JPH09191847A - 電子レンジ再加熱に適した揚げ物用熱処理小麦粉及びその製造法 - Google Patents
電子レンジ再加熱に適した揚げ物用熱処理小麦粉及びその製造法Info
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Abstract
の食感は冷えてもあまり劣化せず、特に電子レンジで再
加熱することにより、衣の食感を飛躍的に向上せしめる
ことができる揚げ物用熱処理小麦粉及びその製造法の提
供。 【解決手段】 電子レンジで再加熱する揚げ物に使用す
る小麦粉であって、含有澱粉が実質的にα化されておら
ず、しかもグルテン・バイタリティが未処理小麦粉のそ
れを100としたときに80〜92、グルテン膨潤度が
未処理小麦粉のそれを100としたときに105〜15
5である揚げ物用熱処理小麦粉及び密閉系高速攪拌機中
で、小麦粉を飽和水蒸気により滞留時間2〜20秒間、
品温80℃超92℃以下の条件で加圧下熱処理する揚げ
物用熱処理小麦粉の製造法。
Description
イ等の揚げ物を電子レンジで再加熱することにより、衣
の食感を向上せしめることのできる揚げ物用粉として好
適な熱処理小麦粉及びその製造法に関する。
く、サクサクしたものが望まれる。而して、斯かる食感
を得るべく従来は、揚げ物用衣液中のグルテンの形成を
できるだけ抑制する方法、例えば1)できるだけ蛋白質の
少ない小麦粉を使用する、2)冷水又は氷水を用いる、3)
水と揚げ物用粉をまぜ合わせるのにまま粉(ダマ)が残
る程度に太い箸を使用し、さっくりまぜる、4)溶いた液
は冷却し、できるだけ短時間で使い切る、5)プロテアー
ゼを使用する、等の方法が一般に行なわれていた。
ど十分なグルテン形成の抑制効果は得られず、未だ満足
のいく食感の衣は得られていなかったのが実状であっ
た。特に、従来法によって得られた揚げ物食品は、冷え
るとその食感の劣化は顕著で、電子レンジで再加熱して
も引きが強く、しかもサクサクした感じがなくベトつい
たものとなってしまうことは避けられなかった。
かる実状に於て、よりサクサクした食感の揚げ衣を得る
ことを目的として種々研究を重ねた結果、特定の状態に
軽度に熱変性せしめた小麦粉を揚げ物用粉として用いれ
ば、極めて良い結果、特に冷えても電子レンジで再加熱
すれば、衣の食感が飛躍的に向上することを見い出し、
本発明を完成した。
は、電子レンジで再加熱する揚げ物に使用する小麦粉で
あって、含有澱粉が実質的にα化されておらず、しかも
グルテン・バイタリティが未処理小麦粉のグルタン・バ
イタリティを100としたときに80〜92で、かつグ
ルテン膨潤度が未処理小麦粉のグルテン膨潤度を100
としたときに105〜155である電子レンジ再加熱に
適した揚げ物用熱処理小麦粉であり、本発明の第2は、
飽和水蒸気が導入された加圧状態の密閉系高速攪拌機中
に小麦粉を導入し、密閉系攪拌機中での滞留時間が2〜
20秒間の条件下に、密閉系攪拌機からの排出時の小麦
粉の品温が80℃超92℃以下であるようにして湿熱処
理を行うことを特徴とする電子レンジ再加熱に適した揚
げ物用熱処理小麦粉の製造法である。
(未処理小麦粉)としては、薄力小麦粉が好適なものと
して挙げられる。
中の澱粉は、実質的にα化されておらず、そのα化度は
未処理小麦粉のα化度とほぼ同じくβ−アミラーゼプル
ラナーゼ法での測定値が4.5〜7.0%程度である。
ティは未処理小麦粉のグルテン・バイタリティを100
としたときに80〜92、好ましくは80以上90未満
であり、例えば未処理小麦粉のグルテン・バイタリティ
が62.6%の場合には50.1〜57.6%、好まし
くは50.1〜56.3%である。グルテン・バイタリ
ティが80より低い場合には、衣の食感は硬いものとな
り、衣の外観も良好な花咲き状態とならない。また、電
子レンジ再加熱後の食感も良好なものとならない。他
方、92より高い場合、特に92超〜98の場合には、
衣の食感はサクサクして衣の外観も良好な花咲き状態と
なるものの、電子レンジ再加熱後の食感は良好なものと
ならない。また、98超の場合は衣の食感が硬く、引き
が強いものとなると共に、サクサクした食感の欠けた張
りのない湿ったものとなり、電子レンジ再加熱後の食感
も良好なものとならない。
