JPH09205877A

JPH09205877A - 椎茸の菌床栽培法とこれに用いる培養箱

Info

Publication number: JPH09205877A
Application number: JP8037493A
Authority: JP
Inventors: Kazuo Akaishi; 和男赤石; Katsumi Chikui; 勝己筑井
Original assignee: MORI SANGYO KK
Current assignee: MORI SANGYO KK
Priority date: 1996-01-31
Filing date: 1996-01-31
Publication date: 1997-08-12

Abstract

(57)【要約】【課題】椎茸の菌床栽培において、椎茸の生産者によ
る一貫生産は勿論、菌床業者が培養する培養途中の菌床
を生産者が購入しても安全かつ確実に椎茸栽培すること
ができる椎茸の菌床栽培と、これに使用する出荷箱を兼
ねた培養箱を提供する。【解決手段】蓋体３を閉じた状態で中央部に所定の大
きさの開口部４が形成される培養箱２に、椎茸菌を接種
してプラスチック袋に入れた菌床を収容し、これら培養
箱の多数を簡易な培養施設内で平面方向及び立体方向に
間隔を存して多段に透し積みし、培養箱２の側面に設け
た通気孔５を介して培養箱２内の換気を図りながら菌糸
の培養を行い、必要に応じて培養途中の菌床を培養箱２
に入れたまゝ栽培者に出荷し、培養の完了後に菌床を培
養箱２から取り出し、かつプラスチック袋から取り出し
て爾後常法によって椎茸を生産する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、おが屑などの培
地基材を主体とする人工培地による椎茸の菌床栽培法
と、これに使用する培養箱に関するものである。より詳
しくは、椎茸菌を接種して菌糸の蔓延が完了するまでの
間の培養期間中に要請に応じて菌床を安全かつ容易に出
荷し、出荷先において菌糸の蔓延操作を継続させて確実
に蔓延させることができる椎茸の菌床栽培法と、これに
使用する培養箱に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】椎茸の菌床栽培は、広葉樹のおが屑に栄
養源を乾燥重量比で約２５％の割合で混合し、水分調整
した培地を容器、たとえば、所定の径のポリプロピレン
などのプラスチック袋に詰めて殺菌・冷却し、これに椎
茸菌を接種して菌糸の蔓延をはかる培養を行い、菌糸の
蔓延した菌床を袋から取り出して栽培棚に並べて椎茸の
栽培を行うものであった。

【０００３】かゝる椎茸の菌床栽培の型式には、大別し
て原料（培地など）の仕込みから生産までを経営者が一
貫して行う一貫生産型と、経費を多く要する仕込み培養
を菌床生産業者が行い、出来あがった菌床または培養途
中の菌床を椎茸の栽培者が購入して栽培する菌床購入型
とがある。

【０００４】菌床購入型の場合は、通常、菌床生産業者
が椎茸菌を接種して菌糸が培地のほゞ肩口近くまで蔓延
したものを箱に適宜数収容して栽培者（購入者）に向け
て出荷しており、その出荷の時期は、栽培者が最も栽培
し易いおおむね１月〜４月までの間である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】この菌床の出荷の時期
は、栽培者の都合によって４月〜６月にずれ込む場合が
しばしば生ずる。このような出荷時期のずれ込みは、主
として栽培者側が培養途中の菌床を引き取って培養をさ
らに進めるためには、管理に有利な所定の設備の培養施
設を必要とし、この培養施設の年間を通じた利用率が低
いことに起因して、培養を完了した菌床を引き取ること
が栽培上も経済的にも有利であることによるためと考え
られる。

【０００６】しかしながら、かゝる出荷のずれは、菌床
生産業者側にとっては在庫が増加することになると共
に、この在庫の増加が菌床の量産のネックとなるので好
ましいものではない。また、出荷が遅れることによって
培地の肩口近くまで蔓延した菌糸が事実上蔓延完了の状
態となり、出荷後にこれを直ちに容器（プラスチック
袋）から取り出して栽培棚に並べて、適切な栽培環境下
に置かないと高温障害の発生と同時に、子実体の発生に
必要な被膜形成が不充分となるという不利益をもたら
す。

