JPH09180175A - 磁気記録媒体 - Google Patents
磁気記録媒体Info
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- JPH09180175A JPH09180175A JP7350795A JP35079595A JPH09180175A JP H09180175 A JPH09180175 A JP H09180175A JP 7350795 A JP7350795 A JP 7350795A JP 35079595 A JP35079595 A JP 35079595A JP H09180175 A JPH09180175 A JP H09180175A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 第1の磁性層に記録した信号から発生する磁
界及び配向磁界の影響で第2の磁性層に書き換え不能な
固定パターンが形成した記録媒体において、従来技術の
ように可変信号の出力レベルと固定信号の出力レベルと
が制約を受け合うことが無く、それぞれを十分な出力レ
ベルで読み取ることができるようにすること。 【解決手段】 非磁性基体上に、保磁力が常温において
5000 Oe以上の磁性材料よりなる第1の磁性層
と、保磁力が250 Oe以上3000 Oe以下の磁
性粒子をバインダ中に分散してなる第2の磁性層とを順
次積層してなり、前記第2の磁性層には、第1の磁性層
に記録された信号による磁界並びに配向磁界の影響によ
り、磁性粒子の存在が密なる部分と疎なる部分とが互に
隣接して交互に形成された書き換え不能な固定パターン
が記録されていることを特徴とする。
界及び配向磁界の影響で第2の磁性層に書き換え不能な
固定パターンが形成した記録媒体において、従来技術の
ように可変信号の出力レベルと固定信号の出力レベルと
が制約を受け合うことが無く、それぞれを十分な出力レ
ベルで読み取ることができるようにすること。 【解決手段】 非磁性基体上に、保磁力が常温において
5000 Oe以上の磁性材料よりなる第1の磁性層
と、保磁力が250 Oe以上3000 Oe以下の磁
性粒子をバインダ中に分散してなる第2の磁性層とを順
次積層してなり、前記第2の磁性層には、第1の磁性層
に記録された信号による磁界並びに配向磁界の影響によ
り、磁性粒子の存在が密なる部分と疎なる部分とが互に
隣接して交互に形成された書き換え不能な固定パターン
が記録されていることを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプリペイドカード等
のように、偽造や変造等の不正行為に対して高い安全性
を要求される磁気記録媒体及びその製造方法に関するも
のであり、特に複数の磁性層を積層して成り、その内の
少なくとも一つの磁性層に書き換え不能な固定パターン
を形成した磁気記録媒体に関するものである。
のように、偽造や変造等の不正行為に対して高い安全性
を要求される磁気記録媒体及びその製造方法に関するも
のであり、特に複数の磁性層を積層して成り、その内の
少なくとも一つの磁性層に書き換え不能な固定パターン
を形成した磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年急速に普及したプリペイドカードを
はじめとする各種磁気カードは、その普及にともなって
偽造・変造などの不正行為に対する安全性が強く求めら
れるようになってきている。磁気カードの安全性を高め
るための手段としては、通常の磁気記録再生領域とは別
の箇所に、書き換えが困難な固定パターンを媒体固有の
識別情報として付与することが提案されている。例えば
特開昭50−79311号公報にあるように、通常の磁
性層に磁気記録された信号磁界の作用下に、磁性粒子を
分散した磁性塗料を塗布して下層の情報に支配された磁
性粒子の配向を物理的に固定した媒体、特開平7−29
157号公報にあるように磁気記録された磁性層の上
に、保磁力が100 Oe以下の磁性粒子を分散した磁
性塗料を塗布することにより、信号の記録パターンの磁
気反転部に磁性粒子を集中させて物理的に固定した媒
体、特開平5−318974号公報にあるように、通常
の磁性層に磁気記録された情報を、その上に積層された
保磁力が4500 Oe以上の高保磁力の磁性粒子を有
する磁性層に転写させることにより、通常用いられる磁
