JPH09208258A - 絶縁体ガラス組成物とこれを用いた厚膜多層回路絶縁層用ガラス組成物 - Google Patents

絶縁体ガラス組成物とこれを用いた厚膜多層回路絶縁層用ガラス組成物

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JPH09208258A JP8053587A JP5358796A JPH09208258A JP H09208258 A JPH09208258 A JP H09208258A JP 8053587 A JP8053587 A JP 8053587A JP 5358796 A JP5358796 A JP 5358796A JP H09208258 A JPH09208258 A JP H09208258A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多数回の焼成を受けても基板の反りが小さ
く、漏れ電流、絶縁耐圧等も良好な厚膜多層回路絶縁用
ガラス組成物を提供する。 【解決手段】 (A)重量基準で、 SiO 28〜38%、B 4〜10%、 Al8〜16%、 MgO 15〜23%、 CaO 1〜12%、 BaO 3〜9%、 ZnO 8〜16%、 ZrO 3〜8%、 からなるガラス50〜85重量%と、(B)アルミナ及
びジルコンから選ばれる1種又は2種以上のフィラー5
0〜15重量%とからなる絶縁体ガラス組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絶縁用に使用する
ガラス組成物であり、さらに詳しくは主として厚膜多層
回路基板の電気絶縁層の形成に用いられる結晶化ガラス
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】厚膜多層回路基板は、焼成されたアルミ
ナなどのセラミック基板上に第一導体層として厚膜導体
ペーストを印刷、焼成し、次いで上下の導体を分離、絶
縁するために絶縁体粉末を有機ビヒクル中に分散させた
絶縁体ペーストを印刷、焼成して絶縁層を形成し、その
上に第二の導体層を印刷、焼成する工程を順次繰返すこ
とにより、導体層と絶縁層を交互に積層していく方法で
製造される。絶縁層には、一般に多数回の焼成を受けて
も再溶融による変形が起こらないよう、耐熱性の高い結
晶化ガラスや、セラミックスフィラーを含有するガラス
組成物が使用されている。
【0003】このような多層回路の絶縁層には、絶縁抵
抗が高いこと、絶縁耐圧が高いこと、洩れ電流が小さい
こと、誘電率が小さいことなどの電気的特性に加えて、
焼成による基板の反りをできるだけ小さくすることが要
求される。反りは基板と絶縁層の熱膨張係数の違いが原
因で生じ、反りが大きいと導体層や絶縁体層のスクリー
ン印刷が困難になる。印刷、焼成を順次行っていくため
に望ましいのは0もしくは(+)の小さい反りである
が、一般に10回以上印刷、焼成を繰返す厚膜多層回路
基板では、積層数が多くなるほど焼成回数も多くなるの
で反りが大きくなり、極端な場合印刷が不可能になる。
この問題は特に基板が大型化するほど重大である。尚、
ここで(+)の反りは印刷、積層する側が凸面になるよ
うな基板の反りのことであり、逆に(−)の反りは印
刷、積層する側が凹面になるような反りのことである。
例えば従来、特公昭46−42917号公報、特公昭5
1−10844号公報、特公昭57−20255号公
報、特開昭46−7671号公報、特開昭59−137
343号公報、特開昭62−137897号公報などに
記載されているような酸化鉛を含有するガラスが知られ
ている。このような酸化鉛系のガラスは、酸化鉛が熱膨
張係数を大きくし、ガラスの柔軟性を増すので絶縁層形
成用としては適していると考えられる。しかし鉛は有害
であるため使用量の低減が望まれており、厚膜多層用に
もできるだけ鉛を含まないガラスが要求されているが、
鉛を減ずるか全く含まないガラスは熱膨張係数の調整が
容易でないため反りの問題を解決するのが困難であっ
た。
【0004】特開昭64−56340号公報は、重量百
分率でSiO20〜40%、BO.5〜7%、
Al5〜20%、MgO10〜25%、CaO+
BaO+SrO0.05〜15%、ZnO10〜30
%、Bi0.5〜10%、ZrO0.5〜10
%からなる、鉛を含まない厚膜多層用の結晶化ガラス組
