JP5526589B2 - 表面処理鋼板、表面処理鋼板の製造方法、およびその鋼板から得られた筐体 - Google Patents
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Description
しかし、クロムフリー処理が施された表面処理鋼板(以下、単に「表面処理鋼板」という。)では、通常、耐食性を確保するため有機系、無機系を問わず皮膜はクロメート皮膜に比べると厚めとされる(典型的には1.0〜2.0μm程度。)このため、表面処理鋼板の表面における導電性(以下、「導電性」と略記する。)が低下し、電磁波シールド性の確保が困難となってしまう。一方、電磁波シールド性を確保しようとして薄めの皮膜とすれば、耐食性に悪影響がでる。このように耐食性および電磁波シールド性は通常トレードオフの関係にあるため、両性能を高度に両立させるのは難しかった。
なお、上記の筐体は導電性に優れる、すなわち導電性に優れた筐体であるため、電磁波シールド機能が必要とされる電子・電気機器または家電製品用の筐体であることが好ましい。
1.基材鋼板、亜鉛系めっき層、亜鉛系めっき鋼板
本発明の表面処理鋼板において基材となる鋼板(基材鋼板)は特に制限されず、基材鋼板上に形成される亜鉛系めっき層も特に限定されない。なお、亜鉛系めっき層とは、前述のように亜鉛または亜鉛を含む合金からなるめっき層をいい、電気めっき、溶融めっき、気相めっきのいずれで作製したものでもよい。また、その組成も亜鉛を含んでいれば特に限定されず、亜鉛の含有量(質量%)が50質量%未満であってもよい。
なお、後述する酸性の組成物を用いる場合にはエッチング反応による亜鉛の溶解量を考慮して3g/m2以上とすることが好ましい。
「表面処理層」とは、亜鉛系めっき鋼板の表面に形成された皮膜であって、亜鉛系めっき鋼板に耐食性などを付与するものをいう。また、以下の説明では、特に断りのない「表面処理層」は、クロムフリー表面処理により得られた皮膜を意味する。
具体的には、本発明では表面処理層の付着量および表面性状の観点から表面処理層を規定している。以下にこれらについて詳説する。
本発明に係る表面処理層の付着量は0.3g/m2以上1.0g/m2以下である。付着量がこの範囲にあれば、クラックを適度に発生させることによって、耐食性を損なうことなく導電性を高めることが実現される。付着量が0.3g/m2未満の場合には耐食性の低下が顕著となり、1.0g/m2超の場合にはクラックを発生させても導電性が向上しないことがある。導電性と耐食性とを特に高度に両立させる観点からは、付着量を0.5g/m2以上0.9g/m2以下とすることが好ましい。
本発明に係る表面処理層におけるクラック密度を規定するために、本発明では、表面処理層の表面に露出するクラック(以下、「表面クラック」という。)を観察し、この表面クラックの分布を定量的に規定することとしている。
こうして求めた平均交差クラック本数が2本/100μm以上であれば、表面処理層の付着量が前述の範囲である限り、表面処理層の強度が適度に低下する。このため、ビスもしくはカシメまたはこれにより押圧される導電性部材(例えば金属ワッシャ)と表面処理層とを加圧状態で接触させる固定作業を行うと、クラックを基点として表面処理層は破壊され、表面処理層下の亜鉛系めっき鋼板と固定された部材との間での電気的導通が実現される。一方、平均交差クラック本数が15本/100μm以下であれば、そのような固定作業がなされていない部分におけるクラックが存在することに起因する耐食性の低下は限定的であるため、表面処理鋼板としての耐食性を維持することが実現される。平均交差クラック本数を5本/100μm以上10本/100μm以下とすれば、電気的導通と耐食性とを特に高次に両立させることが実現される。
使用したFE−SEMはカール ツァイス株式会社製SUPRA55VPであり、当該画像の観察条件は、WD:3.3mm、加速電圧:0.5kV、測定モード:SE2(二次電子像)である。
