JPH0892747A - 基板の表面処理方法 - Google Patents

基板の表面処理方法

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JPH0892747A
JPH0892747A JP22775194A JP22775194A JPH0892747A JP H0892747 A JPH0892747 A JP H0892747A JP 22775194 A JP22775194 A JP 22775194A JP 22775194 A JP22775194 A JP 22775194A JP H0892747 A JPH0892747 A JP H0892747A
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JP
Japan
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substrate
gas
plasma
metal
metal oxide
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JP22775194A
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English (en)
Inventor
Motokazu Yuasa
基和 湯浅
Shigemasa Kawai
重征 河合
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大気圧近傍の圧力下で低電圧で放電プラズマ
を発生させプラズマによる基板の表面処理を短時間で行
う方法を提供する。 【構成】 対向する金属電極4、5の少なくとも一方の
対向面が、酸化チタニウム5〜50重量%、酸化アルミ
ニウム50〜95重量%で混合された金属酸化物被膜が
形成された金属板6によって完全に覆われているプラズ
マ発生装置の、金属電極間に基板7を設置し、反応ガス
と不活性ガスとの混合ガスの大気圧近傍の圧力下で電極
に電圧を印加して放電プラズマを発生させ、そのプラズ
マによって励起された活性種を基板7表面に接触させる
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、プラスチッ
ク、紙、金属、ガラス、セラミックス等の基板の表面処
理方法に関し、さらに詳しくは、大気圧近傍での放電プ
ラズマによる基板の表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば、プラスチック、紙、
金属、ガラス、セラミックス等の基板の表面の濡れ性制
御や表面修飾の方法として、0.01〜10Torr程
度の低圧のグロー放電プラズマによる表面処理方法が広
く知られており、産業的にも応用されている。この表面
処理方法においては、上記の圧力よりも高い圧力になる
と、放電が局所的になりアーク放電に移行してしまい、
耐熱性の乏しいプラスチックや紙のような基板への利用
が困難となるので、通常、あらゆる基板に適用できるよ
うに上記の圧力範囲が選ばれている。このため、真空
(もしくは低圧)にする必要上、処理用の容器は高価な
真空チャンバーを必要とし、また真空排気装置が必要と
される。さらに、真空中で処理するため大面積の基板に
処理しようとすると、大容量の真空容器を必要とし、真
空排気装置も大型のものが必要である。そのため、設備
費用が高くなるという問題点があった。また、吸水率の
高い基板の表面処理を行う場合、真空にするのに長時間
を要し、処理品がコスト高になるという問題点もあっ
た。
【0003】そこで、上記の種々の問題点を克服するた
めに、装置、設備の低コスト化と、大面積基板への処理
が可能な大気圧下でのグロー放電プラズマが提案されて
きた。例えば、特開平2−15171号公報には、電極
表面に固体誘電体を配設する方法によって、特公平2−
48626号公報には、細線型電極を用いる方法によっ
て大気圧下でグロー放電プラズマを行う表面処理方法が
提案されている。これらの提案では、ヘリウムを主とす
