JP3121977B2 - 磁気記録媒体とその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体とその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録媒体とその製造
方法に関するものであり、特に、金融、流通、交通、通
信などの代金決裁に用いられるなど高い機密性を求めら
れる磁気カードなどに適用する磁気記録媒体に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、金融・流通・交通・通信などの代
金決裁には磁気カードなどの磁気記録媒体が広く利用さ
れている。しかし、磁気カードなどは偽造やデータの改
ざんといった不正使用の危険にさらされており、特に代
金決裁など高い機密性を必要とする装置には、磁気記録
媒体自体により高い機密性を有するものが要求されてい
る。
【0003】磁気記録媒体の機密性を高めるための手段
としては、通常の信号記録再生領域とは別に書き換えが
困難な媒体固有の識別情報を付与することが提案されて
いる。具体的には、特公昭49−37529号公報にあ
るように、針状磁性粉の磁化容易軸の配列方向を読み取
り方向に対して規則的に変化させて磁気パターンを設け
る方法や、特開昭50−79311号公報にあるよう
に、通常の磁性層に磁気記録された情報の磁界の作用下
に、磁性粒子を分散した磁性塗料を塗布して下層の情報
に支配された磁性粒子の配向を物理的に固定し、この固
定情報を識別に使用するとか、特開平5−318974
号公報にあるように、通常の磁性層に磁気記録された情
報を、その上に積層された保磁力が4500エルステッ
ド以上の高保磁力の磁性粒子を有する磁性層に転写させ
ることにより、通常用いられる磁気ヘッドでは書換が困
難な情報を媒体に付与する方法などが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、針状磁
性粉の磁化容易軸の配列方向を読み取り方向に対して規
則的に変化させて磁気パターンを設ける方法は、読み取
りにあたって特殊な部品・装置を必要とし、更に製造す
るに際しても特殊な配向装置を必要とし、製造コストお
よび装置のコストがアップするという欠点を有してい
る。一方、高保磁力の磁性層に固有情報を転写する方法
では、特開昭50−79311号公報の方式では識別出
力が低い欠点がある。以下に述べるように、この欠点は
本発明により配向磁界を使用することにより解決される
ことを見出したが、同公報の方式では配向磁界は固定情
報の転写に有害な作用を及ぼすであろうと推定されたは
ずであるが意外にも良好な結果を与えるのである。また
特開平5−318974号の方法では、例えばFe−C
o合金のような飽和磁束密度が22キロガウス程度の磁
性材料をコア材として作製した磁気ヘッドを使用すれ
ば、8000エルステッド位までの高保磁力の磁性層は
十分書換が出来ることがよく知られており、しかも前述
した従来技術では、通常の磁性層よりも高保磁力の磁性
層の方が磁気ヘッドに接近した位置に配置されているた
めより強い磁界に晒されることになるので、固有情報を
書き換えることによる媒体の変造・偽造に対する危険性
が高いという問題点があった。また、この方式では、保
磁力が4500Oe以上の磁性粒子を有する磁性層への
信号の転写は困難なだけでなく飽和磁化が低いために転
写信号の読取り出力が低い欠点がある。この欠点は本発
明により低保磁力の磁性粒子を使用することにより解決
されることを見出した。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、非磁性基体の上の全体または一部に、磁気
記録可能な第1の磁性層と、バインダー中に保磁力が4
000Oe以下の磁性粒子を分散してなり、前記第1の
磁性層に記録された信号による磁界並びに配向磁界の影
響により形成された、書換不能な固定信号が記録されて
いる第2の磁性層とを順次積層したことを特徴とする磁
気記録媒体を提供する。前記第2の層に記録された書換
