JPH0920532A - 高強度高靱性ガラス複合材料及びガラス複合粉末並びにそれらの製造方法 - Google Patents

高強度高靱性ガラス複合材料及びガラス複合粉末並びにそれらの製造方法

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JPH0920532A
JPH0920532A JP18767895A JP18767895A JPH0920532A JP H0920532 A JPH0920532 A JP H0920532A JP 18767895 A JP18767895 A JP 18767895A JP 18767895 A JP18767895 A JP 18767895A JP H0920532 A JPH0920532 A JP H0920532A
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芳春 和久
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道之 鈴木
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良彦 織田
Yasuhiko Kamitoku
泰彦 神徳
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 約1000℃以下の温度域で構造材料部材と
して安定的に使用されるガラス複合材料及びその焼結用
原料粉末並びにそれらの製造方法を提供する。 【構成】 酸化物系ガラスをマトリックスとし、扁平状
の延性金属及びセラミックスウイスカー及び/又は無機
質短繊維を強化相とすることを特徴とする高強度高靱性
ガラス複合材料。該複合材料は、扁平な延性金属粉末表
面に酸化物系ガラス粉末及びセラミックスウイスカー及
び/又は無機質短繊維が付着しているガラス複合粉末を
出発原料とし、この混合粉末を成形後、200〜180
0℃で焼結することにより得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、約1000℃以下の温
度域で構造材料部材として安定的に使用されるガラス複
合材料及びその焼結用原料粉末並びにそれらの製造方法
に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】ガラスは現在工業材料とし
て広範な分野に使用されているが、強度及び靱性が低い
ことから、その構造部材ヘの利用が阻害されている。こ
のため、機械的特性、特に靱性や強度の向上を目的とし
た複合化が検討されてきている。複合化させる強化材と
しては、セラミックスの粒子やウイスカー(例えば特開
昭63−282131号)及び長繊維(例えば特開昭5
6−169152号)を使用した技術が開示されてい
る。
【0003】上述した技術によれば、いずれにおいても
機械的特性は改善され、実際に論文で報告されている結
果を示すと、ウイスカーを使用した場合では、ボロシリ
ケートガラスマトリックスを各種のSiCウイスカーで
強化(20体積%)した複合材料で、曲げ強度12〜1
8kg/mm2 、破壊靱性3.8〜5.5MPam1/2 の値
(Ceram.Eng.Sci.Proc.,7(7-8)(1986)978.)が報告され
ている。長繊維を使用した場合では、LASガラスマト
リックスをSiC繊維で一方向強化(44体積%)した
複合材料で繊維方向では、曲げ強度約65kg/mm2 、破
壊靱性17MPam1/2 の値が報告されているが、繊維と
直角方向の強度を補うため、0゜/90゜の積層したも
のでは、曲げ強度約35kg/mm2 、破壊靱性9MPam
1/2 と大きく低下している(Amer.Ceram.Soc.Bull.,65
(1986)305)。
【0004】これからウイスカー強化では、構造部材と
しての使用を考えると強度、靱性共に不十分である。ま