本発明に係る表面処理鋼板は、JIS Z-2371規格に準拠した塩水噴霧装置、すなわちJIS Z−2371に規定される塩水噴霧試験方法を実施することが可能な装置であって、具体的には当該規格の附属書(2)に記載される構造を有する装置を用いて、塩水濃度5質量%、槽内温度35℃、噴霧圧力200psi、すなわち1.38MPa=14.1kgf/cm2の条件で塩水噴霧環境に72時間曝し、その後速やかに表面処理鋼板を乾燥させた後の表面に確認される白錆の面積率が10面積%以下である。
なお、上記の耐食性は、亜鉛系めっき層を腐食させる物質(例えばヒドロニウムイオンを含む水)の透過させにくさ、および表面処理層と亜鉛系めっき層との界面の密着性などに依存する。そして、これらの特性は表面処理層の構成および製造方法に影響される。
以下に、このような表面処理層を形成する手段の一例として、多価金属リン酸塩化合物ならびにヘキサフルオロチタン酸およびその塩からなる群から選ばれる一種または二種以上からなる皮膜形成成分を含んでなる酸性組成物(以下、「本組成物」と略記する。)およびこれを用いた表面処理工程について説明する。
本組成物は、皮膜形成成分の一つとして多価金属リン酸塩化合物を含んでもよい。多価金属リン酸塩化合物はリン酸基同士に金属を介在させた結合(リン酸基−金属−リン酸基)を形成し、この結合が3次元ネットワーク状の構造をなす。このため、多価金属リン酸塩化合物を皮膜形成成分の一つとして含有させることにより、表面処理層を非晶質で絶縁性の皮膜とすることができる。
本組成物は、皮膜形成成分の一つとしてヘキサフルオロチタン酸類を含んでいてもよい。ここで、「ヘキサフルオロチタン酸類」とは、組成物中においてヘキサフルオロチタン酸イオンを形成することが可能な物質の総称であり、ヘキサフルオロチタン酸(チタンフッ化水素酸)およびヘキサフルオロチタン酸塩(チタンフッ化水素酸の塩)が例示される。ヘキサフルオロチタン酸類はチタンを核として多価金属リン酸塩化合物と同様に3次元ネットワーク状の構造を作り、非晶質で絶縁性の皮膜を形成することが可能である。
多価金属リン酸塩化合物とヘキサフルオロチタン酸類とを含有することにより、多価金属リン酸塩化合物のリン酸基同士の間にチタンを介在させた結合(リン酸基−チタン−リン酸基)が生成する。この結合が3次元ネットワーク状の構造をなすことにより、非晶質の皮膜が形成される。この結合形成は脱水縮合反応を伴わないため、低い焼付け温度で、皮膜を形成することができる。しかも、チタンを介在させた結合が形成されることによって、耐アルカリ性が高くなり、さらに、機械的強度が高くなる。したがって、本組成物は、低い焼付け温度で、脱脂後においても優れた耐食性を有する皮膜を亜鉛系めっき鋼板の表面に表面処理層として形成することができ、さらに、優れた耐食性、耐アルカリ性、および耐型かじり性を有する表面処理鋼板とすることができる。
本組成物は上記の二成分の少なくとも一方、好ましくは双方を含有するほか、表面処理鋼板の耐食性、耐アルカリ性、潤滑性、耐疵付き性、成型性、溶接性、耐溶剤性、耐指紋性等の品質を向上させるために、次の成分を含有してもよい。
本組成物は、キレート剤を含有してもよい。多価金属リン酸塩化合物やヘキサフルオロチタン酸類とキレート剤とのキレート生成反応により、3次元ネットワーク状の構造をもつ皮膜が形成される。この皮膜形成には、脱水縮合反応を伴わないため、低い焼付け温度で、均一で緻密な皮膜を形成することができる。したがって、本組成物は、低い焼付け温度で、優れた耐食性を有する皮膜を亜鉛系めっき鋼板上に形成することができる。
ホスホン酸系キレート剤の具体例としては、アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシアリキリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、またはそれらの塩を挙げることができる。特に、組成物を調製する際、リン酸塩化合物の水溶液への溶解性の観点から、1−ヒドロキシアリキリデン−1,1−ジホスホン酸が好ましい。さらに好ましくは、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸である。