不能な固定信号は、媒体を識別するための情報である。
このような書換不能な固定信号は、特定の領域における
単位面積あたりの磁気出力が隣接する他の領域と異なる
ことにより記録されることができる。また、このような
書換不能な固定信号は、特定の領域における単位体積あ
たりの磁性粒子の含有率が隣接する他の領域と異なるこ
とにより記録されることができる。本発明はまた、上記
の磁気記録媒体の製造方法であって、先ず、非磁性基体
上に磁気記録可能な磁性材料から成る第1の磁性層を形
成し、次いで前記第1の磁性層に所定の信号を磁気記録
し、その後保磁力が4000エルステッド以下の磁性体
をバインダ中に分散して作製した磁性塗料を塗布し、前
記磁性塗料が乾燥固化する前に、前記第1の磁性層の保
磁力より低い磁界強度で配向処理を施し、しかる後に前
記磁性塗料を乾燥固化することにより、第1の磁性層に
記録された信号による磁界並びに配向磁界の影響により
形成された書換不能な固定信号を第2の磁性層に形成す
ることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法を提供す
る。
【0006】上記の書換不要な固定信号を有する記録媒
体は次のようにして製作することができる。すなわち、
非磁性基体の上の全体または一部に、少なくとも2つ以
上の磁性層を積層して磁気記録媒体を製造するに当た
り、少なくとも非磁性基体の上に第1の磁性層を塗布し
乾燥固化する工程、前記第1の磁性層に磁気記録手段に
よって媒体を識別するための情報を磁気記録する工程、
前記媒体を識別するための情報が磁気記録された第1の
磁性層の上にバインダ中に保磁力4000Oe以下の強
磁性粒子を分散した磁性塗料を塗布して第2の磁性層を
形成する工程、前記第2の磁性層が乾燥固化する前に所
定の直流または交流磁界を印加することにより配向を行
う工程、及び前記配向された第2の磁性層を乾燥固化す
る工程を実行する。
【0007】添付図面に基づいて本発明を詳細に説明す
る。図1は本発明の磁気記録媒体の断面図であり、非磁
性材料からなる基体1、第1の磁性層2、第2の磁性層
3から構成される。第2の磁性層3は、高分子樹脂バイ
ンダ中に保磁力4000Oe以下の強磁性粉末を分散し
た磁性塗料から形成され、単位面積あたりの磁気出力が
高い部分31と単位面積あたりの磁気出力が低い部分3
2とが、所定の寸法で交互に形成されている。
【0008】基体1は、ポリエチレンテレフタレート、
硬質塩化ビニル、ポリプロピレン、紙など通常の磁気カ
ード、磁気テープ、磁気シート等に使われる材料が使用
される。第1の磁性層2は、通常の磁気カードや磁気テ
ープの磁気情報記録用被膜と同じであってよく、例えば
γFe23 、コバルト被着γFe23 、バリウムフ
ェライトなどの磁性粉をバインダー中に分散して作製し
た第1の磁性塗料を、乾燥後の厚さが4〜20μm程度
となるよう、通常の磁気記録媒体を製造する公知の方法
で均一に塗布されている。
【0009】第1の磁性層2の上には、第1の磁性層と
は同一または異なる構成を有し、保磁力4000Oe以
下の磁性粉をバインダー中に分散して作製した第2の磁
性塗料を塗布・乾燥して形成した第2の磁性層3が設け
られている。この第2の磁性塗料を塗布・乾燥するとき
には、第1の磁性層2には、所定の位置に定められたパ
ターンが磁気記録されている必要がある。このパターン
は、例えば媒体を特定するための番号などの識別情報を
あらわすものであり、例えば媒体の走行方向に対して所
定の領域での残留磁化の極性が交互に反転するよう通常
の磁気ヘッドと媒体搬送手段を用いて磁気記録すること
により形成されている。識別情報はRZ、PWM、F
M、PM、MFMなど公知の方式で符号化されている。
【0010】図2は本発明の磁気記録媒体を製造する過
程を模式的に示したものである。図2の(a)は第2の
磁性層が塗布される直前の状態を示したものであり、第
1の磁性層2には参照番号21、22で示したように逆
の極性で磁化された識別信号作製用の信号が所定の長さ
で交互に記録されている。なお、第1の磁性層2に磁気
