JP4068762B2 - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体、特に偽造、変造が困難な磁気記録媒体と、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
基材の片面あるいは両面の全域またはストライプ状に磁気記録層が形成された磁気記録媒体は、例えば、プリペイドカード、定期券、乗車券、入場券、車券、馬券、商品券、株券、証書、通帳、磁気タグ等の金券、証券類や、IDカード、キャッシュカード、クレジットカード、会員カード等のカード類、磁気ラベル等として幅広く使用されている。従来、このような磁気記録媒体は、磁気記録層に高い記録密度でディジタルデータを書込み、外部から簡単には記録情報を読み出せないようにしている。
【0003】
しかし、磁気記録層の特性上、記録されたディジタルデータの書換え、消去が自在であるため、偽造、変造が可能であり、近年、大きな社会問題としてクローズアップされている。特に、現在は磁気ストライプの入手が容易であるため、類似のカードを製造することも可能であり、さらに、現在の仕様のように、磁気記録媒体の表面に磁気記録層が露出している場合、ディジタルデータを読み取ったり、磁気転写技術によりディジタルデータを他の磁気記録層に移すことが容易にできてしまうという問題もある。
【0004】
このような磁気記録情報の可逆性という本質的な欠点に基づく問題を解決するために、磁気記録情報の書き換えを困難にする種々の方法が提案されている。例えば、BaフェライトやSrフェライト等の高保磁力磁性材料、高保磁力低キュリー点(高Hc低Tc)の磁性材料、MnBiを含有する磁性材料等を用いることにより、磁気情報を消去されにくくした磁気記録媒体等が開発されている。
【0005】
また、磁気的な書き換えを不可能とするために、磁性層に物理的変化を与えることにより磁気記録情報をもたせた磁気記録媒体も開発されており、例えば、印刷により磁気バーコードを設けた磁気記録媒体、磁性層にレーザー等によりマーキングを施した磁気記録媒体等が挙げられる。
【0006】
さらに、基材上に比較的低い保磁力の磁性材料を含む第1磁性層を形成し、この第1磁性層に磁気記録を行った後、高保磁力の磁性材料を含む第2磁性層を塗布形成して積層した磁気記録媒体も開発されている。この磁気記録媒体では、第1磁性層の磁気記録パターンが第2磁性層にコピー(いわゆる磁気転写)されているので、偽造、変造を目的とした磁気ヘッドによる書き換えが困難である。
【0007】
また、磁気記録情報として、ディジタルデータではなく、アナログデータを故意に用いることにより、不正使用を防止するシステムも提案されている(特開平8−315355号)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような単に高保磁力磁性材料を用いた磁気記録媒体は、外部磁場の影響による磁気記録情報の消去を防ぐことは可能であるが、これは逆に磁気ヘッドで情報を書き込む際には磁化されにくく、書き込み装置に制限ができるという新たな問題を生じている。
【0009】
また、高Hc低Tc磁性材料やMnBi含有磁性材料を有する磁気記録媒体では、温度による保磁力の急激な低下を利用し、その条件下で磁気書き込みを行うことも可能であるが、常温において磁気記録情報の消去や書き込みができないため、装置が大掛かりになるという問題がある。
【0010】
さらに、磁気バーコードのように磁性層に物理的変化を与えた磁気記録媒体では、磁気記録情報の消去と、新たな情報の書き込みが不可能であるとともに、情報の存在を容易に認識することができ、偽造等の防止上、不充分であった。
【0011】
また、第2磁性層に磁気転写された磁気記録情報を備える磁気記録媒体は、非常に強い磁界が加わると、磁気転写により記録された第2磁性層の磁気記録が消去されてしまうという問題があり、さらに、高保磁力磁性材料を含む第2磁性層に磁気転写を効率良く行うことが困難なため、読み取りに必要な磁気出力が第2磁性層から得られないという問題もあった。
【0012】
さらに、上記の特開平8−315355号に開示のシステムは、磁気記録媒体中にランダムに分散された磁気繊維から得られるアナログデータを用いて不正使用を防止するものであるが、この情報自体を変化させることはできないので、複雑な情報の運用が困難であり、また、磁気記録媒体の製造が簡便ではないという問題があった。
【0013】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、磁気ヘッドによる読み取りにおいて出力レベルおよび波形が、通常のディジタルの磁気情報からは得られないような多様に変化可能な情報をもち、他の磁気記録媒体との判別が確実に行え、かつ、偽造や改ざん等の不正行為を防止できる磁気記録媒体と、この磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明の磁気記録媒体は、基材と、該基材上に設けられた磁気記録層とを有し、該磁気記録層は基材側から順に第1磁性層、第2磁性層、第3磁性層が積層されたものであり、該第1磁性層に含有される磁性材料の保磁力が300〜6000Oeの範囲内であり、前記第2磁性層は磁性材料を所定の疎密パターンで含有し、前記第3磁性層は磁性材料を前記第2磁性層の疎密パターンの半分あるいは2倍の密度からなるパターンで含有し、前記第2磁性層の残留磁化と前記第3磁性層の残留磁化の比が0.5〜2の範囲内にあるような構成とした。
