形成成分が非晶質の皮膜を形成することができなかったり、水素の発生・膨張が不十分となったりする。このため、得られた表面処理層におけるクラック密度が過度に低くなって、表面処理鋼板の導電性が低下してしまう。一方、150℃超の場合には、気泡となって皮膜中に閉じ込められた水素の膨張の程度が過剰となったり、皮膜に加えられる圧縮応力が大きくなりすぎたりする。このため、得られた表面処理層におけるクラック密度が過度に高くなって、表面処理鋼板の耐食性が著しく低下してしまう。
接液工程後の亜鉛系めっき鋼板を基板到達温度まで昇温させるときの昇温速度は特に限定されない。過度に遅い場合には生産性が低下したり、亜鉛系めっき鋼板上の本組成物が皮膜となる前に本組成物に含まれる水素が脱離してクラックが発生しにくくなったりすることが懸念される。一方、過度に速い場合には亜鉛系めっき鋼板の温度均一性が低下して皮膜の特性にばらつきが発生することが懸念される。昇温温度の好ましい範囲を例示的に示せば、5℃/s以上10℃/s以下であり、乾燥開始からおおむね10秒間から20秒間で基板到達温度に達することが好ましい。
乾燥工程で用いる加熱手段は特に限定されず、熱風式、赤外式および誘導加熱式など公知の手段を用いればよい。ただし、熱風式の場合には亜鉛系めっき鋼板上の本組成物に吹付けられた熱風によって本組成物の内部に生じた水素の気泡が破壊されて、表面処理層におけるクラック密度が過度に低下してしまう可能性があるため、赤外式や誘導加熱式を使用することが好ましい。
(3)本組成物により形成される表面処理層
本組成物を用いて上記の製造方法により得られる表面処理層は、皮膜形成成分(多価金属リン酸塩化合物および/またはヘキサフルオロチタン酸類)が金属などの他の成分とともに3次元ネットワーク状の構造をなすことにより得られる、非晶質で絶縁性の皮膜である。非晶質であることにより、本組成物の内部に生じた水素の気泡がそのまま残留した状態で皮膜が形成される。この気泡が乾燥工程で膨張したり、乾燥工程において皮膜に加えられた圧縮応力が乾燥工程後の冷却過程で一部開放されたりすることによって皮膜が部分的に破壊され、適切な密度のクラックを有する皮膜からなる表面処理層が形成される。
また、絶縁性の皮膜であることにより、表面処理鋼板におけるビスもしくはカシメまたはこれにより押圧される導電性部材によって押圧された部分のみに導電性が発生し、他の部分では絶縁性を維持することが実現される。なお、表面処理層が導電性を有していると、下層の亜鉛系めっき層との間で局部電池が形成され、亜鉛系めっき層による犠牲防食機能が適切に機能しなくなることが懸念される。
前掲の図1に示される表面処理層は本組成物により形成されたものであり、この視野と同一の視野について、測定条件をWD:3.5mm、加速電圧:10kV、測定モード:SE2(二次電子像)に変更した場合の観察画像を図2に示した。
図1の場合に比べて加速電圧を高めたことにより、プローブとなる電子線は表面処理層をなす皮膜内へと多数侵入する。その結果、皮膜内部から二次電子が放出され、図2に示されるように、皮膜の内部構造をも反映した二次電子像が得られる。具体的には、表面に露出したクラックが多数観察された領域(例えば図の中央部)の皮膜内部に、10〜20μmの大きさの気泡が多数形成されていることが観察される。この画像から、皮膜の表面において観察されるクラックは、皮膜の内部に形成された気泡に起因して発生していることを確認することができる。
6.成型加工
表面処理鋼板は、家庭用電気製品および自動車の部品などの金属製品に成型加工することができる。また、本発明に係る表面処理鋼板は、上記のように導電性と耐食性とを高度に両立している。したがって、本発明に係る表面処理鋼板は導電性を有することが求められる用途の筐体部材として好適である。
ここで、「導電性」とは、前述のように表面処理鋼板の表面における導電性であり、「導電性に優れる」とは、具体的には、SQメーター試験機で表面処理鋼板と測定子(黒鉛:直径0.9mm)とを接触させた状態で、表面処理鋼板に荷重300gfを印加しながら、10mm/分の速さで1分間走査し、平均接触抵抗値が10Ω未満となることをいう。
導電性に優れる鋼板は、電磁波シールド性にも優れるため、電子・電気機器や家電製品、具体例を挙げればプラズマテレビ、液晶テレビ、有機ELテレビのような薄型表示デバイスの筐体は、本発明に係る表面処理鋼板の用途として特に好適である。