記録する方法としては、第1磁性層2を交流消磁して残
留磁化をゼロとしておき、所定の領域のみを同一の極性
に磁化してもよい。
【0011】このように磁気記録された第1の磁性層2
の上に、第2の磁性塗料を通常の磁気記録媒体を製造す
る公知の方法で均一に塗布する。さらに乾燥固化する前
に所定の方向及び強さの磁界中にさらすことにより配向
をかける。図2の(b)は配向磁界がかかっているとき
の、第2の磁性層3に加わる磁界の強さを模式的に表し
たものである。参照番号31で示した箇所では、第1の
磁性層2から発生する信号磁界の向きと配向磁界の向き
(図2の(b)では右向きに表示)が一致するので第2
の磁性層に加わる磁界の強さはより強くなっており、参
照番号32で示した箇所では、第1の磁性層2から発生
する信号磁界の向きと配向磁界の向きとが打ち消しあっ
て第2の磁性層に加わる磁界の強さが弱くなっている。
つまり第2の磁性層3には、第1の磁性層2に記録され
た信号のパターンに従って、強い磁界が加わる箇所31
と弱い磁界が加わる箇所32とが交互に現れる。一般に
流動状態にある磁性粒子は、磁界の強い箇所に集中する
ので、第2の磁性塗料中の磁性粒子は、図2の(c)に
示すようにより強い磁界が加わった箇所31に集中す
る。第2の磁性塗料を塗布し配向をかけた後、公知の方
法により第2の磁性層は乾燥固化される。この結果、第
2の磁性層3には磁性粒子が集中して磁性粒子の含有率
が高く、よって単位面積あたりの磁気出力が高い箇所3
1と、磁性粒子の含有率が低く、よって単位面積あたり
の磁気出力が低い箇所32とが交互に形成される。この
ようにして、第1の磁性層1に記録された媒体固有の識
別信号が、第2の磁性層3中に、単位面積あたりの磁気
出力の違いにより符号化されたパターンとして複製され
る。なお、前述した第2の磁性層中の磁性粒子が集中す
る効果は、第2の磁性塗料のバインダーの粘性が低く磁
性粒子の流動性が高いほど大きい。
【0012】また乾燥固化する前の第2の磁性塗料に印
加する配向磁界としては、直流磁界でも交流磁界でもよ
く、何れの場合も無配向のときより磁性粒子が集中する
効果が高いが、直流磁界の場合は特に顕著であり好まし
い。なお交流磁界の場合は図3に示すように、磁性粒子
は第1の磁性層2に記録された信号の磁化が反転する箇
所に集中する。印加する配向磁界の強さは、第2の磁性
塗料の流体での保磁力の2.5倍より大きく、且つ第1
の磁性層2に記録した信号が消去されないように第1の
磁性層2の保磁力より小さい値が選ばれる。
【0013】前述のように識別信号パターンは、主に第
1の磁性層2に記録された信号から発生する磁界によっ
て形成されるので、第2の磁性層3には第1の磁性層2
自体に記録できる情報記録密度と同等の情報密度で識別
信号を形成することができる。例えば『磁気透かし』な
どの従来技術によって付与された媒体固有の識別コード
は、1ビットを表すのに0.4mm程度必要であったの
に対し、本発明の磁気記録媒体は、単位面積あたりの磁
気出力が異なる領域の信号読み取り方向における長さは
0.06mm以下とすることができる。一方、第1の磁
性層2に記録された信号の磁化反転間隔が広くなると、
第2の磁性層3に及ぼす磁界強度が弱くなるので、単位
面積あたりの磁気出力が高い領域の信号読み取り方向に
おける長さは1mm以内であることが好ましい。
【0014】第2の磁性層3に使用される磁性粉として
は、第1の磁性層2に記録された信号から発生する磁界
によって磁化されるものであればよく、パーマロイ、セ
ンダスト、アモルファスなどの鱗片状高透磁率磁性金属
粉や、鉄粉などの軟磁性金属粉、及びMn−Zn、Ni
−Znなどの軟磁性フェライト粉を使用することができ
る。また、γFe23 、マグネタイト、コバルト被着
γFe23 、バリウムフェライトなど、磁気カードや
磁気テープなどに信号記録用として用いられる材料であ
っても、塗料状態において磁性粒子の流動性が高く、且
つ配向磁界の強度を適当に選択することにより、第1の
磁性層2に記録された信号によって磁性粒子の集中が起
こる。磁性塗料の流体での保磁力は、磁性粒子の形状に
