JPH0475731B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 本発明は、きのこ培養基を培養して菌糸を蔓延
させるきのこの培養基に関するものである。 〔従来の技術〕 近年、しいたけ等のきのこ栽培において、培養
容器内で菌糸を蔓延させた培地を取り出し榾木化
したものを用いてきのこ培養を行う方法が開発さ
れ汎用されている。上記培養容器内で菌糸を蔓延
させる方法としては、培養袋や培養瓶に培地を充
填し殺菌したのちこれに所定の種菌を接種して得
られるきのこ培養基（以下、単に培養基」とい
う）を、空調された閉鎖空間内で培養させて菌糸
を蔓延させる方法が行われている。上記培養基の
培養を大量に行うには、例えば第９図に示すよう
に、培養基１を、底面に多孔を有した浅いトレイ
２に複数個載せ、このトレイ２を多段に積載して
培養ブロツク３をつくる。そして、さらにこの培
養ブロツク３を、第１０図に示すように、殆ど〓
間なく並べて培養を行う方法が一般的に用いられ
ている。 〔発明が解決しようとする課題〕 しかしながな、上記のような配列にすると、空
調された空気は、並べられた培養ブロツク３の周
辺を循環するのみで、培養ブロツク３の各段の内
側に入り込んで充分に培養基１周辺の換気や熱交
換を行うには至らない。このため、並べられた培
養ブロツク３の内側に置かれた培養基１の周囲に
は、呼吸作用によつて発生する二酸化炭素と熱と
が充満し、菌糸の生長が遅れ、菌糸蔓延日数にば
らつきが生じてしまう。これでは効率よく菌糸蔓
延菌糸塊を量産することができない。そこで、
各培養ブロツク３においてトレイ２を間隔をあけ
て収容するようにする、培養ブロツク３を、第
１１図に示すように間隔をあけて並べる、等の対
応策が講じられている。培養に要する空間効率が
悪くなる割りに、さほどの効果が得られないのが
実情である。 本発明は、このような事情に鑑みなされたもの
で、菌糸蔓延日数にばらつきのない均一かつ良好
な培養を行うことのできるきのこの培養方法の提
供をその目的とする。 〔問題点を解決するための手段〕 上記の問題を達成するため、本発明は、側板お
よび底板に多数の通気孔を有し、側板の高さが、
収容するきのこ培養基（そのままのものおよび容
器入りのものの双方を含む）の高さよりも20〜50
mm高くなるよう設定された上面開放型のコンテナ
内に、きのこ培養基を複数個ずつ複数列に並べて
収容し、このコンテナを多段に積載して多段式培
養ブロツク化してきのこの培養を行う方法であつ
て、上記多段式培養ブロツクを複数個準備し、各
多段式培養ブロツクの側板同士を互いに当接もし
くは接近させた状態で環状に配置して、その中央
部に上下方向に延びる空間部を、下方から上方に
向かう空気の自然対流を作り出すように形成した
きのこの培養方法を第１の要旨とし、上記多段式
培養ブロツクを、中央部に開口が形成されたパレ
ツト上に、その開口を取り囲むようにして複数個
載せ、さらにパレツトごと多段に積み上げてその
中央部に上下方向に延びる空間部を、下方から上
方に向かう空気の自然対流を作り出すように形成
したきのこの培養方法を第２の要旨とする。 〔作用〕 すなわち、本発明は、側板および底板に多数の
通気孔を有し、側板が培養基よりも所定寸法だけ
高く設定された上面開口型のコンテナ内に、きの
こ培養基を、複数個ずつ複数列に並べて収容する
ようにしたものである。したがつて、コンテナ内
に培養基がすつぽりと収まり、コンテナの側板お
よび底板の通気孔を通じて制御的に通気が行われ
るため、空気移動が特定の部分のみに過度に生じ
て培養基が乾燥するようなことがない。そして、
上記コンテナを多段に積載した多段式培養ブロツ
クを、従来のように詰めて並べたり漫然とあけて
並べるのでなく、互いのいずれかの側板同士を当
接もしくは接近させた状態で環状に並べて中央部
に上下方向に延びる空間部を形成するようにした
ものである。このため、上記空間部の周囲は、重
なり合つた多層のきのこ培養基によつて、略閉鎖
的に囲まれることとなり、空間部がいわゆる「煙
突効果」を発揮して、多段式培養ブロツクで囲ん
だ上記空間部において、空気が下から上に上昇
し、環状の多段式培養ブロツクの外側で冷却され
て下降しながら各培養基内に取り込まれるという
自然対流が作り出されるようになる。したがつ
て、各培養基から発生する呼吸熱が効率よく中央
の空間部を通つて培養ブロツク外に除去されると
ともに空調された空気が培養ブロツク内の隅々ま
でいきわたるようになり、各培養基の菌糸蔓延日
数がばらつくことがない。そして、培養に要する
スペースも、第１０図の配列に比べて最小限の増
加で足り、殆ど無駄がない。 つぎに、本発明を実施例にもとづいて詳細に説
明する。 〔実施例〕 まず、第１図に示すようなコンテナ１０を用意
した。このコンテナ１０は、上面開放箱型に成形
されたプラスチツク成形体で、その側板１０ａお
よび底板１０ｂには細かい通気孔が多数分配され
てざる状になつている。そして、コンテナ１０の
四隅に垂設する縦辺部１１は肉厚が形成されてお
り、その上端部および下端部が、コンテナ１０を
積み重ねて上下に連結できるような凹凸構造とな
つている。 一方、つぎのようにしてしいたけの培養基を調
製した。すなわち、まず鋸屑（10メツシツパス以
下のもの）と米ぬかを５：１の割合で混合し、加