また、本組成物を用い、本組成物から得られた皮膜を表面処理層として備える表面処理鋼板は、上記のように導電性と耐食性とを高度に両立しているうえに、表面処理層の硬度が高いため、成型加工のときには表面処理層に疵が付きにくい。しかもアルカリ脱脂液による脱脂処理でも皮膜が冒されることがないため、脱脂後も優れた耐食性を発揮し続けることができる。
以下の実施例により本発明の効果を例証する。実施例は例示を目的とし、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
電気亜鉛めっき鋼板(片面当たりめっき付着量:20g/m)の両面のめっき面に、70%の無機系成分を有する皮膜を形成させるために、第一リン酸アルミニウム7.75質量%と、チタンフッ化水素酸2.0質量%と、チタンフッ化アンモニウム0.5質量%と、ホスホン酸系キレート剤(化合物名:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸)4.25質量%とを含有するpHが2.2で液温が25℃の酸性水溶液を、ロールコーターで電気亜鉛めっき鋼板に塗布した。
その後、接液開始から3秒経過後にオーブンにて基板到達温度100℃まで昇温速度7℃/sで昇温させることにより、酸性水溶液を乾燥させるとともに皮膜として焼付けて、表面処理層としての無機系皮膜を形成させた。皮膜の付着量は0.5、0.8、1.0g/mの3水準作製した。なお、付着量はロールコーターの周速でコントロールした。
(実施例2)
電気亜鉛めっき鋼板(片面当たりめっき付着量:18g/m)の両面のめっき面に、80%の無機系成分を有する皮膜を形成させるために、第一リン酸アルミニウム8.0質量%と、ホスホン酸系キレート剤(化合物名:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸)2.0質量%とを含有するpHが1.7で液温が25℃の酸性水溶液を、スピンコーターで電気亜鉛めっき鋼板に塗布した。
塗布作業が終了したのち接液開始から60秒となるように放置し、続いて、オーブンにて基板到達温度80℃まで昇温速度5℃/sで昇温させることにより、酸性水溶液を乾燥させるとともに皮膜として焼付けて、表面処理層としての無機系皮膜を形成させた。皮膜の付着量は0.5、0.7、1.1g/mの3水準を作製した。
(実施例3)
電気亜鉛めっき鋼板(片面当たりめっき付着量:21g/m)の両面のめっき面に、70%の無機系成分を有する皮膜を形成させるために、第一リン酸アルミニウム7.5質量%と、チタンフッ化水素酸2.0質量%と、チタンフッ化アンモニウム0.75質量%と、ホスホン酸系キレート剤(化合物名:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸)4.5質量%とを含有するpHが2.2で液温が25℃の酸性水溶液を、スピンコーターで電気亜鉛めっき鋼板に塗布した
塗布作業が終了したのち接液開始から60秒となるように放置し、続いて、オーブンにて基板到達温度120℃まで昇温速度8℃/sで昇温させることにより、酸性水溶液を乾燥させるとともに皮膜として焼付けて、表面処理層としての無機系皮膜を形成させた。皮膜の付着量は3、0.7、0.9g/mの3水準作製した。なお、付着量はスピンコーターの周速でコントロールした。
(比較例1)
電気亜鉛めっき鋼板(片面当たりめっき付着量:20g/m)の両面のめっき面に、80%の無機系成分を有する皮膜を形成させるために、第一リン酸アルミニウム7.5質量%と、ホスホン酸系キレート剤(化合物名:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸)1.9質量%とを含有するpHが1.9で液温が25℃の酸性水溶液を、スピンコーターで電気亜鉛めっき鋼板に塗布した。
塗布作業が終了したのち接液開始から90秒となるように放置し、続いて、オーブンにて基板到達温度120℃まで昇温速度5℃/sで昇温させることにより、酸性水溶液を乾燥させるとともに皮膜として焼付けて、表面処理層としての無機系皮膜を形成させた。皮膜の付着量は0.3、0.7、1.0g/mの3水準作製した。
(比較例2)
電気亜鉛めっき鋼板(片面当たりめっき付着量:30g/m)の両面のめっき面に、70%の無機系成分を有する皮膜を形成させるために、第一リン酸アルミニウム7.25質量%と、チタンフッ化水素酸(ヘキサフルオロチタン酸)2.5質量%と、チタンフッ化アンモニウム0.5質量%と、ホスホン酸系キレート剤(化合物名:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸)4.25質量%とを含有するpHが2.2で液温が25℃の酸性水溶液を、スピンコーターで電気亜鉛めっき鋼板に塗布した。