成物、及びこれにセラミック粉末を0.1〜20重量%
添加した組成物を開示している。しかしこの組成物は、
熱膨張係数が大きいため基板の反りが大きく、多数回の
焼成により印刷が困難になる。更に、上部導体における
ブリスタの発生や導体からのマイグレーションの助長等
により漏れ電流が大きい。又Biを含有しているため絶
縁耐圧が低く、特に多数回焼成後はその値がほぼ1/2
にまで低下してしまい実用上問題となる。特公昭58−
51362号公報及び特公昭59−14203号公報に
は、基板の反りを低減するためMgTiOや、アルカ
リ土類金属のアルミン酸塩及びジルコン酸塩などをフィ
ラーとして添加したガラス組成物が記載されているが、
焼成回数が増すとやはり基板の反りが発生する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は基板の反り、
漏れ電流、絶縁耐圧が改善され、信頼性の高い厚膜多層
回路基板を製造することができ、かつ鉛を含まない絶縁
体ガラス組成物を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、 「1. (A)重量基準で、 SiO 28〜38%、B 4〜10%、 Al8〜16%、 MgO 15〜23%、 CaO 1〜12%、 BaO 3〜9%、 ZnO 8〜16%、 ZrO 3〜8%、 からなるガラス50〜85重量%と、(B)アルミナ及
びジルコンから選ばれる1種又は2種以上のフィラー5
0〜15重量%とからなる絶縁体ガラス組成物。 2. 1項に記載された絶縁体ガラス組成物を用いた厚
膜多層回路絶縁層用ガラス組成物。」に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の絶縁体ガラス組成物は、
熱膨張係数を適切に調整し基板と適合させることに加え
て、絶縁層の結晶化度をコントロールし、焼成回数の増
加によって急激な結晶化を起こさないようにすることに
より反りの問題を解決した。即ち従来のフィラーを含有
するガラス組成物では、例えば結晶化度が850℃で1
回目の焼成後29%、4回焼成後90%、10回焼成後
90%であるものは4回焼成後で基板の反りが+150
μmと非常に大きくなるのに対し、本発明の組成物では
例えば結晶化度が850℃で1回目の焼成後38%、4
回焼成後45%、10回焼成後72%であったものは、
15回焼成後でも反りが0〜+50μm程度であり、焼
成回数による反りの変化も少なかった。このことから本
発明ではガラスは急激に結晶化せず、焼成1回毎に徐々
に結晶化が進むので基板の反りが小さくなるのではない
かと考えられる。又本発明のガラス組成物は800〜9
50℃で熱処理することにより結晶化するが、軟化開始
温度と結晶化温度にやや開きがあり、十分焼結が進行し
て収縮が完了した後に結晶を析出するので、形成される
絶縁層が非常に緻密になり、漏れ電流が小さく、かつ絶
縁耐圧も改善される。
【0008】以下にガラス組成の限定理由を示す。Si
が28%より少ないと誘電損失、基板の反りの焼成
回数による変化が増大する。38%より多くなると絶縁
抵抗や誘電損失が悪化する。Bが4%より少ない
とガラス作成時の溶融が困難となり、10%を越えると
誘電損失、半田濡れ性が悪化する。Alは析出す
る結晶の構成成分であるが、8〜16%の範囲外では適
切な結晶が得られず、反りのコントロールができなくな
る。MgOも析出する結晶の構成成分であり、15%よ
り少ないと結晶化が不十分なため絶縁層の熱膨張係数が
大きくなりすぎ、大きな基板の反りを生じる。又23%
を越えると逆の反りが大きくなる。CaOはガラスの溶
融性を高める成分で、1%より少ないとその効果が小さ
く、又12%を越えると結晶化が進まず、半田濡れ性が
低下する。BaOは結晶の構成成分であるが、3%より
少ないと半田濡れ性が悪く9%より多いと基板の反りが
大きくなる。ZnOも結晶の構成成分であるが、8%よ
り少ないと結晶析出が弱く、又基板の反りも大きくな
る。16%を越えるとガラスの軟化点が低くなりすぎ
て、多数回焼成した時の耐熱性が劣化する。ZrO
結晶の核形成剤として働く。3%より少ないと効果がな
く、8%より多いと誘電損失が悪化する。フィラーとし
てはアルミナ、ジルコン又はその混合物が使用される。
添加量は、基板の反りやブリスタの防止のため15〜5
0重量%の範囲とすることが必要である。15重量%よ
り少ないと反りが(−)に大きくなるうえ、絶縁層がよ