これらのキレート剤は、1種単独で、または2種以上混合して用いてもよい。
本組成物はバナジウム化合物を含有してもよい。本組成物から得られた皮膜がアルカリ脱脂などの皮膜が腐食される環境に置かれた場合には、バナジウム化合物が皮膜から溶出し、皮膜の腐食を抑制する。すなわち、バナジウム化合物を含有することによって皮膜の耐アルカリ性が高くなる。
このほか、ワックスなどの固体潤滑剤、シランカップリング剤、コロイダルシリカなどの酸化物粒子、イミダゾリウム化合物などの腐食抑制剤、防錆剤、消泡剤、界面活性剤などを皮膜に求められる特性に応じて適宜添加してもよい。
本組成物は酸性であるから、そのpHは7未満である。酸性とすることで、亜鉛系めっき層の表面における亜鉛をイオンとして溶解させることが可能となる。溶解した亜鉛イオンは上記のように多価金属リン酸化合物やヘキサフルオロチタン酸類と結合し、表面処理層を構成する成分の一つとなりうる。また、亜鉛が溶解することによって亜鉛系めっき層の表面はエッチングされ、凹凸の大きな表面となる。これがアンカー効果をもたらし、表面処理層と亜鉛系めっき層との密着性が向上する。
続いて、上記の本組成物を用いた表面処理層の形成方法について説明する。
本発明に係る方法は次の工程を備える:
(i)本組成物を、表面処理層の付着量が0.3g/m2以上1.0g/m2以下となるように亜鉛系めっき鋼板のめっき面に接触させる接液工程、
(ii)接液工程後の亜鉛系めっき鋼板を、基板到達温度を80℃以上150℃以下で乾燥する乾燥工程。
ただし、接液工程の開始から乾燥工程の開始までの時間が3秒間以上60秒間以下とする。
接液工程では、本組成物を、表面処理層の付着量が0.3g/m2以上1.0g/m2以下となるように亜鉛系めっき鋼板のめっき面に接触させる。
乾燥工程では、上記の接液工程を経た亜鉛系めっき鋼板を、水洗などの洗浄処理を行うことなくそのまま、基板到達温度を80℃以上150℃以下で乾燥する。
本組成物を用いて上記の製造方法により得られる表面処理層は、皮膜形成成分(多価金属リン酸塩化合物および/またはヘキサフルオロチタン酸類)が金属などの他の成分とともに3次元ネットワーク状の構造をなすことにより得られる、非晶質で絶縁性の皮膜である。非晶質であることにより、本組成物の内部に生じた水素の気泡がそのまま残留した状態で皮膜が形成される。この気泡が乾燥工程で膨張したり、乾燥工程において皮膜に加えられた圧縮応力が乾燥工程後の冷却過程で一部開放されたりすることによって皮膜が部分的に破壊され、適切な密度のクラックを有する皮膜からなる表面処理層が形成される。
表面処理鋼板は、家庭用電気製品および自動車の部品などの金属製品に成型加工することができる。また、本発明に係る表面処理鋼板は、上記のように導電性と耐食性とを高度に両立している。したがって、本発明に係る表面処理鋼板は導電性を有することが求められる用途の筐体部材として好適である。
(実施例1)
電気亜鉛めっき鋼板(片面当たりめっき付着量:20g/m2)の両面のめっき面に、70%の無機系成分を有する皮膜を形成させるために、第一リン酸アルミニウム7.75質量%と、チタンフッ化水素酸2.0質量%と、チタンフッ化アンモニウム0.5質量%と、ホスホン酸系キレート剤(化合物名:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸)4.25質量%とを含有するpHが2.2で液温が25℃の酸性水溶液を、ロールコーターで電気亜鉛めっき鋼板に塗布した。
電気亜鉛めっき鋼板(片面当たりめっき付着量:18g/m2)の両面のめっき面に、80%の無機系成分を有する皮膜を形成させるために、第一リン酸アルミニウム8.0質量%と、ホスホン酸系キレート剤(化合物名:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸)2.0質量%とを含有するpHが1.7で液温が25℃の酸性水溶液を、スピンコーターで電気亜鉛めっき鋼板に塗布した。
