JPH09183838A - 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法

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JPH09183838A
JPH09183838A JP7343195A JP34319595A JPH09183838A JP H09183838 A JPH09183838 A JP H09183838A JP 7343195 A JP7343195 A JP 7343195A JP 34319595 A JP34319595 A JP 34319595A JP H09183838 A JPH09183838 A JP H09183838A
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polycarbonate resin
acid
aromatic polycarbonate
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hydroxyphenyl
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JP7343195A
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Toshimasa Tokuda
俊正 徳田
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Teijin Ltd
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Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学用材料に適した芳香族ポリカーボネート
樹脂の優れた透明性、機械物性を保持しつつ、成形性、
熱安定性および耐金型腐食性が良好で、かつ低複屈折の
成形品を与える芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法
を提供する。 【解決手段】 全芳香族ジヒドロキシ成分の少なくとも
80モル%が(a)1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよび
(b)2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパンの特定割合である芳香族ジヒドロキシ成
分と炭酸ジエステルを溶融重合させる芳香族ポリカーボ
ネート樹脂の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ポリカーボ
ネート樹脂の製造方法に関する。さらに詳しくは成形
性、熱安定性および耐金型腐食性が良好で、かつ低複屈
折の成形品を与える芳香族ポリカーボネート樹脂を製造
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン(いわゆるビスフェノールA)とホスゲン
との界面重縮合から得られる芳香族ポリカーボネート樹
脂は、その優れた機械的特性、熱的特性から各種用途に
幅広く用いられているが、有毒であるホスゲンを利用す
ることで安全性などに問題があり、また、溶媒として塩
化メチレンを使用することでポリマー中に塩素化合物の
残存が生じ、金型を腐食し、さらに、光学材料として用
いた場合、金属の記録膜を腐食するなどの問題点が多
い。そこで、最近、塩化メチレンやホスゲンを使用しな
いエステル交換法が脚光を浴びている。
【0003】また、ビスフェノールAから得られる芳香
族ポリカーボネート樹脂は、特に透明性に優れることか
ら光学材料としての用途も多い。しかしながら、かかる
ポリカーボネート樹脂はベンゼン環の光学異方性から光
弾性定数が大きく、従って成形品の複屈折が大きい欠点
があり、この改善が求められている。
【0004】特開平2−88634号公報には、特定構
造のジヒドロキシジフェニルアルカンおよびそれからの
新規な芳香族ポリカーボネートについて記載されてい
る。この公報に開示されている代表的例は、1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル
シクロヘキサンを全ジヒドロキシ成分の100〜2モル
%使用した芳香族ポリカーボネートである。具体的に
は、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサンを100〜30モル%の
割合で使用したホモ・またはコ・ポリカーボネートが示
され、コポリマーの場合の共重合成分としては、ビスフ
ェノールAが30、50、65または70モル%使用さ
れている。
【0005】上記公報には、得られた前記芳香族ポリカ
ーボネートは、従来のポリカーボネートの用途、例えば
電気分野、被覆および透明板ガラスの分野において使用
され、高い耐熱性において優れていることが開示されて
いる。しかしながら、かかる芳香族ポリカーボネート
は、溶融流動性が悪く良好な成形品が得られ難い。ま
た、他の種々の共重合体に関する記載はあるが、その具
体的事例は示されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、光学
用材料に適した芳香族ポリカーボネート樹脂の優れた透
明性、機械物性を保持しつつ、成形性、熱安定性および
耐金型腐食性が良好で、かつ低複屈折の成形品を与える
芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法を提供すること
にある。本発明者は、この目的を達成せんとして鋭意研
究を重ねた結果、特定の2種の二価フェノールと炭酸ジ
エステルを溶融重合することにより得られた芳香族ポリ
カーボネート樹脂が光学用材料として好適であることを
見出し、本発明に到達した。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれ
ば、全芳香族ジヒドロキシ成分の少なくとも80モル%
が(a)1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン(成分a)および
(b)2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン(成分b)であり、かつ成分aと成分b
の割合がモル比で99:1〜20:80の範囲である芳
香族ジヒドロキシ成分と炭酸ジエステルを溶融重合させ
る芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法が提供され
る。
【0008】本発明において、使用される芳香族ジヒド
ロキシ成分として、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(成分
a)および2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン(成分b)が全芳香族ジヒドロキシ
成分の少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも9
0モル%であるのが有利であり、典型的には、芳香族ジ
ヒドロキシ成分が、成分aおよび成分bによって実質的
になることが望ましい。この成分aおよび成分bの割合
が80モル%未満の場合、本発明の目的である光学用材
料として不満足な性質となり好ましくない。
【0009】本発明の芳香族ジヒドロキシ成分におい
て、成分aと成分bとの割合がモル比で99:1〜2
0:80の範囲であり、80:20〜20:80の範囲
が好ましく、80:20〜30:70の範囲がさらに好
ましい。成分aの割合が99モル%より多く、成分bの
割合が1モル%より少なくなると、得られた樹脂の溶融
流動性が悪く成形不良を生じ、光学的に良好な成形品が
得られ難くなる。また成分aの割合が20モル%より少
なく、成分bの割合が80モル%より多くなると、得ら
れた樹脂の光弾性定数が大きくなり、またガラス転移温
度も低下する傾向にあるので好ましくない。また、成分
aと成分bの合計量に対して、成分bの割合が40モル
%以上、殊に50モル%以上のものは成形性に優れてい
る。
【0010】本発明の芳香族ジヒドロキシ成分は、成分
aおよび成分bが全芳香族ジヒドロキシ成分の少なくと
も80モル%、好ましくは少なくとも90モル%を占め
ることが望ましいが、他のジヒドロキシ成分(成分c)
を全芳香族ジヒドロキシ成分当り20モル%以下、好ま
しくは10モル%以下含有していても特に差支えない。
【0011】かかる成分cとしては、通常芳香族ポリカ
ーボネートのジヒドロキシ成分として使用されている、
成分aおよび成分b以外の成分であればよく、例えばハ
イドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ビフェノー
ル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,