る不活性ガスと含フッ素ガスやモノマーガスのような反
応ガスとの混合ガスを、複数の開孔を有する多孔管から
基板近傍のプラズマ域に供給する方法が用いられてい
る。
【0004】また、特開平2−73979号公報には、
一方を対向面に多孔板状の固体誘電体を配設した表面処
理用反応ガスを供給可能な金属電極とし、他方を金属電
極とした、対向する2つの電極の間に基板を設置し、電
極間の空間に不活性ガスと反応ガスを供給し、大気圧近
傍の圧力下で、電極に電圧を与えてグロー放電プラズマ
を起こさせ、そのプラズマによって励起された活性種を
基板表面に接触させることによる、薄膜形成法が提案さ
れている。
【0005】上記のいずれの提案においても、電極とし
てはアーク放電防止のために少なくとも一方の電極上に
SiO2 板やAl2 3 板やプラスチックシートが配設
されている。しかしながら、設備の大型化を望む場合や
曲面形状の電極を必要とする場合などにおいては、これ
らの材料は入手が難しく、また高価なものになるという
欠点があった。また、これらの材料は比誘電率が1桁の
低誘電材料であり、また、厚い板状材料であるため、放
電プラズマを発生させ表面処理に使用するには高電圧を
印加する必要があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、大気
圧近傍の圧力下で低電圧で放電プラズマを発生させプラ
ズマによる表面処理を短時間で行う方法を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の基板の表面処理
方法は、対向する金属電極の少なくとも一方の対向面
が、酸化チタニウム5〜50重量%、酸化アルミニウム
50〜95重量%で混合された金属酸化物被膜によって
完全に覆われているプラズマ発生装置の、金属電極間に
基板を設置し、反応ガスと不活性ガスとの混合ガスの大
気圧近傍の圧力下で電極に電圧を印加して放電プラズマ
を発生させ、そのプラズマによって励起された活性種を
基板表面に接触させることを特徴とする。
【0008】本発明において、基板の表面処理とは、放
電プラズマにより、基板表面に官能基層を形成またはフ
リーラジカル層を形成し親水性や撥水性を付与し表面エ
ネルギーが制御された表面を形成することであり、基板
の濡れ性や接着性や防汚性が改質される。また、基板表
面に無機質や有機質の薄膜を形成させて、基板に化学
的、機械的、光学的、電気的特性等を付与することも指
す。
【0009】本発明においては、表面処理の目的に応じ
て選択された反応ガスと不活性ガスを混合して用いる。
【0010】反応ガスとしては、例えば、基板表面にフ
ッ素を化学結合させ表面エネルギーを低くし撥水性を付
与する場合には、フッ素含有のガスを使用する。フッ素
含有ガスとしては、4フッ化炭素(CF4 )、6フッ化
炭素(CF3 CF3 )、6フッ化プロピレン(CF2
FCF3 )等のフッ化炭素ガス;1塩化3フッ化炭素
(CClF3 )等のハロゲン化炭素ガス;6フッ化硫黄
(SF6 )等のフッ化硫黄化合物;およびこれらの化合
物のフッ素の一部が水素に置換された化合物が挙げられ
る。これらのうち、安全でフッ化水素等の有毒ガスを生
成しない、4フッ化炭素、6フッ化炭素および6フッ化
プロピレンなどが好ましい。
【0011】また、表面エネルギーを高くし親水性を付
与する場合には、表面にカルボニル基、ヒドロキシル
基、アミノ基等の官能基を有する層を形成させるため
に、炭化水素化合物のガスを使用する。上記炭化水素化
合物としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブ
タン、ペンタン、ヘキサン等のアルカン類;エチレン、
プロピレン、ブテン、ペンテン等のアルケン類;ペンタ
ジエン、ブタジエン等のアルカジエン類;アセチレン、
メチルアセチレン等のアルキン類;ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、インデン、ナフタレン、フェナントレン
等の芳香族炭化水素類;シクロプロパン、シクロヘキサ
ン等のシクロアルカン類;シクロペンテン、シクロヘキ