気ヘッドでは書き換えが困難な情報を付与した媒体など
が知られている。
はじめとする各種磁気カードは、その普及にともなって
偽造・変造などの不正行為に対する安全性が強く求めら
れるようになってきている。磁気カードの安全性を高め
るための手段としては、通常の磁気記録再生領域とは別
の箇所に、書き換えが困難な固定パターンを媒体固有の
識別情報として付与することが提案されている。例えば
特開昭50−79311号公報にあるように、通常の磁
性層に磁気記録された信号磁界の作用下に、磁性粒子を
分散した磁性塗料を塗布して下層の情報に支配された磁
性粒子の配向を物理的に固定した媒体、特開平7−29
157号公報にあるように磁気記録された磁性層の上
に、保磁力が100 Oe以下の磁性粒子を分散した磁
性塗料を塗布することにより、信号の記録パターンの磁
気反転部に磁性粒子を集中させて物理的に固定した媒
体、特開平5−318974号公報にあるように、通常
の磁性層に磁気記録された情報を、その上に積層された
保磁力が4500 Oe以上の高保磁力の磁性粒子を有
する磁性層に転写させることにより、通常用いられる磁
気ヘッドでは書き換えが困難な情報を付与した媒体など
が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
50−79311号、特開平7−29157号、特開平
5−318974号は、何れも固定パターンが磁気記録
再生が困難な100 Oe以下の低保磁力磁性層中また
は4500 Oe以上の高保磁力磁性層中に形成されて
おり、磁気記録再生のための磁性層の上に保磁力の異な
る別の磁性層を積層した構造となっている。
50−79311号、特開平7−29157号、特開平
5−318974号は、何れも固定パターンが磁気記録
再生が困難な100 Oe以下の低保磁力磁性層中また
は4500 Oe以上の高保磁力磁性層中に形成されて
おり、磁気記録再生のための磁性層の上に保磁力の異な
る別の磁性層を積層した構造となっている。
【0004】図4は、上述の従来技術による媒体の構造
を示す断面図であり、基体2の上には磁気記録再生が可
能な第1の磁性層7と、保磁力が100 Oe以下また
は4500 Oe以上であり磁気記録再生が困難な第2
の磁性層8とが順次積層されている。第1の磁性層7に
は可変情報を記録再生するための磁気記録再生トラック
6が設けられ、第2の磁性層8には媒体を識別するため
の情報等を記録した書き換え不能な固定信号トラック5
が設けられている。この固定信号トラック5の固定信号
は上述のようにそれに接する第1の磁性層7の磁気記録
された信号の影響下に記録されたものであり、図4では
この磁気記録信号はその後消去されている。この媒体
は、第1の磁性層7が、第2の磁性層8に全面的に被わ
れているため、第1の磁性層7に記録されている可変情
報の再生出力が、第2の磁性層8の影響で低下するとい
う問題点がある。一方、第2の磁性層の厚みを厚くする
ことが前述の理由によりできないことから、該磁性層に
記録されている固定パターンの出力レベルが十分に得ら
れないという問題点をも有している。更に、第1の磁性
層7は可変情報を記録再生するものであると同時に、第
2の磁性層8に固定パターンを記録するための信号源で
もある。通常、第1の磁性層7の厚みは読み取り装置に
要求される出力レベルに合わせて設定されるため、固定
パターンを作製するための最適な膜厚を取ることができ
なかった。
を示す断面図であり、基体2の上には磁気記録再生が可
能な第1の磁性層7と、保磁力が100 Oe以下また
は4500 Oe以上であり磁気記録再生が困難な第2
の磁性層8とが順次積層されている。第1の磁性層7に
は可変情報を記録再生するための磁気記録再生トラック
6が設けられ、第2の磁性層8には媒体を識別するため
の情報等を記録した書き換え不能な固定信号トラック5
が設けられている。この固定信号トラック5の固定信号
は上述のようにそれに接する第1の磁性層7の磁気記録
された信号の影響下に記録されたものであり、図4では
この磁気記録信号はその後消去されている。この媒体
は、第1の磁性層7が、第2の磁性層8に全面的に被わ
れているため、第1の磁性層7に記録されている可変情
報の再生出力が、第2の磁性層8の影響で低下するとい
う問題点がある。一方、第2の磁性層の厚みを厚くする
ことが前述の理由によりできないことから、該磁性層に
記録されている固定パターンの出力レベルが十分に得ら