【０００７】一方、現在使用されている菌床出荷のため
の出荷箱は、箱詰後の培養で発生する呼吸熱の放出が不
充分である。したがって、出荷箱に詰めた菌床を常温下
で積み重ねたり、輸送途中で季節的な高温などの悪条件
に曝されたりすると、菌床内の温度が上昇して菌糸の伸
長が停止したり死滅したりすることがあるので、菌床の
出荷時期のずれ込みは菌床生産業者、栽培者の双方にと
って決して有利なものではない。

【０００８】この発明は椎茸の菌床栽培における上記の
現状に鑑み、特定の構造の培養箱を使用することによっ
て、菌床の出荷時期をずれ込ませることなく培養途中の
菌床を所定の時期に出荷でき、この菌床を引き取った栽
培者が安全かつ容易に菌糸の培養を継続でき、しかも最
終的に優れた収率で椎茸を得ることができる椎茸の菌床
栽培法と、この菌床栽培法に使用する出荷箱を兼ねた培
養箱を提供せんとするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明の請求項１に記載の発明は、上縁部の四
周に設けた蓋体を閉じた状態で中央部に所定の開口部を
形成することができ、かつ側面に適宜の数の通気孔を設
けた出荷箱兼用の培養箱を使用して行うものであって、
容器に収容した状態で人工培地に椎茸菌を接種して得た
菌床の所定数を前記培養箱内に収容し、これら培養箱の
多数を培養施設内において、平面方向には縦横に所定の
間隔を保持して規則的に配置し、立体方向には上段の培
養箱の対向する両下縁部が、下段の縦もしくは横方向に
間隔を保持して配置した隣り合った培養箱の上縁部の一
部に接して前記隣り合った培養箱間に架橋状に多段に積
載し、各培養箱内の菌床に対して通気を図りつゝ菌糸の
培養を行い、完熟状態の菌床を容器から取り出し、爾後
常法によって椎茸を栽培することを特徴とする椎茸の菌
床栽培法である。

【００１０】また、この発明の請求項２に記載の発明
は、請求項１記載の椎茸の菌床栽培法において、培養箱
を平面方向に配置し、かつ立体方向に積載して行う培養
途中の菌床を培養箱に収容したまゝ出荷し、出荷先で同
様の配置によって菌糸の培養を図ることを特徴とする椎
茸の菌床栽培法である。

【００１１】さらに、この発明の請求項４に記載の発明
は、ボックス状本体の四周上縁部にそれぞれ一体的に連
設して設けた蓋体の一部を切除し、各蓋体を閉じたと
き、各蓋体の上縁部によってボックス状本体の中央部に
所定の大きさの開口部が形成されるように構成すると共
に、側面に適宜数の通気孔を設け、内部に容器に収容し
た状態で人工培地に椎茸菌を接種して得た菌床を収容し
て菌糸の培養を図ることができ、かつ菌床を収容した状
態で出荷することもできる出荷箱を兼ねた椎茸の菌床栽
培に用いる培養箱である。

【００１２】

【発明の実施の形態】この発明の椎茸の菌床栽培法は、
特定の構造の培養箱を使用して菌糸の蔓延を図るもので
ある。この培養箱は、公知の段ボール箱の蓋体の幅をそ
れぞれ少なくとも１／３以上を切除することによって得
ることができる。すなわち、この発明において使用する
培養箱は、人工培地に接種し、かつ容器に収容した椎茸
菌の菌糸の活着と蔓延を効果的に行うために通気性を高
めると同時に、培養箱を上下方向に積み重ね可能とする
ため、ボックス状本体の四周上縁部にそれぞれ一体的に
連設して設けた蓋体の一部を切除し、各蓋体を内側に折
り曲げて閉じたとき、各蓋体の上縁部によってボックス
状本体の中央部に所定の大きさの開口部が形成されるよ
うに構成したものである。