セン等のシクロアルケン類;メタノール、エタノール等
のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケ
トン類;メタナール、エタナール等のアルデヒド類など
が挙げられ、これらは、単独で使用されてもよいし2種
以上併用されてもよい。また、この場合、酸素ガス;酸
素と水素の混合ガス;水蒸気;窒素と水素の混合ガス;
アンモニアガス等を使用することも可能である。
【0012】また、基板に化学的、機械的、光学的、電
気的特性等を付与するために、SiO2 、TiO2 、S
nO2 等の金属酸化物薄膜を形成する場合には、水素化
金属ガス、ハロゲン化金属ガス又は金属アルコラート等
の金属有機化合物のガスもしくは蒸気が用いられる。
【0013】本発明で用いられる不活性ガスとしては、
He、Ne、Ar、Xe等の希ガスや窒素ガスの単体又
は混合ガスが用いられるが、準安定励起状態の寿命が長
く反応ガスを励起分解するのに有利なHeを用いるのが
好ましい。He以外の不活性ガスを使用する場合は、2
体積%以内のアセトンやメタノール等の有機物蒸気やメ
タン、エタン等の炭化水素ガスを混合する必要がある。
【0014】本発明で用いられる反応ガスと不活性ガス
との混合比は、用いるガスの種類により適宜決定される
が、反応ガスが10体積%以上になると高電圧を印加し
ても放電プラズマが発生し難くなるため、反応ガスは1
0体積%未満が好ましく、0.1〜5.0体積%がより
好ましい。
【0015】上記、反応ガスと不活性ガスの混合ガスの
大気圧近傍の圧力とは、100〜800Torrの圧力
のことであり、圧力調整が容易で装置が簡便になる70
0〜780Torrの範囲が好ましい。
【0016】本発明に使用される基板は、材質、形状等
は特に限定されず、プラスチック、金属、ガラス、セラ
ミック、セメント系建材、紙、繊維、不織布等が挙げら
れ、無孔質でも多孔質でも構わない。プラスチックとし
ては、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂が使用でき、例
えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフ
タレート等のポリエステル;ポリエチレンやポリプロピ
レン等のポリオレフィン;ポリスチレン;ポリアミド;
ポリ塩化ビニル;ポリカーボネート;ポリアクリロニト
リル等のフィルムもしくはシート、または適当な基体の
上にこれらのフィルムもしくはシートが被覆されたもの
が使用できる。フィルムの場合、延伸されたものでも未
延伸のものでも構わない。金属としては、例えば、ステ
ンレス系鋼、炭素鋼、超鋼等の汎用合金や、アニミニウ
ム、銅、ニッケル等の単一成分からなるものが挙げられ
る。
【0017】基板の形状は、特に限定されず、平板状、
円筒状、加工された種々の形状等が挙げられる。基板の
厚みも、特に限定されず、用途に応じて適宜決定されれ
ばよい。また、表面洗浄や表面活性化の公知の処理を行
ったものでも構わない。
【0018】本発明で使用されるプラズマ発生装置で
は、対向する金属電極が使用されるが、該対向する金属
電極の少なくとも一方の対向面が、酸化チタニウム5〜
50重量%、酸化アルミニウム50〜95重量%で混合
された金属酸化物被膜によって完全に覆われている。
【0019】酸化チタニウムは、SiO2 (比誘電率約
5.4)やプラスチック(例えば、ポリテトラフルオロ
エチレンの比誘電率2.1)に比べ、比誘電率が高い材
料として知られており、酸化チタニウム単独の場合、比
誘電率は約80程度であり、低い電圧で放電プラズマを
発生させるのに有利である。しかしながら、被膜として
使用する場合、加熱環境下では、組成変化が激しく、例
えば、還元雰囲気で加熱すると、酸素欠損を起こす等の
ため使用環境が制限され、また、被膜の形成方法にもよ
るが、固有抵抗が104 Ω・cm程度のため、電圧印加
によりアーク放電が生じ易いので、被膜として使用し難
い。そこで、この欠点を改良するため、熱的に安定で固
有抵抗が高い材料である酸化アルミニウムを、50〜9
5重量%の割合で混合する。また、酸化チタニウムと酸