た、長繊維強化では、繊維方向では優れた値を示してい
るが、強度の低い直角方向の強度を改善するため、積層
パターンを変えると特性は大きく低下する。しかも、実
用部材を考えた場合、応力状態は複雑で形状も複雑であ
るから、一方向材の使用は困難であり、上記の一方向材
の値は実用の際にはあまり参考とならない。さらに、長
繊維は高価であり、複合化プロセスも複雑であるから製
品コストは非常に高いものとなり、一般工業材料として
の使用は困難である。
【0005】
【発明の目的】本発明の目的は、前記問題点を解決し、
構造部材に適した高強度高靱性のガラス複合材料及びそ
の焼結用原料粉末並びにそれらの製造方法を提供するも
のである。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明によれば、酸化
物系ガラスをマトリックスとし、扁平状の延性金属及び
セラミックスウイスカー及び/又は無機質短繊維を強化
相とすることにより高強度高靱性のガラス複合材料が提
供される。このような高強度高靱性のガラス複合材料
は、扁平な延性金属粉末表面に酸化物系ガラス粉末及び
セラミックスウイスカー及び/又は無機質短繊維が付着
しているガラス複合粉末を出発原料とし、この混合粉末
を成形後、200〜1800℃で焼結することにより得
られる。また、本発明によれば、扁平な延性金属粉末表
面に酸化物系ガラス粉末及びセラミックスウイスカー及
び/又は無機質短繊維が付着していることを特徴とする
ガラス複合粉末が提供される。このようなガラス複合粉
末は、延性金属粉末、酸化物系ガラス粉末及びセラミッ
クスウイスカー及び/又は無機質短繊維を混合すること
により、該延性金属粉末を塑性変形させて扁平化させる
ことにより得られる。
【0007】本発明のガラス複合材料のマトリックスを
構成する酸化物系ガラスとしては、特に制限はなく、結
晶化ガラス、汎用ガラス等から選ばれる一種又は二種以
上の酸化物系ガラスを用いることができる。具体的に
は、結晶化ガラスとしては、LAS I(Li2O-Al2O3-SiO
2-MgO系)、LASII、III(Li2O-Al2O3-SiO2-MgO-Nb2O
5系)、MAS(MgO-Al2O3-SiO2系)、BMAS(BaO-M
gO-Al2O3-SiO2系)、Ternary mullite(BaO-Al2O3-SiO2
系)、Hexacelsian(BaO-Al2O3-SiO2系)や、Li2O-Al2O
3-SiO2系、Na2O-Al2O3-SiO2系、Na2O-CaO-MgO-SiO2系、
PbO-ZnO-B2O3系、ZnO-B2O3-SiO2系、ZrO2-SiO2系、CaO-
Y2O3-Al2O3-SiO2系、CaO-Al2O3-SiO2系、MgO-CaO-Al2O3
-SiO2系、SiO2-B2O3-Al2O3-MgO-K2O-F系等が挙げられ
る。汎用ガラスとしては、ケイ酸ガラス(SiO2系)、ソ
ーダ石灰ガラス(Na2O-CaO-SiO2系)、カリ石灰ガラス
(K2O-CaO-SiO2系)、ホウケイ酸ガラス(Na2O-B2O3-Si
O2系)、アルミノケイ酸ガラス(Al2O3-MgO-CaO-SiO
2系)、鉛ガラス(K2O-PbO-SiO2系)、バリウムガラス
(BaO-SiO2-B2O3系)等が挙げられる。また、低融点ガ
ラスとして、鉛ケイ酸塩ガラス(PbO-SiO2系、PbO-B2O3
-SiO2系等)、ほう酸塩ガラス(B2O3系、Li2O-B2O3系、
Na2O-B2O3系等)、りん酸塩ガラス(Na2O-P2O5系、B2O3
-P2O5系等)やAl2O3-Li2O-Na2O-K2O-P2O5系等が挙げら
れる。さらに、近年、開発が進められているY2O3-Al2O3
-SiO2系ガラス、オキシナイトライドガラス(La-Si-O-N
系、Ca-Al-Si-O-N系、Y-Al-Si-O-N系、Na-Si-O-N系、Na