【0015】
また、本発明の磁気記録媒体は、第2磁性層に含有される磁性材料および第3磁性層に含有される磁性材料の少なくとも一方の保磁力が、第1磁性層に含有される磁性材料の保磁力以上であるような構成とした。
【0017】
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、基材上に、含有する磁性材料の保磁力が300〜6000Oeの範囲内であるような第1磁性層を形成し、該第1磁性層に所望の磁気記録を行った後、前記第1磁性層上に第2磁性層用の磁性塗料を塗布し、磁性塗膜に所定方向のバイアス磁界による磁気配向処理を施しながら、あるいは、磁気配向処理を施した後に乾燥して、前記第1磁性層の磁気記録パターンに対応した磁性材料の疎密パターンからなる固定情報を有する第2磁性層を形成し、次いで、第3磁性層用の磁性塗料を前記第2磁性層上に塗布し、磁気配向処理を施すことなく磁性塗膜を乾燥することにより、前記第1磁性層の磁気記録パターンに対応した磁性材料の疎密パターンからなる固定情報を有する第3磁性層を形成し、前記第2磁性層と第3磁性層の形成は、第2磁性層の残留磁化と第3磁性層の残留磁化の比が0.5〜2の範囲内となるように行い、前記第1磁性層、前記第2磁性層および前記第3磁性層からなる磁気記録層を形成するような構成とした。
【0018】
また、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、基材上に、含有する磁性材料の保磁力が300〜6000Oeの範囲内であるような第1磁性層を形成し、該第1磁性層に所望の磁気記録を行った後、前記第1磁性層上に第2磁性層用の磁性塗料を塗布し、磁気配向処理を施すことなく磁性塗膜を乾燥して、前記第1磁性層の磁気記録パターンに対応した磁性材料の疎密パターンからなる固定情報を有する第2磁性層を形成し、次いで、第3磁性層用の磁性塗料を前記第2磁性層上に塗布し、磁性塗膜に所定方向のバイアス磁界による磁気配向処理を施しながら、あるいは、磁気配向処理を施した後に乾燥して、前記第1磁性層の磁気記録パターンに対応した磁性材料の疎密パターンからなる固定情報を有する第3磁性層を形成し、前記第2磁性層と第3磁性層の形成は、第2磁性層の残留磁化と第3磁性層の残留磁化の比が0.5〜2の範囲内となるように行い、前記第1磁性層、前記第2磁性層および前記第3磁性層からなる磁気記録層を形成するような構成とした。
【0019】
上記のような本発明では、第2磁性層における磁性材料の疎密パターンと、第3磁性層における磁性材料の疎密パターンの記録密度が異なり、これらの疎密パターンからなる固定情報を有する磁気記録層を磁気ヘッドで読み取るときの出力波形は、各固定情報が重畳したアナログ波形となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は本発明の磁気記録媒体の実施形態の一例を示す斜視図であり、図2は図1のA−A線矢視における部分拡大断面図である。図1および図2において、本発明の磁気記録媒体1は、基材2と、この基材2上に設けられた磁気記録層3を備えており、磁気記録層3は第1磁性層3aと第2磁性層3bと第3磁性層3cとが積層されて構成されている。そして、磁気記録層3には、ストライプ状に記録領域4が設定されている。
【0022】
本発明の磁気記録媒体1を構成する基材2は、基材として要求される耐熱性、強度、剛性等を考慮して、PET、PET−G、PEN等のポリエステル、塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ乳酸等の樹脂、生分解性樹脂、銅、アルミニウム等の金属、紙、含浸紙、合成紙等の材料の中から適宜選択した材料の単独あるいは組み合わせた複合体により構成することができる。このような基材2の厚さは、100μm〜1mm、好ましくは150〜250μm程度とすることができる。
【0023】
上記の磁気記録層3を構成する第1磁性層3aは、保磁力が300〜6000Oeの範囲にある磁性材料を含有する。この磁性材料の保磁力が300Oe未満であると、第2磁性層あるいは第3磁性層の形成時に印加される配向磁界に対する耐性が不十分であり、6000Oeを超えると、磁気ヘッドによる安定した記録が難しくなり好ましくない。尚、磁気ヘッドによる記録が安定して行えるならば、保磁力が6000Oeを超える磁性材料を使用することは可能である。
【0024】
第1磁性層3aを構成する上記のような保磁力300〜6000Oeの範囲にある磁性材料としては、例えば、γ−Fe23 、Co被着γ−Fe23 、Fe34 、CrO2 、Fe、Co、Ni、Fe−Co、Co−Ni、Fe−Ni、Baフェライト、Srフェライト等の磁性微粒子が挙げられる。
【0025】