化アルミニウムの割合は、酸化チタニウム10〜40重
量%、酸化アルミニウム60〜90重量%で混合された
金属酸化物被膜がより好ましい。このような組成範囲の
金属酸化物被膜においては、比誘電率が10〜14程度
となり、固有抵抗が1010程度となりアーク放電が発生
しない。酸化アルミニウムの割合が50重量%未満であ
ると、アーク放電が発生し易く、95重量%を超えると
比誘電率が7程度となり放電プラズマ発生に高い印加電
圧が必要になる。
【0020】上記金属酸化物被膜の厚みは、薄い方が放
電プラズマが発生し易いが、薄すぎるとアーク放電が生
じ、厚すぎると誘電損失が大きくなり放電プラズマが発
生し難く、かつ高温度になったり、コーティング被膜に
クラックが生じたりするため、10〜1000μmの間
が好ましく、100〜700μmがより好ましい。金属
酸化物被膜の厚みは、必ずしも均一である必要はない
が、均一であるほうが、均一な放電プラズマが得られる
ので好ましい。
【0021】金属酸化物被膜は、金属に蒸着、スパッタ
リング、CVD法および溶射等の物理的または化学的コ
ーティング方法で金属酸化物を被覆することにより得ら
れるが、上記の所望の膜厚に安価に形成し易く、また種
々の形状に被覆し易く、大きな面積にも塗布可能である
溶射法が好ましい。溶射法としては、熱溶射、プラズマ
溶射、アーク溶射等が挙げられるが、緻密な金属酸化物
被膜が得られるプラズマ溶射が好ましい。
【0022】溶射法で金属に金属酸化物被膜を作製する
と多孔質の被膜が形成されることは公知である。金属酸
化物被膜が厚い場合は、多孔質の被膜をそのまま本発明
の方法に使用しても構わないが、薄い場合はアーク放電
防止のためにSiO2 等の絶縁性材料で封孔処理する必
要がある。
【0023】金属酸化物被膜は、金属電極上に金属酸化
物を直接にコーティングして得ることもできるし、電極
以外の金属に金属酸化物をコーティングし電極上に設置
しても構わない。また、金属上に金属酸化物を密着性よ
くコーティングするために、コーティング予定面にブラ
スト処理やアンダーコート処理を行ってもよい。
【0024】上記の金属酸化物は、電極間に臨む面には
必ずコーティングされている必要があり、金属部や端部
からのアーク放電防止のために、側面、裏面の一部にも
コーティングされているのが好ましい。
【0025】電極として使用される金属としては、ステ
ンレスや真鍮等の多成分系の金属でも、銅、アルミニウ
ム等の純金属でもよい。
【0026】また、本発明の方法による表面処理には、
基板の加熱や冷却をしてもよいが、室温下で十分であ
る。
【0027】以下、図に基づいて本発明を詳細に説明す
る。図1は、本発明に使用されるプラズマ発生装置の一
例を示す模式的な断面図である。本装置は、電源部1、
処理容器2、対向して配置された上部の金属電極4及び
下部の金属電極5、並びに上部の金属電極4及び下部の
金属電極5との間の空間であるプラズマ処理部3から構
成されている。
【0028】電源部1はkHz台の周波数の電圧を印加
可能とされており、耐熱性の低い基板の処理には基板へ
の影響の少ない5〜30kHzの周波数が好ましい。放
電プラズマ発生は電極に電圧を印加することにより行う
が、印加電圧が低くなると、プラズマ密度及びセルフバ
イアスが小さくなるため、処理に時間がかかり非能率的
であり、高くなると、アーク放電に移行する挙動を示す
ので、電界強度1〜40kV/cm程度になるように電
圧を印加するのが好ましい。
【0029】処理容器2は、パイレックスガラス製であ
るが、電極と絶縁がとれているならばステンレスやアル
ミニウム等の金属製でも構わない。
【0030】処理容器2内に一対の対向する平行平板型
の上部の金属電極4及び下部の金属電極5が配設されて
いる。電極の構造としては、上記のような平行平板型の
他にも、円筒対向平板型、球対向平板型、双曲面対向平
板型、同軸円筒型でも、複数の細線と平板からなるもの
でも構わない。
【0031】図1では、下部の金属電極5の上部の金属
電極4に対向する面を完全に覆うように、金属酸化物被
膜がコーティングされた金属板6が配設されている。ま