【００１３】この培養箱は、各側面にボックス状本体内
の換気を図るための通気孔が形成されていることが好ま
しく、短辺側の対向する側面の上部には、通気孔を兼用
させて長孔からなる把手部を形成することがより好まし
い。かゝる培養箱は、基本的には市販されている所定の
大きさの段ボール箱を利用し、その蓋体の一部を幅方向
に切除して構成するものであるが、合成樹脂材料を使用
して蓋体を閉じたときに中央部に所定の形状の開口部が
形成される培養箱を成形してもよい。

【００１４】かゝる培養箱は、その多数を簡易な培養施
設内で水平方向と立体方向に所定の間隙を設けた、いわ
ゆる透し積みによって多段に配置して培養箱内の各菌床
に通気性を与えつゝ菌糸の蔓延を図り、菌床を箱詰めし
てから栽培者が栽培棚に並べるまでの間に遭遇する高温
障害の危険を防止して培養するものである。培養箱の立
体的な積載段数は、通気性と培養箱の強度とを考慮して
定めることができ、好ましくは７段以下、より好ましく
は５〜６段程度である。

【００１５】前記の培養箱を収容して菌糸の培養を図る
ための培養施設としては、培養箱の収容数によっても異
なるが、パイプ等によって形成したハウスの骨格に合成
樹脂シートなどを張設した自然通風によって換気するこ
とできる照明付きのすこぶる簡単な構造で安価な培養ハ
ウスなどを使用して行うことができるもので、かゝる培
養ハウスは菌床栽培業者が生産した培養途中の菌床を栽
培者が引き取って培養を継続し完了させるための充分に
廉価な培養施設である。

【００１６】前記培養施設における培養箱の多段の透し
積みによる培養は、通常１月から４月の間に開始するも
ので、５月初旬頃から被膜の形成が始まり、容器から菌
床を取り出す８月頃には菌床の表面の約７〜９割が被膜
で覆われて褐変化し、従来行っている培養棚で１個宛並
べたものと同程度か、もしくはこれを凌駕する椎茸の発
生に必要な条件を具備するに至るものである。

【００１７】前記培養施設における照度は５０〜３００
ルクスがよく、３月頃までは特に暑い日を除いてはほゞ
閉め切ったまゝで培養することができ、４月以降は内部
に風が通るようにして管理することがよく、入口や妻窓
などを開けて換気すると菌床を高温障害から守ことがで
きる。その際、培養のバラツキをなくするために、６月
を中心にして上段の培養箱を下段へと移動するなど培養
箱の積み替えを行う措置を講じることによって上下段の
差による被膜形成の良否がなくなった均一被膜の菌床が
得られる。

【００１８】この培養箱は培養の初期や培養の途中で、
そのまゝ出荷箱として出荷することができ、出荷に際し
て内部の菌床が高温障害によって菌糸の伸長停止したり
死滅したりするおそれがない。また、出荷箱として出荷
したものをそのまゝ培養箱として多段に積み重ねて使用
することができる。さらに、前記の補強部と内部に適宜
に使用する中仕切とによって、上下多段に積載した場合
の重量による箱の圧壊や、出荷箱として移動させる際の
破損に充分耐えるものである。使用する中仕切は上記し
た箱の強度の保持と共に、搬送時に内部の菌床が移動し
て損傷することを防止することができる。