の測定方法は次の通りである。 (1)グルテン・バイタリティの測定にあたり、まず可
溶性蛋白含量の測定を行なう。可溶性蛋白含量の測定は
以下の通りである。 (1−1)100ml容のビーカーに試料(小麦粉)を約
2g精秤する。 (1−2)0.05規定酢酸を40ml加え、スターラー
を用いて室温で60分間攪拌する。 (1−3)この懸濁液を遠沈管に移し、5000rpm で
5分間遠心分離を行なった後、濾紙を用いて濾過し、濾
液を回収する。 (1−4)ビーカーを0.05規定酢酸40mlで洗い、
洗液を遠沈管に移し、5000rpm で5分間遠心分離を
行なった後、濾紙を用いて濾過し、濾液を回収する。 (1−5)上記(1−3)及び(1−4)で得られた濾
液を混合して100mlにメスアップする。 (1−6)ティケーター社(スウェーデン)のケルテッ
クオートシステムのケルダールチューブに上記(1−
5)で得られた液体25mlをホールピペットで入れ、分
解促進剤(成分…硫酸カリウム9:硫酸銅1)1錠及び
濃硫酸15mlを加える。 (1−7)分解は、ケルテックオートシステムのケルテ
ック分解炉(DIGESTIONSYSTEM 20 1015型)を用い、ダ
イヤル4で1時間、次いでダイヤル9又は10で1時間
行なう。 (1−8)蒸留及び滴定は、ケルテックオートシステム
に組込まれているケルテック蒸留滴定システム(KJELTE
C AUTO 1030型)で行なわれるが、(1−7)及び(1
−8は)連続的に自動的に行なわれる。尚、滴定には
0.1 規定硫酸が用いられる。 (1−9)可溶性蛋白含量は下記の計算式により求め
る。
クオートシステムのケルダールチューブに、試料(小麦
粉)を約0.5g精秤して入れ、分解促進剤(日清製粉
株式会社製セフカットC5;成分…硫酸カリウム9:硫
酸銅1)1錠及び濃硫酸15mlを加える。 (2−2)分解は、ケルテックオートシステムのケルテ
ック分解炉(DIGESTIONSYSTEM 20 1015型)を用い、ダ
イヤル9又は10で1時間行なう。 (2−3)蒸留及び滴定は、ケルテックオートシステム
に組込まれているケルテック蒸留滴定システム(KJELTE
C AUTO 1030型)で行なわれるが、(2−2)及び(2
−3)は連続的に自動的に行なわれる。尚、滴定には
0.1 規定硫酸が用いられる。 (2−4)粗蛋白含量は下記の計算式により求める。
次式により求める。
度は未処理小麦粉のグルテン膨潤度を100としたとき
に105〜155、好ましくは110〜145、更に好
ましくは120〜135であり、例えば未処理小麦粉の
グルテン膨潤度が1.8倍の場合には1.9〜2.8
倍、好ましくは2.0〜2.6倍、更に好ましくは2.
2〜2.4倍である。未処理小麦粉に対するグルテン膨
潤度が105より低い場合には衣の食感が硬く、引きが
強いものとなると共に、サクサクした食感の欠けた張り
のない湿ったものとなり、また、電子レンジ再加熱後の
食感も良好なものとならない。他方、未処理小麦粉に対
するグルテン膨潤度が155より高い場合には極めて硬
く、割れにくい食感となり、また、電子レンジ再加熱後
の食感も良好なものとならない。
は次の通りである。 (1)300ml容ビーカーに試料(小麦粉)を約10g
精秤する。 (2)0.02規定乳酸を200ml加えて、ガラス棒で
攪拌し1夜放置する。 (3)遠心分離機にかけ、回転数3000rpm で10分
間遠心分離する。 (4)上澄液を捨て、下に沈澱した固形分の重量(g)
を測定する。 (5)以下の計算式によりグルテン膨潤度を求める。
処理小麦粉は、前記本発明の第2に係る湿熱処理方法に
より効率的に製造される。湿熱処理条件が本発明の第2
に係る処理条件より緩和な場合には、揚げ直後や冷めた
時の食感は良好ではあるが、電子レンジ再加熱後の食感
が良好とならない場合や、未処理小麦粉に近いグルテン
・バイタリティ及びグルテン膨潤度となる場合があり、
他方これより過酷な場合には、完全熱処理小麦粉の性質
により近づくような澱粉のα化度、グルテン・バイタリ
ティ及びグルテン膨潤度となり、何れも本発明の目的を
達成し得ない。
説明する。
(絶対圧:1.2kg・重/cm2)の密閉系高速攪拌機
(特開平3−83567号公報に開示の装置)中に、薄
力小麦粉を200kg/時の割合で供給し、周速度10.