れないという問題点をも有している。更に、第1の磁性
層7は可変情報を記録再生するものであると同時に、第
2の磁性層8に固定パターンを記録するための信号源で
もある。通常、第1の磁性層7の厚みは読み取り装置に
要求される出力レベルに合わせて設定されるため、固定
パターンを作製するための最適な膜厚を取ることができ
なかった。
【0005】そこで、第2の磁性層8を磁気記録再生ト
ラック6の部分を避けて、固定信号トラック5の部分の
みに設けることも考えられるが、これも上述の問題点の
解決には不十分であるばかりでなく、第1の磁性層7を
形成する時のような全面塗布方式の製造方法を用いるこ
とができず、ストライプ状に塗布したり、部分印刷する
など通常の磁気記録媒体を製造する工程以外の余分な工
程を付加する必要があり、製造プロセスが複雑化すると
いう欠点がある。また固定信号トラック5の存在が視認
できるため、安全性の面からも問題点を有している。
ラック6の部分を避けて、固定信号トラック5の部分の
みに設けることも考えられるが、これも上述の問題点の
解決には不十分であるばかりでなく、第1の磁性層7を
形成する時のような全面塗布方式の製造方法を用いるこ
とができず、ストライプ状に塗布したり、部分印刷する
など通常の磁気記録媒体を製造する工程以外の余分な工
程を付加する必要があり、製造プロセスが複雑化すると
いう欠点がある。また固定信号トラック5の存在が視認
できるため、安全性の面からも問題点を有している。
【0006】第2の磁性層8を磁気記録再生が可能な磁
性材料により構成すると、固定信号トラック5と磁気記
録再生トラック6とを同一の磁性層に設けることが可能
となる。しかし、この場合も磁気記録再生トラック6に
信号を書き込む際には第1の磁性層7にも信号が書き込
まれてしまうため、再生信号が干渉を受けたり磁気記録
再生トラック6の出力のみが高くなり固定信号トラック
5の出力とのバランスが悪くなるという問題点を有して
いる。本発明は以上の問題点に鑑みなされたもので、固
定信号トラック5と磁気記録再生トラック6とを同一の
磁性層中に形成し、且つそれぞれの出力を十分なレベル
で読み取ることができる磁気記録媒体とその製造方法を
提供するものである。
性材料により構成すると、固定信号トラック5と磁気記
録再生トラック6とを同一の磁性層に設けることが可能
となる。しかし、この場合も磁気記録再生トラック6に
信号を書き込む際には第1の磁性層7にも信号が書き込
まれてしまうため、再生信号が干渉を受けたり磁気記録
再生トラック6の出力のみが高くなり固定信号トラック
5の出力とのバランスが悪くなるという問題点を有して
いる。本発明は以上の問題点に鑑みなされたもので、固
定信号トラック5と磁気記録再生トラック6とを同一の
磁性層中に形成し、且つそれぞれの出力を十分なレベル
で読み取ることができる磁気記録媒体とその製造方法を
提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題は、非磁性基体
上に保磁力が5000 Oe以上の磁性材料よりなる第
1の磁性層と、保磁力が250 Oe以上3000 O
e以下の磁性粒子をバインダ中に分散してなる第2の磁
性層とを順次積層してなり、前記第2の磁性層には、第
1の磁性層に記録された信号による磁界並びに配向磁界
の影響により、磁性粒子の存在が密なる部分と疎なる部
分とが互に隣接して交互に形成された書き換え不能な固
定パターンが記録されていることを特徴とする磁気記録
媒体によって解決することができる。すなわち、第1の
磁性層の保磁力は5000 Oe以上であるため、第2
の磁性層への信号の記録再生には何ら影響を与えること
はない。
上に保磁力が5000 Oe以上の磁性材料よりなる第
1の磁性層と、保磁力が250 Oe以上3000 O
e以下の磁性粒子をバインダ中に分散してなる第2の磁
性層とを順次積層してなり、前記第2の磁性層には、第
1の磁性層に記録された信号による磁界並びに配向磁界
の影響により、磁性粒子の存在が密なる部分と疎なる部
分とが互に隣接して交互に形成された書き換え不能な固
定パターンが記録されていることを特徴とする磁気記録
媒体によって解決することができる。すなわち、第1の
磁性層の保磁力は5000 Oe以上であるため、第2
の磁性層への信号の記録再生には何ら影響を与えること
はない。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明