2−ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブ
タン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−
フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)オクタン、4,4’−(m−フェニレンジイソプ
ロピリデン)ジフェノール、4,4’−(p−フェニレ
ンジイソプロピリデン)ジフェノール、9,9−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロ
ヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテ
ル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’
−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどが挙げられ、な
かでも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)
ジフェノールおよび9,9−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)フルオレンが好ましい。
【0012】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の製
造方法は、前記芳香族ジヒドロキシ成分と炭酸ジエステ
ルとを加熱溶融下重縮合させる方法である。かかる方法
を採用することにより、芳香族ポリカーボネート樹脂中
に、金型腐食を起こし易い塩素化合物の混入のおそれが
少なくなり、また製造時の安全性が高くなる。
【0013】本発明において、原料として使用される芳
香族ジヒドロキシ成分と炭酸ジエステルは、各芳香族ジ
ヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの等モル混合物
を、大気中200℃において測定した溶融ハーゼン色数
が150番以下、好ましくは130番以下、さらに好ま
しくは100番以下であるものが好ましく使用される。
本明細書での溶融ハーゼン色数とは、JIS K−41
01に記載される方法によって測定され、かかる混合物
を特定温度で完全溶融後、溶液が特定温度に到達したと
きの溶融ハーゼン色数をもって測定される。このような
溶融ハーゼン色数が特定値以下である芳香族ジヒドロキ
シ化合物は、特公昭41−17478号公報に示される
ような晶析法、特公昭49−39669号公報や特公昭
47−10384号公報に示されるような有機溶媒によ
る抽出精製などの公知の方法を1種または2種以上組み
合わせて、繰り返し精製することによって製造され、精
製を本発明の溶融ハーゼン色数を達成するまで行うこと
によって得ることができる。かかるそれぞれの芳香族ジ
ヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの等モル混合物の
200℃において測定された溶融ハーゼン色数が150
番以下であると、得られる芳香族ポリカーボネート樹脂
およびそれから形成される成形品は、良好な色相を有す
ることとなる。
【0014】本発明で使用される炭酸ジエステルとして
は、置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール
基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基な
どのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカー
ボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニ
ル)カーボネート、m―クレジルカーボネート、ジナフ
チルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、
ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチ
ルカーボネートなどが挙げられる。これらのうち特にジ
フェニルカーボネートが好ましい。
【0015】本発明でポリカーボネートを製造するに際
して、炭酸ジエステルは、芳香族ジヒドロキシ成分1モ
ルに対して、好ましくは1.00〜1.30モル、より好
ましくは1.005〜1.10モルの量で用いられる。
【0016】本発明では、上記のような芳香族ジヒドロ
キシ成分と炭酸ジエステルとのエステル交換反応により
ポリカーボネートを製造するに際し、重合速度を速める
ために重合触媒を用いることができる。
【0017】このような重合触媒としては、(i)アル
カリ金属化合物あるいはアルカリ土類金属化合物を主成
分として使用し、必要に応じさらに(ii)含窒素塩基性
化合物を従成分として使用することが好ましい。
【0018】アルカリ金属化合物としては、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナ
トリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリ
ウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナト
リウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウ
ム、ビスフェノールAのナトリウム塩、カリウム塩、リ
チウム塩、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安
息香酸リチウムなどが挙げられる。
【0019】アルカリ土類金属化合物としては、水酸化
カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水
酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バ
リウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウ
ム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウ
ム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリ
ン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸
マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウムなどが挙げ
られる。
【0020】含窒素塩基性化合物としては、テトラメチ
ルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウ
ムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシ
ド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、ト
リメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルベンジル
アミン、トリフェニルアミンなどが挙げられる。上記の
重合触媒は単独で使用してもよいし、組み合わせて使用
してもよい。
【0021】本発明におけるこれらの重合触媒の使用量
はアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物の
場合は芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し、好まし
くは1×10-7〜1×10-4当量、より好ましくは1×
10-6〜5×10-5当量の範囲で選ばれる。また、含窒
素塩基性化合物を従成分として使用する場合は芳香族ジ
ヒドロキシ化合物1モルに対し、好ましくは1×10-5
〜1×10-3当量、より好ましくは1×10-5〜5×1
-4当量の範囲で選ばれる。
【0022】アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金
属化合物と含窒素塩基性化合物とを組み合わせて使用す
る場合は、好ましい使用量は上記範囲の和に相当し、芳
香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し、好ましくは1×
10-7〜1×10-3当量、より好ましくは1×10-6
5×10-4当量の範囲で選ばれる。
【0023】本発明において、必要に応じその他の化合
物を補助触媒として用いることもできる。このような化
合物としては、ホウ素やアルミニウムの水酸化物のアル
カリ金属やアルカリ土類金属塩、第4級アンモニウム塩
類、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド
類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩類、亜