-La-Si-O-N系、Mg-Al-Si-O-N系、Si-O-N系、Li-K-Al-Si
-O-N系)や熱膨張率の小さいTiO2-SiO2系、Cu2O-Al2O3-
SiO2系等が挙げられる。
【0008】また、強化相を構成する扁平状の延性金属
としては、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、
Ta、W、Fe、Ni、Co、Cu、Al、Mg、Zn
及びそれらの合金、ステンレス鋼及び超耐熱合金から選
ばれる少なくとも一種の延性金属が用いられる。強化相
を構成するセラミックスウイスカーとしては、Si
34、SiC、TiC、グラファイト、チタン酸カリウ
ム、ほう酸アルミニウム、ZnO、MgO、ほう酸マグ
ネシウム、TiB2 、ムライト等のセラミックスウイス
カーから選ばれる少なくとも一種が挙げられる。また、
無機質短繊維としては、アルミナ、アルミナ・シリカ、
シリカ、ジルコニア等の短繊維、アルミナ、Si34
SiC、特公昭58−5286号公報に代表されるS
i、Ti、C及びOを主成分とする無機繊維等の長繊維
をチョップ状に切断したものから選ばれる少なくとも一
種が挙げられる。特に、焼結温度で使用する延性金属と
反応して脆弱な化合物を生成しないセラミックスウイス
カー及び/又は無機質短繊維を選択することが重要であ
る。マトリックスと金属の組み合わせは、焼結時に扁平
な延性金属の形状が保持されるように、マトリックスの
焼結可能温度より延性金属の融点が高い組み合わせを選
択することが必要である。例えば、マトリックスがケイ
酸ガラス系やTiO2-SiO2系の場合には、焼結温度が16
00℃以上になるため、それより高い融点を持つ金属で
あるV、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W及び
それらの合金を用いることが好ましい。また、オキシナ
イトライドガラスの焼結温度、及びPbO-ZnO-B2O3系を除
く結晶化ガラスの焼結温度と結晶化温度は、およそ70
0〜1300℃であるため、さらにTi、Fe、Ni、
Co及びそれらの合金、ステンレス鋼、超耐熱合金も使
用することができる。さらに、汎用ガラスでは焼結温度
がおよそ600〜1000℃であるため、上記の他にC
uも使用することができ、PbO-ZnO-B2O3系結晶化ガラス
と低融点ガラスでは焼結温度がおよそ200〜600℃
であるため、さらにAl、Mg、Zn及びそれらの合金
を使用することができる。
【0009】本発明においては、強化相の形態を扁平状
とすることにより強度及び靱性が向上し、特に靱性にお
いて大きな向上が達成できる。特に、扁平面の最小径を
d、厚さをtとしたときにd/t≧3であることが好ま
しい。d/tが3未満の場合には、クラックが金属粒子
とマトリックスとの界面を進行しやすくなるため金属相
の塑性変形を十分に利用できなくなるので好ましくな
い。厚さtは0.5μm以上であることが望ましい。こ
れより小さくなると塑性変形による効果が発揮されな
い。dの範囲としては特に制限はないが、d/t≧3の
関係を満足していることが好ましい。また、強化相とし
てセラミックスウイスカー及び/又は無機質短繊維を用
いて酸化物系ガラスマトリックス部を強化することによ
りマトリックス部の強度、靱性の向上が図れるため、複
合体の強度、靱性をさらに向上させることができる。
【0010】ガラス複合材料における強化相の扁平状の
延性金属の体積率は2〜60%、特に10〜50%であ
ることが好ましい。強化相の体積率が2%よりも少ない
場合には、金属の塑性変形量が相対的に少なすぎるため
に強度及び靱性の向上が十分でなく、また、強化相の体
積率が60%よりも多くなると、複合体の硬度が下が
り、耐熱性も低下するため実用的でない。また、強化相
のセラミックスウイスカー及び/又は無機質短繊維の体
積率は、2〜40%、特に3〜30%であることが好ま
しい。体積率が2%よりも少ない場合には、添加の効果