た、図1以外にも金属電極に金属酸化物を直接コーティ
ングしても構わない。また、上部および下部の金属電極
の両方にコーティングされた金属板を配設しても、ま
た、上部および下部の金属電極の両方に金属酸化物を直
接コーティングしても構わない。ただし、金属等の導電
性の基板を処理する場合は、基板の処理面と対向する電
極面には、必ず、例えば、上記の金属酸化物がコーティ
ングされた被膜のような固体誘電体が設置されている必
要がある。
【0032】本発明において、放電プラズマによるプラ
ズマ処理部3は、前記のように、対向する金属電極4、
5間の空間である。対向する電極4、5間の距離は、金
属酸化物被膜の厚み、基板の厚み、印加電圧の大きさ、
ガス流量等によって、適宜決定されるが、距離が小さく
なると未使用のガスが多くなり非効率的であり、大きく
なると、電極間空間の放電プラズマの均一性が損なわれ
易くなるので、1〜30mmが好ましい。
【0033】基板7は図1では、金属酸化物がコーティ
ングされた金属板6上に設置されている。なお、この例
では、基板7は設置された片面のみが(図中では上面)
表面処理されるが、基板の両面の処理を望む場合には、
前記のプラズマ処理部3内に浮かせて設置すればよい。
【0034】表面処理に際して、反応ガスと不活性ガス
の混合ガスが表面処理部3に導入される必要がある。図
1はその一例であり、反応ガスはガス導入管8を経て多
孔構造の上部の金属電極4から、不活性ガスはガス導入
管9を経て、プラズマ処理部3に供給される。
【0035】なお、図1においては、上部の金属電極4
は、その内部が反応ガスの通路とされ、下部の金属電極
5に対向する面に多数の孔があけられた多孔性の電極と
されている。このように、上部の金属電極4がその内部
が反応ガスの通路とされ対向面が多孔構造からなると、
反応ガスをプラズマ処理部3に均一に導入でき、基板を
均一に処理し易いので好ましいが、例えば、プラズマ処
理部3にガスを攪拌して導入するとか、ガスを高速で吹
きつけて導入するとかにより均一に導入可能であれば、
必ずしも、その内部がガス通路とされた多孔性の電極と
する必要はない。
【0036】また、反応ガスおよび不活性ガスは、図示
しないが、それぞれマスフローコントローラーで流量制
御されて供給されるのが好ましい。
【0037】また、プラズマ処理装置には、過剰の混合
ガスを排出させるために、ガス出口10が設けられてい
る。
【0038】また、プラズマ処理装置には、処理容器2
内に混合ガスを供給する際に、処理容器2内に残存する
空気を排気するために排気口11が設けられていてもよ
い。
【0039】本発明の方法によって、基板の表面処理を
行う方法の一例を挙げると、まず、金属酸化物被膜が形
成された金属板6を下部の金属電極5上に設置した後、
該金属板6上に基板7を設置する。次いで、反応ガスを
マスフローコントローラーによって流量制御しながらガ
ス導入管8を経て多孔構造の上部の金属電極4から、不
活性ガスをマスフローコントローラーによって流量制御
しながらガス導入管9から、プラズマ処理部3に供給
し、大気圧近傍の圧力に調整する。ガス導入管9は、処
理容器2内の部分が、図1に示すように、プラズマ処理
部3の周囲を取り巻くようにされ、その取り巻いた部分
の内周面に多数の孔が開けられ、その孔をガス出口とさ
れてもよいが、特にこのように構成せずともガスは、処
理容器2内にほぼ均一に拡散される。
【0040】次に、電極に電圧を印加し放電プラズマを
起こさせ、そのプラズマによって励起された活性種を基
板表面に接触させて基板の表面処理を行う。
【0041】また、表面処理に要する時間は印加電圧の
大きさで決定され、例えば、フッ化炭素ガスを使用して
撥水処理を行う場合、前記印加電圧の範囲では5秒程度
で撥水化されておりそれ以上の時間をかけて処理しても
撥水化効果は向上せず、短時間の処理で十分である。
【0042】本発明2の基板の表面処理方法は、本発明
における「対向する金属電極の少なくとも一方の対向面
が、酸化チタニウム5〜50重量%、酸化アルミニウム
50〜95重量%で混合された金属酸化物被膜で覆われ
ているプラズマ発生装置」に代えて、「対向する金属電