【００１９】

【作用】この発明の椎茸の菌床栽培法は、椎茸菌を接種
してプラスチック袋などの容器に入れた菌床を、蓋体を
閉じた状態で中央部に所定の大きさの開口部が形成する
ことのできる培養箱に収容し、この培養箱の多数を簡易
な培養施設内でいわゆる透し積みによって多段に配置
し、培養施設内の温度および湿度を常法に従ってコント
ロールすることによって、培養箱内の各菌床に通気性を
与えつゝ菌糸の蔓延を図ることができ、これによって簡
易な培養施設で安全かつ安価に菌糸の培養を行うことが
できる。

【００２０】この発明の椎茸の菌床栽培に用いる培養箱
は、菌床生産業者が所定数の菌床を入れてほゞ完全に密
閉して出荷している従来使用の出荷箱を、密閉すること
なく蓋となる上面の部分の周囲を補強部として所定幅で
残して中央部を開口させ、この開口と側面の四周に設け
た適宜数の通気孔とによって箱に通気性を持たせ、また
上記の補強部と必要により使用する中仕切りによって箱
に所要の強度と耐久性を持たせたものである。したがっ
て、この培養箱に菌床を入れて透し積みすることにより
菌床に高温障害によるトラブルを生ずることなく優れた
培養が可能であり、培養途中においてこれをそのまゝ出
荷箱として使用することができるものである。

【００２１】

【実施例】以下、この発明の椎茸の菌床栽培法とこれに
用いる培養箱の実施例を、添付の図面に基づいてより具
体的に説明する。実施例１広葉樹のおが屑に栄養源を２５％の乾燥重量比で混合
し、水分を６３％に調整した培地を直径１２ｃｍの上部
にフィルターを有するポリプロピレン製の培養袋に１．
３ｋｇとなるように充填して殺菌し冷却した後、椎茸種
菌（森ＭＭ１；森産業株式会社のおが種菌）を接種して
菌床を形成し、これを培養袋に入れたまゝ培養箱に収容
した。図１に示すように、培養箱２の寸法は、縦ａ４０
０ｍｍ×横ｂ５２０ｍｍ×高さｃ２２０ｍｍの汎用の段
ボール箱からなるもので、各蓋体３，３・・の幅が約７
０ｍｍとなるよう余分な部位を切除し、蓋体３，３・・
を閉じたとき、中央部に所定の大きさの開口部４が形成
されると共に、各側面に各３個の通気孔５，５・・・を
形成したものである。

【００２２】この培養箱２の中には、図２に示すよう
に、培養袋に入れた前記の菌床１を縦方向に３個、横方
向に４個宛収容し、適宜数の段ボールからなる中仕切
６，６・・によって立体方向への積載時に培養箱の圧壊
が生じないようにすると共に、培養箱の搬送に際して菌
床の移動がないように保持した。これらの菌床１を収容
した培養箱２は、その多数を図５に示す簡易な培養ハウ
ス７内に収容した。

【００２３】この培養ハウス７は、直径１９ｍｍ〜２５
ｍｍφのパイプを使用して全体かまぼこ型のハウスの骨
格を形成し、骨格の内側に寒冷紗からなるシートを、そ
の外側にポリエチレンフィルムからなるシートを張設
し、ハウスの長手方向における側面のシートを地上から
適宜の高さで巻き上げて通気することができるようにす
ると共に、かまぼこ型の一方の正面に出入口８を、ま
た、正面と背面の上部には換気用の妻窓９を形成したも
ので、その大きさは横１６５００ｍｍ×縦５４００ｍｍ
×高さ３０００ｍｍ（床面積として約８９ｍ²）のきわ
めて簡易な構造のものである。なお、この培養ハウス７
内は、側面シートの巻き上げによって最高約１０００ル
クスまでの照度に調整することができるようにしてあ
る。