が発現しない。また、体積率が40%よりも多くなって
もそれ以上機械的物性は向上しない。
【0011】本発明のガラス複合材料は、以下の方法で
製造される。まず、扁平な延性金属粉末表面に酸化物系
ガラス粉末及びセラミックスウイスカー及び/又は無機
質短繊維が付着しているガラス複合粉末を製造する。こ
のような複合粉末は、延性金属粉末、酸化物系ガラス粉
末及びセラミックスウイスカー及び/又は無機質短繊維
を混合することにより、該延性金属粉末を塑性変形させ
て扁平化させることにより製造できる。酸化物系ガラス
粉末の粒度は、特に制限はないが、50μm以下のもの
が望ましい。また、延性金属粉末の粒子径は、扁平化を
容易に促進するために1〜200μm、特に3〜100
μmの範囲が好ましい。延性金属粉末の粒子径が1μm
よりも小さいと、微粒のため扁平化させることができな
い。また、200μmよりも大きくなると、粗粒のため
焼結を困難にし、またガラス粉末との分離が激しくなる
ため、均一混合が困難となる。セラミックスウイスカー
の形状については、特に制限はなく市場にでているタイ
プをそのまま用いることができる。無機質短繊維や長繊
維を切断して用いる場合には、取扱易さや分散性から長
さが5mm以下のものを用いるのが好ましい。延性金属
粉末、酸化物系ガラス粉末及びセラミックスウイスカー
及び/又は無機質短繊維の混合割合は、混合粉末におけ
る延性金属粉末の体積率が2〜60%、特に10〜50
%、セラミックスウイスカー及び/又は無機質短繊維の
体積率が、2〜40%、特に3〜30%であることが好
ましい。
【0012】延性金属粉末、酸化物系ガラス粉末及びセ
ラミックスウイスカー及び/又は無機質短繊維の混合方
法については、特に制限はなく湿式及び乾式のいずれも
採用できる。湿式混合の場合の溶媒としてはエ夕ノー
ル、メ夕ノール等が一般に使用される。混合装置につい
ては、ボールミル、振動ミル、アトライター、遊星型ボ
ールミル等を用いることができる。延性金属粉末は、混
合時のボール等の混合媒体による機械的混合により球状
から扁平状へと変形が進む。したがって、混合条件の制
御により扁平化の程度を制御することができる。一般
に、混合時間、回転数等の条件により変形量は変わって
くるので、扁平化の形状がd/t≧3を満足するように
混合条件を制御することが望ましい。さらに、この混合
過程で、扁平化した延性金属粉末の表面に酸化物系ガラ
ス粉末及びセラミックスウイスカー及び/又は無機質短
繊維が付着するため、焼結過程で延性金属同士が接触、
造粒することを防止することができる。なお、延性金属
粉末と酸化物系ガラス粉末及びセラミックスウイスカー
及び/又は無機質短繊維の混合割合によっては、金属表
面に付着しないガラス粉末及びセラミックスウイスカー
及び/又は無機質短繊維も共存することは言うまでもな
い。また、使用する延性金属粉末の粒度によっては、混
合後も未変形の粒子が残るが、扁平化した粒子が適当量
あれば、発明の効果は得られる。また、上記の扁平な延
性金属粉末表面に酸化物系ガラス粉末及びセラミックス
ウイスカー及び/又は無機質短繊維が付着しているガラ
ス複合粉末は、予め延性金属粉末を圧延加工等により扁
平化させ、これと酸化物系ガラス粉末及びセラミックス
ウイスカー及び/又は無機質短繊維を混合することによ
っても製造することができるが、混合と扁平化を同時に
行う前述の方法が工程の簡略化と均一混合の面で有利で
ある。
【0013】次に、得られた混合粉末を所望の形状に成
形した後、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下また
は真空中で200〜1800℃で焼結する。焼結方法と
しては、公知の焼結方法を用いることができる。例え
ば、CIP成形や射出成形した成形体を常圧焼結や真空
焼結、さらにHIPで高密度化するプロセスでは、扁平
化した粒子は3次元にランダムに配向するが、ホットプ