もよるが一般には乾燥固化した後の保磁力に比べてかな
り低い。従って、第2の磁性層3の乾燥固化後の保磁力
が、第1の磁性層2の乾燥固化後の保磁力よりも低い必
要はない。しかしながら、第2の磁性層を磁化して読み
取る際には、第2の磁性層が容易に磁化しなければ充分
な読取りないし識別出力を得ることができないので、第
2の磁性層の磁性粒子の保磁力の上限は4000Oeで
ある。
【0015】以上説明したように本発明の磁気記録媒体
の特徴は、第1の磁性層2に記録した信号から発生する
磁界による影響で、第2の磁性層3の磁性粒子を局部的
に集中させることにあるので、第1の磁性層2と第2の
磁性層3とは必ずしも互いに接合している必要はなく、
本発明の主旨が生かせる範囲内の非磁性の中間層を第1
の磁性層2と第2の磁性層3との間に設けてもよい。
【0016】本発明の磁気記録媒体の読み取りにあたっ
ては、先ず第1の磁性層2の識別信号が記録されている
箇所に、通常の磁気記録媒体を記録再生できる装置によ
り、第1の磁性層の保磁力の3倍以上の直流磁界を印加
し、第1の磁性層2を一定の向きに飽和磁化する。この
ことによって第1の記録層2に記録されていた識別信号
作製用の信号は完全に消去される。第2の磁性層3に形
成された識別情報の読み取りは以下の方法で行う。図4
は、本発明による磁気記録媒体の読み取りの原理を示す
図であり、読み取りヘッド4にはバイアスコイル5と読
み取り用のコイル6とが設けられている。識別情報の読
み取りに当たっては、読み取り磁気ヘッド4のバイアス
コイル5に一定のバイアス電流Ibを印加し、前部ギャ
ップ部7からバイアス磁界を発生させながら前記磁気記
録媒体の識別情報記録部分を走査する。磁気ヘッド4の
前部ギャップ部7が識別情報記録部分を通過するとき、
単位面積あたりの磁気出力が高い部分31と低い部分3
2との境界部分で磁気抵抗が変化するので、読み取りコ
イル6と鎖交する磁束が変化し、読み取りコイル6の両
端には磁束の変化量に比例した出力波形8が発生する。
こうして第2の磁性層3の所定の箇所に形成された識別
情報を読み取ることができる。
【0017】なお、第2の磁性層3に、パーマロイ、セ
ンダスト、アモルファスなどの鱗片状高透磁率磁性金属
粉、鉄粉などの軟磁性金属粉及びMn−Zn、Ni−Z
nなどの軟磁性フェライト粉を使用した場合は、バイア
スをかけて読み取った後の識別情報記録部分には残留磁
化が生じないので、磁気現像液等で識別情報を目視する
ことは不可能であり特に好ましい。
【0018】なお、第2の磁性層3にγFe23 、マ
グネタイト、コバルト被着γFe23 、バリウムフェ
ライトなど、磁気カードや磁気テープなどに信号記録用
として用いられる材料を用いた場合は、以下の方法でも
識別信号の読み取りが可能である。すなわち、第1の磁
性層2を保磁力の3倍以上の直流磁界を印加し識別情報
作製用の信号を消磁したときには、第2の磁性層3も同
時に一定の向きに飽和磁化される。直流磁界を取り去っ
た後の第2の磁性層3の識別情報記録部分の残留磁化
は、単位体積中の磁性粒子の含有率が高い部分が、単位
体積中の磁性粒子の含有率が低い部分に比べ大きくな
る。つまり、第2の磁性層3に形成された磁性粒子の含
有率が高い部分と低い部分にあわせて、残留磁化が強い
部分と弱い部分とが交互に現れる。この残留磁化の強い
部分と弱い部分とを、通常の読み取り用磁気ヘッドによ
り走査すると、媒体上の残留磁化の強さが変化する境界
部分で、磁化の変化量に比例した出力電圧が読み取りコ
イルの両端から発生する。こうして第2の磁性層3の所
定の箇所に形成された、識別情報を読み取ることができ
る。
【0019】なお、先に述べた乾燥固化前の第2の磁性
塗料中の磁性粒子が配向磁界によって集中する効果は、
第1の磁性層に記録した信号磁界の強さに依存し、従っ
て第1の磁性層の残留磁束に依存する。図5は保磁力が
2750エルステッドのバリウムフェライトを第1の磁
性層とし、また第2の磁性層としては保磁力が20エル
ステッド以下の高透磁率Fe−Si合金系の鱗片状磁性