を詳細に説明する。図1は本発明に使用する磁気記録媒
体の一例を示す平面図である。図2は図1のX−Xに沿
う部分の断面図、図3はY−Yに沿う部分の断面図であ
る。図1〜図3において、磁気記録媒体1は、非磁性基
体2の上に第1の磁性層3と第2の磁性層4とが順次積
層されて構成されている。第2の磁性層4には、例えば
媒体を特定するための識別情報や、媒体で使用すること
が出来る金額や度数を表す価値情報としての固定パター
ンが記録された固定信号トラック5と、可変信号を記録
再生するための磁気記録再生トラック6とが設けられて
いる。この固定信号トラック5には、磁性粒子の存在が
密なる部分5Aと磁性粒子の存在が疎なる部分5Bとが
交互に形成されている。
を詳細に説明する。図1は本発明に使用する磁気記録媒
体の一例を示す平面図である。図2は図1のX−Xに沿
う部分の断面図、図3はY−Yに沿う部分の断面図であ
る。図1〜図3において、磁気記録媒体1は、非磁性基
体2の上に第1の磁性層3と第2の磁性層4とが順次積
層されて構成されている。第2の磁性層4には、例えば
媒体を特定するための識別情報や、媒体で使用すること
が出来る金額や度数を表す価値情報としての固定パター
ンが記録された固定信号トラック5と、可変信号を記録
再生するための磁気記録再生トラック6とが設けられて
いる。この固定信号トラック5には、磁性粒子の存在が
密なる部分5Aと磁性粒子の存在が疎なる部分5Bとが
交互に形成されている。
【0009】非磁性基体2はポリエチレンテレフタレー
ト(PET)、硬質塩化ビニル樹脂(PVC)、合成紙
等のプラスチックフィルムや紙、樹脂含浸紙等、磁気カ
ード、磁気シート用の公知のものを使用することができ
る。第2の磁性層4は、固定パターンが形成されるとと
もに磁気記録再生を行うためのものであり、記録用磁性
材料を高分子樹脂バインダ中に分散して作製した磁性材
料を、公知の方法で塗布・乾燥して4〜20μm程度の
厚みとなるよう形成されている。使用される磁性材料
は、記録された信号磁化が安定に保持され、且つ通常用
いられる磁気ヘッドで容易に書き込みが可能である必要
があり、例えばγFe2 O3 、Fe3 O4、CrO2 、
Co含有γFe2 O3 、メタル粉、バリウムフェライト
等、保磁力が250 Oe以上3000 Oe以下のも
のが使用される。第1の磁性層3は、保磁力が5000
Oe以上の磁性材料を高分子樹脂バインダ中に分散し
て作製した磁性塗料を、公知の方法で塗布・乾燥して4
〜20μm程度の厚みとなるよう形成されている。この
第1の磁性層3に使用される磁性材料としては、前記第
2の磁性層4が上に積層された状態で、第2の磁性層4
に信号を記録するための磁気ヘッドでは容易に記録され
ない必要があり、保磁力が5000 Oe以上の、例え
ばバリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等が
使用される。
ト(PET)、硬質塩化ビニル樹脂(PVC)、合成紙
等のプラスチックフィルムや紙、樹脂含浸紙等、磁気カ
ード、磁気シート用の公知のものを使用することができ
る。第2の磁性層4は、固定パターンが形成されるとと
もに磁気記録再生を行うためのものであり、記録用磁性
材料を高分子樹脂バインダ中に分散して作製した磁性材
料を、公知の方法で塗布・乾燥して4〜20μm程度の
厚みとなるよう形成されている。使用される磁性材料
は、記録された信号磁化が安定に保持され、且つ通常用
いられる磁気ヘッドで容易に書き込みが可能である必要
があり、例えばγFe2 O3 、Fe3 O4、CrO2 、
Co含有γFe2 O3 、メタル粉、バリウムフェライト
等、保磁力が250 Oe以上3000 Oe以下のも
のが使用される。第1の磁性層3は、保磁力が5000
Oe以上の磁性材料を高分子樹脂バインダ中に分散し
て作製した磁性塗料を、公知の方法で塗布・乾燥して4
〜20μm程度の厚みとなるよう形成されている。この
第1の磁性層3に使用される磁性材料としては、前記第
2の磁性層4が上に積層された状態で、第2の磁性層4
に信号を記録するための磁気ヘッドでは容易に記録され
ない必要があり、保磁力が5000 Oe以上の、例え
ばバリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等が
使用される。
【0010】本発明の磁気記録媒体は、以下の方法で作