レス等の一軸加圧方法により成形を行うと、扁平化した
粒子はプレス方向と垂直方向に2次元に配向するので、
焼結体の特牲(特に靱性)に異方性を持たせることもで
きる。また、押し出し法やロール成形などにより、長尺
の形状に成形することもできる。さらに、鋳造法、好ま
しくは加圧鋳造法により直接複雑形状の成形をすること
もできる。また、焼結は、200〜1800℃の温度範
囲で行うことができるが、扁平な延性金属の形状が保持
されるように延性金属の融点より低い温度で行えるよう
に、前記したガラス粉末と延性金属を選択することが必
要である。
【0014】
【作用】本発明によれば、強化相が扁平状の金属粒子で
あるので、球状粒子を用いた場合に発生するクラックが
粒子とマトリックスの界面を進行する現象を抑制するこ
とができ、したがって金属粒子の塑性変形による靱性向
上を十分に利用することができる。また、クラックが粒
子とマトリックスの界面を進行する場合でも異形である
ため、クラックは偏向し、高靱性化に寄与でき、さらに
強度も向上させることができるため、構造部材に適用で
きるガラス複合材料が提供できる。また、強化相にセラ
ミックスウイスカー及び/又は無機質短繊維を用いてい
るので、ガラスマトリックス部の強度、靱性の向上が図
れるため、複合体の強度、靱性をさらに向上させること
ができる。さらにガラスと熱膨張係数の大きく異なるセ
ラミックスウイスカー及び/又は無機質短繊維を選択す
れば、焼結過程で発生する熱応力による残留応力によ
り、さらに高強度化が可能となり、高強度、高靱性の構
造部材に適用できるガラス複合材料が提供できる。ま
た、前述したように強化相を2次元に配向させれば、配
向方向と垂直方向の靱性をさらに向上させることができ
る。さらに、強化相の形態は、原料粉末である延性金属
粉末と酸化物系ガラス粉末及びセラミックスウイスカー
及び/又は無機質短繊維の混合中の変形を利用して扁平
化が達成できるため、強化相の形状の制御が容易であ
り、追加の製造プロセスを必要とせず、複合化によるコ
スト増を抑えることができる。
【0015】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示し、本発明をさ
らに具体的に説明する。 実施例1 MAS(MgO-Al2O3-SiO2系)粉末(粒径20μm以下)
と直径0.3〜0.6μm、長さ5〜15μmの炭化珪
素ウイスカー(TWS−100;東海カーボン社製)及
び粒径53〜10μmのMo粉末(M−60;昭和電工
製)を体積率が70:10:20となるように秤量し
た。これらの混合粉末をエ夕ノール溶媒中、窒化珪素ボ
ールを用いてボールミル混合を行った。図1及び図2に
ボールミル後の混合粉末の外観の走査型電子顕微鏡像と
断面組織の光学顕微鏡像を示す。これらより、添加した
粒径53〜10μmのMo粉末がボールミル混合により
扁平化し、さらにガラス粉末と炭化珪素ウイスカーが表
面に付着していることがわかる。
【0016】この混合粉末を黒鉛のモールドにいれ、ホ
ットプレスにより、1200℃、100kg/cm2 の圧力
でアルゴン中、1時間保持して焼結を行った。図3に得
られた複合材料のプレス方向と平行方向の断面組織の光
学顕微鏡像を、図4にプレス面の断面組織の光学顕微鏡
像を示す。粒径53〜10μmのMo粉末から形成され
た金属相は2次元に配向し、d/t≧3を満たして扁平
化しており、さらに炭化珪素ウイスカーがマトリックス
中に分散していることがわかる。この複合材料から3×
4×40の試験片を加工し、3点曲げ試験により曲げ強
度を、SEVNB法により破壊靱性を測定したところ、
曲げ強度53kg/mm2 、破壊靱性8.2MPam1/2 とい
う高い値が得られた。
【0017】比較例1 MAS(MgO-Al2O3-SiO2系)粉末(粒径20μm以下)
のみを実施例1と同様の方法で焼結した。得られたガラ