極の少なくとも一方の対向面が、少なくとも酸化ジルコ
ニウムを含有する金属酸化物被膜で覆われているプラズ
マ発生装置」を使用する他は、本発明と同様であり、本
発明の酸化チタニウムと酸化アルミニウムを酸化ジルコ
ニウムに代えること以外は、種々の条件も本発明と同様
である。
【0043】本発明2では、酸化ジルコニウムは、Si
2 やプラスチックに比べ、比誘電率が高い材料として
知られており、酸化ジルコニウム単独の場合、比誘電率
は約12程度であり、低い電圧で放電プラズマを発生さ
せるのに有利である。通常、酸化ジルコニウムは酸化イ
ットリウム(Y2 3 )、炭酸カルシウム(CaC
3 )、酸化マグネシウム(MgO)等を30重量%以
内で添加して、結晶変態による膨張、収縮を防止し安定
化されているが、本発明2の酸化ジルコニウムはこのよ
うな添加物が添加されていてもよい。比誘電率は、添加
物の種類や金属酸化物被膜の結晶性等によって決定され
るが、少なくとも70重量%は酸化ジルコニウムである
ものが好ましい。例えば、酸化イットリウムが4〜20
重量%添加された酸化ジルコニウム被膜は比誘電率が8
〜16程度となるため好ましい。
【0044】本発明2で使用される酸化ジルコニウム被
膜の厚み、酸化ジルコニウム被膜の作製法などは、本発
明の酸化チタニウムと酸化アルミニウムの代わりに、酸
化ジルコニウムとされることの他は本発明と同様であ
る。
【0045】本発明3の基板の表面処理方法は、請求項
1または2記載の基板の表面処理方法において、金属酸
化物被膜が、厚み10〜1000μmであり、溶射によ
って形成されたものである方法である。
【0046】
【作用】本発明の基板の処理方法では、対向する金属電
極の少なくとも一方の対向面が、酸化チタニウム5〜5
0重量%、酸化アルミニウム50〜95重量%で混合さ
れた金属酸化物被膜によって完全に覆われているので、
該金属酸化物被膜の比誘電率が10〜14程度、固有抵
抗が1010程度となりアーク放電が発生せず、低い電圧
で放電プラズマを発生させることができ、そのため、低
い印加電圧で効率よく反応ガスが励起され短時間で基板
を表面処理でき、また、熱的に安定で固有抵抗が高い材
料である酸化アルミニウムが配合されているので加熱環
境下でも、組成変化が少なく、使用環境が制限されるこ
とがない。
【0047】本発明2の基板の処理方法では、対向する
金属電極の少なくとも一方の対向面が、少なくとも酸化
ジルコニウムを含有する金属酸化物被膜によって完全に
覆われているので、該金属酸化物被膜の比誘電率が8〜
16程度となり、低い印加電圧で効率よく反応ガスが励
起され短時間で基板を表面処理できる。
【0048】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 実施例1 図1に示したプラズマ発生装置〔上部および下部の金属
電極は直径80mmのステンレス鋼(SUS304)よ
りなる。上部の金属電極4の下部の金属電極5への対向
面には、1mmφの穴が1cm間隔で開いている〕にお
いて、140mm×140mm×厚み10mmの炭素鋼
(SS41)の片面に、プラズマ溶射で酸化チタニウム
13重量%、酸化アルミニウム87重量%の被膜(比誘
電率約14)を500μm厚みで形成したものを、被膜
面が上部の金属電極4に臨むように下部の金属電極5上
に配設し、その上に基板7として100mmφで厚み5
0μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社
製、商品名 ルミラーT60)を設置し、処理容器2内
の空気を1Torrまで油回転真空ポンプ(図示せず)
で排気口11より排気した。なお、基板7から上部の金
属電極4までの距離を5mmとした。
【0049】次いで、ガス流量10sccmの4フッ化
炭素ガスをガス導入管8より、また、990sccmの
ヘリウムガスをガス導入管9より処理容器2内に導入
し、754Torrの大気圧とした後、周波数15kH
z、4000Vの電圧を印加し、5秒間放置して基板7
の表面処理をした。電圧印加に伴って、プラズマ発光が