鉛化合物類、ホウ素化合物類、珪素化合物類、ゲルマニ
ウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、オスニ
ウム化合物類、アンチモン化合物類、ジルコニウム化合
物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使
用される触媒を用いることができるが、これらに限定さ
れるものではない。補助触媒を用いる場合1種だけを用
いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】本発明の芳香族ジヒドロキシ成分と炭酸ジ
エステルとのエステル交換反応は、従来知られているよ
うに不活性ガス雰囲気下で加熱しながら撹拌して生成す
るモノヒドロキシ化合物を留出させることで行われる。
反応温度は通常120〜350℃の範囲であり、反応後
期には系の減圧度を10〜0.1Torrに高めて、生
成するモノヒドロキシ化合物の留出を容易にさせて反応
を完結させる。
【0025】本発明においては、フェノール性末端基を
減少するために、重縮合反応の後期あるいは終了後に電
子吸引性の置換基を持ったジアリールカーボネートを加
えることが好ましい。例えばビス(クロロフェニル)カ
ーボネート、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビ
ス(ニトロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフ
ェニル)カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボ
ネート、ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロ
フェニルフェニルカーボネート、フェニルフェニルフェ
ニルカーボネートなどが挙げられる。
【0026】本発明によって得られる芳香族ポリカーボ
ネート樹脂はそのポリマー0.7gを100mlの塩化
メチレンに溶解し、20℃で測定した比粘度が0.2〜
0.5のものが好ましく、0.25〜0.4の範囲のもの
がより好ましい。比粘度が0.2未満では成形品が脆く
なり、0.5より高くなると溶融流動性が悪く、成形不
良を生じ、光学的に良好な成形品が得られ難くなる。
【0027】かかる芳香族ポリカーボネート樹脂は、A
STM D−0570によって測定した吸水率が0.2重量
%以下であることが好ましく、0.18量%以下である
ことがより好ましい。吸水率が0.2重量%を超える
と、かかる芳香族ポリカーボネート樹脂が好適に用いら
れる光ディスク基板の表面上に金属膜を形成させた光デ
ィスクが吸水によって反りを生じ易くなり、トラッキン
グエラーを起こし易くなるので好ましくない。特に好ま
しい吸水率は0.15重量%以下である。
【0028】かかる芳香族ポリカーボネート樹脂は、全
光線透過率が少なくとも85%、好ましくは少なくとも
90%であることが望ましい。全光線透過率が85%よ
りも低くなると、光学用材料、殊に光ディスク基板とし
て不適当であり好ましくない。また、芳香族ポリカーボ
ネート樹脂の斜め入射複屈折位相差の値が60nm以
下、好ましくは40nm以下であるのが適当である。こ
の斜め入射複屈折位相差の値が60nmを越えると、光
ディスク基板として使用した場合記録の読み取りに支障
を来すことになり不適当である。また芳香族ポリカーボ
ネート樹脂の流動性はMFRの値で25g/10分以上
が好ましく、30g/10分以上がより好ましく、45
g/10分以上がさらに好ましい。溶融流動性が低くな
ると成形性に劣り光学的に良好な成形品が得られ難くな
る。
【0029】さらに、かかる芳香族ポリカーボネート樹
脂は、その光弾性定数の値が60×10-13cm2/dy
n以下、好ましくは50×10-13cm2/dyn以下の
ものが有利に利用される。光弾性定数の値が前記値より
も大きい場合、光学用材料、殊に光ディスクとして適さ
なくなる。また、かかる芳香族ポリカーボネート樹脂
は、そのガラス転移点が120℃以上が好ましく、13
0℃以上がより好ましく、145℃以上がさらに好まし
い。ガラス転移点が低くなると光学用材料、殊にディス
ク基板としての耐熱性が不足する。
【0030】本発明においては、さらに下記式(I)〜
(IV)で示される化合物からなる安定剤を用いることが
好ましい。
【0031】安定剤を重縮合生成物に添加する方法とし
ては、例えば、反応生成物であるポリカーボネートが溶
融状態にある間にこれらを添加してもよいし、一旦ポリ
カーボネートをペレタイズした後、再溶融して添加して
もよい。前者においては、重縮合反応が終了して得られ
る溶融状態にある反応機内または押出機内の反応生成物
であるポリカーボネートが溶融状態にある間に、これら
を添加してもよいし、また、重縮合反応で得られたポリ
カーボネートが反応機から押出機を通ってペレタイズさ
れる間に、安定剤を添加して混練することもできる。以
下、式(I)〜(IV)で示される各安定剤について具体
的に説明する。
【0032】 A1−(Y1−SO31m ・・・(I)
【0033】[ここで、A1は置換基を有していてもよ
いm価の炭化水素基であり、Y1は単結合または酸素原
子であり、X1は2級または3級の1価の炭化水素基、
1当量の金属カチオン、アンモニウムカチオンまたはホ
スホニウムカチオンであり、mは1〜4の整数、好まし
くは1または2である、但しY1が単結合であるときm
個のX1の全てが1当量の金属カチオンであることはな
い。]
【0034】m価の炭化水素基としては、例えばm価の
飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基または飽和脂
肪族―芳香族炭化水素基などを好ましいものとして挙げ
ることができる。
【0035】Y1は単結合または酸素原子であり、ま
た、X1は2級または3級の1価の炭化水素基、1当量
の金属カチオン、アンモニウムカチオンまたはホスホニ
ウムカチオンである。
【0036】2級または3級の1価の炭化水素基として
は、例えば下記式(I)−d
【0037】
【化1】
【0038】[ここで、R15は水素原子もしくは炭素数
1〜5のアルキル基であり、R16は水素原子、フェニル
基もしくは炭素数1〜5のアルキル基であり、そしてR
17はR 15と同一もしくは異なりR15の定義と同じであ
る。]で表わされる2級または3級のアルキル基が好ま
しい。これらのうち、特にR15およびR17が同一もしく
は異なり、水素原子、メチル基、エチル基またはプロピ
ル基でありそしてR16がメチル基またはフェニル基であ
るのがより好ましい。
【0039】一当量の金属カチオンとしては、例えばリ
チウム、ナトリウム、カリウムの如きアルカリ金属カチ
オン;カルシウム、バリウムの如きアルカリ土類金属カ
チオンの1/2あるいはアルミニウムの如き3価の金属
カチオンの1/3などを挙げることができる。
【0040】アンモニウムカチオンとしては、例えば下
記式(I)−a
【0041】
【化2】
【0042】[ここで、R1、R2、R3およびR4は、互
いに独立して水素原子または1価の炭化水素基であ
る。]で表わされるカチオンを挙げることができる。
【0043】式(I)−aにおいて、R1などが表わす
1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20のア
ルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜1
0のアラルキル基などが好ましい。
【0044】また、ホスホニウムカチオンとしては、例
えば下記式(I)−b
【0045】
【化3】
【0046】[ここで、R5、R6、R7およびR8は、互
いに独立した水素原子または1価の炭化水素基であ
る。]で表わされるカチオンを挙げることができる。
【0047】式(I)−bにおいて、R5などが表わす
1価の炭化水素基としては、式(I)−aについて例示
した1価の炭化水素基と同じものを挙げることができ
る。
【0048】これらのうち、X1としては2級または3
級のアルキル基、アルカリ金属カチオン、上記式(I)
−aで表わされるカチオンおよび上記式(I)−bで表
わされるカチオンが好ましい。
【0049】上記式(I)で表わされる化合物は、Y1
の定義に従って便宜的に2群に分けられる。すなわち、
1が単結合である化合物群とY1が酸素原子である化合
物群である。Y1が単結合である化合物群は、例えばm
=1の場合、下記式(I)−1
【0050】A1―SO31 ・・・(I)−1
【0051】[ここで、A1およびX1の定義は上記式
(I)に同じである。]で表わされる。
【0052】上記式(I)−1で表わされる化合物のう
ち、A1が一価の飽和脂肪族炭化水素基または飽和脂肪
族―芳香族炭化水素基であるのが好ましく、とりわけ下
記式(I)−c
【0053】
【化4】
【0054】[ここで、A11は炭素数1〜18のアルキ
ル基であり、jは0または1の整数である。]で表わさ
れる基であるのが特に好ましい。
【0055】また、Y1が酸素原子である化合物群は、
例えばm=1の場合、下記式(I)−2