ス単相の焼結体は、曲げ強度10kg/mm2 、破壊靱性
1.1MPam1/2 であり、本発明の効果が顕著であるこ
とがわかる。
【0018】比較例2 MAS(MgO-Al2O3-SiO2系)粉末(粒径20μm以下)
及び粒径53〜10μmのMo粉末(M−60;昭和電
工製)の体積率が80:20の粉末を用いて実施例1と
同様の方法で焼結した。得られた複合材料は、曲げ強度
35kg/mm2、破壊靱性7MPam1/2であった。以上の結
果から、扁平粒子により靱性が大きく上昇し、ウイスカ
ーによりさらに強度、靱性が上昇していることが明らか
であり、本発明の効果が顕著であることがわかる。
【0019】実施例2 実施例1と同じ組成の混合粉末で、混合条件を変え、d
/tを変化させたものを用い、実施例1と同じ条件で焼
結を行った。得られた複合材料の破壊靱性を測定した結
果を図5に示す。これより破壊靱性はd/t≧3で大き
な値を示しており、d/tが1.5以下では破壊靱性
3.7MPam1/2と靱性の向上効果は小さいことがわか
る。
【0020】実施例3 LAS I(Li2O-Al2O3-SiO2-MgO系)粉末(粒径20μ
m以下)と直径約0.5μm、長さ20〜30μmの窒
化珪素ウイスカー(UBE−SN−WB;宇部興産社
製)及び粒径45〜5μmのTa粉末(M−40;昭和
電工製)を体積率が70:10:20となるように秤量
し、これらの混合粉末をエ夕ノール溶媒中、窒化珪素ボ
ールを用いてボールミル混合を行った。この混合粉末を
用いて実施例1と同様にして焼結を行った。得られた複
合材料の曲げ強度と破壊靱性を実施例1と同様の方法で
測定したところ、曲げ強度55kg/mm2 、破壊靱性9M
Pam1/2 という高い値が得られた。
【0021】実施例4 LASIII(Li2O-Al2O3-SiO2-MgO-Nb2O5系)粉末(粒径
20μm以下)と直径約0.5μm、長さ20〜30μ
mの窒化珪素ウイスカー(UBE−SN−WB;宇部興
産社製)及び粒径45μm以下のNb粉末(石津製薬
製)を体積率が55:15:30となるように秤量し、
これらの混合粉末をエ夕ノール溶媒中、窒化珪素ボール
を用いてボールミル混合を行った。この混合粉末を用い
て実施例1と同様にして焼結を行った。得られた複合材
料の曲げ強度と破壊靱性を実施例1と同様の方法で測定
したところ、曲げ強度70kg/mm2 、破壊靱性11.3
MPam1/2 という高い値が得られた。
【0022】実施例5 ソーダ石灰ガラス(Na2O-CaO-SiO2系)粉末(粒径45
μm以下)と直径0.3〜0.6μm、長さ5〜15μ
mの炭化珪素ウイスカー(TWS−100;東海カーボ
ン社製)及び粒径45〜10μmのNi合金(Ni17
Cr6Al10.6Y,MA−90;昭和電工製)を体
積率が55:15:30となるように秤量し、これらの
混合粉末をエ夕ノール溶媒中、窒化珪素ボールを用いて
ボールミル混合を行った。この混合粉末を黒鉛のモール
ドにいれ、ホットプレスにより、850℃、100kg/
cm2 の圧力でアルゴン中、1時間保持して焼結を行っ
た。得られた複合材料の曲げ強度と破壊靱性を実施例1
と同様の方法で測定したところ、曲げ強度55kg/m
m2 、破壊靱性9MPam1/2 という高い値が得られた。
【0023】実施例6 ケイ酸ガラス(SiO2系)粉末(粒径20μm以下)とS
i、Ti、C及びOからなる無機短繊維(直径11μ
m、長さ1〜2μm;宇部興産社製、チラノ繊維)及び
粒径45μm以下のNb粉末(石津製薬製)を体積率が
60:10:30となるように秤量し、これらの混合粉
末をエ夕ノール溶媒中、窒化珪素ボールを用いてボール
ミル混合を行った。この混合粉末を黒鉛のモールドにい
れ、ホットプレスにより、1600℃、100kg/cm2
の圧力でアルゴン中、1時間保持して焼結を行った。得
られた複合材料の曲げ強度と破壊靱性を実施例1と同様
の方法で測定したところ、曲げ強度60kg/mm2 、破壊