この第1磁性層3aは、上記の磁性微粒子を適当な樹脂あるいはインキビヒクル中に分散してなる磁性塗料を、グラビア法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の塗布方法に従って塗布し乾燥することにより形成することができる。第1磁性層3aの厚さは、例えば、塗布方法により形成される場合、乾燥後の膜厚で1〜50μm、好ましくは3〜20μm程度とすることができる。
【0026】
また、上記の磁気記録層3を構成する第2磁性層3bは、磁性材料を所定の疎密パターンで含有し、第3磁性層3cも磁性材料を所定の疎密パターンで含有し、それぞれ固定情報を保持するものである。そして、第2磁性層3bの疎密パターンの密度と、第3磁性層3cの疎密パターンの密度は、相互に半分あるいは2倍となる関係にある。図3は、第2磁性層3bの疎密パターンの密度が、第3磁性層3cの疎密パターンの密度の半分である例を示す概略断面図である。また、図4は、第2磁性層3bの疎密パターンの密度が、第3磁性層3cの疎密パターンの密度の2倍である例を示す概略断面図である。
【0027】
また、第2磁性層3bに含有される磁性材料と、第3磁性層3cに含有される磁性材料の少なくとも一方は、その保磁力が第1磁性層3aに含有される磁性材料の保磁力と同等もしくは大きいものとすることができる。これにより、第1磁性層3aに記録されている可変情報のみを変造目的等で読み取るために、第2磁性層3bおよび第3磁性層3cに記録された固定情報に対して交流消去を行った場合、第1磁性層3aの磁気情報も消去されてしまい、読み取りは不可能となる。
【0028】
このような第2磁性層3bや第3磁性層3cを構成する磁性材料としては、例えば、Al、Si、Fe等からなる磁性合金材料、パーマロイ、センダスト、Mn−Znフェライト、Co−Znフェライト、Ni−Znフェライト等のフェライト、γ―Fe23、Co被着γ―Fe23、Fe34等の鉄酸化物、Fe、Co、Ni、Fe−Cr、Fe−Co、Fe−Ni、Co−Cr、Co−Ni、CrO2、Baフェライト、Srフェライト等の保磁力が1〜10000Oeの範囲の磁性材料を挙げることができ、これらの磁性材料の中から1種を使用、または2種以上の磁性材料の組み合わせを適宜選択して使用することができる。
【0029】
第2磁性層3bは、上記の磁性材料が適当な樹脂あるいはインキビヒクル中に分散されてなる磁性塗料を、所望の磁気記録を行った第1磁性層3a上にグラビア法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の塗布方法に従って塗布し、所定のバイアス磁界による磁気配向処理を施しながら、あるいは、磁気配向処理を施した後、磁性塗膜を乾燥することにより形成することができる。そして、第3磁性層3cは、上記の磁性材料が適当な樹脂あるいはインキビヒクル中に分散されてなる磁性塗料を、既に磁性材料の疎密パターンからなる固定情報をもつ第2磁性層3b上にグラビア法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の塗布方法に従って塗布し、磁気配向処理を施すことなく磁性塗膜を乾燥することにより形成することができる。
【0030】
また、第2磁性層3bを、磁気配向処理を施すことなく磁性塗膜を乾燥して形成し、第3磁性層3cは、所定のバイアス磁界による磁気配向処理を施しながら、あるいは、磁気配向処理を施した後、磁性塗膜を乾燥することにより形成することができる。
【0031】
尚、配向処理に用いる配向装置としては、ソレノイド型の電磁石配向装置が好ましい。
【0032】
このような第2磁性層3bおよび第3磁性層3cの厚さは、1〜50μm、好ましくは3〜20μm程度であり、第2磁性層3bと第3磁性層3cとを合わせた厚さは、2〜100μm、好ましくは6〜40μm程度とすることができる。
【0033】
このような構成である本発明の磁気記録媒体1では、磁気記録層3の記録領域4を磁気ヘッドで読み取る際の、第2磁性層3bと第3磁性層3cの着磁の状態、バイアス磁界の有無、または、その向きによって、得られる磁気出力レベルおよび波形が変化する。例えば、第1磁性層3aが含有する磁性材料、第2磁性層3bが含有する磁性材料、および、第3磁性層3cが含有する磁性材料のうち、最も高保磁力の磁性材料を充分着磁することができる磁界強度で着磁して一様に磁化した後、バイアス磁界を印加しない通常の無バイアス読み取りを行うと、第2磁性層3bの疎密パターンから得られる出力波形と、第3磁性層3cから得られる出力波形とが合成されたアナログ波形が検出される。このアナログ波形は、通常の磁気記録媒体では表現できない出力波形である。
【0034】
また、第1磁性層3aに所望の磁気情報を記録した後に、無バイアス読み取りを行うと、第1磁性層3aから得られる出力波形と、第2磁性層3bの疎密パターンから得られる出力波形および第3磁性層3cの疎密パターンから得られる出力波形と、が重畳されたアナログ波形が検出される。その後、第1磁性層3aに同じ磁気情報をオーバーライトしても、第2磁性層3bから得られる固定情報と第3磁性層3cから得られる固定情報に対して完全に同じ位置に磁気情報を書き込むことができないので、得られるアナログ波形は、オーバーライト前のアナログ波形と異なるものとなる。したがって、本発明の磁気記録媒体から得られるアナログ波形の情報は可変であるが、不可逆であり、例えば、残度数データ等の記録に用いるには最適である。