接液開始から直ちにオーブンにて基板到達温度100℃まで昇温速度2℃/sで昇温させることにより、酸性水溶液を乾燥させるとともに皮膜として焼付けて、表面処理層としての無機系皮膜を形成させた。皮膜の付着量は0.4、0.7、1.2g/mの3水準作製した。
2.評価項目
(1)平均交差クラック本数
電解放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM、カール ツァイス株式会社製SUPRA55VP)を用い、観察倍率1000倍で、加速電圧0.5kVかつWD(Work Distance)は2mm以上の条件で観察し、表面に20μm間隔で平行線を4本引いて、平均交差クラック本数を求めた。なお、直線と交差するクラックの本数の計測に当たっては、直線を横切るクラックのみならず、直線に接しているクラックも交差するクラックとしてカウントした。
(2)導電性評価1
SQメーター試験機(株式会社山崎精機研究所製 接触電気抵抗計、型式:ML−500)で各試験片と測定子(黒鉛:直径0.9mm)とを接触させた状態で、試験片に荷重300gfを印加しながら、10mm/分の速さで1分間走査し、平均接触抵抗値により評価した。評価は次の4段階で行い、○および◎を合格と判定した:
◎:接触抵抗値5Ω未満、
○:接触抵抗値5Ω以上10Ω未満、
△:接触抵抗値10Ω以上20Ω未満、
×:接触抵抗値20Ω以上。
(3)導電性評価2
ロレスター試験機(ダイヤインスツルメンツ社製)で表面抵抗値を測定した。測定端子は4探針(直径2mm×4本、ピン間距離:5mm、バネ圧:240gf/本)で測定した。評価は次の4段階で行い、○および◎を合格と判定した:
◎:表面抵抗値0.05mΩ未満
○:表面抵抗値0.05mΩ以上0.10mΩ未満、
△:表面抵抗値0.10mΩ以上1.00mΩ未満、
×:表面抵抗値1.00mΩ以上(測定不可含む)。
(4)導電性評価3
テスター試験機(三和電気計器社製 アナログマルチテスタ、型式:SP−18D)の端子を鋼板表面に瞬間的に押し当てて(1秒間以下)、針の振れ方で評価した。評価は次の3段階で行い、○を合格と判定した:
○:針が良く触れる、
△:針の振れが鈍い、
×:全く触れない。
(5)耐食性評価
各試験片を、JIS Z−2371規格に準拠した塩水噴霧装置を用いて、塩水濃度5%、槽内温度35℃、噴霧圧力200psi(1.38MPa=14.1kgf/cm)の条件で塩水噴霧環境に72時間曝した。この塩水噴霧環境への暴露が終了した試験片を塩水噴霧装置から速やかに取り出し、直ちに水洗して乾燥させた。乾燥後の試験片の表面を観察し、白錆の面積率(白錆面積率)を測定した。○、○+および◎を合格と判定した:
◎:0面積%、
○+:0面積%より高く5面積%以下、
○:5面積%より高く10面積%以下、
△:10面積%より高く20面積%以下、
×:20面積%より高く50面積%未満、
××:50面積%以上。
3.評価結果
評価結果を表1および図3に示す。
No.1〜9は本発明例であり、平均交差クラック本数の平均は本/100μm以上であり、かつ耐食性の評価は○以上である。酸性水溶液と亜鉛めっき鋼板とを接液させることによって亜鉛の溶解の対反応として生じた水素が昇温による造膜時に取り囲まれ、発生した水素が昇温により膨張するため皮膜にクラックを発生させることができたと推定される。
一方、No.10〜15は比較例である。No.10〜12は酸性水溶液と亜鉛めっき鋼板との接液時間が長いために、反応で生じた酸化亜鉛が無機系皮膜中に取り込まれ、見かけ上の皮膜の厚さが大きくなり、導電性が低下したものと推測される。
またNo.13〜15は導電性に優れた表面処理鋼板を得ることができなかった。これは次の理由であると推測される。すなわち、接液後直ちに昇温したため、クラック形成に必要な水素の発生が少なく、また無機系皮膜形成時の昇温速度が低いため、発生した水素を皮膜外に放出させながら造膜が進行したと考えられる。その結果、気泡が少ない比較的均一な皮膜となって、クラックをもたらす部分的な膜厚差を生じさせることができなかったと考えられる。
(実施例4)