【００２４】この培養ハウス７内に収納する培養箱２
は、以下のとおりの透し積みの方式によって多段に配置
される。すなわち、図２に示すように、平面方向には、
隣り合った培養箱２，２の横の間隔Ｘを約２６０ｍｍに
保持して並べ、縦の間隔Ｙを約１５０ｍｍの間隔を保持
して規則的に並べる。また、立体方向には、図３および
図４に示すように、上段の培養箱２の対向する横の両下
縁が、間隔Ｘを保持して隣り合って並べた下段の培養箱
２，２・・・のそれぞれの上面に残された補強部３，３
の部分に丁度載るようにしたいわゆる透し積みによって
各培養箱間に架橋状に６段に積載して培養箱２を８５４
箱を培養ハウス７内に収容した。したがって、菌床の合
計数は、８５４箱×１２＝１０２４８個である。なお、
図４の左端の下から２段目および４段目の培養箱は下段
の培養箱で支持されていないため、この部分に支持板１
０，１０を介在させて荷崩れのないように安定性を確保
した。

【００２５】この状態で培養ハウス７内の照度を５０〜
３００ルクスに調整し、２月中旬から８月上旬まで自然
温度で培養した。この間の６月初旬に各培養箱２の積み
替えを実施して、上段の培養箱を下段に移動させて上下
段の培養箱内の菌床の培養に差の出ないようにして被膜
形成の均一化を図った。

【００２６】培養が完了した菌床１を培養箱から取り出
すと同時に袋からも取り出し、５００〜１０００ルクス
の照度の発生室の棚に並べて直ちに散水を始め、この散
水を毎日実施して菌床の熟成を行った。椎茸の発生は１
０月上旬から始まり、翌年４月まで連続して発生した。
発生室の温度は１２月から２月までは加温により発生室
温度を８〜１８℃に保持し、それ以外の月は加温しない
で栽培し、発生中の散水は椎茸を採取したのちは３〜４
日毎に１５分間行うように切り換えた。

【００２７】１０月から４月の間に発生した椎茸の重量
は、１菌床当たりほゞ５５０ｇであり、そのうちＭ級以
上の大きさのものは７４％であった。また、１０月から
４月までの月別の発生重量の分布は１０月が６％で以後
の月は１１月が１９％，１２月が１７％，１月が１５
％，２月が１７％，３月が１４％で、４月は１２％であ
った。

【００２８】実施例２実施例１において、菌床１を収容して培養ハウス７内で
培養中の培養箱２を、４月下旬に栽培者の要請によって
５００箱分の培養箱を、培養ハウス７内から搬出してト
ラックで約１００キロメートル離れた栽培者の施設まで
搬送し、栽培者がセットした同様の簡易な培養ハウス内
において、前記と同様にして６段の透し積みして培養を
継続した。前記の搬送により菌床には高温障害によるト
ラブルは全く認められず、実施例１とほゞ同様の栽培結
果を得た。

【００２９】

【発明の効果】この発明の椎茸の菌床栽培法は、椎茸菌
を接種してプラスチック袋などの容器に入れた菌床を、
上面の蓋となる部分に設けた開口部と、側面に設けた通
気孔によって通気性を持たせた特異な構造の培養用箱に
収容し、この培養箱の多数を簡易な培養施設内でいわゆ
る透し積みによって多段に配置して培養箱内の各菌床に
通気性を与えつゝ菌糸の蔓延を図るもので、これによっ
て簡易な培養施設で安全かつ安価に菌糸の培養を行うこ
とができる。

【００３０】特に、この発明の椎茸の菌床栽培法によれ
ば、安価かつ簡易な培養施設を使用して培養することが
できるので、一貫生産型の椎茸栽培の場合は無論のこ
と、菌床購入型の椎茸栽培における菌床生産業者が行っ
た培養途中の菌床を、栽培者の都合によってずれ込ませ
ることなく所定の時期に出荷することができ、これによ
って菌床生産業者にとって効率よく菌床を量産すること
ができる。一方、栽培者はこの培養途中の菌床を所定の
時期に引き取ることによって高温障害を生ずることなく
菌床に優れた被膜を形成させることができ、高い収穫量
で優れた品質の椎茸を生産することができるものであ
る。