【0035】
本発明では、図3に示されるように、第2磁性層3bの疎密パターン密度が、第3磁性層3cの疎密パターン密度の半分であるような場合、第3磁性層3cに高透磁率材料(シールド材料)を用いることにより、磁気記録媒体に対してシールド効果を付与することも可能である。
【0036】
また、本発明では、第2磁性層3bの残留磁化と第3磁性層3cの残留磁化の比が0.5〜2の範囲内にあることが好ましい。残留磁化がこのような範囲内にあることにより、上述の第2磁性層3bと第3磁性層3cの着磁の状態、バイアス磁界の有無、または、その向きによる、磁気出力レベルおよび波形の変化が明確なものとなる。
【0037】
さらに、本発明では、第2磁性層3bの磁性材料の密部分や第3磁性層3cの磁性材料の密部分に任意の可変磁気情報を記録することができ、また、磁気記録層3の記録領域4外の領域において、任意の可変磁気情報を記録することができる。
【0038】
尚、上記の本発明の磁気記録媒体では、磁気記録層3が基材の一方の面の全面に形成された構成であるが、基材2の一部にストライプ状に磁気記録層3を形成した構成であってもよい。
また、本発明の磁気記録媒体は、第1磁性層の情報を消磁しないで用いることもできる。
【0039】
本発明では、磁気記録媒体1の磁気記録層3上に、保護、隠蔽、装飾効果をもたせるための保護層、着色層や絵柄を設けてもよい。
【0040】
保護層、着色層や絵柄はエチルセルロース、硝酸セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン等のスチレン樹脂、あるいはスチレン共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル樹脂またはメタクリル樹脂の単独あるいは共重合樹脂、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、重合ロジン等のロジンエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、クマロン樹脂、ビニルトルエン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ブチラール樹脂等のバインダーに、着色すべき色に応じて各種の顔料を添加し、必要に応じて磁気ヘッドのクリーニング効果をもたせるよう、酸化チタン、アルミナ粉末、マイクロシリカ等を添加し、さらに必要に応じて、可塑剤、安定剤、ワックス、グリース、乾燥剤、乾燥補助剤、硬化剤、増粘剤、分散剤を添加した後、溶剤あるいは希釈剤で充分に混練してなる着色塗料あるいはインキを用いて、通常のグラビア法、ロール法、ナイフエッジ法、オフセット法等の塗布方法あるいは印刷方法により、所望部分に形成できる。
【0041】
次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態について、図5を参照しながら説明する。
まず、基材2に第1磁性層3aを形成し、この第1磁性層3aに所望の磁気記録を行う(図5(A))。これにより、第1磁性層3aに磁化方向が相違する磁気パターンが形成される。この第1磁性層3aの形成は、上述の保磁力300〜6000Oeの範囲にある磁性材料を適当な樹脂あるいはインキビヒクル中に分散してなる磁性塗料を、グラビア法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の塗布方法に従って塗布し乾燥することにより形成することができる。樹脂あるいはインキビヒクルとしては、ブチラール樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、スチレン/マレイン酸共重合体樹脂等が用いられ、必要に応じてニトリルゴム等のゴム系樹脂あるいはウレタンエラストマー等が添加される。また、耐熱性を考慮して、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルサルホン等のガラス転移温度(Tg)の高い樹脂、あるいは硬化反応によりTgが上昇する系を用いることができる。上記のような樹脂あるいはインキビヒクル中に磁性材料が分散されてなる磁性塗料中に、必要に応じて分散剤、可塑剤、硬化剤、帯電防止剤、顔料等を適宜含有させてもよい。
【0042】
次に、第2磁性層3bを形成する。まず、磁性材料を適当な樹脂あるいはインキビヒクル中に分散した磁性塗料を、所望の磁気記録が行われた第1磁性層3a上に、グラビア法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の塗布方法に従って塗布する。その後、バイアス磁界を印加することなく乾燥することにより、第1磁性層3aの磁気記録パターンに対応した磁性材料の疎密パターンからなる固定情報を有する第2磁性層3bを形成する(図5(B))。未乾燥の磁性塗膜中では、第1磁性層3aから発生する磁力線が密となる磁化方向の境界部位に磁性材料が移動して集まり、磁性塗膜中に磁性材料が密な部分が生じて、上記の疎密パターンが形成される。
【0043】
磁性塗料に使用する樹脂あるいはインキビヒクルは、上述の第1磁性層3aの形成で挙げたものを使用することができ、また、必要に応じて分散剤、可塑剤、硬化剤、帯電防止剤、顔料等を磁性塗料に適宜含有させてもよい。