【0056】 A1―O―SO31 ・・・(I)−2
【0057】[ここで、A1およびX1の定義は上記式
(I)に同じである。]で表わされる。
【0058】上記式(I)−2で表わされる化合物のう
ち、A1が一価の飽和脂肪族炭化水素基であるのが好ま
しく、とりわけ炭素数1〜18のアルキル基であるのが
特に好ましい。
【0059】上記式(I)で表わされる化合物の具体例
としては、例えば下記の化合物を挙げることができる。
【0060】(a)Y1が単結合であり、X1が2級また
は3級の1価の炭化水素基でありそしてmが1である場
合の化合物:ベンゼンスルホン酸ベンジル、ベンゼンス
ルホン酸2―フェニル―2―プロピル、ベンゼンスルホ
ン酸2―フェニル―2―ブチル、トルエンスルホン酸ベ
ンジル、トルエンスルホン酸2―フェニル―2―プロピ
ル、トルエンスルホン酸2―フェニル―2―ブチル、オ
クチルベンゼンスルホン酸ベンジル、オクチルベンゼン
スルホン酸2―フェニル―2―プロピル、オクチルベン
ゼンスルホン酸2―フェニル―2―ブチル、ドデシルベ
ンゼンスルホン酸ベンジル、ドデシルベンゼンスルホン
酸2―フェニル―2―プロピル、ドデシルベンゼンスル
ホン酸2―フェニル―2―ブチルなどを挙げることがで
きる。
【0061】(b)Y1が単結合であり、X1が上記式
(I)−bで表わされるホスホニウムカチオンでありそ
してmが1である場合の化合物:ヘキシルスルホン酸テ
トラメチルホスホニウム塩、ヘキシルスルホン酸テトラ
エチルホスホニウム塩、ヘキシルスルホン酸テトラブチ
ルホスホニウム塩、ヘキシルスルホン酸テトラヘキシル
ホスホニウム塩、ヘキシルスルホン酸テトラオクチルホ
スホニウム塩、オクチルスルホン酸テトラメチルホスホ
ニウム塩、オクチルスルホン酸テトラエチルホスホニウ
ム塩、オクチルスルホン酸テトラブチルホスホニウム
塩、オクチルスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム
塩、オクチルスルホン酸テトラオクチルホスホニウム
塩、デシルスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、デ
シルスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、デシルス
ルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、デシルスルホン
酸テトラヘキシルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テ
トラオクチルホスホニウム塩、ドデシルスルホン酸テト
ラメチルホスホニウム塩、ドデシルスルホン酸テトラエ
チルホスホニウム塩、ドデシルスルホン酸テトラブチル
ホスホニウム塩、ドデシルスルホン酸テトラヘキシルホ
スホニウム塩、ドデシルスルホン酸テトラオクチルホス
ホニウム塩、ヘキサデシルスルホン酸テトラメチルホス
ホニウム塩、ヘキサデシルスルホン酸テトラエチルホス
ホニウム塩、ヘキサデシルスルホン酸テトラブチルホス
ホニウム塩、ヘキサデシルスルホン酸テトラヘキシルホ
スホニウム塩、ヘキサデシルスルホン酸テトラオクチル
ホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラメチルホス
ホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニ
ウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム
塩、ベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム
塩、ベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム
塩、トルエンスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、
トルエンスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、トル
エンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、トルエン
スルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、トルエンス
ルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、ドデシルベン
ゼンスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、ドデシル
ベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ドデ
シルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、
ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウ
ム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホス
ホニウム塩などが挙げられる。
【0062】(c)Y1が酸素原子であり、X1が2級も
しくは3級の1価の炭化水素基でありそしてmが1であ
る場合の化合物:A1とX1の炭素数の合計が8〜40で
あるのが好ましい。かかる具体例として、ジブチルサル
フェート、ジペンチルサルフェート、ジヘキシルサルフ
ェート、ジオクチルサルフェート、ジノニルサルフェー
ト、ジデシルサルフェート、ジトリデシルサルフェー
ト、ジテトラデシルサルフェート、ジヘキサデシルサル
フェート、ジシクロヘキシルサルフェート、ジベンジル
サルフェートなどが挙げられる。これらの具体例のアル
キル基はいずれも2級もしくは3級であると理解される
べきである。
【0063】(d)Y1が酸素原子であり、X1が一当量
の金属カチオンでありそしてmが1である場合の化合
物:ナトリウムオクチルサルフェート、カリウムオクチ
ルサルフェート、セシウムオクチルサルフェート、リチ
ウムデシルサルフェート、ナトリウムデシルサルフェー
ト、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシ
ルサルフェート、リチウムテトラデシルサルフェート、
ナトリウムテトラデシルサルフェート、カリウムデシル
サルフェート、リチウムヘキサデシルサルフェート、ナ
トリウムオレイルサルフェート、カリウムヘキサデシル
サルフェートが挙げられる。
【0064】(e)Y1が酸素原子であり、X1が上記式
(I)−aで表わされるアンモニウムカチオンである場
合の化合物:アンモニウムオクチルサルフェート、アン
モニウムデシルサルフェート、アンモニウムドデシルサ
ルフェート、アンモニウムヘキサデシルサルフェートの
如きアンモニウム塩が挙げられる。
【0065】また、メチルアンモニウムヘキシルサルフ
ェート、メチルアンモニウムオクチルサルフェート、メ
チルアンモニウムヘキサデシルサルフェート、エチルア
ンモニウムヘキシルサルフェート、ブチルアンモニウム
ノナデシルサルフェート、ヘキシルアンモニウムオクタ
デシルサルフェート、デシルアンモニウムエチルサルフ
ェート、デシルアンモニウムブチルサルフェート、デシ
ルアンモニウムデシルサルフェート、ドデシルアンモニ
ウムメチルサルフェート、ドデシルアンモニウムエチル
サルフェート、ドデシルアンモニウムオクチルサルフェ
ート、テトラデシルアンモニウムブチルサルフェート、
ペンタデシルアンモニウムメチルサルフェート、ヘキサ
デシルアンモニウムブチルサルフェート、ヘキサデシル
アンモニウムオクチルサルフェート、ヘキサデシルアン
モニウムデシルサルフェート、ヘキサデシルアンモニウ
ムドデシルサルフェートの如き1級アンモニウム塩が挙
げられる。
【0066】また、ジメチルアンモニウムヘキシルサル
フェート、ジメチルアンモニウムオクチルサルフェー
ト、ジメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、
ジエチルアンモニウムオクタデシルサルフェート、ブチ
ルメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、ヘキ
シルメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、デ
シルメチルアンモニウムメチルサルフェート、デシルエ
チルアンモニウムエチルサルフェート、デシルメチルア
ンモニウムオクチルサルフェート、ドデシルメチルアン
モニウムメチルサルフェート、テトラデシルメチルアン
モニウムメチルサルフェート、テトラデシルエチルアン
モニウムサルフェート、ペンタデシルメチルアンモニウ
ムメチルサルフェート、ペンタデシルエチルアンモニウ
ムエチルサルフェート、ヘキサデシルメチルアンモニウ
ムメチルサルフェート、ヘキサデシルエチルアンモニウ
ムエチルサルフェートの如き2級アンモニウム塩が挙げ
られる。
【0067】また、トリメチルアンモニウムオクチルサ