製することができる。先ず非磁性基体2に保磁力が50
00 Oe以上の磁性材料よりなる磁性塗料を塗布・乾
燥して第1の磁性層3を形成する。次に該磁性層の固定
信号トラック5に相当する箇所に所定の信号を、例えば
飽和磁束密度(Bs)が20キロガウス以上のFe−C
o系合金をコア材として使用した磁気ヘッドなどを用い
て磁気記録する。その後保磁力が250 Oe以上30
00 Oe以下の磁性材料よりなる磁性塗料をグラビア
法、ロールコート法、ナイフコート法、ノズルコート法
などの公知の方法で塗布し、磁性塗料が乾燥する前に、
ソレノイドコイルなどによる配向装置で、第1の磁性層
3に記録した信号の残留磁化の方向に対して実質的に平
行、且つ一定方向の配向磁界を加えて配向処理を行う。
この処理により第2の磁性層中には、第1の磁性層3に
記録した信号磁界と配向磁界との影響により、前記信号
の磁化の向きおよび長さに従って磁性粒子の存在が密な
る箇所と疎なる箇所とが交互に形成される。なお、第2
の磁性層4の固定信号トラック5以外の箇所は、通常の
手段により作製した磁性層と何ら変わるところなく磁気
記録再生が可能である。
製することができる。先ず非磁性基体2に保磁力が50
00 Oe以上の磁性材料よりなる磁性塗料を塗布・乾
燥して第1の磁性層3を形成する。次に該磁性層の固定
信号トラック5に相当する箇所に所定の信号を、例えば
飽和磁束密度(Bs)が20キロガウス以上のFe−C
o系合金をコア材として使用した磁気ヘッドなどを用い
て磁気記録する。その後保磁力が250 Oe以上30
00 Oe以下の磁性材料よりなる磁性塗料をグラビア
法、ロールコート法、ナイフコート法、ノズルコート法
などの公知の方法で塗布し、磁性塗料が乾燥する前に、
ソレノイドコイルなどによる配向装置で、第1の磁性層
3に記録した信号の残留磁化の方向に対して実質的に平
行、且つ一定方向の配向磁界を加えて配向処理を行う。
この処理により第2の磁性層中には、第1の磁性層3に
記録した信号磁界と配向磁界との影響により、前記信号
の磁化の向きおよび長さに従って磁性粒子の存在が密な
る箇所と疎なる箇所とが交互に形成される。なお、第2
の磁性層4の固定信号トラック5以外の箇所は、通常の
手段により作製した磁性層と何ら変わるところなく磁気
記録再生が可能である。
【0011】本発明の磁気記録媒体1への信号の書込、
読み取りは以下の方法で行う。固定信号トラック5に記
録されている固定パターンの読み取りは、先ず第1の磁
性層3に記録されている固定パターン作製用信号を、空
心コイル中に直流電流を通電する着磁装置などで第1の
磁性層の保磁力の2倍以上の直流磁界を印加して直流消
去する。その時、固定パターン部も同時に一方向に飽和
磁化される。次に読み取りヘッドで固定信号トラック5
を走査すると、固定パターン部の磁性粒子の存在が密な
る部分5Aと疎なる部分5Bとの境界で残留磁化量が変
化するので、読み取りヘッドのコイルには磁化量の変化
に比例した出力電圧が発生する。なお、固定パターンの
読み取り時には、読み取りヘッドから適当なバイアス磁
界を発生させながら、固定信号トラック5を走査させて
もよい。この固定パターンは、磁性層の物理的構造の違
いとして形成されているので、磁気ヘッドによる消去や
書き換えは全く不可能である。一方、磁気記録再生トラ
ック6への可変信号の書き込み・読み取りには、300
0 Oe程度までの磁気記録媒体を飽和書き込みできる
磁気ヘッド(例えばセンダストをコア材として使用した
ものなど)を使用することができる。磁気記録再生トラ
ック6は、従来技術のように固定信号を記録した磁性層
で被われていないので、上記ヘッドで十分に飽和書き込
みすることができる。また、第1の磁性層3は保磁力が
5000 Oe以上あり、しかも該磁性層の上には第2
の磁性層4が設けられており、更に第2の磁性層の上に
は着色隠蔽層、印字層、保護層などが必要に応じて設け
られるため、ヘッドギャップ部からの距離が遠くなるの
で該磁性層へ信号を書き込むことは不可能となる。従っ
て、第1の磁性層3は、磁気記録再生トラック6への信
号の書き換えには全く影響を及ぼさない。
読み取りは以下の方法で行う。固定信号トラック5に記
録されている固定パターンの読み取りは、先ず第1の磁
性層3に記録されている固定パターン作製用信号を、空
心コイル中に直流電流を通電する着磁装置などで第1の
磁性層の保磁力の2倍以上の直流磁界を印加して直流消