5m/秒、滞留時間5秒間の条件で湿熱処理し、該小麦
粉の排出時品温を85℃程度にして揚げ物用熱処理小麦
粉を得た。得られた熱処理小麦粉のα化度は5.8%、
グルテン・バイタリティは58.5%、グルテン膨潤度
は2.8倍であった。因に、熱処理前の薄力小麦粉のα
化度は4.0%、グルテン・バイタリティは68.8
%、グルテン膨潤度は2.3倍であるので、未処理小麦
粉のグルテン・バイタリティを100としたときに、得
られた熱処理小麦粉のグルテン・バイタリティは85.
0であり、未処理小麦粉のグルテン膨潤度を100とし
たときに、得られた熱処理小麦粉のグルテン膨潤度は1
21.7であった。この熱処理小麦粉100重量部に、
ベーキングパウダー2重量部及び水170重量部を加
え、攪拌して衣液を調製し、1cm×1cm×5cmに切断し
たサツマイモに均一に付着した後、約180℃の油で3
分間揚げてサツマイモ天ぷらを得た。この天ぷらの衣の
外観は、花咲きはほぼ良好であったが、衣の食感はやや
硬めであった。また、斯かる食感は冷えた後に於てもほ
ぼ同様であった。これを2時間及び4時間経過後に電子
レンジで再加熱したところ衣の食感が飛躍的に向上し、
極めて歯もろくサクサクしたものであった。
件に代えた以外は実施例1と同様にして熱処理小麦粉を
得た。得られた各熱処理小麦粉のα化度、グルテン・バ
イタリティ及びグルテン膨潤度を測定した結果は表1の
通りであった。この熱処理小麦粉を用い、実施例1と同
様にしてサツマイモ天ぷらを得、得られた各天ぷらにつ
いて、揚げ直後の外観及び食感、所定時間経過後の食感
並びに電子レンジで再加熱後の食感を10名のパネラー
で下記表3の評価基準に従って評価した。その結果の平
均値は下記表2の通りであった。尚、未処理小麦粉及び
これを用いて得たサツマイモ天ぷらについてもそれらの
測定結果を対照として併せて表1及び表2に示す。
品温及び小麦粉供給量を下記表4に示した条件に代えた
以外は実施例1と同様にて熱処理小麦粉を得た。得られ
た各熱処理小麦粉のα化度、グルテン・バイタリティ及
びグルテン膨潤度を測定した結果及び試験例1と同様に
して行なったサツマイモ天ぷらの評価結果は表4及び表
5の通りであった。尚、対照として試験例1と同様未処
理小麦粉についての測定結果及び評価結果を併せて示
す。
した、しかもサクサクした食感の揚げ衣を得ることがで
きると共に、その食感は冷えてもあまり劣化せず、特に
電子レンジで再加熱することにより、衣の食感を飛躍的
に向上せしめることができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 電子レンジで再加熱する揚げ物に使用す
る小麦粉であって、含有澱粉が実質的にα化されておら
ず、しかもグルテン・バイタリティが未処理小麦粉のグ
ルテン・バイタリティを100としたときに80〜92
で、かつグルテン膨潤度が未処理小麦粉のグルテン膨潤
度を100としたときに105〜155である電子レン
ジ再加熱に適した揚げ物用熱処理小麦粉。 - 【請求項2】 グルテン・バイタリティが未処理小麦粉
のグルテン・バイタリティを100としたときに80以
上90未満である請求項1記載の電子レンジ再加熱に適
した揚げ物用熱処理小麦粉。 - 【請求項3】 飽和水蒸気が導入された加圧状態の密閉
系攪拌機中に小麦粉を導入し、密閉系攪拌機中での滞留
時間が2〜20秒間の条件下に、密閉系攪拌機からの排
出時の小麦粉の品温が80℃超92℃以下であるように
して湿熱処理を行うことを特徴とする電子レンジ再加熱
に適した揚げ物用熱処理小麦粉の製造法。
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