【0044】
次いで、第3磁性層3cを形成する。ここでは、磁性材料が適当な樹脂あるいはインキビヒクル中に分散されてなる磁性塗料を、磁性材料の疎密パターンからなる第2磁性層3b上に、グラビア法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の塗布方法に従って塗布して、磁性塗膜3′cを形成し、次いで、バイアス磁界を一定方向に加えて磁気配向処理を施す(図5(C))。バイアス磁界の印加により、第1磁性層3aから発生する磁力線によって磁性塗膜3′c中に存在する磁化方向と、バイアス磁界の方向とが一致する部位に、磁性材料が移動して集まり、未乾燥の磁性塗膜3′c中に磁性材料が密な部分が形成される。印加するバイアス磁界は150〜3000Gの範囲で、第1磁性層3aの磁気記録が消去されないように、使用する磁性材料に応じて適宜設定することができる。
【0045】
その後、磁性塗膜3′cを乾燥(上記のバイアス磁界を印加しながらでもよい)することにより、第1磁性層3aの磁気記録パターンに対応した疎密パターンからなる固定情報を有する第3磁性層3cを形成する(図5(D))。次に、第1磁性層3aの磁気記録が消去されるようなバイアス磁界を一定方向に加えて、第1磁性層3aの磁気記録を消去するとともに、第2磁性層3bの固定情報と第3磁性層3cの固定情報に着磁を行い、磁気記録媒体1とする。この磁気記録媒体1は、第2磁性層3bの疎密パターンの密度が、第3磁性層3cの疎密パターンの密度の2倍となっている。
【0046】
次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法の他の実施形態について、図6を参照しながら説明する。
まず、基材2に第1磁性層3aを形成し、この第1磁性層3aに所望の磁気記録を行って磁化方向が相違する磁気パターンを設ける(図6(A))。この第1磁性層3aの形成は、上述の製造方法と同様に行うことができる。
【0047】
次に、第2磁性層3bを形成する。まず、磁性材料が適当な樹脂あるいはインキビヒクル中に分散されてなる磁性塗料を、所望の磁気記録が行われた第1磁性層3a上に、グラビア法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の塗布方法に従って塗布して、磁性塗膜3′bを形成し、次いで、バイアス磁界を一定方向に加えて磁気配向処理を施す(図6(B))。これにより、第1磁性層3aから発生する磁力線によって磁性塗膜3′b中に存在する磁化方向と、バイアス磁界の方向とが一致する部位に、磁性材料が移動して集まり、未乾燥の磁性塗膜3′b中に磁性材料が密な部分が形成される。印加するバイアス磁界は150〜3000Gの範囲で、第1磁性層3aの磁気記録が消去されないように、使用する磁性材料に応じて適宜設定することができる。
【0048】
その後、磁性塗膜3′bを乾燥(上記のバイアス磁界を印加しながらでもよい)することにより、第1磁性層3aの磁気記録パターンに対応した磁性材料の疎密パターンからなる固定情報を有する第2磁性層3bを形成する(図6(C))。
【0049】
次いで、第3磁性層3cを形成する。ここでは、磁性材料が適当な樹脂あるいはインキビヒクル中に分散されてなる磁性塗料を、磁性材料の疎密パターンからなる第2磁性層3b上に、グラビア法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の塗布方法に従って塗布して磁性塗膜を形成し、バイアス磁界を印加することなく乾燥することにより、第1磁性層3aの磁気記録パターンに対応した磁性材料の疎密パターンからなる固定情報を有する第3磁性層3cを形成する(図6(D))。未乾燥の磁性塗膜中では、第1磁性層3aから発生する磁力線が密となる磁化方向の境界部位に磁性材料が移動して集まり、磁性塗膜中に磁性材料が密な部分が生じて疎密パターンが形成される。
【0050】
次に、第1磁性層3aの磁気記録が消去されるようなバイアス磁界を一定方向に加えて、第1磁性層3aの磁気記録を消去するとともに、第2磁性層3bの固定情報と第3磁性層3cの固定情報に着磁を行い、磁気記録媒体1とする。この磁気記録媒体1は、第2磁性層3bの疎密パターンの密度が、第3磁性層3cの疎密パターンの密度の半分となっている。
【0051】
このように製造される本発明の磁気記録媒体1では、磁気記録層3の第2磁性層3bにおける固定情報、および、第3磁性層3cにおける固定情報は、未乾燥状態の磁性塗膜中を磁性材料が移動して形成された疎密パターンからなるので、強磁界が加わっても消去されることがない。そして、磁気ヘッドで読み取ったときの磁気出力波形は、第2磁性層3bと第3磁性層3cの着磁の状態、バイアス磁界の有無、または、その向きによって変化する。例えば、第2磁性層3bに含有された磁性材料と第3磁性層3cに含有された磁性材料とが一様に着磁された状態で、バイアス磁界を印加しない通常の無バイアス読み取りを行うと、第2磁性層3bの疎密パターンから得られる出力波形と、第3磁性層3cから得られる出力波形とが合成されたアナログ波形が検出される。
【0052】