去する。その時、固定パターン部も同時に一方向に飽和
磁化される。次に読み取りヘッドで固定信号トラック5
を走査すると、固定パターン部の磁性粒子の存在が密な
る部分5Aと疎なる部分5Bとの境界で残留磁化量が変
化するので、読み取りヘッドのコイルには磁化量の変化
に比例した出力電圧が発生する。なお、固定パターンの
読み取り時には、読み取りヘッドから適当なバイアス磁
界を発生させながら、固定信号トラック5を走査させて
もよい。この固定パターンは、磁性層の物理的構造の違
いとして形成されているので、磁気ヘッドによる消去や
書き換えは全く不可能である。一方、磁気記録再生トラ
ック6への可変信号の書き込み・読み取りには、300
0 Oe程度までの磁気記録媒体を飽和書き込みできる
磁気ヘッド(例えばセンダストをコア材として使用した
ものなど)を使用することができる。磁気記録再生トラ
ック6は、従来技術のように固定信号を記録した磁性層
で被われていないので、上記ヘッドで十分に飽和書き込
みすることができる。また、第1の磁性層3は保磁力が
5000 Oe以上あり、しかも該磁性層の上には第2
の磁性層4が設けられており、更に第2の磁性層の上に
は着色隠蔽層、印字層、保護層などが必要に応じて設け
られるため、ヘッドギャップ部からの距離が遠くなるの
で該磁性層へ信号を書き込むことは不可能となる。従っ
て、第1の磁性層3は、磁気記録再生トラック6への信
号の書き換えには全く影響を及ぼさない。
【0012】
【実施例】以下に、本発明による磁気記録媒体を、磁気
カードとして適用した場合について、より具体的な実施
例を用いて詳細に説明する。 実施例1 厚さ188μmの白色ポリエステルフィルム基体の一方
の面全面に、保磁力が5000 Oeのストロンチウム
フェライト磁性粉をバインダ樹脂、分散剤、硬化剤、そ
の他添加剤と溶剤とを混合・分散して作製した磁性塗料
をグラビアコート法で塗布し、乾燥後の厚みが8μmの
第1の磁性層を形成した。次に第1の磁性層の所定の位
置に、Bsが21キロガウスのFe−Co合金系コアを
使用した磁気ヘッドで、記録密度が210bpiのFM
変調された信号を記録した。その上から、保磁力が27
50 Oeのバリウムフェライト磁性粉をバインダ樹
脂、分散剤、硬化剤、その他添加剤と溶剤とを混合・分
散して作製した磁性塗料をグラビアコート法で塗布し
た。その直後塗工部出口近傍に配置したソレノイドコイ
ルによる配向装置で、最大強度1500 Oeの直流磁
場配向をかけ、その後乾燥装置で乾燥し、厚みが10μ
mの第2の磁性層を形成した。
カードとして適用した場合について、より具体的な実施
例を用いて詳細に説明する。 実施例1 厚さ188μmの白色ポリエステルフィルム基体の一方
の面全面に、保磁力が5000 Oeのストロンチウム
フェライト磁性粉をバインダ樹脂、分散剤、硬化剤、そ
の他添加剤と溶剤とを混合・分散して作製した磁性塗料
をグラビアコート法で塗布し、乾燥後の厚みが8μmの
第1の磁性層を形成した。次に第1の磁性層の所定の位
置に、Bsが21キロガウスのFe−Co合金系コアを
使用した磁気ヘッドで、記録密度が210bpiのFM
変調された信号を記録した。その上から、保磁力が27
50 Oeのバリウムフェライト磁性粉をバインダ樹
脂、分散剤、硬化剤、その他添加剤と溶剤とを混合・分
散して作製した磁性塗料をグラビアコート法で塗布し
た。その直後塗工部出口近傍に配置したソレノイドコイ
ルによる配向装置で、最大強度1500 Oeの直流磁
場配向をかけ、その後乾燥装置で乾燥し、厚みが10μ
mの第2の磁性層を形成した。
【0013】実施例2 実施例1と同じ方法で作製した第1の磁性層に、実施例
1と同じ方法で信号を記録した。その上に、保磁力が3
00エルステッドのγFe2 O3 磁性粉をバインダ樹
脂、分散剤、硬化剤、その他添加剤と溶剤とを混合・分
散して作製した磁性塗料をグラビアコート法で塗布し
た。その直後塗工部出口近傍に配置したソレノイドコイ
ルによる配向装置で、最大強度1000 Oeの直流磁
場配向をかけ、その後乾燥装置で乾燥し、厚みが10μ
mの第2の磁性層を形成した。
1と同じ方法で信号を記録した。その上に、保磁力が3
00エルステッドのγFe2 O3 磁性粉をバインダ樹
脂、分散剤、硬化剤、その他添加剤と溶剤とを混合・分
散して作製した磁性塗料をグラビアコート法で塗布し
た。その直後塗工部出口近傍に配置したソレノイドコイ