ルフェート、トリメチルアンモニウムデシルサルフェー
ト、ブチルジメチルアンモニウムデシルサルフェート、
ヘキシルジメチルアンモニウムドデシルサルフェート、
デシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、デシ
ルジメチルアンモニウムトリデシルサルフェート、ドデ
シルジエチルアンモニウムエチルサルフェート、ドデシ
ルジブチルアンモニウムブチルサルフェート、ドデシル
ジメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、テト
ラデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、テ
トラデシルメチルエチルアンモニウムメチルサルフェー
ト、ペンタデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェ
ート、ヘキサデシルジメチルアンモニウムメチルサルフ
ェート、ヘキサデシルメチルエチルアンモニウムエチル
サルフェートの如き3級アンモニウム塩が挙げられる。
【0068】また、テトラメチルアンモニウムヘキシル
サルフェート、テトラエチルアンモニウムトリデシルサ
ルフェート、ブチルトリメチルアンモニウムオクチルサ
ルフェート、デシルトリメチルアンモニウムメチルサル
フェート、デシルトリエチルアンモニウムエチルサルフ
ェート、デシルトリメチルアンモニウムヘキサデシルサ
ルフェート、ペンタデシルトリメチルアンモニウムメチ
ルサルフェート、ペンタデシルジメチルエチルアンモニ
ウムエチルサルフェートの如き4級アンモニウム塩が挙
げられる。
【0069】これらの中で、リチウムデシルサルフェー
ト、ナトリウムデシルサルフェート、ナトリウムドデシ
ルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート、リチ
ウムテトラデシルサルフェート、ナトリウムテトラデシ
ルサルフェート、リチウムヘキサデシルサルフェート、
ナトリウムオレイルサルフェート、ドデシルアンモニウ
ムエチルサルフェート、ドデシルメチルアンモニウムメ
チルサルフェート、デシルメチルアンモニウムメチルサ
ルフェート、デシルエチルアンモニウムエチルサルフェ
ート、テトラデシルエチルアンモニウムエチルサルフェ
ート、テトラデシルメチルエチルアンモニウムメチルサ
ルフェート、ペンタデシルエチルアンモニウムエチルサ
ルフェート、ヘキサデシルメチルアンモニウムメチルサ
ルフェート、ヘキサデシルエチルアンモニウムエチルサ
ルフェート、デシルジメチルアンモニウムメチルサルフ
ェート、ヘキサデシルジメチルアンモニウムメチルサル
フェート、ペンタデシルジメチルアンモニウムメチルサ
ルフェート、ヘキサデシルメチルエチルアンモニウムエ
チルサルフェート、ペンタデシルジメチルエチルアンモ
ニウムエチルサルフェート、デシルジメチルアンモニウ
ムトリデシルサルフェート、テトラデシルジメチルアン
モニウムメチルサルフェート、ドデシルジエチルアンモ
ニウムエチルサルフェート、テトラデシルジエチルアン
モニウムエチルサルフェート、デシルトリメチルアンモ
ニウムメチルサルフェート、ペンタデシルトリメチルア
ンモニウムメチルサルフェート、デシルトリエチルアン
モニウムエチルサルフェートがより好ましく用いられ
る。
【0070】+2−A2−Y1−SO3 - ・・・(II)
【0071】[ここで、A2は2価の炭化水素基であ
り、+2は2〜4級のアンモニウムカチオンまたはホス
ホニウムカチオンであり、そしてY1の定義は上記に同
じである。]
【0072】上記式(II)中、A2の2価の炭化水素基
としては2価の飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。この
飽和脂肪族炭化水素基としては炭素数1〜20のものが
より好ましい。
【0073】+2はアンモニウムカチオンもしくはホス
ホニウムカチオンである。アンモニウムカチオンとして
は、下記式(II)−a
【0074】
【化5】
【0075】[ここで、R9、R10、およびR11は、互
いに独立に水素原子または1価の炭化水素基である。]
で表わされるカチオンが好ましい。
【0076】R9などの1価の炭化水素基としては上記
式(I)−aについて例示したものと同じものをここで
も例示できる。
【0077】ホスホニウムカチオンとしては、下記式
(II)−b
【0078】
【化6】
【0079】[ここで、R12、R13およびR14は、互い
に独立に水素原子または1価の炭化水素基である。]で
表わされるカチオンが好ましい。R12などが表わす1価
の炭化水素基としては、上記式(I)−bについて例示
したものと同じものを例示できる。
【0080】上記式(II)で表わされる化合物の具体例
としては下記の化合物を例示することができる。
【0081】-SO3−(CH23−N+(CH33- SO3−(CH23−N+(C253- SO3−(CH23−P+(C493- SO3−(CH23−P+(C653- SO3−(CH215−N+(C253- SO3−(CH215−P+(C653- SO3−(CH215−P+(C493
【0082】 A3−(+3n・(R−Y1−SO3 -n ・・・(III)
【0083】[ここで、A3はn価の炭化水素基であ
り、+3はアンモニウムカチオンもしくはホスホニウム
カチオンであり、Rは1価の炭化水素基でありnは2〜
4の整数でありそしてY1の定義は上記に同じであ
る。]
【0084】A3のn価の炭化水素基としては、例えば
n価の飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基または
飽和脂肪族―芳香族炭化水素基が好ましい。
【0085】また、+3はアンモニウムカチオンおよび
ホスホニウムカチオンとしてはそれぞれ例えば前記式
(II)−aおよび(II)−bで表わされるものを挙げる
ことができる。
【0086】Rは1価の炭化水素基であり、その例とし
てはアルキル基、アリール基およびアラルキル基が好ま
しい。アルキル基としては炭素数1〜20のものが好ま
しく、アリール基としては炭素数6〜20のものが好ま
しく、アラルキル基とは炭素数7〜20のものが好まし
い。nは2、3または4であり、Y1の定義は前記と同
じく、単結合もしくは酸素原子である。
【0087】上記式(III)で表わされる化合物の具体
例としては下記の化合物を例示することができる。Y1
が単結合であり、+3が前記式(II)−aで表わされる
アンモニウムカチオンであり、そしてn=2の化合物と
して、次のものを挙げることができる。
【0088】
【化7】
【0089】Y1が酸素原子であり、+3が前記式(I
I)−aで表わされるアンモニウムカチオンであり、そ
してn=2の化合物として、次のものを挙げることがで
きる。
【0090】[(CH33+−(CH210−N+(C
33]・(C1531−SO4 -2 [(CH33+−(CH215−N+(CH33]・
(C1531−SO4 -2 [(C493+−(CH210−N+(C493]・
(C1531−SO4 -2
【0091】Y1が単結合であり、+3が前記式(II)
−bで表わされるホスホニウムカチオンであり、そして
n=2の化合物としては、次のものが例示される。
【0092】
【化8】
【0093】Y1が酸素原子であり、+3が前記式(I
I)−bで表わされるホスホニウムカチオンであり、そ
してn=2の化合物としては、
【0094】[(C493+−(CH210−P+(C
493]・(C1531−SO4 -2 [(C653+−(CH210−P+(C653]・
(C1531−SO4 -2
【0095】を挙げることができる。
【0096】 A5−Ad1−A4−(Ad2−A5k ・・・(IV)
【0097】ここで、A5は1または2価の炭化水素基
であり、A4は2価の炭化水素基であり、Ad1およびA
2は、同一もしくは異なり―SO2―O―SO2―、―
SO2―O―CO―または―CO―O―SO2―から選ば
れる酸無水物基であり、kは0または1である。但し、
kが0のとき、―(Ad2―A5k は水素原子を表わす
かあるいはA4とA5とを結合する結合手を表わす(この
場合、A5は2価の炭化水素基または単結合である)。
【0098】上記式(IV)で表わされる化合物は、上記
kの定義に従って、便宜的に、下記式(IV)−1
【0099】 A5―Ad1―A4―Ad2―A5 ・・・(IV)−1
【0100】[ここで、A4、Ad1およびAd2の定義
は上記式(IV)に同じであり、そしてA5は1価の炭化
水素基である。]で表わされる化合物、下記式(IV)−
【0101】 A5―Ad1―A4―H ・・・(IV)−2
【0102】[ここで、Ad1、A4の定義は上記式(I
V)に同じであり、そしてA5は1価の炭化水素基であ
る。]で表わされる化合物および下記式(IV)−3
【0103】
【化9】
【0104】[ここでAd1、A4の定義は上記式(IV)
に同じでありそしてA5は2価の炭化水素基または単結
合である。]で表わされる化合物に分けて表示できる。