本発明では、上記の第2磁性層3bにおける固定情報、および、第3磁性層3cにおける固定情報は、第1磁性層3aへの磁気記録によって磁気記録媒体個々に任意に設定することができるので、他の磁気記録媒体との判別が可能となる。
【0053】
尚、基材としてポリエチレンテレフタレートフィルムのような樹脂フィルムを使用し、上述のような製造方法で基材上に第1磁性層と第2磁性層と第3磁性層を順に積層して磁気記録層を設けることにより磁気テープを作製し、この磁気テープをカード基材等の全面、あるいは、一部に貼合して磁気記録媒体を製造してもよい。
【0054】
【実施例】
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
【0055】
(実施例1)
まず、基材として、厚さ188μmのポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製E−22)を準備し、この基材の片面に下記の組成を有する第1磁性層形成用の磁性塗料をグラビアコート法により塗布し乾燥して、厚み10μmの第1磁性層を形成した。
【0056】
(第1磁性層形成用の塗工液)
・Baフェライト(保磁力=2000Oe) … 80重量部
・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂 … 10重量部
・ウレタン樹脂 … 10重量部
・メチルエチルケトン … 50重量部
・トルエン … 50重量部
・メチルイソブチルケトン … 50重量部
・イソシアネート系硬化剤 … 3重量部
【0057】
次に、この第1磁性層に書込み電流1000mAで磁気記録Dを行った。このときの記録密度は200bpi(FM記録)とした。
【0058】
次いで、この第1磁性層上に、下記の組成を有する第2磁性層形成用の磁性塗料をグラビアコート法により塗布して磁性塗膜を形成した。
【0059】
(第2磁性層形成用の塗工液)
・Baフェライト(保磁力=5000Oe) … 80重量部
・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂 … 10重量部
・ウレタン樹脂 … 10重量部
・メチルエチルケトン … 50重量部
・トルエン … 50重量部
・メチルイソブチルケトン … 50重量部
・イソシアネート系硬化剤 … 3重量部
【0060】
次に、上記の磁性塗膜に1200Gのソレノイドによる直流バイアス磁界を第1磁性層の記録方向に沿って一方向に加えて磁気配向処理を施した。その後、磁性塗膜を乾燥することにより厚み5μmの第2磁性層を形成した。この第2磁性層は、第1磁性層の磁気記録Dに対応した磁性材料の疎密パターンからなる固定情報D′を有するものであった。
【0061】
次いで、この第2磁性層上に、下記の組成を有する第3磁性層形成用の磁性塗料をグラビアコート法により塗布して磁性塗膜を形成した。
【0062】
(第3磁性層形成用の塗工液)
・γ−Fe23(保磁力=300Oe) … 80重量部
・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂 … 10重量部
・ウレタン樹脂 … 10重量部
・メチルエチルケトン … 50重量部
・トルエン … 50重量部
・メチルイソブチルケトン … 50重量部
・イソシアネート系硬化剤 … 3重量部
【0063】
次に、上記の磁性塗膜を乾燥することにより厚みが4μmの第3磁性層を形成した。この第3磁性層は、第1磁性層の磁気記録Dに対応した磁性材料の疎密パターンからなる固定情報D″を有するものであった。
【0064】
これにより、第1磁性層、第2磁性層および第3磁性層の積層体からなる磁気記録層を基材上に形成した。形成された磁気記録層は、第2磁性層における磁性材料の疎密パターンの密度が、第3磁性層における磁性材料の疎密パターンの密度の半分のものであった。
【0065】
上記のように磁気記録層を形成した基材を86mm×54mmの大きさのカード状に打ち抜いて本発明の磁気記録媒体を得た。
【0066】
次いで、この磁気記録媒体の磁気記録層にソレノイドによる15000Gの直流バイアス磁界を第1磁性層の記録方向に沿って一方向に印加して、第1磁性層の磁気記録Dを消去するとともに、第2磁性層の磁性材料の疎密パターンからなる固定情報D′部、および、第3磁性層の磁性材料の疎密パターンからなる固定情報D″部に着磁を行った。
【0067】
この磁気記録媒体をバイアス磁界なしでカードリーダーを用いて読み取った結果、固定情報D′と固定情報D″とが重畳したアナログ出力波形が得られた。
【0068】
このことから、本発明の磁気記録媒体の第2磁性層の固定情報および第3磁性層の固定情報は、磁気的に消去できない磁気情報として利用できること、および、この固定情報の重畳したアナログ磁気出力は、通常の磁気記録媒体では表現できないものであることが確認された。
【0069】
(実施例2)
実施例1と同様にして、第1磁性層、第2磁性層および第3磁性層の積層体からなる磁気記録層を基材上に形成し、86mm×54mmの大きさのカード状に打ち抜いて、本発明の磁気記録媒体を得た。
【0070】