ルによる配向装置で、最大強度1000 Oeの直流磁
場配向をかけ、その後乾燥装置で乾燥し、厚みが10μ
mの第2の磁性層を形成した。
【0014】実施例3 実施例1と同じ方法で作製した第1の磁性層に、実施例
1と同じ方法で信号を記録した。その上に、保磁力が6
50エルステッドのCo被着γFe2 O3 磁性粉をバイ
ンダ樹脂、分散剤、硬化剤、その他添加剤と溶剤とを混
合・分散して作製した磁性塗料をグラビアコート法で塗
布し、実施例2と同じ方法で磁場配向および乾燥処理を
行い、厚みが10μmの第2の磁性層を形成した。
1と同じ方法で信号を記録した。その上に、保磁力が6
50エルステッドのCo被着γFe2 O3 磁性粉をバイ
ンダ樹脂、分散剤、硬化剤、その他添加剤と溶剤とを混
合・分散して作製した磁性塗料をグラビアコート法で塗
布し、実施例2と同じ方法で磁場配向および乾燥処理を
行い、厚みが10μmの第2の磁性層を形成した。
【0015】実施例1〜3で作製した磁気シートを86
×54mmのサイズに打ち抜き磁気カードを得た。各々
のカードを空心ソレノイドコイル中に置き、長手方向に
15000 Oeの磁場を印加して、第1の磁性層に記
録した信号を消去した。次に3000 Oe程度までの
磁気記録媒体を飽和書込できる書き込みヘッドを装着し
たリーダー・ライターで、各カードの固定信号トラック
を飽和磁化した。次に同じリーダー・ライターに装着さ
れた読み取りヘッドで固定信号トラックを走査し、固定
パターンを読み取った。次に、各カードの固定信号トラ
ック以外の箇所に同じ書き込みヘッドで210fciの
信号を、それぞれのカードに適した条件で飽和記録し、
その後読み取りヘッドでその出力を読み取った。続いて
同じ箇所に記録密度が420fciの信号をオーバーラ
イトし、その後読み取りヘッドでその出力を読み取っ
た。
×54mmのサイズに打ち抜き磁気カードを得た。各々
のカードを空心ソレノイドコイル中に置き、長手方向に
15000 Oeの磁場を印加して、第1の磁性層に記
録した信号を消去した。次に3000 Oe程度までの
磁気記録媒体を飽和書込できる書き込みヘッドを装着し
たリーダー・ライターで、各カードの固定信号トラック
を飽和磁化した。次に同じリーダー・ライターに装着さ
れた読み取りヘッドで固定信号トラックを走査し、固定
パターンを読み取った。次に、各カードの固定信号トラ
ック以外の箇所に同じ書き込みヘッドで210fciの
信号を、それぞれのカードに適した条件で飽和記録し、
その後読み取りヘッドでその出力を読み取った。続いて
同じ箇所に記録密度が420fciの信号をオーバーラ
イトし、その後読み取りヘッドでその出力を読み取っ
た。
【0016】その結果、実施例1〜3のカードは何れ
も、固定信号トラックに記録された210bpiのFM
信号を十分な出力レベルで読み取ることが出来た。また
固定信号トラック以外の箇所に最初に記録した210f
ciの信号成分の振幅レベルに対する、420fciの
信号をオーバーライトした後の210fciの残留信号
成分の振幅レベルの比率は、何れのカードも32〜40
デシベル以上あり、第1の磁性層の存在が第2の磁性層
の記録再生に全く影響を及ぼさないことが確認された。
更に各カードの固定パターンの出力は、それぞれにヘッ
ド記録した420fciの信号の飽和出力レベルに対し
て相対値で25〜40%の出力が得られ、十分なSN比
が確保された。
も、固定信号トラックに記録された210bpiのFM
信号を十分な出力レベルで読み取ることが出来た。また
固定信号トラック以外の箇所に最初に記録した210f
ciの信号成分の振幅レベルに対する、420fciの
信号をオーバーライトした後の210fciの残留信号
成分の振幅レベルの比率は、何れのカードも32〜40
デシベル以上あり、第1の磁性層の存在が第2の磁性層
の記録再生に全く影響を及ぼさないことが確認された。
更に各カードの固定パターンの出力は、それぞれにヘッ
ド記録した420fciの信号の飽和出力レベルに対し
て相対値で25〜40%の出力が得られ、十分なSN比
が確保された。
【0017】
【発明の効果】本発明による磁気記録媒体は、第1の磁
性層に記録した信号から発生する磁界及び配向磁界の影
響で、第2の磁性層に書き換え不能な固定パターンが形
成されており、しかも前記第1の磁性層は保磁力が50
00 Oe以上の磁性材料から構成され、且つ前記固定
パターンは可変信号を記録再生するためのトラックと同