粉を厚さ10μmに塗布したときに、第1の磁性層の残
留磁束の値に対する第2の磁性層に形成された識別信号
の出力レベルの関係を示す図である。縦軸の出力レベル
は任意目盛りとしてある。図5から、特に0.5マック
スウェル/cm以上で第2の磁性層の識別信号の出力レ
ベルが大きくなることがわかる。
【0020】本発明の主旨から、媒体を識別するための
所定の信号が記録される第2の磁性層は、識別情報記録
領域以外の第1の磁性層全部を覆って形成してもよい
し、また識別情報記録領域を含む第1の磁性層上の特定
の領域にのみ形成してもよい。特に前者の場合は、識別
情報記録領域以外を、例えば同じ出願人による特開昭6
3−34727号公報に開示されているような、保磁力
が異なる2つ以上の磁性層を積層してなる磁気記録媒体
として使用できるので、両者の組み合わせにより一層機
密性を高めることができる。また3層以上の磁性層をも
つ磁気記録媒体においては、第1の磁性層以外の任意の
磁性層に前記の識別信号を形成することができることは
明らかである。
【0021】なお本発明の磁気記録媒体は、シリコンな
どの剥離剤を塗布した基体の上に前述した方法で少なく
とも第1の磁性層及び識別情報を含む第2の磁性層を形
成し、その上に接着剤を塗布した転写用テープを先ず作
製し、硬質塩化ビニルやポリエチレンテレフタレートな
どの基体の所定の位置に、前記テープを転写することに
より作製してもよい。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例を用いて
更に説明する。 実施例1 厚さ188μmの白色ポリエステルフィルム基体の片面
全面に保磁力が2750エルステッドのバリウムフェラ
イト磁性粉をバインダー樹脂、分散剤、硬化剤、その他
添加剤と溶剤とを混合・分散して作製した磁気塗料をグ
ラビア法で塗布し、乾燥後の厚みが12μmで残留磁化
が1.6マックスウェル/cmの第1の磁性層を得た。
第1の磁性層に、通常の磁気媒体を記録することができ
る磁気記録装置で、所定の位置に記録密度が25FCI
及び400FCIの連続信号及び105BPIのFM変
調信号を所定の強さで記録した。この第1の磁性層の上
に、高透磁率のFe−Si系合金の鱗片状粉末をバイン
ダー樹脂、分散剤、硬化剤、その他添加剤と溶剤とを混
合・分散して作製した磁気塗料をナイフコート法で塗布
し、乾燥前に200エルステッドの磁界にて直流配向を
かけ、乾燥後の厚みが12μmの第2の磁性層を得た。
【0023】実施例2 実施例1と同じ方法で作製した第1の磁性層の上に、粒
径が5μm以下のカルボニル鉄粉をバインダー樹脂、分
散剤、硬化剤、その他添加剤と溶剤とを混合・分散して
作製した磁気塗料をシルク印刷法で塗布し、乾燥前に2
00エルステッドの直流磁界にて配向をかけ、乾燥後の
厚みが7μmの第2の磁性層を得た。
【0024】実施例3 実施例1と同じ方法で作製した第1の磁性層の上に、実
施例2と同じ方法で作製した第2の磁気塗料を塗布し、
乾燥前に400エルステッド(O−p)の交流磁界にて
配向をかけ、乾燥後の厚みが7μmの第2の磁性層を得
た。
【0025】実施例4 実施例1と同じ方法で作製した第1の磁性層の上に、保
磁力が300エルステッドのγFe23 をバインダー
樹脂、分散剤、硬化剤、その他添加剤と溶剤とを混合・
分散して作製した磁気塗料をグラビア法で塗布し、乾燥
前に800エルステッドの直流磁界で配向をかけ、乾燥
後の厚みが10μmの第2の磁性層を得た。
【0026】実施例5 実施例1と同じ方法で作製した第1の磁性層の上に、保
磁力が650エルステッドのコバルト被着γFe23
をバインダー樹脂、分散剤、硬化剤、その他添加剤と溶
剤とを混合・分散して作製した磁気塗料をグラビア法で
塗布し、乾燥前に1200エルステッドの直流磁界で配
向をかけ、乾燥後の厚みが10μmの第2の磁性層を得
た。
【0027】実施例6 実施例1と同じ方法で作製した第1の磁性層の上に、保
磁力が1000エルステッドのバリウムフェライトをバ
インダー樹脂、分散剤、硬化剤、その他添加剤と溶剤と
を混合・分散して作製した磁気塗料をグラビア法で塗布