【0105】上記式(IV)、(IV)−1および(IV)−
2において、A5が表わす1価の炭化水素基としては、
例えばアルキル基、アリール基またはアラルキル基を好
ましいものとして挙げることができる。アルキル基とし
ては炭素数1〜20のものが好ましく、アリール基とし
ては炭素数6〜20のものが好ましく、またアラルキル
基としては炭素数7〜20のものが好ましい。
【0106】また、上記式(IV)および(IV)−3にお
いて、A5が表わす2価の炭化水素基としては、例えば
アルキレン基、アリーレン基およびアラルキレン基を挙
げることができる。アルキレン基は炭素数1〜20のも
のが好ましく、アリーレン基は炭素数6〜20のものが
好ましく、またアラルキル基としては炭素数7〜20の
ものが好ましい。
【0107】A4は2価の炭化水素基であり、その例と
してはA5の2価の炭化水素基と同じものを挙げること
ができる。
【0108】Ad1およびAd2は、同一もしくは異な
り、―SO2―O―SO2―、―SO2―O―CO―もし
くは―CO―O―SO2―のいずれかの酸無水物基であ
る。これらの酸無水物基は、スルホン酸とスルホン酸の
間の無水物基(―SO2―O―SO2―)であるかあるい
はスルホン酸とカルボン酸の間の無水物基(―SO2
O―CO―または―CO―O―SO2―)である。
【0109】かかるスルホン酸化合物は、一価もしくは
二価のスルホン酸化合物であり、具体的には、メチルス
ルホン酸、エチルスルホン酸、プロピルスルホン酸、ブ
チルスルホン酸、ヘキシルスルホン酸、デシルスルホン
酸、ヘキサデシルスルホン酸、フェニルスルホン酸、p
―トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、
オクタデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン
酸、トルエンジスルホン酸などが用いられる。
【0110】同様に、カルボン酸化合物は一価もしくは
二価のカルボン酸化合物であり、具体的には、酢酸、プ
ロピオン酸、酪酸、吉草酸、ステアリン酸、ミリスチン
酸、オレイン酸、安息香酸、フェニル酢酸、トルイル
酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、イ
ソフタル酸、テレフタル酸などが用いられる。
【0111】上記式(IV)で表わされる化合物の具体例
としては下記の化合物を挙げることができる。すわな
ち、式(IV)−1で表わされる化合物として、例えば、
【0112】
【化10】
【0113】などが挙げられる。また、式(IV)−2で
表わされる化合物としては、次の化合物が挙げられる。
【0114】
【化11】
【0115】
【化12】
【0116】などが挙げられる。式(IV)−3で表わさ
れる化合物としては、例えば、
【0117】
【化13】
【0118】などが挙げられる。
【0119】上記式(I)〜(IV)の安定剤の中で、ホ
スホニウムもしくはアンモニウム塩型の安定剤はそれ自
身200℃以上でも安定であり、ポリマーに添加した場
合速やかに触媒を無毒化し、目的とする色調の良好なポ
リマーを得ることができる。この様な安定剤のなかでも
スルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好まし
く、さらにドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホ
スホニウム塩などのドデシルベンゼンスルホン酸の上記
塩類やパラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウ
ム塩などのパラトルエンスルホン酸の上記塩類が好まし
い。
【0120】本発明では、上記式(I)〜(IV)で表わ
される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の
安定剤を、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合
物より選ばれた前記主重縮合触媒1モルあたり0.5〜
50モルの割合で、好ましくは0.5〜10モルの割合
で、さらに好ましくは0.8〜5モルの割合で使用する
ことができる。これは通常、生成するポリカーボネート
に対し0.01〜500ppmの割合で使用することに
相当する。
【0121】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の製
造方法において、エポキシ化合物を添加することも好ま
しく実施しうる。このようなエポキシ化合物として、1
分子中にエポキシ基を1個以上有する化合物が用いられ
る。
【0122】これらは単独で用いても2種以上混合して
用いてもよい。これらのうち、脂環族エポキシ化合物が
好ましく用いられ、特に3,4―エポキシシクロヘキシ
ルメチル―3’,4’―エポキシシクロヘキシルカルボ
キシレートが好ましく用いられる。
【0123】本発明では、このようなエポキシ化合物
を、ポリカーボネート樹脂に対して、1〜2000pp
mの量で、好ましくは1〜1000ppmの量で添加す
ることが好ましく、このようにエポキシ化合物を上記量
で添加すると、ポリカーボネート中に上記安定剤が過剰
に残存しても、これがエポキシ化合物と反応して無毒化
され、最終的に色相安定性に優れ、耐熱特性に優れると
ともに、特に耐水性が向上されたポリカーボネートが得
られるようになる。
【0124】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の製
造方法において、リン化合物を添加してもよい。このよ
うなリン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン
酸、亜ホスホン酸、ピロリン酸、ポリリン酸およびこれ
らのエステルを用いることができる。
【0125】上記のエステルとしては、例えばトリメチ
ルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチル
ホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリデシル
ホスフェート、トリオクタデシルホスフェート、ジステ
アリルペンタエリスリトールジホスフェート、トシル
(2―クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,3―
ジクロロプロピル)ホスフェート、トリフェニルホスフ
ェート、トリクレジルホスフェート、トリス(ノニルフ
ェニル)ホスフェート、2―エチルフェニルジフェニル
ホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェ
ート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェー
ト、ジイソプロピルホスフェートなどのリン酸エステ
ル、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイ
ト、トリブチルホスファイト、トリオクチルホスファイ
ト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリ
ノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオ
クタデシルホスファイト、トリステアリルホスファイ
ト、トリス(2―クロロエチル)ホスファイト、トリス
(2,3―ジクロロプロピル)ホスファイト、トリシク
ロヘキシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、
トリクレジルホスファイト、トリス(エチルフェニル)
ホスファイト、トリス(2,4―ジ―tert―ブチル
フェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホ
スファイト、トリス(ヒドロキシフェニル)ホスファイ
ト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモ
ノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニル
ホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モ
ノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェ
ニルホスファイト、ビス(2,6−ジ―tert―ブチ
ル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホス
ファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ―tert
―ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニ
ルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビ
ス(2,4−ジ―tert―ブチルフェニル)ペンタエ
リスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリ
スリトールジホスファイトなどの亜リン酸エステル、ベ
ンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチ
ル、ベンゼンホスホン酸ジプロピルなどのホスホン酸エ
ステル、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフ
ェニル)−4,4−ジフェニレンホスホナイトなどの亜
ホスホン酸エステルなどが挙げられ、なかでもトリメチ
ルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチ
ルフェニル)ホスファイトが好ましく使用される。
【0126】これらのリン化合物は、単独で、あるいは
組合せて用いることができる。これらは別々に添加して
もよいし、あるいは同時に添加してもよい。本発明で
は、上記の如きリン化合物を、ポリカーボネート樹脂に
対して1〜500ppm、好ましくは5〜200pp
m、より好ましくは10〜100ppmの量で添加する
ことができる。
【0127】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の製
造方法において、酸化防止剤を添加することも好ましく
実施し得る。このような酸化防止剤としては、例えばト
リエチレングリコール−ビス(3−(3−tert−ブ
チル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(3−(3,
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス
(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,
6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビ
ス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−
ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル
−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエ
ステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−
ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス
{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチ
ル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニ
ルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサス
ピロ(5,5)ウンデカンなどが挙げられる。
【0128】これらの酸化防止剤は、単独で用いても、
2種以上混合して用いてもよく、好ましい添加量の範囲
は、ポリカーボネート樹脂に対して1ppm〜500p
pmである。
【0129】さらに本発明の芳香族ポリカーボネート樹
脂の製造方法において、一価または多価アルコールの高
級脂肪酸エステルを加えることも好ましく実施し得る。
かかる高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜2
0の一価または多価アルコールと炭素原子数10〜30
の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルである
のが好ましく、例えばステアリン酸モノグリセリド、ス
テアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリ
ド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエ
リスリトールテトラステアレート、プロピレングリコー
ルモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミ
チルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレ
ート、イソプロピルパルミテート、2−エチルヘキシル
ステアレートなどが挙げられ、なかでもステアリン酸モ
ノグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレー
トが好ましく用いられる。
【0130】これらの高級脂肪酸エステルは、単独で用
いても、2種以上混合して用いてもよく、その配合量
は、ポリカーボネート樹脂に対して0.01〜2重量
%、好ましくは0.015〜0.5重量%、より好ましく
は0.02〜0.2重量%の範囲である。このように、高
級脂肪酸エステルを上記量で添加すると、ポリカーボネ
ート樹脂の成形時の金型からの離型性が改良され、ディ
スク基板の成形においては、離型荷重が少なく離型不良
によるディスク基板の変形、ピットずれを防止できる。
また、芳香族ポリカーボネート樹脂の熱安定性が向上
し、さらに溶融流動性が改善される利点もある。
【0131】本発明により得られる芳香族ポリカーボネ
ート樹脂には、さらに光安定剤、着色剤、帯電防止剤、
滑剤などの添加剤を透明性を損なわない範囲で加えるこ
とができる。また、他のポリカーボネート樹脂、熱可塑
性樹脂を本発明の目的を損なわない範囲で少割合添加す
ることもできる。また、この芳香族ポリカーボネート樹
脂は、例えば射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、溶
液キャスティング法など任意の方法により成形される。
【0132】本発明により得られる芳香族ポリカーボネ
ート樹脂は、成形性および熱安定性に優れているので種
々の成形品として利用することができる。殊に光学ディ
スク、光学レンズ、液晶パネル、光カード、シート、フ
ィルム、光ファイバー、コネクター、蒸着プラスチック
反射鏡、ディスプレーなどの光学部品の構造材料または
機能材料用途に適した光学用成形品として有利に使用す
ることができる。これらのうち、光ディスク基板として
特に有利に使用することができる。
【0133】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明す
る。なお実施例中の部は重量部であり、%は重量%であ
る。なお、評価は下記の方法によった。比粘度 :ポリマー0.7gを100mlの塩化メチレン
に溶解し20℃の温度で測定した。ガラス転移点(Tg) :デュポン社製910型DSCに
より測定した。流動性(MFR) :JIS K−7210に準拠して、
東洋精機製セミオートメルトインデクサーを用いて、2
80℃、荷重2.16kgで10分間に流出したポリマ
ー量(g)で示した。吸水率 :ASTM D−0570によって測定した。
【0134】全光線透過率:ASTM D−1003に
準拠して日本電色シグマ80を用いて測定した。光弾性定数 :理研計器(株)製の光弾性測定装置PA−
150により測定した。斜め入射複屈折位相差 :オーク製エリプソメータADR
−200B自動複屈折測定装置を用い、入射角30度で
測定した。溶融ハーゼン色数(APHA) :JIS K4101に
示される色数試験方法に基づき、直径23mm、肉厚
1.5mmの平底パイレックス比色管を用い、溶融状態
で液深140mmのハーゼン色数をハーゼン標準比色液
と比較して測定した。また、溶融装置にもJIS K−
4101に示されるアルミニウムインゴットホットバス
を使用した。
【0135】実施例1 トルエン/シクロヘキサン混合溶媒にて再結晶した1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリ
メチルシクロヘキサン34.1部(0.11モル)とジフ
ェニルカーボネート23.5部(0.11モル)の等モル
混合物を平底パイレックス比色管に仕込み、200℃に
おける溶融ハーゼン色数が45番になることを確認し
た。また、上記と同様に再結晶した2,2−ビス(3−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン28.2部
(0.11モル)とジフェニルカーボネート23.5部
(0.11モル)の等モル混合物を上記と同様にして、
溶融ハーゼン色数を測定し、30番になることを確認し
た。
【0136】攪拌機、蒸留塔を備えた反応器に上記の
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−
トリメチルシクロヘキサン(以下“ビスフェノールTM
C”と略称することがある)20.5部、2,2−ビス
(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以
下“ビスフェノールC”と略称することがある)39.