次いで、上記の磁気記録媒体の磁気記録層にソレノイドによる15000Gの直流バイアス磁界を第1磁性層の記録方向に沿って一方向に印加して、第1磁性層の磁気記録Dを消去するとともに、第2磁性層の磁性材料の疎密パターンからなる固定情報D′部、および、第3磁性層の磁性材料の疎密パターンからなる固定情報D″部に着磁を行った。
【0071】
次に、同一トラック上の第1磁性層に書込み電流1000mAで別の磁気記録dを行った。このときの記録密度は200bpi(FM記録)とした。この磁気記録媒体をバイアス磁界なしでカードリーダーを用いて読み取った結果、固定情報D′と固定情報D″、および、磁気記録dとが重畳したアナログ出力波形Aが得られた。
【0072】
次に、再び同一トラック上の第1磁性層に上記と同じ条件で磁気記録dを行った。この磁気記録媒体をバイアス磁界なしでカードリーダーを用いて読み取った結果、固定情報D′と固定情報D″、および、磁気記録dとが重畳したアナログ出力波形A′が得られたが、これは上記のアナログ出力波形Aとは異なるものであった。
【0073】
このことから、本発明の磁気記録媒体から得られるアナログ波形の情報は可変であるが、不可逆であり、例えば、残度数データ等の記録に用いるには最適であることが確認された。
【0074】
(実施例3)
まず、基材として、厚さ188μmのポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製E−22)を準備し、この基材の片面に下記の組成を有する第1磁性層形成用の磁性塗料をグラビアコート法により塗布し乾燥して、厚み10μmの第1磁性層を形成した。
【0075】
(第1磁性層形成用の塗工液)
・Baフェライト(保磁力=2000Oe) … 80重量部
・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂 … 10重量部
・ウレタン樹脂 … 10重量部
・メチルエチルケトン … 50重量部
・トルエン … 50重量部
・メチルイソブチルケトン … 50重量部
・イソシアネート系硬化剤 … 3重量部
【0076】
次に、この第1磁性層に書込み電流1000mAで磁気記録Dを行った。このときの記録密度は200bpi(FM記録)とした。
【0077】
次いで、この第1磁性層上に、下記の組成を有する第2磁性層形成用の磁性塗料をグラビアコート法により塗布して磁性塗膜を形成した。
【0078】
(第2磁性層形成用の塗工液)
・γ−Fe23(保磁力=300Oe) … 80重量部
・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂 … 10重量部
・ウレタン樹脂 … 10重量部
・メチルエチルケトン … 50重量部
・トルエン … 50重量部
・メチルイソブチルケトン … 50重量部
・イソシアネート系硬化剤 … 3重量部
【0079】
次に、上記の磁性塗膜を乾燥することにより厚みが5μmの第2磁性層を形成した。この第2磁性層は、第1磁性層の磁気記録Dに対応した磁性材料の疎密パターンからなる固定情報D′を有するものであった。
【0080】
次いで、この第2磁性層上に、下記の組成を有する第3磁性層形成用の磁性塗料をグラビアコート法により塗布して磁性塗膜を形成した。
【0081】
(第3磁性層形成用の塗工液)
・Baフェライト(保磁力=5000Oe) … 80重量部
・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂 … 10重量部
・ウレタン樹脂 … 10重量部
・メチルエチルケトン … 50重量部
・トルエン … 50重量部
・メチルイソブチルケトン … 50重量部
・イソシアネート系硬化剤 … 3重量部
【0082】
次に、上記の磁性塗膜に1200Gのソレノイドによる直流バイアス磁界を第1磁性層の記録方向に沿って加えて磁気配向処理を施した。その後、磁性塗膜を乾燥することにより厚みが4μmの第3磁性層を形成した。この第3磁性層は、第1磁性層の磁気記録Dに対応した磁性材料の疎密パターンからなる固定情報D″を有するものであった。
【0083】
これにより、第1磁性層、第2磁性層および第3磁性層の積層体からなる磁気記録層を基材上に形成した。形成された磁気記録層は、第2磁性層における磁性材料の疎密パターンの密度が、第3磁性層における磁性材料の疎密パターンの密度の2倍のものであった。
【0084】
上記のように磁気記録層を形成した基材を86mm×54mmの大きさのカード状に打ち抜いて本発明の磁気記録媒体を得た。
【0085】
次いで、この磁気記録媒体の磁気記録層にソレノイドによる15000Gの直流バイアス磁界を第1磁性層の記録方向に沿って一方向に印加して、第1磁性層の磁気記録Dを消去するとともに、第2磁性層の磁性材料の疎密パターンからなる固定情報D′部、および、第3磁性層の磁性材料の疎密パターンからなる固定情報D″部に着磁を行った。
【0086】
この磁気記録媒体をバイアス磁界なしでカードリーダーを用いて読み取った結果、固定情報D′と固定情報D″とが重畳したアナログ出力波形が得られた。
【0087】
このことから、本発明の磁気記録媒体の第2磁性層の固定情報および第3磁性層の固定情報は、磁気的に消去できない磁気情報として利用できること、および、この固定情報の重畳したアナログ磁気出力は、通常の磁気記録媒体では表現できないものであることが確認された。