し、乾燥前に1200エルステッドの直流磁界で配向を
かけ、乾燥後の厚みが8μmの第2の磁性層を得た。
【0028】実施例7 実施例1と同じ方法で作製した第1の磁性層の上に、第
1の磁性層と同じ磁性塗料を同じ方法で塗布し、乾燥前
に1500エルステッドの直流磁界で配向をかけ、乾燥
後の厚みが6μmの第2の磁性層を得た。
【0029】比較例1 実施例1と同じ方法で作製した第1の磁性層の上に、実
施例2と同じ方法で作製した第2の磁気塗料を塗布し、
配向をかけずに乾燥し、厚みが7μmの第2の磁性層を
得た。
【0030】比較例2 実施例1と同じ方法で作製した第1の磁性層の上に、実
施例4と同じ方法で作製した第2の磁気塗料を塗布し、
配向をかけずに乾燥し、厚みが10μmの第2の磁性層
を得た。
【0031】比較例3 実施例1と同じ方法で作製した第1の磁性層の上に、保
磁力が7000Oeのストロンチウムフェライトをバイ
ンダ樹脂、分散剤、硬化剤、その他添加剤と溶剤とを混
合し、分散して作製した磁気塗料を、グラビア法で塗布
し、乾燥前に1500Oeの直流磁界で配向をかけ、乾
燥後の厚みが6μmの第2の磁性層を得た。 比較例4 実施例1と同じ方法で作製した第1の磁性層の上に、保
磁力が4500Oeのバリウムフェライトをバインダ樹
脂、分散剤、硬化剤、その他添加剤と溶剤とを混合し、
分散して作製した磁気塗料を、グラビア法で塗布し、乾
燥前に1500Oeの直流磁界で配向をかけ、乾燥後の
厚みが6μmの第2の磁性層を得た。
【0032】実施例1〜7及び比較例1〜4で作製した
磁気シートを所定の大きさに打ち抜き磁気カードを得
た。各実施例及び各比較例で得た磁気カードを以下の方
法で読み取った。保磁力が2750エルステッドの磁気
媒体を飽和書き込みできる磁気ヘッドを装着したリーダ
ー・ライターで、先ず第1の磁性層に書き込まれた信号
を直流消去した。次に同じリーダー・ライターに装着さ
れたバイアスコイルを有する読み取りヘッドにバイアス
電流を流し、ヘッドの前部ギャップから約800エルス
テッドの、バイアス磁界を印加しながら各カードの再生
出力(peak−peak)を読み取った。各カードの
25FCI及び400FCIの連続信号の再生出力と1
05BPI信号の復調結果の一覧を表1に示す。なお2
5FCIと400FCIの再生出力は、実施例4の第1
の磁性層に210FCIの信号を飽和書き込みした後に
読み取った出力を100%とした相対出力で示した。
【0033】実施例1〜7は何れの場合も、25FCI
及び400FCIの信号は第1の磁性層の出力に対して
20%以上の出力が得られ、105BPIの変調信号は
SN比もよく問題なく信号を復調することができた。ま
た、実施例2、3と比較例1及び実施例4と比較例2と
の比較から、第2の磁性層を塗布する際に配向をかける
ことの有効性が認められた。一方、比較例3〜4のよう
に高い保磁力を有する磁性粒子を使用すると配向をかけ
ても出力が非常に低く信号の復調ができないことが分か
る。なお本発明の磁気記録媒体においては、第2の磁性
層の上に着色隠蔽層、印刷層、保護層などを適宜設けて
よいし、必要に応じて感熱印字層を設けてもよいことは
明らかである。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】以上のように、本発明によると次の効果
が得られる。 媒体を特定するための識別手段を、磁気配向を利用し
て媒体の製造段階で高度に造り込むので、媒体を破壊す
ること無しに識別情報を後からつけ加えたり、変更する
ことは不可能であり、極めて機密性が高い磁気媒体を提
供することができる。 識別情報の存在を外からは確認することができないば
かりか、サンドペーパーによって媒体表面を削り取って
も視認することは困難である。 特殊な材料や製造設備を必要としないので低コストで
ある。 磁気透かしや磁気バーコードなどと比較し高記録密度
の識別信号を付与することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の構成を示す断面図であ
る。