4部、ジフェニルカーボネート(バイエル社製)49.
2部および触媒として、水酸化ナトリウム0.0000
1部とテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.00
16部を仕込み、窒素置換を行った。この混合物を20
0℃まで加熱して攪拌しながら溶解させた。次いで、減
圧度を30Torrとして加熱しながら、1時間で大半
のフェノールを留去した。さらに、270℃まで温度を
上げ、減圧度を1Torrとして2時間反応を行い、ビ
スフェノールTMCとビスフェノールCの比がモル比で
30:70であるポリマーを得た。このポリマーの比粘
度は0.298、Tgは151℃、MFRは55g/1
0分、含水率は0.16重量%であった。
【0137】このポリマーにトリス(2,4−ジ−te
rt−ブチルフェニル)ホスファイトを0.003%、
トリメチルホスフェートを0.005%、ステアリン酸
モノグリセリドを0.045%加え、住友重機製DIS
K5Mlllを用いて120mmφ、1.2mm厚みの
ディスク基板に射出成形した。このものの全光線透過率
は89%、光弾性定数は49×10-13cm2/dyn、
斜め入射複屈折位相差は24nmであった。
【0138】実施例2 実施例1の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを40.9部、2,
2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パンを22.5部とした以外は実施例1と同様にして、
ビスフェノールTMCとビスフェノールCの比がモル比
で60:40であるポリマーを得た。このポリマーの比
粘度は0.290、Tgは146℃、MFRは46g/
10分、吸水率は0.18重量%であった。
【0139】このポリマーに実施例1と同様の添加剤を
加え、実施例1と同様に成形し、実施例1と同様に評価
したところ、このものの全光線透過率は89%、光弾性
定数は40×10-13cm2/dyn、斜め入射複屈折位
相差は23nmであった。
【0140】実施例3 トルエン/シクロヘキサン混合溶媒にて再結晶した9,
9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン38.
5部(0.11モル)とジフェニルカーボネート23.5
部(0.11モル)の等モル混合物を平底パイレックス
比色管に仕込み、200℃における溶融ハーゼン色数が
40番になることを確認した。実施例1の芳香族ジヒド
ロキシ成分を1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン13.6部、2,
2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン36.6部および上記の9,9−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)フルオレン11.5部(以下、“ビスフェ
ノールフルオレン”と略称することがある)とした以外
は実施例1と同様にして、ビスフェノールTMCとビス
フェノールCとビスフェノールフルオレンの比がモル比
で20:65:15のポリマーを得た。このポリマーの
比粘度は0.272、MFRは50g/10分、Tgは
165℃、吸水率は0.18重量%であった。
【0141】このポリマーに実施例1と同様の添加剤を
加え、実施例1と同様に成形し、実施例1と同様に評価
したところ、このものの全光線透過率は89%、光弾性
定数は43×10-13cm2/dyn、斜め入射複屈折位
相差は40nmであった。
【0142】
【発明の効果】本発明の製造方法により得られる芳香族
ポリカーボネート樹脂は、成形性、熱安定性および耐金
型腐食性が良好で、かつ低複屈折の成形品を与えるの
で、光学ディスク、光学レンズ、光カードなどの各種光
学用成形品として好適に用いられる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全芳香族ジヒドロキシ成分の少なくとも
    80モル%が(a)1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
    ニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(成分
    a)および(b)2,2−ビス(3−メチル−4−ヒド
    ロキシフェニル)プロパン(成分b)であり、かつ成分
    aと成分bの割合がモル比で99:1〜20:80の範
    囲である芳香族ジヒドロキシ成分と炭酸ジエステルを溶
    融重合させる芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 成分aと成分bの割合がモル比で80:
    20〜20:80である請求項1記載の芳香族ポリカー
    ボネート樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 該芳香族ポリカーボネート樹脂は、その
    0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の2
    0℃において測定された比粘度が0.2〜0.5の範囲で
    ある請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 炭酸ジエステルがジフェニルカーボネー
    トである請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 該溶融重合を重合触媒の存在下に行う請
    求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法。
  6. 【請求項6】 該重合触媒は、(i)アルカリ金属化合
    物あるいはアルカリ土類金属化合物またはそれらと(i
    i)含窒素塩基性化合物との組合せである請求項5記載
    の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法。
  7. 【請求項7】 該芳香族ジヒドロキシ成分と炭酸ジエス
    テルは、その等モル混合物として、その混合物の大気中
    200℃において測定された溶融ハーゼン色数が150
    番以下である請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹
    脂の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002533508A (ja) * 1998-12-21 2002-10-08 バイエル アクチェンゲゼルシャフト 離型剤を含むポリマーブレンド
WO2010105769A1 (de) 2009-03-18 2010-09-23 Bayer Materialscience Ag Copolycarbonate mit verbesserten eigenschaften

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JP2012520906A (ja) * 2009-03-18 2012-09-10 バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト 改良された特性を有するコポリカーボネート

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