電気亜鉛めっき鋼板(片面当たりめっき付着量:21g/m)の両面のめっき面に、70%の無機系成分を有する皮膜を形成させるために、第一リン酸アルミニウム10.0,4.5,3.0質量%と、チタンフッ化水素酸(ヘキサフルオロチタン酸)2.0質量%と、チタンフッ化アンモニウム0.75質量%と、ホスホン酸系キレート剤(化合物名:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸)4.5質量%とを含有する酸性水溶液であって、液温が25℃の薬液を、スピンコーターで電気亜鉛めっき鋼板に塗布した。その際の各薬液のpHは、1.4,2.7,3.2であった。
塗布作業が終了したのち接液開始から60秒となるように放置し、続いて、オーブンにて基板到達温度120℃まで昇温速度8℃/sで昇温させることにより、薬液を乾燥させるとともに皮膜として焼付けて、表面処理層としての無機系皮膜を形成させた。皮膜の付着量は0.7g/mに統一した。なお、付着量はスピンコーターの周速でコントロールした。
その結果を表2に示す。
本結果から、リン酸Al濃度の相対的な低下(あわせて液pHの上昇)に伴い、クラック密度が上昇し、導電性は向上するものの、耐食性は低下するというトレードオフの関係が認められた。高次の導電性と耐食性を両立しうるクラック発生密度は、〜15の範囲であることが表2に示される結果から理解される。

Claims (7)

  1. 基材となる鋼板とその表面に設けられた亜鉛系めっき層とからなる亜鉛系めっき鋼板および当該亜鉛系めっき層上に形成されたクロムを含まない表面処理層を備える表面処理鋼板であって、
    前記表面処理層の付着量は0.3g/m以上1.0g/m以下であり、
    加速電圧を0.5kV以上1kV以下としたFE−SEMを用いて倍率1000倍で前記表面処理層の表面を観察することにより得られる画像が前記表面処理層の表面に露出するクラックである表面クラックを有するものであって、この表面クラックを有する画像上に20μm間隔で4本の平行な直線を引き、各直線と交差する表面クラックの直線100μmあたりの本数である単位交差クラック本数を求めたときに、得られた4直線分の単位交差クラック本数の平均値である平均交差クラック本数が5本/100μm以上15本/100μm以下であり、
    JIS Z−2371規格に準拠した塩水噴霧装置を用いて、塩水濃度5質量%、槽内温度35℃、噴霧圧力1.38MPaの条件で塩水噴霧環境に72時間曝した後の前記表面処理鋼板の表面に確認される白錆の面積率が10面積%以下であること
    を特徴とする表面処理鋼板。
  2. 前記表面処理層が、
    多価金属リン酸塩化合物、ならびにヘキサフルオロチタン酸およびその塩からなる群から選ばれる一種または二種以上からなる皮膜形成成分を含んでなる酸性組成物を、前記亜鉛系めっき鋼板に接触させることで形成されるものである
    請求項1記載の表面処理鋼板。
  3. 基材となる鋼板とその表面に設けられた亜鉛系めっき層とからなる亜鉛系めっき鋼板および当該亜鉛系めっき層上に形成されたクロムを含まない表面処理層を備える請求項1または2に記載される表面処理鋼板の製造方法であって、
    多価金属リン酸塩化合物ならびにヘキサフルオロチタン酸およびその塩からなる群から選ばれる一種または二種以上からなる皮膜形成成分を含む酸性組成物を、前記表面処理層の付着量が0.3g/m以上1.0g/m以下となるように前記亜鉛系めっき鋼板のめっき面に接触させる接液工程と、
    当該接液工程後の亜鉛系めっき鋼板を、5℃/s以上10℃/s以下の昇温速度で80℃以上150℃以下の基板到達温度まで昇温し、該基板到達温度で乾燥する乾燥工程とを備え、
    前記接液工程の開始から前記乾燥工程の開始までの時間が3秒間以上60秒間以下であること
    を特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
  4. 前記酸性組成物がキレート剤をさらに含有する請求項3記載の表面処理鋼板の製造方法。
  5. 前記キレート剤がホスホン酸系キレート剤である請求項4記載の表面処理鋼板の製造方法。
  6. 前記皮膜形成成分の含有量が酸性組成物全体に対して10質量%以上17質量%以下であり、pHが1.5以上3.0以下である請求項3から5のいずれかに記載の表面処理鋼板の製造方法。
  7. 請求項1または2に記載される表面処理鋼板を成型加工して得られた筐体。
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