【図2】本発明の原理を説明する図式的な断面図であ
り、(a)は第1層の形成とその磁気記録を示し、
(b)は第2層の形成と磁気配向による磁化状態を示
し、(c)は得られた磁気記録媒体の第1層の磁化状態
と第2層の状態を示す。
【図3】本発明の磁気記録媒体の他の構成を示す断面図
である。
【図4】本発明の磁気記録媒体の読み取りの原理を示す
図である。
【図5】保磁力が2750エルステッドのバリウムフェ
ライトを第1の磁性層とし、また第2の磁性層としては
保磁力が20エルステッド以下の高透磁率Fe−Si合
金系の鱗片状磁性粉を厚さ10μmに塗布したときに、
第1の磁性層の残留磁束の値に対する第2の磁性層に形
成された識別信号の出力レベルの関係を示す図である。
【符号の説明】
1:基体 2:第1の磁性層 3:第2の磁性層 21、22:識別信号 31:高磁気出力部分 32:低磁気出力部分
フロントページの続き (72)発明者 狩野 智章 東京都台東区台東1丁目5番1号東京磁 気印刷株式会社内 (72)発明者 神田 悦史 東京都台東区台東1丁目5番1号東京磁 気印刷株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−10516(JP,A) 特開 平7−29157(JP,A) 特開 平7−117382(JP,A) 特開 平4−291021(JP,A) 特開 平6−325344(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/716 G06K 19/06 G11B 5/80

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基体の上の全体または一部に、
    気記録可能な第1の磁性層と、バインダー中に保磁力が
    4000Oe以下の磁性粒子を分散してなり、前記第1
    の磁性層に記録された信号による磁界並びに配向磁界の
    影響により形成された、書換不能な固定信号が記録され
    ている第2の磁性層とを順次積層したことを特徴とする
    磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記第2の磁性層に記録された書換不能
    な固定信号は、特定の領域における単位面積あたりの磁
    気出力が隣接する他の領域と異なることにより形成され
    ていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 前記第2の磁性層に記録された書換不能
    な固定信号は、特定の領域における単位体積あたりの磁
    性粒子の含有率が隣接する他の領域と異なることにより
    形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載
    の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記第2の磁性層に記録された書換不能
    な固定信号は、媒体を識別するための情報であることを
    特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の磁気記
    録媒体。
  5. 【請求項5】 非磁性基体の上に磁気記録可能な磁性材
    料から成る第1の磁性層を形成し、次いで前記第1の磁
    性層に所定の信号を磁気記録し、その後保磁力が400
    0エルステッド以下の磁性体をバインダ中に分散して作
    製した磁性塗料を塗布し、前記磁性塗料が乾燥固化する
    前に、前記第1の磁性層の保磁力より低い磁界強度で配
    向処理を施し、しかる後に前記磁性塗料を乾燥固化する
    ことにより、第1の磁性層に記録された信号による磁界
    並びに配向磁界の影響により形成された書換不能な固定
    信号を第2の磁性層に形成することを特徴とする磁気記
    録媒体の製造方法。
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