観察された。その際の放電電流は800mAであった。
【0050】次に、処理後の基板の表面にφ2mmの水
滴を10mmの間隔で滴下し、協和界面科学社製の接触
角測定装置(商品名 CA−D)を用いて接触角を測定
した。その結果、接触角は105〜109度で均一に撥
水処理されていることが分かった。この測定結果を表1
に示した。
【0051】実施例2〜7 溶射法で得られた金属酸化物被膜組成とその厚み、基板
7と上部の金属電極4までの距離、混合ガスの組成と流
量、印加電圧および放電電流を表1に示したようにした
ことの他は、実施例1と同様にして基板7の表面処理を
した。処理後の基板の表面の接触角を実施例1と同様に
して測定し表1に示した。
【0052】比較例1 実施例1における、炭素鋼(SS41)の片面に、プラ
ズマ溶射で酸化チタニウム13重量%、酸化アルミニウ
ム87重量%の被膜を形成したものの代わりに、140
mm×140mm×厚み3mmのパイレックスガラスを
使用したことの他は、実施例1と同様にして基板の表面
処理をした。処理後の基板の表面の接触角を実施例1と
同様にして測定し表1に示した。
【0053】比較例2 実施例1における、炭素鋼(SS41)の片面に、プラ
ズマ溶射で酸化チタニウム13重量%、酸化アルミニウ
ム87重量%の被膜を形成したものの代わりに、140
mm×140mm×厚み3mmのポリテトラフルオロエ
チレンを使用したことの他は、実施例1と同様にして基
板の表面処理をした。処理後の基板の表面の接触角を実
施例1と同様にして測定し表1に示した。
【0054】実施例8 実施例1において、ガス流量10sccmの4フッ化炭
素ガスをガス導入管8より、また、990sccmのヘ
リウムガスをガス導入管9より処理容器2内に導入した
ことの代わりに、ガス流量3sccmの4フッ化炭素ガ
スとガス流量7sccmの酸素ガスをガス導入管8よ
り、また、990sccmのヘリウムガスをガス導入管
9より処理容器2内に導入したことの他は、実施例1と
同様にして基板の表面処理をした。処理後の基板の表面
の接触角を実施例1と同様にして測定した結果、接触角
24〜28度を示し、均一に親水処理されていることが
分かった。この結果を表1に示した。
【0055】
【表1】
【0056】実施例9 図1に示したプラズマ発生装置〔上部および下部の金属
電極は直径80mmのステンレス鋼(SUS304)よ
りなる。上部の金属電極4の下部の金属電極5への対向
面には、1mmφの穴が1cm間隔で開いている〕にお
いて、140mm×140mm×厚み10mmの炭素鋼
(SS41)の片面に、プラズマ溶射で8重量%のY2
3 を含むZrO2 被膜(比誘電率約16)を500μ
m厚みで形成したものを、被膜面が上部の金属電極4に
臨むように下部の金属電極5上に配設し、その上に基板
7として100mmφで厚み50μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルム(東レ社製、商品名 ルミラーT
60)を設置し、処理容器2内の空気を1Torrまで
油回転真空ポンプ(図示せず)で排気口11より排気し
た。なお、基板7から上部の金属電極4までの距離を5
mmとした。
【0057】次いで、ガス流量10sccmの4フッ化
炭素ガスをガス導入管8より、また、990sccmの
ヘリウムガスをガス導入管9より処理容器2内に導入
し、754Torrの大気圧とした後、周波数15kH
z、3600Vの電圧を印加し5秒間放置して、基板7
の表面処理をした。電圧印加に伴って、プラズマ発光が
観察された。その際の放電電流は980mAであった。
次に、処理後の基板の表面の接触角を実施例1と同様に
して測定し表2に示した。
【0058】実施例10〜18 溶射法で得られた金属酸化物被膜組成とその厚み、基板
7と上部の金属電極4までの距離、混合ガスの組成と流
量、印加電圧および放電電流を表2に示したようにした
ことの他は、実施例9と同様にして基板7の表面処理を
した。処理後の基板の表面の接触角を実施例1と同様に
して測定し表2に示した。
【0059】実施例19 実施例9において、ガス流量10sccmの4フッ化炭