【0088】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば基材に設けられた磁気記録層が第1磁性層と第2磁性層と第3磁性層とをこの順に基材上に積層したものであり、第2磁性層における磁性材料の疎密パターンと、第3磁性層における磁性材料の疎密パターンは、一方の密度が他方の2倍であるため、これらの疎密パターンからなる固定情報を有する磁気記録層を磁気ヘッドで読み取って得られる磁気出力の波形は、各固定情報が重畳したアナログ波形となり、これにより、他の磁気記録媒体との判別が可能となり、磁気記録媒体の真偽判定が確実に行える。また、第1磁性層や、第2磁性層の密部位、第3磁性層の密部位に可変情報を記録することにより、この可変情報と上記の各固定情報が重畳したアナログ波形が出力波形として得られ、この場合の出力波形は、可変情報のオーバーライトを行うと再現不可能な不可逆的なものであり、残度数データ等の記録に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の実施形態の一例を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線矢視における部分拡大断面図である。
【図3】本発明の磁気記録媒体の第2磁性層と第3磁性層における磁性材料の疎密パターンの一例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の磁気記録媒体の第2磁性層と第3磁性層における磁性材料の疎密パターンの他の例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の磁気記録媒体の製造方法の実施形態の一例を示す工程図である。
【図6】本発明の磁気記録媒体の製造方法の実施形態の他の例を示す工程図である。
【符号の説明】
1…磁気記録媒体
2…基材
3…磁気記録層
3a…第1磁性層
3b…第2磁性層
3c…第3磁性層

Claims (4)

  1. 基材と、該基材上に設けられた磁気記録層とを有し、該磁気記録層は基材側から順に第1磁性層、第2磁性層、第3磁性層が積層されたものであり、該第1磁性層に含有される磁性材料の保磁力が300〜6000Oeの範囲内であり、前記第2磁性層は磁性材料を所定の疎密パターンで含有し、前記第3磁性層は磁性材料を前記第2磁性層の疎密パターンの半分あるいは2倍の密度からなるパターンで含有し、前記第2磁性層の残留磁化と前記第3磁性層の残留磁化の比が0.5〜2の範囲内にあることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 第2磁性層に含有される磁性材料および第3磁性層に含有される磁性材料の少なくとも一方の保磁力は、第1磁性層に含有される磁性材料の保磁力以上であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 基材上に、含有する磁性材料の保磁力が300〜6000Oeの範囲内であるような第1磁性層を形成し、該第1磁性層に所望の磁気記録を行った後、前記第1磁性層上に第2磁性層用の磁性塗料を塗布し、磁性塗膜に所定方向のバイアス磁界による磁気配向処理を施しながら、あるいは、磁気配向処理を施した後に乾燥して、前記第1磁性層の磁気記録パターンに対応した磁性材料の疎密パターンからなる固定情報を有する第2磁性層を形成し、次いで、第3磁性層用の磁性塗料を前記第2磁性層上に塗布し、磁気配向処理を施すことなく磁性塗膜を乾燥することにより、前記第1磁性層の磁気記録パターンに対応した磁性材料の疎密パターンからなる固定情報を有する第3磁性層を形成し、前記第2磁性層と第3磁性層の形成は、第2磁性層の残留磁化と第3磁性層の残留磁化の比が0.5〜2の範囲内となるように行い、前記第1磁性層、前記第2磁性層および前記第3磁性層からなる磁気記録層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  4. 基材上に、含有する磁性材料の保磁力が300〜6000Oeの範囲内であるような第1磁性層を形成し、該第1磁性層に所望の磁気記録を行った後、前記第1磁性層上に第2磁性層用の磁性塗料を塗布し、磁気配向処理を施すことなく磁性塗膜を乾燥して、前記第1磁性層の磁気記録パターンに対応した磁性材料の疎密パターンからなる固定情報を有する第2磁性層を形成し、次いで、第3磁性層用の磁性塗料を前記第2磁性層上に塗布し、磁性塗膜に所定方向のバイアス磁界による磁気配向処理を施しながら、あるいは、磁気配向処理を施した後に乾燥して、前記第1磁性層の磁気記録パターンに対応した磁性材料の疎密パターンからなる固定情報を有する第3磁性層を形成し、前記第2磁性層と第3磁性層の形成は、第2磁性層の残留磁化と第3磁性層の残留磁化の比が0.5〜2の範囲内となるように行い、前記第1磁性層、前記第2磁性層および前記第3磁性層からなる磁気記録層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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