水して培地含水率を70重量％に調整した。つぎ
に、この培地を長さ300mmの円筒形に成形された
ポリプロピレン製袋に１Kgずつ充填し、通常の通
気孔が形成されたキヤツプ装着後、オートクレー
ブに入れて121℃、90分間加熱蒸気滅菌した。そ
して、蒸気滅菌済培地に穴あけし、予め鋸屑培地
で培養したしいたけ菌を無菌接種して培養基とし
た。なお、このしいたけ培養基の高さは160mmで
ある。 このしいたけ培養基９を、第２図に示すよう
に、上記コンテナ１０に18個づつ並べたのち、第
３図に示すように順次段積みし、10段積み上げた
（培養基数ｎ＝180）。このようにして得られた培
養ブロツク１１を、第４図に示すように、中央に
開口１２ａが形成された略正方形のパレツト１２
上に、上記開口１２ａを囲むように環状に４個並
べた。上記パレツト１２は、第５図に示すよう
に、底面１２ｂがスノコ状に形成されていて上下
方向に通気が可能になつている。そして、上記底
面１２ｂは一定の〓間１２ｃを介して２重になつ
ており、その〓間１２ｃにフオークリフトのフオ
ークを差し込むことができるようになつている。
なお、パレツト１２の材質はステンレスである。 このようにして培養ブロツク１１を載せたパレ
ツト１２を、パレツト１２の底面１２ｂの〓間に
フオークリフトのフオークを差し込んでパレツト
１２ごと持ち上げて培養室内に運搬し、第６図に
示すように、パレツト１２ごと降ろし、さらにも
う一パレツト１２′を運搬してこの上に降ろして
２段に積み上げた。この一連の動作を繰り返して
パレツト２段積み（培養ブロツク４個、培養基数
720個）のものを順次培養室内につくり、20℃雰
囲気下で培養を行つた。なお、コンテナ１０の側
板１０ａの高さは200mmであり、多段に積み上げ
たときの培養基９の上面と、その上のコンテナ１
０の底面との間には、厚み（第３図にＹで示す）
40mmの空〓が形成された。 また、対照例として、第９図に示すトレイ２を
用い、第１０図の並べ方で上記と同様の培養を行
つた。 その結果を下記の表に示す。

〔発明の効果〕

以上のように、本発明は、きのこ培養基を特殊
なコンテナに複数個収容しこれを多段に積載した
多段式培養ブロツクを環状に並べて中央部に上下
に延びる空間部を形成してきのこの培養を行うた
め、この空間部の周囲が、殆ど〓間なく複数列で
重なつたきのこ培養基によつて略閉鎖的に囲まれ
ており、上記空間部が「煙突効果」を発揮するよ
うになる。すなわち、上記空間部を通じて、各培
養基から発生する呼吸熱が上昇して効率よく培養
ブロツク外に除去されるとともに空調された空気
が培養ブロツクの周囲から内側に取り込まれて
隅々までいきわたり、各培養基の菌糸蔓延日数が
ばらつかず、均質な菌糸蔓延状態の菌糸塊を量産
することができる。そして、培養に要するスペー
スも、従来の詰めた並び方に比べて最小限の増加
で足り、殆ど無駄がないという利点を有する。し
かも、培養基が、コンテナ内にすつぽりと収まつ
た状態で培養され、通気が、コンテナ側板および
底板の通気孔によつて制限的に行われるため、偏
つた空気移動で培養基の特定の部分が過度に乾燥
するようなことはないという利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に用いるきのこ培養
用コンテナを示す斜視図、第２図はこれに培養基
を収容した状態を示す図、第３図はこれを多段に
積載して培養ブロツク化した状態を示す縦断面
図、第４図は上記培養ブロツクをパレツト上に載
せる際の並び方を示す平面図、第５図は上記パレ
ツトを説明する斜視図、第６図は培養ブロツクを
載せたパレツトを２段に積み上げた状態を示す正
面図、第７図は培養基の菌糸蔓延状態を概念的に
示す線図、第８図は培養ブロツクの他の並べ方を
示す平面図、第９図は従来のきのこの培養ブロツ
クを示す縦断面図、第１０図は上記培養ブロツク
の並べ方を示す平面図、第１１図はその変形例を
示す平面図である。 ９…培養基、１０…コンテナ、１０ａ…側板、
１０ｂ…底板、１１…培養ブロツク、１２…パレ
ツト、１２ａ…開口、２０…空間部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 側板および底板に多数の通気孔を有し、側板
   の高さが、収容するきのこ培養基の高さよりも20
   〜50mm高くなるよう設定された上面開放型のコン
   テナ内に、きのこ培養基を複数個ずつ複数列に並
   べて収容し、このコンテナを多段に積載して多段
   式培養ブロツク化してきのこの培養を行う方法で
   あつて、上記多段式培養ブロツクを複数個準備
   し、各多段式培養ブロツクの側板同士を互いに当
   接もしくは接近させた状態で環状に配置して、そ
   の中央部に上下方向に延びる空間部を、下方から
   上方に向かう空気の自然対流を作り出すように形
   成したことを特徴とするきのこの培養方法。 ２ 請求項１記載の多段式培養ブロツクを、中央
   部に開口が形成されたパレツト上に、その開口を
   取り囲むようにして複数個載せ、さらにパレツト
   ごと多段に積み上げてその中央部に上下方向に延
   びる空間部を、下方から上方に向かう空気の自然
   対流を作り出すように形成したことを特徴とする
   きのこの培養方法。