りガラス質になるため脱ガス性が悪く、上部導体にブリ
スタが発生したり半田濡れ性が悪化し、又漏れ電流が増
加する。逆に50重量%より多いと絶縁層がポーラスに
なるため、漏れ電流が増加し絶縁耐圧も低下する。好ま
しくは21〜40重量%の範囲で添加される。
【0009】
【実施例】
実施例1〜8 表1に示す組成のガラス粉末と、アルミナ及びジルコン
からなるフィラー粉末とを混合し、有機ビヒクルと共に
混練して絶縁体ペーストを製造した。尚、表中、フィラ
ーの量はガラスとフィラーの合計量に対する比率(重量
%)で示した。アルミナ基板上にAg/Pd導体ペース
トを印刷し、850℃で焼成して下部導体とし、この上
に上記絶縁体ペーストを印刷し、850℃で焼成した。
重ねて同一の絶縁体ペーストを印刷し、更にこの上にA
g/Pd導体ペーストを印刷した後、850℃で同時焼
成して膜厚約40μmの絶縁層と上部導体を形成した。
各試料につき、絶縁層の膜厚、絶縁抵抗、絶縁破壊電圧
(絶縁耐圧)、1MHzにおける誘電率と誘電損失、漏
れ電流及び上部導体の半田濡れ性を測定し、表1に併せ
て示した。尚、絶縁抵抗はDC100V印加時の抵抗
値、絶縁破壊電圧はリーク電流が1.0mAを超えたと
きの電圧、漏れ電流は基板をNaCl水溶液に浸漬し、
DC10Vを印加したときのリーク電流である。半田濡
れ性は、230℃のPb−Sn共晶半田浴に5秒間浸漬
し上部導体に半田が95%以上付いたものを○、95%
未満のものを△として評価した。次に29mm×95m
m、厚さ0.635mmのアルミナ基板上に、上記絶縁
体ペーストを用いて15mm×95mm、焼成膜厚20
0μmとなるように絶縁層を形成し、850℃で繰返し
焼成を行って、1回焼成後及び8回焼成後の基板の反り
を測定し、表1に示した。
【0010】
【表1】
【0011】比較例1〜6 表1に示した組成の絶縁体ペーストを用い、実施例と同
様にして多層回路を製造した。各試料につき同様にして
特性を調べ、表1に併せて示した。表1からも明らかな
とおり、本発明のガラス組成物を用いて形成された回路
基板は反りが極めて小さく、焼成を重ねても大きくなる
ことがほとんどない。又電気特性も非常に優れたもので
あった。Bi、PbOまたはTiO含む比較例
5〜7は反りが大きくなることがわかる。
【0012】比較例7 重量でSiO31%、B7%、Al14
%、MgO19%、CaO6%、BaO4%、ZnO1
3%、ZrO5%、Bi1%からなるガラス粉
末75重量%と、アルミナ及びジルコンからなるフィラ
ー粉末25重量%とを混合し、有機ビヒクルと共に混練
して絶縁体ペーストを製造した。このペーストを用い、
実施例と同様にして多層回路を製造した後、更に850
℃で10回の繰返し焼成を行った。絶縁破壊電圧を測定
したところ、1回焼成後は3200Vであったのに対
し、10回焼成後は1800Vに低下した。尚、実施例
のペーストでは繰返し焼成を行っても絶縁破壊電圧の劣
化はほとんど見られない。
【0013】
【発明の効果】本発明の絶縁体ガラス組成物を絶縁層形
成材料として用いることにより、多数回の焼成を受けて
も基板の反りが小さく、かつ漏れ電流、絶縁耐圧等の特
性も優れた高信頼性の厚膜多層回路基板を製造すること
ができる。又本発明のガラス組成物は鉛を含まないの
で、環境上の問題がない。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)重量基準で、 SiO 28〜38%、B 4〜10%、 Al8〜16%、 MgO 15〜23%、 CaO 1〜12%、 BaO 3〜9%、 ZnO 8〜16%、 ZrO 3〜8%、 からなるガラス50〜85重量%と、(B)アルミナ及
    びジルコンから選ばれる1種又は2種以上のフィラー5
    0〜15重量%とからなる絶縁体ガラス組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された絶縁体ガラス組成
    物を用いた厚膜多層回路絶縁層用ガラス組成物。
JP05358796A 1996-02-06 1996-02-06 絶縁体ガラス組成物とこれを用いた厚膜多層回路絶縁層用ガラス組成物 Expired - Lifetime JP3647130B2 (ja)

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