【００３１】この発明の椎茸の菌床栽培に用いる培養箱
は、蓋となる上面の部分の周囲を補強部として所定幅で
残して中央部を開口させ、この開口と側面の四周に設け
た適宜数の通気孔とによって箱に通気性を持たせ、また
上記の補強部と必要により使用する中仕切りによって箱
に所要の強度と耐久性を持たせたものである。したがっ
て、この培養箱に菌床を入れて多段に透し積みすること
により、充分な強度を保持して菌床に高温障害によるト
ラブルを生ずることなく優れた培養が可能であり、培養
途中においてこれをそのまゝ出荷箱として輸送に使用す
ることができるものである。この培養箱は、従来菌床の
出荷箱として使用されている段ボール箱に若干手を加え
るだけで充分使用できるので、椎茸の菌床栽培の経済性
にも大きく貢献することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の椎茸の菌床栽培法に使用する培養箱
の一例を示す斜視図である。

【図２】この発明の椎茸の菌床栽培法における培養箱の
平面方向の配置の一例を示す平面図である。

【図３】この発明の椎茸の菌床栽培法における培養箱の
立体方向の配置の一例を示す平面図である。

【図４】同じく培養箱の立体方向の配置の一例を示す側
面図である。

【図５】この発明の椎茸の菌床栽培法に用いる培養ハウ
スの一例を示す正面図である。

【符号の説明】

１菌床２培養箱３蓋体４開口部５通気孔６中仕切７培養ハウス

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】上縁部の四周に設けた蓋体を閉じた状態
で中央部に所定の開口部を形成することができ、かつ側
面に適宜の数の通気孔を設けた出荷箱兼用の培養箱を使
用して行うものであって、容器に収容した状態で人工培
地に椎茸菌を接種して得た菌床の所定数を前記培養箱内
に収容し、これら培養箱の多数を培養施設内において、
平面方向には縦横に所定の間隔を保持して規則的に配置
し、立体方向には上段の培養箱の対向する両下縁部が、
下段の縦もしくは横方向に間隔を保持して配置した隣り
合った培養箱の上縁部の一部に接して前記隣り合った培
養箱間に架橋状に多段に積載し、各培養箱内の菌床に対
して通気を図りつゝ菌糸の培養を行い、完熟状態の菌床
を容器から取り出し、爾後常法によって椎茸を栽培する
ことを特徴とする椎茸の菌床栽培法。
【請求項２】請求項１記載の椎茸の菌床栽培法におい
て、培養箱を平面方向に配置し、かつ立体方向に積載し
て行う培養途中の菌床を培養箱に収容したまゝ出荷し、
出荷先で同様の配置によって菌糸の培養を図ることを特
徴とする椎茸の菌床栽培法。
【請求項３】前記人工培地は、おが屑などの培地基材
に必要に応じて栄養剤などを添加すると共に、所定の水
を加え、容器に詰めて殺菌したものであることを特徴と
する請求項１又は２記載の椎茸の菌床栽培法。
【請求項４】ボックス状本体の四周上縁部にそれぞれ
一体的に連設して設けた蓋体の一部を切除し、各蓋体を
閉じたとき、各蓋体の上縁部によってボックス状本体の
中央部に所定の大きさの開口部が形成されるように構成
すると共に、側面に適宜数の通気孔を設け、内部に容器
に収容した状態で人工培地に椎茸菌を接種して得た菌床
を収容して菌糸の培養を図ることができ、かつ菌床を収
容した状態で出荷することもできる出荷箱を兼ねた椎茸
の菌床栽培に用いる培養箱。
【請求項５】前記培養箱は、段ボール箱であることを
特徴とする請求項４記載の椎茸の菌床栽培に用いる培養
箱。
【請求項６】前記培養箱が、着脱自在な中仕切板を備
えたものであることを特徴とする請求項４又は５記載の
椎茸の菌床栽培に用いる培養箱。