一の磁性層中に形成されているので、従来技術のように
可変信号の出力レベルと固定信号の出力レベルとが制約
を受け合うことが無く、それぞれを十分な出力レベルで
読み取ることができる。また、第1の磁性層は保磁力が
5000 Oe以上あるので、可変信号の記録の際に悪
影響を及ぼすことはない。しかも、従来技術と比べて製
造方法が複雑化することもない。この固定パターンを媒
体を特定するための識別情報等として使用すれば、前記
信号は媒体処理装置等によっては書き換えることができ
ず、消去するためには媒体を破壊するしか方法がないの
で、媒体の偽造や変造に対して極めて安全性の高い磁気
記録媒体を供給することができる。
性層に記録した信号から発生する磁界及び配向磁界の影
響で、第2の磁性層に書き換え不能な固定パターンが形
成されており、しかも前記第1の磁性層は保磁力が50
00 Oe以上の磁性材料から構成され、且つ前記固定
パターンは可変信号を記録再生するためのトラックと同
一の磁性層中に形成されているので、従来技術のように
可変信号の出力レベルと固定信号の出力レベルとが制約
を受け合うことが無く、それぞれを十分な出力レベルで
読み取ることができる。また、第1の磁性層は保磁力が
5000 Oe以上あるので、可変信号の記録の際に悪
影響を及ぼすことはない。しかも、従来技術と比べて製
造方法が複雑化することもない。この固定パターンを媒
体を特定するための識別情報等として使用すれば、前記
信号は媒体処理装置等によっては書き換えることができ
ず、消去するためには媒体を破壊するしか方法がないの
で、媒体の偽造や変造に対して極めて安全性の高い磁気
記録媒体を供給することができる。
【図1】本発明に使用する磁気記録媒体の一例を示す平
面図である。
面図である。
【図2】図1のX−Xに沿う部分の断面図である。
【図3】図1のY−Yに沿う部分の断面図である。
【図4】従来技術による媒体の構造を示す断面図であ
る。
る。
1:磁気記録媒体 2:非磁性基体 3、7:第1の磁性層 4、8:第2の磁性層 5:固定信号トラック 6:可変信号を記録再生するための磁気記録再生トラッ
ク 10:巻き出し装置
ク 10:巻き出し装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江連 俊一 栃木県宇都宮市平出工業団地11−2日本信 号株式会社宇都宮事業所内
Claims (1)
- 【請求項1】 非磁性基体上に、保磁力が5000 O
e以上の磁性材料よりなる第1の磁性層と、保磁力が2
50 Oe以上3000 Oe以下の磁性粒子をバイン
ダ中に分散してなる磁気記録再生が可能な第2の磁性層
とを順次積層してなり、前記第2の磁性層には、第1の
磁性層に記録された信号による磁界並びに配向磁界の影
響により、磁性粒子の存在が密なる部分と疎なる部分と
が互に隣接して交互に形成された書き換え不能な固定パ
ターンが記録されていることを特徴とする磁気記録媒
体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7350795A JPH09180175A (ja) | 1995-12-26 | 1995-12-26 | 磁気記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7350795A JPH09180175A (ja) | 1995-12-26 | 1995-12-26 | 磁気記録媒体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09180175A true JPH09180175A (ja) | 1997-07-11 |
Family
ID=18412928
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7350795A Pending JPH09180175A (ja) | 1995-12-26 | 1995-12-26 | 磁気記録媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09180175A (ja) |
-
1995
- 1995-12-26 JP JP7350795A patent/JPH09180175A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20040210 |