靱性9.4MPam1/2 という高い値が得られた。
【0024】実施例7 アルミノケイ酸ガラス(Al2O3-MgO-CaO-SiO2系)粉末
(粒径45μm以下)と直径0.3〜0.6μm、長さ
5〜15μmの炭化珪素ウイスカー(TWS−100;
東海カーボン社製)及び粒径45μm以下のステンレス
(SUS316L)粉末(山陽特殊製鋼製)を体積率が
60:10:30となるように秤量し、これらの混合粉
末をエ夕ノール溶媒中、窒化珪素ボールを用いてボール
ミル混合を行った。この混合粉末を黒鉛のモールドにい
れ、ホットプレスにより、950℃、100kg/cm2
圧力でアルゴン中、1時間保持して焼結を行った。得ら
れた複合材料の曲げ強度と破壊靱性を実施例1と同様の
方法で測定したところ、曲げ強度58kg/mm2 、破壊靱
性8.5MPam1/2 という高い値が得られた。
【0025】実施例8 低融点ガラス(Al2O3-Li2O-Na2O-K2O-P2O5系)粉末(粒
径45μm以下)と直径約0.5μm、長さ20〜30
μmの窒化珪素ウイスカー(UBE−SN−WB;宇部
興産社製)及び粒径90〜38μmのAl粉末(スルザ
ーサーフェイステックジャパン製)を体積率が65:1
5:20となるように秤量し、これらの混合粉末をエ夕
ノール溶媒中、窒化珪素ボールを用いてボールミル混合
を行った。この混合粉末を黒鉛のモールドにいれ、ホッ
トプレスにより、400℃、100kg/cm2 の圧力でア
ルゴン中、1時間保持して焼結を行った。得られた複合
材料の曲げ強度と破壊靱性を実施例1と同様の方法で測
定したところ、曲げ強度40kg/mm2 、破壊靱性7.7
MPam1/2 という高い値が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の実施例1のボールミル後の
混合粉末の粒子構造を表す図面に代える走査型電子顕微
鏡写真である。
【図2】 図2は、本発明の実施例1のボールミル後の
混合粉末の粒子構造を表す図面に代える光学顕微鏡写真
である。
【図3】 図3は、本発明の実施例1で得られた複合材
料の組織を表す図面に代える光学顕微鏡写真である。
【図4】 図4は、本発明の実施例1で得られた複合材
料の組織を表す図面に代える光学顕微鏡写真である。
【図5】 図5は、本発明の実施例2で得られた複合材
料の破壊靱性を測定した結果を表す図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神徳 泰彦 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化物系ガラスをマトリックスとし、扁
    平状の延性金属及びセラミックスウイスカー及び/又は
    無機質短繊維を強化相とすることを特徴とする高強度高
    靱性ガラス複合材料。
  2. 【請求項2】 扁平な延性金属粉末表面に酸化物系ガラ
    ス粉末及びセラミックスウイスカー及び/又は無機質短
    繊維が付着しているガラス複合粉末を出発原料とし、こ
    の混合粉末を成形後、200〜1800℃で焼結するこ
    とを特徴とする請求項1記載の高強度高靱性ガラス複合
    材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 扁平な延性金属粉末表面に酸化物系ガラ
    ス粉末及びセラミックスウイスカー及び/又は無機質短
    繊維が付着していることを特徴とするガラス複合粉末。
  4. 【請求項4】 延性金属粉末、酸化物系ガラス粉末及び
    セラミックスウイスカー及び/又は無機質短繊維を混合
    することにより、該延性金属粉末を塑性変形させて扁平
    化させることを特徴とする請求項3記載のガラス複合粉
    末の製造方法。
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