素ガスをガス導入管8より、また、990sccmのヘ
リウムガスをガス導入管9より処理容器2内に導入した
ことの代わりに、ガス流量3sccmの4フッ化炭素ガ
スとガス流量7sccmの酸素ガスをガス導入管8よ
り、また、990sccmのヘリウムガスをガス導入管
9より処理容器2内に導入したことの他は、実施例9と
同様にして基板の表面処理をした。処理後の基板の表面
の接触角を実施例9と同様にして測定した結果、接触角
24〜28度を示し、均一に親水処理されていることが
分かった。この結果を表2に示した。
【0060】
【表2】
【0061】
【発明の効果】本発明および本発明2の基板の表面処理
方法の構成は上述の通りであり、真空形成のための特別
な装置や設備が必要でなく、しかも、そのための特別な
操作も不必要であり、コスト低下効果に優れ、かつ、取
扱が容易である。また、大気圧プラズマの課題であった
高電力を必要とせず、低い印加電圧かつ短時間で各種表
面処理が可能であり、産業上有用な方法である。また、
電極として高価な誘電体材料を必要とせず、種々の電極
形態にも対応可能であるため、フィルムやシート状の基
板だけでなく、各種の形状を有する基板の表面処理にも
適用できる。本発明3の基板の表面処理方法の構成は上
述の通りであり、上記の本発明の効果をすべて備えると
ともに、金属酸化物被膜が溶射法で得られるので、その
製造が一層容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の表面処理方法に使用されるプ
ラズマ発生装置の一例を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
1 電源部 2 処理容器 3 プラズマ処理部 4 上部の金属電極 5 下部の金属電極 6 金属酸化物被膜が形成された金属板 7 基板 8 ガス導入管 9 ガス導入管 10 ガス出口 11 排気口

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向する金属電極の少なくとも一方の対
    向面が、酸化チタニウム5〜50重量%、酸化アルミニ
    ウム50〜95重量%で混合された金属酸化物被膜によ
    って完全に覆われているプラズマ発生装置の、金属電極
    間に基板を設置し、反応ガスと不活性ガスとの混合ガス
    の大気圧近傍の圧力下で電極に電圧を印加して放電プラ
    ズマを発生させ、そのプラズマによって励起された活性
    種を基板表面に接触させることを特徴とする基板の表面
    処理方法。
  2. 【請求項2】 対向する金属電極の少なくとも一方の対
    向面が、少なくとも酸化ジルコニウムを含有する金属酸
    化物被膜によって完全に覆われているプラズマ発生装置
    の、金属電極間に基板を設置し、反応ガスと不活性ガス
    との混合ガスの大気圧近傍の圧力下で電極に電圧を印加
    して放電プラズマを発生させ、そのプラズマによって励
    起された活性種を基板表面に接触させることを特徴とす
    る基板の表面処理方法。
  3. 【請求項3】 金属酸化物被膜が、厚み10〜1000
    μmであり、溶射によって形成されたものである請求項
    1または2記載の基板の表面処理方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004523649A (ja) * 2000-12-29 2004-08-05 ラム リサーチ コーポレーション 半導体処理装置の窒化ホウ素又はイットリア複合材料の構成部品及びその製造方法
JP2010185144A (ja) * 2002-06-10 2010-08-26 Konica Minolta Holdings Inc 誘電体被覆電極及びそれを用いたプラズマ放電処理装置
JP2011528165A (ja) * 2008-07-16 2011-11-10 エージーシー グラス ユーロップ 誘電バリヤー放電による表面調製のための方法及び設備

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