電気亜鉛めっき鋼板(片面当たりめっき付着量:21g/m2)の両面のめっき面に、70%の無機系成分を有する皮膜を形成させるために、第一リン酸アルミニウム7.5質量%と、チタンフッ化水素酸2.0質量%と、チタンフッ化アンモニウム0.75質量%と、ホスホン酸系キレート剤(化合物名:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸)4.5質量%とを含有するpHが2.2で液温が25℃の酸性水溶液を、スピンコーターで電気亜鉛めっき鋼板に塗布した。
電気亜鉛めっき鋼板(片面当たりめっき付着量:20g/m2)の両面のめっき面に、80%の無機系成分を有する皮膜を形成させるために、第一リン酸アルミニウム7.5質量%と、ホスホン酸系キレート剤(化合物名:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸)1.9質量%とを含有するpHが1.9で液温が25℃の酸性水溶液を、スピンコーターで電気亜鉛めっき鋼板に塗布した。
電気亜鉛めっき鋼板(片面当たりめっき付着量:30g/m2)の両面のめっき面に、70%の無機系成分を有する皮膜を形成させるために、第一リン酸アルミニウム7.25質量%と、チタンフッ化水素酸(ヘキサフルオロチタン酸)2.5質量%と、チタンフッ化アンモニウム0.5質量%と、ホスホン酸系キレート剤(化合物名:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸)4.25質量%とを含有するpHが2.2で液温が25℃の酸性水溶液を、スピンコーターで電気亜鉛めっき鋼板に塗布した。
(1)平均交差クラック本数
電解放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM、カール ツァイス株式会社製SUPRA55VP)を用い、観察倍率1000倍で、加速電圧0.5kVかつWD(Work Distance)は2mm以上の条件で観察し、表面に20μm間隔で平行線を4本引いて、平均交差クラック本数を求めた。なお、直線と交差するクラックの本数の計測に当たっては、直線を横切るクラックのみならず、直線に接しているクラックも交差するクラックとしてカウントした。
SQメーター試験機(株式会社山崎精機研究所製 接触電気抵抗計、型式:ML−500)で各試験片と測定子(黒鉛:直径0.9mm)とを接触させた状態で、試験片に荷重300gfを印加しながら、10mm/分の速さで1分間走査し、平均接触抵抗値により評価した。評価は次の4段階で行い、○および◎を合格と判定した:
◎:接触抵抗値5Ω未満、
○:接触抵抗値5Ω以上10Ω未満、
△:接触抵抗値10Ω以上20Ω未満、
×:接触抵抗値20Ω以上。
ロレスター試験機(ダイヤインスツルメンツ社製)で表面抵抗値を測定した。測定端子は4探針(直径2mm×4本、ピン間距離:5mm、バネ圧:240gf/本)で測定した。評価は次の4段階で行い、○および◎を合格と判定した:
◎:表面抵抗値0.05mΩ未満
○:表面抵抗値0.05mΩ以上0.10mΩ未満、
△:表面抵抗値0.10mΩ以上1.00mΩ未満、
×:表面抵抗値1.00mΩ以上(測定不可含む)。
テスター試験機(三和電気計器社製 アナログマルチテスタ、型式:SP−18D)の端子を鋼板表面に瞬間的に押し当てて(1秒間以下)、針の振れ方で評価した。評価は次の3段階で行い、○を合格と判定した:
○:針が良く触れる、
△:針の振れが鈍い、
×:全く触れない。
各試験片を、JIS Z−2371規格に準拠した塩水噴霧装置を用いて、塩水濃度5%、槽内温度35℃、噴霧圧力200psi(1.38MPa=14.1kgf/cm2)の条件で塩水噴霧環境に72時間曝した。この塩水噴霧環境への暴露が終了した試験片を塩水噴霧装置から速やかに取り出し、直ちに水洗して乾燥させた。乾燥後の試験片の表面を観察し、白錆の面積率(白錆面積率)を測定した。○、○+および◎を合格と判定した:
◎:0面積%、
○+:0面積%より高く5面積%以下、
○:5面積%より高く10面積%以下、
△:10面積%より高く20面積%以下、
×:20面積%より高く50面積%未満、
××:50面積%以上。
評価結果を表1および図3に示す。
電気亜鉛めっき鋼板(片面当たりめっき付着量:21g/m2)の両面のめっき面に、70%の無機系成分を有する皮膜を形成させるために、第一リン酸アルミニウム10.0,4.5,3.0質量%と、チタンフッ化水素酸(ヘキサフルオロチタン酸)2.0質量%と、チタンフッ化アンモニウム0.75質量%と、ホスホン酸系キレート剤(化合物名:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸)4.5質量%とを含有する酸性水溶液であって、液温が25℃の薬液を、スピンコーターで電気亜鉛めっき鋼板に塗布した。その際の各薬液のpHは、1.4,2.7,3.2であった。
Claims (7)
- 基材となる鋼板とその表面に設けられた亜鉛系めっき層とからなる亜鉛系めっき鋼板および当該亜鉛系めっき層上に形成されたクロムを含まない表面処理層を備える表面処理鋼板であって、
前記表面処理層の付着量は0.3g/m2以上1.0g/m2以下であり、
加速電圧を0.5kV以上1kV以下としたFE−SEMを用いて倍率1000倍で前記表面処理層の表面を観察することにより得られる画像が前記表面処理層の表面に露出するクラックである表面クラックを有するものであって、この表面クラックを有する画像上に20μm間隔で4本の平行な直線を引き、各直線と交差する表面クラックの直線100μmあたりの本数である単位交差クラック本数を求めたときに、得られた4直線分の単位交差クラック本数の平均値である平均交差クラック本数が5本/100μm以上15本/100μm以下であり、
JIS Z−2371規格に準拠した塩水噴霧装置を用いて、塩水濃度5質量%、槽内温度35℃、噴霧圧力1.38MPaの条件で塩水噴霧環境に72時間曝した後の前記表面処理鋼板の表面に確認される白錆の面積率が10面積%以下であること
を特徴とする表面処理鋼板。 - 前記表面処理層が、
多価金属リン酸塩化合物、ならびにヘキサフルオロチタン酸およびその塩からなる群から選ばれる一種または二種以上からなる皮膜形成成分を含んでなる酸性組成物を、前記亜鉛系めっき鋼板に接触させることで形成されるものである
請求項1記載の表面処理鋼板。 - 基材となる鋼板とその表面に設けられた亜鉛系めっき層とからなる亜鉛系めっき鋼板および当該亜鉛系めっき層上に形成されたクロムを含まない表面処理層を備える請求項1または2に記載される表面処理鋼板の製造方法であって、
多価金属リン酸塩化合物ならびにヘキサフルオロチタン酸およびその塩からなる群から選ばれる一種または二種以上からなる皮膜形成成分を含む酸性組成物を、前記表面処理層の付着量が0.3g/m2以上1.0g/m2以下となるように前記亜鉛系めっき鋼板のめっき面に接触させる接液工程と、
当該接液工程後の亜鉛系めっき鋼板を、5℃/s以上10℃/s以下の昇温速度で80℃以上150℃以下の基板到達温度まで昇温し、該基板到達温度で乾燥する乾燥工程とを備え、
前記接液工程の開始から前記乾燥工程の開始までの時間が3秒間以上60秒間以下であること
を特徴とする表面処理鋼板の製造方法。 - 前記酸性組成物がキレート剤をさらに含有する請求項3記載の表面処理鋼板の製造方法。
- 前記キレート剤がホスホン酸系キレート剤である請求項4記載の表面処理鋼板の製造方法。
- 前記皮膜形成成分の含有量が酸性組成物全体に対して10質量%以上17質量%以下であり、pHが1.5以上3.0以下である請求項3から5のいずれかに記載の表面処理鋼板の製造方法。
- 請求項1または2に記載される表面処理鋼板を成型加工して得られた筐体。
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